森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.04.08
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カテゴリ: 森田番外編
官民連携の「プレミアムフライデー」が、平成29年2月24日(金)から実施された。
プレミアムフライデーに登録した企業は今後、強制的に月末の金曜日は15時で仕事を終わる。

これは、幸せや楽しさを感じられる体験(買い物や家族との外食、観光など)ができる時間を作ることで、次のような効果が期待されている。
1 .充実感・満足感を実感できる生活スタイルの変革の機会になる。
2 .地域などのコミュニティー機能強化や一体感の醸成につながる。
3 . (単なる安売りではなく)デフレ的傾向を変えていくきっかけとなる。
よくわからない理屈だが、官民で連携し、全国的・継続的な取り組みとなることを狙っている。
ロゴマークも作り、ロゴマーク申請企業は3,930社である。

プレミアムフライデーの第一の目的は、ゆとりある生活ではなく、消費の拡大にあるといわれている。

働いている人はお金はあるが、それを使う時間がないのでそのきっかけ作りをしているのだという。

私はこの試みは大企業と政府から提案されたということに注目している。
ねらいは別のところにあるとみている。
大企業の正社員の給料は高い。ボーナスの支給も重荷だ。そして毎年昇給がある。
さらに厚生年金、健康保険も企業が半分は持っている。
こんな国は世界を見渡してもそんなにはない。
これは裏を返せば、これらは海外展開している日本の企業が外国企業と世界で戦っていく上において不利になる。人件費の負担が多すぎるのである。
この問題を解消して人件費の負担を軽くしようとしても、労働組合の力が強くて進展しない。
そこでこれまでにグローバル企業は人件費の安い海外に工場移転を進めてしのいできた。
でも国内の高い人件費を削減することを決してあきらめたわけではない。

今まで日本では、1986年施行の労働者派遣法とその後3回の法改正で、正社員を非正規労働者に切り替えてきた。2016年度は正規社員3298万人に対して、非正規社員1983万人となっている。

非正規社員は正社員に比べるとボーナスもなく、退職金制度もなく、年俸も格段に低水準だ。
そのうえ雇用も不安定で、企業の福利厚生の対象外である。
その結果企業の負担は軽くなった。
半面多くの国民の生活は、短期間のうちに随分窮地に追いやられているのである。
国民の多くが総中流家庭といわれていたのは遠い昔の話だ。


現在、サービス残業はどこの会社でも暗黙の了解となっている。
それをバックアップするかのように、国会では「残業代ゼロ法案」が議論されている。
今は管理職になる一歩手前の「高度専門職」のみの適用といっているが、これは派遣法の時のようになし崩し的に拡大されていくだろうとみている。
これは働く労働者にとってみれば、当然労働条件の悪化につながる。
うつや過労死などは増えることはあっても減ることはないだろう。

労働時間の削減といえば、アメリカのオバマケアという国民皆保険を導入した際に問題となった。
社員50人以上の企業がオバマケアとしての健康保険を提供した場合、人件費が今までよりも上がることになった。物価の高いニューヨーク州やニュージャージー州なら一人当たり時給3.79ドルも上がることになった。人件費の高騰を抑えたい企業は色々と対策を立てた。
最終的に政府に罰金を支払わなくてもよい方法を思いついたのだ。
それは今いる正社員の勤務時間を減らし、大半をパートタイムに降格するパターンだった。
そうすれば短時間労働者として、企業保険への加入は免除されるのだ。
今まで雇用主を通じて医療保険に加入する場合は、個人で入るよりずっと安く条件が良かった。
企業がこのような対策をとったことで、フルタイム労働者がパートタイム労働者に降格されて給料が減らされた上に、条件の良い企業保険からも締め出される結果となったのである。
その結果、中流以下の労働者の生活はますます苦しく、無保険者が増えていったのだ。
これは国民の安定的な雇用を確保して、国民の福祉に寄与するという責任を放棄した形となった。

アメリカで考え付いたようなことはいずれ日本でも起こるといわれている。
プレミアムフライディは、これから先中小企業にまでどんどん拡大されていくだろう。
すると、正社員から契約社員、アルバイト、パートへと労働条件の悪化、給料や福利厚生がカットされて、国民の大多数の人は生活がますます苦しくなる方向に向かうと思う。
それは日本のグローバル企業が世界の舞台で勝ち残っていくためには、今のかかっている人件費をどんどん抑制していかないと不利になるからである。あるいは淘汰されてしまうからである。
こんなことは考えすぎだと思われる人もいるだろう。だが政府や大企業はそんな風には考えない。
ちょっとした突破口さえつかめば、それが自分たちの目指す方向に大きく前進することをよくわかっているのだ。そして国民が気づいたときはもう手遅れだったという事態に追い込みたいのだ。
そういう視点でプレミアムフライディを分析する視点も必要であると考える。





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Last updated  2017.04.08 18:09:07
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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