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ちょっと遅れてしまいましたが、三期生の皆様、ご卒業おめでとうございました~!卒業パーティへのご招待、どうもありがとうございました♪いつも思うのですけど、上級編の3ヶ月ってあっというまですよねえ。遠足の募集から怒涛のように抽選、当日ときて、ちょっと流れがゆるむような、でも他の部分ではすごく流れているような、そんな状態で気がついたらもう卒業!みたいな^^;毎回スタッフとしてもさまざまな学びをさせていただいて、ほんとに遠足ってすごいというか・・・どこまで計算しとるんだ上の人たち、みたいな感じに 笑今回はね、やっぱりじぇいど♪さん出版祝いのサプライズがすごく印象に残りました(^^)パーティ前の20:00から、下のリアル世界のmixiでやったやつねw青い月さんのアイディアで、みんなmixiネームに「じぇいどらぶ@」をつけたりしたんですよ~私も最初「じぇいどらぶ@さつき」にして、その後二段階活用で悪ノリし 笑めちゃめちゃ楽しませていただきました!!最終的にどうなったかは・・・じぇいど♪さんの日記探してください 笑実は私、そういうノリが苦手だったんですよね~、以前は。混ざりたいんだけど、なんか無駄なコダワリだか恥ずかしさだかがあって混ざれなくて寂しい思いをする、っていうのが今までのパターンで。それが、自分もちゃーんとお祭騒ぎに混ざれて、わくわくそわそわアメリカのじぇいど♪さんが起きるのを待ってたり、その自分の変化もものすごく嬉しかったです。なんか、ちゃんと変わってきてるじゃん自分!とか思ってw目に見えないこと扱ってて、たまに自分て何やってんだろ?なんて思うときもあるけれどこうして変わっている自分を知ると嬉しいですね~♪さて、パーティの会場もとっても賑やかで。いつも通りトールとマリアで行って、入り口近くのところでまず司会者さんたちが並んで立っててハグ。クレヨンとかいただいたのはそのときかな?ウェルカムドリンクはなんだろう、マンゴーみたいな味のアルコール入り・・・ありましたっけそんなの? 笑なんか南国フルーツ!って気がしましたwで、行ってみたら上空の映像とかも見えるんで、どうやらひとり上で警備もしてたようです。「銀月物語」でおなじみ、デセルさんとララーちゃんも手伝ってくれたりして。お二方は、いつも何も言わないのに裏でこっそり手伝ってくださるんです(涙パーティでもクリボウ演奏などがあったので、トール含めフィールドの調整とかしていたもよう。後で聞いたら今回は特にドラちゃんの警備とかも出していなかったそうなので、デセルさんとララーちゃんが頑張ってくださったのでしょう。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございます!!そんなこんなだったので、会場でのお持ち帰りはかなり少なかったのですが(爆いろーんな方とお話したりハグしたりしましたよ~~~~~いっぱいすぎて個別に感知できなかったのですが、ご自分のご感想で、トールと会ったかも~って言ってくださった方、たぶんちゃんとお会いしてますからご安心ください 笑海鮮焼き美味しかったー。イカがぷりぷりで 笑あとはたこ焼きいただいたり、卒業制作の東屋いってみたり、かなり楽しんだなーって気がします。「風になりたい」も大盛り上がりでしたね!緑ちゃんがきわどい衣装でノリノリだったけど、直前のサプライズの影響で照れ照れで可愛かったですw「風になりたい」の替え歌ももちろん♪ もーそこだけはちゃんとwww緑じぇいど♪さんの絶句した顔を見て、みんなしてやったりwと思ってましたよねwなんか遠足仲間ってノリがいいっていうか、すごーく暖かい人が多くて、とっても幸せを感じたパーティでした。なにみえ遠足、ってものがあって、それに関わらせていただけて、とてもありがたく嬉しいなあと思いました^^三期生の皆様、本当にありがとうございました!ご卒業ということになりますが、これからのドラちゃんとのかかわり、上とのかかわりが皆様にとって素晴らしいものでありますように応援してくださってありがとうございます♪→「銀月物語」へのご感想くださった皆様、どうもありがとうございます!!すっごく嬉しいです~~~~~~~(感涙個別にお返事する暇がないのですけど、ほんとにほんとにありがたく拝見しております。そして続きを書くエネルギーになってます!!ありがとうございます書くぞ~~~~!
2009年04月30日
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ほんとうは、しばらく彼と会うのは辛かった。 自分の気持ちだけではなくて、彼が戸惑っているのがわかったから。迷惑をかけてしまうのは、何より耐えられないことだった。 会わないで消えてしまう方法があったなら、そちらを選んでいたかもしれない。だが実際はそういうわけにはいかず、彼以上にソフィアを護ってくれる人もまた、いないのだった。 せめてマリアが動けたなら。 けれどもマリアはルキアに常駐してサバトの世話をしたり、光の花園に行ったりしている。 低振動域に潜ってロストのかけらを探すのは、どう考えてもソフィアの方が適任だった。 そうするように、そう流れるように、どこかで仕組まれているとしか思えない心の痛みを抱えて、ソフィアは暗い洞窟のような場所に向かっていた。 デセルが彼女の手をとって先に歩いている。 段差の大きいところでは抱き下ろしてくれたり、いつも以上にひどく慎重なエスコートぶりが、口数の少なさとあいまってソフィアにはかえってこたえた。 あなたの心臓を取りにきたとき、私はひとりだったのよ。 だから大丈夫なのよ。 何度そう言おうと思っただろう。 けれども彼の鋭い横顔を見ると、何も言えなくなってしまうのだった。 やがて、凍りついた腎臓のある場所についた。 無言のまま視線をかわして、二人は手を伸ばした。重ねた手のむこうで氷がとけてゆく。 流れる暖かなエネルギーが逆に胸をかきみだし、ひとりでできたらいいのにと、痛切にソフィアは願った。 そんな彼女の視線の先で、すっかり氷のとけた腎臓から、なにか小さな光がふわりと舞い上がった。 蛍の半分より小さいだろうか。 光はくるくるとデセルの周りを飛んだかと思うと、金茶の前髪にとまった。 つまもうとする指先を避けるかのように、飛び立って顔のあたりをふわふわしている。 「待って」 デセルの手が払おうとするのをとどめて、ソフィアはそっと指をさしのべた。 光がふわりと舞い降りてくる。 小さな小さな、ペリドットの色をした蛍。 「これはあなたの一部じゃないかしら・・・・・・」 じっと見つめてソフィアは言った。面食らったように、私の何なんでしょうか? とデセルが問う。 「心だと思うわ。・・・・・・戻しましょうか?」 「あなたがそう望まれるなら」 その言葉に、思わずソフィアは彼の顔を見直した。デセルが本気で言っているのだということはすぐにわかり、ソフィアは少し困ったような微笑をうかべた。 「自分のものなのだから、自分で望まなければ駄目よ?」 けれども彼の表情は困惑したままだ。 なくした時の覚えもなく、なかったことに気づきもしなかったものなど、元々ないも同然な気がするのだろう。 喪失感もないのなら、戻そうかと言われても困惑してしまうのはわからないでもなかった。 もし口にできるなら、それも預かっていてもらえまいか、と言いたいのかもしれない。 心がなかったことに気づかないほど。 いくら小さくとも、かけらを目にしてもそのあいた隙間に気づかないほど。 どれだけ彼は自分自身を罰して押しこめてきたのだろう。 たったひとりの孤独な時間を、どれほど長く過ごしてきたのだろう。 それがソフィアには悲しかった。 暗闇の中、胸の痛くなるような沈黙が続く。 ソフィアの悲しげな瞳がデセルには辛かった。 最近はそんな顔しか見ていない気がする。微笑んでいても辛そうで、どこか影があった。 表面上はお互い普通に接している。ソフィアは二度と想いを口にすることはなかったが、ときどき、その瞳は悲しみを増した。 それはデセルが自分自身をないがしろにするような言動をしたときだと、うすうす気づいてはいたが。 これでもできる範囲で、大切にしているつもりだ。 彼女には笑っていてほしいのに。 いたたまれなくて視線を外した先に、当初の目的だった彼女の腎臓が、忘れられたようにぼんやり光って浮いていた。 デセルはそれを手にとって、両手にくるんでみた。ひいやりとつめたく、これを戻したら彼女の身体が冷えてしまいそうだ。 すこしでも暖めたかったが、今の彼には無理のようだった。 「・・・・・・心を、戻してください」 かけらを彼女に手渡しながら、デセルは頭を下げた。 彼に渡された腎臓は、まだひんやりとしていた。それを複雑な表情でながめ、ソフィアは顔をあげた。 ちいさな光をとまらせた手で、デセルの胸に触れようとする。 その長身が緊張に固まっていることに彼女は気づいた。そっと見ると、おそらく緩めようとしているのだろう、デセルの視線がわずかに泳いでいる。 「そんなに緊張されてもこまるわ?」 なるべく冗談に聞こえるように、微笑をうかべながら彼女は言った。後悔と哀惜と、失われた時間への悲しみが、この声に出ていなければいいのだけれど。 面目ない、とデセルは再度頭をさげた。ソフィアは何度か深呼吸する彼の後ろにまわり、そっとその背中に触れた。 ひやりとした手が差し込まれ、その指先にとまっていた小さな蛍が、デセルの胸の中へ飛び立って行った。 ソフィアの本体が、まるで氷を抱いたように腹部がひどく冷える、と訴えたのは二人が戻った翌日だった。 原因は、彼女のエネルギーフィールドに接続していたコードと、まだ足りない腎臓のかけら。 デセルの心臓があったのとほぼ同じだけ、ほんとうはあと四つのかけらが必要だったが、ソフィアはそれを言い出すことができずにいた。 あと四つ・・・・・・、それくらいなら、なくても生きていけるのではないか、と思いたかった。 デセルに言えばすぐに協力してくれるとわかっているだけに、言うことができなかったのだ。 だが、本体づてに冷える、というのを聞いたデセルは、すぐさまひとりで残りのかけらを探しにいった。もうひとつの理由であるケーブルの接続に彼が関わっていたからでもあったが、ソフィアが後を追う間もない。 本体たちが驚いたくらい、ほとんどあっという間に、すべてのかけらが彼女のもとに届けられた。 三日月の晩、ソフィアがそれを手にとると、そこからまた小さな蛍たちがふわりふわりと飛び立った。 全部で四匹、ペリドットのかけらがさしのべた彼女の手にとまる。 もう片方の手を、ソフィアは自分のハートにあてた。 そこには彼の心臓のかけらが大切にしまってある。心をむけさえすれば、いつでも感じられる暖かな鼓動。 哀しいほどに愛おしいその感触は、これ以上なく近くにいるようで、けれど今は遠くこの世界の果てまで離れているようで。 星明りの中、ちいさな蛍たちが爪先から舞い上がり、彼女のまわりをゆるやかに飛び回る。 それは・・・・・・愛する彼の心のかけら、あるいはあくがれいづる彼女の魂。 *************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。→→登場人物紹介(随時更新)書くのが忙しくてお返事できず申し訳ないのですが、ご感想くださるととっても幸せ♪よろしくお願いいたします!なにみえ遠足第三回卒業パーティ記事、まだかけてません~ってろくなお持ち帰りなかったんですが orz応援してくださってありがとうございます♪→4/28 インナーチャイルド一斉ヒーリング♪♪ 天使の森保育園、開園!
2009年04月28日
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ルキアの医務室にデセルは寝かされていた。傷も着衣もきれいになっており、規則正しい寝息をたてている。 心臓のかけらはバンドで留めてあった箇所が四つ、留めていない箇所が二つ、すべてソフィアが見つけてきていたが、それはまだ戻されていない。トールの調整した機械がそのまま使われていた。 あの後ミカエルが言ったのだ。 「どんな小さなかけらでも、それはあなた自身なのだから、無くてもかまわないと言ってはいけないよ。 いらない、という意識があるかぎり、かけらと体は融合しない」 「自分にもロストした部分があると気がついたとき、それを拾うのは次の人生でもいいと、先送りしようとしただろう。 そこに反応して新しい生へ移行すべく、準備が始まるところだったのだよ。彼だけ置いて行くわけにはいかないのだから。 もう少し言動と思考に注意しなさい」 結局心臓のかけらは、今戻しても融合はできなそうだった。 また失くしてしまうよりは、時が来るまで大切にしてくれる人に持っていてほしい・・・・・・そう、本体がソフィアに頼んだのだ。 彼女は快く了承し、彼が全快してからでいいのだけれど、と逆に頼みごとをした。 それはソフィア自身のかけらに関することだった。 デセルの心臓を捜しにいって、彼女は自分の腎臓のかけらをも同時に見つけたのだが、案の定自分では取り戻すことができなかったのだという。 ぜひ手伝わせてください、とデセルは言った。 だが目覚めたその日に勢いこんでゆくと、まだ傷が治りきってないのにと、マリアに追い返されてしまった。 ベッドに飽きていたデセルは、しかたがなく、その足で泉のほとりへ行ってひなたぼっこをすることにした。 思いつきのままにそこらの石を拾って、手の上にしばし転がし、水面に投げる。 放物線を描いて飛ぶ小石の周囲に、運動と位置のエネルギーが鮮やかに視覚化されて現れた。 子供用の教材になるかもしれない。 「すごいね。教職を紹介しようか? 絶対採用されると思うけど」 様子を見に来たらしいトールが笑った。 「柄じゃありませんよ」 「君なら生徒にも人気出そうだけどねえ。 じゃあ、気がむいたら僕の個人的助手っていうのはどうだい。報酬は君の欲しいものでいいよ」 「それならいいですよ。……報酬は、いつかそういうものができたら、それで」 デセルが答えると、銀髪の錬金術師は友の隣に腰を下ろしながら苦笑した。 「君は本当に欲がないな。もっと望んでいいんだよ?」 いやだって、となぜかデセルは戸惑った。 「俺ここに置いてもらってるヤドカリで。ベッドも飯も用意してもらって……そろそろ、家、建てないと」 何言ってるんだ、とトールの手が彼の肩を叩く。 「僕の仕事を手伝ってくれているんだから、お願いしてここにいてほしいくらいなんだよ。 食卓に君がいるとマリアも喜ぶしね。君はものすごく美味しそうに食べてくれるからって。 ……だいたい君、一人暮らしなんかしたらまともに食べないだろ」 目をすがめる。デセルが反論できずにいると、錬金術師は調子を変えた。 立てた片膝に肘を乗せ、まぶしげに水面を見つめる。 「ソフィアも喜ぶんだ。表には出てこないけどね」 その名を聞いて押し黙り、すがるような目で見たデセルに視線を移して、トールは申し訳なさそうな顔をした。 「ごめん、困らせて」 「え、いやその……すいません」 トールはデセルにとって、尊敬する同性の友人であるが、同時にソフィアと同じ魂をもつ人でもある。 どういう態度をとればいいやらわからなくなって、デセルはうつむいた。 ぽかぽかとした陽光が金茶の髪にふりかかる。 「君が謝る必要はないよ」 「でも」 「ひとつだけ確かなことは、僕達のうち誰一人として、君の不幸は望まないってことさ。 苦しめるだけなら忘れてくれればいい。それこそ勝手な願いごとで申し訳ないけど。 君が幸せでいてくれるなら、それでいいんだ」 だいたいさ、僕悩んだんだけど。 また声の調子を変えて、トールは若草の上に寝転んだ。 「もしも君とソフィアが結婚でもしたら、君と僕はいったいどういう関係になるんだろうね? ソフィアは僕と同じ魂を持っているけど、全部イコールというわけではないし。義理の兄弟・・・・・・くらいが一番近いのかなあ」 青灰色の瞳が、いたずらっぽい光をたたえて友人を見上げている。 一瞬、それも悪くはないかもな、とデセルは思った。 「君がより自由に、より幸せを感じるほうを選んだらいい。 我慢して一緒にいるよりは、君の幸せのほうが大事だよ」 そういって銀髪の友人は去って行った。 自分の幸せ。 それは何だろう、と思う。 いまのままではいけないのだろうか? 「ずっとお傍にいます」 「永遠にお護りします」 あのときそう言ったら彼女は泣いてしまった。 なぜかわからなかった。 ソフィアは君と家族になりたかったんだよ、と後でトールが教えてくれた。 でも家族って何だろう。 そんなもの、もうずっと持ったことがない。 いつだって独りだった。 彼女には銀巫女さまと同じように、捧げられる限りの敬愛を、尽くせる限りのすべてを。 それではいけないのか? それ以上の? それとも、それ以外の? 求められているものも、彼女がくれようとした何かも、デセルにはわからなかった。 もしかして自分は朴念仁なのだろうか、と彼は考えた。 *************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。→→登場人物紹介(随時更新)書くのが忙しくてお返事できず申し訳ないのですが、ご感想くださるととっても幸せ♪よろしくお願いいたします!昨日はなにみえ遠足第三回卒業パーティだったのですが、まだまとめられないので先にこっちアップしちゃいます~^^;三期生の皆様、おめでとうございました♪♪応援してくださってありがとうございます♪→4/28 インナーチャイルド一斉ヒーリング♪♪ 天使の森保育園、開園!*業務連絡*エンジェルリンク受けてくださっているZ様。メールがエラーになって返ってきてしまいます~><メール指定受信をチェックしていただき、livedoor.comを許可してみてくださいませ~よろしくお願いいたします!
2009年04月27日
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「トールさん! トールさん! ここ来て早く!」 デセルの本体から必死の心話が届く。 ルキアの自室にいたトールは、即座に発信元を特定した。近い。同じルキア内にある倉庫からと確認し、彼はポータルの魔法陣を使ってすぐその場所にむかった。 倉庫に駆けつけると、デセルが胸と口を押さえて床に膝をつき、本体の肩に頭をもたせて荒い息をしている。 周囲には彼が集めたらしいさまざまな部品が散らばり、口を押さえた指の間からは、真っ赤な鮮血があふれていた。 「デセル?!」 トールは本体から長身を抱きとると、血にまみれた顔を覗きこんだ。 (すみません・・・・・・) 見上げてきたペリドットの瞳は、まだ輝きを失ってはいない。いくばくか安心して、すぐにエネルギーを送り込みながらトールは尋ねた。 (そんなことはいい。何があった?) (心臓・・・・・・実は部分ロストが・・・・・・装置作ってしのいでたんですが、急にはじけて) 流れこむエネルギーに下支えされる形で心話が送られる。さもなければ意識での会話もできなくなりそうなくらい、デセルの状態は危険だった。 トールが透視すると、デセルの心臓には欠けた箇所がいくつかあった。 そこを小さな機械でおぎない、裂け目を押さえたバンドが四本。そのうち二本はすでに弾けて、肺などの他の臓器を傷つけている。三本目も切れかけていた。 デセルは笛の鳴るような呼吸をしながら、左手に球体を出現させた。 半透明な表面に模式図が映り、内側には立方体が浮かんでいる。彼が心臓に取り付けた装置の仕組みだ。 それだけで負担になったらしく、胸を押さえて咳き込むと三本目のバンドが弾けた。 デセルの口から、また大量に血があふれる。 トールはほんの一瞬だけ目を閉じて息を吸うと、心の中からすべての感情を排した。 デセルの本体から「ベニトアイトのよう」と言われた青灰色の瞳をきらめかせ、冷静に模式図を読み解いてゆく。 球体のポイントと心臓の装置を同期させて調整してゆくと、拍動のたびに血を噴きだしていた傷口もどんどんふさがっていった。 同時に胸の中や他の臓器についた傷もヒーリングして止血する。 デセルの感じる痛みも治まり、緊張もほどけたのだろう、口の端に乾いた血をこびりつかせて、彼は意識を手放したようだった。 どうにか眠った長身を抱え上げて、トールは立ち尽くしている本体を見た。 (大丈夫、あとは任せて) 眠りをさまさぬように目配せを送る。彼らの視線の先にミカエルがいた。 本体が観念したようにミカエルに向かう。 デセルは言わなかったが、心臓のロストに気づいた本体がそれを回収しようとしなかったことが原因だろうと、トールは気づいていた。 ソフィアは緊迫した表情で闇を降っていた。 自分の腎臓を見つけたあたり、その裏側にあたる部分に、小さなかけらが光っている。 デセルの心臓だ。 デセルは彼女の腎臓を取り出すのを手伝ってくれたから、ここには来ているはず。 なぜ自分の心臓を回収しなかったのだろう? すると、 「自分では取れないのだよ。 お前がお前の一部を、彼の手によって取り戻したように」 という声が聞こえた。ルシフェルのもののようだ。 見上げたかけらは、ずっと高いところにある。 伸ばした手は届かない。 ――死んで当然だから ――おまえなんか、いらない。 心臓をロストさせた彼自身の声がきこえる。 デセルや今の本体を含む彼の魂は、この声で、ずっと自分のハートを切り刻んできたのだろう。 ソフィアの胸が痛んだ。 彼女自身の腎臓も、緩慢な死のためにここにあった。 自分から自分を切り離すことなど、本当はできはしないのに、やむにやまれぬ悔恨がロストをひきおこす。 だから、自分では取り戻せなかったのだ。 自分自身の言葉より、相手の言葉のほうがずっと信じられるから。 死んではいけない、と言ってくれる他者が、そしてそれを受け入れることが、必要だったのだ。 ましてソフィアとデセルのロストの理由は、お互いがお互いのためのもの。 二人揃ってお互いを赦しあうことでしか、きっと取れないのだろう。 ソフィアはかけらを見つめ、そっと手を伸ばした。 「私はあなたを愛しているわ・・・・・・。 あなたを失うのは嫌。あなたに傍にいてほしい。 だからお願い、もどってきて・・・・・・」 紫の瞳をうるませて彼女は言う。 小さなかけらが上空でふるえ・・・・・・そして、ふわふわと彼女のもとへ降りてきた。 まるでおっかなびっくりするように。 彼女はそれを抱きしめて光のボールに優しく包み、トールのもとへ送り届ける。 (届いた。バンドの部分はあと三つだ) 入れ替わりにトールの声がする。 (わかったわ) ソフィアは答え、また昏き闇を降った。 ************ベニトアイト、ってこんな石。ほしいなー←一番色が似てると思うのはこの個体なんだけど、とんでもない値段ですwww希少石、らしい。個人的にタンザナイトも似てると思う。こっちのがお値段お手ごろだからそのうち買おうかな~wデセルさんはペリドット♪この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。→→登場人物紹介(随時更新)書くのが忙しくてお返事できず申し訳ないのですが、ご感想くださるととっても幸せ♪よろしくお願いいたします!応援してくださってありがとうございます♪→4/23~4/26 なにみえ出版祝2 一斉ヒーリング♪♪4/28 インナーチャイルド一斉ヒーリング♪♪ 天使の森保育園、開園!*業務連絡*エンジェルリンク受けてくださっているZ様。メールがエラーになって返ってきてしまいます~><メール指定受信をチェックしていただき、livedoor.comを許可してみてくださいませ~よろしくお願いいたします!
2009年04月26日
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ルキアには地球時間に準じて昼夜がある。 暗い窓からソフィアが見上げる夜空には、糸のように細い月がかかっていた。 ゆるやかに曲線を描く長い黒髪に黒いドレス。星明りのなか、白い顔と胸元、手だけがほんのりと浮かんでみえる。 彼女の脳裏に、先ほどの場面が繰り返した。 黒い黒い世界だった。ロストしたかけらを探しに行った先。 魂全部がロストになったら転生は不可能だが、そうはならなくとも自分を責め続けながらの生を繰り返していくことで、徐々に、あるいは部分的に振動数が下がってしまうことがある。 そうすると、たとえば内臓の一部などが細かくロストしていることがあった。 最初にそのかけらを見つけたのは、ララーだった。神殿で、時が残っていたならば銀巫女が教え導くはずだった茶色い髪の少女。現在の本体同士も仲がいい。 彼女はソフィアとデセルと一緒に暗い奥底に降り、自分自身の心臓のかけらを探し出した。 ララーは、愛していた楽師の命を奪ってしまった、と思っていた。 そんな自分は生きていてはいけない、けれど自殺してはいけない。そんな死にたいけれど死ねない気持ちを持ち続けているうちに、心臓の次元が下がってしまったらしい。 その話を聞いたソフィアの本体は、当然自分にもあるだろうなと思った。 きっと多かれ少なかれ、誰もがあるに違いない。 自分の身体を丁寧に感じてみると、冷え切って空虚な部分がやはりある。 それを探しにいかなければならなかった。 ソフィアはたったひとり暗い場所に降りていっていた。 銀巫女が降りていった闇の底ともまた違う、ほのかに暖かいような空気の澱んだ感覚。 かつて神殿で、砕けた魂を探した暗闇に似ている。深海のような圧力がかかり、シールドを張らなければとてもではないが降りてゆけない。 それでも、やはり自分の一部だからなのか、この先にある、という奇妙な確信をもって彼女は進んだ。 どれだけ潜ったかわからなくなってきたころ、小さな弱々しい光をみつけた。 頭より高いところに浮いている、氷漬けの腎臓のかけら。 そのキーワードは『緩慢な死』。 腎臓は沈黙の臓器であると言われる。自覚症状がないままに病理がすすみ、症状が出た頃にはもう手遅れになっているのだ。 自分自身が犯した罪を赦せず、かといって自死もできずに責め続けた選択の結果。本体が腎臓を病んで生まれてきたのには、こんな理由もあったのだろう。 ソフィアは背伸びして凍りついた腎臓に手をのばした。冷え冷えとかたく、その場から動かすことができない。 エネルギーを送ってみても無駄で、逆に指のほうがかじかんでくる。 痛みをおぼえた指先をもどして息をふきかけながら、彼女は途方にくれた。 しかしここで放置して帰るわけにはいかない。 もう一度爪先立ちになり、氷塊に手を伸ばす。 するとふいに背後の高い位置から大きな手がのばされ、彼女の細い手に重ねられた。 途端に暖かなエネルギーが塊に通り、氷が溶けだしてゆく。 「なぜ私をお呼びにならなかったのです?」 少し怒ったデセルの声。もう片方の手で肩をしっかりと支えてくれているのがわかる。 ソフィアの胸がずきんと痛んだ。 だって、と呟く言葉も声にならずにうなだれる。 「・・・・・・迷惑じゃないかと、思ったの」 蚊の鳴くような声にデセルがそんな、と目をみはったが、こちらも言葉にしては何も言えず、硬い沈黙が流れた。 重ねられた二人の手のむこうで、かけらの氷が溶けてゆく。 ぎこちない心を抱いて、無言のまま二人は帰路についたのだった。 (・・・・・・もう消えてしまいたいわ) 細い月を見つめながら、心にソフィアは呟いた。胸中に本体の声がきざす。 しようがないよ。 困らせるつもりじゃなかったでしょ? (もちろんだわ・・・・・・困らせるなんて、そんな) 私だって、この年になって恋する乙女を感じるとは思わなかったよ。 まして「失恋」するとはねえ・・・・・・。 でもさ、デセルさんの愛は大きかったってことだよね。 デセルさんにとって、あなたは銀巫女と同じなんだもの。 捧げられる限りの敬愛と、尽くせる限りのすべて、なんて普通もらえないよ。 (・・・・・・わかってるわ、わかってるの) ソフィアの声がふるえる。泣きはらした瞳は赤く、すみれ色というよりうるんだアメジストに見えた。 そうだよね。うん、知ってる。 あなたがわかってたってことはね・・・・・・ 不毛だって言わせたくなかった。喜んでほしかったんだよね? ・・・・・・だったらさ、ソフィア。 これから他のことで喜んでもらえるようにしようよ? 私だってデセルさん好きだし、このままぎくしゃくしてるの嫌でしょう。 (彼は・・・・・・赦してくれるかしら) それはわからないけど。 赦すとかじゃない次元で困らせちゃってる気もするけど・・・・・・。 こういうときはね、何が一番自分にとって大事かを確認するのよ。 ソフィア、あなたにとって一番大事なものは? (彼の幸せ) ・・・・・・本体の幸せ、じゃないところがさすがトールと同じ魂というか、我ながらあっぱれというか。 了解、それじゃ、それを第一優先で動けばいいよ。 (いいの?) 嫌だ、って言ったって無駄でしょうが。 あなたは私なんだから。性格の特性くらいわかってるって。 あなたはマリアより振動数が低いんだと思う。だから愛じゃなくて恋をしたんだと思うけど だからといって恋が悪いわけじゃないでしょ。 それはそれで、えがたい大事な経験でしょ。 だからじっくり味わったらいいと思うよ。いっぱい泣いてさ。 (・・・・・・そうね) ソフィアは泣き笑いに微笑んだ。すると、雲隠れの月が現れたような光が差した。 本体は胸中にひとりごちる。 ハイヤーに恋愛講座するっていうのも妙な心持ちだけど・・・・・・ でも私はあんなに素直には泣けない。 それはやっぱり羨ましいと思うよ、ソフィア。 悩み苦しみ泣き笑う、すべてを味わうためにここにきた。 ならばより三次元に近い分身が出てくるということにも、きっと意味があるのだろうと彼女は考えた。 ************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。→→登場人物紹介(随時更新)書くのが忙しくてお返事できず申し訳ないのですが、ご感想くださるととっても幸せ♪よろしくお願いいたします!応援してくださってありがとうございます♪→4/23~4/26 なにみえ出版祝2 一斉ヒーリング♪♪4/28 インナーチャイルド一斉ヒーリング♪♪ 天使の森保育園、開園!
2009年04月25日
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自分でぜんぜん気づいてなかったんですが、よ~くカレンダーみたら最近ほとんど毎日のよーに一斉ヒーリングしてた? 笑遠足時のラファさん保健室並みですなwwwそうそう、「なにが見えてる?」予約特典の期限が迫ってきましたよ~!2009年4月27日(月)9:59までに楽天から購入されると、なにみえ専属錬金術師仕込みwのカード特典がもらえます♪さらに今なら送料無料キャンペーン中♪まだの方はぜひクリック!↑と、いうわけで(あいかわらず脈絡なし来週もインナーチャイルドでーす。天使の森保育園でーす♪ヴィジョンが見えない、って悲しむ方が必ずいらっしゃるんですけども。あのね、これヒーリングですから。ワークじゃないからwww癒されてリラックスして寝落ち、で万事OK、温泉気分バンザイなのであって、見えないから行けてない、ってことじゃないですからねw顕在意識で見えなくても、中のお子さんは保育園で遊んでらっしゃると思いますよ~今日はおうちにいたい、って子には、そのままヒーリングエネルギーが届けられますしね♪そんなわけで、あんまり構えずにまたーり楽しんでいただけたらいいなあと思います♪「天使の森保育園」は、ヒーリング受け取り時間中に、あなたの胸の奥に住む子供さん(インナーチャイルド)が来ることができる場所です。イメージワークではありませんので、無理にこられる必要はありません。普通にヒーリングを受けるだけというのも、もちろん可能です♪保育園、って名前ですけど、大きな子から大人でも大丈夫です♪パワーアニマルさん、アナザーセルフさん、サポーターさん達もどんとこい。お好きな場所でゆっくり過ごしたり、遊んだりしてくださいね♪もちろん、来たいと思ったときだけで、無理に参加する必要はありません。来たいと意図していただければ、ドラゴンや天使がお迎えに行きます♪園の保育士さんは天使たち。こねこエプロンのミカエル先生、それにひよこエプロンのラファエル先生とか、こいぬエプロンのガブリエル先生とか。ウリエル先生にローズオーラ先生、レミエル、ルシフェル、メタトロン・・・たくさんの天使たちが、あなたの思う格好をして、小さなあなたと遊んでくれます。園では、会いたい人としか会わないようになっています。お友達と一緒がよければお友達と、のんびり一人がよければそのように。人がたくさんいすぎて嫌になる、ということはないので安心してくださいね。園庭はとても広くて、草が生えているので転んでも大丈夫。色とりどりのお花もたくさん咲いています。木登りにうってつけの大きな樹もあるし、きれいな小川の流れているところも。奥のほうに明るい森もあって、探検することもできます。きれいな石を探したり、皆でおにごっこやかくれんぼもできますよ。小人や妖精、竜やペガサス・・・。想像の中にしかいないと思っていた存在たちと会ったり一緒に遊んだり、できるかもしれません。園は純粋な愛のヒーリングで満たされ、ハートがふんわりと開かれていきます。あなたを脅かす何者も存在しません。あなたは安全な場所にいて愛され、あなた自身でいることを許されています。どうぞ安心して遊んでくださいね。園舎は明るい色の木でできていて、いい香りがします。お部屋にはたくさんの絵本があり、お絵かきや積み木、ままごとでも遊べます。壁際にある棚を探してみると、あなたが大好きだったおもちゃが、そっと置かれています。探検したくなるような、秘密の部屋、不思議な部屋もあります。王子様やお姫様ごっこをして遊べる衣裳部屋、なりたかった職業になって遊べる部屋。お腹にいた頃や、まだ歩けない頃の赤ちゃん達が遊んだり、先生に抱っこされて眠ることができる暖かな部屋。大きな子のためには、面白い本やパズルがいっぱいの図書館や、月や星の見える夜の部屋もありますよ。もしも怪我をしたり、痛いことがあったら、ラファエル先生の保健室へ行ってください。優しい先生が、すぐに治してくれます。保健室にはふかふかのベッドも、あたたかいお茶も用意してあります。そこでゆっくり休んでもいいですよ。お腹がすいたら、先生達と一緒におにぎりやホットケーキなど、好きなものを作って食べましょう。我慢しないで、好きなだけ食べていいのです。お腹がいっぱいになったらお昼寝はどうでしょうか?園舎のお部屋でもいいし、外の木陰もぽかぽか暖かいです。ふかふかの毛布やタオルケットを、たくさん用意してあります。おねしょしちゃっても大丈夫^^先生の魔法で、すぐに乾いちゃいますからね☆ここでは、「しなくてはならないこと」は何もありません。寂しすぎて、友達の輪にも入りたくないくらい寂しいときは、どうぞ一人でいてもいいんです。あなた専属の先生が、暖かく見守っていてくれます。そう、この園の最大の自慢は、「先生のひとりじめができる」ことなんです。天使達は、誰のそばにも同時にいることができるのですから・・・。好きなだけ先生達と遊んでいたっていいんです。自分が満たされて自信がついてきたら、ゆっくりお友達の輪に入ればいい。急ぐことは何もないのです。先生達は、あなただけをしっかり見ていてくれます。もし、安心することで寂しんぼうが浮かび上がってきたら・・・「暴れたいさん」が出てきてしまっても、大丈夫。先生がすぐに抱きしめてくれます。あなたが「本当はしたくないけど、してしまいそうなこと」を、先生はぜんぶ抱っこして止めてくれます。だから安心して、思いのたけを言ってくださいね。罵詈雑言になってしまってもいいんですよ。大泣きしていいのです。先生たちは、その奥のこころが寂しがっているんだと・・・抱きしめてほしいのだと、ちゃんと知っています。あなたの気持ちを、まっすぐに受け止めてくれます。もしも、ヒーリング時間が終わってもまだ暴れたいさんがいる場合には、どうぞ先生に引き続き護ってくれるよう、お願いしてください。日常の生活の間もずっと、天使はあなたを護ってくれています。時間になると、天使があなたを肉体に戻し、きちんとグラウンディングさせてくれます。安心して日常の時間へとお戻りください。また、寝落ちする方が多いかもしれません。表面意識にイメージを上らせるよりも深層に癒しを及ばせた方がいい場合、寝落ちになります。なので、何も感じませんでした~とか嘆かれないで下さいませ。それが必要であったということですから^^みなさまの「天使の森の保育園」でのひとときが、素敵なものでありますように。 よろしかったらぽちっとお願いします♪→★リアルタイム日時 2009年4月28日(火) 21:30より1時間(日本時間)★コールイン受け取り可能時間 日本時間で上記日時~4月29日(水) 20:30開始まで ※とくに決まった宣言文はありませんが、よいお時間に 「さつきのひかりのヒーリングを受け取ります」と宣言していただければ大丈夫です。 ★募集期限リアルタイム直前(火曜21:30)まで★参加ご希望の方はこの記事(エラーになってしまう場合、mixiの同名記事)のコメント欄に、HN(ハンドルネーム)と都道府県、以前さつきのひかりのヒーリングをお受けになったことがある方は、前回のご感想を一緒にお書きください。私もとても嬉しく励みになりますし、書くことでご自身の気づきも深まるかと思います。※他の記事へのコメント・メッセージ等は無効になります。お返事もできませんので、ご注意ください。★ヒーリングの種類その時々のテーマとともに、純粋な愛のエネルギーによるヒーリングを、お申し込みいただいたご本人、住んでいる土地、ご先祖さまがた、にお送りいたします。もっともシンプルで、誰にでも入りやすく、心の癒しには一番効くのだそうです。ハートが癒されると、ふんわり開いてご自分にとっていいものがたくさん引き寄せられてきます。キラキラをたくさん引き寄せちゃいましょう♪♪★初めましての方は、フリーページをご一読くださいませ^^→→「ヒーリングについて(http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/4000)」※よくあるご質問もまとめてあります。ご質問の前にご覧下さいね^^★喉が渇くことがあります。また好転反応が出た場合に楽に流すためにも、白湯などの水分をとられることをお勧めします。★エネルギーやヴィジョンを感じるワークではありません。リラックスして、寝るつもりでゆったりとお布団で受け取ってくださるといいと思います♪★車の運転など、注意力・集中力を必要とする場面では、絶対にヒーリングを受け取らないでください。 眠くなることがありますので、危険です。万一そういう事態になった場合には、「私は今はヒーリングを受け取りません。後ほど布団に入るときに改めて受け取ります」とはっきり宣言してください。★ヒーリングは医療行為ではありませんので、受けたことで怪我や疾患が良くなったり悪くなったりするというものではありません。変化はご自身が望まれたことを後押しするために現れます。ご自身の判断と責任によりお受けくださいね。4/23~4/26 なにみえ出版祝2 一斉ヒーリング♪♪
2009年04月25日
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その日何があったかを知ったデセルは、足早にトールの部屋に向かった。 部屋の主は少女を帰し、ひとりで傷の手当をしているところだ。扉を開けるなりデセルは言った。 「どんなに爆発的エネルギーでも源から呼び出され、こちら側へ出現した直後の状態はとても小さなポイントに過ぎない。 その状態のうちに相反するエネルギーをぶつければ、こちらの消耗も最低限に抑えることができる。 瞬時次々に生まれるそれら全てに反応するのは、それはそれで大変なことではありますが、この方法なら取りこぼしても対処には余力があるはず・・・・・・。 なぜそうしなかったんですか? トール」 「膨張に加速が始まってから押さえようとするのはナンセンスです」 矢継ぎ早に言いながら、明るいペリドットの瞳が怒りに燃えている。 彼が本気で心配してくれているのはよくわかったから、傷にあてた手から目を離して、トールはすこし困った顔をした。 「うん・・・・・・ごめん」 謝ってすむものでもないと思ったが、それ以外に何と言えばいいのかわからなかった。 デセルの言葉は正しい。 それがもっとも消耗の少ない、効率的な方法だということはトールにもわかっていた。 あのときは、それが間に合わなかった。 少女の叫びに我に返ったときには、すでにエネルギーは加速度的に膨張を始めていた・・・・・・ だが、これは言い訳にしかすぎないこともわかっている。 もっと早く気づくべきだったのだ。 「彼女の身のうちに生じた時点で消してゆかなければ、体の外にそれが溢れてからでは遅いんです。 それも出来ませんか? 触れられませんか? こんな小細工はただの時間稼ぎにしかならないかもしれないが、しかし時間があれば、誰も傷つけずに回避する方法が見つかる可能性が出てくる」 厳しい声でデセルは続けた。その激しさが、どれだけ心配してくれたのかを雄弁に物語っている。 トールはゆっくりと首を振った。 「小細工ではないよ。それが正しい方法だ・・・・・・ 触れられなかったんじゃない。強烈な波にひきこまれて、僕も僕の中を見せられてね」 血の止まった右手で銀髪をかきあげる。大きなものはすべてふさいだが、顔も身体もまだ傷跡だらけだった。緑の少女が元気になる前に、なんとかしなくてはならないだろう。 しかし今はそれだけのエネルギーがない。とりあえず新しい上着に袖を通しながら、トールは親友に何を見たのかを伝えた。 「彼女が見たのと同じ時空ですか?」 「さあ・・・・・・僕がいた戦場の生はひとつじゃない。向こうもそうだけどね」 重なってはいたかもしれない。けれど冷酷なまでに鋭く研がれた刃物であった時代、人を想う余裕などあったかどうか。 「そういえば、あそこで怒ってくれた人もきっと君だな」 見えた景色のひとつを追って、ふとトールは微笑んだ。 無機質で殺風景な・・・・・・けれどひどく清浄な、あれはどこか神殿の一室だったろうか。その場所の性質そのままに、強く研ぎ澄まされて孤高で、けれど心のひだというものがなかった戦士の自分。 今と同じように心配して怒ってくれた友を、鋭く睨みつけてしまった気がする。 鎧装束の靴音も高く戦場に向かい、それこそ自分の命も他人の命も省みることがなかった。返り血を浴びてなお平然と顔をあげていた。 「君を刺してしまったあのときのことはね、いつでも忘れることがない。指も手も・・・・・すべてが覚えている。 だけどね、そういった『刃物』であったときの実感はないんだよ。まるで映画を見ているみたいなんだ。たとえ邪や魔であったとしても、たくさんの命を奪ったのにね・・・・・・」 机によりかかり、傷だらけの掌を眺める。罪びとの手だと言われれば、反論できないなと彼は思った。 黒カイルが言うように、もしもマリアを斬らねばならぬとなったなら自分はやるだろう。周りが思ってくれているほど、自分は優しくも強くもない。 自嘲的な笑いがかすかに彼の唇にうかんだ。 「トール」 調子の変わった声に振り向くと、明るい黄緑色の瞳から涙が流れていた。 「銀巫女さまやソフィアさんを含め、あなた方同士が仮にどんなことになったとしても・・・・・・ 私があなた方にたいして抱く気持ちは変わりません」 濡れたペリドットが宝玉のように輝く。あふれる涙を拳でいくら拭っても、尽きることがないらしかった。乾ききった青灰色の瞳にはない、そのやさしい潤い。 トールは手をのばして、ふるえる親友の肩を抱いた。 「・・・・・・うん、ありがとう、デセル」 この暖かい魂は、いつから自分のそばにいてくれるのだろう。 銀巫女には、敬愛を捧げられる限り、尽くせる限りのすべてを。 トールとしての自分には、尊敬と友情を掛け値なしで。 輝ける宝石をいつも無償で与えてくれる、その恩にどうしたら報いることができるのだろう。 想いを捧げる相手と、捧げてくれる相手と。 人は独りでは生きてゆけない。 僕が人間でいられるのは、きっと君達のおかげなんだよ、とトールは呟いた。 ************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。→→登場人物紹介(随時更新)ご感想いつでも大募集中です~~~~よろしくお願いします!応援してくださってありがとうございます♪→4/23~4/26 なにみえ出版祝2 一斉ヒーリング♪♪
2009年04月24日
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じぇいど♪さんのブログに書かれてますが。なにみえ本の出版日、って昨日の22日で、それってアースデイ、だったんですって~・・・私も知らなかった(爆で、「出版祝いは二度あった」って記事を書かれているのでこっちも二度祝っちゃおうかなあとwwwお祝いは何度やってもいいもんね~♪というか、もう周りじゅう浄化の大嵐が吹き荒れておりまして・・・(^^;マイミクさんたちもかなりやられてる(笑)し、もちろん自分もそうで、出版祝い特大ぐるぐる大会かこれは??って感じです。メールとかたまりまくっててほんとにすみません!><上はどんだけ祝いたいんでしょ??じぇいど♪さんって、やっぱりものすごーく愛されているのだなあと実感。しかーし、「祝い」になってないじゃん浄化だけだと!抜ければそりゃ、めっちゃすっきりするんでしょうけどね。そのすっきり感を目指した、キビシー愛だというのはわかるんですけどね。遠足のときのぐるぐると一緒で・・・・・・ヒーリングも計算に入れられてるんじゃないかって気がしなくもないですけどね(爆・・・というわけで(笑)あいかわらずの思いつきですがーw今回はミカエル・ルシフェル・ラファエル、それに本の表紙からこそっとメタトロンwメタトロンキューブも皆さん遊んでくださってるようで何よりです。アレが浄化をするわけではなく、あるべき必要なことが必要な人に起こるんだと思いますが、天使スパルタが浄化を後押ししちゃうときもあると思うので用法容量はご自分の身体に聞いてお使いくださいね♪こんなことも・・・ありました・・・^^;応援してくださってありがとうございます♪→★ヒーリング期間本日この記事がアップされてから~27日(月)朝6:00まで 1回30分(募集も同じく)期間中、何度でも好きなだけコールインでお受け取りいただけます。 ※とくに決まった宣言文はありませんが、よいお時間に 「さつきのひかりのヒーリングを受け取ります」と宣言していただければ大丈夫です。 ★参加ご希望の方は最初の一回のみ、この記事(エラーになってしまう場合、mixiの同名記事)のコメント欄に、HN(ハンドルネーム)と都道府県、以前さつきのひかりのヒーリングをお受けになったことがある方は、前回のご感想を一緒にお書きください。私もとても嬉しく励みになりますし、書くことでご自身の気づきも深まるかと思います。※他の記事へのコメント・メッセージ等は無効になります。お返事もできませんので、ご注意ください。★ヒーリングの種類その時々のテーマとともに、純粋な愛のエネルギーによるヒーリングを、お申し込みいただいたご本人、住んでいる土地、ご先祖さまがた、にお送りいたします。もっともシンプルで、誰にでも入りやすく、心の癒しには一番効くのだそうです。ハートが癒されると、ふんわり開いてご自分にとっていいものがたくさん引き寄せられてきます。キラキラをたくさん引き寄せちゃいましょう♪♪★初めましての方は、フリーページをご一読くださいませ^^→→「ヒーリングについて(http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/4000)」※よくあるご質問もまとめてあります。ご質問の前にご覧下さいね^^★喉が渇くことがあります。また好転反応が出た場合に楽に流すためにも、白湯などの水分をとられることをお勧めします。★エネルギーやヴィジョンを感じるワークではありません。リラックスして、寝るつもりでゆったりとお布団で受け取ってくださるといいと思います♪★車の運転など、注意力・集中力を必要とする場面では、絶対にヒーリングを受け取らないでください。 眠くなることがありますので、危険です。万一そういう事態になった場合には、「私は今はヒーリングを受け取りません。後ほど布団に入るときに改めて受け取ります」とはっきり宣言してください。★ヒーリングは医療行為ではありませんので、受けたことで怪我や疾患が良くなったり悪くなったりするというものではありません。変化はご自身が望まれたことを後押しするために現れます。ご自身の判断と責任によりお受けくださいね。
2009年04月23日
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それは、予感だったのだろうか。 新月をすぎて、トールは雪崩のようにメッセージを発信していた。そろそろ緑の少女の本体の仕事が一段落するとわかると、そちらへ直接手伝いにもいった。なぜだか今、どうしても傍にいたいと思ったのだった。 異変は風に乗ってやってきた。 いつもと違う気配を感じたトールは、本体のほうが問題ないことを確認したのち、緑の少女のもとへ向かった。 彼女は新月の世界にいた。 月のない闇の空間に、彼女はたったひとり立ちすくんでいるように見えた。トールが駆け寄っても気づく気配がない。 どうしました、と問いかける言葉が声にならないうちに、一陣の強風が彼を襲った。 少女はガラスのような瞳を見開き、虚空を見つめている。普通の状態でないことは明白だった。 少女の肩にそっと触れようとしたトールの手が、なにものかにバチンと弾かれた。 指先に何条もの赤い線が走る。 少女が無意識に張っているシールドだと気づいて、トールは一瞬の逡巡ののちにそれを解除に動いた。血の滴る指先で、直接シールドの魔法式を書き換えてゆく。そうしても少女の表情は変わらなかった。人形のようにただ虚空をみつめるばかりだ。 解放して小さな肩を抱き寄せると、トールにも彼女が見ているものが見えた。 ・・・・・・戦いだ。 愛や光など、言っていられる余裕のない激しい戦闘のさなか。必要のために冷酷になったのか、極限まで研ぎ澄まされた強い光は闇と同質であるのかわからない。 問答無用で光の剣で一閃し、邪であると判断すれば、泣いて命乞いをしていても斬る。敵の心理攻撃を受けつけないためには、猛スピードで機械的に動く狂戦士であらねばならない戦場。 心を封じているのか凍りついてしまったのか、死体の山を目の前にして、何の感慨も感じない、感じることを忘れてしまった空虚な世界。 「う・・・・・・ああああああ!」 駆け巡る映像に押し出されるように、少女の唇から叫びがあふれた。その手が背中の大剣にかかろうとする。 剣を抜かせてはならない。我に返ったトールは少女の腕を押さえ込み、強く抱きかかえた。それに反発し、小さな身体からあふれる衝撃波。 ふくれあがっていく内圧に、ひたすらトールは耐えた。何本もの真空の刃が彼を襲い、彼の服と肌を切り裂いてゆく。 だがステーションすら一瞬で消し飛んでしまう少女の力を、コントロールできないこの状態で解放させるわけにはいかなかった。 いくつもの魔法陣が果てもなく展開され、何重にも彼らを包む。 しかし意識のない少女から発される強烈な力とぶつかり合っては、緩衝波を生み出しながら次々に相殺されて消滅してゆく。 自分の持つすべての護りの力を使ったなら、周囲に被害を及ぼさず、この衝撃に耐え切ることができるだろうか。 冷静に彼我の力量を考え、おそらくできるだろう、と彼は結論づけた。 だがその場合、すべてが終わった後に彼が立っていられるかどうかはわからない。 命をつなぐための力も尽くさねば、彼女と周囲とを同時に護ることはできないかもしれなかった。 「私は死んだりしません・・・・・・たとえそれが、あなたを護るためであっても」 その誓いは、今もトールの胸中にある。 破るつもりはない。すすんで死のうという気は彼にはなかった・・・・・・だが。 どこまで耐え切れるだろう。 小さなノヴァを腕に抱くトールの唇から、一筋の血が流れた。 脳裏に、もうひとつの方法が浮かんではいた。 本当はそちらを選ばなければならないのだとわかってもいる。 しかしそれを選べずに彼はいた。 ぎりぎりまで悩むそれを弱さと言われれば、そうかもしれなかった。 無言で眉をしかめる目元に風の刃がおそいかかり、新しい血を流す。少女の声なき叫びが続くなか、拮抗する力の臨界点が近づいていた。 「トール、どけっ!」 鋭い一陣の風は黒カイルだった。 長剣をかまえ黒い鎧を身につけた彼は、半ばつきとばすようにしてトールと少女とを離した。 強引に自宅へと転送されたトールの耳に、少女の悲鳴だけが尾をひいて長く聞こえた。 「くそ・・・・・・っ」 鈍い音をたてて岩壁に打ちつけられたトールの拳から、たらりと赤い筋が流れる。銀髪は乱れ、着ている銀青の服はずたずたで、各所に血がこびりついていた。 耳の奥から彼女の悲鳴が離れない。 冷たい岩に頭を押しつけて、彼は唇を噛んだ。涙も流れないほど心が痛く、己の弱さが呪わしかった。 結局黒カイルがすべてを処理した・・・・・・それはつまり、少女自身にその責を負わせてしまったということに他ならない。 それくらいなら自分が引き受ければよかったのに。 彼はもう一度力いっぱい拳を岩に打ちつけた。こんな自分は壊れてしまえばいいのにと、心のどこかで思いながら。 「そんなことはないさ」 ポータルを使って現れたのは黒カイルだった。 鎧装束もそのままに、マントをひるがえして窓際に立つ。黒いその瞳がまっすぐにトールを見つめた。 「さっきは悪かったな」 「・・・・・・いえ」 私こそ、と食いしばった歯の奥から漏れる。 カイルはそんな彼を見やって尋ねた。 「おまえ、必要ならマリアを斬れるか」 「斬れます」 ほとんど躊躇なしにトールは答えた。自分の中にも、あの映像で見たような冷酷な部分があることを彼は知っている。黒く染まった背中の翼はその・・・・・・証だ。 黒カイルはうなずいた。 「そうだろう。俺も、俺自身をふくめて緑も黒もグレーも斬れる。 ・・・・・・だが、おまえを手にかけることはできない。すべての人格において、だ。それと同じことだ」 カイルの背後の窓のむこうで、満点の星がきらめいていた。 彼の優しさを感じながら、それでもトールは無理に口角をあげ、微笑みを作っていった。 「でも、次は、必ず」 あなた自身にその重さを背負わせるよりは。 黒カイルの瞳がふっと和む。 「俺の出番をとってくれるなよ・・・・・緑を頼む」 カイルが消えると、入れ替わりに少女の身体が部屋に届けられた。 まだ意識が戻らずにぐったりしている。 トールは両腕をのばしてその小さな体を受け取ると、椅子に座ってそのまま抱きしめた。 彼女が少しでも癒されればいいと願いながら。 ************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。→→登場人物紹介(随時更新)ご感想いつでも大募集中です~~~~よろしくお願いします!応援してくださってありがとうございます♪→
2009年04月22日
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【銀の月のものがたり】 道案内 http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/diary/200911230000/------※()内は本体名 ◆トール (さつきのひかり) 銀髪に青灰色(ベニトアイト)の瞳の錬金術師。身長195cm位の長身。 ・分身がクリスタル・ローズ・ガーデンおよびステーションの天使エリアに常駐し、セキュリティや基本システムの管理をしている ・魔法学校で魔法理論や神聖幾何学、セキュリティを教えている 自宅敷地はルキアといい、研究小屋やログハウス風の建物のほかに実験や戦闘練習のための広大な荒地、妖精のいる森、神殿、花畑などをそなえている。完全プライベートな場所でセキュリティばりばりのため、招待されないと入れない。 ◆銀巫女マリア (さつきのひかり) トールよりも古い魂と思われる。 闇の神殿の巫女。長い銀髪にすみれ色の瞳。ルキアに常駐。 ◆ソフィア (さつきのひかり) マリアのより低振動域(三次元に近い)分身。肉体との統合後に出てきた。 腰までの黒髪にすみれ色の瞳。 ◆シルヴァン(愛称シル) ◆ユアン(愛称ユン) マリアとトールの古い古い相棒である、白銀と漆黒の巨大な竜。 「のんびり、やさしく」http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/ 対応カテゴリ:http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/diary/?ctgy=13 *** ◆緑の少女 (じぇいど♪さん) トールの想い人。外見15歳くらい、赤茶色の髪(天使の子統合後は金髪に近くなった)にエメラルドの瞳。 非常に無邪気だが、背中のエーテル体に抜き身の大剣を持ち、本気になるとステーション一個まるごと消滅させてしまうような力の持ち主。 ◆黒の女性 (じぇいど♪さん) 同じくじぇいど♪さんの分身・上での姿。180cmの長身で、よく黒ずくめのゴスロリっぽい服装をしている。コスプレが好き。モリオンのエネルギー。 ◆グレーのカイル (じぇいど♪さん) ◆黒のカイル (じぇいど♪さん) 二十代くらいの外見の男性。黒カイルは鎧を着て帯剣している。 ◆ルシオラ(愛称ルース) 天使のときのじぇいど♪さんの過去生。けぶるような金髪にエメラルドの瞳。 同じく天使であったときのトールのツイン。 ◆シュリカン (じぇいど♪さんの守護竜) 上でも下でもじぇいど♪さんの守護をしている黒い大きな竜。クリロズに分身が常駐し、管理人役をしている。 「なにが見えてる?」http://plaza.rakuten.co.jp/californiajade/ *** ◆デセル (内緒ですw) 元、銀巫女がいた神殿の筆頭技術者。トールの親友。 ひょろりとした長身で、金茶の髪に猫に似た明るいペリドットの瞳。 銀巫女をいつも護ってくれる。 非常に器用な技術者肌で、凝りだすと止まらない癖がある。 「Stripe Volume」http://blog.goo.ne.jp/hadaly2501 *** ◆ララー (兎月さん) 神殿に招聘された五人目の巫女。時間が残っていれば銀巫女が教え導くはずだったが、その前に神殿そのものが崩壊してしまった。 ◆楽師 (ミロク@トリトンさん) 神殿の楽師。ララーのツインソウル。 「神社☆エール!頑張れ日本神霊界」 http://plaza.rakuten.co.jp/ugetunitobou/ 対応カテゴリ:http://plaza.rakuten.co.jp/ugetunitobou/diary/?ctgy=28 *** ◆フレディまたはフレデリカ (みやさん) 大柄のオカマ天使。かつてルシオラを愛情いっぱいに育てた、育ての母でもある。 クリロズの自室でバー「QUEEN」を一日開店、普段はステーションで高級ブティックを経営。 *** ◆教官、金の歌姫 (りゅーらさん) かつてのクリロズの持ち主であった三兄弟の末の妹。 赤茶の髪に緑の服の戦闘教官と、紫の内気な少女が統合されて薄金の髪の歌姫になった。 ミカエルの仲介により、教官はトールに剣の稽古をつけてくれ、返礼に魔法の家庭教師をしていた。 *** ◆銀樹 (ぷちさん) 波打つプラチナブロンドの優しい青年。 クリロズの資料室勤務。旧クリロズにおいても情報部員として活躍し、トールとも仲がよかった。 *** ◆ジョゼ (くうちいさん) トールの魔法学校の生徒。神聖幾何学、セキュリティ理論などに出席。 個人的にもトールに弟子入りし、クリロズのトールの部屋の認証コードを持っている。 無邪気で可愛い8歳くらいの男の子。ふわふわの黒い髪と、黒っぽい大きな瞳。 知り合いの妖精に機械を作るため、クリロズのトールの倉庫を借りて奮闘中。 ◆サバト (くうちいさん) 黒い羽を持つ17歳くらいの少年。孤独で寡黙な性格。 ジョゼを護ることと仕事しか考えたことがなかったが、トールの誘いでルキアにて静養、だんだん自分を取り戻してきた。 *** ◆リック (勇者ひかりさん) 金髪碧眼、天使のような外見の子。しかし小さいころ辛いめにあったため、ちょっと屈折したところがある。 魔法学校に入学、トールから初級魔法理論を教わっている。 「心軽やかに夢をみつける」http://cocorokaroyaka.blog39.fc2.com/ 対応カテゴリ:http://cocorokaroyaka.blog39.fc2.com/blog-category-16.html *** ◆エル・フィン (たか1717さん) クリロズとステーションにおけるトールの部下。 身長185cmほどの細身、金髪碧眼。普段無表情で淡々としているため、よく周りの人に恐れられる。 実際は生真面目な苦労性。 「すぴ?☆ライフ」http://elfin285.blog68.fc2.com/ *** ◆レオン (かほりさん) エル・フィンの養い子。天性の剣の才能を持つ。 以前は7~8歳の外見だったが、最近少し成長したもよう? エル・フィンの表情を崩せる貴重な人材。 「レオン物語(mixi)」http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1158419219&owner_id=18458013 *** ◆アシュタール校長 トールの勤める魔法学校の校長。マスターアシュタール。 トールとは古い戦友であるらしい。 子供好き。勇者ひかりさんのサポーターもしており、リックの面倒をみてくれるようトールに頼んだ。 色々な仕事を回してくる、トールにとっては危険人物 笑 *** ◆セラフィト ステーション共有エリアの警備主任。天使族。 トールやエル・フィンとは古い転生時代からの知り合いらしい。 *** ◆デオン エル・フィン、セラフィトたちと同時代からのトールの知り合い。 現在は別のステーションで働いている。 **************カテゴリ銀の月のものがたりここらで一回登場人物紹介をしておかないと混乱してきますよね(^^;こうやって書いてみると、ほんとリアルを巻き込んでいるというかなんというか・・・いやもう。びっくりです。応援してくださってありがとうございます♪→
2009年04月21日
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トールの勤める魔法学校の校長は、白い髭が印象的な好々爺である。トールとは古い友人で、職探しに行ったときにはこんな会話があった。 「おまえさん、どうせなら校長やらんか?」 「いやです(即答)。あなたの方が向いてますよ。僕じゃ貫禄ないし」 「外見なぞ、好きに変えられるじゃろ。昔並んで戦った仲じゃないか」 「とにかくお断りです」 「しょうがないのぉ~(ぶつぶつ)。じゃ、ちょうど先生を探しとる科目がいくつかあるから全部頼むよ。これは嫌とは言うまいな? 担任もてとは言わんから」 「……わかりましたよ」 「おおよかった。適任がいなくてな、困っとったんじゃ。ほっほっ」 そんなこんなでトールはいくつかの授業を受け持っているのだが、あるとき彼は校長室に呼び出された。 行ってみると、校長の脇に十歳くらいの金髪碧眼の少年が立っている。 「今度入学することになったリックじゃ。おまえさんの授業にも出ることになったからよろしくな」 と校長が言った。彼の守護する人物の分身であるということだった。 そして彼は、しぼった心話で次のようなことも同時に伝えてきた。 (トール、リックを頼んだぞぃ。友達、というものにとてもあこがれておる。本当の友人ができるといいのぉ。 じゃが、気をつけておくれ。あやつは真実を見抜く目をもっておる。闇を経験したものにしかわからない真実の目じゃ。 なかなかあなどれんぞ。まぁ、お前さんなら大丈夫じゃろうが) 入学前の面接で、何をしたいかと聞かれて「友達をつくりたい」と答えたリックの映像が届けられる。 生まれながらの力のために、親から離されて実験の日々を送ってきていたらしい。 天使の子のような外見でありながら、幼い頃から辛い経験を積んできたために非常に屈折した部分があるということがわかった。 (大丈夫ですよ。リックはこれから大きく成長するでしょう。 しっかり目を離さないでいますから) 涼しい顔でトールは請け負い、リックに対しては笑顔でこういった。 「リック、僕はトール。初級魔法の授業で会うことになると思うけど、よろしくね」 リックが入学してしばらくがすぎた。 彼は友達づきあいというものを、一切したことがなかったらしい。心は優しい子なのだが、ついぶっきらぼうな物言いをしてしまうので同級生達からは距離を置かれてしまっていた。 トールはクラス全体を「ちょっと大目にみる」ことにして、リックだけを特別扱いするでもなく、その摩擦をずっと見守っていた。 ちょっとしたきっかけさえあれば、だいたいそういう摩擦は解消の方向に向かうものだ。 そのきっかけが、リックのためにあまり大事にならなければいいが。 そう考えながらトールが教室の扉を開けたとき、ちょうど生徒のひとりが壁に向かってふっとばされたところだった。 錬金術師の手からとっさに青い魔法陣が飛んで、紙一重でその少年を受けとめる。打ち身くらいにはなるかもしれないが、重大な怪我にはならないだろう。 魔法陣の方向を垂直から水平に変え、少年を医務室にテレポートして心話で状況を伝えながら、トールは悲しげな瞳で窓際に座っているリックを見た。 そんな目で見ないでよ、あいつが悪いんだ、あいつさえ、あんなことを言わなかったら・・・・・・とリックの表情が語っている。 トールはそっと息を吐き、教室の他の生徒たちにむかって笑顔をつくった。 「僕はリックと話があるから、みんなは自習していてくれるかい?」 喧嘩の現場を見られたのに、怒鳴られも怒られもしなかったことが、生徒たちには逆に怖かったのかもしれない。 彼らはしんと静まり、それぞれ自分の机に戻ると教科書を開き始めた。 「リック、おいで」 トールは金髪の少年を扉へ手招きした。 リックの表情がこわばり、一瞬テレポートでどこかへ逃げようとする。 「無駄だよ」 らくらくとそれを押さえこむと、トールはエネルギーを足した上で座標を自分の教授室へ変更した。 静かな部屋に移ってともにL字型のソファに座り、静かな目でリックを見る。 「あいつが悪いんだ! 僕の事を・・・・・・ひどいことを言ったんだ! あんなやつ、ああなって当たり前だ!!」 瞬間、部屋の空気が凍りついた。 「リック!」 トールの怒声を聞いたことがなかったリックは、びくりと震えた。普段は穏やかな青灰色の瞳が、凍てついた炎のように彼を見ていた。 ずっと優しかった先生、自分のことを理解してくれていると思っていた先生のきつい瞳に、リックの心も凍りつく。 「リック、君の強さも生い立ちも、僕はよく知っている。だがだからといって、報復を正当化することはできない。 力を持つものが使い方を間違えたらどんなことになるか、それは君が一番良くわかっているだろう?」 リックの背を氷塊が滑り降りた。過去に起こした同じ過ちが、走馬灯のように彼の胸中をめぐる。 自分が何をしてしまったのかに気づいて、リックはうなだれた。うつむいた青い瞳から、大粒の涙がぽたぽたと床に落ちる。 友達はまだできなかったけれど、彼は学校が好きだった。 でももう、ここを追い出されてしまうかもしれない。先生にも見捨てられてしまうかもしれない。ようやく入れてもらった、憧れの場所だったのに。 リックの細い肩が細かく震えた。 (リック。君はいつ謝った? まだじゃないのかな?) 学校では禁止されているテレパシーで、トールはそっとリックの心にささやいた。 涙目で顔を上げたリックを、怒りの片鱗すらみつからない、いつもの優しい瞳が見つめている。 「ご・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」 しゃくりあげながら言ったリックに、トールは微笑んだ。 「そうだよ。過ちを犯すことが悪いんじゃないんだ。過ちを犯したらまず、しっかりと謝ること。 そこから始まるんだ。・・・・・・それにね、僕は君を見放したりしないよ」 トールの腕がしっかりとリックを抱きしめ、優しく髪をなでた。 生まれて初めて叱られ受けとめられたリックは、暖かな腕の中でしばらく泣いていた。 **************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。4/21日の出まで なにみえ本出版祝い一斉ヒーリング♪4/21 インナーチャイルドヒーリング天使の森保育園、開園♪応援してくださってありがとうございます♪→
2009年04月20日
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祝☆なにみえ本出版!!発売日にあわせたように、大浄化変容祭りにがつーんとやられてた私ですが一気にすっぽ抜けたら今度は幸せでしかたなく(笑)緑ちゃんらぶのトールは当然お祝いしたくて仕方なくwwwというわけで、彼の幸せアガペーMAXを皆様にもおすそ分けいたします♪浄化祭開催中の方もそうでない方も、どうぞお使いくださいませ♪応援してくださってありがとうございます♪→★ヒーリング期間本日この記事がアップされてから~21日(火)の日の出まで、1回30分(募集も同じく)期間中、何度でも好きなだけコールインでお受け取りいただけます。 ※とくに決まった宣言文はありませんが、よいお時間に 「さつきのひかりのヒーリングを受け取ります」と宣言していただければ大丈夫です。 ★参加ご希望の方は最初の一回のみ、この記事(エラーになってしまう場合、mixiの同名記事)のコメント欄に、HN(ハンドルネーム)と都道府県、以前さつきのひかりのヒーリングをお受けになったことがある方は、前回のご感想を一緒にお書きください。私もとても嬉しく励みになりますし、書くことでご自身の気づきも深まるかと思います。※他の記事へのコメント・メッセージ等は無効になります。お返事もできませんので、ご注意ください。★ヒーリングの種類その時々のテーマとともに、純粋な愛のエネルギーによるヒーリングを、お申し込みいただいたご本人、住んでいる土地、ご先祖さまがた、にお送りいたします。もっともシンプルで、誰にでも入りやすく、心の癒しには一番効くのだそうです。ハートが癒されると、ふんわり開いてご自分にとっていいものがたくさん引き寄せられてきます。キラキラをたくさん引き寄せちゃいましょう♪♪★初めましての方は、フリーページをご一読くださいませ^^→→「ヒーリングについて(http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/4000)」※よくあるご質問もまとめてあります。ご質問の前にご覧下さいね^^★喉が渇くことがあります。また好転反応が出た場合に楽に流すためにも、白湯などの水分をとられることをお勧めします。★エネルギーやヴィジョンを感じるワークではありません。リラックスして、寝るつもりでゆったりとお布団で受け取ってくださるといいと思います♪★車の運転など、注意力・集中力を必要とする場面では、絶対にヒーリングを受け取らないでください。 眠くなることがありますので、危険です。万一そういう事態になった場合には、「私は今はヒーリングを受け取りません。後ほど布団に入るときに改めて受け取ります」とはっきり宣言してください。★ヒーリングは医療行為ではありませんので、受けたことで怪我や疾患が良くなったり悪くなったりするというものではありません。変化はご自身が望まれたことを後押しするために現れます。ご自身の判断と責任によりお受けくださいね。4/21 インナーチャイルドヒーリング天使の森保育園、開園♪
2009年04月19日
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昼下がり、クリロズのトールの部屋で、無造作に壁に立てかけてある長剣をジョゼはじっと見つめていた。 長身の師匠に合わせるためか、いつだったか通りの武器屋で見せてもらった剣よりもさらに少し長い。 師匠はこれを使うんだ・・・・・・。 握った両手をぐっと胸にひきよせた体勢で、彼は鞘に入った剣をくいいるように見ていた。 「持ってみるかい」 モニタを見ていたはずのトールが言う。師匠がこちらを見ているとは思わず、少年は驚いて顔を上げた。 トールは椅子から立ち上がると鞘ごと剣をつかみ、すらりと抜いて柄をジョゼに向けた。 「ほら、持ってごらん」 半透明の白い刀身が、鋭い光とともにジョゼの顔を映している。トールの青灰色の瞳はいつもどおり優しかったが、なにか逆らえない強さがあった。 ジョゼは恐る恐る両手を差し出し、師匠から剣を受け取った。 いいかい離すよ、という声とともに、鋼の重さがすべてジョゼの手にかかってくる。トールが軽々と片手で扱っていた剣は、少年の小さな手には非常に重く、みるみる剣先が下がって、がつん、と音をたてて床にぶつかってしまった。 「大丈夫、そのくらいでその剣は傷つかない。持ち上げてごらん」 その言葉にジョゼは渾身の力をこめたが、その後はどんなに頑張っても、水平に持ち上げることさえできない。 武器屋で剣を見せてもらったときもそうだった。悔しさと、なんでこんなに重いものを皆振りまわせるんだ、という疑問とが同時に少年の頭に渦巻く。 「セキュリティを学びたい、と君は言ったね」 弟子の手から剣を受け取り、手元を見ずに鞘におさめてトールは言った。 妖精のために新しい機械を作っていたジョゼが、追いつめられたような顔でセキュリティを教えてくれ、といってきたのはつい数日前のことだった。 「セキュリティというのは楯の技術だ。よりよい楯を作るためには、剣のことも知らなければならない。わかるかな」 「はい、わかります」 悔しそうな表情を残してジョゼはうなずいた。持ち上げられもしないのに、振り回したり知ることなんてできやしない。自分自身の未熟さが呪わしかった。 弟子の思いに気づいたトールは声をやわらげた。 「剣の修練をしろといってるわけじゃないよ。君にはまだ早すぎるし、たぶん必要のないことだ・・・・・・それにこの剣は普通より長いからね、君が持ち上げられなくても嘆く必要はない」 「でも、師匠」 大きな瞳で噛みつかんばかりの少年を、穏やかに抑えるしぐさで落ち着かせる。 「そうじゃない。剣なんてものは象徴にすぎない・・・・・・。 君がまず覚えなければならないことはね、ジョゼ、誰かを護ることは他の誰かを傷つけるかもしれないということだよ」 「・・・・・・」 「セキュリティは何かを侵入者から護る。成功すれば、当然侵入者からは恨まれることになる。 剣はなにかを護るために使えるが、そのために何かを斬れば、斬ったものからは憎まれる。たとえ光の意思のもとに斬ったとしても、それが相手に伝わるとは限らない。 セキュリティをほどこすということは、誰に憎まれても自分の立場を明確にする、ということでもある」 「ジョゼ、君は妖精たちに機械を作るんだろう。その機械のことだけなら、こんな話は必要ないかもしれないけどね。もし君がセキュリティについて根本から学ぼうと思うなら、大切なことだよ」 青灰色の優しい瞳が、包み込むように彼を見ていた。 自分が考えていたよりも深いことを教えてくれようとしているのだと気がついて、ジョゼは唾を飲みこみ、はい、と大きくうなずいた。 リリリ、とモニタの奥で小さな鈴が鳴った。 トールの操作する3Dモニタの中で、クリロズの全景とそれをつつむ結界魔法陣が光の線で表される。その一画に小さな赤い点が点滅していた。 「穴が開いたな。・・・・・・ジョゼ、君はどうする?」 立ち上がって手にした長剣に、少年の目がくぎづけになったのを知ってトールは尋ねた。そうしながらクリロズ管理人役のシュリカンと心話を開始する。 (シュリカン、僕だけど。結界に小さい綻びを発見、直しにゆくよ) (了解。坊やを連れてくと危険じゃないか?) (急いでいるようだから。現場を見れば勉強になる。危険から切り離されたセキュリティなんてないからね) (確かにな・・・・・・気をつけろよ。もっともおまえに言うまでもないが) 心話を終えてジョゼに視線を戻すと、少年は決意を秘めた瞳で師匠を見ていた。 「僕・・・・・・ご一緒してもいいですか?」 気合を入れたときの癖でへの字口になっている彼に、かまわないよ、と微笑む。 トールは入り口の扉に向かおうとした少年をひきとめ、反対側のバルコニーへの掃き出し窓を開けた。 バルコニーに出る、はずだった。 しかしジョゼが両足を踏み出したとき、そこはバルコニーではなく、クリロズの館からすでに離れた庭の端であった。空間移動の魔法陣が組んであったのだ。 「シル、ユン、早いね」 すでに放たれていたトールの心話によって、巨大な白竜のシルヴァン(シル)と黒竜のユアン(ユン)が森のはずれの空き地に翼を休めていた。トールに応えて小さなうなずきを返す。 「シル、今日はこの子を乗せてあげてくれるかい。ジョゼという僕の弟子で・・・・・・ジョゼ、シルヴァンだよ。黒い方がユアン。二頭とも、僕の古い古い相棒なんだ」 お互いエネルギーの認識はしていただろうが、礼儀としてトールは言葉で紹介をした。二頭に会うのが初めてのジョゼは、緊張しきった面持ちで頭をさげる。ドラゴンライダーの話はよく聞いていたし、下の家には何匹ものドラゴンがいるにはいたが、自分が乗るのは初めてだった。 (鞍がいるだろう、トール) その場にいる全員に、シルヴァンの重厚な心話が届く。そうだね、と言って錬金術師が指を鳴らすと、白竜の背にジョゼにちょうどよさそうな大きさの鞍とつかまるための手綱が出現した。 白竜は自分を乗せることに同意してくれたらしい。誇らしい気持ちで、ジョゼは礼を言った。 「では行くよ、しっかりつかまって。風は寒いからマントがいるね」 ジョゼがおぼつかなげに白竜の背に乗るのを手伝ってやり、自分とお揃いの瑠璃色のマントを着せかける。 少年が大きな白銀の背におさまるのを確認すると、トールは黒竜の方をむいて大股に踏み出した。 走るように二歩、三歩。四歩めにはその長身を黒竜の背に跳ね上げている。こころえた竜もタイミングをあわせて上昇をはじめ、鞍もなにもない裸の背に悠々と乗りながら銀髪の錬金術師は虚空の人となった。 (子供よ、行くぞ) ぽかんと口を開けて見とれるジョゼの周囲で風がうずまく。一瞬おいて、少年も師匠の後を追って舞いあがった。 「う、うわあー! すごいすごい!!」 力のかぎりしっかり手綱を握って、ジョゼは歓声をあげた。風をきって飛ぶドラゴンの力強い背が、こんなに気持ちよいものだとは知らなかったのだ。 前方には黒竜にまたがり瑠璃のマントをひるがえす師匠の背が見えている。あんなふうになりたいな、とあらためてジョゼは思った。 彼らは先ほどモニタで見た一画へ向かっていた。館の裏側、裏庭の端の上空部分。普段あまり人が見上げたりもしないだろうと思われる部分だった。 トールが向かう先の虚空に、青空の中黒い染みのようなものが見えていることにジョゼは気づいた。 (気づいたかい? あれが穴だよ) 師匠の心話が届く。 (クリロズはたくさんの人が訪れられるように、ぎりぎりまで波動もセキュリティレベルも下げているからね。ときどきこうやって穴が開くんだ) (どうやってふさぐんですか?) (まず黒いものを浄化してから、だね。元々、哨戒空域にエネルギーを流して浄化してはいるんだけど・・・・・・たまに紛れ込むんだ。シル、ジョゼを頼むよ) 向かう速度を緩めずにトールが腰の長剣を抜き放つ。午後の陽光を反射して、その刀身がきらりと光った。 (承知)短い心話とともに、ジョゼを乗せた白竜は進むのをやめた。憧れの師匠から離されて、ジョゼは声を荒げた。 「なんで!? 僕もあっちへ行きたいよ」 (トールの頼みだ。子供よ、お前を危険にはさらせない) 「子供じゃないよ! 僕、ジョゼっていう名前があるんだから」 白竜の波動は笑ったようだった。 (黒髪の子よ。お前が真の魔法使いになったなら、その名で呼ぼう。 それまでは彼の戦いをここで見ているといい・・・・・・。それともお前の師は、子供の助けがなければ勝てぬのか?) ぐっとジョゼは詰まった。そんなわけがなかったからだ。むしろ足手まといでしかないところを、現場を見せるためにわざわざ連れてきてくれているのだと、聡い少年はちゃんとわかっていた。 (そら、言い争いをしている場合ではないぞ) シルヴァンが長い首をふりあおぐ。その先ではすでに前哨戦が展開され、ジョゼはあわてて視線を戻した。 結界の破れ目から侵入した黒い霧状のものが、一人と一頭におそいかかる。黒竜ユアンは首をひとふりすると、大きな紫の炎を吐いた。 金粉をまぶしたような炎に焼かれて、黒いものの一陣が跡形もなく消えてゆく。 一方、トールはユアンの背に立ち上がっていた。揺れる黒い背に危なげもなく立ちながら、右手の長剣を顔の前に構える。刀印を結んだ左手を鍔元にそえて、呪文を唱えたらしいとジョゼは思った。 黒竜の炎を逃れた黒いものが、師匠の頭上からなだれをうって飛びかかる。あぶない、とジョゼが呟く間に、トールは片足を半歩ひいて斜め上に黒雲を切り払っていた。 間髪入れずユアンが下降旋回し、上昇して邪に正対する。 その隙にトールの左手は魔法陣を完成させ、結界の綻びをきれいに直していた。退路を絶たれた黒いものをぎりぎりまで引きつけてから、一気に剣で浄化する。少年の方へ逃げようとしてきたわずかな黒雲には、シルヴァンが明るいオレンジ色の炎を吐いた。 炎や剣に触れた場所から、黒いものが光に変わって消えてゆくのにジョゼは気づいていた。やはり師匠は、ただ力任せに斬っているだけではないのだ。 旋回して残りがいないかを確認すると、剣をおさめてトールはジョゼのそばに戻ってきた。最初と同じくユアンの背に座っている。 「おかえりなさい、師匠! すごかったです!」 上気してジョゼは叫んだ。やはり男の子であって、気づいたもろもろは別にして、格好いいと単純に興奮してしまうのは仕方のないことだろう。 憧れを目の当たりにして、僕も剣がほしいと少年は思った。ミカエルに剣を頼んだことがあったが、小さな小刀しかもらえず、かわりにラファエルにロッドをもらったのだった。 (子供よ、ミカエルが与えなかったなら、それはまだその時ではないか、お前には必要ないということだ) シルヴァンの声に思わずふくれる。 えーだって、といいかけた少年の口を、続いた白竜の心話がふさいだ。 (黒髪の子、妖精の血をひく子よ。お前はトールになる必要はない。お前はお前になることだ) 目をみはったジョゼの姿を、館に戻る道すがらトールは前方からちらりと振りかえった。初対面でシルがあれだけ話すということは、彼を気に入ったらしい。 (聡い子だ。次代の魔法使いだな) 笑いを含んだ波動をしぼってユアンが言った。 (そうなんだ。楽しみだよ) トールは微笑んだ。 帰ったら、少年が上級のセキュリティに関する授業を受けられるように手配しておこう、と考えながら。 **************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。4/21 インナーチャイルドヒーリング天使の森保育園、開園♪
2009年04月18日
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届いたよ~~~~~!とりあえずうれしいので記念!じぇいど♪さん、青い月さんおめでとうございます!!!←こちらから注文できます♪
2009年04月17日
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天使の森保育園、ご参加どうもありがとうございました♪mixi等にご感想を書いてくださる方もいらっしゃり、ありがたいかぎりです。で、やっぱりこれも3回シリーズかな~って気がするので次回もよろしくお願いいたします(^^)ちょうど自分の中でも癒されてない人が出てきちゃって、自分的にもタイムリー・・・ orzあ、それはそうと!「なにが見えてる?」がついに発売されましたよ~~~~~!!2009年4月27日(月)9:59までに楽天から購入されると、なにみえ専属錬金術師仕込みwのカード特典がもらえます♪さらに今なら送料無料キャンペーン中♪私は予約してあったので、いつ届くかなあ。わくわく。まだの方はぜひクリック!↑「天使の森保育園」は、ヒーリング受け取り時間中に、あなたの胸の奥に住む子供さん(インナーチャイルド)が来ることができる場所です。イメージワークではありませんので、無理にこられる必要はありません。普通にヒーリングを受けるだけというのも、もちろん可能です♪保育園、って名前ですけど、大きな子から大人でも大丈夫です♪パワーアニマルさん、アナザーセルフさん、サポーターさん達もどんとこい。お好きな場所でゆっくり過ごしたり、遊んだりしてくださいね♪もちろん、来たいと思ったときだけで、無理に参加する必要はありません。来たいと意図していただければ、ドラゴンや天使がお迎えに行きます♪園の保育士さんは天使たち。こねこエプロンのミカエル先生、それにひよこエプロンのラファエル先生とか、こいぬエプロンのガブリエル先生とか。ウリエル先生にローズオーラ先生、レミエル、ルシフェル、メタトロン・・・たくさんの天使たちが、あなたの思う格好をして、小さなあなたと遊んでくれます。園では、会いたい人としか会わないようになっています。お友達と一緒がよければお友達と、のんびり一人がよければそのように。人がたくさんいすぎて嫌になる、ということはないので安心してくださいね。園庭はとても広くて、草が生えているので転んでも大丈夫。色とりどりのお花もたくさん咲いています。木登りにうってつけの大きな樹もあるし、きれいな小川の流れているところも。奥のほうに明るい森もあって、探検することもできます。きれいな石を探したり、皆でおにごっこやかくれんぼもできますよ。小人や妖精、竜やペガサス・・・。想像の中にしかいないと思っていた存在たちと会ったり一緒に遊んだり、できるかもしれません。園は純粋な愛のヒーリングで満たされ、ハートがふんわりと開かれていきます。あなたを脅かす何者も存在しません。あなたは安全な場所にいて愛され、あなた自身でいることを許されています。どうぞ安心して遊んでくださいね。園舎は明るい色の木でできていて、いい香りがします。お部屋にはたくさんの絵本があり、お絵かきや積み木、ままごとでも遊べます。壁際にある棚を探してみると、あなたが大好きだったおもちゃが、そっと置かれています。探検したくなるような、秘密の部屋、不思議な部屋もあります。王子様やお姫様ごっこをして遊べる衣裳部屋、なりたかった職業になって遊べる部屋。お腹にいた頃や、まだ歩けない頃の赤ちゃん達が遊んだり、先生に抱っこされて眠ることができる暖かな部屋。大きな子のためには、面白い本やパズルがいっぱいの図書館や、月や星の見える夜の部屋もありますよ。もしも怪我をしたり、痛いことがあったら、ラファエル先生の保健室へ行ってください。優しい先生が、すぐに治してくれます。保健室にはふかふかのベッドも、あたたかいお茶も用意してあります。そこでゆっくり休んでもいいですよ。お腹がすいたら、先生達と一緒におにぎりやホットケーキなど、好きなものを作って食べましょう。我慢しないで、好きなだけ食べていいのです。お腹がいっぱいになったらお昼寝はどうでしょうか?園舎のお部屋でもいいし、外の木陰もぽかぽか暖かいです。ふかふかの毛布やタオルケットを、たくさん用意してあります。おねしょしちゃっても大丈夫^^先生の魔法で、すぐに乾いちゃいますからね☆ここでは、「しなくてはならないこと」は何もありません。寂しすぎて、友達の輪にも入りたくないくらい寂しいときは、どうぞ一人でいてもいいんです。あなた専属の先生が、暖かく見守っていてくれます。そう、この園の最大の自慢は、「先生のひとりじめができる」ことなんです。天使達は、誰のそばにも同時にいることができるのですから・・・。好きなだけ先生達と遊んでいたっていいんです。自分が満たされて自信がついてきたら、ゆっくりお友達の輪に入ればいい。急ぐことは何もないのです。先生達は、あなただけをしっかり見ていてくれます。もし、安心することで寂しんぼうが浮かび上がってきたら・・・「暴れたいさん」が出てきてしまっても、大丈夫。先生がすぐに抱きしめてくれます。あなたが「本当はしたくないけど、してしまいそうなこと」を、先生はぜんぶ抱っこして止めてくれます。だから安心して、思いのたけを言ってくださいね。罵詈雑言になってしまってもいいんですよ。大泣きしていいのです。先生たちは、その奥のこころが寂しがっているんだと・・・抱きしめてほしいのだと、ちゃんと知っています。あなたの気持ちを、まっすぐに受け止めてくれます。もしも、ヒーリング時間が終わってもまだ暴れたいさんがいる場合には、どうぞ先生に引き続き護ってくれるよう、お願いしてください。日常の生活の間もずっと、天使はあなたを護ってくれています。時間になると、天使があなたを肉体に戻し、きちんとグラウンディングさせてくれます。安心して日常の時間へとお戻りください。また、寝落ちする方が多いかもしれません。表面意識にイメージを上らせるよりも深層に癒しを及ばせた方がいい場合、寝落ちになります。なので、何も感じませんでした~とか嘆かれないで下さいませ。それが必要であったということですから^^みなさまの「天使の森の保育園」でのひとときが、素敵なものでありますように。 よろしかったらぽちっとお願いします♪→★リアルタイム日時 2009年4月21日(火) 21:30より1時間(日本時間)★コールイン受け取り可能時間 日本時間で上記日時~4月22日(水) 20:30開始まで ※とくに決まった宣言文はありませんが、よいお時間に 「さつきのひかりのヒーリングを受け取ります」と宣言していただければ大丈夫です。 ★募集期限リアルタイム直前(火曜21:30)まで★参加ご希望の方はこの記事(エラーになってしまう場合、mixiの同名記事)のコメント欄に、HN(ハンドルネーム)と都道府県、以前さつきのひかりのヒーリングをお受けになったことがある方は、前回のご感想を一緒にお書きください。私もとても嬉しく励みになりますし、書くことでご自身の気づきも深まるかと思います。※他の記事へのコメント・メッセージ等は無効になります。お返事もできませんので、ご注意ください。★ヒーリングの種類その時々のテーマとともに、純粋な愛のエネルギーによるヒーリングを、お申し込みいただいたご本人、住んでいる土地、ご先祖さまがた、にお送りいたします。もっともシンプルで、誰にでも入りやすく、心の癒しには一番効くのだそうです。ハートが癒されると、ふんわり開いてご自分にとっていいものがたくさん引き寄せられてきます。キラキラをたくさん引き寄せちゃいましょう♪♪★初めましての方は、フリーページをご一読くださいませ^^→→「ヒーリングについて(http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/4000)」※よくあるご質問もまとめてあります。ご質問の前にご覧下さいね^^★喉が渇くことがあります。また好転反応が出た場合に楽に流すためにも、白湯などの水分をとられることをお勧めします。★エネルギーやヴィジョンを感じるワークではありません。リラックスして、寝るつもりでゆったりとお布団で受け取ってくださるといいと思います♪★車の運転など、注意力・集中力を必要とする場面では、絶対にヒーリングを受け取らないでください。 眠くなることがありますので、危険です。万一そういう事態になった場合には、「私は今はヒーリングを受け取りません。後ほど布団に入るときに改めて受け取ります」とはっきり宣言してください。★ヒーリングは医療行為ではありませんので、受けたことで怪我や疾患が良くなったり悪くなったりするというものではありません。変化はご自身が望まれたことを後押しするために現れます。ご自身の判断と責任によりお受けくださいね。
2009年04月17日
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ジョゼの本体から相談のメールがきたのは、とある夜のことだった。 ジョゼより年上の、サバト、というネガを背負った分身がいる。 三次元の共通の友人のハイヤーから、あまりにも痛々しいサバトに浄化のワークをして、学びを受け入れるところまで誘導したいから、トールの勤める学校の校長室(この校長もその友人の守護者である)に連れてきてほしい、と言われた。 だがジョゼでは連れて行くことができそうにない、相談に乗ってもらえまいか・・・・・・という内容だった。 そのハイヤーも校長も、トールは旧知の人物だ。特に校長は、簡単に何年と数えられないくらい、古い古いつきあいがある。 相談を快諾し、トールはサバトに会いに行った。 クリロズのジョゼの部屋にいるというので行ってみる。 ノックして入ると、背中に黒い羽をもつ、物静かな十七歳くらいの少年がいた。 外見は落ち着き払っているようだが、その瞳が孤独の色をしていることにトールは気づいた。 「こんにちは、こうして会うのは初めてだね。トールといいます」 「・・・・・・サバトです。いつもジョゼがお世話になっています」 サバトはぺこんと頭をさげた。トール師匠と会うようになってからジョゼはとても楽しそうに授業に出たり、妖精の機械を改良したりしていて、その笑顔が彼には嬉しかった。 「こちらこそ。ジョゼはとてもいい子だから」 トールは微笑んだ。ジョゼが褒められると、サバトの瞳がとても嬉しそうに輝く。 「君が、あの子のことをずっと護ってきたんだね?」 あまり語ろうとしないサバトと、ぽつりぽつり会話してからトールは言った。 「あの子はとても愛されて育った子だ・・・・・・君がそうしてきたんだね? ジョゼは気がついていないようだけれど」 「・・・・・・」 「君はとても優しい子だね。君も愛されていいんだよ、サバト」 穏やかに言うと、少年がふっと顔をそむけた。そしておもむろに背中の羽を広げ、窓から外へ飛び立ってゆく。 「サバト」 呼びかけにも彼は答えず、歯をくいしばるような表情で空高く舞い上がる。いつもこうして、ジョゼや自分自身の追及をかわしてきたのかもしれなかった。 トールは長身を曲げて窓枠をくぐり、足先でそれを蹴った。 彼の背に、サバトのものよりもずっと大きな黒い翼が現れる。銀髪が風に流れ、トールはやすやすと少年に追いついた。 「見てごらん。僕も変わらないよ」 前に回ると、急停止したサバトはまん丸に目をみはった。 「トール先生・・・・・・天使だったんですか? それに、その色」 「まあ、色々な生をやってきているのは確かだね」 大ざっぱすぎる説明をして肩をすくめてみせる。運命はさまざま綾もようを織りなしていたが、それを今ここで説明することはできなかった。 自分の孤立の象徴であった黒い翼を見せられて、サバトの表情が揺らぐ。 「もう、光も闇もないんだよ。君は時代の流れのうち、必要で重要な役目をあえて引き受けた、とても勇敢な魂なんだ・・・・・・ それを誇りにしこそすれ、罪に思う必要なんかどこにもないんだよ」 トールが微笑むと、サバトはほんとに?という目で見た。今までは仕事とジョゼのことばかり考えてきた。急な展開に、とまどい半分、嬉しさ半分で考えがまとまらない。 彼を安心させるように、かさねてうなずくトール。 「君を校長室に連れてきてほしいと言われたけど・・・・・・。いきなりじゃ辛いようなら、僕の家にこないかい? 部屋もいっぱい余っているしね、なにより静かだよ」 暖かな青灰色の瞳がサバトをつつむ。君がいないあいだ、ジョゼのことは僕に任せて、というトールの言葉にサバトはこくんとうなずいた。 「よろしくお願いします」 「決まりだ。じゃあ、君専用の部屋を用意しよう。セキュリティにはちょっとばかり自信があるから、安心して眠れるよ」 サバトはきっと、自らの過去からもジョゼを護るためにも、いままで黒いものに過敏に反応してきたのだろう、とトールは感じていた。 ルキアにはそういうものは一切入ってこられないから、彼もゆったりくつろげるはずだ。 少年の手をとってとりあえず部屋に戻りながら、ふと気づいたようにトールは言った。 「そういえば君、羽はいつも出しっぱなしかい? 寝るとき大変だろうに。よければ今度しまい方を教えてあげよう」 大きな翼を一瞬で消して窓枠をくぐるトールに、サバトは不思議そうな視線をむけた。 銀髪の錬金術師、黒い大きな翼、セキュリティの専門家、学校の講師にして校長の旧友。いったいこの人は何者なんだ? 「・・・・・・先生、本当は白い羽もあるんじゃないですか」 なんでもありなんじゃないかという気がして、あてずっぽうに言ってみる。言いながら、黒い羽は実は魔法の産物なんじゃという気もしてきた。 「おや、よくわかったね」 窓枠をくぐるサバトを見ながら、本気とも冗談ともつかない表情でトールは笑った。 **************本日2個目の記事です~。なんかアップしとけ、って感じなので(笑)この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。トールとデセルさんが色々楽しく仕込んでる本は「なにが見えてる?」!なにみえ専属錬金術師仕込みのカードを手に取ってみたいかたは、2009年4月27日(月)9:59までに楽天から購入されると特典がもらえます♪さらに今なら送料無料キャンペーン中♪物語を書くほうが忙しくてお返事遠慮させていただいておりますが、ご感想大大大募集中です!!執筆者に愛の手を~~~~~♪トールの謎がじわじわ明らかになって・・・きたかな?拍手がわりにぽちっと♪→
2009年04月16日
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ものがたりを怒涛の更新しておりますが。ここらでいっぷくして、いただきもののご紹介など♪RAMUKAさんからいただいた、保健室のラファ先生です~♪「描いてみたら、保健室の先生と言うよりはなじみのカフェのマスターでニコニコ笑いながら、いろんな話を聴いてくれる。って感じだったので、こんな絵になりました。何気にカップを持ってるのはそんなわけです。」とRAMUKAさん。 カフェのマスター、いいなあ~。こんなマスターがいたら通いたい(笑)淡くて優しい色使いがとっても素敵です♪色合いだけでも癒されそう。ラファエル先生の保健室は、なにみえ遠足のサポートとして遠足前後3週間くらい開催してるゲリラヒーリングですがもちろんどんなフィルターでもお好みでいいわけで♪またそのうち開催することもあるかなあと思うのですが、そして保健室だけでなく、天使の森保育園もそうですけどwイケメン先生もよし、カフェのマスターもよし♪お好みのラファ先生に癒されていただければと思います~(^^)RAMUKAさん、本当にありがとうございました!ご紹介が遅れてすみませんっ(^^;拍手がわりにぽちっと♪→
2009年04月16日
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ザッ、とトールはカードを紫檀の机に広げた。 カードは全部で三十六枚。それぞれにメッセージがつき、うち二十八枚はの表は七つのチャクラカラーに色分けされ、残り八枚はスペシャルカードになっている。 模様が描かれた裏面を上にして、トールの手がそれをシャッフルし、山にまとめて一枚めくった。 カードのメッセージを読んで、悪くはないけれど、まだいまいちだな、とトールは評価した。 「どう思う、デセル?」 仕事を手伝いにきてくれていたデセルは、明るいペリドットの瞳をきらめかせてカードを注視した。 「そうですねえ」 その手がカードを卓上にひっくりかえしてゆく。 デセルは神殿時代の筆頭技術者であり、エネルギー制御の技術は群を抜いている。彼が手伝いにきてくれるのは、願ってもないことだった。 「これなんかいい反応してますけど。メッセージによってエネルギーの質量が違うんだな・・・・・・」 「そうなんだ。で、七かける四、足す八だろ。横糸にエレメントを入れ込んだら安定するんじゃないかな。それから裏表紙と連動させて・・・・・・」 「たしかに。やってみましょう」 二人とも職人気質なところがあるので、凝りだすと止まらない部分がある。 チャクラカラーに対応するクリスタルのエネルギーを対比させたらどうか、動力源はどうするか、恒久性は、などさまざまな議論がかわされ、自宅敷地ルキアの研究室には、その夜遅くまで灯りがついていた。 真夜中もすぎたころ、トールは机にかがみこむようになっていた背中をのばして大きく息をついた。 「そろそろ寝ないと本体に文句言われるな。デセル、遅くまでありがとう」 「あ、いや」 顔だけあげてデセルが答える。しかし心はまだ半分以上机の上の魔法式にとらわれていることが、その表情からわかった。 「ちゃんと寝なきゃだめだよ。まだ納期には日があるんだし、ベッドは君の部屋に用意してあるから」 親友の肩を叩いて笑いながらトールは言った。外見よりずっと広い建物内には、客室やヒーリングルーム等、いくつも部屋がある。その中に、デセルの専用客室もきちんとあった。 おやすみ、と手をふってトールが研究室を出て行く。彼の本体に倒れられては元も子もないから、デセルは手を振りかえして、散らかった机の上を眺めた。 部屋の半分ほどを占めていそうな大きな作業台の上に、多面体の模型、魔法式や魔法陣を書き込んだ何枚もの紙、いくつものクリスタル。どれも必要な場所に置いてあるので、仕事が終わるまで片付けるわけにいかない。 マグカップに手を伸ばして、すでに冷えかけた茶で喉をうるおす。 もうすこしやってしまおう、と彼は思った。 明日、銀髪の錬金術師が驚く顔を見たい。そうしたらトールの分身である彼女も、きっと喜んでくれるだろうから。 デセルは大きく伸びをして、また机に向かった。 翌朝、背中の痛みでデセルは目覚めた。 顔をしかめてあたりを見回すと、落ち着いた色の床と机の脚が目に入った。どうやら昨日あのまま机につっぷして寝てしまい、その後なにかの拍子に転げ落ちたもののようだ。 「いって・・・・・・」 頭をさすりながら呟いてひょろっとした長身を持ち上げ、椅子に座り直す。机のメモ用紙には、ミミズののたくったような字が書きつけられていて残念ながら自分でも読めなかった。 なんとか解読できないものだろうか。メモを見たまま、彼は冷えた茶でも飲もうと左手をマグにのばした。 持ったものの手元が狂い、中身を自分の胸にぶちまけてしまう。 茶色く染まった服を見下ろしてため息をつき、デセルは椅子から立ち上がった。キッチンへ向かおうとして机の角にしたたか右腿をぶつけ、思わずしゃがみこむ。 不運をひととおり呪い終わって顔をあげたデセルの視線の先に、長い銀髪がゆれた。 はっとして見直すと、ドアを半開きにしてすみれ色の瞳が彼を見ていた。 「デセル、そこで寝たの?」 「あ・・・・・・いえ・・・・・・」 寝癖のついているに違いない髪と汚れた胸元と、どっちを隠すべきかと手が意味もなく動く。 「ご飯は? ちゃんと食べた?」 デセルが言いつくろうまえに、腹の虫が盛大に存在を主張する。片手のマグをもてあそびつつ、彼は幼い子供のように赤面した。 噴きだした銀巫女は、いいわ、いらっしゃいと彼をダイニングに誘い、その途中で姿を消した。戻ったときには男物の着替えを手に持っている。 部屋で着替えたデセルがダイニングに行くと、すでに美味しそうな匂いがただよっていた。もう一度大声をあげようとする腹の虫をなんとかなだめる彼の前に、新鮮なサラダやフルーツ、きつね色のトーストなどの朝食が次々と届けられる。 「もう、ちゃんとベッドで寝てねってトールが言ったのに」 湯気のたつハーブティをデセルの前に置きながら彼女が言う。 かけらと統合を果たした後、彼女はマリアと名乗るようになっていたが、まさにぴったりだとデセルは思った。 なるべくがっつかないように自制しつつ、すみません、と彼は謝った。 「ちゃんと専用の部屋があるのだから、使ってちょうだいね。心配だから」 マリアは自分の分のカップを持って、デセルの前の席に腰かける。忙しく口を動かしながらデセルがうなずく・・・・・・なんだかやたらニコニコしていて、話はあまり聞いていなさそうだ。 案の定、彼はトーストを口に入れたとたんに激しくむせてしまった。 ハーブティを飲んで照れ隠しに笑う彼を見ていると、マリアもこらえきれず笑い出した。 「それで、仕掛けはうまくいきそうなの?」 「ええ、あと少しで。・・・・・・そういえば、彼は?」 「岩山の小屋へ行ってるわ、本はあそこが多いから。もうひとりはクリロズで結界点検、あとは本体の新居の調整」 マリアは優雅にハーブティを口に含んだ。もうすぐ来ると思うわよ、と続ける。 デセルはもったいないような気持ちで、最後の果物を飲み下した。甘酸っぱい味が喉をすべりおりてゆく。 両手をあわせて、ごちそうさまでしたっ、と頭を下げる彼の前の皿は、すべてきれいに空になっていた。 「おそまつさま。足りたかしら?」 身体ごとうなずく彼に微笑み、マリアの指が楽器を弾くように机の上を踊った。食べ終わった食器がきれいになくなって、おかわりの暖かいティーポットが現れる。このあたりの鮮やかさは、やはりトールと同一の魂なのだと感じさせた。 爽やかな味のハーブティを飲み終えて、デセルは幸せな気分で礼を言い立ち上がった。 床で寝た背中の痛みも、この朝のためだったなら悪くはない。 そう思っていると続いて席を立ったマリアがやってきて、彼の背に手をあてた。 「床で寝たなら痛むでしょう。もうそんなことしてはだめよ」 彼女の手があたったその場所から、すみやかに痛みがひいてゆく。 最高の朝だ、とデセルは思った。 ちなみに、その日の昼。 「デセル、そろそろ昼、どうだい?」 「・・・・・・」 「昼だよ」 「・・・・・・」 「デーセール」 「・・・・・・」 「デセル! 昼!」 「・・・・・・あー?」 四回目の呼びかけにして、ようやく金茶の髪の男は生返事をした。視線は手の中のカードと、浮かび上がる模型から外さない。 デセルの方が凝り性なのか、マリアという別人格がいる分トールの方が生活にも気を配りやすいだけなのか、は判断しがたいところではある。 しかしこのままでは埒が明かないと思ったトールは強硬手段に出ることにした。 デセルが夢中になってくれるのは嬉しいが、彼の本体に影響が出ては困るからだ。 猫に似たデセルの目が見つめる多面体の先で、突然空間がぐにゃりと歪み、亀裂ができた。 ダイニングを映した亀裂はどんどん大きくなり、やがて技術者二人を飲み込んでゆく。 デセルが目をみはり、まばたきひとつするうちには、彼らはダイニングのテーブルについていた。 「デセル、お昼ごはんよ」 ほかほかのスープを皿によそいながらマリアが微笑む。 彼らは「時間」に割り込んだのだ・・・・・・とデセルは気づいた。このダイニングテーブルから離れれば、時間は彼が生返事していたあの瞬間に戻る。 時間がもったいないから、という彼の言い訳を完全に封じられた形だ。 「さあ召し上がれ」 二声合唱で言われて、デセルは頭をかいた。 旨そうな匂いに、忘れられていた腹の虫のほうが先に応答していたのだった。 **************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。↑トールとデセルさんが色々楽しく仕込んでる本、「なにが見えてる?」はこちら!・・・・・・って売り切れになってるよ?! すごっ(笑)新刊なのですぐ補充されると思いますけどね。重版とかねwwwwなにみえ専属錬金術師仕込みのカードを手に取ってみたいかたは、2009年4月27日(月)9:59までに楽天から購入されると特典がもらえます♪さらに今なら送料無料キャンペーン中♪仕込み、実際3次元でちゃんとできてんのか・・・!?と私とデセルさんのご本体とひそかにかなり悩んだんですが(だってこんだけ言ってできてなかったら 笑)、ものすごいエンジェルナンバーのオンパレードがあったので、どうやらできてるらしいですよwお楽しみに~♪物語を書くほうが忙しくてお返事遠慮させていただいておりますが、ご感想大大大募集中です!!執筆者に愛の手を~~~~~♪拍手がわりにぽちっと♪→
2009年04月15日
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広い広い天のどこか。 闇の花園と対をなす、光の花園が生まれていた。 かつて女主人がロストしていたため、長く打ち捨てられていた花園。それが今や柔らかな春の光をたたえ、色とりどりの花が咲き乱れていた。 (おかえり) (おかえり、巫女姫) そよ風にゆれる花々から、そんなささやきが聞こえる。 ここは闇の花園と同じく、すべての魂の憩う場所。 光も闇もへだてなく、ただ存在することを許される場所。 生まれゆく魂も、役割を終えて還る魂も、旅の途中にひととき憩うて道を探すことができる。 花園の中心に、銀巫女がゆったり座っていた。 手に小さな鈎針のようなものを持ち、空間を紡いでレース編みをしている。 編みこむのは土地や風や光、やさしいこころ。 ときどき妖精や精霊たちがやってきて、彼女になにか渡してゆく。 彼女はにこにこと話してそれらを受け取り、手元の糸に重ねると、糸は綺麗な虹色に染まった。 (おかえり、マリア=ソフィア。いや、マリアかな?) 純白の毛並みのユニコーンがやってきて、彼女の膝に鼻先をこすりつけた。 マリアは優しくその首を撫でて微笑む。 「そうね、ソフィアはまだね」 ユニコーンの澄んだ藍色の目の中に、黒髪の銀巫女が映っている。ゆるやかに曲線を描く長い黒髪に黒いドレス。瞳は同じすみれ色だ。 黒髪のソフィアは、かけらと統合を果たした際に現れた存在だった。これからさらに統合に向かうのかもしれないし、そうではないのかもしれない。 どちらであれ、必要なことが起こるのだとマリアは知っていた。 ユニコーンは首をあげて優しい目で彼女を見ると、視線を下に動かした。 ヒーリング効果のあるこの花園で、マリアより2歩ほど離れたところに背の高い金茶の髪の男が寝転がっている。 ペリドットの瞳と目を合わせてユニコーンは言った。 (ありがとう、巫女姫をとりもどしてくれて) 「いや、どういたしまして」 デセルはあわてて起き上がった。気位の高いことで有名なユニコーンが、彼に言葉をかけるとは思っていなかったのだ。 ユニコーンが去ると、彼は驚いた顔で頭をかいた。 銀巫女は指先を器用に動かして、花や月や星のモチーフをたくさん編んでゆく。 レースの布は彼女の膝からどんどん広がり、各地の見えない存在たちに支えられて 山や川や平地や海にまで広がり、その土地に同化して、大地をやさしく包んでいくようだった。 デセルはまた寝転がり、にこにこしながらそれを眺めた。 肉体に統合してすぐに過労働をしてしまったので、本体がエネルギーに過敏になったりブレがでたりし、しばらくはおとなしくしていなければならない。 普通なら脱走を考えるデセルであったが、ここにこうしていられるのなら文句はなかった。 この花園は次元が高いのか、本体はグラウンディングに四苦八苦しているようだが、まあそのくらいは大目に見てもらうとしよう。 課題がなくなったわけではない。 デセルと本体と二重に契約を交わしている今、悪魔アスタロトとはむしろ共存、あるいは統合の道筋をたどるのかもしれなかった。 光も闇もない世界になってきているなら、天使も悪魔もなくなる、ということだ。 そして内側の鏡が外界なのだから、自分の中の悪魔に気づき、統合するプロセスがあっても不思議ではない。 そもそも二つは同じものよ、とマリアは言う。 だから恐れることはないと。 デセルは人間の生まれで、マリアが見てきたはるかな年月のすべてを知る由もない。 だが彼も時のない神殿で長く過ごして、生粋の人間とは言えなくなっていたし、彼女が言うのならばそうなのだろうと思った。 今、彼の額には虹のしずくがつけられている。もちろん普段は見えないが、人格変換を抑えられるというだけで充分だった。 ずっと自分を保てるなら、繋がっている悪魔との関係もまた変わってくるだろう。 アスタロトをすら想うとマリアは言った。 悪魔と繋がっている自分をずっと恥じてきたが、彼女はなにも否定せず、いとも簡単に受け入れてくれた。 「それがあなたの姿なら、誇っていいのよ。そうでしょう?」 心地よいソプラノが耳によみがえる。 誇る・・・・・・技術に関すること以外で、自分を誇るなど考えたこともなかった。 むしろ否定しよう否定しようとしてきた気がする。 自分の裏切りを赦せずに、生きながら死のうとしていた気がする。 そんな自分でも変われるだろうか。 彼女を護るために、自分の身も護ると誓った。 証のシフォンは、今も大事に身につけている。 誓いを果たさなければならない。 泣かせたくはないな。 やわらかな風薫る花園で、気持ちよくうとうとしながらデセルは思った。 **************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。ものがたりのご感想をくださった皆様、本当にありがとうございます♪うれしい~~~~(感涙物語を書くほうが忙しくてお返事遠慮させていただいておりますが、ご感想大大大募集中です!!執筆者に愛の手を~~~~~♪拍手がわりにぽちっと♪→4/14 インナーチャイルドヒーリング天使の森保育園、開園♪
2009年04月14日
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かけらの自分に意識を合わせると、後ろ手に柱か何かに縛られているところだった。 銀巫女がかすかに身動きすると、かけらを隠していたアスタロトは、驚いたように彼女を見た。 「これはこれは。……その手でくるとは思いませんでしたよ。 失敗すれば最悪の結果になるとわかっていて、よくもまあ」 整った顔立ちに、肩を越える漆黒の髪。秀麗な顔に猛禽のごとき笑いが浮かぶ。 周囲にいるおびただしい魔物たちが、鬱積した重い気配を放っていた。 ばらけてしまった銀巫女のかけらをデセルが必死に探してくれたが、大きなかけらが足らず、彼女はむこうでは目覚めることができない。 巧妙に隠されて取り返せないなら、かけらのほうに集めた残りをあわせるしかない……それが彼女のとった手段だった。 むろん、ここで失敗すれば、デセルの苦労は無駄になってしまう。 けれどもデセルやその本体の手を、これ以上煩わせるのは嫌だった。無茶を無茶としない彼らの姿勢は、ありがたくも胸が痛い。 動けるトールと今の本体のエネルギーをあわせて自己ヒーリングをしつつ、どうにか彼女はこの荒業をなしとげていた。 「気の強い女性は好きですよ。まして美しければ言うことはない」 アスタロトは腕を組み、指先で顎に触れながら、とっくりと女性を見つめた。乱れた銀髪が顔にかかり、エネルギーは弱っていても、なおすみれ色の瞳は強さを失っていない。 「いいですねえ。やはりあなたの魂は、極上の味がしそうだ。 どうやって泣かせようか、目移りしますよ」 「お褒めにあずかって恐縮ですわ。でもあいにく、痛めつけられる趣味はありませんの。 ここから放していただけません?」 アスタロトは笑った。 「それはできない相談です。あなたが我々の手に落ちるなど、めったにあることではありませんのでね」 銀巫女とて、本気で放してもらえると思っていたわけではない。だが今はあまりに衰弱していて、なんとか時を稼がねばならなかった。 それはまた、当然アスタロトも承知していると思われた。 「待っていれば彼が助けにきてくれたでしょうに。わざわざ危険をおかしてここへ来るとはねえ。 彼の苦労が水の泡ですよ」 「それで彼らにもっと無理をさせろというの? ごめんだわ。 彼らには彼らの人生がある。選択は自由であるべきよ」 じわじわと補充されてくるエネルギーを感じながら銀巫女は言った。 それに気づいたのか、アスタロトは彼女を締め上げる力を強くし、にやりと笑った。 「それでは直接交渉といきましょうか。 あなたの魂を食べてしまうのも非常に魅力的ですが、他に甘美な見世物があるなら、それも捨てがたいのですよ。 私は見世物が好きでしてね」 「素敵なご趣味ですこと」 冷たく銀巫女は言ったが、アスタロトは気にもとめない。 「私が見たいのは甘美なるドラマ。あなたが血の涙を流して苦しむさま。これほどそそられる見世物はありません。 どうです……あなたの持つ神の恩恵、その額の封印とひきかえに、ここから放してさしあげましょう」 美麗な悪魔はゆったりと手を広げた。 今生の本体がイメージワークをしていた際、虹色のしずくが額に入ってきたことがある。それが封印の寓意であったことを、銀巫女は知っていた。 「すべてを知って苦しむか、知らずに苦しむか。 元々、あなたの見通す目は簡単に封印できるようなものじゃない。それは神の恩恵があってこそ。 私はまた見たいのですよ、神殿崩壊のような壮大なドラマ、転生そのものに介入するようなゲームをね。あれは素晴らしかった」 「……」 銀巫女が答えようとしたとき、背の高い影が彼女の前に立ちはだかった。 「巫女姫様、彼と契約をしてはいけません!」 それはデセルだった。 「デセル! 来てはいけないと……」 「なんと麗しい、なんと身勝手な愛というもの。互いが相手の行動を台なしにするつもりらしい」 二人の声が重なり、アスタロトが大仰に拍手する。渇いた音が闇に響きわたった。 「デセル。おまえはとっくに私と繋がっている。偉そうなことを言う資格はないだろう」 うってかわって低められた悪魔の声に呼応するように、デセルの額に紋章が浮かび上がる。彼は手をあててそれを隠し、銀巫女から顔をそむけた。 「隠す必要はないのよ、デセル」 銀巫女は言った。デセルの出現で、予想より早く力が満ちてきている。もう少しだ。 いつでも自分を護ってくれる長身を見つめながら、彼女はゆっくりと唇を開いた。 「隠す必要はないのよ。それは強い薬草のしるしみたいなものだわ。 毒草と呼ばれることもあるけれど、それでなければ治らないものもあるのだから…… それがあなたの姿なら、誇っていいのよ。そうでしょう?」 銀巫女はにっこりとデセルに微笑みかけた。 ちょうど急速に時が満ち、華奢な身体を戒めていた縄がふわりと解けて落ちる。 アスタロトが舌打ちした。 彼女は自分の額に手をあてて虹色のしずくを取り出すと、それをデセルに渡した。 「封印のしずくよ。私はあなたの額の紋章なんて気にしないけれど、これを使えば望まない人格の変化は押さえられるでしょう。必要なら使ってちょうだい」 わずかに目を見開いたアスタロトに向き直り、彼女は微笑んだ。 「私にはもう必要ないものなの。 知った上でどんなに悩み苦しもうとも、それでも想うことも想われることも、すべてを経験するために三次元に降りたのだと、ちょうど本体が気づいたところだったのよ」 アスタロトは肩をすくめ、天を仰いで嘆息した。 「なんと……この取引は私の負けです。どんな罰則でも、好きにされればいい」 すると銀巫女は首をかしげ、彼に手を差し出した。 「巫女姫?」 虹のしずくを握りしめたデセルが問う。 その姿を見やって、彼女は視線を悪魔に戻した。 一緒においでなさいな、と微笑んで。 「はっ。何をばかな。あなたはご自分が何を言っているのか、わかっているのですか」 「もちろんよ、アスタロト。封印を手放したのを見たでしょう。 あなたが真実誰であるか……、それでなくても、あなたは彼らと繋がっている。それなら私にとっても仲間だわ」 「ばかなことを…… デセルの本体が私とかわした契約をわかっているのですか」 「知っているわ。 でも、どちらかを選んで泣くのはもう嫌なの。 私はどちらの手も離さない。 相手が離れたいと望むなら別だけれど」 銀の髪の巫女はきっぱりと言い、やや語調をゆるめた。 「もう、光も闇もないのよ。天使も悪魔も、元々同じ生まれじゃないの。 私の仕える主の二つ名を知っていて? そんな区別は表向きのものでしかないわ。 デセルは私を包んでくれる。 私もあなたを想っていてよ、アスタロト」 銀巫女はもう一度彼に手をさしだした。 アスタロトが躊躇しているのを見ると、彼女はついと身体を寄せ、その頬に唇をよせた。 「無理強いはしないわ。気が向いたらいつでも来てくれればいいもの。 ……あなたに、あなたの神の御恵みがありますように」 振り返るとデセルが仏頂面になっていた。 彼女はくすりと笑い、白い手をのべて背伸びすると、ほんの一瞬唇を重ねた。 「助けてくれてありがとう、騎士さま」 **************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。物語を書くほうが忙しくてお返事遠慮させていただいておりますが、ご感想大大大募集中です!!執筆者に愛の手を~~~~~♪拍手がわりにぽちっと♪→4/14 インナーチャイルドヒーリング天使の森保育園、開園♪
2009年04月13日
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穴の中は墨を流したような暗闇だった。 どちらが前か後か、上か下かもわからない。 迫りくる恐怖と孤独に胃が縮みあがり、口中に酸っぱさが広がった。 拳で己の胸を叩き、デセルは歩きだした。なんとしても、銀巫女のかけらを探さなければならない。 前に進んでいるかすら怪しいまま、どれほど歩いただろう。 目が慣れることのない漆黒の闇のずっと奥に、ちいさな光を見つけた。 それは雪野原に咲く一輪の花のように、はるか遠くからでも目立っている。 デセルはねばつく闇を振り払って歩を速めた。 そこには幼い女の子がいた。 肩で切り揃えた銀の髪、見間違えるはずもない、すみれ色の瞳。 女の子のまわりには形のはっきりしない魔物達が集まり、あわよくば喰おうとしている。 白く淡い光が女の子を球のように包んで守っていたが、それももう破られそうだ。彼女は大きな涙を浮かべ、今にも泣き出しそうだった。 「巫女姫さま!」 デセルは剣があったらいいのにと思いながら駆け出した。緑色の魔法陣が女の子のまわりに展開し、魔物を遠ざける。 振り向いた女の子が不思議そうな顔をした。 「だあれ?」 「デセルと申します、姫さま。ルシフェル様より、あなたをお連れするように命じられてまいりました」 「おとうさまから? おとうさまはどこ?」 膝を折って目線を合わせるデセルに、小さな姫はぱっと無邪気な笑顔を見せた。 デセルが神殿に入ったとき、時の流れというもののほとんどなかったあの場所で、銀巫女はすでに一人前の女性であった。 だから彼は、子供時代の彼女に会うのは初めてだ。胸中に暖かいものを感じながら続ける。 「ここにはおられません。ですが、このデセルが必ず……必ずお連れしますから」 途端に姫がしゅんと落ち込んでしまったので、デセルは慌てた。だが彼女は、すみれ色の瞳で彼を見つめた後、小さな手を伸ばして彼の指をぎゅっと握った。 「必ず、ルシフェル様のもとにお連れしますからね」 デセルは繰り返し、小さな身体を抱き上げた。その暖かい感触に一瞬先ほどの血まみれの姿を思い出し、急いで振り払う。 砕けた魂と身体……この幼い少女の姿は、おそらく魂のかけらのひとつであるに違いない。 身体のかけらはまた別の場所にあるのだろう。 少なくとも両方を見つけなければならないと、彼は考えた。 幼子を抱きあげた途端に、魔物はデセルも標的とみなしたようだった。 先程よりも大きい魔物どもが、言葉にならない咆哮をあげて襲いかかってくる。 デセルは少女をしっかりと抱えあげて、次々と魔法陣を放ちながら走った。 前回来たときのように、交渉目的ではない。大事なかけらさえ見つけたら、まずここから離脱することだ。 大規模な魔法展開など、エネルギーが大きく動くと、ただでさえ不安定な状態のかけらが散ってしまう可能性がある。 デセルは最低限の魔法で細い道を作ることに専念し、ひたすらに駆けた。首にかじりついている小さな女の子は時にちらちらと輪郭がぶれ、彼の心臓を縮みあがらせる。 このまま上級悪魔に出会わなければいい、と祈るようにデセルが思った時だった。 今までとは比較にならない重い闇が、大きな牙を剥いて二人にのしかかった。 「デセル。戻せ」 低い声が響き渡る。デセルの額に印が浮かび上がり、見えない蛇が彼の頭をぎりぎりと締めつけた。 「い、や……だ」 デセルの顔を脂汗が流れる。額の紋章が明滅を始め、虚無に支配された人格へスイッチさせようとしていた。 きつく眉をしかめて腕のやわらかな感触に意識を集中し、必死に堪える。 思わずぎゅっと抱きよせた女の子の小さな手が、デセルを守るように金茶の髪にまわされた。 「デセル、抵抗するのか?」 何度も聞いた契約相手……悪魔アスタロトの声が彼を縛る。 「う……く」 デセルは歯を食いしばった。アスタロトの声の調子が変わり、甘い囁きとなって耳に忍び込んでくる。 「その手を放せ……。 お前にもう一度、最高のエクスタシーを提供してやろう。 敬愛する君主の腕の中で息絶えるほど、甘美な死はあるまい?」 アスタロトの声が記憶を呼び起こす。 夕焼けの朱に染まった神殿で、舞うように動く銀色の華奢な影、剣戟の音。彼女に向かって振り下ろされる剣を見て、思わず飛び出した。 背中に当たった衝撃とともに、細作りの神剣が胸をつらぬき息がつまる。それでも思わず抱き寄せてしまった細い身体。 花の香りが初めて頬に触れ……安堵とも幸福とも懺悔ともつかぬ思いが胸を満たす。 そして浮遊感と暗転。 走馬灯のように駆け巡る記憶の中に、当時の快感がないといえば嘘になる。 しかし唾を飲み込むと映像が変わり、人物が入れ代わっていた。 血で朱く染まった花園にしゃがみ込み、鳴咽する自分。腕の中には動かない細い身体、血にまみれた銀の髪……。 「うわあああっ!」 デセルは目を見開いて呪縛をはねのけた。 女の子の小さな身体を抱えこむようにして、悪魔の声を振り切り出口めざして一目散に駆ける。 次元の穴から上半身だけを出してようよう少女を花園へ送り届けたとき、彼はまともに息もできないありさまだった。 銀髪の幼子を抱きとったルシフェルのねぎらいの声に首をふり、また穴に戻る。 袖で汗みずくの顔を拭き、しばらく呼吸をととのえてから、彼は立ち上がった。 次のかけらは同じところにはあるまい。 本体と連絡をとって相談する。 共通して思い浮かんだのは、かつての神殿と同じフィールドだった。神殿をとりまいていた街のむこう、彼女の瞳と同じ色の花が咲く、ウォーターサファイアリリーの群生地。 デセルはポータルを使い、一息にその場所へ向かった。 案の定、三次元のデルフィニウムに似た花の中に、雲母の薄片を重ねあわせたような危うさで白い身体が横たわっている。 デセルはそっと近づき、細心の注意をはらって抱きあげた。こちらがやはり身体のかけらだったのだ。 重くはなかった。誰かに聞かれれば、匂いのいい霞を抱いているようなものだと答えたろう。 かけらを散らさないよう、ポータルを使わずに長い道を歩き出しながら彼は思った。 彼女が目覚めているなら、このまま夜通し歩きつづけて、野に散る露を見せてやりたい。 しかしそれは叶わぬ望みだ。華奢な身体をそっと揺すりあげて、デセルは道を急いだ。 神殿直通のポータル跡地では本体が待っていた。 その額を見て、この長い道のりに、なぜアスタロトが手を出してこなかったのかを彼は悟った。 彼が口を開く前に、本体はいいからポータルの準備をしろとせっついた。デセルは元々その技術者であったから、準備に問題はない。 一気に跳んだほうが早いのではないかと思ったが、それは危険だということになった。 神殿直通のポータルの座標をルシフェルにあわせ、銀巫女の身体だけを先に石の上に横たえた。 ポータルの中心に、眩しい小さな光点が現れる。 それが人の頭ほどの大きさになると閃光は消え、夜光貝ような乳白色の虹の玉になった。 虹の玉は蕾であったかのごとく、一枚一枚花びらのように開いて大きな睡蓮様の花が咲く。 大輪の花は巫女の身体を包み込むように、ゆっくりとまた一枚ずつ花びらが閉じてゆき、虹色の玉になり光の点になり・・・・・・消えた。 銀巫女の姿はもちろんそこにはない。 眠る身体を花園のルシフェルが無事抱きとるのを確認すると、ポータルはまたただの石に戻った。 魂と身体のかけらを無事集めたことで、ほっと力が抜ける。 「すまない」 デセルは本体に向きなおって呟いた。 べつに、と本体は肩をすくめて返す。 花園の銀巫女がいまだ目覚めないと聞かされたのは、それから数時間後のことだった。 **************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。物語を書くほうが忙しくてお返事遠慮させていただいておりますが、コメントにご感想をいただくとものすっごく嬉しいので、小躍りして喜びます♪♪ありがとうございます♪デセルさんのご本体さまのブログが始まっています。ぜひ。 →「Stripe Volume」http://blog.goo.ne.jp/hadaly2501デセルさんには上でも下でも、足をむけて寝られないくらいお世話になりまくりです(^^;いつもありがとうございます!拍手がわりにぽちっと♪→13日の日の出まで、受け取り放題の「桜のヒーリング」も開催中です♪4/14 インナーチャイルドヒーリング天使の森保育園、開園♪
2009年04月12日
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入園入学・引越しの季節。新しい環境で、毎日頑張りはじめる方も多いことかと思います。来週は、そんなあなたの胸の中のお子さんに、楽しい「天使の森保育園」をご用意いたします。気づいたらずいぶん久しぶりの開催になりますかね?もちろん、イメージワークである必要はありません。楽しく遊ぶもよし、いつもの温泉気分でまったり寝落ちされるもよし・・・お好きなようにお使いいただければ幸いです♪実験くんしたマリアとトールのヒーリング、なかなかご好評のようで嬉しい限りです♪♪寝落ちしました、何も感じませんでした、でも勉強になりますので、まだの方もぜひぜひ! ご感想を教えてくださいね~。よろしくお願いいたします♪ものがたりのご感想も、大大大募集中です!! よろしければおねがいします~(^^)「天使の森保育園」は、ヒーリング受け取り時間中に、あなたの胸の奥に住む子供さん(インナーチャイルド)が来ることができる場所です。イメージワークではありませんので、無理にこられる必要はありません。普通にヒーリングを受けるだけというのも、もちろん可能です♪保育園、って名前ですけど、大きな子から大人でも大丈夫です♪パワーアニマルさん、アナザーセルフさん、サポーターさん達もどんとこい。お好きな場所でゆっくり過ごしたり、遊んだりしてくださいね♪もちろん、来たいと思ったときだけで、無理に参加する必要はありません。来たいと意図していただければ、ドラゴンや天使がお迎えに行きます♪園の保育士さんは天使たち。こねこエプロンのミカエル先生、それにひよこエプロンのラファエル先生とか、こいぬエプロンのガブリエル先生とか。ウリエル先生にローズオーラ先生、レミエル、ルシフェル、メタトロン・・・たくさんの天使たちが、あなたの思う格好をして、小さなあなたと遊んでくれます。園では、会いたい人としか会わないようになっています。お友達と一緒がよければお友達と、のんびり一人がよければそのように。人がたくさんいすぎて嫌になる、ということはないので安心してくださいね。園庭はとても広くて、草が生えているので転んでも大丈夫。色とりどりのお花もたくさん咲いています。木登りにうってつけの大きな樹もあるし、きれいな小川の流れているところも。奥のほうに明るい森もあって、探検することもできます。きれいな石を探したり、皆でおにごっこやかくれんぼもできますよ。小人や妖精、竜やペガサス・・・。想像の中にしかいないと思っていた存在たちと会ったり一緒に遊んだり、できるかもしれません。園は純粋な愛のヒーリングで満たされ、ハートがふんわりと開かれていきます。あなたを脅かす何者も存在しません。あなたは安全な場所にいて愛され、あなた自身でいることを許されています。どうぞ安心して遊んでくださいね。園舎は明るい色の木でできていて、いい香りがします。お部屋にはたくさんの絵本があり、お絵かきや積み木、ままごとでも遊べます。壁際にある棚を探してみると、あなたが大好きだったおもちゃが、そっと置かれています。探検したくなるような、秘密の部屋、不思議な部屋もあります。王子様やお姫様ごっこをして遊べる衣裳部屋、なりたかった職業になって遊べる部屋。お腹にいた頃や、まだ歩けない頃の赤ちゃん達が遊んだり、先生に抱っこされて眠ることができる暖かな部屋。大きな子のためには、面白い本やパズルがいっぱいの図書館や、月や星の見える夜の部屋もありますよ。もしも怪我をしたり、痛いことがあったら、ラファエル先生の保健室へ行ってください。優しい先生が、すぐに治してくれます。保健室にはふかふかのベッドも、あたたかいお茶も用意してあります。そこでゆっくり休んでもいいですよ。お腹がすいたら、先生達と一緒におにぎりやホットケーキなど、好きなものを作って食べましょう。我慢しないで、好きなだけ食べていいのです。お腹がいっぱいになったらお昼寝はどうでしょうか?園舎のお部屋でもいいし、外の木陰もぽかぽか暖かいです。ふかふかの毛布やタオルケットを、たくさん用意してあります。おねしょしちゃっても大丈夫^^先生の魔法で、すぐに乾いちゃいますからね☆ここでは、「しなくてはならないこと」は何もありません。寂しすぎて、友達の輪にも入りたくないくらい寂しいときは、どうぞ一人でいてもいいんです。あなた専属の先生が、暖かく見守っていてくれます。そう、この園の最大の自慢は、「先生のひとりじめができる」ことなんです。天使達は、誰のそばにも同時にいることができるのですから・・・。好きなだけ先生達と遊んでいたっていいんです。自分が満たされて自信がついてきたら、ゆっくりお友達の輪に入ればいい。急ぐことは何もないのです。先生達は、あなただけをしっかり見ていてくれます。もし、安心することで寂しんぼうが浮かび上がってきたら・・・「暴れたいさん」が出てきてしまっても、大丈夫。先生がすぐに抱きしめてくれます。あなたが「本当はしたくないけど、してしまいそうなこと」を、先生はぜんぶ抱っこして止めてくれます。だから安心して、思いのたけを言ってくださいね。罵詈雑言になってしまってもいいんですよ。大泣きしていいのです。先生たちは、その奥のこころが寂しがっているんだと・・・抱きしめてほしいのだと、ちゃんと知っています。あなたの気持ちを、まっすぐに受け止めてくれます。もしも、ヒーリング時間が終わってもまだ暴れたいさんがいる場合には、どうぞ先生に引き続き護ってくれるよう、お願いしてください。日常の生活の間もずっと、天使はあなたを護ってくれています。時間になると、天使があなたを肉体に戻し、きちんとグラウンディングさせてくれます。安心して日常の時間へとお戻りください。また、寝落ちする方が多いかもしれません。表面意識にイメージを上らせるよりも深層に癒しを及ばせた方がいい場合、寝落ちになります。なので、何も感じませんでした~とか嘆かれないで下さいませ。それが必要であったということですから^^みなさまの「天使の森の保育園」でのひとときが、素敵なものでありますように。 よろしかったらぽちっとお願いします♪→★リアルタイム日時 2009年4月14日(火) 21:30より1時間(日本時間)★コールイン受け取り可能時間 日本時間で上記日時~4月15日(水) 20:30開始まで ※とくに決まった宣言文はありませんが、よいお時間に 「さつきのひかりのヒーリングを受け取ります」と宣言していただければ大丈夫です。 ★募集期限リアルタイム直前(火曜21:30)まで★参加ご希望の方はこの記事(エラーになってしまう場合、mixiの同名記事)のコメント欄に、HN(ハンドルネーム)と都道府県、以前さつきのひかりのヒーリングをお受けになったことがある方は、前回のご感想を一緒にお書きください。私もとても嬉しく励みになりますし、書くことでご自身の気づきも深まるかと思います。※他の記事へのコメント・メッセージ等は無効になります。お返事もできませんので、ご注意ください。★ヒーリングの種類その時々のテーマとともに、純粋な愛のエネルギーによるヒーリングを、お申し込みいただいたご本人、住んでいる土地、ご先祖さまがた、にお送りいたします。もっともシンプルで、誰にでも入りやすく、心の癒しには一番効くのだそうです。ハートが癒されると、ふんわり開いてご自分にとっていいものがたくさん引き寄せられてきます。キラキラをたくさん引き寄せちゃいましょう♪♪★初めましての方は、フリーページをご一読くださいませ^^→→「ヒーリングについて(http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/4000)」※よくあるご質問もまとめてあります。ご質問の前にご覧下さいね^^★喉が渇くことがあります。また好転反応が出た場合に楽に流すためにも、白湯などの水分をとられることをお勧めします。★エネルギーやヴィジョンを感じるワークではありません。リラックスして、寝るつもりでゆったりとお布団で受け取ってくださるといいと思います♪★車の運転など、注意力・集中力を必要とする場面では、絶対にヒーリングを受け取らないでください。 眠くなることがありますので、危険です。万一そういう事態になった場合には、「私は今はヒーリングを受け取りません。後ほど布団に入るときに改めて受け取ります」とはっきり宣言してください。★ヒーリングは医療行為ではありませんので、受けたことで怪我や疾患が良くなったり悪くなったりするというものではありません。変化はご自身が望まれたことを後押しするために現れます。ご自身の判断と責任によりお受けくださいね。13日の日の出まで、受け取り放題の「桜のヒーリング」も開催中です♪
2009年04月11日
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今日はちびの入園式でした♪ちょうど最後の桜が満開で、桜吹雪の舞い散る中で過ごすことができました。私は昔から桜が大好きです。花見に気合いれるっていうより、桜の根元に座ってぼーっとしているのが大好き。大きな樹だということありません♪桜が満開になると、なんだかそわそわしちゃうのですよね~wなんでしょうね、この気持ちって。桜以外だと、そんなことはないのに不思議ですよね。で、桜吹雪があんまり綺麗で感動したので、そのエネルギーを借りてヒーリングさせてもらおうかと♪だって協力してくれるっていうんだもん♪コノハナサクヤヒメさまでしょうか、愛のエネルギーたっぷりな感じ。このところ実験君つづきですが、まあいいかなあと。時期ものだし(笑)最近木の芽時で、調子を崩されてる方も多いようですのでなにかのお役に立てましたら幸いです(^^)応援してくださってありがとうございます♪→★ヒーリング期間本日この記事がアップされてから~13日の日の出まで(募集も同じく)期間中、何度でも好きなだけコールインでお受け取りいただけます。 ※とくに決まった宣言文はありませんが、よいお時間に 「さつきのひかりのヒーリングを受け取ります」と宣言していただければ大丈夫です。 ★参加ご希望の方は最初の一回のみ、この記事(エラーになってしまう場合、mixiの同名記事)のコメント欄に、HN(ハンドルネーム)と都道府県、以前さつきのひかりのヒーリングをお受けになったことがある方は、前回のご感想を一緒にお書きください。私もとても嬉しく励みになりますし、書くことでご自身の気づきも深まるかと思います。※他の記事へのコメント・メッセージ等は無効になります。お返事もできませんので、ご注意ください。★初めましての方は、フリーページをご一読くださいませ^^→→「ヒーリングについて(http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/4000)」※よくあるご質問もまとめてあります。ご質問の前にご覧下さいね^^★喉が渇くことがあります。また好転反応が出た場合に楽に流すためにも、白湯などの水分をとられることをお勧めします。★エネルギーやヴィジョンを感じるワークではありません。リラックスして、寝るつもりでゆったりとお布団で受け取ってくださるといいと思います♪★車の運転など、注意力・集中力を必要とする場面では、絶対にヒーリングを受け取らないでください。 眠くなることがありますので、危険です。万一そういう事態になった場合には、「私は今はヒーリングを受け取りません。後ほど布団に入るときに改めて受け取ります」とはっきり宣言してください。★ヒーリングは医療行為ではありませんので、受けたことで怪我や疾患が良くなったり悪くなったりするというものではありません。変化はご自身が望まれたことを後押しするために現れます。ご自身の判断と責任によりお受けくださいね。
2009年04月10日
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いつのまにか、肩にルシフェルの暖かい手が置かれていた。 「神よ、なぜ……」 泣きながら見上げた先に、苦渋に堪える黒い瞳があった。 「あの子の魂は自ら砕けることを選び、引き受けていたのだよ。 止めていた時間が動き出すとき、肉体は最後の時を繰り返すのだ。おまえの傷が血を流したように」 「ですが……傷が」 銀巫女には肩と胸の傷はなかったはずだ。そう問いたかったが言葉にならない。 「おまえを刺したこと……それを自分の罪だと思い、ずっと責めているからだよ。その自責の念がまったく同じ傷を作ったのだ」 デセルはむなしく口を開閉した。 自分は彼女を責めたことは一度もない。 責められるべきは、未来永劫赦されぬ過ちを犯したのは、この自分だ。 最後に正気に戻ったとき、二度と自分を思い出してくれるなと願ったのに……。 それがどんなに自分勝手な願いであったことか。 絶望にうちひしがれるデセルの肩に手を置いたまま、ルシフェルは若者の前にまわった。 「巫女の魂を捜しに行くかね?」 デセルがぱっと顔を上げる。 ほんのわずかでも望みがあるなら、このまま永遠の別れにならないですむなら、何でもするつもりだった。 そんな彼の視線の先で、闇の花園よりもなお黒々とした次元の穴が口を開けた。 先日単身乗り込んで大怪我をした虚無の穴だ、と気づいてデセルは戦慄した。 「そう……おまえが行った場所、闇の最下層の虚無の奈落だ。 巫女の魂、それも砕けた無防備な魂は、邪や魔の最高の餌となる。彼等に喰われてしまえば、もう二度と彼女は彼女であることができぬ」 ルシフェルの声は、哀しいほどに静かだった。 彼がどんなに神殿の者たちを愛していたか、デセルは知っていた。制約により助けることができず、ただ見守っているのはどんなに痛いことなのだろう。 「おまえは、剣もすべての武具装備も外し、丸腰でこの穴に降りねばならない。……できるかね?」 ごくり、デセルは唾を飲みこんだ。 先日は全身鎧を着込んでいった……何の役にも立ちはしなかったが。 痛めつけられた恐怖を身体が覚えており、知らずがくがくと震えた。 しかし自分が行かなければ、彼女はこのまま失われてしまうのだ。 デセルは二度、肩を上下させて大きく息をした。手を握りしめて震えを押さえ込むと、神剣を手放し、腰につけていた小刀もすべて外した。 小刀の脇につけていたすみれ色のシフォンだけは、ほどけないようにしっかりと結び直す。 そんな彼を、ルシフェルがまっすぐ見据えた。 「よろしい、我が巫女の命をおまえに預ける。 ……必ず、二人で生きて戻るように」 「……はい、必ず」 腰のシフォンを片手で握りしめ、デセルは穴に飛び込んだ。 **************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。物語を書くほうが忙しくてお返事遠慮させていただいておりますが、コメントにご感想をいただくとものすっごく嬉しいので、小躍りして喜びます♪♪ありがとうございます♪応援してくださってありがとうございます♪→
2009年04月09日
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「私が時の呪文を解いたら、まず彼の傷を癒しなさい。遺体とはいえ、血が流れれば消耗してしまうからね。 同時に彼を呼び、肉体と統合させるのだ」 ルシフェルは言った。銀巫女の逡巡を見通したごとく、穏やかに続ける。 「彼が今療養中であることは知っているよ……強制的なディープスリープから、ようやく半覚醒になったばかりだということもね。 肉体と統合すればエネルギーが増大するから、それは問題ないだろう。 もちろん、身体の傷を治せればだが。……できるね?」 漆黒の瞳が信頼をこめて頷きかけたので、銀巫女はこくんと首をふった。 ふるえる白い指先が、そっとデセルの傷痕をなぞる。 彼が自分を責めることはないと痛いほど知ってはいても、流された赤い血は氷ごしでも痺れるように指先を刺した。 それでも右肩と胸の傷の位置ににしっかり手をあてて、銀髪の巫女はルシフェルを見た。大天使がもう一度頷き、その黒いマントを大きくひるがえした。 マントが氷柱に触れながら通りすぎると、もうもうたる蒸気をあげて氷が溶けていく。 (デセル……デセル。お願い、ここへ来てちょうだい) 歯を食いしばって手を傷に当て続けながら、銀巫女はデセルを呼んだ。 眠っていたはずの遠い意識の海から、すぐに応答が感じられる。喜ぶべきその早さも、銀巫女に想われることの申し訳なさをひきおこした。 (デセル、ここよ……) 意識の半分を呼びかけに使い、もう半分で彼女は傷の治療にあたった。 ルシフェルの言った通り、魔法が解けると同時に傷から血があふれだす。死んだ身体から血が流れるなど三次元ではないことだろうが、器もまたエネルギーの塊であり、それが溶けてゆくということなのだ。 今まで積み重ねてきた技術の粋をつくして、銀巫女の指がデセルの傷を癒してゆく。三次元から離れかけていた肉体の傷はみるみるうちに塞がり、着衣の穴と染みまで拭うように消えていった。 呼ばれたデセルが目を開けたとき、最初に見たのは心配そうに覗き込むすみれ色の瞳だった。 愛するその手が自分の身体に置かれているのを知って、一瞬顔が燃えるように熱くなる。 「デセル、大丈夫? 痛いところはない?」 音楽的なソプラノだ、と彼は思った。銀菫の魔法陣がよく似合う。 うっとりと目を閉じかけ、彼女の後ろにルシフェルがいることに気づいてあわてて身をおこす。 身体が重い。 疲れ、ではなかった。エネルギーは今までより満ちている感覚がある。その質感が以前より重いのだ。 銀巫女とルシフェルの顔を見比べ、デセルは手を握ったり開いたりしてみた。身体が持っていた神剣がすべり落ち、ようやく彼は何が起きたのかを悟った。 祭壇から飛び降り、二人の前にひざまづいて頭を垂れる。 神殿の最期にデセルをそそのかしてきた悪魔。自分の肉体は彼らに奪われ保管されていたと思っていた。事実、恩着せがましくそう聞かされていたのだ。 だが実際はルシフェルとレミエルの手によって、彼がもっとも愛する女性を護るように安置されていたばかりか、こうして統合まで果たされた。 デセルにとっては、どんなに頭を下げても足りない気持ちがするのだった。 「頭をあげなさい」 ルシフェルの深い声が、彼の頭上から投げかけられる。恐縮したデセルがおそるおそる顔をあげると、天使二人と巫女がそれぞれ微笑を浮かべて彼を見ていた。 ほっと身体の力が抜ける。甚大な謝意をあらわすために、彼はもう一度深く深く頭を下げた。 「デセル、次はおまえが彼女の身体と魂を統合させるのだよ」 静かな声に、銀巫女とデセルが同時にルシフェルを見た。銀巫女がかすかに首をふったのに彼は気づいた。 自分にもできるところを見せたくて、デセルははい、と強く答えた。ルシフェルが頷く。 デセルは、あらためて銀巫女の身体が眠る氷柱を見た。その黒い髪、哀しみの色が痛々しい。 自分にできるのだろうかという不安と、どうしてもやりとげたいという使命感が彼の中で戦っていた。 「いいかね、デセル。おまえには辛い仕事になるだろう。 私達は制約により、直接手を貸してやることはできぬ。それでもやるかね?」 もちろんです、と躊躇なくデセルは答えた。 ルシフェルに従って氷柱へ触れながら、銀巫女が悲しげな瞳で彼を見た。 「ごめんなさい」 その言葉の意味を問おうとする前に、ではいくぞ、と天使のマントが翻った。 氷柱が溶けはじめ、巫女の身体が降りてくる。昔と今の白い手が触れ合った瞬間、まぶしい光がデセルの目を焼いた。 なにかに促されるままに腕を前に差し出す。そこに重さがかかり、花の香がして彼は愛する人を腕に抱いているのを知った。 なにがごめんなさいだったのだろう、と考える間に、デセルは自分の腕が濡れてゆくのを感じた。 腕に抱く華奢な身体の、首筋と右肩と胸に大きな傷があり、そこから出血している。 流れでる血は真珠色のローブをあっという間に朱に染め、恐れと驚きで動けずにいるデセルの腕からしたたった。 とにかく止血しなければ。デセルは小さな魔法陣をいくつも造りだして傷口に当てたが、どれも効果がない。 「神剣を当てなさい」 レミエルの言葉に、飛びつくようにしてデセルはかたわらの神剣をとり、血のあふれる傷口に当てた。 すると血は止まった。 だが傷はそのままで、銀巫女の瞼が開くことはなかった。 巫女姫の体温が失われてゆく。 腕の中で冷たくなってゆく愛する女性。 自らを捨ててなお護りたかった、その存在。 デセルは血溜まりで咆哮した。 自分がかつて何をしたのか、残された者がどう思うか、今骨の髄まで彼は知ったのだった。 泣きながらかきいだく身体は動くことがなく、だらりと垂れた指は彼の傷を癒してはくれない。 「巫女様……巫女姫様」 呼びかける声もむなしく、すみれ色の瞳が開かれることも、あの優しいソプラノが彼の名を呼ぶことももはやなかった。 助けを求めて見回しても、すでに天使達の姿はない。 デセルは血まみれになって、銀巫女の身体をきつく抱いていた。 そうすることだけが、彼女の魂をつなぎとめる術であるかのように。 だがその腕の中で、華奢な身体の輪郭が次第にぶれはじめる。 さらに力をこめる腕をあざ笑うかのように、亡骸は光をはなち……そして、四散した。 「あ……あ」 鳴咽することすらできずに、デセルは呆然と赤く染まった己の腕を見た。 **************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。物語を書くほうが忙しくてお返事遠慮させていただいておりますが、コメントにご感想をいただくとものすっごく嬉しいので、小躍りして喜びます♪♪ありがとうございます♪応援してくださってありがとうございます♪→
2009年04月08日
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銀巫女は闇を降ってゆく。 虚無も邪も魔も・・・・・・そうでないものも、すべてを闇は包んでいる。 この数日姿を現さなかったデセルが「行ってしまった」ことに、彼女は感づいていた。 彼は過去を清算しに出かけたのだ。自分で自分を赦せるようになるために、かつて寂しさと絶望のあまり契約を交わしてしまった、恐るべき相手のもとへ。 だがその結果彼はぼろぼろに傷つき、すんでのところで救出された。それが昨日のことだ。 それでも脱走を試みようとするため、今はたくさんのエネルギーチューブが直接繋がれる装置で、強制的にディープスリープに入れられている。 神殿の最期におけるデセルの遺体を、彼女は捜していた。 交渉相手は、死体は我々が回収して保存していたのだ、とデセルに聞かせていた。 銀巫女の記憶ではレミエルが連れにいったはずのその遺体のありかが、ひとつの鍵となっていた。 だが肉体が三次元になっていれば、とうに土に返っているはず。 まして彼は人間界の出身だった。 けれど、銀巫女には確信のようなものがあった。 彼女は闇を下ってずっと底、レミエルの花園へと向かった。 神殿の最期の記憶をたどるにつれ、銀巫女は自分の魂がロストを越えて一度砕けてしまっていたことも思い出していた。 通常、ロストした魂は強力なヒーリングポッドなどに気が遠くなるほど長期間入ることで、転生できるレベルに回復する。 ロストよりひどく砕けてしまった場合は、闇の底からその魂のかけらを探してこなければならない。それは闇の神殿の巫女だけができる仕事だった。 集められた魂のかけらは、エネルギーレベルによってポッドに入れられたり、損傷がひどい場合には世界樹に預けられ、その養分によって育ち直すことになったりした。 だが、巫女の魂が砕けたらどうなるのだろう? 今の自分がかけらのひとつであると、銀巫女は感じていた。 そして、自分のかけらの他のひとつは、デセルの遺体の近くにあると、理由のない確信があった。 こみあげる吐き気をおさえて、銀髪の巫女は道を急いだ。 花園には黒巫女がいて、彼女を見ると微笑みをうかべた。 「遅かったわね」 「ええ・・・・・」 銀の巫女はぎこちない微笑みをうかべた。彼女は、いや彼女の今の本体は、この花園がなぜか苦手だった。 銀巫女であった当時にはそんなことはなかったのに、と不思議に思っていたが、今ならその理由がわかる。 「自分のかけらを取り戻していらっしゃい」 黒巫女はそっと対の巫女を抱き寄せた。 黒巫女と別れて花園をずっと奥に行くと、今度はレミエルがいた。 レミエルは彼女を案内して、最奥部の洞窟のようなところに連れて行った。 「あそこです。最近、本体が寒がっていたでしょう。彼女があなたに近づいてきていましたから」 天使が指す先には、花に囲まれて巨大な氷柱が立っている。氷柱の中央に、手を祈る形に組み合わせて目を閉じた女性がいた。 首筋に生々しい傷跡の残る、それはたしかに銀巫女であったが・・・・・髪が黒い。 そして、手前にしつらえられた祭壇にはもうひとつの氷の棺があり、デセルの遺体が安置されていた。 彼の胸にもまだ赤い染みがあり、手はその上に組まれて、鞘に入った神剣をしっかりと持っていた。 「剣が・・・・・・」 銀巫女のつぶやきに、レミエルがうなずいた。 「デセルは二つの誓約に縛られています。 ひとつは悪魔と交わしたもの。もうひとつは・・・・・・あなたを護ると誓ったもの。 あなたへの誓約のほうが彼の真実に近く、より強いのです。でなければ、たとえ神剣に斬られても正気を取り戻すことはなかったでしょう」 「そして、あなたの髪が黒いのは、あなたが願って背負った罪の色なのです。 あなたは死の間際に、すべての責を自分にくれるようにと全存在をかけて祈りました。祈りは聞き届けられ、神殿は完全に振動数を落とすことなく、聖性を保ったままで次元移動したのです。 しかしあなたの魂はそれによって砕け、放っておけばむらがる邪や魔に喰われてしまうところでした。 あなたの肉体はいまだ完全に三次元ではありませんでしたから、ともにエネルギー源として狙われていたのです・・・・・・」 「私たちは、それを見過ごすことはできなかったのだよ。大事なおまえ達の肉体と魂を、邪にくれてやるなどということはね」 背後から聞こえた深みのある声は、ルシフェルのものだった。反射的にひざまずこうとする銀巫女をとどめて、大天使は悲しげな瞳で氷柱を見た。 「だが、我々にも制限があった。分離したからには、すべてを経験することが学びとなる。堕ちてゆくものも見守っていなければならなかった・・・・・・ ぎりぎりの選択として、私はおまえ達の肉体の時を止め、ここに安置した」 デセルは契約の証として、髪ひと房を悪魔に与えている。その魂が全て囚われることなく、護りの誓約により多く傾いているように。 巫女の身体と魂が永遠に失われることのないように。 だが傷を癒すことは許されず、二人がそれぞれ血を流し、罪を背負ったままの時で止めねばならなかった。 ほんとうにぎりぎりの選択だったのだと、苦い薬を飲み下したようなルシフェルの表情が物語っていた。 **************ほのぼのトール話をお望みの方すみません(汗でもこの人もやっぱり私の大事な一部、なのです。この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。物語を書くほうが忙しくてお返事遠慮させていただいておりますが、コメントにご感想をいただくとものすっごく嬉しいので、小躍りして喜びます♪♪ありがとうございます♪応援してくださってありがとうございます♪→4/7 蒼のヒーリング 募集記事にて受付中♪ 今回はトールのヒーリングですw
2009年04月07日
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トールが一日四戦をすることになった日のこと。 そのとき、デセルの本体は車に乗っていた。 「見つけた!」 誰かが車を覗きこむ。赤茶っぽい髪の女の子だ。緑の服を着ているらしい。 手合わせしようよ・・・・・・というより、相手しろ、という感じでデセルを追いかけてくる。 デセルの脳裏に、その朝トールに襲いかかった緑の少女のことがひらめいていた。 彼女の相手をするのは、色々な意味で避けたいところだ。 ここは三十六計逃げるにしかず。デセルは断固拒否して逃げ回った。 「お断りします」 「やりません」 「シュリカンさーん、なんとかしてください」 身を隠しながら言ってみるも埒があかない。 困りはてた彼は、とうとう本体と入れ替わってその時は逃げ切ったのだった。 翌日。彼はひとりでトールの自宅敷地、ルキアの森を歩いていた。 昨日は結局、トールと力任せの応酬をしてストレスを発散し、飲みにいく気力もなく別れた。 追跡劇を思い出し、まったくひどい目にあった・・・・・・とため息をついていると、背筋にいきなり冷水を流し込まれたような気配がする。 はっと目をあげると、木伝いに森を移動してきた緑の影が、枝からぶらんと逆さまにぶらさがり、彼の行く手を阻んだ。 「いたいた~♪」 赤茶の髪の女の子が、ひっくり返ったまま、明るい声で手を振ってくる。 デセルは思わず顔をひきつらせ、回れ右をした。 「なーんでよー! まだ何にも言ってないじゃないのー!」 ムッとしたらしい声が追いかけてくる。逃げながら、デセルは彼女が緑の少女ではないことに気がついた。少女よりも少し年上のようだ。 だがそうすると、よけい追いかけられる理由がわからない。 「もーやだ面倒臭い! あたしは頼まれ事に来ただけじゃないのー。 文句ならミカエルに言いなさいよもーう!」 (ミカエルだって?) 森の中を走りつつデセルは内心呟いた。そういえばトールに派遣された戦闘教官は、ミカエルの紹介だと言っていなかったか。 少し落ち着いて考えようと、魔法陣を使って彼は姿を隠した。 「あ、逃げたな~。あたしから逃げられると思う?」 楽しそうに言うと、一瞬相手の気配が変わる。 「みーつけたー♪」 すぐ頭上で声がした。視覚を切り替えて特定されたらしい。 驚愕したデセルは、慌ててまた走り出した。 「こらー。逃げるなー!」 どこまで行っても追いかけてくる。しかもだんだん、声が楽しそうな調子になってきた。 やってられるか、とデセルはいくつものダミーを作り出し、森の中に点在させて自分は目立たぬ道を選んで足を早めた。 「ふーん、きっと高度な追いかけっこなのね。たくさんダミーを置いたって無駄なんだから。 それをするならもっと…そうね。本体の気配を消さなくちゃ」 声はダミーをものともせず、まっすぐにデセルに向かってくる。 進退きわまったデセルは、大きく息を吸うと目潰しの閃光とともに剣を抜いて飛び出した。 相手がさすがに手で受け止める。 「びっくりしちゃった。でも良い手だよね。 さあ、授業を始めましょう。あたし、ミカエルに頼まれたのよ」 傷口をペロリと舐めて、彼女はにっこりと笑った。 「……よろしくお願いします」 観念して、デセルは頭を下げた。どっちみちミカエルの手配であれば、逃げ切れる気もしない。 突然のことに驚きはしたが、実際は強くなりたいと思っていたところだったのだ。 一流の戦闘教官に稽古をつけてもらえるなら、願ってもない好機といえる。 戦闘教官が、こんなに明るい女性とは思わなかったが。 それから数日、デセルは剣の稽古に集中した。 元々が錬金術や技術系だから、魔法攻撃を多用したほうが効率がいい。 そのあたりの器用さには自信があった。 いくつもの魔法陣を繰り出しながら、同時に身体の制御も学んでいく。 基本をみっちり叩き込まれて、ほぼ独学に近かったデセルの剣技は見違えるほどに上達していった。 数日後、教官からひとまずの合格をもらった彼は、ある決意を胸に秘めてルキアを後にした。 それは、自分の技量が上がってきたことに気づいてから、ずっと考えていたことだった。 彼は荒涼とした世界にそびえ立つ、クリスタルの突端のような場所にただひとり座りこんでいた。 凍りついた風が、まるで漂白するかのように彼の身体を吹きさらす。 広大な地平線の向こうに日が昇り、また沈んでゆく。 彼はただそれをじっと見つめ続けていた。 本体は反対していた。まだ時期が早過ぎると。 しかしすべての制止にNOと答えて、デセルは今ここにいた。 行かなければならないのだ。 たとえ、もう戻ってこられないかもしれなくとも。 一度決着をつけねばならない。 そうしなければ、彼はこれ以上ルキアに・・・・・・あの優しい場所に居続けることはできなかった。 トールも銀巫女も、笑って彼を迎えてくれる。 それは心が震えるような嬉しさであると同時に、彼の自責の念を蘇らせた。 彼らが赦してくれていることを知ってはいたが、デセル自身がまだ自分を赦せない。 自分は、己がもっとも愛し、もっともそばにいたいと希求したものを裏切り、傷つけた。 あの神殿の最期に。 すべてが失われると思った。 失われるくらいなら、と思ったのか。 文字通り悪魔の甘い囁きにのってしまった・・・・・・。 デセルは額に手を当てた。普段はなんともないが、そこに契約の証として、黒い紋章が浮かび上がることがある。 そのときには過去の虚無が彼を襲い、人格すらもスイッチして制御を失ってしまう。 その姿を、彼らの前にさらしたくはなかった。 悪魔のもとに出向き、契約を解消しなければならない。 それがどんなに難しいことか、彼は知っていた。 悪魔の契約は非常に暴利だが、心の隙間をえげつなく突いてくる。内容が無茶であり暴利であり・・・・・・最初に自分が望んだものとは違うということに、甘い囁きの中気づくのは難しい。 心も心の隙間も、誰にでもあるものだから。 そして悪魔たちは、そのことをよく知っているから。 明るいペリドットの瞳から涙が流れた。 帰ってこられるだろうか、あの優しい人たちの前に。 吹き抜ける風がふいに優しく、かの銀髪を思い出させた。 彼は立ち上がった。 剣を握りしめ、頭から崖下に飛び込んでゆく。 深く深く・・・・・・虚無の闇の底、奈落と呼ばれるところまで。 そこは、古く鈍色になった大きな石で組まれた広間だった。かびくさい匂いが漂い、誰もいた形跡がない。 奥のほうに三、四段、祭壇のように平たく石が積まれている。 デセルの姿は変わっていた。 手の先まで防護するような、額当てのある漆黒の鎧を着ている。黒いマントをひるがえし、彼は祭壇を見た。 そこには透明な棺がひとつ。 中には、背の高い金茶色の髪の男が眠っていた。 神剣で刺された胸の傷は、つい先ほどつけられたもののように血濡れている。 神の手が届く前に、神殿から持ち去られた身体。 それは誓約の証としてここに留められている。 神殿時代の、デセルの肉体。 棺を覗いたあと、デセルは祭壇に背を向けて踏み石に座り込んだ。 がたがたと震える手を鎮めようと、長いこときつく握りしめる。 かたく目を閉じ、そして開くと、彼は立ち上がった。 広間の隅にある下への階段へ向かい、足早に降りてゆく。 銀巫女にもらった袖がほつれたものだろうか。細い蜘蛛の糸のようなかすかなきらめきが、彼の後を追った。 **************デセルさんって格好いいよね。好みです(笑)この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。物語を書くほうが忙しくてお返事遠慮させていただいておりますが、コメントにご感想をいただくとものすっごく嬉しいので、小躍りして喜びます♪♪ありがとうございます♪応援してくださってありがとうございます♪→4/7 蒼のヒーリング 募集記事にて受付中♪ 今回はトールのヒーリングですw
2009年04月06日
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ふっと微笑んだトールは何か球体を取り出し、軽い動作で少女へ投げた。 受けとめた緑の少女が見てみると、それは小さな玉と棒で構成された、人の頭ほどの大きさの三次元でいう分子構造モデルのようなものだった。ただしはるかに複雑精緻で、要所要所の円盤には細かい魔法陣がびっしり書き込まれている。相当に強固な結界模型だということは、ひとめ見ればわかった。 波動の高さからたいがいの結界はフリーパスで通れてしまう少女だが、これだけ強固だと無理かもしれない。 「その中へあなたを閉じ込めてしまいたい衝動にかられるときもあるけれど・・・・・・ それはしません。間違いだと知っていますからね」 いつに変わらぬ穏やかな声で言う。 「ほんとはこっちのが安心なんだろ」 「ええ。あなたは鉄砲玉みたいに、いつもどこかへ飛び出していってしまうから」 くすくす笑い。少女は手の中の球体をいじくりまわしながら、でも窮屈だな、と呟いた。笑いを消した声が答える。 「そうでしょう、だからけしてしません。あなたの自由を奪うようなことはね。 あなたの背には、いつでも自由に、どこへでも飛び立ってゆける大きな翼があるのだから」 さしのべられた手に、少女は両手で球体を乗せた。それを一瞬眺めた青灰色の瞳に、言葉にならないほのかな感情が浮かんだと思ったのは気のせいであったろうか。 トールは球体を消すと、少女に微笑みかけてまた机に向き直った。とくになにを話すでもない静かな時間が、またゆっくりと流れはじめる。 どこかからか聞こえる風と木の葉ずれの音、トールの使う羽ペン、ときおり書類を机の上で揃える、とんとん、という軽い音。 それらを背景音楽にしながら、緑の少女は背を本棚にもたせかけ、ただぼんやりと彼の背を見ていた。 植物やクリスタルの波動、なによりトールの暖かい波動が、部屋を心地よく包んでいるのが感じられる。 なんだかとてもほっとして、彼女は小さくあくびをもらした。 背後の気配が変わったことに気づいて振り向くと、少女は椅子の肘掛けと本棚によりかかって、すでに安らかな寝息をたてているところだった。 今まで見たこともない生成りの可愛らしいワンピースがよく似合って、そうしていると本当にどこかのお姫様のようだ。グレーのカイルの見立てはたいしたものだった。 彼女がどんな姿をしていようとも気持ちが変わることはないが、やはりカイルの気遣いは嬉しい。 視線を和ませたトールは片手をついと上げ、軽く暖かな毛布を出すと、そっとそれを少女の肩にかけた。それから彼女の眠りを邪魔しない範囲で、その身体をささえる位置に小さなクッションをあてがう。 扉にむかって軽く手をふると、セキュリティ表示が赤色の「実験中・入室禁止」に変わった。 ジョゼは最近奨学金を受けられることになり、授業が増えて忙しいから今日は来ないはずだ。来ても地下の倉庫に直行することだろうが、いまひととき、この静寂を確保していたかった。 大空にはばたく自由な小鳥。 それを独占する気も拘束する気も、彼にはない。 聡明な彼女に必要なのは、その大きな翼を広げるための安全な止まり木だけだと彼は知っていた。自分はそうであれればいいと思う。 彼女は自由だ。 そして、すべての人が同じように自由なのだ・・・・・・なにものであれ、それを侵害することはできない。 少女はみずからの望むように大空を飛び、彼女だけの歌を歌うだろう。 喜ぶことを悲しむことを、得ることを失うことを、愛することを愛されることを、望んだすべてを色鮮やかなさまざまの宝石のように、その感性ゆたかな胸にためてゆくだろう。 何も恐れる必要はない。 誰かに何かを強制されるいわれもない。 ただ彼女自身のハートのおもむくままに、どこまでも飛んでゆけばいい。 そしてきらきらと星の輝くさまを見守る自由が、彼の幸せ。 彼女の背後を護って、疲れたとき寂しいとき、いつでも翼を休められる止まり木であれればいい。 泣きたいときに帰ってこられる暖かい場所であれればいい。 彼女が思うままに天空を駆けるとき、幸せなときには忘れてくれても構わなかった。 その足枷になりたくはない。 それは卑下というものだったろうか? だが彼の気持ちに、暗さは一切なかった。 幸せだ・・・・・・傍で見ていられさえすれば、それだけで真実幸せなのだ。 少女が訪れたとき、つねにあたたかな紅茶を出せるということが。 とくに話すでもない静かなひとときに、安心してうたた寝をしてくれるということが。 彼女が持ってくれている信頼という名の安心感、寄るべなき寂しい夜に思い出せる場所である、と思ってくれているそのことが、どんなにか彼の癒しと励みになっていることか。 じんわりと胸を満たすこの暖かさを、他人にわかってもらおうとは思わない。それは人それぞれの探すべき宝であるから。 想いの泉は受けとめられることであふれ、さらに力強くみずみずしく、心の大地を沃野にかえてゆく。 想いを受けとるということ、愛されることを自分に許すということも、またひとつの愛のかたちだ。 たとえそこにあるだけでいい、何も求めない無償の想いであったとしても、相手が受け入れてくれたなら、こんなに嬉しいことはないのだから・・・・・・。 泉は流れる先をみつけて川になる。川はいつか海になり、広く遠くひろがってゆくだろう。 たくさんの人の海がかさなり混ざりあい、そしてさまざまな生命が生まれてゆくのだろう。 椅子を回して脚を組み、肘掛けについた片手で頭をささえて、愛しみそのものの表情でトールは少女の寝顔を見ていた。 どれほどの時が、しずかにしずかに裳裾をひるがえしていったであろうか。 トールの背後の机の上で、少女の持ってきた白い花が、かすかな甘い芳香を放つ。 やがて少女がわずかに身動きした。 「あ、ごめん、寝ちゃった」 まばたきをし、目をこすりながら言う。もぞもぞとひきあげた毛布の下で、小さくあくびが聞こえた。 「いいえ、どういたしまして」 トールは頭を起こし、微笑んで言った。 胸の奥にあたたかな灯がともっている。 幸せに色というものがあるなら、それはきっとこういう色をしているのだろうと思った。 **************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。物語を書くほうが忙しくてお返事遠慮させていただいておりますが、コメントにご感想をいただくとものすっごく嬉しいので、小躍りして喜びます♪♪ありがとうございます♪応援してくださってありがとうございます♪→4/7 蒼のヒーリング 募集記事にて受付中♪ 今回はトールのヒーリングですw
2009年04月04日
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トールは忙しく働いていた。 本体が転居するための新居探しにポータル・セキュリティ等の設置調整、魔法学校の授業、教官殿やジョゼの家庭教師、クリロズの基本メンテナンス、そして緑の少女に関わる本の仕事。 銀巫女は別の理由で忙しいので、他に三人くらいは同時存在できるといっても手が余ることはない。 とはいえまったく暇がないわけではもちろんなく、忙しさを楽しむ余裕もちゃんとある。 クリロズのトールは羽ペンを置いて肩を回し、お茶にしようと立ち上がった。 すると、ちょうど入り口のセキュリティに反応があった。 それは緑の少女のものだったが、いつもならすぐに押し開けられる扉が動かない。不思議に思ったトールが開けてみると、そこには少女と一緒に通称グレーのカイルが立っていた。 カイルは緑の少女と同じ本体を持つ分身、ハイヤーセルフのひとりである。銀髪の男が微笑みかけると、カイルはにやりと笑った。 見れば緑の少女はいつもと違う可愛らしいワンピースを着ていて、少しくせのある茶色い髪もきれいにとかされている。手にはみやげであろうか、白い花の小さな鉢植えまで持っていた。 (せっかくだから身ぎれいにしといたぜ。いつも着のみ着のままだからな、こいつは・・・・・・。 なかなか似合うだろ?) カイルが片目をつぶった。トールは目をぱちくりさせて答える。 (とても。見違えましたよ・・・・・・けど、すこしご機嫌ななめ、かな?) (そりゃ、無理やり風呂いれて着替えさせたから。そういうとこ、自分で気づかねえお子様だからな。 まあ適当に相手してやってくれ) いつもの通りに髪もとかさず部屋を出ようとする少女をカイルがひきとめ、いいからいいからとうまく乗せながらシャワー、着替えにいたるイメージが漫画のように届けられた。普段は男っぽい格好ばかりしている緑の少女が、生成りのワンピースを着せられて怒っているさまが見えた。 カイルお前なんのつもりだと叫ぶ・・・・・・とはいえ、どちらも自分ではあるのだが。 (お世話さまです) (いやいや、こちらこそ) 小柄な少女の頭上四、五十センチほどのところで、男達が目で会話をかわす。 「じゃあ、よろしく」 カイルが少女をひきわたすと、会話から外されていた彼女は、保護者かよっ、っとますますふくれた。苦笑するトールの耳にカイルが囁く。 「お前のところが引越しだからって遠慮してたんだ。だけど、ここのお前ならいつでもいるって思いついたわけさ」 「それはありがたいですね」 カイルは笑って友人の肩をぽんと叩くと、じゃあな、と後ろ手に手を振って歩き出した。 トールは少女を振り返り、にっこりと微笑んだ。 「お姫様、ご注文は?」 「アップルパイ!」 「かしこまりました。どうぞこちらへ」 トールはうやうやしく少女を席に案内した。とはいえクリロズの私室には、仕事用の事務椅子のようなものしかない。それだってジョゼのために一脚増やしたばかりだった。 少女は自分から椅子のひとつを動かして座りこみ、本棚によりかかるようにして両足の間に手を置いた。が、今日はスカートであることに気づいてさすがにやめてみたりする。 トールはベッド脇の小さな丸テーブルを移動させると、そこに湯気のたつアップルパイと紅茶を用意した。芳香がふんわりと部屋に満ちる。 「なあ、迷惑だったら言えよ。忙しいんだろ?」 美味しそうな匂いに顔を輝かせながらも少女は尋ねた。トールは自分も椅子を回し、机に背をむけてゆったりと座った。 「いいえ、あなたの前に閉ざす扉はありませんよ。ちょうど私も一休みしようと思っていたところですから」 暖かいうちにどうぞ、と言われて、少女はアップルパイにフォークをいれた。一口食べて、うまい!と笑う。 それだけで、トールは疲れが吹き飛んでゆくのを感じた。 「あちっ」 パイを食べ終わり、少女が二杯目の熱い紅茶を服にこぼしてしまうと、すかさずトールの手に布が現れてそれを拭く。 「火傷はありませんか」 「うん、サンキュ。・・・・・・あのさ、仕事してていいから。邪魔しないから、ここにいていいか?」 「もちろんどうぞ。お好きなだけ、お好きなように」 トールは微笑んで手をひろげ、それでは失礼して、と少女に背を見せて机にむかった。 静かな部屋を、魔術師の使う羽ペンの音がかすかにすべってゆく。 トールの背はけして彼女を邪魔にせず、かといって干渉もしなかった。二人ともなにを話すでもなく、ただ穏やかな時がゆっくりと過ぎてゆく。 少女は片膝をかかえて本棚によりかかりながら、見慣れた銀髪の流れる背中をなんとはなしに見つめていた。 すらりとした長身だから気がつかなかったが、意外に肩が広くてたくましいのだな、とぼんやり考える。 何も否定されない、要求されることもない沈黙が心地よかった。 トールはどうして、こんなに自分を護ってくれるのだろう。 いつから一緒にいたのだろうか。 やはり元々仲間だったなどの理由で、守護を請け負って一緒にいてくれるのだろうか? そう考えていると、ふいに彼がふりむいた。 青灰色の瞳が、温かく彼女を包みこむ。 「守護を『請け負った』からではありませんよ。 私が私自身の意思で、あなたのそばにいるんです」 穏やかに、しかしきっぱりと彼は言った。 **************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。物語を書くほうが忙しくてお返事遠慮させていただいておりますが、コメントにご感想をいただくとものすっごく嬉しいので、小躍りして喜びます♪♪ありがとうございます♪応援してくださってありがとうございます♪→4/7 蒼のヒーリング 募集記事にて受付中♪ 今回はトールのヒーリングですw
2009年04月03日
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実験くんパート2♪マリアの「芽吹き」の次は何にしようかな~と考えていて・・・「僕は?」とにこにこしてる背の高い銀髪の人がいるわけです(爆あーた、じぇいど♪さんの本のカードとかの仕事で忙しいんじゃなかったの?って聞いたら、大丈夫それはそれ、とか笑ってるしさ^^;一部ヘタレ疑惑があるかと思えば、やたら何でも知ってそうだったり。私にとっても謎の人トール。エネルギーヒーリングできるの?って聞いたらできると申しておりますので、まあ挑戦してみようかなと(^^;この人のオーラは、どうも青っぽいです。青い服とか瑠璃のローブとかよく着てるなあ。銀と青がイメージ色。青って、五行だと春の色。「青春」とかいいますよねwオーラソーマだと、変容を促したりサポートしたりする色らしいです。下の「大天使ラファエル」の説明が当てはまりそうかな~と思いました。「自分の中の覚醒のための潜在的可能性を見つけること。コミュニケーションでの自己意識を克服し、目覚めの体験がもたらすものの可能性に対して開く。上からもたらされる支援であり、また目前の途上にあるものをあるがままに明瞭に見られる可能性。」ですって。やっぱり銀巫女と同じような位置に立ってる、ということなのでしょうね。まあ同じ魂だし。去年の年末あたりから、いろんな人の夢に出張してたり何か教えてたりしてる彼。下の私はさっぱり理解できてませんが(爆)、神聖幾何学についても詳しいようですのでなんかそんなヒーリングをしてくれるのかもしれません♪今週に続きまして、実験君参加してくださる方お待ちしております~♪応援してくださってありがとうございます♪→★リアルタイム日時 2009年4月7日(火) 21:30より1時間(日本時間)★コールイン受け取り可能時間 日本時間で上記日時~4月8日(水) 20:30開始まで ※とくに決まった宣言文はありませんが、よいお時間に 「さつきのひかりのヒーリングを受け取ります」と宣言していただければ大丈夫です。 ★募集期限リアルタイム直前(火曜21:30)まで★参加ご希望の方はこの記事(エラーになってしまう場合、mixiの同名記事)のコメント欄に、HN(ハンドルネーム)と都道府県、以前さつきのひかりのヒーリングをお受けになったことがある方は、前回のご感想を一緒にお書きください。私もとても嬉しく励みになりますし、書くことでご自身の気づきも深まるかと思います。※他の記事へのコメント・メッセージ等は無効になります。お返事もできませんので、ご注意ください。★初めましての方は、フリーページをご一読くださいませ^^→→「ヒーリングについて(http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/4000)」※よくあるご質問もまとめてあります。ご質問の前にご覧下さいね^^★喉が渇くことがあります。また好転反応が出た場合に楽に流すためにも、白湯などの水分をとられることをお勧めします。★エネルギーやヴィジョンを感じるワークではありません。リラックスして、寝るつもりでゆったりとお布団で受け取ってくださるといいと思います♪★車の運転など、注意力・集中力を必要とする場面では、絶対にヒーリングを受け取らないでください。 眠くなることがありますので、危険です。万一そういう事態になった場合には、「私は今はヒーリングを受け取りません。後ほど布団に入るときに改めて受け取ります」とはっきり宣言してください。★ヒーリングは医療行為ではありませんので、受けたことで怪我や疾患が良くなったり悪くなったりするというものではありません。変化はご自身が望まれたことを後押しするために現れます。ご自身の判断と責任によりお受けくださいね。
2009年04月02日
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少年は、誇らしい気持ちで小さな右手をドアのセキュリティパネルに押しつけた。 パネルが虹色に輝き、鍵が外れる音がする。 シュリカンとの打ち合わせに行ってから来ると言われた通り、一応軽くノックをしてみたが返答はない。 ジョゼは体重をかけるようにして、大きなドアを押し開けた。先にひとりで入っていていいと言われたのだ。 部屋の中は、廊下から想像するよりもかなり広い。全体が白と茶色にまとめられ、師匠らしいとても穏やかな雰囲気だと彼は思った。 入って右に大きな作りつけの本棚、奥にベッド。長身の持ち主のためにベッドは広くて、小柄なジョゼなら3人は同時に寝られそうだった。 左側にはクローゼットと机に大小のコンピュータ。 この部屋にもやはり所々に植物やクリスタルが置いてあって、気持ちのいい波動で住人を癒してくれている。 クリスタル・ローズ・ガーデンにあるトールの部屋はどこを見ても興味津々なものばかりで、ジョゼは目を輝かした。 師匠は言ったのだ。 「ジョゼ、君にクリロズの僕の部屋の認証コードをあげよう。 約束事はふたつ。まず、ホストにアクセスできるメインコンピュータには触らないこと。 何重にもセキュリティがかかっているけど、一応ね。隣にある小さいサブ端末は使ってかまわない」 「それからクリスタルや魔法道具の位置を変えないこと。 元に戻すなら、ちょっと触って見るくらいはかまわない。 あとは、本は好きに読んでいいし、ベッドで寝ててもいいよ」 昨晩布団に入りながら、敬愛する師匠の優しい声とともにこの台詞を頭の中で繰り返しては、何度も寝返りをうっていたジョゼであった。 信頼されたことが嬉しくて、つい顔が笑ってしまう。 少年はおそるおそる本棚に指をすべらせた。 神聖幾何学、上級魔法理論、魔法大全、歴史書、植物、鉱物などさまざまな辞書事典類、背表紙のすりきれた古い呪術書。 トールにとっては蔵書の一部にすぎないが、少年には読みたい本がなんでも揃う図書館のように思われる。 本を手にとってめくってみたい衝動と、部屋のほかの物も見てみたい衝動とに挟まれながら、ジョゼは机に視線を動かした。 中央部に大きな3D端末がある。基本設備のシステム管理をしているトールの部屋のコンピュータは、責任者である緑の少女の部屋のホストと直接繋がっており、遠隔操作することができるのだ。 もちろん約束を破る気などこれっぽっちもなく、手を握ったまま気をつけて端末を見つめる。少年にとって、このメインコンピュータは憧れの集大成でもあった。 それから隣のやや小さな端末に目をやる。それはジョゼの部屋にあるものとも似ていたが、もちろんもっと高性能なのだろう。 ジョゼの指がそっと触れると、サブコンピュータは白く淡い光を吐き出し、画面が立ち上がった。 コンソールに手を載せ、ちょっといじってみる。しばらくすると、画面上に多面体の画像があらわれた。 自分の思い通りに動いてくれたことに心躍らせ、多面体をいろいろに回転させたり、色をつけてみたりする。 だんだんと慣れてきたジョゼは、画面を閉じるのもそこそこに今度は後をふりむいた。 視線の先には大きなベッド。 ワクワクした気持ちを抑えきれなくなり、少年はベッドに飛び上がって猫のように転がった。 なんだか嬉しさがこみあげてきて、笑いながらごろごろベッドの端まで転がってしまう。そのままどすんと床に落ちても、まだ少年は笑っていた。 床の上でも二、三回転がって顔をあげると、隅に直接小さな敷物をしいて大きめなクリスタルが置いてあるのが見えた。 深い海のような青で、クラスターというほどではないが何本かのポイントが寄りそった形をしている。 窓からさしこむ陽の光をうけて輝くクリスタルを、ジョゼはうつぶせに寝転がったまま顎を手にのせ、足をぶらぶらさせながら、うっとりと眺めた。石は大好きなのだ。 元に戻すなら触ってみてもいいよ、と言われた言葉を反芻して、彼は指先でかすかに青い石に触れてみた。 優しい海のような、彼を包み込むバイブレーションが感じられる。 それをもっと感じてみたくて、今度はそっと、掌全体で包むように石をつかんだ。 そのときだった。 ぽきん、という小さな音が聞こえたような気がした。 ぎくりとして、背筋がさっと寒くなる。 唾を飲みこみ、指を動かさないようにして掌を外すと・・・・・・ 青い小さなポイントがひとつ、折れて彼の手に乗っていた。 壊してしまった。壊してしまった。 この石も師匠の魔法陣の一端であるに違いないのに。 どうしようどうしようどうしよう・・・・・・ 思考がぐるぐると回ってしまい、何も考えることができない。 目は折れたポイントに釘付けになっている。心臓が早鐘を打ち、身体じゅうから冷や汗が吹き出ていた。 せっかく先生が信頼してくれた矢先だというのに、なんと謝ればいいのか、想像もつかなかった。 深い深い海の石は、何年かかったら彼に弁償することができるだろう。 もしも、もう手に入らない珍しいものだったら? あんなふうに羽目を外してしまうなんて、なんて馬鹿だったのだろう・・・・・・。 目にたまった涙が堰をきってあふれだそうとするころ、セキュリティが外れて扉が開く音がした。 「遅くなって悪かったね、ジョゼ。あ――」 「ごめんなさいっ!」 遊べたかい、と言いかけたトールの言葉は飲み込まれた。 ジョゼは折れたポイントを掌にかかげ、目をぎゅっとつぶって、ほとんど土下座しそうに頭を下げている。 「え? ああ、これか」 少年の手の青い石を、長い指がつまみあげた。陽に透かすようにして、さまざまな角度から調べてみる。少年は頭を下げた格好のまま、身体をきつく緊張させて微動だにしなかった。 トールは部屋を見回し、最後にそんな彼を見てふっと微笑んだ。 「ジョゼ、顔をあげてごらん」 「ごめんなさい、師匠、あの、僕、わざとじゃないんです! どんな罰でも受けますから、破門にしないでください!」 ますます身体を硬くしてジョゼは言った。破門にされてしまうのが、一番恐ろしかった。 これから色々教えてもらおうと思ったのに。 すると、暖かな手がジョゼの肩に置かれた。 「いいから顔をあげてごらん」 死刑台に上るような気持ちで顔をあげると、師匠の青灰色の瞳は怒ってはいなかった。 いつもと変わらぬその微笑みに、体中の力が抜けていく。 「ジョゼ、この石は君のところに行きたいみたいだ」 優しい声で師匠は言った。 「折れたのは君のせいじゃないよ。だけどもらってくれるかい。僕が持っていても文句を言われるだろうからね」 トールは笑いながら弟子の手をとり、青い小さなポイントを握らせた。それは彼の小さな掌にぴったりとおさまり、優しい海の波動をハートに伝えてくる。 「・・・・・・いいんですか、僕」 ここにまた来ても、という言葉は声にならなかった。 「もちろん。待っているよ」 トールが少年の肩を抱きよせると、手の上の石に大粒の涙がぽとりと落ちた。 青い石は虹のように輝いた。 **************この【銀の月のものがたり】シリーズはimagesカテゴリでお読みいただけます。物語を書くほうが忙しくてお返事遠慮させていただいておりますが、ご感想をいただくとものすっごく嬉しいので、小躍りして喜びます♪♪応援してくださってありがとうございます♪→
2009年04月01日
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