森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2024.09.02
XML
渡辺和子さんがミヒャエル・エンデのファンタジー小説「果てしない物語」という本を紹介されている。

一人の少年バスチャンがアウリンという不思議なメダルを授けられた。
このメダルは自分の望みをかなえるメダルであった。
チビで太っていたバスチャンはすらりとした美少年になることをお願いした。
次に、気の弱い、いじめられてばかりいた少年は、ライオンはおろか騎士たちを従える勇者になることを願った。
また勉強のできなかった彼は、どんな難しい事態も解決する賢者になることを願った。それらの願いはどんどん叶えられていった。

ところがこのメダルは一つの望みを叶えるたびに一つの記憶を失うメダルであった。バスチャンは自分の住んでいたところ、学校のこと、父親のこと、果ては、自分の名前までも忘れてしまった。
そんなバスチャンに、あと一つだけ望みを叶えることが許された。
バスチャンはもはや偉大なもの、強いもの、賢いものが欲しいとは思わなくなっていた。
ありのままの自分を愛せる自分になりたい と願った。

渡辺和子さん曰く。
自分を愛することができない人は、絶えず嫌な自分とともにいなければならないのである。
こんな辛いことがほかにあるだろうか。
「我ながら呆れる自分」「まったく嫌になる自分」「愛想のつきる自分」というものが必ずある。あるのが当たり前である。
誰しも「ほれぼれする自分」であったらどんなにいいかと思いながら生きている。
しかし現実は、期待に添っていない自分を見出すことがなんと多いことか。
そんな自分に失望することなく、そんな自分を否定したり、いじめたりすることなく、「お前は馬鹿だね」と話しかけながら仲よく暮らしていくことが、自分へのやさしさなのである。

優しさということを考える時、私たちはとかく「他人」に優しくすることばかり考えて、「自分」に対して優しくすることを忘れがちである。
「どうしてお前は、もっと他人に優しくできないのか」と自分を責めたりしている。
しかしながら、他人に優しくできるためには、まず自分自身に優しくなければならないのだ。
それは決して、自分に甘い点をつけるとか、いい加減に生きるということではなく、ましてや利己的に生きることでもない。
それはどんなに惨めな自分も、それを受け入れていくということである。
(あなただけの人生をどう生きるか 渡辺和子 筑摩書房 142~147ページ要旨引用)


それらを目の敵にして喧嘩を売るよりも、あるがままに受け入れて、自分に与えられた境遇で、与えられたものをできるだけ活かして生きていきたいものです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.09.02 06:37:24
コメントを書く
[観念重視から事実重視への転換] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

メダカを飼っています New! 楽天星no1さん

泉佐野フィルムフェ… へこきもとさん

激しい運動の後、疲… メルトスライム25さん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: