森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.04.23
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小学校5年生の男の子が、髪の毛を抜いてしまうと言うことで、精神科医岡田尊司先生のところにやってきました。
最近は、それだけでなく、こっそり親のお金を持ち出したり、嘘をついたりするようになった。
もともと落ち着きがなく、考えもなくパッと行動してしまうところがあり、忘れ物が多かったり、先生が言ったことを聞き逃して困ることが多かったのだが、近頃では母親が注意しても、素直に耳を貸すどころか反抗的になるときもあり、手に負えなくなっている。
家庭だけでなく、学校でも、先生や友達とトラブルになることが増えている。
生活は投げやりで、言わないと宿題もやらない。
注意されれば渋々やるか、やりたくないという態度が露骨である。

この男の子の場合、症状から診断して、一般的には 「抜毛癖」 「素行障害」 「虚言癖」 「注意欠陥・多動性障害」 「反抗挑戦性障害」などの診断が下されることが一般的である。
岡田医師は母親との面談の結果、一連の症状は親子関係に問題があったと判断した。
この男の子は、両親は専門的な仕事をしていたため、小さい頃から保育園に預けられて育った。

小さい頃から習いごとをたくさんさせてきた。保育園に迎えに行くと、その足で習い事に直行するという生活が1週間のうち、多くを占めていたのである。
愛情がないわけではないが、世話や関わりは人任せになる一方で、習い事をさせたり指導や注意をしたりすることには熱心だったのである。
干渉ばかりが多く、時には厳しく叱ることもあった。
その結果、この男の子にとって、親は心からの関心や親しみを覚える対象と言うよりも、口を開くと命令するか、否定するかの、うるさくてめんどくさい存在となっていた。
自然な情愛的な結びつきは弱く、親に甘えたり、困っている事を相談したりすることもない。

愛着という点から見ると、共感的な結びつきが希薄であるだけでなく、いつも強制され支配され無理やり服従させられていた。
親の一方的な押し付けと、評価に縛られた子供は、主体性をを奪われるばかりか、逃げ場所を失ってしまう。家庭は、安全基地とは反対の、危険基地や強制収容所のようなものになってしまう。
これは直接暴力を加えているわけではないが、指導という名の虐待に他ならない。
行動上の問題を直そうとして厳しく指導したばかりに、問題行動がさらにエスカレートし、反抗や思考が激しくなることも多いし、行動上の問題は改善したかに見えても、もっと厄介な問題を生じてしまう。

例えば、無気力や自己肯定感の欠如などである。
ここで気になるのは、医学モデルによる診断と治療もひとつ間違えば虐待と同じ構造になってしまう危険がある。

医学モデルによる診断は、生育環境や親子関係などの細かい事情を覆い隠し、病名があたかも実体で、それが症状を引き起こしているような錯覚を生む。
(愛着障害の克服 岡田尊司 光文社新書より引用)

私はこの話を聞いて、神経症で悩む人も、その原因が親子関係などの人間関係にあるのではないかと考えるようになった。私たちは、神経症から回復するために、森田理論学習をしているわけですが、その前に親との関係で愛着障害を抱えているのではないかと考えるようになった。
そこで愛着障害という本で愛着障害の診断テストをしてみた。すると不安型愛着障害に該当していた。
不安型いうのは、親との信頼関係が築かれていないために、大人になって見捨てられ不安が付きまとい、常に他人の思惑に振り回されて生きていくことがつらい状態である。

心の安全基地を作ることが優先されるべきことではないのかと考えるに至りました。





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Last updated  2017.04.23 06:30:05
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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