森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.08.25
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森田先生は目の前の仕事に取り組む場合に、ふたつの違ったタイプの人がいるという。

1つは、能動的に、自分から勇気をつけてやる人である。
これはいわば、カラ元気の付け焼き刃であるから、することなすことが不自然になる。
この場合は、自分の本心としては、できることなら仕事などやりたくない。
経済的に恵まれた状態なら、仕事はしなくてもいいのに、自分や家族の生活の維持のために、やむなく取り組まざるを得ない。仕事は必要悪という考え方が根底にある。
自分のイヤだという気持ちに反して、無理矢理、気持ちを切り替えなければならない。
森田先生はこれは全く駄目というわけではないといわれている。
神経症の蟻地獄に陥っている場合は、最初はそのやり方でもかまわない。
ただ神経症の治療の段階でいえば、これは軽快にあたるだけだといわれている。


もう一つは、受動的に、やむをえずにやるというタイプの人である。
これは背水の陣をひいて取り組むことである。この場合は、自分は弱いものと覚悟して、自然であるから、談判でも擬勢がなくて、勝たなくても、少なくとも負けることはない。
この場合には、勝てば喜び、負けても当然のこととして、がっかりするような事はないといわれる。

能動的に空元気の付け焼き刃で仕事を始めるのと、受動的にやむをえずに仕事を始めるのはどこに違いがあるのだろうか。
私が思うには、カラ元気をつけて仕事をする場合は、イヤだという感情を否定していると思う。
その感情を認めることをしないで、すぐに否定して排除しようとしているように見える。
不快な感情への向き合い方としては、大いに問題がありそうである。

一方、受動的にやむをえずにやるというのは、 「仕事に行くのはおっくうだ、嫌だなぁ」という自分の心に沸き起こってきた不快な感情を否定していない。
あるがままに認めている。その不快感に抵抗しないで十分に味わっている。

大した違いはないのではと思われる方がおられるかもしれない。
しかし、ここは森田理論の核心部分にかかわる極めて重要なところだと思う。

これは神経症の完治を目指すに当たっては、ぜひとも身につけたい重要な考え方なのだと思う。

この話は森田全集第5巻の283ページで説明されていることである。
この部分をさらっと読んでいるだけでは、森田先生が我々に何を伝えようとされているのかよくわからない。森田先生は、いろんな具体例や多方面の視点から森田理論の真髄を伝えようとされているのである。
この部分は私たちに森田理論の中のどこの部分を理解させようとしているのか。
そうした視点がないと皆目見当がつかないことになる。宝をみすみす見逃してしまうことになる。


いわば地図を広げて、森田理論全体の地形を判断することができるようになった。
この地図をもとにして森田先生のお話を聞くと、話の内容と森田理論の焦点がぴったりと合うようになった。すんなりと森田先生の様々なお話がより深く理解できるようになった。
森田理論を学習する人たちには、基礎編の学習が終了した後は、ぜひこの森田理論全体像を学習して、森田理論の枠組み、スキームを理解して欲しいと思う。内容はこのブログでも何回も取り上げてきた。

私は森田理論がよくわかるようになったと感じるのは、この森田理論全体像を試行錯誤の末に作り上げた時からであった。あれから約10年経つ。その思いはますます強くなっていくばかりである。
それまでの20年は正直言って森田理論を学習すればするほど、出口が見えない迷路に入ったようなものであった。今では森田理論全体像という地図を頼りにして、 迷路から脱出して、曲がりなりにも人生を楽しむことができるようになったと感じている。





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Last updated  2017.08.25 06:30:05
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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