森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.05.04
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カテゴリ: 森田番外編
2017年4月号の生活の発見誌に河野基樹先生の記事があった。
河野先生は、対人恐怖症の精神科医であった。
1996年に直腸癌を発症され、 58歳で逝去された。
亡くなる直前まで、講演を続けておられたのが印象的である。
点滴を打ちながら講演されていた。頭が下がる思いである。

この文章の最後に、河野先生のお父さんの詩集の中から次のような詩を紹介されている。

夜がふけるのは
朝がはじまるため
冬が来るのは

悲しみは喜びのさきぶれ
失望は希望の道しるべ
太陽はどこでも明るくまわっている。

神経症に陥った時は、アリ地獄の中にはまりこんだようなもので、将来に希望が見いだせず、悲観的な気持ちになります。
この詩は、最悪の状態に陥ったとしても、時間の経過とともに、状況は自然に変化してくるということを言われていると思います。私たちは、素直にその変化に身をゆだねることが大切になります。

深夜で辺りが真っ暗になると誰でも不安でいっぱいになります。
でも必ず朝が来て辺りが明るくなるということがわかっていれば、将来に希望が持てます。
その不安な嫌な気持ちを払拭しようとしていると、せっかく朝が来てもその不安な気持ちだけは無くなるどころか増悪してきます。
不安な気持ちに対してやり繰りしたり逃げたりしないで、じっと持ちこたえるということが大切なのだと思います。

河野先生は、 「森田理論は症状をとるために学ぶのではなく、私たちが社会生活をするために、神経質者はどういう心構えで仕事をすればいいのかということを学ぶのが生活の発見会であり、集談会であると私は考えています」と言われています。
私もそう思います。森田療法が神経症を克服するという考え方は、間違いのないところですが、神経症の治療法に関しては薬物療法、その他心理療法が30種類もあるといわれている。

しかし、神経質者、発達障害、愛着障害などを抱えた人たちに対して、生涯にわたって生きる指針となる考え方を示しているのは森田理論だけだと考えています。
またそれ以上に自然と人間のかかわり方、人間関係の在り方について、明確な一つの方向性を打ち出しているのは森田理論以外に有効な理論は今のところ見つかっていない。

また、河野先生は、森田理論学習だけに取り組んでおられる人は、進歩が遅いとも言われています。
実践という言葉を大事にして、体を動かして、行動に移しておられる人の立ち直りは早い。
必ず理論と実行が伴わないといけないのだといわれています。

自分の考え方や行動のどこが間違っていたのか、先輩の意見やアドバイスを参考にして修正をしていただきたいのです。それには1ヶ月ぐらいの期間がちょうど良いのではないかと思います。

これもその通りだと思います。森田理論を学習している人は、理論と行動の2つの車輪をつけて日々生活しているわけです。ステップアップすれば、もう少し大きな車輪に付け替える。
同じ大きさの車輪に付け替えながら生活するということが大切です。
理論の車輪だけを大きなものにして、行動の車輪を小さいものから大きなものに付け替えないということになると、行動の車輪の周りを森田理論の大きな車輪が空回りするようになります。
こうなると生活を前進することができなくなります。
観念化が進行しすぎると、むしろ弊害のほうが大きくなります。





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Last updated  2017.05.04 06:30:03
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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