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単なる殺人≠安楽死≠延命治療の中止いつもは医師を裁く裁判官にたてついているが、今日は別だ。家族の治療中止要請を認定 川崎協同病院事件で高裁判決 (共同通信) 川崎協同病院事件で、殺人罪に問われた医師須田セツ子被告(52)に有罪を言い渡した28日の東京高裁判決は「家族からの要請に基づき、死亡することを認識しながら気管内チューブを抜いたが、死期は切迫していなかった」と認定。その上で、殺人罪の刑としては当時最も軽い懲役1年6月を選択し、執行猶予(3年)を付けた理由について「尊厳死の法的規範がない中、事後的に非難するのは酷だ」と述べた。癌など、やがては死の避けられない病気の終末期、闇雲に延命治療を施すことには反対だ。だからといって、積極的に殺すことにも反対だ。生きる望みが亡く、苦痛だけが残されている状態でも、 bambooは積極的安楽死には反対だ。苦痛を取り除くため、ありとあらゆる努力をするべきだと思う。その意味で、東海大学の塩化カリウム注射による安楽死を受け入れるつもりはない。だが、今回の事件では、癌ですらない。喘息であれば、ギリギリまで喘息の治療をするべきだろう。呼吸不全だから気管挿管したのだろうが、あきらめて挿管チューブを抜去しても自発呼吸はあったのだ。その自発呼吸を完全に止めて死をもたらすために筋弛緩剤を投与したのが今回の事件である。明らかに殺人である。癌の終末期に人工呼吸器のスイッチを切ったのとは訳が違う。混同してはならない事例だ。執行猶予がついたのだから、じっくりと自分のしたことを考えて欲しい。
2007.02.28
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Trap 昨日は検察の体たらくを笑っていたのだが、法廷のやりとりというのは微妙な物であるらしい。要は判事にどのように思わせるかと言うことなので、必ずしも正しい方が勝つわけではないのだ。私より数段裁判という物を見る目のありそうな人の書いたブログを見つけたので紹介する。ここだ。http://lohasmedical.jp/blog/2007/02/post_489.phpその中から少しだけ引用する。ブログの著者の意見と裁判でのやりとりの色分けは、 bambooによる。K医師からもストーリーの裏づけになるような証言は全く得られない。だが、検察もその程度までは元から想定内だったのだろう。開廷からおよそ1時間後いかにも切れ者という感じ(実際、頭にそり込みが入っていた)の検事はついに切り札を出した。それは「本件発生当時の・・・今の質問は撤回します」から始まった。何をやめたのかと思っていると 検察 証人と被告人の関係についてお尋ねします。加藤医師を知っていましたか? K医師 はい。 検察 どういう関係でしたか K医師 同じ医局です。 (ここで裁判長も含めて「何だそれは?」という感じになる) 検察 同じ医局とは? K医師 同じ大学の医局です。 検察 どちらが先輩とか、位置づけはあるのですか? K医師 私がどういう意識をもっているかですか? 年数だけ私が上というくらいです。 検察 同じところで勤務していましたか? K医師 一緒に働いたことはありません。 検察 個人的に知っていますか? K医師 はい。 検察 どの程度の付き合いですか。 K医師 学会なんかで会うこともあるので、酒を飲んだり話をしたり。この後しばらく別のやりとりを挟んで先ほど始めかけて撤回したと思われる急所の質問に入った。 検察 証人の当時の認識として、本件に関して検事から事情を聴かれた。それを調書にまとめられ署名指印したということがありましたね。 K医師 はい。 検察 それは当時の証人の認識をまとめられたということですね。 K医師 はい。この調書は、弁護側が証拠採用に同意しなかったものなのでK医師は調書の内容と同じことを話す必要はない。しかし供述内容が被告人有利に変わるとすれば上のやりとりの後だけに裁判官に与える心象は良くない。この事件に関して医学界の検察包囲網が敷かれ真っ当な立証は困難になりつつある中<医師たちがよってたかって加藤医師をかばっている>と裁判官に思わせ一発逆転を狙うこんな検察の青写真が垣間見える。弁護側もその狙いを察知して急に忙しくなる。 このあとは検察側と弁護人が口を挟み合い、すさまじい応酬が繰り広げられる。詳しくはリンク先を見て欲しい。リンク先を bambooが見て思ったのは、裁判というのは、事実がどうであれ、自分たちに有利なシナリオを裁判官に信じさせるゲームなんだと言うこと。要するに競技ディベートなのだ。競技ディベートには様々なテクニックがあるらしい。判りやすく言えば罠だ。海千山千の検事や弁護士にとって、世間知らずの医師を手玉に取ることなど朝飯前だろう。 民事ではあるが、最近信じられないような馬鹿な判決が多い。多くは元になる馬鹿な鑑定があるのだろう。今までは馬鹿な鑑定をする馬鹿な医者がいるのだと思っていたが、原告側弁護士に手玉に取られて、いつの間にか医学的にはあり得ないような結論に導かれたと言うことも考えられるだろうか。何はともあれ、何時までも医者も世間知らずじゃいられない。
2007.02.25
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検察が 深みにはまる あり地獄「被告の処置は適切」検察側証人の医師ら証言 大野病院事件2月24日7時2分配信 河北新報 福島県立大野病院(大熊町)で帝王切開手術中、子宮に癒着した胎盤を剥離(はくり)した判断の誤りから女性患者=当時(29)=を失血死させたとして、業務上過失致死罪などに問われた産婦人科医加藤克彦被告(39)=大熊町=の第2回公判が23日、福島地裁であった。手術前、緊急事態に備えて応援を要請されていた産婦人科医と、手術に立ち会った外科医が検察側証人として出廷したが、いずれも加藤被告の判断や処置は適切だったとする趣旨の証言をした。 最大の争点となっている加藤被告が癒着胎盤を確認した時点で胎盤剥離を続けた判断が妥当かどうかについて、産婦人科医は「胎盤の剥離を完遂すると出血が止まることがあるため、剥離を進める。自分も癒着胎盤の症例に出合った際は、重症だったが剥離を続けた」と証言。「加藤被告が罪に問われた手術の出血量では、血液の準備があれば剥離をする」と供述した。 検察側が大量出血の原因とするクーパー(医療用はさみ)を使った剥離についても、産婦人科医は「クーパーの使用は危険」とした捜査段階の供述を撤回。「クーパーの刃を開いて剥離すると考えていたため危険だと言ったが、加藤被告のように刃を開かず、外側でそぐように剥離するならば、手を使うより安全かもしれない」と述べた。 外科医も「外科手術で使っており、クーパーを使うリスクが高いとは思わなかった。クーパーを使った剥離によって大量出血したという感じではなかった。胎盤もスムーズにはがれた」と証言した。 一方、加藤被告が事前に危険性を認識して手術に臨んだとする検察側主張について、産婦人科医は加藤被告から応援を頼まれたことを認めた上で「応援要請は初めてだった。癒着胎盤とも考えた」と、検察側立証に沿う証言をした。 起訴状によると、加藤被告は2004年12月17日、女性の帝王切開手術で胎盤と子宮の癒着を確認して剥離を始めた。このまま続ければ大量出血で死亡することを予見できる状況になっても子宮摘出などに回避せず、クーパーを使った剥離を続けて、女性を失血死させた。 続いて大野病院事件 検察側証人が被告に理解示す証言 大熊町の県立大野病院で2004年12月、帝王切開手術で妊婦を失血死させたなどとして、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪に問われている産婦人科医、加藤克彦被告(39)(大熊町下野上)の第2回公判が23日、福島地裁であった。検察側の証人尋問が行われ、証人が検察側の主張と食い違う見解を示す場面があった。 証人は、手術に先立ち加藤被告から相談を受けていた双葉厚生病院(双葉町)の産婦人科医と、手術で助手を務めた外科医の2人。 最大の争点になっている、子宮に癒着した胎盤をはく離する処置をやめ、子宮摘出手術に移行する義務があったかについて、産婦人科医は「胎盤のはく離を完了すれば、子宮の収縮が期待でき、止血できるかもしれない」と弁護側の主張に沿うとも受け取れる一般的見解を述べた。この産婦人科医は、胎盤が子宮に癒着した患者の帝王切開手術で子宮の摘出手術に移行した経験があり、検察側が証人申請していた。 胎盤のはく離に手術用ハサミを使った妥当性について、2人の証人は「切るのではなく、そぐように使うなら許容できる」などと理解を示す証言をした。福島地検は公判後、「無理にはく離して、大量出血を招いたことが問題」と反論した。(2007年2月24日 読売新聞)情報発信の意図を持って傍聴した人がいるらしいので、そのうち詳しいことが色々なところから出てくるだろうが、新聞記事だけで見る限り、検察の面目は丸つぶれだ。これ以上恥をかく前に取り下げた方が良いんじゃないか。隠し球があるのなら、もう出てくるだろうと思うのだが、今回も出てきた様子はない。単なる意地だけで被告を苦しめ続けるのであれば、決定的に信頼を失うことになる。一度失った信頼を取り戻すのは大変だろう。被告の人権に配慮し、匿名化すべしとの意見もある。そして、そのように配慮したブログも見受けられる。 bambooも迷いに迷った上で決めた。ここでは匿名化はしない。何も悪いことをしていないのだから名前を出すべきではないという考えもあろうが、何も悪いことをしていないのだからこそ、すでに出ている名前を隠すことはないと言う考えの方が bambooにはしっくりと来るのだ。お互いに悪意があるわけではないのだから、人それぞれで良いと思う。
2007.02.24
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命に関わる急病でない限り、夜中に受診するのはやめよう小児科医死亡は過労死 時間外、月100時間超 道労働局認定 2007/02/23 07:06 道北の公立病院などに勤務していた小児科医の男性=当時(31)=が突然死したのは、月百時間を超す時間外労働による過労死だとして、遺族が旭川労働基準監督署に労災を申請していた問題で、北海道労働局は二十二日までに、労災と認定し、遺族補償年金の支給を決めた。医師の過労死認定は全国的にも極めて珍しい。医師不足の原因の一つとされる勤務医の過酷な労働実態の見直しを求める声が、さらに強まりそうだ。 男性医師は二○○二年四月から○三年七月まで臨時職員として、○三年八月から正職員として、公立病院に勤務。同年十月に富良野市の民間病院に移ったが、六日目に自宅で突然死した。 遺族や関係者によると、男性は公立病院で、一市三町(当時)の小児救急を他の医師二人と共に支えていた。午前九時から午後五時の通常勤務に加え、泊まり込みの当直が月三-四回あった。さらに救急患者のために待機する当番が月二十-二十五日あり、多い日で一晩に五回呼び出されたという。月の時間外勤務は平均百時間を超え、休みは月に一、二日だった。 小児科の救急外来には毎晩平均五人の患者があり、男性の当時の上司は「患者数に比べ医師が足りなかった」と打ち明ける。 また、富良野の病院ではわずか五日間で三十二時間の時間外労働をしていた。突然死する前日の夜も呼び出しの電話で飛び起き、病院に向かったという。 遺族は「『僕が死んだら働きすぎだから』ってよく冗談で言っていました」と振り返る。 国は業務と疾患の因果関係を認める基準として「発症前二-六カ月間、月八十時間を超える時間外労働」を挙げているが、医師の死亡前一年間の時間外労働は毎月百時間を超えていた。 労働局労災補償課は「労災保険の対象外の公立病院正職員だった二カ月を除く期間で、過重負荷の労働があったと判断した」と説明している。 申請を担当した高崎暢(とおる)弁護士(札幌)は「あまりに過酷な勤務であり、(職場管理者が)事前にやめさせるべきだった。労災認定は当然」と指摘。医師が勤務していた公立病院長は「今は取材に応じられない」と話している。(北海道新聞) 死んでもおかしくないような勤務をしていても、必ず死ぬわけではない。1人の過労死の背後には、多くの予備軍がいることだろう。今回の事例では、勤務の記録が残っているようだが、時間外勤務の記録を残さない病院も多い。サービス残業であれば、記録を残す意味がないからだ。そのような場合、過労死と認定されただろうか。亡くなった医師のご冥福をお祈りするとともに、他の小児科医の業務が改善されることを望みたい。特に小児科医の場合、受診する側の態度一つで疲労度が全く違う。昼間は忙しいからと夜中に受診したり、ずっと前から症状があったのに、急に心配になって夜中にやってきたりする患者のせいで、小児科医は眠れないのだ。bambooの勤務先でも、夜泣きが治まらないので診てくれと、夜中の一時に電話をかけてくる父親がいた。様子を見るようにと言うと激昂して、長時間怒鳴り散らしていたそうな。頼むから、大事な小児科医が辞めたくなるようなことはしないでくれ。
2007.02.23
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ガーゼガーゼ置き忘れ…7年後、子宮筋腫と誤診し摘出手術 大垣市民病院 記事:毎日新聞社提供:毎日新聞社【2007年2月20日】 医療ミス:体内にガーゼ置き忘れ…7年後、子宮筋腫と誤診し摘出手術----大垣市民病院 ◇体内にガーゼ置き忘れ→7年後、子宮筋腫と誤診→子宮と右卵巣、摘出手術 岐阜県大垣市の大垣市民病院は19日、県内の30代の女性に帝王切開手術をした際、体内にガーゼを置き忘れた上、7年後にこれを子宮筋腫と間違えて子宮と右卵巣を摘出する医療ミスがあったことを明らかにした。慰謝料など550万円を女性に支払うことで和解したという。 病院によると、女性は子宮筋腫と左卵巣膿腫(のうしゅ)と診断され、昨年7月4日に手術を受けた。子宮と左右の卵巣を摘出した後に、子宮と直腸の間に丸まったハンカチ大のガーゼ1枚が見つかり、子宮筋腫と誤診していたことが分かった。左卵巣膿腫の診断に誤りはなかった。 女性は他の病院で手術を受けたことはなく、99年4月28日に出産で帝王切開した際にガーゼを取り残した可能性が高いことが分かった。 和解金には、後遺障害への慰謝料のほか今後のホルモン療法の治療費が含まれている。 大垣市民病院は「使用したガーゼの枚数を確認しなかったミス。再発防止に努めている」と謝罪した。【子林光和】門外漢が新聞記事だけから診断や手術に言及するのは無謀なので、今回はガーゼの置き忘れについてだけ。まず、本当にガーゼの枚数を確認していなかったのなら、当時としても酷いミス。 bambooは枚数の確認はしていたと思う。当時でも、それは常識だったからだ。問題は、枚数が合っていても残っていることはあるということだ。原因は分からないことも多い。10枚単位でガーゼを出すのだが、最初から11枚の束があることもある。結局、万全を期せば、鉛入りのガーゼを使用して、術後に必ずレントゲン写真を撮るしかない。それで絶対かと言われれば自信はないが、それ以上の方法は思いつかない。おそらく多くの病院で開腹手術のあとにはレントゲンで確認していると思う。99年には一般的ではなかっただろうから、その時の手術では行っていなかっただろう。でも、今回の術前のレントゲン写真で判らなかったと言うことは、鉛入りのガーゼを使っていなかったのではないかという疑いが残る。当時でも、ガーゼの枚数が合わなければレントゲンを撮るので、やはり鉛入りのガーゼを使うことが一般的だったのだ。ところで、今回はガーゼを発見することが難しいというメッセージも込めて、覚え立ての表現をしてみた。判るだろうか。
2007.02.21
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bamboo:医療関係のブログを見ることある?研修医:いつもじゃないけど、時々見ますよ。bamboo:18日には多くの医療関係のブログで同じような意見表明があったんだ。研修医:え、18日って、何かあったんですか?bamboo:大野病院の産婦人科医が逮捕されてから、ちょうど一年だったんだよ。研修医:そうなんですか。でも、大野病院て何ですか?世の中こんなものなんだろうなあ。ブログを立ち上げたときの気持ちが萎えそう。でも、カウンターだけは回っているし、読んでくれる人がいることを信じて続けよう。
2007.02.21
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姫路赤十字病院、診療報酬4300万円を不正請求 兵庫県姫路市の姫路赤十字病院(鍋山晃院長)が、患者に投与していない薬剤をレセプト(診療報酬明細書)に記載するなどして、2005年9月~06年8月の1年間に計約4300万円の診療報酬を不正請求していたことがわかった。同病院は、兵庫社会保険事務局の指導を受け、各健康保険組合などに全額自主返還するとしている。 同事務局が06年9月、健康保険法に基づき個別指導。投与していない薬剤の記載のほか▽カルテにない病名をレセプトに記載▽必要性に乏しい血液検査などの実施▽保険適用外の傷病に抗がん剤を使用して請求――などの不正が判明した。 入院患者の診療報酬請求の際に必要な入院診療計画書についても、昨年4月の厚生労働省告示で、本人や家族の署名が義務付けられたのに、署名欄がないなど、不備が複数見つかった。 姫路赤十字病院は同事務局に改善報告書を提出。指摘されたケースについては「薬剤が変更されたのに、元の薬を書いていたり、カルテの記載漏れだったりで意図的ではない。血液検査は医師が必要と判断した」などと釈明している。(2007年2月16日 読売新聞)ウィンドウズを使い始めた頃「このプログラムは不正な処理を行ったので強制終了されます」と言う表示を見て腹を立てたものだ。俺は何も不正なことはしていないのに、何だ、この言いぐさは。評判が悪かったのか、最近のウィンドウズでは見ない。診療報酬の不正請求と言えば、一般的にはインチキをして、やってもいない検査や処方してもいない薬の代金をだまし取ろうとしたと思われるかも知れない。でも、保険診療をやっている立場からこの記事を読みとると、そのような悪質なものではないのだ。最も重要なのは、保険医療と標準的な医療の解離だろう。普通に診断をつけ、ふつうに治療をして、普通に保険請求をしても、報酬を貰えない。それぞれの検査や治療の報酬を受け取るには、それに対応した診断やいろいろな記載が必要だ。そのために保険病名を書いたり、ちょっとした記載をしたり、別な書面を用意したりしなければならない。忙しい診療の合間にやると、これが結構抜けるのだ。と言うわけで、カルテの監査を受けると、どうしても不備が出てくる。不備のあるものは請求する要件を満たしていないので、不正請求と見なされるわけだ。不正請求と言っても、決してあくどい請求をしているのではないことを、みんなに知って貰いたい。
2007.02.19
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「新小児科医のつぶやき」というブログで、一年前に逮捕された産婦人科医を応援する運動の呼びかけをしている。 bambooも協力したいので、この日記を書いている。↓を参照してください。http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20070207福島県立大野病院の産婦人科医が逮捕されたのは丁度一年前。それまでにも厳しい労働環境や理不尽な民事訴訟などで医師のモチベーションは下がる一方ではあった。だが、それに加えて恐怖と憤りをもたらしたのが、この大野病院の不当逮捕事件だろう。あれ以来、医療の崩壊が止まらない。メディアも最近になって、今までのように医者たたきをしていたのではまずいと思っているようだが、もう遅い。すでに bambooの勤務先以外に、帝王切開をするところは周りには無くなってきている。おかげで婦人科疾患の手術が無くなってしまった。子宮筋腫の患者は遠くの病院に紹介しているのだ。まだ裁判は始まったばかりだ。先は長い。でも、多くの人々が応援していることを知って欲しい。貴方は一人じゃない。
2007.02.18
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2月2日の日記にも書いたのだが、恐れていたことが事実であることが判明した。麻薬アンプル30本盗難、国立病院の医師を逮捕 大阪府吹田市の国立循環器病センターから麻薬系鎮痛薬「フェンタニル」を盗んだとして、吹田署は15日、同市青山台、同センター麻酔科医師の福田稔容疑者(36)を窃盗容疑で逮捕、自宅から空のアンプル30本を押収した。 福田容疑者は容疑を認めており、同署は余罪のほか、麻薬及び向精神薬取締法違反容疑でも追及する。 調べでは、福田容疑者は1月15~29日の間、同センター3階の麻酔科の金庫に保管されていたフェンタニルのアンプル(2cc入り)30本を数回にわたって盗んだ疑い。 フェンタニルは麻薬指定され、毒性が強く、鎮痛効果はモルヒネの200倍とされる。福田容疑者は「疲れた時や眠い時に注射した。すべて自分で使うために盗んだ」と話している。 [読売新聞] 弁護するつもりはないが、気持ちだけはよく分かる。麻酔業務は結構気を遣う業務なのだ。bambooも疲れてもいるし眠くもあるのだが、頭の芯が冴えわたって眠れないことがある。業務中は脳内の警報装置がフル稼働しているので、業務終了からしばらくしないと、警報装置がオフにならないのだろう。こういうときは酒を飲んでも眠れない。事件の報道を見たとき、麻酔科医の犯行だと思ってはいたが、実際に明らかになると改めて悔しい。眠るためなら合法の睡眠薬がいくらでもある。盗まなくても処方してもらえるだろうに。自分の人生を捨てることはなかったはずだ。
2007.02.16
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女性救出の宮本巡査部長、祈り届かず死去…首相も弔問 東京都板橋区の東武東上線ときわ台駅で6日夜、線路に入った女性(39)を保護しようとして電車にはねられ、重体となっていた警視庁板橋署常盤台交番の宮本邦彦巡査部長(53)(12日付で警部に2階級特進)が、12日午後2時25分、区内の病院で死亡した。 宮本さんは妻と大学1年生の長男に見守られながら、集中治療室で治療を受けていたが、意識を取り戻すことはなかった。告別式は、15日午前10時から、板橋区舟渡4の15の1、戸田葬祭場で営まれる。 宮本さんが2年前から勤務していた常盤台交番や板橋署には事故後、回復を祈る手紙や電話が130件近く寄せられ、花束や千羽鶴なども100を超えた。12日夜には、同交番に記帳台が設けられた。安倍首相も同署へ弔問に訪れ、「総理として、日本人として誇りに思います。息子さんには、お父さんを見習って頑張って下さいと申し上げた」と語った。 溝手国家公安委員長は13日の閣議後記者会見で、「総理から緊急叙勲の検討に値するという発言があった」と述べた。緊急叙勲は通常の叙勲より迅速に審査するもので、警察庁では内閣府に上申する方向で検討に入った。(2007年2月13日14時7分 読売新聞)この件は多くのところで取り上げられ、宮本邦彦巡査部長に対する賞賛の声と哀悼の意で一杯だ。 bambooも賞賛もするし、哀悼の意も捧げよう。でも、それだけで良いのかという想いがぬぐえない。周りが協力すれば、死なないで済んだのにという想いを禁じ得ない。迫り来る電車を物ともせずに協力することはさすがに無理だろう。でも、踏切にいたときであれば、誰かが協力すれば何とかなったはずだ。自分だったら協力できたと言っているわけではない。宮本氏の殉職という現実を目の当たりにしたのだから、次回同じようなことが起きたとき、殉職という悲しい出来事を起こさないよう、我々が何が出来るのかを自分自身に問わなければ、宮本氏に申し訳が立たないと思うのだ。二階級特進よりも、叙勲よりも、生きていればこそと思う。小市民として命をかけることは出来ないけれど、お手伝いできることがあれば、勇気を出してお手伝いをすることを誓って、哀悼の意とさせていただきます。ご冥福をお祈りします。
2007.02.13
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無罪医師、女子医大を提訴 「手術事故の調査は誤り」 記事:共同通信社提供:共同通信社【2007年2月9日】 東京女子医大病院で2001年、心臓手術を受けた群馬県の少女=当時(12)=が死亡した事故をめぐり、誤った内部調査で名誉を傷つけられ解雇されたとして、当時の担当医=業務上過失致死罪に問われ1審無罪、検察側控訴=が8日、大学と調査責任者の教授に、損害賠償や未払い賃金計約8300万円を求める訴訟を東京地裁に起こした。 訴状によると、内部調査委員会は01年10月、担当医による不適切な人工心肺装置の操作が患者の死因になったとの報告書を公表。その後担当医は業務上過失致死罪で起訴され、大学も解雇された。 05年11月の東京地裁判決は「人工心肺装置に取り付けられたフィルターの目詰まりが直接的な原因で、担当医は事故を予見できなかった」として無罪を言い渡した。 担当医は「報告書が虚偽だった結果、捜査機関に誤って逮捕された。それを根拠に解雇するのはマッチポンプだ」と訴えている。 東京女子医大広報室は「訴状が届いておらず、コメントは控えたい」としている。当事者にだけ責任を押しつけて、自分たちだけは助かりたいと思ったんだろうなあ。実際にはポンプそのものの問題だったのだから、当該医師には責任はなく、そのようなポンプが用意されたシステムの問題となり、お偉いさんたちが責任をかぶらなければならない事を恐れたのだろうな。誤算は、当該医師が降りかかる火の粉を振り払うだけの気概があることを見落としたことだ。もう一つ、大野病院事件以来、医師が連帯し始めている。この原告となった医師を応援する医師は多い。今はまだ声だけの応援にとどまっているが、必要になればカンパも始まりそうな勢いだ。これもお偉いさんたちの誤算だろう。
2007.02.10
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http://d.hatena.ne.jp/mycat/20070125以下は↑のブログからのコピペ。大元は閉鎖されている模様。2007-01-25 彦根市立病院での安心なお産を願う会 掲示板コピペ 「一彦根市民ですが、彦根市民病院での安心なお産を願う会が、医者におもねり全国で多発している殺人にも等しい医療ミスを促進するのではないかと危惧しています。彦根市民は日本の医者のほとんどを占めている金儲け主義のヤブはいらないのだという当初の設立の気持ちを失わないでいてほしいです。」 「一彦根市民です。儲けようと思ったら給料の安い公立病院には来ませんよ。 私から見れば今の市民病院でも医者に給料を払い過ぎです。半分以下にすれば私たちの医療費も安くなっていつでも気軽 にかかれるようになるので、この会の方々もぜひそういう方向で運動して下さい。それと私はこれまで勤務していた産婦人科医も、今勤務している医者も全く信用していません。私の周囲の女性達も皆そのように言っています。私たちの市民病院はもっと一流の医者を雇うべきだと思います。これも会の皆さんに強く訴えてほしいと思っています。」 「私も彦根の人間だけど、市民病院の医者が信用できないのは市民の誰もが思っていることというのは事実です。 産婦人科も同じ。もっと金や自分のことを考えずに腕のいい医者を求めることはそんなにおかしいことなのですか? ここには自分たちの利益ばかり主張する医者の書き込みだかりで 悲しみと怒りがわいてくるばかりです。会の皆さんはこういう自己中の医者連中とこれからも戦い続けて彦根市民の健康を守る役割をはたしていってください。応援しています。」 「彦根市民病院のひどさは本当に市民でないとわからない。私はいったん今いる医者を全員首にして、改めて新たに私たち市民の目線で雇った医者で新市民病院を立ち上げるべきだと考えています。今残っている産科医を一刻も早く首にすればむしろしがらみのない施設として医者も雇いやすくなる。会社と同じです。」 「東近江在住の市民です。医師の顔色ばかりをうかがう行政側の対応に呆れ果てています。平均年収の3倍を貰っておきながらまだ給料アップを要求したり、どの業種でもサービス残業当たり前のご時勢に自分の休みばかり主張する医者連中の幼児性にはうんざりです。医者は世間知らずとは思っていましたがここまでとは思いませんでした。あえて言いますが、幼児の甘えに対しては毅然とした対応が必要だと思います。一つ我儘を聞き入れたら必ず次の要求が出てきます。一度医者も叱り飛ばして世間の厳しさを教育してあげたほうが彼らの為でもあると思います。」 「躾と思えば社会人としての節度や倫理観を身に付けてもらうには良い機会かもしれません。福島県で無念にも命を奪われた妊婦さんの公判で過失致死の被告側はあくまで遺族や世間との対話を拒み、評価の定まった教科書を否定して自分に有利な事を書いた(評価も定まっていない)論文をいくつか持ってきて証拠採用させようとしたりとやりたい放題です。何かあっても医者だけは専門用語で煙に巻けば許される時代を終わらせましょう。本当に患者の目線でともに戦ってくれる医師を選びましょう。ここまで医者側の幼児性剥き出しの反論を見て私の指摘が間違っていないと確信しています。」 「市民病院の医者が信用できないのは市民の誰もが思っていることというのは事実です。こんなに市民に信用されてない市民病院なら、なくてもいいですよね。」 「医者が居なければオマエが困る、と。オマエラが居なくても医者は困らない。失敗しても文句言わないなら来てやる。おっと値上げするし休みも増やすから。いやなら死ね。というかお前の子供から殺す。 もはや同じ人間とは思えません」 「いやなら受診するななんて、これが医師の、いや人間の言うことなんでしょうか!?」 「皆さん冷静になってください。忘れてはいけないのはこれまで居た医者達はどうやら京大の医師の中でも底辺層だという事です。彦根の住みやすさや医師を取り巻く環境を向上させて、本当に能力と人間性の優れた医師を派遣して頂けるよう歩み寄りをする必要があるのではないでしょうか? 医者が憎いだけ、という運動ではないのです。さもないと大津の低レベルな私立大学から能力、人間性ともにさらに劣った医者が派遣されて彦根の医療が壊滅してしまう恐れがありますよ。」 「医者が憎いわけではないが、患者を殺しておいて反省のかけらもない医者、自分が楽をしたくて逃げ出す医者の罪を不問にふしてはいけないと思います。反省を求め、謝罪させ、そのうえで彦根の医療に貢献したいという医師なら歓迎ですが。」 「彦根で働かして欲しいなら、きちんと地元の人に挨拶して己の分限を弁えて欲しい。自分が仕事をもらう立場であり、雇用主は地元住民であることを理解できることが必要。彦根の人々に生かされていること、自分が余所者であり、新参者であることが理解できること。つまり、地元の人々の意向が最優先されること、余所者のくせに自己主張をしないこと。このような最低限度のモラルが求められる。いままでの医者はこの程度すら出来なかった。」 m3comなどに行くと、結構本気で怒っている医師がいるんですね。こんなのどう見たって釣りでしょう。煽って炎上させて閉鎖に追い込む。結局目論み通りになったというわけです。文面から判断して、実際は医療関係者の作とbambooは見ています。医者を怒らせるつぼを心得すぎです。
2007.02.08
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asahi.com2007年02月07日11時17分 金沢市の肢体不自由児施設「石川整肢学園」に併設された病院で01年、手術後の措置を誤って男児(当時4)を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた金沢大名誉教授 で麻酔科医の村上誠一被告(80)=金沢市つつじが丘=の判決が7日、金沢地裁であった。堀内満裁判長は「慎重な確認作業を怠っており、注意義務違反は明らか」と指摘。村 上被告の「治療は最善を尽くした」とする無罪の主張を退け、禁固1年8カ月執行猶予3年(求刑禁固2年)を言い渡した。村上被告は控訴する方針。 判決によると、村上被告は01年2月、当時非常勤で麻酔科医をしていたこの病院で、男児の右足の整形外科手術後に麻酔をさます際、のどに分泌物がたまっていたことから、気 道確保のために気管チューブを挿管。この際、誤って食道に入れたうえ、正しく挿管できたかを確認するなどの注意義務を怠ったため、男児は無酸素脳症に陥り、1週間後に急性 呼吸障害で死亡した。村上被告は麻酔・蘇生学が専門で、長く金沢大医学部教授を務め、92年に定年退職。日本麻酔科学会長、日本尊厳死協会北陸支部長なども歴任した。02年3月に業務上過失致 死容疑で書類送検され、金沢地検が04年6月に在宅起訴していた。術中の麻酔時の気道確保は何でやっていたのだろうか。たぶん気管挿管ではないのであろう。麻酔覚醒時に気道の分泌物を吸引するために気管挿管をしたと言うことらしい。その時に食道挿管になってしまい、呼吸不全となったという事実認定に基づいた判決だ。でも、それまで自発呼吸だったら、食道挿管しても呼吸は出来るのではないかと思うのだが、どうだったのだろう。そもそも、分泌物を吸引するのに、気管挿管までしなければならない状況とはどんな状況だったのか。また、食道挿管だったことはどのように確かめられているのか。記事を見ただけでは詳しいことは何も判らない。確かに、麻酔科の教授は自分で麻酔を行うことは少ないし、高齢でもあるので、技術的にはばりばりの現役麻酔科医には及ばなかったであろう。肢体不自由児であれば、気管挿管も難しかったかも知れない。食道挿管の可能性は十分にある。あるいは、正しく気管挿管されていたのに、換気不能だった可能性もないわけではない。激しい咳反射で怒責があれば、たとえ子供といえども換気出来ないことはある。私自身数例の経験がある。幸いなことに比較的短時間で換気可能となったが、体色は真っ黒になった。最近の症例はパルスオキシメータという酸素飽和度を測る機械をつけているが、その時の酸素飽和度は40%まで落ちた。長く続けば低酸素脳症になってもおかしくない数字である。医療というのは不確実なものである。医師のレベルが低ければ、容易な状況でも不幸な結果となるが、たとえ医師のレベルが高くても、困難な状況であれば不幸な結果に終わるだろう。状況が容易なのか困難なのかは多くの因子が関わるので、その場で専門家が見ていなければ判らない。多くの場合、たとえ裁判をしても真実は判らない。それでも何らかの判定が下されることは仕方がないのだろう。ミスだと判定されたのであれば民事は甘んじて受けても良い。でも、刑事罰を与える必要まではないだろう。
2007.02.08
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久しぶりに、半世紀近くも前の囃子詞を思い出した。いいのよいいのよほっといて。どうせ私が悪いのよ。郵便ポストが赤いのも、夜にお日様出ないのも、み~んな私が悪いのよ。少し前の記事ではあるし、既に多くのブログで取り上げられているので、書くつもりはなかった。でも、トンデモ判決は少しでも多くの人に問題点を広めた方が良いと思い直した。問題のトンデモ判決はこれ。神戸新聞ニュース 2007/01/27 悪性リンパ腫と診断され姫路赤十字病院(姫路市)に入院、肺炎に感染し死亡した同市内の男児=当時(9つ)=の両親が、病院に過失があったとして、日本赤十字社(東京都)などに約九千四百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が二十六日、神戸地裁であった。下野恭裕裁判長は「医師らは治療について、両親に説明する義務を怠った」として、赤十字社に一千万円の支払いを命じた。 判決によると、男児は一九九九年十一月、悪性リンパ腫の治療で入院。抗がん剤を使う化学療法で症状が改善したとして、入退院を繰り返しながら治療を続けたが、〇〇年十月、入院中に肺炎に感染し死亡した。 同病院は当時、悪性リンパ腫の治療実施計画書を作成した小児白血病研究会に参加してなかったが、下野裁判長は判決理由で「被告は研究会に参加してないことを患者側に告げる義務があった。研究会に参加してない病院では何か問題が起きても、研究会に判断を求めることができない。患者側はほかの研究会参加の病院で、高度な治療を受けることもできた」などとした。 さらに裁判長は、肺炎予防の薬の服用についても「男児が薬を内服しやすい環境をつくる義務を怠った」として病院側の過失を認定した。 姫路赤十字病院の企画情報課は「判決文を見てないのでコメントは差し控えたい」としている。今更私がご託を並べるより、優れた批判をしているブログを紹介した方が良いだろう。以下のブログを参照してください。http://ameblo.jp/med/entry-10024357522.htmlhttp://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20070128http://d.hatena.ne.jp/physician/20070127http://kenken1997.cocolog-nifty.com/pediatrician/2007/01/post_7f44.htmlhttp://blog.goo.ne.jp/critic11110/d/20070206全部読むのは大変でしょうから、二つあげるとすれば、2番目(新小児科医のつぶやき)と最後(いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」 2007年2月)がお奨め。
2007.02.07
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出産無過失補償制度準備委が今月中に設置 記事:毎日新聞社提供:毎日新聞社【2007年2月4日】 出産無過失補償制度:準備委が今月中に設置 真相究明の妨げ懸念 脳性まひの重い後遺症を抱えて生まれた新生児を巡り、医師らの過失がなくても補償対象とする産科医療の「無過失補償制度」について、医療関係者らによる準備委員会が今月中に設置され、具体的な制度設計の検討が始まる見通しになった。準備委では、補償の対象や金額、審査方法などを話し合うが、医療事故の被害者からは「過失のあるものまで無過失と扱われかねず、事故の原因をあいまいにする」と危惧(きぐ)する声が上がっている。(社会面に関連記事) 同制度は、通常の出産で新生児が脳性まひになった場合、医師の過失が立証されなくても金銭を補償するもので、自民党が昨年11月、制度の枠組みをまとめた。厚生労働省は07年度中に導入する方針で、新生児1人当たり2000万-3000万円の補償が考えられている。準備委は、制度を運用する財団法人「日本医療機能評価機構」(東京都)に設置される。 出産にかかわる医療事故は、過失の有無の判断が難しいとされ、裁判で争われるケースが少なくない。自民党や日本医師会は、制度で患者や家族の救済を図る一方、医療裁判を減らし、紛争の多さによる医師の産科離れも防ぎたい考えだ。 しかし、「事故から学んでほしい」と訴えてきた被害者たちは、過失の有無があいまいになり、ミスを繰り返す悪質な医師が放置されることを心配する。医療裁判が多いのも、医療側の不誠実な対応に原因があると批判。想定されている補償費が低すぎるとの声も出ている。 産科の事故で長女を亡くした経験を持ち、中央社会保険医療協議会(中医協)の委員を務める京都府の高校教師、勝村久司さん(45)は「被害者は産科医らの不誠実さを見兼ね、裁判に向かっている」と指摘。「無過失補償制度を導入する前に、再発防止策を提言するのが先だ」と訴える。 厚労省医政局は「準備委では過失の有無などを明らかにするため、事故原因の分析のあり方も検討したい」と説明している。【玉木達也】「被害者」側もそれなりの理屈で反対のようだが、 bambooも反対である。日常生活で突然心筋梗塞や脳卒中で亡くなったとしても、誰の過失でもない。補償して欲しければ自分で保険に入る必要がある。誰の過失でもない障害を補償して欲しければ、自分で保険にはいるか、社会保障制度を充実させるしかない。http://www.kirishimacho.com/HouseCall/encyc/123/158/165_0_0_0.html出生前の適切な配慮により、脳性麻痺の性原因となる一部のリスクは減らせることがありますが、過去15年間にわたる分娩時の産科的技術の著しい向上にもかかわらず、脳性麻痺の発生は減っていません。ほとんどの症例では、疾患を起こす外傷は予防できないことがあります。 基本的に出産時の脳性麻痺はある程度の確率で必ず起きる。それを補償して欲しければ、患者側が自分で保険に入ればいいのだ。もちろん他の原因での死亡や障害も含めた社会保障を充実させるというならそれでも良い。産科に特定して、無過失なのに補償する制度を作るというのは反対だ。
2007.02.06
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患者1100人分個人情報と麻薬紛失、循環器病センター2007年2月2日(金)14:01 国立循環器病センター(大阪府吹田市)は2日、記者会見し、同センターの医師が、入院患者ら約1100人分の個人情報が入った私有パソコンを紛失したと発表した。また、麻薬及び向精神薬取締法で麻薬指定となっている鎮痛剤「フェンタニル」30本(1本あたり2cc)が麻酔科の金庫からなくなったとして吹田署に盗難届を出したことも明らかにした。同署は窃盗事件として調べている。 同センターによると、パソコンに入っていたのは、乳幼児病棟の入院患者や手術を受けた患者の氏名、生年月日、手術情報など。この医師は同センターの規定に違反し、無断で入力していた。パスワードの設定がされているという。医師は昨年12月22日、パソコンを入れた通勤カバンがなくなっているのに気づいた。 また、フェンタニルは1月29日午後、金庫内にある50箱のうち3箱分(30本)が無くなっているのが分かった。金庫が壊されたような形跡はなかった。 会見した友池仁暢・病院長らは「二度とこのような不祥事が起きないように再発防止に努める」と話した。上記はアサヒ・コムの記事である。読売、産経などの記事とは異なり、この記事だけ麻薬の盗難の方が扱いが小さい。私の職場でも個人情報には厳しく、個人のパソコンに患者の個人情報を入れることは禁じている。 bambooは個人情報保護の責任者なので、その重要性にケチを付ける気はない。でも、相手は病院内の麻薬の盗難だぞ。そちらより重視するか?状況から見て、院内関係者の犯行である可能性が高い。部外者が盗むのは困難だという状況があるだけではない。フェンタニルなど病院で使う麻薬は、たいてい多幸感に乏しいのだ。楽しみのために使うには向いていない。わざわざフェンタニルを盗むと言うことは、巷で買えるドラッグよりもフェンタニルの方が身近にあるからだろう。また、安全域を熟知していないと、フェンタニルで楽しめない。呼吸抑制だの身体が硬直する鉛管現象だのという恐れがあるのだ。実は伝達ミスで、他に持って行った分の報告が伝わっていなかっただけ、ということだったらいいのにな。
2007.02.03
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久しぶりに医療報道ネタです。医療過誤訴訟:遺族側が逆転勝訴 東京高裁 新潟県立十日町病院で手術中に死亡した女性(当時65歳)の遺族が「麻酔薬の過剰投与が原因」などとして、県に約4200万円の賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は31日、約1400万円の支払いを命じる遺族側逆転勝訴の判決を言い渡した。富越和厚(とみこしかずひろ)裁判長は、麻酔薬投与での担当医の過失を認めた。 女性は97年6月、左足の骨の一部を人工骨に置き換える手術を同病院で受けた。担当医が全身麻酔と局所麻酔の薬を併用したところ、手術中に心停止し死亡した。 判決は「個々の麻酔薬は過剰投与ではないが、局所麻酔は単独使用の場合の限度量が投与され、総量が最小になるよう努める注意義務を担当医は怠った。この過失が心停止の原因」と結論付けた。【高倉友彰】毎日新聞 2007年1月31日 19時51分相変わらず医療報道というのは具体的なことがまるで判らない。どのような手術でどのような麻酔法か位は書いて欲しい。また、どのような操作の時に心停止したのかも重要だ。情報が少ないので、単なる推測だが、以下のようなことが起きたのでは無かろうか。大腿骨頸部骨折または変形性股関節症のため、人工骨頭置換または股関節全置換を行うこととなった。麻酔は全身麻酔と硬膜外麻酔で、適宜硬膜外腔に局所麻酔薬を投与していた。手術中、下肢を動かしたときに深部の静脈血栓が飛ぶか、骨頭を叩き込むときに骨セメントや組織が血管内に入って飛ぶかして、肺塞栓症を起こし、心停止となった。http://www2.eisai.co.jp/intl/Pulmonary/highlights/04_fujita.html 大腿骨頸部骨折に関して,2001 年 7 月から 2004 年 6 月までの,予防ガイドライン発表前で予防措置なしの時期における総計 191 例(男性 47 例・女性 144 例,平均年齢 79.8 歳)を対象に,後向き調査で急性肺血栓塞栓症の実態を調査した。診断は,臨床データから肺血栓塞栓症の可能性が高く,他に原因が見当たらないものという除外診断によった。 手術は,骨接合 109 例,人工骨頭置換術 82 例であった。患者背景の特徴としては,認知症(72 例)をはじめ多くがさまざまな合併症を有していた(高血圧 63 例,脳梗塞 35 例,糖尿病 17 例,狭心症 13 例)。手術は比較的速やかに行われ,全例で成功した。ただし,歩行能は受傷前よりは低下した。 急性肺血栓塞栓症は 6 例で発症し,うち5例は死亡した(表 1)。発症率としては,症候性 3.1 %,致死性 2.6 %である。なお,2004 年 7 月以降は,ガイドラインに従って予防を行っており(弾性ストッキングなど),現在まで急性肺血栓塞栓症は発症していない。予防である程度防げるとは言え、完全に防げるわけではないであろう。不幸な結果ではあるが、まれに見られる避け得ない合併症と思われる。少なくとも、数回にわけて投与された局所麻酔薬の総量が、一回で投与する場合の限度に近かったとしても、そのせいで心停止が起きるわけはない。(麻酔科医が麻酔を担当していたことが前提だが)そんな馬鹿な証言または報告をした奴は誰だ!
2007.02.01
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