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ひゃー、2023年も今宵限り。年々、一年が過ぎるのが速くなりますなあ・・・。 さて、ワタクシには大晦日の日には一つミッションがありまして。家の近所にある「ブックポート203」なる本屋さんに行って、本を一冊買うというもの。 で、大晦日にこの本屋で買う本は、専門にかかわる、あるいは専門に近い本、はご法度にしているんです。そうではなくて、まったく専門外の本を一冊買う。そしてそれを元日に読む。つまり、自分にとって知識ゼロに近い本を元日に読むというところに妙味があるわけ。 それによって専門ジャンルに凝り固まった頭をもみほぐす、というのが狙いなんですが、専門外と言ったって、人間が生きているうちに読む本であるわけだから、まわりまわって、そこで得た知識がいつの日が自分を助けてくれるかもしれない。だから、遠い未来に知識の貯金をするようなつもりで、専門外の本を読むわけよ。 遠い未来と言っても、ワタクシにはもはや遠い未来はないんだけどね。 ま、それはともかく、そんなこんなで、最初は『闇の精神史』なる本を買おうかと思ったのだけど、これはちょっと専門に近すぎると思い直し、土井善晴さんの『一汁一菜でよいと至るまで』という本を買うことに。これこれ! ↓一汁一菜でよいと至るまで (新潮新書) [ 土井 善晴 ] 土井さんは名うてのライターだし、若干先輩だけどほぼ同世代だし、お父さんのことも知っているし、料理の本だったら専門外だし面白いかなと。 ということで、これに決まり! こいつを明日、元日に読んで、頭のコリをほぐすことといたしましょう。 さてさて、本年も本ブログをお読みくださって、ありがとうございました。また来年も、「昨日とは異なる今日の自分とは誰か」を自問しながら、一日一日、その日の思いを綴ってまいります。どうぞよろしくお願いいたします。 では、本ブログをお読みの方だけに良い年が訪れますように!
December 31, 2023
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今年も残すところ今日と明日。いよいよ押し詰まって参りました。 で、毎年この日は、私が黒豆を煮始める日でありまして、前の晩から水に漬けておいた黒豆を、朝から煮始めました。この後、まる二日かけてコトコトと柔らかく煮上げるのよ。醤油など邪道のものは一切入れず、砂糖だけで味付けをするのがワタクシ流。これが旨いんだ。売れるレベル・・・っていうか、それより旨い。私が店を出したいくらい。 その一方、今日は正月へ向けての買い出しの日でもありまして。伊達巻だ、紅白のかまぼこだ、数の子だと、お節の食材をあれこれ揃えたり、泡が出る飲み物を買ったり。 ついでにユニクロに寄って、今年最後のお買い物。スフレヤーンのハーフジップ・セーターを自分用に、また黒のタートルネックの薄手のセーターを家内用に。まあ、こういうどさくさ紛れのショッピングというのも、年末の慌ただしさにはふさわしいかなと。 そして昨日読み始めたハインラインの『夏への扉』も読み終わってしまった。まあ、人が言うほどの傑作とは思わないけれども、佳作ではありますかね。面白かったです。 ゼミ生から卒論の草稿が送られてくることはなく、なんか妙に手隙なんですけど、その暇な感じも悪くない。 ま、そんな感じで、忙しいのか忙しくないのかよく分からないような年末の一日となったのでした。
December 30, 2023
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昨夜実家に戻りまして。やっぱりね、名古屋の職場から300キロ以上、地理的に離れると、リラックスするのよね~。だから、悩みのある人は、とにかく、地理的に悩みの発祥地から離れることをお勧めします。 ま、それはともかく。 今日は、ゼミ生から送られてきた卒論の草稿が一つあったので、とりあえずそれをちゃちゃっと添削した後は、さしたる仕事もなかったので・・・いや、そうでもないか、でもまあそれは置いておいて・・・残りの時間は本を読んで過ごしておりました。 読んでいたのは、ハインラインの『夏への扉』。非常に有名な、名作のほまれ高いSFで、本好きの人なら大抵は若い時に読んでいるのでしょうが、SFが苦手な私はこれまで読んだことがなかったのよ。 だけど、同僚で、経済学の若手研究者が、高校時代だったかにこの本を読んで経済学者を志した、という話を最近、本人から聞かされて、ふうむ、SFを読んで経済学者を志すってどゆこと? と思って、俄然興味が出た。 で、読み始めて、今のところ5分の4くらい読み終わったんだけど、なるほど結構面白い。 私はまた、もっとおどろおどろしい話なのかと思っていたんですが、案外軽めの話なのね。サイエンスがどうのこうのというよりは、若気のいたりで悪い女に騙された青年の話で。で、今、ようやくタイムマシーンがどうのこうのというところまで読み継いで、さて、主人公はこのマシーンを使って何をするのかしら? っていうね。 まあ、あとちょっとで読み終わるので、残りは明日の楽しみに残しておきましょう。 っつーことで、年末のこの時期、意外にもヒマを持て余しながら、SFの名作に読みふけるというのも、なかなか乙なものではないかと思っている今日このごろなのであります。これこれ! ↓夏への扉〔新版〕 (ハヤカワ文庫SF) [ ロバート・A・ハインライン ]
December 29, 2023
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お恥ずかしい話ですけど、うちの大学で事件が! ベテランのパート事務員が、勝手に物品を注文し、それを流用・転売していたのが発覚しましてね。 事件に携わった職員の方、非常に有能な方で、その人がいないと事務が回らないとまで言われた人だったそうですが、そうやって事務方の仕事を全部任されていたがために、魔が差したんでしょうかねえ・・・。 まあ、それはいいんですが(ちょっとも良くない!)、この事件が余波を生み出しておりまして。それが問題なのよ。 多分、文科の方から色々言われたんじゃないですかね、学内の物品管理の杜撰さが。ということで、これからは物品管理を猛烈にしっかりやるというお達しがつい先ほどありました。 つまり、それぞれの教員が研究費で買ったものが適切に、学内で、使われているかどうかを、これからは頻繁にチェックするぞと。覚悟しておけと。そういうお達しだったの。 これまでだってそういうチェックは行われていて、年に一回くらいだったかな? 自己点検をすることはあったのですが、これからはもっと頻繁かつ厳密にやるということなんでしょうな。 でもさあ、こんなことでも、結構、労力を取られるのよ。 考えてみ、日本中の研究者が年に何回も研究室をごそごそ漁って、何十年も前に買ったものがちゃんとあるかどうか、管理シールがちゃんと貼られているかどうか、いちいちチェックするんだよ。その無駄に費やされる時間を全部合計したら、年間で何万時間になるのか。時間給で言ったら、一人の犯罪者が起こした被害額とは比べ物にならんでしょう。どうしてそういう、簡単な算数が出来ないのかな。 悪いことをする奴は、いるんだ。必ず。どう管理したって。だから、そいつらのせいで、善人の時間を奪うのは馬鹿のやることなんだよ! 大学入試センター試験もそう。一人、スマホを使ったずるをした受験生がいると、その対策で、まあ、大変なことになるんだから。そのためにどれほど入試にかかる手間が増えたことか。 ま、年内最後に、こんなくだらないお達しが回ってきて、こりゃ、来年もつまらない事務作業が増えるぞと、ガックリしているワタクシなのであります。 さて、年末年始を過ごすため、今日はこれから実家に戻ります。渋滞がなければいいなあ! 今日までは勤務日という人も多いから、明日以降よりは楽かもね。
December 28, 2023
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昨夜の井上尚弥選手のボクシング世界タイトル戦、ご覧になりました? バンタム級からスーパーバンタム級に階級を上げての2戦目、この試合に勝てば、スーパーバンタム級の4本のチャンピオンベルトすべてを奪取することになる大一番。 序盤から井上選手のパンチが相手のタパレス選手に当たる度、ものすごい音がして、これはガードの上から打っても相手は吹っ飛ぶのではないかと。で、実際、第4ラウンドでタパレス選手ダウン! まあ、あと30秒もあれば、あの時点で試合は終わっていたと思いますが、タパレス選手は運よくゴングに救われた。 で、その後、タパレス選手は極端に防御的な姿勢を取り始め、サウスポーということもあって井上選手のパンチが届かず、ファンとしてはしばらくやきもきする硬直状態が続きます。 で、これはまさかの判定もつれ込みか?と思い始めた第10ラウンド、タパレス選手のガード越しに放ったストレートが決まり、またもやKOでの決着。 でも、普段ならすごい勢いでポストに上ってこぶしを突き上げる井上選手ですが、今回は少し疲れていたのか、いつもほどの勢いではなかったかな。 それにしても、フィリピンのボクサーってのは、打たれ強いというか、タフだねえ。タパレス選手も、結構すごいボディを何発かくらっていて、普通のボクサーならとっくに終わっていただろうに、第10ラウンドまで持ち込んだのだから大したもの。もっとも、タパレス選手だってベルトを2本も巻いているチャンピオンなんだから、強くて当然なんですが。 というわけで、井上尚弥選手、階級を上げてわずか2戦目にして、スーパーバンタム級の4本のベルトすべてを手中に収めたのだから、ものすごいとしか言いようがない。 まあ、アレだね、井上尚弥選手は、野球の大谷翔平選手、将棋の藤井聡太竜王・名人と並び、この時代の傑出した日本人に数えられるでしょうな。 ボクシングというと、人によっては野蛮というイメージを持つのか、他のスポーツと比べて、一般の認識が低いようなところがありますが、井上尚弥選手のボクシングは芸術だからね。武道にして芸術。もっと、もっと、もーーーっと、評価されてしかるべきだと思う。今の時点で国民栄誉賞をあげてもいいんじゃない? だってさ、剣道だって、真剣ではやらないでしょ? 竹刀でやっているでしょ。その点で言えば、ボクサーは真剣で戦っているようなもんだからね。まともにあたったら死ぬかもしれない、そういう状況で戦っているわけだから。もっと評価されるべきですよ。 まあとにかく、井上尚弥選手の試合、素晴らしかった。昨夜は堪能させていただきました。お疲れ様!
December 27, 2023
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鈴木秀子著『9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係』(PHP文庫)という本を読了したので、心覚えをつけておきましょう。 この本は、副題にもある通り、エニアグラムについての本。最近、「MBTI」という性格診断が話題で、私も試したことがありますが(私は「主人公キャラ」だそうですが)、エニアグラムってのはあれのもっと奥深いヤーツーね。 ちなみに、何でアメリカ文学者の私がエニアグラムについての本を読んでいるかと申しますと、エニアグラムって、アメリカ1970年代の「ヒューマン・ポテンシャル運動」に非常に関連が深いから。 ヒューマン・ポテンシャル運動とは、人間の能力をもっと高めようという志向の運動だったのですが、その一環として、色々な方法が試された。その一つが「アリカ・トレーニング」という奴で、これは南米ボリビアの精神指導者オスカー・イチャソが開発した自己啓発法なんだけど、そのアリカの中で使われた性格分析がエニアグラムだったのよ。で、それを弟子のクラウディオ・ナランホがさらに理論化し、ヘレン・パーマーがアメリカに広めたので、今日まで伝わっているわけ。ちなみにオスカー・イチャソはエニアグラムの原理をロシアの神秘学者ゲオルギイ・グルジェフから得ており、グルジェフはそれをイスラム思想から得ているので、エニアグラムの原理ってのは、千年以上の歴史がある、ということにもなる。なかなか深いものがあるわけね。 さて、肝心のエニアグラムですが、本書によると、人間の性格というのはきっちり9つに分類できると。これはもう、「人間は男と女に分類できる」というのと同じくらい、基本的にそれ以外はない、という話なのね。しかも男と女の比率がほぼ同率であるように、9つに分類された性格を持った人類はほぼ同数いる。仮に世界人口を72億人と仮定すると、9つの性格が8億人ずつ存在する、ということね。 つまり、世界は9つの性格を持った人々によって構成されている、非常に豊かなものであると。エニアグラムは、人類に9つの性格があることを、多様性のある豊かなものであると捉えている。そこが面白い。 で、MBTIだとか血液型分類とか、そういうのとは異なりまして、エニアグラムというのは、個人の性格を分類すること自体に意義を見出しているわけではありません。そうではなくて、自分が9つの性格のうちのどれに当てはまるかを自覚した上で、その長所と短所を認識し、長所を伸ばし、短所をある程度矯めることで、より完全な人間になることを目指すと同時に、自分と異なる性格を持った人々と、どううまく付き合っていくかを自覚的に考えることを促す、というところに意味があると考えているわけ。 つまり、エニアグラムは、自己啓発思想なんです。 ちなみに、自分がどの性格分類に所属するかは、テストによって判明するのですが、多分、私は「タイプ4」だと思う。 ちなみにタイプ4のプロフィールは「特別な存在であろうとする人」なんですと。曰く「自分が特別な人間であることを自負しており、何よりも感動を大切にし、平凡さを嫌う。他人より悲しみや孤独などを深く味わえると感じており、思いやりがあり、人を支え励ますことを好む。また自分をドラマの中の訳者のように感じており、立ち居振る舞いからファッションまで洗練された感じ、表現力豊かな印象を他人に与える。「特別な存在である」「ユニークだ」「深い感動を味わえる」ということで満足感を得る」と。 というと、なんかいいことばっかりみたいですけど、タイプ4には固有の欠点がある。エニアグラムの用語では「囚われ」というのですが、それは何かというと、「平凡さを避ける」ということ。曰く、「タイプ4は、平凡であることを避け、自分のことを他人とは違った特別な人間だと思いたいという「囚われ」がある。自分の感受性に自信をもっているので、感性の世界に入り込み、現実を無視する傾向がある。またその豊かな感受性ゆえに周囲の理解が得られないと感じ、それが疎外感のレベルまで達すると、欝状態になりやすく、引きこもろうとする。自分の特別視ゆえに、現実に満足することができず、いつでも”本当の人生はこれから始まる”と感じている。常に深い感動を求めるその姿勢は、洗練されたイメージと共に、大げさでお高くとまった感じを周囲に与える」ですと。なるほど。 こういう「囚われ」は、タイプ4の性格を持った人が後天的に獲得しがちな習性なんですな。 ちなみに、エニアグラムでは、9つのタイプを3つのカテゴリーに分類しております。タイプ8・9・1は「本能センター」、タイプ2・3・4は「感情センター」、タイプ5・6・7は「思考センター」という大分類に属し、特にタイプ9・3・6のように、それぞれのセンターのど真ん中にいる人は、なかなか他のセンターの性格を獲得することができない。一方、タイプ4は、自らは「感情センター」に属するものの、「思考センター」の隣に位置するので、思考センターの人たちとは共鳴しやすいと。 なるほどね! さて、こんな感じで自分がどの性格なのかが判明した後は、これを元にして自己改善を図らなくては! で、エニアグラムの凄いところは、9つそれぞれの性格について、どういう風に自己改善をすればいいか、明確に規定しているところ。 これはエニアグラムの図を見ると一目瞭然なんですけど、たとえばタイプ4は、タイプ1の長所、すなわち「私は勤勉である」という方向に努力すると、好結果が生まれる、という風になっているんですな。逆に言うとそこがタイプ4の弱点なので、その弱点をカバーするように、タイプ1の方に寄っていくように努力すると、よりタイプ4の良い面を伸ばせると。 そう、エニアグラムは、各性格の短所を取り除くのではなく、別なある特定のタイプの方向に向かうよう、努力せよ、とアドバイスをしているんです。なぜなら、各タイプの短所は、そのタイプの原動力にもなっているから。それを取り除くのは意味がない。そうではなくて、一番欠けている方面へベクトルを向けることで、全体のバランスを整えることを目指すわけ。 だからね、エニアグラムを勉強すると、自分がどういうことに注意すれば、より円満な人格を得られるかがものすごく明確に把握できる。そこが凄いところなのよ。 で、さらに、このことは単に自分の性格を矯正するということだけではないのね。そうではなくて、自分が接する人、たとえば会社であれば上司・同僚・部下がいるわけですが、その上司や同僚や部下がどのタイプであるかを把握すれば、そういう連中の性格的な傾向が分かり、それを踏まえて接することができる。そうすれば、彼らに対してどうやってアプローチすると、一番実りの多い協力関係を築けるかが明確に分かるんです。 ちなみに、私・タイプ4が会社の部下だったとしたらどんな人物か、本書から抜いてみましょうか。 「タイプ4に服従という概念はない。彼らにとって、企業で働くというのは、自分の能力が認められ、その能力によって企業に貢献することを意味する。彼らの意識の中では、企業と自分は、対等なギブアンドテイクの関係にあるのだ。 彼らが、従順に従うのは、彼ら自身がとびきり高いステイタスを有すると認める相手に対してだけである。高いステイタスの条件は、地位、能力に申し分なく、感性やライフスタイルの点で高貴さをもっていることだ。タイプ4は、こうした権力者に深い尊敬の念を抱き、自分のユニークな才能を認めてもらい、世話を焼かれたいと思っている。彼らにとっては「選び抜かれた人々から選ばれる」というのが無上の喜びなのだ。自分が、その質を認めた人間に愛されたいと思っているのだ。 その一方でタイプ4は、”小さな権力者”を無視する傾向がある。小さな権力者とは、能力的に自分より劣るが、地位として、自分より高い上司である。 こうした志向を持つタイプ4を管理するのは至難の業だ。上司を小さな権力者と見なせば、それを避ける。彼らは、通常のルールは自分に該当しないと考える傾向があるので、「みんなやっていることだから、君だけわがままを認めるわけにはいかない」という叱責はぴんとこない。(後略)」 いやあ、エニアグラムめ、ワタクシのことがよく分かっているじゃないの!! で、タイプ4はこういう奴だから、もし彼が熱心に働いていないのであれば、自分が認められてないと思っている証拠だから、上司としては、まずタイプ4の魅力的な部分を評価するところから始めるのが上策。なぜなら、自分を評価してくれる上司には、タイプ4は心を開くから。しかもタイプ4は、褒められて図に乗るタイプではないので、そこを心配する必要もないと。 とまあ、そんな風に「まず褒め作戦」でやれば、タイプ4の人間を、掌の上で転がすことができると。いやはや、まいった、まいった。 ね。だから、エニアグラムは自己改善であると同時に、非常にシンプルかつ明確な人間関係改善策でもあるわけですよ。 で、そういう人間関係改善というのは、それこそ1970年代的テーマであって、たとえばエンカウンターグループとか、ゲシュタルト療法とか、この時代に流行した様々な精神療法も、根本的にはこの人間関係改善というところに収斂するわけよ。 ま、エニアグラムが出てきた背景は、ちょっとインチキ臭いところもなくはない(例えば、オスカー・イチャソなんかも、エニアグラムのアイディアは天啓的にひらめいた、とか言っているわけだし)、根拠がしっかりしているのかどうか、よく分からないんだけれども、それが効果的かどうかとなると、明らかに効果的なんですな。神秘的だけれども効果的。だからこそカトリック教会がこの考え方を採用していたりするのであってね(本書の著者・鈴木秀子さんもカトリックの修道女だし)。 というわけで、エニアグラムというのは、非常に面白い考え方、方法論なんだけど、この本を読むと、その面白さが手っ取り早く分かります。私も読んで非常に役立ちました。教授のおすすめ!と言っておきましょう。これこれ! ↓9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係 (PHP文庫) [ 鈴木秀子 ]
December 26, 2023
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今年も残すところあと1週間足らず。この辺でこの一年が私にとってどんな年であったかをカウントダウン方式で振り返ってみたいと思います。まずは第7位から。第7位:小旅行 今年は泊りがけの旅行というのをほとんどしませんでした。親戚の葬儀で、千葉・鴨川まで二泊の旅をしましたが、あれは葬儀がらみですからね。 その代わり、近場の小旅行というのを何度かした。例えば犬山城の城下町を散策したり、「おちょぼ稲荷」として知られる岐阜県海津市の「千代保稲荷」に行って、有名な串カツの店で食べたり、多治見に行ったり、桑名に六華苑を見に行ったり。あと小牧に行ってメナード美術館や田県神社に行ったり。 そういう地方の小都市に行って地元のB級グルメを食べたり、地元のスーパーに行ってその土地ならではの食材を買ったり、なんていう楽しみを味わうことを覚えた――そんな年になりました。第6位:五十肩に苦しむ 今年は年初から五十肩に苦しみました。あまりの痛さに病院を二軒ハシゴして、本当に五十肩なのか、もっと悪い病気なのではないか、と疑いましたが、結局、典型的な五十肩だったという。一番痛かった時には、ちょっとした肩の動きで激痛が起こり、うずくまるほどでした。道場も三か月ほど休みましたしね。今もまだ完全に治ったわけではないんですが、まあ、苦しかった。第5位:ラジオ番組に出演する 新著を出したことで、FM愛知の番組に出演したことが、今年前半の面白い体験でした。DJを務める女性と打ち合わせ、一発撮りで録音したのですが、初めての体験にしては割と落ち着いてできたかな。後になって、大学の事務職の女性から、「たまたま帰路につくクルマの中で、先生のラジオを聴きました!」なんて言われたりして、面白い経験でした。第4位:亀井俊介先生ご逝去 敬愛するアメリカ文学者・亀井俊介先生が亡くなられたことが、今年、私が被った大損失でした。亀井先生には、直接師事したということこそなかったのですが、縁あってお目にかかるようになってから、随分可愛がっていただきました。密かに先生を目標にして自分の仕事に邁進しているところがあったもので、その目標を失ったことは本当に大きな打撃でした。第3位:本を書き、本を出した 今年は3月に新刊を出しましたが、その後もどんどん書き進め、来年2月に出る本、そしてその後に出る本も含め、3冊分の本の原稿を書きました。我ながらよく書いたなと。第2位:「ほぼ日の學校」に出演した 第3位の項目と関連するのですが、3月に出した本がきっかけで、糸井重里さんが運営する「ほぼ日刊イトイ新聞」の座談会に出ることに。『嫌われる勇気』の古賀史健さん、『夢をかなえるゾウ』の水野敬也さん、そして糸井さんと4人で長時間にわたり自己啓発本の魅力を語り尽くしたことは、私にとって至福の時間でした。この時の模様はいずれ「ほぼ日」に文章として掲載され、また座談会の映像は「ほぼ日の學校」で見ることができるようになります。映像の方、一足先に見ましたが、すごく面白いものになっていました。乞うご期待!第1位:母が老人ホームに入る 今年の私の最大のニュースがこれ。 親を老人ホームに入れる。こういう事態に立ち至ったということは、もちろん初めての経験でしたし、色々と考えるところがありました。まあ、簡単に言えば申し訳ないという気持。しかし、もはや面倒見切れないというのはハッキリしていて、仕方ないのかなと。母が段々母でなくなっていくのを見ているのも辛いのですが、それを母自身が認識しているところもさらに辛くてね。「こんなに馬鹿になってしまって、どうもすみません」と私に謝る母の姿、その切なさを、私は一生、忘れないでありましょう。せめて老人ホームで、安らかに晩年を過ごされますことを! ま、こんな感じかな。得るものも多く、失うものもそれなりにあった一年でしたね。
December 25, 2023
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12月はめちゃくちゃ忙しい・・・はずだったんだけど、なんかヒマ。なんで? そう、一生懸命働いて、仕事を全部片づけたから。我ながら偉い子だ。 っつーことで、リラックスしたクリスマス・イヴを過しております。まあ、仕事もちょっとはしたけどね。 クリスマスの夜は、毎年私がディナーを作ることになっておりまして、今年も恒例のパエリアを作りました。今年は有頭海老6本入りの豪華版。美味しかった。 とはいえ、今年は忙しすぎて、クリスマス・プレゼントの交換ができていない。今日、どこかに買いに行く余裕はあったのですが、さすがにクリスマスの日曜日にどこかに買い物に行くのは無謀だろうと。 明日はどうなんだろう? 月曜日だから、さすがに今日よりはマシか? 明日25日は有給を取っているので、自由がきく。明日はちょっと近場に買い物に行って、家内とクリスマス・プレゼントの交換をしようかな。
December 24, 2023
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さて、昨日に引き続き、今日は「今年のベストバイ」と題し、今年買ったものの中で、これは買って良かったなと思うものをご紹介していきましょう。まずは第5位!第5位:クノール・カップスープ「3種の豆のポタージュ」【あったかい特集】クノール カップスープ 豆のポタージュ×10 最初、「豆?」と思ったのですが、飲んでみてビックリ。実に旨し。結構な頻度でリピート買いしております。今や我が家の必需品。第4位:灘の蔵元造り甘酒【ママ割エントリーP2倍 12/25まで】大関 灘の蔵元造り 甘酒 940g[あまざけ][飲む点滴][長S] この甘酒、実に旨いのよ。ただし、我が家にはこの甘酒を飲む独特のレシピがありまして。 あのね、この甘酒と、豆乳を1:1で割るの。そうすると、甘酒と豆乳の双方の風味が絶妙にミックスし、えもいわれぬ美味に大変身! 私はこれを朝一で飲むのですが、もう、これを飲むのが楽しみで起きられる、ってなもんです。他の甘酒じゃダメで、この銘柄じゃないとダメ。騙されたと思って、是非お試しください。第3位:シャープの冷蔵庫 今年買った中で最大の買物だった、かな? それこそ何十年ぶりに冷蔵庫を買い替えたんですけど、幅とか奥行の関係で、選択肢が限られている中、我が家が選んだのがシャープの冷蔵庫。決め手はもちろん、右からも左からもドアを開けられる、シャープ独自の機構。 実際にはこの機構は良し悪しで、扉を閉める時、結構大きな衝撃があるらしく、閉める度に冷蔵庫全体が揺れるのね。最初の内、そこが気に入らなくて、失敗だったかな・・・と思ったんだけど、人間って恐ろしいもので、嫌だ嫌だと思っていたことでもじきに慣れる。で、慣れてしまえば、左右両方開きというのはやはり便利なもので、重宝しております。第2位:オムロン・低周波治療器オムロン 低周波治療器 エレパルス HV-F128 今年は年初から五十肩ならぬ六十肩に悩まされたのですが、そんな時、この低周波治療器が随分役立ちました。病院のリハビリで受けた低周波治療とほぼ同じ内容の治療が、6千円とか7千円ほどのハンディな治療器で出来るのですから、もうありがたいったらない。今は大分、治ってきたので使っていませんが、今後も肩こりなどで使えそう。一家に一台、あって損はないです。 そして栄えある第1位は・・・第1位:ゴムベルト【2way・着脱楽ちん・男女兼用】 ゴムベルト ベルト レディース メンズ ノーバックルベルト サイズ調整可能 フリーサイズ カジュアル 裏技ベルト おしゃれ これね、最高。ベルトの概念が変わる。さすがに出勤着には使えませんが、カジュアルな装い、たとえばジーンズなどに使うには、着脱が楽でほんとにいいです。これこそ、まだ使ったことがない方には熱烈おススメ! というわけで、今年はこんなものを買って、愛用していたワタクシなのでございます。
December 23, 2023
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今年もあと10日足らずになりました。そろそろ恒例の「今年読んだ本ベスト」の発表と参りましょうか。ではまず第5位から。第5位:ピーター・スワンソン著『そしてミランダを殺す』そしてミランダを殺す (創元推理文庫) [ ピーター・スワンソン ] 今年もあまり娯楽的な本は読めなかったのですが、そんな数少ない娯楽読書体験から1冊。奥さんの浮気が元で、この奥さんを殺してやろうかと思い始めたある男が、空港のVIP待合室である若い女性と意気投合、この娘さんに奥さんの浮気と自分の殺意のことを話したら、「じゃ、私が代わりに殺してあげる!」的なことを言われてその気になって・・・、という話。でまた、この娘さんが殺人の天才なんですけど、この娘さんの方にも殺人を引き受ける必然があって、その辺から話が面白くなっていくというね。男の視点と娘の視点が交互に描かれる方式も面白かった。第4位:佐藤優著『国家の罠』国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫 新潮文庫) [ 佐藤 優 ] 先輩同僚に勧められて読んだのですが、確かに面白かった。外務省の闇がよーくわかります。第3位:荒川洋治著『文庫の読書』文庫の読書 (中公文庫 あ96-2) [ 荒川洋治 ] 本のことを語らせたら、荒川さんの右に出るものはないですなあ。荒川さんが紹介するだけで、その本がどうしても読みたくなる。文芸時評だの、書評だのをやる上で、荒川さんの書き方は参考になります。ま、参考になっても、荒川さんのようには書けないんですけどね。第2位:アイン・ランド著『水源』【中古】水源 /ビジネス社/アイン・ランド(単行本) 若き天才建築家のビルドゥングスロマン。まあ、面白い。高尚な文学ではなく、世俗的な文学として圧倒的な面白さ。ディケンズ的な面白さと言ったら、少々買いかぶり過ぎか。第1位:ジョセフ・ピース/アンドルー・ポター著『反逆の神話』反逆の神話〔新版〕 「反体制」はカネになる (ハヤカワ文庫NF) [ ジョセフ・ヒース ] カウンター・カルチャー批判の本。私はもちろん、カウンター・カルチャーを高く評価する側の人間なんですけど、これを読んだら、あまりに鋭い批判であり、かつ、御説ごもっともだったので、ぎゃふんと言わされてしまった。たしかに、カウンター・カルチャーというのは、反体制とはいいながら、一枚岩ではないし、詰めの甘いところ、自己矛盾したところに満ちている。そういうところを、これほど鋭く突かれてしまったら、なかなか立ち直れない。カウンター・カルチャーを讃えるのであれば、その前にまずこの本を読んで、自省しないとダメって感じ。参りました。 ま、そんな感じですかね。 ついでに、今年読んだ本のワーストも記しておきましょう。今年読んだ本で、一番のク〇だったのは・・・ワースト1位:吉田修一著『さよなら渓谷』 そもそも主人公の名前が「尾崎俊介」っていうところからして実に気に入らん! ほんと、こんな小説にこの名前を使われて、腹立たしいったらありゃしない。 姉に「この小説、読んだことある?」って尋ねたら、姉曰く「あるけど、お前には読んだと言えなかった」と。 ま、著者は、少なくとも我が家からは出禁扱いだな。 とまあ、こんな感じ。今年もまた、自分の本を書くので手一杯で、仕事関連の本はそこそこ読んだけれども、それ以外となると、あまり自慢できる読書体験はしていない。来年こそは、もう少し心と仕事に余裕を持ち、自分の楽しみのための読書を充実させるようにしたいものであります。
December 22, 2023
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いやはや、ダイハツ、大事になってしまいましたね。全車種出荷停止ですか。三菱の時もそうだったけど、今回も、顧客の信頼回復までには少なくとも数年はかかるでしょうな。私も、タフトとかキャンバスとか、ちょっといいなと思っていたダイハツ車はあるんだけど、ちょっと買う気が失せましたからね。 ところで。 先日、今年を表す漢字が「税」に決まりましたが、今回のダイハツにせよ、今世間を騒がせている自民党のキックバックにせよ、それからジャニーズ問題にせよ、隠れていた悪が露になった年、という感じの方が強くないですかね? そう考えたら、「税」ではないような気が・・・。 で、改めて考えたんですけど、「邪」の方が良かったんじゃね? もちろん「ジャニーズ」にもかけての「ジャ」なんですけれども。 ま、既に決まったことだから、どうでもいいか・・・。
December 21, 2023
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学会の大先輩で、ブログ仲間でもあるH城先生のブログを読んでいたら、The Road Not Taken というフレーズが出て参りまして。これこれ! ↓ブログ『越境と郷愁 New』 H城先生のブログは、『いまを生きる』という映画にまつわるものだったのですが、その中で、アメリカの超有名な詩人ロバート・フロストの話題が出てきて、フロストの詩の中でも最も有名な「The Road Not Taken」のことに言及されたと。 で、これを読んで、ワタクシ、「お!」と思いまして。 というのは、アメリカの超有名な自己啓発本にM・スコット・ペックという人の書いた『愛と心理療法』という本があって、これは名著なんですけど、この本の原題が『The Road Less Traveled』なのよ。 で、次の次に出す本の中でもこの本に言及しているのですが、ひょっとしてこの本のタイトルって、ロバート・フロストの詩のタイトルから取っているんじゃね? と思ったわけ。 で、さらにウィキペディアで調べてみると、フロストのこの詩の成り立ちがまた非常に面白い。フロストが書いたこの詩のおかげで、ある意味、人が一人死んでますからね。 なるほど、これはちょっと、いい耳学問させてもらったなと。 私はアメリカ文学者を自任しておりながら、詩が苦手で、そっち方面の教養がほんとに欠けているんですけど、せめてフロストくらいの国民的詩人の作品くらい、読んでおかないといかんのかもね。否、「かもね」じゃなくて、いかんのですが。 とにかく、H城先輩に感謝、感謝でございます。
December 20, 2023
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いやはや。「最近の若い連中は…」ということは言いたくないんだけれども、つい言いたくなるようなことがありましてね。 4年のゼミ生はもう卒論を提出するのみで、この先は個別の論文添削指導になるため、全員集合の対面形式としては今年度最後のゼミ。しかもクリスマスも近いということで、今日はお菓子をつまみながら、リラックスしてやろうということになり、私が人数分、クリスピー・クリーム・ドーナツを買っていくことに。 で、テーブルに人数分のドーナツと取り分けるための紙皿などを用意し、私みずから紅茶を淹れていたわけよ。 ところが、テーブルを囲んで椅子に座った6人のゼミ生たちは一向に動こうとしないの。普通、指導教授がここまで用意したんだから、後はゼミ生の方で準備を始めればいいじゃん? で、私が「さあ、ドーナツ食べようよ」と促すのだけど、誰も何も動かないので、「さあ、みんなで取り分けてよ」とさらに促したところ、ようやく紙皿を回したり、ドーナツが入ったボックスを開け始めた。で、私は紅茶を淹れていたわけ。 で、紅茶が入ったので、私が紅茶の入ったコップを運び始めたのだけど、やっぱり誰も動かない。 で、私が仕方なく「おい、ちょっと手伝ってよ」と言って、それでようやく二人くらいが重い腰を上げて紅茶を運ぶのを手伝ってくれて。 で、ヤレヤレと思って私がテーブルのお誕生日席につこうとしてビックリよ。 なんと、私の席に、私の分の紙皿がない。ドーナツも配られてない。 ええ・・・・。嘘だろ? ショックを受けつつ、「なあ、僕の分はないの?」と言って、ようやく。 そして、ドーナツを食べながらの談笑の後、ゼミ生の誰一人として、私にドーナツのお礼を言った者はいなかったのでした。 私に言えるのは、昔のゼミ生は可愛かったなと。今のゼミ生は全然可愛くないなと。親の顔が見たいなと。 まあね、私は「怒らずの誓い」を立てているから、彼ら/彼女らに対して怒りはしませんよ。しませんけれども、心の中では泣いています。さめざめと。
December 19, 2023
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錣山親方、元関脇の寺尾さんが心臓疾患のために亡くなられました。享年60。私と同い年。あまりにも早いお別れでした。 寺尾の親父さんである鶴ヶ嶺さんは現役時代、両差しが得意でね。両差しになれば相撲は圧倒的に有利になるので、普通は相手に両差しを許すことはない。だから、実際の取り組みでは右四つか左四つに組むのが普通で、両差しが得意というのは非常に珍しいわけね。 ところが鶴ヶ嶺のDNAは息子たちに引き継がれ、たとえば逆鉾も両差しが上手かった。胸を突き出すようにバーンとあたって、わちゃわちゃやっているうちに、いつの間にか両差しになっているという。あの芸は井筒部屋独特のものでありました。 だから、逆鉾の弟である寺尾だって、その血を引いて両差しが上手かったのかも知れませんが、彼はそういう四つ相撲は取らなかった。徹頭徹尾、突っ張り。マックス116キロの小兵でありながら、あの威勢のいい突っ張りは、見ごたえがありました。突いて引く、突いて引く、というのではなく、最初から最後まで相手を突き出すことだけを考えての突っ張りでしたからね。あんな無謀なまでの突っ張りをする力士って、最近では見ないなあ。その意味で、富士桜、麒麟児の伝統を受け継ぐ最後の力士だったかもしれません。 千代の富士を突っ張りでさんざん苦しめて、最後の最後、吊り落としをくらったあの名シーンも、リアルタイムで観ていた私の目に焼き付いております。これこれ! ↓千代の富士対寺尾戦 そして、寺尾はハンサムだった! ハンサムな力士は寺尾の他にも何人もいましたが、私が50年以上相撲を観てきたところから言うと、やっぱり寺尾が図抜けてハンサムだったのではないかと。 それにしても井筒三兄弟、58歳で亡くなった逆鉾をはじめ、揃いも揃って若死にするとは・・・。特に寺尾は私と同い年だけに、本当に残念でたまりません。 気風のいい突っ張りと、角界一の美貌で、勝っても負けても拍手喝采を浴びた往年の名関脇、寺尾さんのご冥福をお祈りいたしたいと思います。合掌。
December 18, 2023
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昨日、大まかに書き上げた今月の文芸時評を微修正して完成稿とし、つい先ほど、新聞社に原稿を送付しました。 文芸時評を担当するようになって2年が経ち、今回をもって無事、担当から外れることになりました。もともと2年というお約束だったのでね。 いやはや、大変でしたよ、この2年。文芸時評がこれほどキツイ仕事とは思わなんだ。 時評の仕事というのは、基本、その月に出る代表的な文芸誌を全部読み、その中から言及するに値する作品を選び出して言及する、というもの。もちろん、文芸誌以外でも、その時々で話題の小説などがあれば、そういうものに言及してもいいし、さらには文学関連の時流について特に語りたいことがあればそれを語ってもいい。要するに評者次第の仕事ではあるわけ。 とはいえ、やはり語るべきものは、基本的には「日本の文芸」ですからね。それに対して私はアメリカ文学者だから、専門が違う。アメリカ文学者としての仕事の延長線上にできる仕事ではないんですな。 だから大変なのよ。私の担当は、4月・8月・12月だったんだけど、一年のうち、この3カ月は、読み馴れない日本の文芸誌をとにかく読みまくることに追われた、という感じ。 だけど、そういうことをやってみて、今、日本の文学界の趨勢ってこういう風なんだ、というのが分かった、という収穫はあった。これは、こういう仕事を引き受けでもしない限り、なかなか分からないものですからね。 なお、2年間の担当月で、一番面白かった作品は、坂口安吾の「盗まれた一萬円」という作品。埋もれていたこの作品が発掘されて再度日の目を見たということなんだけれども、やはり今時の小説とは違って、昔の作家が書いたものは面白かったねえ。 ちなみに、2年間この仕事を引き受けてみて、一つだけ後悔があるとしたら、それは市川沙央氏の「ハンチバック」を読みながら、それについて時評の中で一言も触れなかったこと。 それなりにインパクトのある内容ではあったのですが、障害を抱えた著者が障害を抱えた主人公を描くというところに、「これって、一回しか使えない手じゃん」と思うところもあり。また主人公が書くのがポルノであるというところも、これ見よがしであまり好みではなかった。そういうことがあれこれあって、「この小説、折に触れて何度も読み返したいか?」と自問し、答えが「否」だったので、取り上げなかったのよね。 でも、その後、これが芥川賞を取り・・・。せめて否定的にでもいいから言及して置けばよかったかな、と。 でもね、文芸時評って、実は否定的なことを述べる場でもないんですよね。いいものを褒める場所であって、わざわざ貴重なスペースをとって悪いものをけなす場所ではない。だから、褒めるつもりがないなら、取り上げられないのよ。 だから、あの作品に否定的な自分としては取り上げる術はなかったんだけど、そうは言っても、ね・・・。 まあ、そういう失敗も含めて、経験だよ、経験。いい経験をさせてもらいました。いつかまた、文芸時評をやって欲しいという依頼があったら・・・まあ、その時はその時で考えますか。
December 17, 2023
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今日は道場の忘年会。コロナ以降、久々の開催。 っつーことで、午前中から頑張り、文芸時評の仕事を辛うじてフィニッシュ。明日までかかるかと思っていたけれど、根性で終わらせちゃった。 で、忘年会の会場となるお店に行く途中、年賀状も投函してしまったので、身も心も大分軽い状態で参加することができました。 うちの道場は、高坂道場と三好道場、二つの道場で行っているので、三好所属の私は高坂道場の人たちに会うのは久しぶり。同時期に入門しつつ、今は高坂道場に通うFさんと久しぶりに話すことが出来てとても良かった。Fさんと私は「F1ファン」という共通の話題があるので、今日もその話で盛り上がりました。 そして我々の師範たるA先生も交え、日ごろ一緒に汗を流している兄弟弟子たちと、色々な話が出来て面白かった。やはり道場の集いというのは、職場の同僚とかと違ってバックグラウンドがそれぞれ違うので、普段聞けない話が聞けるところがいいんですわ。A先生が師範の資格をとって、道場を開くまでの道のりの話なども聞けたしね。私やOさんのような三好道場の古株も、この道場の初期の頃の様子なんかを、最近入門された人たちに語ったりして。 最近の若いひとたちの中には、忘年会とかの飲み会を嫌う人も多いと聞きますが、こういう、昔ながらの日本人のコミュニケーションにもいいところはありますな。 はー、それにしてもこういう忘年会があると、今年ももうすぐ終わるんだなという気分が出てくるもんですな。実際、あと2週間だもんね。明日からは師走らしい寒さが戻ってくるそうですが、今はもう少し、忘年会帰りの心地よい興奮の余韻を味わうことといたしましょう。
December 16, 2023
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文芸誌の『すばる』が児童文学の特集をやっておりまして。 で、ああ、なるほど、12月だからなと。 私も子供の頃、もうすぐ冬休みというこの時期が大好きで。寒いので外遊びができない分、ぬくぬくと家にこもって本を読むのが好きだった。 小学5年生の頃、文庫本の魅力にはまって、文庫の外国文学ものをよく読んだものでした。1冊読み終わると、文庫本の後ろにある既刊本のリストを眺め、自分にも読めそうなものに目星をつけては、本屋に買いに行くのが楽しみだった。 たとえばローリングスの『小鹿物語』ね。それから延原謙訳の『シャーロック・ホームズ』ものとか、堀口大學訳の『ルパン』ものとか。『ジキルとハイド』なんてのも、この頃読んだものでした。そうそう、『十五少年漂流記』などヴェルヌのものもよく読みました。でも同じ漂流ものなら『ロビンソン・クルーソー』の方が奥深いと思ったなあ。 で、新潮文庫に飽きると、他の文庫に行く。文春文庫の『野生のエルザ』とか。角川文庫も、新潮文庫ほどではないけれども、そこでしか読めない外国文学は随分読みました。 あの頃は、ホントに本の世界に没頭できた。ああいう熱中というのは、もう今では経験できないかも。 で、そんなことを懐かしく思い出しながら『すばる』の児童文学特集をチラ読みしたら、もう、そこには私の読んだことのない本のことしか書いてない。『トムは真夜中の庭で』とかね。『飛ぶ教室』とか。 同じ「児童が文学を読む」ということにしても、私にとってのそれと、世間のそれはまったく違うんだなと。そういう意味では、私は児童文学を読んだことがない。『ドリトル先生』とか、『ツバメ号とアマゾン号』とか、読みたいと思ったことすらない。ロアルド・ダールの作品も一つも読んでない。 じゃあ、もうだめじゃん。『すばる』の特集、私には無縁じゃん。 あーあ。今月の文芸時評、何を書いたらいいんだろう?
December 15, 2023
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先月末、受診した人間ドックの結果が届きまして・・・。 この封筒開けるの、嫌だよね~! もしやばいことが書いてあったらどーしよ。胃のバリウム検査で影が映りましたので胃カメラによる再検査をお勧めします、とか。腫瘍マーカーの値が跳ね上がっているので、要注意とか。 で、おっかなびっくり、恐るおそる開封。 ひゃーーー! 良かった! A判定の項目がずらりと並び、C判定がちょこちょこあるくらい。それも、前から指摘されているヤツだからね。要経過観察ってヤツで。 やった~! 今回特によかったのは体重が減ったこと。昨年より1キロ減り、60.5キロ也。173センチの身長で62キロが自分的にはベスト、一番太ってしまった時は66キロくらいありましたから、まあ、だいぶいい感じなんじゃないの? 体脂肪率も18%台と、年齢からすればまあまあ良い部類。 さっきまで封筒を開けることすら怖かったのに、結果が良いとなったら、いろいろな数値を穴の開くほど眺めちゃうという。 しかし、こうなってくると、欲が出て来るもんですな。よーし、来年は体重58キロ、体脂肪率15%を狙うぞ、とかね。 今年良かったのは、多分、毎日30分を目標に走っていたから。六十肩がひどく、上半身の運動はできなかったけれど、走る分には肩の痛みもさほど支障がないからね。 六十肩も大分直ってきたし、おーし、来年はさらに頑張って、さらにいい数字を出すぞ! もはや健康おたくじゃ!!
December 14, 2023
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12月もあれよあれよという間に中旬に入りまして。この調子で、あと2週間なんてあっという間に過ぎちゃうんだろうなと。 っつーことで、本年もそろそろ年末企画、「今年を振り返る」ものを順次やっていこうかなと。 で、まずは「今年観た映画ベスト5」をお届けします。では、第5位から。第5位:『ドミノ』 ベン・アフレック主演で、脳をハッキングすることのできる特殊能力を持った悪人の魔手からどう逃れ、彼らの悪だくみを阻止するか、というテーマの話で、月並みっちゃー月並みなんですけど、最後にどんでん返しがあって、観客は絶対に騙されるという仕組みがちょっと面白い。第4位:『シカゴ7裁判』 1968年のアメリカ民主党大会への乱入事件の裁判の推移を追いながら、抑圧的なアメリカ政府と、カウンター・カルチャーの闘士たちの攻防を描くもので、仕事がらみで見始めたものの、映画として相当面白いものになっていることを発見。結末も結構感動的でよかった。地味な作品ですが、熱烈おススメです。第3位:『ジョン・ウィック コンセクエンス』 キアヌ・リーヴス主演の『ジョン・ウィック』シリーズの完結編。完結編らしく、殺し屋の掟に基づく殺し屋同士の派手な殺し合い映画ですが、キアヌのファンとして、またこのシリーズのファンとして感慨無量。第2位:『ミッション・インポッシブル デッド・レコニング(前篇)』 お馴染みトム・クルーズ主演の『ミッション・インポッシブル』シリーズの完結編・・・の前篇。これは映画がいいとか悪いとかではなく、トムの代表作だから観るでしょっていう。問答無用の作品です。早く後編が見たい! そして栄えある第1位は・・・第1位:『RRR』 今年は、もう、これで決まりでしょ。3時間を超す長丁場の映画ですが、長いと感じさせない。映画の楽しみってのはこれでしょ、と改めて気づかされるほど、ハラハラ、ドキドキの連続。義理と友情が齟齬をきたす、そんな苦しい状況の中で、二人の男が対決! まあ、面白い映画でした。 さて、ベスト5は上に述べた通りなんですが、逆に観てがっかり、期待外れの映画もありました。以下、ワースト3を挙げていくと・・・期待倒れ第3位:『オペレーション・フォーチュン』 ガイ・リッチー監督、セクシー禿ことジェイソン・ステイサム主演だから面白いかと思って大分期待して観に行ったんですけど、うーん、月並み、月並み。全然ドキドキしない。続編も作れそうなラストになっていましたけど、もうおなか一杯です。期待外れ第2位:『バービー』 今を時めくマーゴット・ロビー主演、ライアンのゴズリングさんも出るということで、これも大分期待して観に行ったのですが、ダメでしたねえ。設定からして、もっと面白い作品、考えさせる作品になりそうなのに、単なる「男性支配社会に対する女性たちの反乱と、男性たちの反発」的なところに落としちゃった。イマイチでしたねえ。期待外れ第1位:『エブリシング・エブリウェア・オール・アト・ワンス』 鳴り物入りだったので、これも期待したのに、その期待に遠く届かなかった。 ま、こんなところかな。 来年は、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』がなんと言っても楽しみだし、あと、『ミッション・インポッシブル デッド・レコニング』の後編や、『デューン』の続きもそろそろ観られるのではないかと。まずはその辺に期待しましょうかね。
December 13, 2023
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今年を表す漢字、という奴、「税」に決まったそうで。 それにしても、毎年思いますが、あの清水寺貫主、字が上手いね! 私もあんな風に書ければといつも思いますわ。由緒ある寺の貫主なら誰でもあんな上手いとは限らないでしょ? それとも限るの? 貫主になる条件に筆の上手さとかあるのかしら? まあ、それはともかく。 今日は三年生のゼミがあったので、彼女らに今年の漢字を聞いてみたところ、それぞれの答えが面白かった。あちこち旅に出たゼミ生は「旅」と答えるし、重い病気にかかってしまったゼミ生は「病」、それから、今年から妙に行動力がついたというゼミ生は「動」だそうで。 それからアイドルの推し活に夢中だったということで「推」と言ったゼミ生もいたりして。面白いね。 私はね、「書」なの。今年は原稿をよく書いたから。本2冊分書いたからね。それプラス、文芸時評もやり、書評も書き、現在は論文を執筆中。私にしては上出来ですわ。 もっとも、今年一年、右肩の六十肩に悩まされたから、「肩」の方がふさわしかったか? あるいは母を老人ホームにいれたから、「老」かなあ。 候補が3つもあると考えると、今年は良きにつけ、悪しきにつけ、自分的には話題の豊富な年だったということなのかもね。
December 12, 2023
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すごいね、岸田内閣。不支持率70%越えって。既に死に体ですやん。 そして安倍派のキックバック問題。もうこうなってくると、岸田さんが辞めた後、誰が首相になるのか、その候補すら分からないという。 自民党も、人材がいないんだねえ・・・。野党にもいないけど。 で、結局、次、首相、誰がやるの? っていうか、石破、河野、高市、進次郎の中で、誰がなるの?という問いになるのかな、これは。 いよいよ、石破か。このところ冷や飯食わされていたけど、本人は今こそチャンスと思っているんだろうな。 石破首相、どうなんだろうか。 時代が必要とする時は、それに値する人材が出るものだけど、人材が出ないということは、出なくてもなんとかなるということなのかもね。
December 11, 2023
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今年の「カー・オブ・ザ・イヤー」が決定したとの報が入って参りました。結局、新型のプリウスだったんですな。 ふーーん。 まあ、人は人よ。 ということで、今年も恒例「釈迦楽カー・オブ・ザ・イヤー」を決めていきましょう。 まずはトヨタ。新型車で話題になったのはクラウン・シリーズ、アルファード/ベルファイア、それからランクル70の復活、なんてニュースもありましたっけ。 日産ですと、セレナ。 ホンダはNボックス、オデッセイの復活、ZR-V。 マツダは・・特になし? CX-60は去年か。あ、マツダ2がマイチェンしたか。 スバルはレイバック、クロストレック、インプレッサかな? スズキは今度スイフトが新型になりますな。 三菱はデリカ・ミニが売れているそうで。 外国勢で言うと・・・分からん。もう最近、ドイツ御三家とか、全然チェックしてへん。 目に付いたところで言うと、アルファロメオ・トナーレ、グレカーレ、プジョー408、フォルクスワーゲンID4、BMW・M2とか、そんな感じ? 日本車の中でちょっと気になるのは、スバル・クロストレックかなあ。安全だしね。ただ、内装がちょっとセンスがないのではないかと。 外車の中では・・・アルファ・トナーレかな。実は先日、ちょっと見たのよ、トナーレ。緑色のヤツ。あまり大きすぎず、日本で使うにはちょうどいいくらいの大きさ。 ということで、今年の「釈迦楽カー・オブ・ザ・イヤー」は・・・ アルファロメオ・トナーレに決定! おめでとうございます! まあ、アルファが出ている以上、そうなるでしょ。 さて、それはそうとして、もう少し現実的な話。 愛車のルノー・キャプチャーも10万キロ到達ということで、そろそろ次の愛車も考えなくてはな、と。 今のところ候補は色々ある。 順不同で挙げていくと、プジョー208、プジョー2008、ルノー・ルーテシア(フルハイブリッド)、シトロエンC3、C4、DSオートモビル・DS4、アルファロメオ・トナーレ、ミニ・カブリオレ、マツダ・ロードスターRF、CX-3、CX-5、CX-30、MX-30、スバル・クロストレック。まあ、そんなところかな。 まだ出ていないクルマも含めるとすると、トヨタの「コンパクトクルーザー」、もしこれが出たら、これはちょっと欲しいかな・・・。これこれ! ↓トヨタ・コンパクトクルーザー まあ、クルマってのは大きな買い物。何を買うか、散々悩むところから、楽しみは既に始まっているんでしょうな。
December 10, 2023
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アメリカの俳優、ライアン・オニールさんが亡くなりました。享年82。 ライアン・オニールと言えば、やっぱり『ある愛の詩』でしょうねえ。「詩」と書いて「うた」と読む。私はまだ小学校に入ったばかりという頃でしたが、日本でも大ヒットしたこの映画、ポスターが街のあちこちに貼り出されていて、嫌でも目に入る、という感じでしたなあ。あの、オニールとアリ・マグロ―(当時の表記だと「マックグロウ」)が背中合わせに立っている奴。「愛とは決して後悔しないこと」ですよ。 私なんか単純だから、ああ、今、自分は小学校に入ったばかりだけれども、大学生になるということは、こういうきれいなお姉さんと背中合わせになることなんだと思って憧れましたもんね。実際に大学生になってみたら、なかなかそういうことにはならなかったけれども。 多分、多分ですけど、この映画が出てから四半世紀後、日本で『冬のソナタ』ブームが来た時、あれに夢中になったのは、40~50台の中高年女性だと言われておりますが、あれは大学時代に『ある愛の詩』を見て夢中になりつつ、自分の身にはそういうロマンチックなことが起こらなかった女性たちが、『冬のソナタ』を見て、その頃のことを思い出していたのではないかと。 ライアン・オニールの顔って、やっぱりちょっと特徴があるというか。当時人気のあったポール・ニューマンとか、スティーブ・マックイーンとかとはちょっと違って、どこか甘さがあるというか。甘さというのか、緩さというのか。しっかりしてない感じ? なんとなく頼りなくて、守ってあげなきゃ的な感じを抱かせるというか。 だから、『ペーパー・ムーン』のような、詐欺師役はピッタリなのかもね。 あと、その頼りなさをなるべく出さないように、クールな二枚目を精一杯頑張って演じた『ザ・ドライバー』は、あれはあれで良かったけれども。 まあ、今から見ると、いかにも「70年代的なスター」だな、って感じがする。テレビドラマなのか、映画なのか、その両者の区別があまりなかった時代のアメリカ映画のスター。『ザ・ドライバー』の画質とか、ほとんど『刑事コロンボ』と区別が付かないもんね。『ダーティー・ハリー』とかもそうだけど。 1970年代って、私にとっては小学生から中学生時代でありまして、本当に幸せな日々だった。だから、その頃に輝いていたスターって、問答無用で懐かしい。 そんな時代のスターだったライアン・オニールのご冥福をお祈りしたいと思います。合掌。新品 ある愛の詩 スペシャル・エディション (DVD) PHND101615
December 9, 2023
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来年2月下旬に出る拙著の校正作業が今日から始まりました。 で、ゲラには出版社の校正さんの目が既に入っていて、「ここは直した方がいいのではないか」というアドバイスが記入してあるのですが、これを見ると、まあ、いい仕事をしてはりますわ。 事実関係のチェックはもとより、表記ゆれの指摘も完璧。漢字の間違いの指摘など、こちらの顔が赤くなります。「衷心から」と書くべきところを「忠心から」、「萎縮」と書くべきところを「委縮」なんて書いて平気な顔をしていたんだから、まあ恥ずかしいったらありゃしない。 ところで、今日、校正をしていたところで一つ、悩むところがありまして。 それは「スゴイ」と書くか、「スゴい」と書くか、という問題なんです。 皆さんは、「スゴイ」と「スゴい」、どちらの表記を使います? 私はね、「スゴイ」派なの。「スゴイなぁ!」とかね。 ところが、出版社の校正さんから「スゴい」と書くべきではないかというコメントがついてきた。なぜなら、他の場所で私が「ウザい」と書いているから。「ウザい」と書くなら、「スゴい」だろうと。 うーむ、なるほど。 でもね、「ウザい」に関しては、私は「ウザい」派で、「ウザイ」派ではないのね。理屈には合わないけど、そうなのよ。 散々迷って、面倒臭いから、いっそ「凄い」と直しちゃおうかな、とも思ったけれど、その文脈の中では漢字の「凄い」ではなく、是非とも「スゴイ」と書きたいんだよなあ・・・。 どうなんだろ。「スゴイ」と「ウザい」が混ざったら、読者はおかしいと思うのかなあ? まあ、まだ時間はあるので、もうちょい悩もうかと思いますが、それにしても日本語って、表記が色々あるから、難しいもんですな。
December 8, 2023
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今朝、目が覚める直前、なぜか『ミッション・インポッシブル1』はすごいな、という想念が思い浮かびまして。 あの映画、ジム役のジョン・ヴォイトが悪役で、イーサン役のトム・クルーズと最終的に対決するわけですが、映画の途中でイーサンがジムの悪だくみを見ぬくシーンがある。 ジムは普通にことの経緯をイーサンに回想的に話すのだけれど、そのジムの話がウソであることをイーサンは見ぬくし、そのことは観客にも分かる。 これって、演出としてなかなかすごいのではないかと。 つまりね、AとBが話していて、それを観客のCが聞いているわけですが、この場合、普通はAとBが理解し合う当事者であって、観客Cはいわば傍観者になるわけですよ。 ところが『ミッション・インポッシブル1』の場合、A(ジム)とB(イーサン)が話しをしているのに、実際に理解しあっているのはB(イーサン)と観客Cであって、A(ジム)の方が傍観者としてはじき出されている。 こんな感じの映像って、他の映画である? 私も考えてみたのだけど、さしあたり思いつかない。 そう考えて、この映画、すごいなと。 まあ、そんなことを目覚める直前の、ぼんやりした頭で考えていた次第。『ミッション・インポッシブル』って、シリーズ化され、近年になるほど大掛かりな映像が売りになってきますが、一番最初の奴は、それはそれで、こういう演出もあったりして、面白かったなと。
December 7, 2023
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昨日から読んでいた三木卓先生の『K』、読み終わりました。面白かった。 ところで、この本によると、若い頃の三木先生は、出版社にお勤めだったようですが、給料も安く、家計のやりくりが大変だったらしい。 ところが、筆一本で立つようになってから、生活苦が段々楽になって行ったと。 そんなことある? 筆一本の方がよっぽど大変だと思うのだけど。 しかし、『K』を読んでいると、時々印税の話が出てきて、「ポプラ社から印税」的な記述が出て来る。 ポプラ社。そうか、三木卓先生は結構沢山絵本を書いていらっしゃるから、それで生活が楽になったのか・・・。 で、思ったのだけど、そこにパラダイスがあるのではないかと。 絵本。私も書いてみようかな。生活が楽になるかもしれないし。 『葉っぱのフレディ』とか、世界的なベストセラーがあるけど、ああいう自己啓発的な絵本だったら、自分、何とかなるんじゃね? っていうか、そもそも私の文業は、小学三年生の時、『ビーバーノンちゃん』という連作絵本を書いたところから始まっていたわけだし。絵も自分で描いて。学内で回し読みされて、相当受けたんですけど。 ねらい目としてはいいかもね。これからちょっと本気で考えよう。でもその前に、やるべきことが。 出版社から連絡があり、拙著のゲラが出たとのこと。明日から校正作業が始まるわけですわ。しかも、今月は文芸時評も書かなきゃならんし。 絵本の夢は、これらがすべて終わってからですな。でも、アイディアだけは考えておこう。そういう捕らぬ狸の皮算用が、私にとっての最大の楽しみなんですからね!
December 6, 2023
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三木卓先生が亡くなられ、追悼の意を込めて『K』という本を買ったのですが、それが今日、自宅に届きまして。 火曜日は授業が3コマあって、いつもヘトヘトなんですが、夕食後、この本を開いて読み始めたら止まらなくなってしまった。で、4分の3くらい読み終わったところ。 この「K」というのは、三木先生の奥様のことで、これは奥様との40年に亘る結婚生活を綴ったものなんですが、まあ、この奥様というのがものすごい人で。 本質的に、他人と一緒には暮らせない人なんですな、Kさんという人は。それで三木先生も、三十年間くらい、奥様とは別居されていた。っていうか、よく最初の十年、一緒に暮らせたなと感心するほど。 そもそもこの人は結婚してはいけない人であって、それは三木先生も同棲を始めた直後に気づくのですが、そのまま結婚してしまったのは三木先生が悪い。しかし、そんな結婚生活を40年も続けられたとなると、もうこれは文学的営為となってしまう。 とにかく、恐ろしい本でございます。これこれ! ↓K (講談社文芸文庫) [ 三木 卓 ] この本を読んでいると、三木先生が苦労して苦労して北原白秋の伝記を書いていた、という話が何度か出て来るのですが、そうなってくると、それも読みたい気がしてくる。これこれ! ↓【中古】 北原白秋/三木卓(著者) 忙しい師走に、読みたい本が次々と出てきて、大変ですわ。
December 5, 2023
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ユニクロのヒートテック製の(スーツ用)パンツって、あるじゃん? 冬場、暖かいので、通勤用のジャケパン・スタイルに重宝して使っていたのだけど、ちょっと色落ちしてきてしまったので、買い換えようかなと。 で、先日、ユニクロに行って、同等品を試着したんだけど、試着してみてビックリよ。 縫製の型紙パターンが変わってしまったのか、全然、似合わないの。 なんだろう、太ももの辺りがだぶついちゃって、格好悪いったらありゃしない。といって、ウエスト・サイズはちょうどいいので、下のサイズにすることもできない。 実は、今回の件は一事が万事でね。パンツだけでなく、他の服も私には全然合わなくなってしまった。 数年前くらいまで、「気が付けば上から下までユニクロ」状態だったワタクシですが、もう、今やベーシックなものですら、全然似合わない。だから、ここで買うものがひとつもない。 これは私だけの問題なのか? もし日本人全員の問題だとしたら、ユニクロはとっくにつぶれているはずだから、やっぱり私だけの問題なんですかねえ? ネットで「ユニクロの服が合わなくなった」などと検索しても、別にヒットしないもんな・・・。 数年前まで、ユニクロの服のモデルは私なのか?と思うほど、すべての服のMサイズが私にピッタリだったのに、もうそういうことはなくなってしまった。もう笑っちゃうほど、全部、似合わない。 ユニクロと私の蜜月時代は、どうやら、向こうから一方的に終止符を打たれてしまったようでございます。悲しいなあ。
December 4, 2023
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先日、ちょいと用事があって赤池というところにあるショッピングモールに行ったのですが、買い物をしている内に喉が渇いたので、コーヒーを飲もうということになりまして。 で、このモールに入って喫茶店はスタバとか、どこにでもあるヤツだったので、それはやめておいて、食品街にあるコーヒー豆を売る専門店で淹れているコーヒーを飲むことに。 そのコーヒー専門店は「やなか珈琲店」という名前なんですが、そこで「今日のコーヒー」というのをミルクコーヒーで飲んだわけ。そうしたら、これがめちゃくちゃ旨い。「今日のコーヒー」は、インドネシア産の「トラジャ・ワリサン」という豆で、これが私と家内の好みの味だったんですな。 で、あまり美味しかったので、豆としても買うことにしました。 「やなか珈琲店」では、コーヒー豆を生豆の状態で売るのよ。で、希望すればその場で焙煎してくれる。もちろん、焙煎の仕方も深めとか浅めとか、希望を言うことができる。焙煎時間は15分ほど。 ということで、そのトラジャ・ワリサンをミディアム・ローストで注文し、今回は挽かずに豆のまま買うことにしたと。100グラムで800円くらいだったかな? で、家に帰って手動のコーヒー・ミルをキコキコと回して粉に挽き、それでコーヒーを淹れてみたのですが、店で飲んだのと同じくらい上手に淹れることができまして。これはいいなと。 で、これは楽しみだと、今日もまたこのコーヒーを淹れたのですが、今回は電動のミキサー(コーヒー専用のミルではない)を使ってガーッと豆を粉砕し、それで淹れてみたわけ。すると・・・ オー、ノーーーーーッ!! 美味しくなーい! 苦味が出ちゃって、香りが消されてしまった感じ。ひえーーー。これは大失敗。 ううむ。やはり手動のコーヒー・ミルで時間をかけてカリコリ挽いてこそ、あの味が出るんですかねえ。電動ミキサーなんか使ってはいけなかったのか・・・。残念。もったいないことしちゃった。 ということで、時間をかけた手仕事に敵うものはないということを改めて知った次第。まだあと一回くらい飲める量の豆が残っているので、次はちゃんとコーヒー・ミルで丁寧に豆を挽いて、それで美味しいコーヒーを淹れることにいたしましょうかね。 やなか珈琲 やなかオリジナルブレンド ブレンドコーヒー (ブラジル コロンビア ニカラグア ペルー) 自家焙煎 コーヒー豆 コーヒー 珈琲 粉 200g やなか珈琲店 ブレンド珈琲
December 3, 2023
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詩人で小説家の三木卓先生が亡くなられました。享年88。昨日の山田太一さんに続いて、二日連続の追悼記になってしまいました。 私と三木先生とのお付き合いは、ちょうど十年前、私の身勝手なお願いから始まることとなりました。 2013年、私は『S先生のこと』という本を書き、後に日本エッセイスト・クラブ賞を受賞することになるのですが、これは最愛の奥様を亡くし、また最愛の御子息を失った我が師匠・須山静夫先生の生涯を綴ったもので、世間的にはあまり知られていない一研究者の伝記ですから、当初、とても売れるとは思わなかった。 しかし、師の生涯のことを一人でも多くの人に読んでもらいたいという気持ちが強く、この本を読んでくれる人、そしてできればその本のことを書評したり宣伝したりしてくれそうな人を求めて、大勢の方に寄贈したんです、手書きの直訴状を添えて。 で、そんな風に拙著を一方的に送り付けた方々のお一人が三木卓先生であったと。 なぜ三木卓先生に拙著を送ったかというと、その前年、2012年に三木先生が『K』という御著書をお出しになっていたから。ご存じのように『K』は、三木先生ご自身の亡くなられた奥様の生涯を描いた本。そういう本をお書きになられた直後だったので、最愛の妻を失った私の師匠の伝記に、興味を示して下さるのではないかと思ったんです。 無論、それは私の方の勝手な思い込みで、三木先生がそれに反応して下さるかどうかは別の話。私としても期待はしていましたが、その反面、実はさほど期待もしていなかった。「人は赤の他人のことにそこまで興味を持たない」ということは、それまで散々経験していたことだったので。 ところが、三木卓先生は、反応して下さったんです。先生は拙著のことを、鎌倉にある神奈川近代文学館の出している小冊子の中で取り上げ、非常に好意的な書評をして下さった。無名の著者からいきなり送り付けられた本に対し、心のこもった扱いをして下さったんですな。感激した私が早速お礼状を認めたことは言うまでもありません。 以来十年。私は本を出す度に三木先生に謹呈し、また年賀状を送るようになりました。そして先生からも礼状や年賀状をいただくようになりました。毎年、三木先生に宛てて年賀状を書く時は、気合を入れて、先生の面前にあるように姿勢を正して、一年の振り返りと、来るべき新年の抱負を書いたものです。 そして今年の正月、三木先生からいただいたお年賀状には、このように書いてありました。「あなたらしい目のつけ方は続いているんですね。がんばって下さい」と。三木先生に「あなたらしい目のつけ方」と言っていただいて欣喜雀躍、ますます頑張らねばと決意したことを昨日のことのように覚えています。 そして今年もまた年賀状を書く時期が回ってきて、つい先日、三木先生に新年に向けての私の抱負を記したところでした。そこに私は、「今やっている研究テーマは、おそらく私が研究者として取り組む最後の大テーマとなるものですので、精一杯楽しみながら、全力を尽くしております」と書いたのでした。 しかし、私が書いたその年賀状は、先生には届かぬものとなってしまいました。 今年は、亀井俊介先生が亡くなり、三木卓先生も亡くなり、心の中で「この先生に見ていただくために本を書く」と思って、密かに私淑していた先生方が次々と亡くなられてしまい、本当に寂しい。文字通り、ガックリ、という感じです。 私のような無名の者が書いた本でも、その思いを汲んで大事にしてくださった三木卓先生の温かく広い心を思いながら、先生のご冥福をお祈りしたいと思います。合掌。K (講談社文芸文庫) [ 三木 卓 ]【中古】S先生のこと /新宿書房/尾崎俊介(単行本)
December 2, 2023
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脚本家の山田太一さんが亡くなりました。享年89。 私が山田太一の存在に気づいたのは、やはり『男たちの旅路』でしたかねえ。特攻隊の生き残りで今は警備会社に勤める吉岡司令補(鶴田浩二)、現代風の若者像を代表する杉本(水谷豊)、吉岡らの警備するビルで自殺を図る若い女性・島津(桃井かおり)を中心に、警備の仕事の中で起こる様々な出来事や、それをめぐって異なる価値観を持つ三者のぶつかり合いを描くこのドラマ。見ごたえがありました。もちろん鶴田浩二演じる古い日本の男の姿と、水谷豊演じるちょっと軽薄な若者像の対立が見どころなんですが、山田太一の脚本は、どちらの立場にも必要以上に肩入れせず、若者の考え方だって、一見、軽薄なようでいて、実は鶴田浩二の古い考え方を揺さぶるような何かがあるというところを描いているところが素晴らしかった。 子供だった私は、鶴田浩二のことを、ヤクザ映画で知る前に「吉岡司令補」で知ったんですな。 そして『岸辺のアルバム』ね。このドラマの背景となった多摩川の氾濫、私は小学生の時に身近に見ていて、実際、学校の友人の家が流されたりして、その救済のための募金とかもした。そういうこともあって、家族の拠り所が流されるというストーリーにリアリティを感じましたねえ。しかもこのドラマの場合、「家」という家族の拠り所を失うことによって、それ以前に拠り所を失っていた当該家族が、逆に、精神的な結束を取り戻すという山田脚本の妙も良かった。 一方、青春群像『ふぞろいの林檎たち』は、実は私はあまり見ていないの。若者のごたごたを描くこのドラマ、私はもろに同世代だったので、気恥ずかしくて。 その他で思い出すのは、前にこのブログでも書きましたが、『今朝の秋』というドラマね。親より先に息子が死ぬというストーリー。このドラマでも家族は既に崩壊していて、崩壊しているなりに安定していたんだけど、そこで息子が癌にかかってもうすぐ死ぬという状況が出来し、安定的に崩壊していた家族がもう一度集まり、この状況にどう立ち向かうか、皆で考え直さざるを得なくなるという話。父親を演じた笠智衆、母親を演じた杉本春子、死にゆく息子を演じた杉浦直樹、息子の妻を演じた倍賞美津子と、配役がやはり素晴らしかった。 父親の笠智衆が、息子・杉浦直樹を病院から拉致し、信州の別荘に行くシーン。そんな大それたことをしでかす父親に対し、「お父さんはすごいな」としきりに感心する息子。自分の死を嘆く息子の言葉に、「死ぬ死ぬって、自分だけ特別であるようなことを言うな。誰だってみんな死ぬんじゃないか」と叱る父親。そしてその言葉に逆に励まされる息子。父との最後の「病院抜け出し冒険」のことを、「あれは楽しかったなあ」といって死んでいく息子。どれも涙なしには見れません。これこれ! (1時間2分目くらいのところ、刻一刻と表情が変わる杉浦直樹の演技が凄い!) ↓『今朝の秋』 アメリカの劇とかドラマって、基本的には家族の崩壊を描くものばっかなんですけど、山田太一の脚本ってのは、その逆なんだよね。崩壊していた家族が、ある意味、もう一度再生する話。そこがとても良かった。 それにしても山田太一って、配役が上手いよね! たとえば『日本の面影』という、ラフカディオ・ハーンの日本時代のことを描いたドラマがあるのだけど、そのハーン役にかのジョージ・チャキリスを配し、しかもそれがどはまりだったのだから。 あと、山田太一に関して、私の印象に残っているのは、早稲田での学生時代から寺山修司と仲が良かったということ。というと、きちんとしたサラリーマンとヤクザが仲の良い友達でした、と言われるような不思議な感覚があるんだけれども、その事実を知った上で考えると、確かに山田には寺山的なやくざな側面があり、寺山には山田的な生真面目な側面があるという感じがする。寺山ファンの私としては、山田が寺山の良き友人だったということだけで、山田に対して好感が持ててしまいます。 まあ、どれもこれも「山田太一節」ばかり、というのはあるかもしれないけれども、それにしても高い水準をキープしたドラマの脚本を、あれだけ長い間、沢山書き続けたのだから大したもの。「え、脚本は山田太一なの? だったら見よう」という気にさせてくれる人なんて、そう大勢いるものではありません。 そんな現代日本を代表する名脚本家・山田太一さんのご冥福をお祈りしたいと思います。合掌。
December 1, 2023
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