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実際の判決文がどうなっているのか分からないので何とも言えないのだが、報道の通りだとするとまずい判決を確定させてしまったものだと思う。 麻酔処置で医師の過失認定 札幌地裁、賠償命じる 記事:共同通信社【2007年10月26日】 北海道帯広市の医療法人社団「高山泌尿器科」で前立腺肥大の手術中に呼吸が停止し、その後死亡した男性=当時(79)=の遺族が損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁が手術前の麻酔処置について医師の過失を認め、病院側に約5800万円の支払いを命じる判決を出していたことが25日、分かった。 原告側の弁護士によると、病院側は控訴せず、判決が確定したという。 先月26日に出された判決によると、男性は2003年12月、手術の途中で呼吸が停止し、意識が戻らないまま約7カ月後に死亡した。 手術前、医師は麻酔の2分後に男性をあおむけにするなどしていたが、判決理由で奥田正昭(おくだ・まさあき)裁判長は「少なくとも5分間は座った状態で安静を保つべき注意義務を怠った」と指摘し、医師の過失と死亡との因果関係を認定した。 原告側代理人の伊東秀子(いとう・ひでこ)弁護士は「医師だけでなく患者にも注意を促す判決だ」と話している。 肛門の周りにだけ脊椎麻酔を効かせたいとき、脳脊髄液に比べて高比重の麻酔薬を座位で使用する。薬液は下に沈み、馬に乗ったときに鞍に当たる部分だけに麻酔作用を及ぼす。そのためサドルブロックと呼ばれる。 報道だけから判断すると、この件はサドルブロックを行った際、5分間座位を続けるべき所2分で仰向けにしたので呼吸が停止したと判断されたようだ。でも、この見解には大きな疑問がある。 脊椎麻酔が原因で呼吸が止まるためには、かなりの高位麻酔になる必要がある。サドルブロックを行う際、麻酔薬は必ず高比重液でなければならない。高比重液であれば、たとえ注入後2分間であっても、多くは下に溜まっているはずだ。そこから仰向けになっても、第3腰椎が盛り上がっているので、薬液は上に上がれない。つまり、麻酔で呼吸が止まることはないのだ。 また、前立腺肥大の手術がどのような術式だったのか分からないが、手術ではなく、前立腺にガンが含まれているかどうか調べるための前立腺生検という検査でない限り、サドルブロックでは出来ない。尿道から器具を入れて削る手術でも、腹部を切開して行う手術にしても、サドルブロックでは無理なのだ。 また、5800万円という高額の賠償判決でありながら、控訴もせず、一審で確定させてしまった病院側の対応にも疑問がある。 どうも実際には報道では分からない事情がありそうなのだが、医学的に明らかに誤った情報が一人歩きするのは困る。たぶん今回もトンデモ鑑定医の活躍があったのではないかと思うのだが、私のように、はじめから座位にもしないで横向きで麻酔を行う麻酔科医の立場はどうなる。
2007.10.31
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奈良県という所は恐ろしい所だ。日本の妊産婦死亡率はトップクラスの低さだ。世界と比べて少ない産科医の努力のたまものなのだが、それでも死亡例は出る。妊産婦死亡率をゼロにすることは不可能だろう。 当然のことながら、出産時に産婦が亡くなることはある。もちろん初歩的な言い訳の出来ないミスであれば別だが、予期しない大出血への対応が遅れることまで刑事罰の対象にされてはたまらない。元医師の不起訴不当 検察審議決 大和高田市立病院の妊婦死亡事故 記事:毎日新聞社【2007年10月25日】 ◇「処置に重大な過失」 大和高田市立病院で04年、出産した30歳代の妊婦が死亡する事故があり、業務上過失致死容疑で書類送検された同病院の元産婦人科医(34)を奈良地検が不起訴処分(嫌疑不十分)としたことに対し、奈良検察審査会が不起訴不当を議決したことが24日、分かった。 議決書などによると、04年10月、入院中の女性は出産中に血圧が急激に上昇。医師は投薬で数値を下げたが、女性は大量に出血し死亡した。 県警は昨年3月、医師を業務上過失致死容疑で書類送検、奈良地検は今年3月に不起訴処分にしていた。審査会は「医師は出血を疑い、速やかに救命処置をするべきで、女性を出血性ショックで死亡させたことに重大な過失がある」と判断した。 奈良地検の野島光博次席検事は「議決内容を踏まえ、再捜査する」とコメントした。【阿部亮介】 元医師といえば今は医師ではないということなのだが、そうなのだろうか。年齢から見て、医師そのものを辞めたとは考えにくいのだが。以前も職場を変わっただけの医師に同じ表現をしているので、同じ轍を踏んだのではないかと思う。また、出血性ショックで死亡したのであって、させたわけではなかろう。死なせたのと、死亡するはずの所を助けられなかったこととの間には大きな違いがある。どうしていつも同じ間違いをするのだろう。 実を言うと、お産の時に大量出血することを予期しないかと言えば、予期しているだろう。実際に大量出血することは希だが、そのようなことが起こりうることは知っているはずだ。だとすれば大量出血に備えて万全の準備をしておくべきだという素人判断が幅をきかすことは分からないでもない。 でも、医療は有限のコストの中でやっているのだ。何処まで対応可能な体制を取るのかは、かけられるコストで決まってくる。日本のような低コストで、今までのような安全なお産が可能であったことを褒めるべきなのだ。滅多にない大量出血でも必ず間に合うような体制が取れないのは無理のないことであり、決して刑事罰を与えるような犯罪ではない。しかも、本来万全の体制を整えるべき行政や病院上層部ではなく、医師個人に責任を負わせるなどとんでもないことだ。 このような状況であるにもかかわらず、奈良県ではさらに産科医を奴隷化しようとしている。奈良県妊婦救急搬送会議2とか厚労官僚の超強力電波 を見て貰えば分かるが、奈良県では産科医の労働環境など全く考えていない。牛馬のように扱われ、たとえ不可抗力であっても、死亡例が出れば刑事罰。早く逃げ出した方が身のためですよ。
2007.10.29
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妊娠・分娩時の脳出血によれば、出産の際の脳内出血の診断や救命は困難なのだと言うことが分かる。それなのに、救命しなければいけないのだとしたら、どうすれば良いのだろう。広島県に330万賠償命令 県立病院の過失認定 記事:共同通信社【2007年10月25日】 出産の際に脳内出血を起こし、転送先の病院で死亡したのは医師が適切な措置を怠ったためとして、広島市の女性=当時(32)=の家族が、県立広島病院(広島市)を運営する県などに約7800万円の損害賠償を求めた訴訟で、広島地裁は24日、県に330万円の支払いを命じた。 判決理由で野々上友之(ののうえ・ともゆき)裁判長は、出産した病院の過失は認めなかったが、女性が転送された県立病院について「適切に治療していれば、死亡した時点で、なお生存していた可能性は認められる」と述べた。 判決によると、女性は2002年2月、島根県邑南町の病院で帝王切開により出産。その際に脳内出血を起こしたため、県立広島病院に転送され血腫を取り除く手術を受けたが、翌3月に死亡した。 県立広島病院の医療過誤訴訟:県が敗訴、330万円支払い命じる----地裁 /広島 記事:毎日新聞社【2007年10月25日】 妊娠中毒症だった女性(当時32歳)が島根県の公立邑智病院で適切な処置を受けられず、出産後に転院した県立広島病院でも術後の管理が不十分で死亡したなどとして、夫の会社員の男性(36)=広島市南区=らが、邑智病院と広島県に計約7800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、広島地裁であった。野々上友之裁判長は「県立広島病院で適切な身体管理や治療が施されれば救命できた」などとして県に330万円の支払いを命じた。邑智病院については、産婦人科医師が脳出血の原因診断を専門医のいる病院に委ねたのは十分な措置として、訴えを退けた。 判決などによると、女性は02年2月1日、陣痛が始まり通院先の邑智病院で外来診察を受け、そのまま入院。軽度の妊娠中毒症で高血圧症状が半日以上続き脳内出血を起こした。帝王切開で出産後、脳出血の血腫を取るために転院した県立広島病院で手術を受けたが、身体管理がなされずに同3月1日に死亡した。 三宅静香広島県県立病院室長は「主張が認められず残念。判決内容を精査し、対応を検討したい」とした。【井上梢】 県立広島病院の治療の何処が不適切だったのか書いていないので、不適切かどうかの判断は出来ません。でも、元々救命の困難な疾患でも、結果が悪ければ賠償責任が認められてしまうという印象を受けます。 また、共同通信と毎日新聞の記事は、微妙に表現が違います。強調したところを比べてみれば分かりますが、共同通信では、救命自体は困難だったが、もう少し延命できたのではないかという判決のように読めます。一方毎日新聞では、救命自体が可能であったという判決に読めます。本当の判決の趣旨はどちらだったのでしょう。賠償額が大幅に減額されているところを見ると、共同通信の方が正しいように思えます。いつも感じることですが、毎日新聞の表現には、出来るだけ医師を貶めようという意図があるのではないかと疑いたくなります。
2007.10.29
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最近はブログネタが減ったと感じていましたが、学会で留守にしている間にネタにしたくなるような報道が相次ぎました。当分ネタには困らないでしょう。 今まさに寿命が尽きそうな人に「大丈夫ですか」と声をかけ、肩を揺すったら、肩を揺すったから死んだのだと訴えられる。そんな時代を彷彿とさせる記事だと思います。損賠訴訟:入院患者の遺族、水ようかん摂取が死因 病院ミス否定----鳥取地裁 /鳥取 記事:毎日新聞社【2007年10月25日】 入院中に看護師が水ようかんを摂取させ、呼吸困難になったため男性(当時82歳)が死亡したとして、男性の妻で倉吉市内の70代の女性が、信生病院(倉吉市清谷町)を運営する医療法人専仁会と担当した看護師を相手取り、約2350万円の損害賠償などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が24日、鳥取地裁(古賀輝郎裁判長)で開かれた。病院側は争う姿勢を示した。 訴状によると、男性は03年10月上旬、肺炎などで同病院に入院した直後から医師に絶食を指示された。ところが同月中旬、担当の看護師が水ようかんを食べさせた約1時間後に死亡。原告側は死因は水ようかんが気管に入ったことによる呼吸不全と主張していた。 病院側は答弁書などで水ようかんを男性に摂取させたことは認めたものの、直後に吸引器を使って摂取物を吸引したところ吸引物がなかったことから、死因は水ようかんを与えたことではないとして医療過誤を否認した。【宇多川はるか】 絶食を指示されたことから考えると、おそらく誤嚥性肺炎だったのでしょう。つまり、自分ではものを飲み込めない状態だったと思われます。もう、何時お迎えが来ても不思議のない状態だったのでしょう。 ここからは想像ですが、患者は最期に水ようかんを食べたかったのでしょう。それで看護師に頼んだ。頼まれた看護師も、末期の頼みと感じて応じた。すでに死は避けられないものとの認識で、まさか自分の好意が死の原因と見なされるとは夢にも思わなかったのではないでしょうか。 最近は寿命が尽きて亡くなるような症例でも、最期に関わった医療関係者の落ち度であるかのような訴訟が多いように感じます。人間は誰でも最後は死にます。それを受け入れるような社会であって欲しいと思います。ね、裁判官の皆さん。
2007.10.28
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医療関係の訴訟があると、どのような事例なのか考える。他人の失敗はこの上ない教材なのだ。自分自身が責任を問われることなく勉強できるからだ。でも、たいていの報道では情報不足で参考にならない。14歳死亡は「医師の過失」 両親が県に損害賠償請求 記事:共同通信社【2007年10月25日】 岩手県立二戸病院で気管切開手術を受けた少年=当時(14)=が死亡したのは医師らの過失が原因として、両親が24日までに、2200万円の損害賠償を県に求める訴訟を盛岡地裁に起こした。 訴状によると、少年は2004年4月、肺炎などのため同病院に入院。11月18日、筋力低下で呼吸不全となり人工呼吸器を装着。気管切開して、空気を送るチューブを取り付ける手術を受けた。しかし翌19日、チューブが抜けかかっているのを看護師が発見。医師らがチューブの再挿入を試みたが失敗、少年は呼吸不全で同日死亡した。 両親側は、医師らが呼吸器の固定などを怠ったと主張している。 県医療局は「医師らは最善を尽くしたと聞いている。訴状の内容をよく読み、今後の対応を検討したい」としている。 どう見ても、この記事を書いた記者は自分の書いた記事の内容を理解していない。肺炎で入院するのは良い。でも、他に病気がなければ筋力低下は起こらないだろう。背景に重篤な筋疾患か神経疾患があったはずだ。そうであれば、元々健康だった人が亡くなった場合と比べれば、賠償責任の重さに差が出てくるのではないだろうか。 気管切開のカニューレ(記事ではチューブ)の再挿入は意外と難しい。慣れないと入らないこともある。入らないからと焦ると、なお入らない。この症例もそうだったのかも知れない。それにしても、カニューレが抜けた原因は何だろう。固定が甘いと、気道内圧に負けて抜けることはある。患者の体動でも(筋力低下では考えにくいが)抜けることもある。でも、呼吸器が動いて抜けたと言うことはあるだろうか。原告が「医師らが呼吸器の固定などを怠った」と主張しているのであれば、そう考えるほか無いのだが、本当にそうなのだろうか。
2007.10.27
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昔は注射をしないと帰らない患者もいた。今でも診察だけでは帰らない患者は居そうだ。「薬もくれないのか」とごねる患者は少なくないと想像する。子供の発熱でパニックになった若い親が夜間の救急外来を受診し、「安静にして消化が良く、栄養価の高い食事を与えなさい」と説明されただけで引っ込むとは思えない。6歳未満の風邪薬中止を 米医薬品局諮問委が勧告 記事:共同通信社 【2007年10月22日】 【ワシントン19日共同】米食品医薬品局(FDA)の小児医療に関する諮問委員会は19日、医師の処方なしに買える風邪薬やせき止め薬は、子どもへの効果が確認されていないとして、6歳未満の子どもに使うべきではないとFDAに勧告した。AP通信などが伝えた。 FDAは薬の販売中止や表示の変更、効果確認のための臨床試験の実施などを製薬会社に求めるかどうか検討する。 米国では今月中旬、主要な製薬会社が「飲み過ぎにつながる恐れがある」との理由で、2歳未満の乳幼児向けの風邪薬14種類を自主的に回収していた。 専門家22人からなる諮問委は、せき止めや去たん剤、抗ヒスタミン剤などを含み、風邪の症状を抑えるとされる一般的な市販薬について、6歳未満への効果を裏付ける研究成果はないと結論付けた。大人を対象にした研究からの推論しかなく、この年齢層は薬の副作用を最も受けやすいとの意見が出された。 FDAによると、この50年間で子どもを対象にした薬効の研究は11しかなく、効果を確認したものはないという。 製薬会社側は、年間38億回も使われており、用法用量を守れば安全だとしている。 本当に効果がないのであれば処方するべきでないだろう。でも、それで患者は納得するだろうか。日本の医療の場合、信仰に近いものがあるような気がする。理屈では説得できないだろう。
2007.10.23
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説明義務違反は医療そのものに難癖を付けられないときの最後の切り札になっています。どれだけ説明しようと、患者側が「十分理解できなかった」と言えば成立するようなので、医療側に勝ち目はありません。防衛医大病院医療過誤訴訟:国に880万円支払い命令 説明義務違反認める 記事:毎日新聞社 【2007年10月19日】 ◇差し戻し審 防衛医科大病院(埼玉県所沢市)で脳動脈瘤(りゅう)破裂を防ぐ手術を受け死亡した男性大学教授(当時61歳)の遺族が、手術法の説明が不十分だったとして国に約9600万円の賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審で、東京高裁は18日、880万円の支払いを命じた。太田幸夫裁判長は担当医師に説明義務違反があったと認めたが、死亡との因果関係は否定した。 判決は「手術の問題点について分かりやすい説明があったとは認められない。教授は30-40分の説明を受けただけで、熟慮の機会を与えられなかった」と述べた。一方、説明を尽くせば教授が手術に同意しなかったとまでは言えないとした。 教授は96年2月に手術を受けた後、脳梗塞(こうそく)で死亡。東京地裁は、医師が説明を尽くしていれば手術を受けなかった可能性が高いとして約6640万円の賠償を命じたが、東京高裁は説明義務違反を認めず遺族側逆転敗訴とした。最高裁は06年10月、審理を差し戻していた。【北村和巳】 医療内容そのものに非を認めていないので、脳梗塞が起こりうる合併症であることは認められたのでしょう。そこで伝家の宝刀説明義務違反の登場です。どのような説明をすれば「説明を尽くした」と言えるのか明らかにせず、事後的に「説明を尽くしたとは言えない」と言うのは、どのような言いがかりもやりたい放題と言うことではないでしょうか。 おそらく医療側は「説明を受け、理解して同意した」と言う署名付きの書面を受け取った上で手術をしていることでしょう。それでも結果が思わしくないと「理解出来るような説明を受けていなかった」と主張し、それが通るのですね。法律の条文の問題と言うより、法曹の医療への敵意を感じます。
2007.10.23
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憲法38条には、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」と定められている。自分が刑事訴追されるような事実を、わざわざ届ける義務はないと定められているのだ。自分では何も悪いことはしていないと思っているのに、調査機関の能力不足のために、自分自身が罪を問われかねないのであればなおさらだ。医療関連死:届け出ぬ医師に罰則 厚労省が「事故調査委」試案記事:毎日新聞社【2007年10月18日】 厚生労働省は17日、医療死亡事故の原因究明をする第三者機関「医療事故調査委員会(仮称)」の試案を公表した。年間2000-3000件に上る診療行為に関連した死亡例について、医師に国への届け出を義務付け、怠れば刑事罰や行政処分を科すことで医療の透明性確保や再発防止を図る。一般から意見を募集したうえで、早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する方針。 医療死亡事故については、医師法21条で「異状死」の警察への届け出が義務付けられているが、「異状」の定義があいまいで、遺族が不審に思っても医師が通報せず解剖の機会が失われるケースが少なくない。これがミスの隠ぺいや医療訴訟の多発・長期化を招く一因になっており、厚労省は今年度から専門家会議を設け、民事裁判や刑事捜査によらない死因究明の在り方を検討していた。 試案によると、医療事故調は公正・中立な立場の医療関係者や法律家らで構成。国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会と同様の調査権限を持ち、報告書は個人情報を伏せて公開される。医師側に責任があったとの結論が出た場合、行政処分の対象になる。専門家会議では「真相解明のため、調査に協力した医師の刑事処分を免除すべきだ」との意見もあったが、試案は調査内容の刑事手続き利用を認めた。 死亡事故の届け出先は事故調を所管する厚労相に一本化し、警察へ通報する事案かどうかは、医療事故調が判断する。遺族から解剖の同意が得られれば調査を開始し、医学的な分析のほか、患者・遺族と医師側のコミュニケーションの妥当性も評価する。また、医療機関からの届け出がなくても遺族の相談に応じて調査を始めたり、調査に被害者団体など遺族側の代表も参加できるようにするなど、患者側の視点が入るよう配慮した。 第三者機関による死因究明を巡っては、日本内科学会が05年9月から国の補助を受けたモデル事業を全国8地域で実施し、医療機関からの任意の届け出で57件の調査を受理している。【清水健二】 医療の現場では、死は日常だ。異常死の定義が曖昧なまま、届けなければ罪になるのではたまらない。また、届けた場合、刑事訴追の恐れがあるのでは、黙秘権の否定になり、憲法違反だ。 届けた後の判断にも不安がある。医師も人間であるからミスもする。もちろん言い訳の出来ない酷いミスが糾弾されるのは構わないが、誰でも時にはするようなミスまで糾弾されるのではたまらない。何しろ判断する側は結果を知った上で判断するのだ。結果論による判断は、それ自体ミスなのだが、そのことに気が付いている人は少ない。後出しじゃんけんで刑事訴追されるのではないかと恐れ、真実を明らかにしない医師も出るだろう。 真実を明らかにしたいのならば、証人の刑事罰免責は絶対に必要だ。
2007.10.19
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前回ガン検診について書いたら、またガン検診がらみの記事を見つけた。実際には結核のための検査だったのだと思うが、胸部エックス線写真で影があったのに放置し、末期ガンとなったと言うことらしい。 単純胸部レントゲン撮影・喀痰検査による肺ガン検診の有効性はほとんど認められていないようだ。ここにもそのような記載がある。また、こちらのサイトには、胸部レントゲン写真で発見された肺ガンの生存率は30~40%と書かれている。刑務所健診で国に賠償命令 医務官がん見落とし 記事:共同通信社 【2007年10月17日】 山形刑務所の健康診断で医務官が肺がんの兆候を見落としたとして、服役していた仙台市の男性(55)=刑の執行停止で釈放=が、国に約7400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は16日、約4850万円を支払うよう命じた。 潮見直之(しおみ・なおゆき)裁判長は「エックス線画像だけで肺がんの可能性を否定した医務官の判断は誤りで、速やかに検査すべき注意義務があった」と指摘。「医務官の過失がなければ、手術で根治した可能性が高い」と述べた。 判決によると、男性が服役中だった2004年10月、胸部エックス線検査で左肺に陰影が見つかったが、医務官は肺がんかどうか診断するための検査をしなかった。その後、外部の病院で末期の肺がんと診断された。 男性は強盗致傷罪などで山形刑務所に服役していたが、治療のため刑の執行が停止された。 法務省矯正局成人矯正課は「判決内容をよく検討し、適切に対応したい」としている。 実際に服役囚がどのような犯罪を犯したのか、医務官にとってガンの検査をするのにどのような障害があったのか、私には分からないので、「自分の欲望のためには他人を傷つけても構わないのに、自分が誤診されたら文句を言うのか」とか、「たとえ服役囚といえども人権があるのだから検査をするべきだった」などと言うつもりはない。ただ単に、医学的におかしい点についてだけ述べることにする。 すでに述べたように、肺ガンの予後は決して良くはない。胸部レントゲン写真で影があり、それが肺ガンだとすれば、助かる可能性の方が少ないだろう。そのような医学的事実を無視した判決が、どうして出たのだろう。また、トンデモ鑑定医が活躍したのだろうか。「医務官の過失がなければ、手術で根治した可能性が高い」と言うのは全くの誤りだと思う。
2007.10.18
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始めに白状しておきますが、私は癌検診については全くの素人です。今回のエントリでは、全くの戯言を述べている可能性があります。特に非医療者が読む場合、そのことを忘れないでください。私は医師ではありますが、今回は門外漢として書いています。 かなり前の話になりますが、『患者よ、がんと闘うな』という本がありまして、癌検診に対して疑問が呈されました。その時の検診推進派の反論を見た限りでは、癌検診の意義というのは、大規模な調査をして、やっと有意差が出るかどうかと言うレベルであると感じました。検診で引っかかったときに侵襲的な検査を受けなければならないとしたら、自分自身が検診を受けるのは、健診で見つかればほとんど助かるが、症状が出てからではほとんど助からない場合でしょう。 癌検診を勧めるCMはテレビでも盛んに行われています。でも、検診でどの程度救命率が上がるのかと言うデータは公表されません。癌検診は癌死を減らすために行うのですから、そうしたデータの公表は必要だと思います。どの程度の意義があるのか公表せずに、只CMを流すだけでは、産業としての思惑があるのではないかと勘ぐりたくなります。前立腺がん:厚労省研究班、分裂…5人脱退へ 泌尿器科医、検診否定に反発記事:毎日新聞社【2007年10月16日】 前立腺がん検診の有効性を検討する厚生労働省研究班(主任研究者、浜島ちさと・国立がんセンター室長)が、「PSA(前立腺特異抗原)検査による集団検診は勧められない」との報告書案をまとめたことに関し、メンバーや研究協力者の泌尿器科医5人が研究から脱退する意向を示していることが分かった。「内容に責任を持てない」ことが理由。PSA検査による集団検診は市町村の7割が実施しており、研究班の分裂は自治体に混乱を招きそうだ。 研究班は主任研究者と分担研究者9人(うち泌尿器科医1人)で構成。研究協力者11人(同4人)も研究に参加する。脱退を表明した5人はいずれもPSA検診推奨の立場を取る日本泌尿器科学会の会員。連名で研究班に文書を送り、脱退のほか、今月末完成予定の報告書に名前を掲載しないことも求めている。 分担担当者で脱退を表明した伊藤一人・群馬大准教授は「議論は最初から結論ありきで泌尿器科医の意見は受け入れられなかった」と話す。一方、浜島室長は「議論を重ね、経緯も報告書に盛り込まれている」と説明する。 PSAは、前立腺の組織が壊れると血液中に漏れ出るたんぱく質。報告書案は、国内外の研究論文を評価した結果から、「PSA検査を使った集団検診に、死亡率減少効果があるかどうかを判断する根拠が不十分だ」とした。一方、泌尿器科学会はPSA検診を推奨する見解を表明し、学会独自の前立腺がん検診の指針を刊行する準備を進めている。【須田桃子】 記事にするのであれば、泌尿器科医の意見を是非載せて欲しかった。説得力のあるものだったのかどうか、見てみたい。と言うのは、癌検診の中でも、特に前立腺に関しては疑問を持っていたからです。PSAの測定はどうと言うことはありませんが、それで引っかかると前立腺生検を受けることになります。更に、生検でも陽性となれば、手術などの治療を受けることになります。 ラテント癌の性質と頻度はどのくらいか?を見ると、50歳以上になれば、放っておいても良い前立腺癌が30%くらいに見られるようです。その様な状況で、つらい検査や治療を受ける気にはなりません。 これはあくまで、多少寿命が縮もうとも、つらいことはイヤだという私の意見であり、他の人に勧めているわけではありません。軽々しく賛同したりしないようにお願いします。
2007.10.17
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私は麻酔科医だから、乳癌のことはよく知らない。でも、乳癌の手術には立ち会うので、門前の小僧が経を読むくらいの知識はある。うちの病院でのやり方はこんな具合だ。 ガンかどうか分からない場合、まずはしこりを取る。取ったしこりを迅速病理検査に回す。良性と出れば、それでお終い。悪性(ガン)と出れば、さらに大きく取り、断端にガンが残っていないか、さらに迅速病理検査をする。残っていなければ、それでお終い。もちろん残っていれば、さらに大きく取ることになる。問題は、迅速病理検査は、あまり正確じゃないことだ。後日、摘出標本の病理検査で断端からガンが見つかり、再手術をすることもある。また、病院によっては迅速病理検査を拒否しているところもある。限界を知らない人たちからの責任追及の恐れがあるからだ。岩手県に約400万円賠償命令 医師過失で乳房切除 記事:共同通信社 岩手県遠野市の女性(46)が県立中央病院(盛岡市)で乳がんと誤診され、不要な乳房切除で苦痛を受けたとして、県に約821万円の損害賠償を求めた訴訟で、盛岡地裁は12日、約396万円の支払いを命じる判決を言い渡した。 榎戸道也(えのきど・みちなり)裁判長は「医師が注意義務を尽くして検査をしていればがんと診断することも手術実施もなかった」と病院の過失を認定した。 判決によると、女性は2001年9月、乳房のしこりを感じ、別の病院で乳がんの疑いがあると診断されて県立中央病院を紹介された。医師は乳がんと診断し、左乳房の4分の1を切除した。後の病理診断で摘出した腫瘍(しゅよう)は悪性ではなかった。 県医療局は「主張が認めてもらえず残念。内容を十分検討して対応を決めたい」としている。 「医師が注意義務を尽くして検査をしていればがんと診断することも手術実施もなかった」と判断した根拠は何だろう。具体的根拠を是非知りたい。手術前に必ず確定診断が付く方法があれば、多くの乳腺専門医は喜ぶだろう。
2007.10.16
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日経メディカル10月号で、「医師を襲うトンデモ医療裁判」という特集が組まれている。医師向けの雑誌とは言え、掲示板などではなく一般の雑誌に 「トンデモ医療裁判」という表現が載るとは思わなかった。記者にとっても「いい加減にしろ!」という事例が目に付くと言うことだろうか。 内容は、前半が総論、後半が各論に分かれている。総論では、医療の限界や不確実性を無視した判決や、いわゆる後出しじゃんけんなどに触れた後、トンデモ判決の出るパターンを4つ上げている。最高水準要求型(医療側に求める医療水準があまりにも高すぎるタイプ)医師は全員神のような存在でなければならない。どのような疾患であろうとたちどころに診断を下し、最適な治療をする。合併症が起きることなどあり得ない。説明義務過剰型(医療側に求める説明義務があまりにも広すぎるタイプ)医師に過失が無くて患者が不満なら説明義務違反。乳房温存手術の適応が無くても、違う意見の医師を紹介する義務さえある。因果関係こじつけ型(医療行為やミスを、患者の転帰と無理矢理こじつけるタイプ)医療行為を後から検証すれば、何らかのミスはたいていある。結果が悪ければ、ミスとの因果関係が無くても、可能性で断罪される。医学的根拠希薄型(医学的に誤った根拠をもとに医師の過失を断じているタイプ)トンデモ判決の真骨頂。実例として「心タンポナーデ事件」を提示。 いくつもの実例を目にすると、まるでヤクザに因縁を付けられているようだと感じるのは私だけだろうか。もちろん多くの心ある患者は因縁を付けるような訴訟はしない。たとえ結果が悪くても、きちんと説明すれば、たいていの患者や遺族は納得したかどうかは別にして、訴訟まではしない。病気や大けがをすれば、死ぬことだってあることを知っているからだ。それが理解できない人や、最初から金目当ての人がトンデモ訴訟を起こす。もちろん本物の医療ミスに対する訴訟は別だ。そこは誤解しないようにして欲しい。各論では実例を4例挙げている。1)太い糸で縫合したからガス壊疽が起きた?!2)脳外科医も心嚢穿刺が出来て当然?!3)添付文書で禁忌なのに投与しなかったのは過失?!4)1日の診断遅れとステロイドで帯状疱疹後神経痛になった?! 1)2)についてはリンク先の日記ですでに触れたことがある。3)4)の事例は知らなかった。4)も医学常識に照らして理不尽な判決ではあるが、3)の事例は、「いったいどうしろと言うのだ」という思いでいっぱいだ。 3)の事例とは、外傷性クモ膜下出血および脳出血の患者に対し、術前にマンニトールを投与しなかったことが過失と認定された事例だ。マンニトールの添付文書には以下のように禁忌が記されている。【禁忌(次の患者には投与しないこと)】急性頭蓋内血腫のある患者[急性頭蓋内血腫を疑われる患者に、頭蓋内血腫の存在を確認することなく本剤を投与した場合、脳圧により一時止血していたものが、頭蓋内圧の減少とともに再び出血し始めることもあるので、出血源を処理し、再出血のおそれのないことを確認しない限り、本剤を投与しないこと] これを読む限り、出血源を処理していない術前にはマンニトールは使用できない。最高裁の見解として、医師の裁量より添付文書の方が優先度が高いのだ。医療と法律の諸問題の中から引用してみる。3.最高裁判例による行為規範の創出(1)医師の行為規範の創出 診療契約が文書化されていない現状を前提にして、最高裁はその判例法理を通じて、医師の行為規範を創出しつつある。 行為規範であるから一義的に明白であることが要請され、その結果、文書化されたものを過度に尊重する傾向が強くなっている。すなわち、医療関連文書を偏重することになっているのである。 一例を挙げれば、次のとおりである。(1)医薬品の添付文書 平成8年1月23日判決(麻酔剤ペルカミン添付文書事件)や平成14年11月8日判決(フェノバール添付文書事件)からして、明瞭である。 このように、過度に尊重されている医療関連文書の筆頭に添付文書がある。それなのに、添付文書で禁忌とされている医療を行わなかったからミスだと言うのでは、いったい医者にどうしろと言うのだ。 脳出血に対しては、添付文書に禁忌と書かれている関係で、脳外科医は有効な降圧薬が使えなくなっている。その同じ脳外科医に対して、マンニトールは禁忌でも使えと言うのでは、何が何でも医者叩きをするつもりなのだと判断するほか無い。裁判官には、医者に対する敵意があるのだろうか。
2007.10.13
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「医療報道を斬る」とは言っても、対象はいつも新聞記事だ。テレビの報道を取り上げることはない。何故かと言えば、テレビの報道は血圧に悪いからだ。とても見ていられないのである。 先日もNHKで、血圧に悪そうな番組が放送されたらしい。天漢日乗さんのブログに詳しく載っているのだが、読んでいるだけで血圧が上がるのが分かる。自分で見ていたら脳出血を起こしたかも知れない。内容を詳しく書くだけで血圧が上がりそうなので、天漢日乗さんのところでお読みください。 簡単に言ってしまえば、出産のことも産科医療や救急体制の現状も全く知らない苦労知らずの連中が、産科医の苦労も知らずに言いたい放題の番組だったようだ。必死に頑張っているのに、さらに鞭打たれる産科医、かわいそう。
2007.10.07
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可能性 完全否定は 難しい 水道水で内服用のブドウ糖を溶いて注射、こんなことあるんだねえ。でも、似たようなことは今までにもあった。アダラートという血圧を下げる薬がある。カプセルなのだが、中身は液体だ。その液体を口に含ませたり、飲ませたりすると早く効果が現れる。以前はよく行われた治療だ。 私が自分で行うときには、カプセルに注射針で穴を開け、中の液体を押し出して口の中に入れていた。でも、多くの施設で、注射器で中身を吸い出して使っていたらしい。そして、そのまま注射してしまった事故があちこちで起きたと聞いている。その後、アダラートの中身を投与することが禁止された。(注射しても実害はなかったらしい) 下関厚生病院:水道水を注射 20代看護師、飲用ブドウ糖溶かし 患者には異常なし 記事:毎日新聞社 【2007年10月3日】 山口県下関市の社会保険下関厚生病院(沖田極病院長)で、糖尿病で入院中の50代の女性患者に対し、看護師が誤って経口用のブドウ糖粉末を水道水で溶かした溶液を注射するミスがあったことが分かった。約1時間後に同僚看護師の指摘で発覚。患者の経過を見たが、容体に影響はなかったという。【福島祥】 同病院によると、9月10日午後5時すぎ、低血糖症状になった女性患者にブドウ糖を摂取させる必要が生じた。 通常このような場合は、ブドウ糖粉末を経口摂取▽注射用の投与液を静脈に注射--のどちらかの処置をすることになっていた。患者が「吐き気がするので(粉末を)飲めない」と訴えたため、注射することになった。だが、担当した20代の女性看護師は注射用液ではなく、十数ミリリットルの水道水でブドウ糖粉末を溶かし、患者に注射したという。 約1時間後、注射用液の減り方がおかしいことに同僚看護師が気付いた。担当看護師に「何を注射したのか」と問いただしたところ、ミスが発覚。同日夜、主治医が患者側に説明した。 病院側は担当看護師に当時の状況を詳しく聞こうとしたが、泣いて説明しないまま。患者とのトラブルもなく「故意に行ったとは考えられない。ミスの原因も分からない」という。また、以前から薬液のチェックを厳しく行っているため、同様のミスが繰り返されていた可能性は低いとみている。問題発覚後、この看護師は退職した。 同病院は「患者の容体に影響はなかった」としている。水野知恵看護局長は「再発防止のため、今まで以上に現場で声を掛け合い、確認しあうように努めたい」と話している。 医療関係者によると、水道水は無菌状態ではないため、今回のような措置をすれば細菌感染が起こる可能性がある。患者の免疫にもよるが、感染すれば発熱や頭痛などの症状が表れ、特に免疫が低い場合は敗血症に至る可能性も否定できないという。 最近は専門看護師も増えてきて、研修医よりよっぽど優秀な看護師も多い。でも、まだまだシロウトに毛の生えたような看護師もいることを忘れてはいけないのだろう。基本的なことを、繰り返し教育する必要があると言うことだ。さすがにこのミスを擁護するつもりはない。実害がないとはいえ、やってはいけないことだからだ。 それでも、このブログのタイトル通り、記事については斬ってみようと思う。対象は最後の段落だ。水道水が無菌かどうかが最大の問題であるかのような書き方だが、実を言うと、菌に関しては、水道水はかなり清潔だ。今回の操作で、水道水の菌はほとんど問題にならないだろうと私は考えている。注射するまでの具体的な操作が分からないので何とも言えないが、たとえば溶解するための容器は滅菌してあったのかといえば、違うのではないかと思う。水道水以外の部分で菌の混じる可能性の方が格段に高かったのではないだろうか。 それからもう一つ、本当はこちらが私の本当に言いたいことなのだが、「可能性がある」とか「可能性も否定できない」と言う表現はやめて欲しいと思う。可能性には100%に近いものからほとんど無視できるものまであるからだ。報道も問題だけど、一番問題なのは裁判かな。「~の可能性も否定できない」で、高額賠償だからなあ。
2007.10.04
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分からない 侮辱と批判 違い何処? 同業者しか集まらない場所で、同業者にとっての常識を無視してクレームを繰り返す人を批判したら、侮辱なのだろうか。「クローズドの掲示板に、こんな書き込みがありました」と広めた側には問題はないのだろうか。 ネットで遺族中傷 容疑で医師を書類送検 奈良妊婦死亡 2007年10月1日(月)19:54 asahi.com 奈良県大淀町の病院で昨年8月、分娩(ぶんべん)中に意識不明となり、計19病院に転院の受け入れを断られた末に死亡した妊婦(当時32)の診療情報がインターネット上に流出した問題をめぐり、ネット上で遺族を中傷したとして、奈良県警が横浜市の医師を侮辱容疑で書類送検していたことがわかった。奈良区検が略式起訴し、奈良簡裁は9月21日付で、科料9千円の略式命令を出した。 命令によると、医師は昨年10月、勤務先のパソコンを使って情報流出が判明した医師専用の掲示板に接続。「妊娠したら健全な児が生まれ、脳出血を生じた母体も助かると思っているこの夫には妻を妊娠させる資格はない」などと、遺族を中傷する書き込みをした。この問題では、遺族が被疑者不詳のまま侮辱容疑で告訴していた。 「妊娠したら健全な児が生まれ、脳出血を生じた母体も助かると思っているこの夫には妻を妊娠させる資格はない」の何処が侮辱なのだろう。妊娠出産に危険があることも、脳出血で死亡することがあることも事実である。大人であれば、そのような事実を理解しているべきだと考えることは、正当だと思う。「妊娠させる資格はない」がいけないのだろうか。「××の資格はない」と言う表現は、報道などでもよく目にする表現だ。批判をする場合、特段不適切な表現だとは思わない。 そもそも医師用掲示板と巨大メディアの情報発信能力は格段の差がある。発端の大淀病院の件では、メディアがこぞって大淀病院の産科医を侮辱し続けたのではなかったか。また、開かれた掲示板でも、何の根拠もない「アホ・バカ・死ね」と言うレベルの悪口雑言が産科医に対して書かれていた。そちらを放置して、医師が書いた批判だけを取り締まるのは何故なのだろう。あまりに基準に違いがありすぎないか。 念のために言っておくが、私自身は遺族を批判するつもりはない。当事者が理不尽なのは仕方がないと思っている。でも、第三者は冷静でいて欲しい。メディアや司法関係者の方々、もう少し頭を冷やさないか。
2007.10.03
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