森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.04.17
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村上和雄氏のお話です。

ネアンデルタール人と我々ホモ・サピエンスは、20万年前は共存していました。
両者を比較すると、ネアンデルタール人のほうが強靭な肉体を持ち、脳もホモ・サピエンスよりも大きかったそうです。
現代にネアンデルタール人が生き延びていれば、オリンピックでメダルをほぼ独占していたと思われる。
また大きな脳を活用して高度な文明社会を築いていたと思われる。
ところが、その後ネアンデルタール人は突如絶滅してしまいました。

絶えた人たちと、生き残ったホモ・サピエンスの違いはどこにあったのか。
考えられることの一つは、ホモ・サピエンスは社会を作っていたのです。
150人程度の部族の集団を作り、その中で暮らしていたのです。


一方、ネアンデルタール人は20人くらいの家族単位で暮らしていました。
個々の能力が高いために、他人と助け合う仕組みは必要としなかったようです。
体力があり、頭脳明晰なのでなんでも家族単位で完結していたそうです。
家族や親族単位であらゆる問題を解決できると考えていたと思われます。

この違いはその後の脳の発達に影響を与えました。
ネアンデルタール人は視野や視覚が発達しました。
運動野や感覚野が発達し、さらなる個体の能力の向上につながりました。

一方ホモ・サピエンスは前頭葉が発達しました。
ここは社会性を司る部分です。ここに共感脳が含まれています。
つまり、体力や知力で劣っていたホモ・サピエンスは、その不足分を集団の力で乗り越えようとしてきたのです。
その結果、共存共栄能力が鍛えられました。

個々の人間の能力向上はいかに素晴らしそうに見えても限界があります。
一方その不足分を仲間でカバーしあう仕組みには限界はありません。
この進化の違いがその後の両者の盛衰に結びつきました。

人類学者の長谷川眞理子氏も、「共生的進化論」として、最終的に生き残るものをシミュレーションすると、単に得ようとするだけではなく与える種が生き残る、つまり「足ることを知る」種が歴史的に長生きしている。
人類が進化し、生き残ったのは「協力」と「知足」のおかげだったと言えます。


「協力」と「知足」というのは、他人を思いやる心と欲望の暴走を制御するということではないでしょうか。
しかし現在その進化の歴史に反するようなことが表面化しています。

人間は誰でも個体保存欲求を持っています。
個体保存欲求がないと命を粗末に扱う可能性があります。
しかし人類の繁栄にとって、それは必要条件ではあるが、十分条件にはなりえない。それだけでは、人類の将来の繁栄は大変危ういものになります。
欲望の暴走には歯止めをかけて、すべての人が豊かになる共存共栄の社会を目指さないと結局はネアンデルタール人と同じ轍を踏みかねないということになります。
現在多くの国が核を保有して外交の駆け引きに使っています。
それが暴発する可能性が極めて高くなっています。
今やホモ・サピエンスは絶滅の危機に直面しているのです。

森田理論に「物の性を尽くす」というのがあります。
自分の性を尽くすことと、他人の性を尽くすことがあざなえる縄のように一体となり、バランスを維持して共存共栄の社会を目指すという考え方です。
この考え方を推し進めて行くと、支配する人と支配される人の二極分解はなくなるはずです。
森田は現代の人間社会に警鐘を鳴らしている理論だと言えると思われます。





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Last updated  2023.04.17 07:03:23
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森田生涯 @ Re:阿久悠さんが「ジョニーへの伝言」に託した思いとは(03/06) 通りすがりさんへ コメントありがとうご…
通りすがり@ Re:阿久悠さんが「ジョニーへの伝言」に託した思いとは(03/06) この曲の歌詞の意味がわからなくて検索し…
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