森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.05.19
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形外会で布留さんが、森田先生に次のように質問した。
勉強しているとき、遊びに行きたいという気持ちになったとき、いくら抑えようとしてもだめです。
たいていは欲望に負ける。そんな気分が出ると、我慢しようとしても、どうにもしようがない。
ついにやぶれかぶれで遊びに行く。そんな時、どんなに苦しくても我慢して、本を読むようにした方が良いでしょうか。

これに答えて森田先生曰く。
「遊びに行きたい」という欲望と、 「勉強しなければならない」という2つを、我々の心の事実として認め、これを両立させて自由に解放、発展させておくと、悪知なくなって、必要に応じては、楽に勉強もでき、さほどの必要もなければ、愉快に楽しく、遊びに行くことができて、心に拘泥はなく、自由に適切に、その行動を選ぶことができるようになる。
これに反して、 「遊びたいと言うような、のんきな心を起こしてはならない」 「勉強に興味を起こし、 身を入れるようにしなければならない」という風に、 「かくあるべし」ということを強いると、我々の心の事実を否定しようとする不可能の努力となって、これが悪知となるのです。
本の上に目を走らせながら、上野に行こうか、浅草に行こうかと考えながら、この本をもう1ページとか、この章だけを、とか考えて、読んでいるうちに、その本の内容が、自分と同感するところや、あるいは排斥すべき説などにぶつかると、ついついその方に心がつり込まれて読書のほうに没入することになる。 (森田全集第5巻 白揚社 359ページより引用)

勉強しているときに、遊びに行きたいという考えが次第に強くなって、勉強が上の空となった時どうすればよいのか。

否定をして、勉強に取り込もうとするのだけれども、「遊びに行きたい」という気持ちが収まるどころか、どんどんと強まってきて、収拾がつかなくなる。
こんな気持ちでは、どうせ集中して勉強なんかできるわけないんだから、破れかぶれになって遊びに出かけてしまう。
こんな二つの相反する気持ちに振り回されることは、日常生活にいくらでもある。
例えばパチンコの好きな人は、お金を無駄に使ってはいけないという気持ちもあるが、どうしても一勝負しなければ気が収まらない。
これらに対して森田先生が上記のごとく適切に回答されていると思う。

私はこんな経験があった。
夏暑いときビヤガーデンで会社の暑気払いがあった。
ところが次の日は生活習慣病検診が予定されていた。
次の日のことを考えると、今日は理由を話して欠席することがよいと思った。
でも根っからの酒好きである。特にビール飲み放題には眼がない。
少しぐらいなら影響はないだろう。それに会社の人間関係は大事だ。

ビヤガーデンでは盛り上がって、健康診断のことは眼中になかった。
そして、さらにスナックに行ってカラオケをした。
帰ったころは12時を過ぎていた。
よく朝起きると頭が重い。完全な二日酔いである。
健診結果は散々なものであった。


この二つの相反する気持ちを、どちらも認めてほどほどの行動をとればよかったのだが、ビールを飲み始めると、健康診断のことはすっかり忘れてしまった。
というよりも、あとで考えると、酒の誘惑に負けて、健康診断を受けるということを無視してしまった。
両方の調和を心得ていると、ガブガブとビールのお代わりをしないで、例えばジョッキ2杯までと決めて控えめに飲む。二次会は丁重にお断りする。いろんな方法はあったのだ。

森田先生は「精神現象は常にある意向が起これば、必ずこれに対抗する反対の観念が起こって、我々の意志の行動が抑制されている。対立する純な心を、理知でもって調整することが大事である」と言われている。

「遊びに行きたい」でも「勉強しなければならない」
このような対立する気持ちがある時、どちらかに決め付けてはいけないということである。
2つのどちらの気持ちも、否定しないで、泳がしておくということである。
あとは、状況次第ということになる。
明日試験が控えているという場合は、遊びに行く事は許されない。
反対に差し迫った勉強でない限りは遊びに行ってもよい。

私たちの特徴は、対立する気持ちのどちらか一方を、 「かくあるべし」で抑圧してしまうことである。
この場合、 「遊びに行きたい」という気持ちを意志の力で、そう思ってはいけないと押さえつけることである。抑えつければ押さえつけるほど、その感情は高ぶって手がつけられなくなる。
そして最後には、その時の状況を無視してやぶれかぶれな衝動的な行動へと突っ走ってしまうのである。

相反する感情や気持ちがある時は、まずは、その2つを自然現象として素直に受け入れる。
そして行動としては、その時の自分の置かれた状況によってどちらかを選択する。
本を読んだり、勉強するということは努力を伴うことであり、苦痛を強いる事であるが、状況に応じては、そちらの行動を選択してゆかなければならないこともあるのだ。
本能の赴くまま軽率な行動をとるのではなく、2つの相反する気持ちの調和を図るということが大切だ。





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Last updated  2017.05.19 06:30:04
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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