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人権を 気にしちゃ出来ない この稼業 たとえ賠償金を払うことになろうとも、センセーショナルな見出しで売り上げを伸ばし、それ以上の利益が上がるのであれば、何度でも同じことをするだろう。それが三流メディアのやり方だ。 東京女子医大事件で「週刊女性」に賠償命令 東京地裁 asahi.com 2007年07月30日18時52分 東京女子医大病院(東京都新宿区)で01年、心臓手術を受けた当時12歳の女児が医療ミスで死亡したとされる事件で、業務上過失致死罪に問われた元病院医師の佐藤一樹被告(43)=一審で無罪、検察側が控訴=が「週刊女性」の記事で名誉を傷つけられたとして1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。石井忠雄裁判長は名誉棄損を認め、発行元の主婦と生活社に対し、55万円の支払いを命じた。 問題となったのは02年7月23日号の「あなたの大切な人も医者に殺される」と題した記事。判決は「(医療ミスがあったとされることを)ほかの報道機関の報道で知ったというだけで、自ら取材して検討したことが全くうかがわれない。医療ミスが真実と信じる相当な理由はない」と述べた。 受けた苦痛から比べたら、話にならないほどの少額の賠償であろうとも、この判決でメディアが反省するはずがなかろうとも、とにかく初めての勝訴です。心からおめでとうと言わせていただきます。 この医療事故の原因は、人工心肺装置の問題であることはすでに分かっています。操作していた医師のミスではなかったのです。一審で無罪だったのは当然です。検察がどうして控訴しているのか理解に苦しみます。晴れて無罪を勝ち取ることを、心より祈っています。
2007.07.31
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ガス壊疽で 助かるだけじゃ 不満なの? ガス壊疽は恐ろしい病気だ。あれよあれよという間に亡くなってしまった症例を何度も見ている。命が助かったのであれば、それだけで満足するべきだと思うのだが。八戸市側の敗訴確定/市民病院医療ミス デーリー東北新聞社(2007/07/28) 左脚を切断しなければならなくなったのは青森県の八戸市民病院の医師が適切な診断と治療を行わなかったため―として、同市の男性(63)が同病院を管理、運営する八戸市を相手に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は二十七日までに、市側の上告棄却を決定した。これにより、原告側の主張をほぼ認め、市に約三千二百万円の支払いを命じた仙台高裁の判決が確定した。 二審判決によると、原告男性は一九九九年四月、農作業中の事故で左ひざ下を負傷し、同病院で手術を受けた。術後、男性の家族が「感染症の恐れがあるから調べてほしい」と訴えたが医師は取り合わず、その後、別の医師がガス壊疽(えそ)に感染していると診断し、左脚切断手術を行った。 裁判では、原告側が「不適切な治療で切断を余儀なくされた」と約七千万円の損害賠償を求めたのに対し、病院側は「医学的な過失はなかった」と全面的に争っていた。 一審の青森地裁八戸支部は昨年十月、病院側の注意義務違反を一部認めたものの、切断手術との因果関係は認めず、被告側に慰謝料三百三十万円の支払いを命じる判決を下した。 原告側は判決を不服として仙台高裁に控訴。今年三月の二審判決では、一転して病院の過失と切断の因果関係をほぼ認定した。これを受け、今度は市側が「医療に過大な期待と責任を押し付け、現場を委縮させる判決だ」として、最高裁に上告していた。 敗訴が確定し、小林眞八戸市長は「主張が受け入れられず残念。この決定が、患者の医療不信をあおるものとならないか懸念している」とのコメントを発表した。 原告の男性は「長い裁判に決着がつき、ほっとしている。私のような思いをする人が二度と出ないように願っています」と語った。 おそらくは耕耘機に足が巻き込まれたのであろう。ズタズタの傷の奥深くまで、泥まみれであったことだろう。ガス壊疽になったのは治療が不適切だったからではなく、受傷機転(怪我をする状況)のせいだと多くの医師は考えるだろう。 それでも、医師の中には言いがかりのような意見書を書くものもいる。そして、裁判官には、その当否が分からない。どんなデタラメな意見でも、言ったもの勝ちなのだ。現状では、この不合理をただす制度はない。かくして医療は崩壊する。 たとえ医療のことが分からなくても、少し考えれば分かることはあるだろう。脚を切断しなければならなかった原因は、あくまで汚染された外傷だ。何の問題もない脚を医師のミスで切断したのではないのだ。これくらいは誰でも分かる。麻生氏なら失言するかも知れない。3200万円というのは健康な脚に対する賠償金ではないだろうか。泥にまみれた大けがの脚に対する賠償金にしては高すぎないか。どのような治療をしても、切断せざるを得なかった可能性は少なくないのだ。裁判では、そこの所を考えて欲しいと思う。 只、患者側からの検査の希望があったとき、素っ気ない態度を取ったのだとしたら、そこは改めた方がよいと思う。真摯に対応してさえいれば、結果がどうであれ、訴訟に至らなかったかも知れないからだ。
2007.07.31
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良いのだが 極端すぎて チト心配 前回の衆院選では、小泉劇場に乗って、自民党が大勝した。争点は郵政民営化だけだった。その後、郵政民営化とは何の関係もない法案が数を頼みに強行採決された。 今度は年金問題と度重なる安倍政権の自滅行為によって、参院選では自民党は記録的な大敗を喫することとなった。私は今の政治に納得していないので、政権与党が負けること自体は歓迎する。でも、こんなに極端で良いのか少し心配だ。ちょっとしたことで一方に大きく振れてしまうのは少し怖い。医療バッシングにも通じるものを感じてしまう。自民大敗、民主60議席 野党勢力、与党を大きく上回る 2007年07月30日 asahi.com 第21回参議院選挙は30日午前に開票を終了し、改選121議席がすべて確定した。民主党は改選過半数に迫る60議席に達し、非改選や他の野党と共闘した当選者を合わせた野党勢力は、与党勢力を30議席近く上回った。 民主党は選挙区、比例区でいずれも結党以来の最多議席を獲得。比例区の得票率も39.48%で過去最高となった。 自民党は37議席と惨敗、比例区では過去最低の98年と並ぶ14議席だった。医師会が支持した前職の武見敬三氏が落選した。公明党は比例区で最後の1議席を取ったが、選挙区とあわせて過去最低に並ぶ9議席。共産党は65年以来の3議席で選挙区の議席を失い、社民党も過去最低だった前回と同じ2議席だった。 武見敬三氏が落選したのは、やはり医師会が割れているのだろうか。今後の医療行政への影響は、今までとは異なった形で表れてくるのだろう。医師会には何の力もないことが分かってしまったのだから。
2007.07.30
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必然の リスクだ結果を 見守ろう お産は医学の発達で安全にはなった。安全にはなったが、それでもリスクが無いわけではない。一定の確率で母児に不幸な結末が起きることはある。それを容認せず、何か起きれば医療機関のせいにするのはやめて欲しい。 もちろん当事者であれば恨みもするだろう。訴訟を起こしたい気持ちも分かる。でも、冷静な第三者であるべき報道機関は、もう少し節度を保って欲しい。結論が出るまで見守って、判決が出てから報道するくらいでよいのではないだろうか。 出産時ミスと病院側を提訴 寝たきり男児の両親ら 記事:共同通信社 【2007年7月27日】 出産時の医師の不手際で長男(3)が寝たきり状態になったとして、秋田市の両親らが26日までに、同市の産婦人科病院を運営する医療法人に約2億4000万円の損害賠償を求める訴訟を秋田地裁に起こした。 訴状によると、長男は2003年8月、帝王切開により重度仮死の状態で生まれ、集中治療を経て寝たきりになった。 両親側は、陣痛促進のために400ミリリットルの水が入ったゴムの袋を母親の子宮に挿入されたが、危険回避のために安全な方法を選択すべきだったなどと主張。過酷な介護を余儀なくされ、精神的な苦痛も受けたとしている。 医療法人は「最善を尽くしたつもり。今はこれ以上申し上げられない」としている。 400ミリリットルの水が入ったゴムの袋と言っても、門外漢には何のことだか分からないだろう。白状すると、私にも全く分からなかった。もちろん医師ではない、一般の読者にも分かるはずがない。産婦人科医なら分かるだろうが、一般紙の記事としてそれでいいのだろうか。 要するにオバタメトロを使ったということのようだ。結果が悪くて過酷な介護を余儀なくされていることには同情するが、だからといって、医療機関が悪いことにはならないだろう。もし、オバタメトロは危険な道具であり、それを使ったことが悪いというなら、そのような欠陥品を作ったメーカーや、認可した行政の責任だろう。 オバタメトロは製品として問題がないのであれば、この症例でも問題がないように思える。結果が悪かったのだから、何かしら問題があったのだろうと言った想像ではなく、どの医療行為が悪かったのか特定できなければ無責として欲しい。医療機関の責任を認めるのであれば、その医療行為自体を禁じるくらいの覚悟で判断するべきだ。 もし、帝王切開が遅れたというのであれば、何時いかなる時でも遅れずに帝王切開が出来る施設以外、お産を禁じるべきだ。せめて、それくらいの覚悟で判決を出して欲しい。裁判官の皆さん、お願いしますよ。
2007.07.28
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破傷風 病気と処置が つながらず いつものことだけど、どうして何が起きたか分かるような記事を書かないのだろう。内視鏡検査と止血治療を行ったのであれば、破傷風以外の病気があったはずだ。また、酸素ボンベがからになると、どうして窒息するのかも分からない。たぶん簡易型人工呼吸器が酸素によって作動するタイプなのだと思うが、そこまで書いて欲しい。 新発田病院の医療過誤:簡裁、2医師に罰金50万円 /新潟 記事:毎日新聞社 【2007年7月26日】 県立新発田病院で04年7月、新発田市の医療法人職員の男性(当時69歳)が治療中に死亡した医療過誤で、新潟区検は、新潟市西区の男性医師(58)と新発田市の男性医師(47)の2容疑者を業務上過失致死罪で新潟簡裁に略式起訴した。同簡裁は罰金各50万円の略式命令を下した。 起訴状などによると、医師らは同月24日、破傷風で同病院に入院した男性に簡易型人工呼吸器を付けて内視鏡検査、止血治療を行った際、酸素ボンベの残量確認を怠って治療を続け、自発呼吸できなかった男性を窒息死させた疑い。 県は05年、病院側の過失を認め、男性の遺族に約3100万円の賠償金を支払った。 また、2容疑者と共に書類送検されていた女性看護師は「医師の指示に従って補助する立場にあった」として、不起訴処分となった。【黒田阿紗子】 今時、移送の際などに一時的に酸素ボンベを使うことはあっても、処置中の人口呼吸に酸素ボンベを使うことがあるとは知らなかった。麻酔科医でも、若い医師は圧力計から酸素ボンベの残量を即答できないだろう。今回のようなベテランでも、麻酔科医以外では無理かも知れない。通常は、酸素は壁の配管からいくらでも出てくるという認識なのだと思う。 記事では酸素ボンベの残量確認を怠ったことを問題にしているけど、私は酸素ボンベを使ったことや、酸素が切れたら警報も鳴らずに窒息するような呼吸器を使ったことが問題なのだと思う。処置に夢中になれば、他のことに意識は回らないからだ。県立病院であれば、それなりの安全な設備があってしかるべきだと思う。医師個人より、病院の安全機能が裁かれるべきなのではないだろうか。 ところで、内視鏡検査と止血の理由だが、たぶんストレス潰瘍による胃からの出血だと想像する。濃厚な治療を要する病態の時には、しばしばストレスによる胃潰瘍を併発するのだ。
2007.07.26
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中身無し 共同通信 おまえもか 中身のない、ほとんど見出しだけの記事って、あるものなのですね。医療ミスで女性患者死亡 愛媛県立中央病院 記事:共同通信社 【2007年7月25日】 愛媛県立中央病院(松山市春日町)は25日、入院していた80代の女性患者が医療ミスで死亡した可能性が大きいと発表した。 同病院によると、女性患者は整形外科に入院し、4月30日に死亡した。25日午後、上田暢男(うえだ・のぶお)院長らが会見して詳細を明らかにする。 ミスというのであれば、せめてどのようなミスなのか書かなければ、ミスかどうかも判断できないじゃないか。配信当日に記者会見があるのであれば、その結果を見てから書けばいいと思うのだが、どうして何も分からないうちに書く必要があったのだろう。 記者会見の内容は、こんな風だった模様。病院の判断ミスで80代患者死亡 県立中央病院愛媛新聞社online 県立中央病院(松山市春日町、上田暢男院長)は25日、骨折で入院していた松山市の80代女性患者が4月、治療過程での病院の判断ミスが影響し、深部静脈血栓症による肺塞栓(そくせん)の疑いで死亡したと発表した。 同病院によると、女性は4月4日に左手足の骨折で入院し13日に手術を実施。リハビリ中の30日、ベッドを傾斜させた際、けいれんや意識喪失、呼吸停止を起こし死亡した。深部静脈でできた血栓が肺動脈に詰まったとみられる。 女性は入院時から血栓症予防器具を足に装着していたが、19日ごろから息苦しさを訴え、酸素吸入などで対応。26日にベッドから車いすに移った際、呼吸苦やチアノーゼ(唇の変色)が現れ、27日にも一時的に意識を失うなどしていたが、ベッドに寝かせると回復していた。30代の男性主治医は同日、レントゲンや心電図を取るなどしたが、重篤化しないと判断したという。 同病院医療安全管理部は、主治医から死亡に至った経過報告を受け、5月1日から調査。主治医が4月27日の時点で院内の肺塞栓対策チームに連絡し、適切な検査と処置を行っていれば救命できた可能性があると判断した。 確かに肺塞栓症が疑われるけど、ミスと断定するのであれば、確定診断じゃなければ主治医が気の毒だ。解剖などで確かめられているのだろうか。また、一口にミスと言うけれど、どのレベルでのミスなのか、はっきりした方がよい。 肺塞栓症は疑わなければ診断出来ない病気だ。心電図やレントゲン写真を撮っても分からない。深部静脈血栓症の予防措置を施していたために肺塞栓症を除外してしまったのであれば、症例検討会レベルではミスかも知れないが、法的責任を問われるようなミスとは言えないだろう。症例検討会では後出しじゃんけんも許されるが、法的責任を問うのであれば、後出しじゃんけんは反則だからだ。 最近は病院の上層部が、自らの保身のために、安易にミスを認めて主治医のせいにする風潮があるように思う。この件が主治医1人のせいにされて、トカゲのシッポ切りに終わらないことを望みたい。
2007.07.26
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何時までも サンドバッグじゃ いられない 耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、どれだけ理不尽なクレームを受けても我慢してきた。でも、あまりにも理不尽なクレームに対しては反撃してもいいんだ。医療がらみの慰謝料認定で、初めて納得のいく判決だ。 損害賠償:「患者の請求不当」 医師側の慰謝料認定----地裁判決 /千葉 記事:毎日新聞社 【2007年7月24日】 八街市の耳鼻咽喉科医院の男性医師(49)が適切な治療をしたにもかかわらず、同市内の男性患者(67)から不当な損害賠償を要求されたとして、男性に200万円の慰謝料を求めた訴訟の判決が23日、千葉地裁であった。菅原崇裁判長は「治療は適切で、金銭の請求に正当性はない」とし、男性に30万円の支払いを命じた。原告側弁護人によると、患者のクレームが不当だなどとして医師側の慰謝料が認められるケースは異例だという。 判決によると、医師は06年5月、男性が耳を虫に刺されたと訴えて受診した際、帯状疱疹と診断。その後、男性の顔に神経マヒが発症、男性は治療が不適切だったととして、同院に約20回、「170万円を支払えば話は終わる」とする文書を送付した。 判決は「帯状疱疹との診断や治療薬の選択は適切。医師は金銭を要求する文書の送付などで相当程度の畏怖を感じた」と指摘した。【山本太一】 非医療者にとっては話が見えないでしょうから、少し解説します。耳に帯状疱疹が出来、しばらくすると顔が曲がってくる(顔面神経麻痺)病気があります。ラムジー・ハント症候群と言います。 この記事のケースでは、患者は耳を虫に食われたと思ったのでしょうが、実は帯状疱疹だったのでしょう。顔面神経麻痺になるのは病気の性質ですから、当然医師のミスではありません。ミスでないのに金銭を要求すると慰謝料を払わなければならないのであれば、反撃の機会は少なくないと思います。あまりに理不尽な場合にはみんなで反撃しましょう。少し勇気が出てきたかな。ミラーサイト
2007.07.25
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毎日は 分からないなら 記事やめよう 医療事故に関する記事なのだが、これほどひどい記事は滅多にないだろう。きちんと推敲するシステムはないのだろうか。 小野田赤十字病院:医療事故の医師、不起訴処分 /山口 記事:毎日新聞社 【2007年7月24日】強調筆者 小野田赤十字病院(山陽小野田市)に入院した女性患者がカテーテルの誤操作で合併症を併発した医療事故で、山口地検が業務上過失傷害容疑で書類送検された男性医師(46)を不起訴処分にしていたことが分かった。 調べでは、医師は昨年12月4日午後2時ごろ、脳こうそくで入院中の70代の女性に点滴用カテーテルを胃に挿入。レントゲンでの確認を怠ったため挿入が不十分だったが、看護師が気付かずに栄養剤を投与した。その結果、同剤が口腔内に漏れ出し腹膜炎を発症、循環器不全などの重篤な合併症を併発させた疑いが持たれていた。医師は5月末、同病院を退職した。 点滴用カテーテルは点滴に用いるものだろう。つまり、静脈に入れた留置針につなぐものだ。それを胃に挿入したのだって? 実際には胃に挿入されていなかったので腹膜炎を起こしたのだろうが、口腔内に漏れ出しってなんだ。口腔内に栄養剤が投与されても何ともないぞ。 実際の事故当時の記事はこんな感じ。小野田赤十字病院の内科医を書類送検 宇部日報 小野田署は22日、カテーテルの挿入ミスにより、入院患者の女性(78)を一時重篤状態にしたとして、小野田赤十字病院の内科の男性医師(45)を、業務上過失傷害容疑で山口地方検察庁に書類送検した。 同院などによると、昨年12月4日午後2時ごろ、医師が、同院に入院していた山陽小野田市中川の女性のカテーテルを交換した際、先端部が胃中に届いたと思い込み、十分な確認をしなかった。同日夕方、看護師がカテーテルから注入した高濃度栄養剤が胃の外に流出。女性は、腹膜炎を発症し、循環器不全や腎不全などの重篤な合併症を併発して、数日間、意識不明の重体となった。現在、回復しているが、問い掛けへの反応が遅くなるなどの意識障害が残っている。 医師は、確認が不十分だったと、認めているという。 同院は、原因が判明した翌日未明、すぐに家族に報告したという。同月13日に、同署に届け出た。医師の処分は、今後検討する考え。 つまり、栄養補給のためにおなかの皮膚から直接胃に栄養を与えられるように、胃瘻というものを作っていたわけです。皮膚から胃に届くような穴を空けて、そこに管を入れて、そこから栄養補給を出来るようにしたわけです。その管を入れ替えるときに、管が胃に入らずに腹腔に入ってしまったのでしょう。栄養剤を投与すれば、腹腔内に栄養剤が入ってしまうので、腹膜炎を起こすのです。 はじめの毎日の記事は全く意味不明です。こんなものが配信されてしまうのでは、チェック機能はないも同然です。少しは恥を知って欲しいと思います。ミラーサイト
2007.07.24
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鑑定と カンファランスは 違うのだ 手術処置に疑問を呈するのは勝手だが、シロウトがプロに対して正式にあれこれ言うのはみっともない。そりゃ私だって、プロ野球を見ていて、「そこはバントに決まっているだろう」なんて叫ぶことはあるけれど、本気で監督より分かっていると思っている訳じゃない。公的な場面で証言するようなことはあるはずもない。ましてやこれは刑事事件だ。生半可な気持ちで鑑定やら証言やらをされては困る。産科医の常識として疑うべきだというのでなければ、疑ってもいいなんて言う曖昧な証言なんかするべきじゃない。自分のしたことの社会的意味が分かっているのだろうか。 大野病院医療事故:鑑定教授は手術処置に疑問呈す----第6回公判 /福島 記事:毎日新聞社 【2007年7月21日】 県立大野病院(大熊町)で04年、帝王切開手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(39)の第6回公判が20日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。手術処置の妥当性などを鑑定した新潟大教授が「胎盤を手ではがせなかった時点で、子宮を摘出すべきだった」と証言し、胎盤はく離後に子宮を摘出した加藤被告の処置に疑問を呈した。一方で「術者が可能だと判断すれば、はく離を継続することもある」とも語り、執刀医の裁量を認めた。 鑑定した教授は胎盤はく離に約15分かかっているとし、病理鑑定で癒着胎盤の範囲が広かったことを挙げ「子宮摘出に移るべきだった」と述べた。また、加藤被告が術前に行った超音波検査の画像から「癒着胎盤を疑ってもいいと思う」と証言し、癒着胎盤が予見可能だったことを指摘した。 次回は8月31日で、被告人質問が行われる。【松本惇】 前のエントリですでにお分かりの通り、証人は教授とはいえ、周産期医療のシロウトだ。被告の方が経験は豊富だろう。そのことは傍聴していたのであれば、毎日も分かっていたはずだ。しかも、証人は手術中の裁量は術者にあると認めている。それなのに、どうして「鑑定教授は手術処置に疑問呈す」と言う見出しになるのだろう。 そして、「疑ってもいい」と「疑うべき」の違いにも全く気を遣うことがない。これは刑事裁判なのだ。間違いなく重大な過失があったのでなければ有罪にしてはいけないのだ。「疑ってもいい」のであれば「疑わなくてもいい」のだ。誰がどう見ても疑わなければならない状況で疑わなかった時、初めて過失犯と認定されるのだ。刑事裁判では「疑ってもいい」は、疑わなかったことに対して疑問を呈したことにはならないのだ。ミラーサイト
2007.07.23
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詳しくはロハス・メディカル・ブログの福島県立大野病院事件第六回公判(1)と福島県立大野病院事件第六回公判(2)を見て欲しい。また、癒着胎盤については産科医療のこれからの癒着胎盤に詳しい説明がある。 今回は検察側の医学鑑定書を書いた田中憲一・新潟大医学部産科婦人科学教室教授の証人尋問。田中氏は腫瘍の専門家で、周産期には詳しくないらしい。癒着胎盤の手術も執刀したことはない模様。こういう人がどうしてこのような事例の鑑定をするのか疑問だ。おそらく産科医としては被告の方が実績があるだろう。同じ産婦人科医とはいえ、専門外の人に自分の医療が誤りだと言われるのは悔しいだろうな。ペインクリニック専門の麻酔科医に、私の麻酔をあれこれ言われたら、私だって不愉快だ。 専門外だということのほかに、世間知らずの医者の特性も見られる。鑑定は、要するに症例検討会の乗りで書かれているのだ。症例検討会は、今後の参考にするために、かなり厳しい内容になるのだ。もちろんどれだけ厳しくても、当事者を責めるためではない。あくまで今後の糧にするためだ。でも、その内容が刑事罰を問う証拠とされている。その現状を、すべての医師が理解する必要がある。 鑑定ではなく、ただの症例検討会の記録も危ないようだ。今後、症例検討会の内容を文書として残すのであれば、当事者にいかなる意味でも責任はなく、あくまで医学の向上のための専門家同士の批判であることを明記した方がよいのかも知れない。それで安全かと言われれば自信はないが。
2007.07.21
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警報も 鳴りっぱなしじゃ 役立たず モニター機器の警報の誤作動については何度も書いたが、心電図モニターのダブルカウントによる誤作動は、警報が鳴りっぱなしになることがあるため、警報を解除せざるを得ないことがある。ダブルカウントとは、本来なら一拍にあたる一連の心電図波形を、二拍分に数えてしまうことである。当然心拍数は二倍に数えられるため、異常な頻脈と見なされ、警報が鳴るのだ。実際には問題ないのに警報が鳴り続ければ、警報を解除するのはやむを得ないだろう。名大病院の患者死亡事故:警報機能解除か 事故調が報告書 記事:毎日新聞社 【2007年7月20日】 名古屋大学医学部付属病院(名古屋市昭和区、松尾清一院長)で今年3月、患者の心電図などを監視するモニター装置の警報音が鳴らず、不整脈の発見の遅れで70代女性を死亡させた事故で、同病院は19日、外部識者らで作る事故調査委員会の報告書を発表した。事故原因について、手術関係者が警報機能を手動で解除した可能性が高いと指摘した。 病院によると、患者のペースメーカーが手術時に作動、モニターの心拍数が誤表示されて警報が鳴った。関係者が一時的に警報機能を解除したが、手術後、元に戻さなかったとみられ、約1週間後、患者が不整脈を起こした際、発見に8分間かかった。患者は昏睡(こんすい)状態となり、同月中に死亡。警報機能を誰が停止したかは特定できなかったという。【安達一正】 毎日の記事だと、手術から約一週間後に問題が起きたことが分かるが、手術の内容が分からない。元々ペースメーカーを装着した患者だったように読めるが、後で分かるように心臓の手術なのであれば、手術中に装着した可能性もある。うちでは手術中に使うモニターと、術後に使うモニターは別物なのだが、名古屋大学では同じモニターをICUまで持っていくのか。初めて聞いた。 なんだか毎日の記事を読むと、警報を解除した人物が特定出来れば、犯人として業務上過失致死で書類送検でもされそうに思える。そんなつもりで書いたのだろうか。「死亡させた」のだから、そうなのだろう。救命遅れた重体の患者死亡 名大病院、県警が聴取 記事:共同通信社 【2007年7月20日】 名古屋大病院(名古屋市、松尾清一(まつお・せいいち)院長)で3月に心臓手術後の70代の女性患者が不整脈のアラーム装置が作動せず救命措置が遅れ、重体になった事故で、同病院は19日、女性患者が既に3月下旬に死亡していたことを明らかにした。 名大病院によると、愛知県警が病院側から通報を受け、関係者を任意で事情聴取。病院は同日、院内に設置した事故調査委員会の報告書を公表した。 女性患者は2月に重い心臓病で搬送され、手術を受けた。3月上旬に集中治療室(ICU)で心室細動という不整脈を起こしたが、アラームが鳴らず、医療スタッフが約8分間異常に気付かなかった。その後、意識不明の重体になり、事故から十数日後の3月下旬に死亡した。 事故調査委員会の報告書などによると、原因は医療機器に心拍数が2倍に誤表示されたため、スタッフが調整中に不整脈を察知する重要な心電図アラームをオフにしたと推定している。 病院は「患者と遺族に申し訳ない」と謝罪したが、「患者は司法解剖され、捜査対象になっているので死因などは言えない」としている。 共同通信の記事では、警報を解除した時期や術後どれだけ経って問題が起きたのかは分からないが、心臓病の手術を受けたことは分かる。また、毎日では単に不整脈とされていたのが、心室細動という致死的不整脈であったことも分かる。両方を読んで推測すると、次のような事例だったのだろうか。 重い心臓病で手術中に、元々あったペースメーカーか、手術中に装着したペースメーカーかはともかく、ペースメーカーの波形を拾って、心拍数が倍に数えられ、警報が鳴りやまない状態になった。うるさいので警報を解除した。手術が終わり、ICUに移されたが、手術中に使われたモニターをICUでも使用した。警報は解除されたままなので、一週間後に心室細動になっても警報が鳴らなかった。 ところで、ICUではペースメーカーはどうなっていたのだろう。作動していたのであれば、やはりダブルカウントしたのではないだろうか。そうであれば、やはり警報を解除したままにせざるを得なかったことになる。そもそもダブルカウントするような機械しかないことが悪い。 警報が鳴っていれば、確かに治療は早く行えたであろう。でも、心室細動は致死的不整脈だ。除細動をしたからと言って、必ず助かるとは限らない。そして、最も重要なのは、誰かが心室細動を起こさせたのでは無いと言うことだ。元々致死的状態にある患者の治療が遅れたからと言って、「死亡させた」はないだろう。ミラーサイト
2007.07.21
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本当に 謝罪させたい 相手誰? 愛する家族が亡くなれば、それも誰かの過失で亡くなったのであれば、恨みに思う気持ちは分かる。でも、元々一定の確率で亡くなることが避けられないのだとしたら、恨まれる方はたまったものじゃない。 日本の医療は、とりわけ産科は、少ない人員でのボランティアのような激務で支えられている。すべてが上手く行っているときは良いが、予定外のことが起きたときの対応が遅れがちになるのは仕方がないだろう。残念ながら、術後の出血はゼロには出来ない。時には亡くなることもある。リンク先 を読んで貰えば、十分な体制をとれなかったことを院長が認めていることが分かる。良心的な対応だと思う。田舎なのだから、十分な体制を取りたくても取れないだろうに。 記事:毎日新聞社【2007年7月14日】 軽井沢病院の医療事故訴訟:和解協議が決裂 遺族側、公の場での謝罪要求 /長野 軽井沢町の町立軽井沢病院で03年10月、同町の鈴木良恵さん(当時32歳)が長男を出産後に死亡した医療事故で、遺族が町と元担当医に損害賠償などを求めた控訴審で13日、東京高裁で和解協議がもたれた。遺族側は「謝罪したことを公の場で報告してほしい」と望んだが、高裁は「前例のないこと」として、合意せず和解が決裂した。 和解条項には遅延損害金を含む8600万円の賠償金を支払うとともに、遺族に謝罪することも含まれており、12日開かれた町議会でも佐藤雅義町長が謝罪し、和解することを説明していた。しかし、協議で両者が謝罪内容で相違があり和解は成立しなかった。 和解協議を終えた良恵さんの母美津子さんは「金額ではなく『すみません』という謝罪だけを望んで、1審から続けてきた。失った娘の命は、長びいた理由を含めて公の場で謝ってもらうだけの重みがある」と涙を流しながら話した。会見には良恵さんの夫田中和幸さん(34)も遺影を抱いて長男鼓太良ちゃん(3)と同席。代理人の有吉真弁護士は最高裁に上告する方針を明らかにした。 この医療事故については05年3月、遺族が「担当医は大量の出血に気づかず輸血などの措置を取らなかった」などとして、元担当医と町に1億8100万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴。06年7月の判決で、同地裁は医師と町に慰謝料など7250万円の支払いを命じたが、遺族側は「町と医師から謝罪がない」として06年11月、東京高裁に控訴していた。判決は9月20日の予定。 謝罪だけを求めてきたのなら、どうして謝罪を含む和解を拒否するのだろう。謝罪したことを公表して欲しいと言うが、すでに謝罪を含む和解だと言うことは新聞に載っているのだ。すでに公表されているのではないのか。それとも、公衆の面前で土下座させろと言っているのだろうか。そもそも誰を誰に対して謝罪するように求めているのだろうか。 私にはこの事例で医療側が敗訴したこと自体が納得できない。かける金も、医療の実情も、起こりうるリスクに対応できるような体制にはなっていない。何か起きたらあきらめて貰うことを前提に医療を行わせる体制だとしか思えない。それでも医療人の善意でみんな頑張ってやっているのだ。 患者の具合が悪かったらいつでも病院に駆けつけるのは当たり前だと言うけれど、医者にだって私生活はある。今まではこれで通用したけれど、若い人たちが自分の私生活のほとんどを犠牲にするだろうか。時間で区切って、当番制にしなければ、これからの若い医者は納得しないだろう。当番制にするためには、今の何倍もの人員が必要だ。その人員をそろえることを、今までの医療制度が怠ってきたのだ。謝るべきは、そのような医療制度を放置してきた行政だろうと思う。私には、医師も犠牲者のひとりだと思えてならない。 ミラーサイト
2007.07.19
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記者会見 オイラにゃ無理だ 見逃して 企業の様々な不祥事の対応から、学ぶことはたくさんある。以前からそう思っていたのだが、先日、詳しく分析した方の講義を聴く機会を得た。不祥事そのもので糾弾されることは仕方がないが、その後の対応が批判されるようでは傷口を広げる。雪印の食中毒の事例から学んでいれば、実際には食中毒を起こしたわけでもない不二家が、あれほど糾弾されることはなかったかも知れない。 大雑把にまとめれば、以下のようなことであろうか。自ら進んで、出来るだけ早く、何事も隠さず公表すること。自分たちの論理や業界用語で説明するのではなく、説明を受ける側に理解されるような論理とわかり安い説明を心がけること。保身に走ってメディアや背後にいる大衆を怒らせないこと。記者会見前にはシミュレーションをしておくこと。記者会見場は出来るだけ広く取って、目の前にカメラが並ぶことの無いようにすること。たとえ原因が明らかになっていなくても、被害があれば、被害そのものに対しては謝罪をすること。見られて困るようなメモは持ち込まないこと。常に誠実で冷静な態度を保ち、挑発に乗らないこと。 大変勉強にはなったが、出来ればその様な体験はしたくない。特に最後の忠告は、私にはとても出来そうにない。 只、少し気になったのは、医療では事情が異なることだ。医療関係者の常識と、一般の人の常識があまりにもかけ離れているという現実がある。医療の世界では、誤診があることは当たり前だし、病気が治らないことがあるのも常識だ。また、死が避けられない状態では、何が直接の死因になるか分からない。癌の末期や、高齢者の重症肺炎で何時亡くなるか分からない状況では、誤嚥で亡くなったとしても医療事故ではないと医師は考える。でも、それが世間に通るとは限らない。 これだけお互いの常識が違うと、何を持って不祥事とするかと言うことに合意が得られない。メディアや大衆を怒らせるなと言っても、こちらは何も悪くないと思っていて、その様な態度を取れば、きっと怒るだろう。 もう一つ気になったのは、大淀病院の件だ。講師は実際にたらい回しがあったと思っているようなのだ。「たらい回し」と言う言葉に医師が過剰に反応していると思っているらしい。他でも同じ講演をするだろうから、質問の時に訂正しようと思っていたのだが、残念ながら時間が無くて、質問も発言も許されないまま終わってしまった。
2007.07.19
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解剖で 血管の傷 分からない? しばらく前の記事だし、すでに脳外科見習いさんが体位交換不可?かかりつけ不可?で書いてもいるので、どうしようかと思ったのだが、やはりひどい記事だし、読者の層も別だと考えて書くことにした。 高齢で骨粗鬆症になって、寝たきりで褥瘡まで出来て、体力的にはもうぼろぼろだった可能性が高い。殴ったり蹴ったり落としたりしたわけでもなく、ただ体位を交換しただけで骨折するのであれば、骨折させたのではなく、骨折したのだろう。行為の問題ではなく、骨の問題だ。 記事:毎日新聞社 【2007年7月12日】 医療事故:骨折で出血死か 整形外科で80代の女性----高崎署事情聴く /群馬 ◇業務上過失致死の疑いも 高崎市の整形外科医院で、県内の80代女性が処置の際に右大たい骨を骨折し、約5日後に転送先の前橋市の病院で出血などにより死亡していたことが11日、分かった。県警捜査1課と高崎署は骨折が原因で大動脈を傷つけた可能性もあると見て、立ち会った看護師らから事情を聴いている。 関係者によると、女性は15年以上前から骨粗しょう症で寝たきりになり、同院への入退院を繰り返していた。2日に「床ずれがひどい」と家族に連れられて来院。右足の付け根付近や背中などに床ずれができ、一部は化膿していた。看護師2人に家族が付き添い、消毒などの処置の最中に女性の姿勢を変えようとして足の骨が折れたという。 同院は救急車で約30分後に前橋市の病院に緊急入院させた。しばらく、血圧などに異変はなく、出血も見られなかったが、女性は約5日後に死亡した。死亡診断書に「出血性ショック」とあるのを不審に思った家族が同署に届け出たという。 女性は高齢の上、重い床ずれなどから感染症にかかるおそれもあり血液の凝固能力が低下していた可能性も高い。骨折が引き金となり出血した疑いがあり、県警は業務上過失致死の可能性もあるとみて調べている。10日の解剖では死因が特定されず、整形外科医院の院長は「骨折させたのは事実。容態急変などの連絡は受けておらず、早く死因を解明してほしい」と話している。【鈴木敦子】 要は家族の勘違いなのだろうけど、よく分からないまま業務上過失致死容疑で動き出した警察も軽率なんじゃないだろうか。大動脈を傷つけたというのは、太い動脈を傷つけたという意味だろうけど、解剖したのなら分かるはずだ。実際に大腿部の太い動脈が傷ついていて、それが出血源で死亡したのであれば、そのような解剖結果となるだろう。記事からはそのような解剖結果であるとは思えない。何も事件性のないところで、無理矢理事件をねつ造しようとしているとしか思えない。 毎日新聞だって、少し考えればおかしいことくらい分からないだろうか。解剖で死因が特定されていないのに、解剖結果と矛盾する容疑での捜査をそのまま記事にしているのだよ。矛盾しているのは解剖結果とだけじゃない。骨折したときに太い血管を傷つけたのなら、すぐに血圧低下などの症状が出るはずだ。死亡したのは転送してから五日後だぞ。 死因が本当に出血によるものだとしたら、五日もぼーっとしていた転送先が責められるのではないのか。五日も経って出血で死ぬのなら、途中で輸血すれば死ぬことはないだろう。骨折から30分で転送し、その時点では特に状態が悪くなかったのであれば、何かあっても、責められるとすれば転送先だと思うのだが、どうして転送元が問題になっているのだろう。 念のために言っておくが、転送先を責めろと言っているわけではない。本来は寿命で亡くなったのだから、誰かを責めること自体が間違いなのだ。でも、どうしても誰かを責めたいのなら、どうして転送先でなく転送元なのか、私には分からない。ミラーサイト
2007.07.16
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犯人を 誰にしようと 言うのだろう 監視モニターの警報は実際には役に立たない。ちょっとした体動や他の人が触るなどの行為で心電図は乱れるからだ。そのたびに警報が鳴るので、そのうちに警報が鳴っても見向きもしなくなる。どうせ役に立たないのなら、迷惑にならないように音量を絞ることもあるだろう。実際には役に立たないのに、あたかも役に立つかのような建前があることが問題なのだろう。 いや、もちろん警報が鳴るたびに確認すれば、希にはある本当の危機に気がつくことは確かだ。でも、そのようなことが可能になるためには、どれだけの人員が必要なのだろう。少なくとも今の医療費で可能になるとは思えない。結局、あり得ない(ほどひどい)体制で、あり得ない(ほど濃厚な)サービスを求めているのだろう。いつものことだ。 心肺停止だった患者が死亡 業過致死容疑で司法解剖へ 記事:共同通信社 【2007年7月13日】 横浜市立脳血管医療センター(同市磯子区)で、看護師らが監視モニターの警報音に気付かず、脳出血で入院していた50代の男性患者が心肺停止となった医療事故で、市は13日、男性が死亡したと発表した。 磯子署は、業務上過失致死の疑いもあるとみて、遺体を司法解剖して死因などを詳しく調べる。 市によると、男性は5月に入院。血腫の除去手術後、呼吸補助器を付けて経過観察していたが、今月4日午前8時半ごろ、監視モニターの緊急アラームが鳴ったまま心肺停止状態になっているのを看護師が発見した。 監視モニターのアラームの音量が最小に設定されており、看護師らは警報音に30分以上気付かなかったという。 センターは蘇生(そせい)措置を取り、心拍が再開したが、意識不明の状態が続き、男性は13日午前6時すぎ、死亡した。 市は男性の家族に謝罪。事故調査委員会を設置し原因を調査している。 これは以下の記事の続報だ。警報気付かず男性患者重体 横浜の病院、音量最小で 記事:共同通信社 【2007年7月9日】 横浜市は7日、市立脳血管医療センター(同市磯子区)で、脳出血の手術後に入院していた50代の男性患者に付けた監視モニターの警報音に看護師らが30分以上気付かず、男性が一時心肺停止状態になる医療事故があったと発表した。 心拍は間もなく再開したが、男性は意識不明の重体。意識が回復しても脳に障害が残る可能性があるという。 同センターによると、男性は5月に脳出血で入院。血腫の除去手術後、呼吸補助器などを付けて経過観察していたが、今月4日午前8時半ごろ、監視モニターの緊急アラームが鳴ったまま心肺停止状態になっているのを看護師が発見、蘇生(そせい)措置を取った。 モニターなどの記録によると、同日午前7時前、何らかの原因で呼吸補助器の電源が切れ、同7時52分に血中の酸素濃度の異常を示す警告アラームが作動。その後緊急アラームも2回鳴っていた。だが、10人いたナースステーションの看護師は、アラームの音量が最小に設定されていたため誰も気付かなかったという。呼吸補助器の電源が切れた原因は不明。 同センターは事故調査委員会を設置して原因究明を進めるとともに、アラーム音量を大きく設定する措置を取った。 業務上過失致死という犯罪の疑いなのだから、当然犯人が居ると言うことなのだろう。心停止の原因は人工呼吸器の電源が切れたことのようだ。そうすると犯人は人工呼吸器の製造元か。それとも人工呼吸器を点検する責任者か。それにしても、原因となった呼吸器の不具合がさらっと流されて、警報音ばかりにこだわるのは何故だろう。最初は、特に原因が無く、自然に心停止になったのかと思ってしまった。 死亡の原因を放置して、警報に気がつかなかった看護師を責めようというのは明らかにおかしい。たとえ警報に気がつかなかったことが問題なのだとしても、実際には役に立たない誤警報ばかりのモニターを作った製造元を責めればよろしい。あるいは、誤警報ばかりだとしても、何度でも確認しろというのであれば、それを可能にするだけの人員を雇えるだけの医療費を支払わない行政を責めるべきだ。 実際のところ、自分では呼吸も出来ない状態になった原因は脳出血という病気だ。誰かが脳出血を起こさせたわけではないのだ。元々元気な人を死なせてしまう交通事故とは違うのだ。医療事故に業務上過失致死は、あまりにひどい事例を除けば、そぐわないのではないだろうか。ミラーサイト
2007.07.16
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事実なら かなりまずいぞ この記事は 現在、麻酔はかなり安全に行われている。安全な薬剤やモニター機器の発達による面もあるが、呼吸・循環を中心とした全身管理の知識や、麻酔薬や循環作働薬などに精通した麻酔科医が担当しているからでもあるだろう。 歯科麻酔科医の技術については知らないが、何例も続いて事故が起きていることが本当なら、やはり問題があるのではないだろうか。 「麻酔は医師が実施」 遺族に虚偽の説明 三井記念病院の歯科医麻酔研修問題 記事:毎日新聞社 【2007年7月12日】 三井記念病院の歯科医麻酔研修問題:「麻酔は医師が実施」 遺族に虚偽の説明 三井記念病院(東京都千代田区)が国の指針に反した歯科医の麻酔研修をしていた問題で、歯科医の全身麻酔後に容体が悪化して死亡した患者の遺族に病院側が「麻酔は医師が行った」との虚偽の説明をしていたことが、都の立ち入り検査報告書で分かった。また、歯科医の麻酔を受けた患者が、植物状態になっていたことも判明した。 指針は、歯科医が全身麻酔をする場合、歯科医であるのを患者に伝え同意を得ることや、指導医が手術終了まで監視することなどを定めている。 報告書などによると06年10月、歯科医が全身麻酔をかけた男性患者が直後に心肺停止し、2カ月後に死亡した。麻酔の際、指導医の監視はなかった。研修時に付き添った日大歯学部教授の非常勤医らは、麻酔を投与したのは「医師」と遺族に説明。同年11月には、歯科医が全身麻酔した女性患者が植物状態になった。 同病院も11日、指針違反の歯科医の麻酔が計612件あり、うち10件で患者が術後に死亡したり異変を起こしたと発表した。【夫彰子】 麻酔研修で患者が心肺停止 東京・三井記念病院 記事:共同通信社 【2007年7月12日】 三井記念病院(東京都千代田区)は11日、70代の男性患者が昨年10月、研修中の歯科医から麻酔を受けた直後に心肺停止になる医療事故があったと発表した。男性はその後、心筋梗塞(こうそく)で死亡した。 同病院は歯科医の麻酔研修の際、指導医が恒常的に監督を怠るなど厚生労働省のガイドラインに違反していたことが判明、都が今年6月に改善指導していた。 都や病院によると、研修に来ていた日大歯学部所属の歯科医が、腎臓病に伴う外科手術で患者に全身麻酔薬を注入。男性は直後に心肺停止となり意識が戻らないまま、2カ月後の昨年末に心筋梗塞で死亡した。 容体が急変した際、指導医は立ち会っておらず、歯科医が麻酔を実施することについて事前の同意も取っていなかった。 病院は当時「予見できない合併症による事故」と結論づけていたが、都の立ち入り検査を受け「麻酔が影響した可能性があるため、詳細な調査をする」としている。 同病院は6月以降、歯科医の麻酔研修受け入れを中止している。 院長、会見し謝罪 三井記念病院の歯科医麻酔研修問題 記事:毎日新聞社 【2007年7月13日】 東京都千代田区の三井記念病院で歯科医による全身麻酔の後、患者男性が死亡(昨年12月)した問題で、萬年徹院長が12日記者会見し、「医師の立ち会いを要するとする厚生労働省の指針に反し歯科医が単独で麻酔を行った」と問題を認め「認識が甘かった」と謝罪した。 萬年院長は患者の容体が急変した際に行った蘇生措置も「歯科医が単独で行った」とし、03年7月-今年6月1日、院内で研修した歯科医10人について指針で定められた研修記録をつけていなかったことも明らかにした。一方、死亡後遺族に「麻酔は医師が行った」と虚偽説明した点は「歯科医と医師を区別しなかっただけ。隠ぺいの意図はない」と述べた。【夫彰子】 私は法律家ではないので、制度上の違反行為についてはコメントしない。要は麻酔という医療行為を行うだけの技量があったのかどうかだ。ことさら状態の悪い患者であれば、麻酔導入に際して心停止が起こることはあるだろう。でも、そのような患者を非常勤医に当てる事は考えにくい。ましてや医師ではなく、歯科医なのだ。そう考えれば、特に全身状態の悪い患者ではなかったのだろうと思う。 最近の麻酔導入にはプロポフォールが使われることが多い。プロポフォールは呼吸・循環抑制の強い薬で、高齢者に若年者と同じ量を急速に投与すると、心停止もあり得る。昔から使われていたバルビタール系の薬よりは、その面では危険だ。まあ、記事だけから推測するほか無いが、この歯科医に麻酔科医としての十分な技量があったかどうか疑問に思う。病院全体が、麻酔という医療行為に対して舐めていたと言うことはないだろうか。 話は変わるが、麻酔をかけると言われるのを嫌う麻酔科医も多い。なんだか魔法をかけるみたいで、医療行為という感じがしないからだろう。毎日の方は無頓着に「かける」と書いているが、共同通信の方はそのような表現はしていない。意図しているのかどうかは知らないが。 ちなみに、私は「かける(charm)」でも構わない。私が麻酔をしているときに、留学生が面会に来たら、是非次のように言って欲しい。"He is charming."ミラーサイト
2007.07.14
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7月9日に書いた「ホラー小説?」で紹介した「幸せなお産」のリンクが切れたことはすでに紹介した。今は別な場所でリニューアルされている。 医療関係者からの批判に応えて、病院に対する誹謗中傷は削除された。吉村医院は匿名化されている。当初は謎に包まれていたお子様の死因が掲載された。それを読んで、奥様の立場はどうなるのだと思った。 当初からまともな医療機関からは児頭骨盤不適合だと言われていた。帝王切開が不可欠だと言われていたのだ。ましてや、骨盤位だ。自然分娩は明らかに無謀だったのだ。奥様自身がどう考えていたのか分からないが、夫や吉村医院に引きづられて、薪割りやヒンズースクワットをやらされて出産に備えた。予定日を一ヶ月も過ぎ、やっと陣痛が来たと思ったら、そのまま三日も放置され、挙げ句の果ては吉村医院ではお手上げ状態。何とかまともな病院で帝王切開を受け、命が助かったと思ったら、翌日には吉村トンデモ医院に逆戻り。さらに、これだけ胎児と母体にストレスをかけておきながら、お子様の死因は自分の不注意だと断定されている。2005年 12月13日 ゆきまつが死んだ。出産を終えたばかりの疲れきったゆきが居眠りをしてしまって授乳中に胸の中で起こった不幸な出来事 乳児突然死症候群という疾患群がある。原因は未だ不明だが、母親の責任にされている事例も相当あると思う。授乳中に母親が居眠りをして、乳児が亡くなっていれば、母親のせいにされてしまうだろう。でも、出産前にこれだけストレスを受けた新生児が死亡したのであれば、その影響も無視できないのではないだろうか。 「お産は、宇宙が決めること。なくなる命もある・・・」今さらながら、Y先生が日頃から口にしていた言葉が思い出される。 こんなことを言われて、奥様は慰められるのだろうか。よってたかって母児をいじめ抜いて、疲れ果てていたのだから仕方がないと言われて、慰められるのだろうか。 ブログ主は、自分自身の中では何とか納得しているようだが、奥様の本心はどうなのだろう。ミラーサイト
2007.07.13
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7月9日に書いた「ホラー小説?」で紹介した「幸せなお産」のリンクが切れた。あちこちで批判を浴びていることを誰かが知らせたのだろう。カルトに染まった人が批判くらいで宗旨替えをすることもないだろうが、引き込まれる人が少なくなる可能性はあるかも知れない。 自信があるなら消したりしないで堂々としていれば良い気もするが、さすがに子供を亡くしたのだから堪えたのだろう。これに懲りて、おかしな考えを改めてくれればいいのにと思うのだが、無理なのだろうな。次の子供のためにも改めて欲しいのだが。 ちなみに、ここでは紹介することは控えますが、あちこちにキャッシュはあります。
2007.07.11
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危険性 知っていたなら やめとけよ もしかしたら記事の書き方に問題があるのかも知れないが、記事を読む限り家族は危険性を知っていたような気がする。自殺する危険性を認識しながら紐の付いたズボンを差し入れし、やっぱり自殺したじゃないかと訴訟を起こすのはズルイのでは無かろうか。 埼玉県立精神医療センター「防止措置怠った」 自殺遺族が提訴 記事:毎日新聞社 【2007年7月10日】 損賠訴訟:県立精神医療センター「防止措置怠った」 自殺遺族が提訴 /埼玉 県立精神医療センター(伊奈町小室)にうつ病で入院していたさいたま市の女性(当時44歳)が自殺したのは、同センターが防止措置を怠ったためとして、遺族が県に対し、慰謝料など計約7600万円を求める損害賠償訴訟をさいたま地裁に起こしていたことが9日、分かった。 訴状によると、女性は06年4月ごろ、うつ病を発症。約2カ月後から手首を包丁で切るなど自殺未遂を繰り返したため、6月20日に同センターに入院した。遺族は同日、自殺に使用される恐れのあることから、ズボンなど着替えの衣類に「ひもがついている」と看護師に申告したうえで女性に差し入れた。女性は翌21日午前9時20分ごろ、病室内で差し入れられたズボンのひもで首をつり、同月25日に死亡した。 遺族は、同センターがズボンを持ち込まないよう指示しなかったうえ、自殺しないよう巡視態勢を強化するなどの義務を怠ったと主張している。 県病院局は「センターではできる限りの治療をした。結果は誠に残念で心からお悔やみ申し上げる」とコメントした。【弘田恭子】 「ひもがついている」とわざわざ知らせたのは何故なのだろうか。もし、首を吊ることを心配したのなら、「これで首を吊る心配はないですか」と質問すれば良かったのではないか。看護師も危険性に気がついた方が良かったことは確かだが、すでに危険性に気がついている人が指摘すれば済むことではないのか。 それとも、ことさら紐が付いていることを強調した事実はなく、言ったことは言ったが、看護師が聞き流しても仕方がない状況だったのだろうか。だとすれば、あまり看護師を非難するほどのことでもないように思う。いずれにしても、7600万円の訴訟を起こす事例ではなさそうだ。 確かに危機管理意識が看護師に足りなかったのかも知れない。でも、首を吊るつもりなら紐でなくても簡単だ。ズボンそのものでも出来る。本気で死ぬ気のある人を止めるのであれば、24時間態勢の監視が必要だ。それを可能にするためにはかなりの予算をつぎ込まなければならないだろう。そんな金、病院にはない。 何事もそうだが、完璧を目指せばとてつもない金がかかる。そんなことは不可能だから、通常はそこそこで我慢する。ある程度の部分は切り捨てることで社会は成り立っているのだ。何が何でも完璧じゃなければいけないという、聞き分けのない子供のような反応を容認しないようにして欲しい。法律家の皆さん、お願いします。 ミラーサイト
2007.07.11
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帝切を しろと言うのか 言わぬのか 医療の介入を極力避けた自然分娩を売り物にしている吉村医院について前回触れた。その吉村医院で5年間婦長を務めた岡野真規代氏が講演をするらしい。当然自然分娩礼賛の内容になるだろう。安易に帝王切開などに頼らないで、ぎりぎりまで自然分娩にこだわる内容となるだろう。自然分娩で親子の絆 甲府で7日に講演会 07/07/05 記事:毎日新聞社 講演会:自然分娩で親子の絆 甲府で7日に /山梨 医療行為を極力行わない自然分娩(ぶんべん)で知られる愛知県岡崎市の吉村医院で助産師長だった岡野真規代さん(55)が7日午後2時から、甲府市の県立文学館で講演する。「いのちとの出会い」と題して話す岡野さんは「家族に見守られながら自然に任せて出産することで得られる親子の絆(きずな)を体験してほしい」と話している。 岡野さんは99年から5年間、古民家を利用して自然分娩を行う同医院の「お産の家」で助産師として勤務。これまでに約3000人の赤ちゃんを自然分娩で取り上げた。現在は、札幌市にある天使大大学院の助産指導員として働く一方、自然分娩できる「お産の家」の設立を目指している。 岡野さんによると、生まれてくる赤ちゃんの健康は母親の健康と密接に関係しているため、日常から体を動かすことを求める自然分娩は、母子の健康を保つのに有効という。長くて苦しい出産も個性ととらえ、「早い方が良い」という認識で医療行為を行う現代の出産に異論を唱える岡野さんは「病院に産ませてもらうのではなく、『自分で産む』という意識で出産に臨んでほしい」と呼び掛ける。 前売り1500円、当日1800円。問い合わせは主催の「やまなし自然育児ネットワーク」(電話0556・22・2650)。【沢田勇】 記事のように見えるが、実体は明らかに宣伝だ。入場料まで書いてある。何でこんなに肩入れするのかと思ったら、そうか、毎日も噛んでいたのだ。上の記事の講演会ではないが、北九州の講演会の後援に毎日新聞も名を連ねている。 地域 : 全国 福岡 北九州市 掲載日 : 2007/6/20 イベント開催日: 2007/7/25 イベント開催時間: 13:30 から 15:30 母と子の輝くお産~いのちは輝き 赤ちゃんは光そのもの~スライド講演会 講師に愛知県岡崎市の吉村医院で5年間婦長として勤務されていた岡野真規代さんを迎え、スライド&トークの講演会を行います。 岡野さんは3000人以上の赤ちゃんを取り上げる中で「母体の神秘」「生まれる力」などを引き出すことの素晴らしさに目覚められ、お産を日常の何気ない生活の中に取り戻すことこそ良い家族関係を作り豊かな人間性を持った大人になりうることを伝えたいと仰られています。 体の中の自然にも目を向けたお産でこの世に生を受けた赤ちゃん達の神々しい表情がスライドの中からみなさんに語り掛けるものはどんな言葉でしょうか? これからお産を控え、不安を感じていらっしゃる方にはきっと力強いエールとなるでしょう。そしてすでにご自身のお産を終えられた方にも、そして産まない選択をされた方にも、もちろん男性にもおいでいただき家族の絆や愛情について何かを感じて頂けると思います。 子育てのはじめのいっぽであるお産は、女性の人生をも変えてしまうパワーを持っています。優しい気持ちで子ども達と関われる一瞬が増えるようなおはなしです。 たくさんの方々のご来場を心よりお待ち申し上げております。 【日 時】平成19年7月25日(水) 13:30~15:30 (開場13:00) 【場 所】北九州市立男女共同参画センター“ムーブ”5F 大セミナールーム(北九州市小倉北区大手町11-4) 【講 師】岡野真規代さん(愛知県岡崎市・吉村病院 元婦長、現天使大学大学院 助産研究科 実習指導教員) 【参加費】一般1,000円(当日1,300円)、中高生 500円(当日800円 【託 児】先着15人、要予約(別途300円) 【主催・問合せ・申込み】 ベビーズ・リング http://www.geocities.jp/babies_ring_web/ 【後 援】なかむら産家医院 みんなの託児所「光楽園」 毎日新聞社 産科医療のスタンダードを拒否し、成り行きに任せる「自然分娩」を信奉する講演を後援しながら、ある時は帝王切開の遅れを糾弾する記事を書く。またあるときは産科医療の荒廃を嘆いてみせる。荒廃を招いた張本人でありながら。 ちょいと矛盾がすぎないか、毎日新聞!ミラーサイト
2007.07.09
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不合理に 凝り固まった 恐ろしさ いつも読ませていただいている「NATROMの日記」の信仰と狂気~吉村医院での幸せなお産で紹介されている幸せなお産を見てみた。書いている本人は大まじめなのだが、読んでいるこちらは背筋が寒くなるような気味悪さがつきまとう。 結構長い文章なのだが、要約すれば次の通り。書き手は夫。自然食品の信奉者で、ホメオパシーや姓名判断を信じる一方、現代科学、とりわけ医学を目の敵にしている。 初産で骨盤位で、さらに児頭骨盤不適合まであると大阪の病院で診断され、帝王切開が避けられない状況であったが、どんなことをしても自然分娩で産ませたいと、その筋では有名だったらしい吉村医院を受診した。吉村先生は「産道もめちゃめちゃやわらかい・・・バリバリの安産です」と保証してくれたらしい。 結局はいろいろと努力したにもかかわらず、予定日を一ヶ月も過ぎて、初発陣痛から三日も苦しんだ後、病院に送られて帝王切開で出産。翌日には母子ともに吉村医院に戻った。そして出産から三日で、新生児は死亡した。死因については記載がない。 この結果を踏まえながらも、帝王切開をした病院に対しては悪口雑言。どう見ても親と吉村医院の責任だと思うのだが、こちらは美辞麗句。胸が悪くなった。 私は4人の子供を授かったが、幸いなことにひとりも亡くしては居ない。子供を亡くすことは、言葉では分かっていても、実際にどれだけ悲しいことなのか想像も出来ない。このケースでも、親の悲しみは相当なものであったはずだ。でも、凝り固まった信念は、その悲しみよりも強いのだろう。 すでに悲しみにうちひしがれている人を叩くのは気が進まない。でも、こんな考え方をする人が世の中にいることを、医療者に知らしめることには意義があると思う。医療者にとっては危険な存在であろうから。 夫はともかく、奥さんはどう感じているのかも気にかかる。ミラーサイトが変更になりました。
2007.07.09
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本当に 失血死なの? 本当に? 通常、妊娠末期には循環血液量が増大している。それだからこそ、お産での出血に耐えられるのだ。私も帝王切開の麻酔を担当しているとき、羊水込みで1500グラムくらいの出血量であればあわてない。輸血をしなければ死ぬかも知れないと考えることもない。さらに出血が続けば別だが。 以下に引用する毎日と共同通信の記事から分かることは以下の通り。1)患者は31歳の大柄な女性。2)医師は経験を積んだベテラン。3)出産に際し、1600グラムを超える出血があった。4)大量出血を疑わせる頻脈などの症状はなかった。 警察は1600cc(実際はグラムで量っていると思う)が致死量だと言うが、医療の現場で輸液をしている状態では、産婦でなくても致死量とは言えないだろう。道路で刺されての1600ccの出血であれば致死量と言えるかも知れないが。 産婦は出血に強いのだから、お産に伴って1600ccの出血があったくらいで失血死するとは思えない。頻脈もなかったことから、出血性ショックというのもありそうもない。羊水塞栓症や、深部静脈血栓が飛んだ肺塞栓症だという方が説得力を感じる。 死因の特定は、誰がどのようにしたのだろう。解剖はされているのだろうか。 30代が大量出血死 業過致死容疑、産婦人科医を書類送検 記事:毎日新聞社【2007年7月5日】 医療ミス:30代が大量出血死 業過致死容疑、産婦人科医を書類送検 --福岡県警 出産時に適切な輸血措置を怠り、女性を死亡させたとして、福岡県警は5日、北九州市八幡西区のセントマザー産婦人科医院の男性勤務医(56)を業務上過失致死容疑で福岡地検小倉支部に書類送検した。医師は「脈拍に異常はなく、女性が大量出血した認識もなかった」と容疑を否認している。 調べでは、医師は昨年4月5日、陣痛のため緊急入院した同市内の女性(当時31歳)が男児を出産した際、大量に出血し、放置すれば死亡する危険性があったのに緊急性が低いと判断、輸血など必要な措置を取らずに女性を死亡させた疑い。 女性はその後心肺停止状態になり、別の病院に搬送されたが同日、出血性ショックで死亡した。女性は「致死量に至る」(県警)1600CC以上の出血があったという。医師は勤続30年以上のベテランだった。 同医院の田中温院長は「故人と家族に申し訳ないことをした」と謝罪する一方、「医師が適切な措置を講じなかったというのは間違いだ」と述べた。【川名壮志、入江直樹】 産婦人科医を書類送検 北九州、出産後に出血死 (1) 記事:共同通信社【2007年7月5日】 福岡県警捜査1課と折尾署は5日、出産後の女性に適切な処置を行わず出血性ショックで死亡させたとして、業務上過失致死容疑で北九州市八幡西区のセントマザー産婦人科医院に勤務する男性医師(56)を書類送検した。 男性医師は「大量出血の認識はなかった。脈拍などにも異常はみられず、過失には当たらない」と容疑を否認しているという。 セントマザー産婦人科は高度な不妊治療を行う専門病院として知られ、患者は全国から訪れている。 調べでは、医師は同医院に当直医として勤務中だった昨年4月5日、北九州市若松区の会社事務員の女性=当時(31)=の出産を担当。午前6時半すぎの出産後、容体を軽視して直ちに出血量などを把握しなかった上、適切な処置も行わず、同日午前9時45分ごろ、転送先の病院で出血性ショックで死亡させた疑い。 女性は出産後に容体が急変したが、医師は女性のそばを離れ院内の電話で鎮痛剤の投与などを看護師に指示。転送直前まで輸血をしなかったという。県警はこうした措置の遅れが死亡につながったと判断した。 県警によると、男性医師は1976年に医師免許を取得したベテランで、これまでに約4000件の出産に立ち会っている。関西の病院などを経て、2003年から同医院に勤務している。 予測不能な状況 セントマザー産婦人科医院院長の話 (2) 記事:共同通信社【2007年7月5日】 セントマザー産婦人科医院の田中温(たなか・あつし)院長の話 医師は出血を受ける防水シーツの交換を見ておらず、通常の出血量だと思っていた。女性の体格が大きかったこともあり、(大量出血による死亡は)予測不能な状況で、刑事責任を問われるのはおかしい。 ミラーサイトが変更になりました。
2007.07.07
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失敗を 責めずに生かせ 先のため 前から予想していたんだけど で書いた症例の報告書が出た。通り一遍の報道なので、誤挿管に対する見解がどうなったのかよく分からない。ある程度の失敗を容認するような見解が欲しかったのだが、それは無理なのだろう。 「救命の可能性低かった」=誤挿管事故で報告書-名古屋市 2007/07/04 時事通信 名古屋市で5月、心肺停止状態となった女性(68)の気道を確保するため気管に挿入するチューブを救急救命士が食道に誤って挿入し、その後女性が病院で死亡した事故で、同市は4日、誤挿管と死亡との因果関係について「適正に挿入されていても救命された可能性は極めて低かった」とする報告書を公表した。 救急隊の到着時に心肺停止状態では、救命はほとんど困難なのは分かり切っている。わざわざこんな当たり前のことを発表するのは、救命士への訴訟リスクに配慮したのだろう。気管挿管に限らず、救急医療の現場で失敗をおそれていたのでは何も出来ない。助かったらラッキーの局面はいくらでもあるのだ。ある程度の失敗を容認する覚悟が社会全体に必要だと思うのだが、どうだろう。 人命がかかっていると、どうしてもミスは許されないと思ってしまう。でも、実際にミスをなくすことは出来ないし、ミスではなく、力の及ばない困難な症例もある。ちょっと野球に置き換えて考えてみよう。 打球を捕れない場合、捕球が容易な打球であればエラーになる。捕球が困難な打球であればヒットだ。エラーかヒットかはプレーヤーの技量を考慮して判定される。少年野球のヒットのほとんどは、プロが守備をしていれば容易に捕球されてしまうだろう。 気管挿管だって同じだ。失敗を捕球の失敗にたとえれば、エラーもあればヒットもある。難しい症例は失敗しても仕方がないのだ。失敗に気づかなかったことを問題にする向きもあるが、確認自体が難しい症例もあるのだ。制度として気管挿管を認めた以上、一定の確率で失敗があることを受け入れよう。現場の萎縮は誰にとっても得策ではない。ミラーサイトが変更になりました。
2007.07.06
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身の破滅 あり得ることも 覚悟せよ いろいろなところで個人情報の流出が問題になっている。ひとたび流出してしまえば、今のようなネット社会では取り返しが付かない。勤務先には有形無形の、計り知れない迷惑をかけたことだろう。損害賠償だって、覚悟しておいた方がよいかも知れない。危機感を持たずに自分のパソコンにデータを保管している人、いませんか。患者200人の情報流出 福山市民病院 記事:共同通信社【2007年7月4日】 福山市民病院(広島県福山市)は3日、男性内科医(28)の私物パソコンから、患者約200人分の氏名や病名、服薬状況などがファイル交換ソフト「ウィニー」を通じインターネット上に流出したと発表した。 内科医が6月に行った研究発表のために、データを無断で持ち出したという。 ほかに、この内科医が3月まで勤務していた香川県立中央病院(高松市)の患者のデータも流出した。人数や流出内容は不明。 浮田実(うきだ・みのる)院長は「今後法令順守を徹底したい」とコメントしている。 学会に発表したり、論文を書いたりするためにはデータの保管は必要だ。勤務先のパソコンだけに頼っていたのでは埒があかないことも理解出来る。でも、個人情報がこれだけ取りざたされている上に、医師には元々守秘義務がある。ウィニーを入れていることは論外だが、そうでなくても、私物のパソコンに患者名の入ったデータを入れておくことは危険だ。年齢、性別は必要だろうが、患者名そのものは研究には必要ない。データを持ち出すのであれば、匿名化は絶対に必要だ。 細かいことになるが、匿名化の作業は私物のパソコン上でするのではなく、あらかじめ勤務先のパソコンで匿名化したデータを私物のパソコンにコピーする必要がある。 ミラーサイト
2007.07.05
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診断が 付かなきゃ処分 当然か? 人間の体はひとりひとり違う。同じ病気でも同じ症状とは限らないのだ。また、病気にもいろいろあって、特徴的な症状のある病気もあれば、ありふれた症状だけの病気もある。ありふれた症状しかない場合、診断が付かないのは当然だ。たとえそれが命に関わる病気であろうと、診断が付かなかったから責任を取れと言うのは無理難題だ。医療事故で和解金6千万円/さぬき市民病院 2007年06月30日 asahi.com さぬき市民病院(同市寒川町石田東)で04年に男児を出産した女性(当時31)がその後の治療の副作用などで死亡したのは、適切な診断と治療が遅れたためだったとして、同市は29日の6月定例議会で、女性の遺族5人に和解金計6137万円を支払うとする市病院事業会計補正予算案を提出、可決された。 徳田道昭院長らによると、女性は04年11月4日、市民病院で男児を出産した。3日後に発熱し、産婦人科の主治医が抗生物質を投与。その副作用とみられる「偽膜性大腸炎」を発症したが、診断と治療が遅れて重症化し、同月21日に亡くなった。遺族と病院双方の代理人が和解に向けて協議し、今月病院側が6137万円を支払うことで合意したという。市は「市民病院に対する市民の信頼を損なった」として、29日までに主治医を訓告処分にした。 市議会は同日、このほか5議案を可決し、閉会した。 抗菌薬(抗生剤)を投与すると、その薬が効く菌が居なくなり、その薬が効かない菌がはびこるようになる。それを菌交代症という。偽膜性大腸炎は菌交代症によって、ク口ストリジウム・ディフィシルと言う菌がはびこることによって起きる。 この症例では、おそらく産褥熱のために抗菌薬を投与したのだろう。不幸なことに偽膜性大腸炎になってしまったが、これを主治医の責任にするのは酷だ。市が問題にしているのも、記事から推察すると、診断と治療が遅れたことのようだ。でも、ちょっと待って欲しい。偽膜性大腸炎の症状は、腹痛と発熱と下痢だ。こんなことはよくある。確定診断のためには肛門からファイバースコープを入れて偽膜を確認しなければならない。よほどの確信がなければ女性にそんな検査をするわけにはいかないだろう。 専門外のbambooの言うことだから誤りもあるかも知れないが、市が主治医を処分したり、高額の賠償金を払う敗訴的な和解をするに当たって、誰のどんな意見を参考にしたのか、是非知りたいものだ。本当に妥当な理由があったとは思えないのだが。 bambooがこの主治医の立場だったら、絶対市を訴えるな。ミラーサイトが変更になりました。
2007.07.03
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自分なら 出来るとばかり 評論家 多忙のため、患者の観察がおろそかになることは確かにある。そのために亡くなったりすれば、責任を問いたくもなるだろう。でも、その患者にかかりきりになり、他の患者が亡くなれば、やはり責任を問うのではないか。濃厚な医療を望むのであれば、それが可能な体制を取らなければ無理だ。同時に多くの患者に対して濃厚な医療をするのが無理なことくらい、理解できるだろうと思うのだが、理解できない人が「有識者」の中にも多いことに驚かされる。 今回の記事は多忙な中で起こった事例を提示して議論した内容である。多忙が原因でミスがあったというわけではなく、多忙のために検査結果を全部は確認しなかったという事例である。確認しなかったことと死亡の因果関係は、実際にはないと思われる。報道からは詳細が分からないので、あくまで推測だが。 医療訴訟テーマに討論 医師、裁判官ら300人参加 さいたま 2007年6月30日(土)WEB埼玉 年々増える医療訴訟について、医療関係者と法曹界との相互理解を深めようと、医療訴訟に関するパネルディスカッションが二十八日、さいたま市浦和区の埼玉会館で行われ、県内の医師や弁護士、裁判官ら約三百人が参加した。さいたま医療訴訟連絡協議会が企画し、二年前から毎年一回行われ、今回が三回目。 今回は「医療における過失」をテーマに、実際にあった事件を取り上げ、患者の死亡に対して医師の過失を問えるかを、パネリストが原告、被告側に分かれ、それぞれの主張を展開した。 議論されたのは胸痛でC病院に救急で搬送され入院したB子が、翌朝、意識不明となり肺塞栓症で死亡したケース。多忙だったA医師は心エコーの報告書は確認したが、ビデオの確認はしなかった。 原告側はA医師は肺塞栓症を疑って速やかに心エコー検査を実施し、報告書だけでなくビデオを確認し鑑別の検査をするべきだったのに、しなかったと主張。被告側は心エコー報告書から急性肺塞栓症の発症を疑うのは困難で、鑑別検査を緊急に行う義務はなかったと反論した。 その後は参加者たちの意見交換や質疑応答となり、ある男性医師は「医療裁判は公平ではない。医師はいろんな可能性の中から治療法を探っていくしかない。原告は結果から犯人を探す」と話し、別の男性医師は「リスクや危険性の見通し、緊急性のあるなしについての判断は難しい」と語った。 今回のケースについて、参加者に対してアンケートを実施。医師に過失があるとした医師は三人だったのに対して、なかったとする医師は百十七人の大多数が過失を否定した。しかし、弁護士では過失ありが二十一人、なしが二十人と意見が割れた。医療訴訟の中で過失を問う事件が一番難しいとされ、今回もそれが浮き彫りとなった。 総括したパネリストの井原徹太・県医師会常任理事は、「遺族がその日のうちに治療していれば助かった可能性があったと主張するのは当然。その一方で結果が悪かったら、すべて医師の責任とするのは疑問を感じる」と意見を述べた。その上で「医師と法曹界との相互理解は少しずつ深まっている。今後もこのような機会を設けて議論していきたい」とした。増え続ける医療ミス訴訟 今後も医師と法曹の交流を 医療訴訟の件数はこの十年で大きく増えている。最高裁判所の統計によると、新受数は一九九七年は五百九十七件だったのに、二〇〇三年に千件を超え、〇四年には千百十件に達した。昨年は九百十二件だったが依然として件数は多い。 一方で平均の審理期間はスピード化している。九三年の三六・三カ月から昨年は二五・一カ月と約一年の短縮。今回パネリストとして参加したさいたま地裁の佐藤公美裁判長は、「集中審理で徹底的に議論できるようになった。証拠調べではかつては半年から一年かかっていたものが、今では一日で終わる」と話す。 スピードアップの要因として佐藤裁判長は、弁護士の質の向上で、争点を整理できるようになったこと、弁護士とのつながりから、鑑定人となってくれる協力的な医師が増え、医師としての適切な見解を迅速に得られるようになってきたことを挙げた。 専門的な知識を要する医療訴訟の迅速かつ充実した内容の審理、適切な解決を行っていくには、今後も医師と法曹界との交流は欠かせない。 とはいえ、紛争を減らす意味でも、何より大切なのは医者と患者が信頼関係で結ばれることだろう。 提示された事例の詳細が分からないので何とも言えないのだが、心エコーは入院当日に行ったとしよう。つまり、このときは胸痛はあるものの、それ程苦しがっては居なかったという想定だ。また、心エコーの報告も、右室がパンパンに腫れているといった肺動脈抵抗の急激な増大を疑う所見ではなかったものとしよう。そのような状況であれば、忙しければエコーのビデオを見るのは後でも良いであろう。報告者を信頼できるのであれば、自分で見る必要さえないかも知れない。激烈な症状を呈して死亡したのは翌日なのだから、おそらく、実際に、このときはたいした所見はなかったのであろう。 胸痛で入院してくれば、たいていは心筋梗塞や狭心症と言った冠動脈疾患を疑う。胸部大動脈瘤なども候補に挙がるかも知れない。胆石症などの消化器疾患だって否定は出来ない。当初はいろいろなことが考えられるのだから、肺塞栓症を疑えというのは無茶だ。「医療裁判は公平ではない。医師はいろんな可能性の中から治療法を探っていくしかない。原告は結果から犯人を探す」と言う意見はもっともだ。 呈示された症例で医師の責任を問えるとすれば、私は以下のような状況の時だけだと思う。1)明らかに重症感があるのに診察もしないで放置した。2)エコーの報告書が尋常ではない、明らかに異常な報告であった。 このような事実があるのであれば以下の発言は無意味になることをお断りした上で言いたい。結果が肺塞栓症であったから、肺塞栓症を疑うべきであったというのは結果論である。実務というものを知らない、道理というものを知らない人の戯言である。そのような戯言を言う人が医師の間にも120人中3人、弁護士の間には41人中の過半数が居るのだ。 このような3人の医師の中からトンデモ鑑定が飛び出し、法律家の間で市民権を得て、トンデモ判決につながるのだろう。医師の責任を認める人たちは、具体的にどうすれば良かったと思っているのだろうか。 ミラーサイトが変更になりました。
2007.07.01
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