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マスコミに 目をつけられた? 群馬県 ブログを始めたのは今年の1月下旬のことだが、昨年の6月末から、何となく「医療事故」の報道を記録していた。それを見ているうちに、どうしても黙っていられなくなってブログを始めようと思った。振り返って記録を眺めてみると、群馬県の事例が多い。記録したものだけで10件ある。もしかすると見逃しているものもあるかもしれない。事例はあくまで報道であって、その報道が正しいかどうかは別だ。また、正しいとしても、ミスがあったかどうかも別。 1)2006年6月30日報道 群馬大学 心臓手術の際、右心房にカテーテルを縫いつけ、抜去時に大出血、死亡。 2)2006年7月4日発表 群馬県立心臓血管センター 胸部大動脈瘤手術中に脳梗塞併発。 四日後に心停止したが、28分間警報に気づかれず放置。 死因は人工鼻に痰が詰まったことによる窒息死。 3)2006年7月25日報道 群馬大学 肝移植ドナーに通常の5倍のヘパリン投与。 硬膜外血腫で後遺症。 4)9月26日手術 慶友整形外科病院 膝関節の鏡視下手術で左右取り違え。 関節鏡で覗いただけで切除する前に気づいた。 5)2007年1月24日報道 前橋赤十字病院 老年病研究所 04年6月に前橋赤十字病院でCTにより脳腫瘍の診断。 9月に大きくなっていないので一年後の検査まで経過観察とされた。 05年2月より老年病研究所に通院。 8月のCTで腫瘍が増大していたので前橋赤十字病院に紹介。 すでに手術適応がないほど大きくなっていて手遅れとなっていた。 6)2007年4月25報道 善衆会病院 術後の肺梗塞の診断が遅れ死亡。 7)2007年4月25日報道 群馬県立がんセンター 食道癌の術後に腸管壊死をきたし、手術するも死亡。 8)2007年05月02日報道 群馬大学 中心静脈カテーテル挿入ミスで死亡。 9)2007年5月10日報道 前橋協立病院 頭痛で「骨髄検査」を受け、後遺症。 10)2007年5月25日報道 七日市病院脳幹出血後の誤嚥から心肺停止、蘇生するも2年後に死亡。 4、7、10を除けば前橋市の病院だ。地方の一つの市で1年に7件の「医療事故」の報道。これはやっぱり多いのではないだろうか。報道が多いからと言って、事例そのものが多いとは限らない。1度目をつけられれば報道されやすいと言うこともあるだろう。何かあれば報道しようと狙われていることはないだろうか。群馬県の医療界のみなさん、ご用心、ご用心。ミラーサイト
2007.05.29
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ありがとう 言われりゃ医者も 木に登る 毎度毎度下手な川柳もどきを書き込むので、目障りだという人も多いとは自覚している。でも、やってみるとこれがハマルのだ。ちょっとここ を見て欲しい。結構みんな止まらない。 閑話休題 今日は報道に付いてではなく、ついこの間の体験を書こうと思う。手術が終わり、病棟からの迎えを患者と一緒に待っていたときのことだ。急に患者がオイオイと泣き出した。いったい何事かと思ったのだが、すでに意識のはっきりしていた患者から話を聞くことが出来た。 手術前は不安で不安で仕方がなかったのだそうだ。どんな危険な目に遭うのか、どんな苦しい目に遭うのか、不安だったと言うのだ。でも、全身麻酔だから、手術中は何も分からないし、覚醒しても痛みも全くなく、気分が悪いこともない。こんなに楽に手術を受けられるとは思っていなくて、安心したら泣けて泣けて仕方がないのだそうだ。その後も術者と麻酔科医の私に、何度も何度も泣きながら感謝の言葉を繰り返した。 勤務医をやっていると、いろいろとつらいことも理不尽だと思うこともある。でも、こういうことがあるから勤務医を辞めないんだろうな。ミラーサイト
2007.05.27
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責任を とれと言うなら 金をくれ 医学的にナンセンスな判決はもちろんだが、過剰な責任を求める判決も嫌になる。家で転んで怪我をするような人は病院でも転ぶし、家で誤嚥するような人は病院でも誤嚥する。病院で誤嚥して責任を問われるなら、家で誤嚥したら家族が責任を問われるのだろうか。 七日市病院で、のどつまらせ死亡 3400万円支払い命令 記事:毎日新聞社【2007年5月25日】 医療事故:七日市病院で、のどつまらせ死亡 3400万円支払い命令 /群馬 リハビリ入院中の男性(当時61歳)が病室で朝食のパンをのどにつまらせ死亡したのは病院側が注意義務を怠ったためとして、男性の遺族が公立七日市病院(富岡市)を運営する富岡地域医療事務組合を相手取り慰謝料など約4500万円の損害賠償を求めた訴訟で、前橋地裁高崎支部は24日、約3400万円の支払いを命じる原告勝訴の判決を言い渡した。 廣田泰士裁判長は「誤嚥(ごえん)により気道閉塞(へいそく)を起こすことは予見でき、医師や看護師には食事の制限や看視すべき注意義務があった」として病院側の過失を認めた。 判決によると、男性は脳幹出血の後遺症で左半身まひになり、02年12月に同病院に入院。介助者付きで粥(かゆ)などの流動食が食べられるようになったが、むせることも多かった。同17日、朝食にパンやフルーツなどを出され、看護師が不在の間に心肺停止状態に陥り、救命措置で一命は取り留めたが、意識は戻らず、約2年1カ月後に死亡した。 判決は「窒息が原因と断定できない」という病院側の主張を退け「誤嚥による気道閉塞と推認するのが相当」と判断した。 提訴から2年4カ月。傍聴した男性の妻(58)は「看護師を責めるつもりはないが、ここまで長かった」とため息をついた。「意識不明になる前の日、『たまにはご苦労様くらい言ってよ』と言うと、右手を上げてにっこり笑ってくれたのが最後だった。看護師の人手が足りないなら私が傍についてあげたのに……」と悔しさをにじませた。当時、妻と3人の娘は交代で毎日、見舞っていたという。 病院側は「判決を見ておらずコメントできない。控訴するかも白紙の状態」としている。【鈴木敦子】 高齢者や神経疾患の患者など、転倒・転落や誤嚥などのリスクの高い患者はたくさんいる。それらの患者に対して、危険を予見したきめ細やかな介護が必須なのだとしたら、人手はいくらあっても足りないだろう。 今はまだ過渡期だ。賠償責任を問われても、保険でまかなえば何とかなっている。でも、このような事例で高額な賠償金を得ることが可能であることが知れ渡れば、訴訟件数は増大し、保険料の大幅な高騰を招き、保険料は病院の経営を圧迫するようになるだろう。 予想されるリスクに対処せよと言うならしよう。でも、それならそれだけの金を出してくれ。いつもいつもハイリスクの患者にスタッフを張り付かせるだけの金を出してくれ。 安全には人手も金もかかるのだ。十分な体制を可能とする診療報酬も無しに、責任だけ押しつけられている現状は、医療側から見ると言いがかりとしか思えない。 ミラーサイト
2007.05.26
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赤信号 1人で渡ると 危ないよ 今までに何度もトラブルに見舞われていることが報道されているのに、同じことがまた報道されている。振り込め詐欺の被害者が後を絶たないのと同様、実際に自分がトラブルに会ってからでないと、身の危険を感じないのだろうか。家族のたっての頼みを断り切れなかった善良な医師が、殺人容疑で書類送検され、報道の矢面に立たされた。内容を読む限り、この医師が悪いことをしたとは思えないが、なんと言っても殺人容疑だ。聞こえが悪いこと夥しい。呼吸器外し患者死亡、医師を書類送検 和歌山県立医大 2007年05月22日22時03分 和歌山県立医大付属病院紀北分院(和歌山県かつらぎ町)で、脳死状態に陥った女性患者(当時88)の人工呼吸器を外して死亡させたとして、同県警が今年1月、50代の男性医師を殺人容疑で和歌山地検に書類送検していたことがわかった。病院側は女性の家族が延命治療の中止を希望したとして、「犯罪性があるとは考えていない」としている。 病院側によると、女性は06年2月27日、脳出血で同分院に救急搬送され、脳血腫を除去する手術を受けたが、出血が止まらず、28日午前4時前に呼吸が停止。主治医の男性医師が人工呼吸器を装着したが、同日午後5時ごろ、脳死状態と判断された。 約3時間後、家族から「最期のお別れができたので、これ以上は忍びない。延命措置はしないでほしい」と医師に依頼があった。一度は断ったが、再度要望を受けたため、個人の判断で「自発呼吸ができるかテストする」として呼吸器を外し、間もなく女性は死亡したという。 院内に医師の行為を問題視する意見が出たため、同医大は同年3月に調査委員会を設置。医師の行為は違法ではないとの結論を出したが、当時、富山県の射水(いみず)市民病院の患者7人が人工呼吸器を外されて死亡し、社会的な問題となっていたため、「医療現場だけで判断できない。司法の判断を仰ぎたい」として同月28日、県警に届け出た。県警は「呼吸器を外したことで死期が早まった」として、書類送検したという。 紀北分院の飯塚忠史・分院長代行は22日の記者会見で、「延命措置を打ち切ったのは家族の希望によるもので、犯罪性や過誤があるとは思っていない」と述べた。 人工呼吸器の取り外しをめぐっては、北海道立羽幌(はぼろ)病院で無呼吸状態になった患者の呼吸器を外して死亡させたとして、女性医師が05年5月に殺人容疑で書類送検され、嫌疑不十分で不起訴となった。射水市民病院のケースでは、富山県警が呼吸器取り外しと死亡との間に因果関係があるとみて捜査している。 asahi.com 脳死移植時を除けば、日本では心臓死を死としている。だから、まだ心臓が動いている患者の呼吸器を止めて死亡させれば、形式上殺人と言えば言える。では逆に、多くの臨終に際し、医師が懸命に延命措置を施したら、心臓が停止するまでの時間は延びるであろう。それならば、延命措置を怠った医師は殺人罪に問われないのだろうか。 どのみち死が避けられない状況になれば、どのように死を迎えるのかは現場に任せるべきだろう。現状では法整備が整っていないとしても、事実上何らかの対応は必要だ。全ての患者に対して懸命に救命措置をした後でなければ死亡宣告をしてはいけないとしたら、医療は成り立たない。法整備が整わないうちは、完全に現場に任せるべきだ。それでは問題もあるというのであれば、早急に現実的な法整備を行えばいい。今のような宙ぶらりんじゃ、現場はかなわない。日常業務で何時殺人犯にされるのか分からないのでは、やってられないだろう。そんなこと、メディアも分かってくれよ。こんな報道するくらいなら報道しない方がましだ。報道するなら、問題点を浮き彫りにするのがジャーナリズムじゃないのか。ミラーサイト
2007.05.24
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「まさに大学医局が人を引き揚げたのが医師不足激化の理由。契機になったのが福島県立大野病院の産婦人科医が逮捕されたことで、大学医局が1人医長の現場などから医局員を引き揚げざるを得なくなった。萎縮医療・保身医療が急速に進んでしまっている。こうした事態を食い止め医療崩壊を食い止め現場を正常化しようと、このような検討会を開くことはまことに時宜にかなっている。ところでこの検討会では大野病院事件でも問題になった医師法21条について、どういう方向で議論が進んでいるのか。要望というか意見を言わせてもらえば、医師法21条は法律ができたときの趣旨と現在の運用とが乖離している。いわゆる医療関連死亡は異状死に含めるべきでないと考えるが、このようなことを議論してもらえるのか」 医政局長「現在検討している診療関連死の届出制度と異状死の届出制度とを整理する必要はあると認識しており、法務省・警察庁との関係省庁連絡会議でも議論してきた。またこの問題に関して、パブリックコメントに多数の意見が寄せられたので、こうした意見と検討会での議論を踏まえて十分に検討して参りたい」 特に何ともないような答弁ではあるが、一点だけ語るに落ちている言い回しがある。建前から言えば「検討会でご議論いただく」と答えなければいけないはずを「検討会の議論を踏まえて十分に検討したい」と言っている。有識者はお飾り、決めるのは自分たち、という本音が出た。しかし、大した問題ではないので本筋を追おう。 鈴木議員「検討会では死因究明のための調査機関についても議論すると思うが、そもそも趣旨を読んでも、この検討会の目的がよく分からない。再発防止なのか、訴訟・訴追リスクを下げて医療崩壊を食い止めることなのか、はたまた公正な調査を実現することなのか。どれも重要だが、きちっと腑分けして整理しないと、結局は事態の改善につながらず悪化させるのでないかと心配している。再発防止はモデル事業があるので、そのカバレッジを増やすこと深めることで足るのでないか。あのモデル事業がありながら第三者機関を新しく作ろうというのは、何のためにどういうことを狙ってやっているのか整理していただきたい」 モデル事業が余りうまくワークしていないというのは、17日から始まった日本法医学会などでも発表されていることだが、その総括もきちんとしないで先に進むつもりではないだろうなという嫌味である。 医政局長「死因の調査や臨床経過の評価・分析、再発防止にあたるような専門的な機関が設けられていないため、結果として民事・刑事手続きに期待が集まるという現状認識があり、これが全ての出発点。3月に患者さんの納得が得られるような安心・安全な医療の確保や不孝な事象の発生予防・再発防止に資するための試案を提出した。専門性の高い組織による原因究明のしくみを構築することで再発防止、萎縮医療の回避にもつながると考えている。いずれにしてもパブリックコメントに寄せられた意見、検討会の議論を踏まえて今後よく検討して参りたい」 鈴木議員「医療事故は複雑なので専門的な機関を作ることは結構だが、それは一体誰のためのものなのか。ぜひ患者のためのものという本旨に基づいて制度設計を行ってほしい。誰のためという部分を間違えると屋上屋を重ねるというか、医師法21条の警察への届け出義務も残って、仮に第三者機関への届出義務なんかかけてしまうと、そんなことは考えていないと思うが、警察からも第三者機関からも立ち入り検査を受けるということになって、 手続き上の落ち度があった場合に両方から訴追リスクがあることになると、 何のためにこういう議論をしていただいているのか全く分からなくなる。検討会の内容で行政処分のありかたについても検討するとなっているが、民事訴訟、刑事訴追がある中で、さらに行政処分が強化されたら 結局、萎縮医療・保身医療がひどくなってしまう。結果として一番困るのは患者さんだ」 もう質問ではなく、厚労省に対するクギ刺しである。そして、伊吹文科相が深く何度もうなずく。こういう光景は珍しいと思う。何についてクギを刺したかといえば 医師法21条を現状で残したまま行政処分を強化するのではあるまいな ということである。今後の検討会でウォッチする論点になるかと思う。鈴木議員は答弁を求めないまま、今度は対話型ADRへと質問を移す。 「司法の限界というか枠組みがどこまで医療に入るのかは難しい。医療には、医療従事者と患者・家族との間に濃厚な信頼関係が必要。その意味で対話型ADRについては検討会で議論されるのか」 医政局長「死因調査や臨床経過の評価を行うような専門機関が設けられておらず結果的に民事・刑事の手続きに期待されるようになってきたわけで、今般の死因究明制度が構築され事実関係が明らかになれば医療機関と患者の話し合いも促進されるものと考えている。また調査報告書の活用や当事者間の対話の促進などによって民事紛争解決の仕組みを探ることも検討課題になっている」 相変わらず第三者機関ありきの答弁からは一歩も出ない。実に不思議な話ではあるが、その目的・必要性を国会できちんと開陳できないような組織にそもそも予算がつくものだろうか。鈴木議員は最後に大臣にも念押しをする。 「大臣、この問題に関しては、患者さんを含む医療関係者が大変な関心を持っている。制度設計のいかんでは、医療崩壊が食い止められるか、さらに進んでしまうのかの岐路に立っている。現場の医療者たちも非常にここ1年で問題意識を深めており、たとえば、現場からの医療改革推進協議会ワーキンググループは5716人の賛同書名をつけてパブリックコメントを寄せた。学会なども多数の意見を出しており、どれも真剣に厚生労働省へ声を寄せている。ぜひこうした議論を重く受け止め遺漏なきようご対応願いたい」 柳沢厚労相「どのパブリックコメントも真剣な意見であると受け止めており、今後十分踏まえて、なかなか難しい問題ではあるが何とか取りまとめを一定の筋の通った体系的なものとしてまとめることに努めたい」 大臣はこの問題について、まだ余り説明を受けていないのでないかと思うが、恐らく事務方の用意した答弁から少しだけ踏み込んで「筋の通った体系的なもの」というお土産をくれた。これも今後検討会をウォッチする際のポイントにしたい。 この後、鈴木議員は抗がん剤のDPC適用の問題と築地市場の移転問題について質問を行い、あっという間に45分が過ぎた。この傍聴記を書くにあたって、参院ホームページで質問を何度か聞きなおしたが、実にホレボレする論理構成である。誰のことを難詰したわけでもないが言うべきことは言っている。惜しむらくは野党議員なので、官僚がノラリクラリと逃げた時に、決定打を放てないことだろうか。 なお、鈴木議員はもう一つのライフワークである教育問題に関しても22日14時ごろから、参議院文教科学委員会で首相相手の質問に立つという。この質問はNHKでも中継されるそうだ。実に理に適った見事な質問をするので、ぜひご自分の眼と耳で確かめていただきたい。 このインタビューは、『ロハス・メディカル』ブログ(http://lohasmedical.jp)にも掲載されています。
2007.05.22
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長文なのでコメントは無しで引用だけ。以下すべてが引用。 2007年5月22日発行━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Medical Research Information Center (MRIC) メルマガ vol 18 参議院行政監視委員会傍聴記 (ロハス・メディカル発行人 川口恭) ~ 大蔵省出身の文科大臣にダメ出しされる厚労省 ~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●バックナンバーはこちら=====>> http://mric.tanaka.md━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 毎月10日20日に定期配信、月末に高久通信を配信しております。 配信依頼は mric@rg8.so-net.ne.jp までメールをお送りください。 今回の記事は転送歓迎します。その際にはMRICの記事である旨ご紹介いただけましたら幸いです。 MRIC(エムリック)田中━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 鈴木寛・現場からの医療改革推進協議会事務総長が14日の参議院行政監視委員会で医療をメインに質問したので傍聴してきた。 ちょうど国民投票法案が可決成立した日であったため国会周辺は非常に騒然としていた。が、一歩院内に入れば、やはり静かなものである。同時刻に参院決算委員会も開催されており大臣が出て来ない可能性もあったと思うのだが、鈴木議員と対峙する政府委員席の中央には右に柳沢伯夫厚生労働大臣、左に伊吹文明文部科学大臣と、共に大蔵省出身の「政策通」が並んだ。改めて2人並んだ後姿を眺めると大蔵出身者が医療と教育を仕切っているわけだから、そりゃ渋チンにもなるわなという感慨を抱く。 さて医療をメインに質問するとあっては見逃せないと思う反面、行政監視と医療とそれほど関係あるかな、と疑問に思っていた。が、蓋を開けてみれば、なるほど見事に土俵へと引きずり込んでいく。 行革推進法によって、国立病院には5年間で5%の定員削減義務が課せられ、公立病院にも4.6%の削減要請がなされた →それでなくても過酷な医師や看護師の勤務がよりひどくなり、訴訟リスク、刑事訴追リスクの上昇と相まって、従事者の立ち去りを加速する悪循環が止まらなくなっている →行革以上に重要な「命」への配慮が足りなかったのでないか。医療崩壊を加速させていないか。 こんな論法である。地方公立病院では医師や看護師の定員を満たすことができず大騒ぎしているのだから、この問題提起は実態とちょっと違うと思う。が、鈴木議員もそんなことは百も承知だろう。ともかく、これで行政監視と医療とが結びついた。 対して柳沢伯夫・厚生労働大臣は「医師、看護師、助産師、薬剤師といった直接医療行為にかかわる職種については、できるだけ減員を避け、総定員の中でやりくりしている。地方公共団体でも同じような努力をしているのでないか。定員の問題か実員の問題かという問題が別途あり、定員に関してはこのように努力している」とかわす。 さて、この答弁で果たして問題ないのだろうか。零細企業経営者として疑問に思うのは、ある事業にどれだけの人員が必要かというのは業務量から逆算されるべきだし、逆に陣容を定めてしまったら行うことのできる業務量も定まるのでないか、ということである。雇う側が自分で人の何倍働こうがそれは自由だが、雇われる側には1人に対して1人分の働きしか要求できないはずで、たくさん働いてもらおうと思ったら処遇で報いる必要がある。 もちろん役所にムダがたくさんあるのは皆知っていることだが、医師、看護師など医療従事者の働きぶりの実情を知る人なら、医療現場にムダが多いとは誰も思っていないのでないか。むしろ、それこそ2人分、3人分働いている人が大勢いる。 で本題に戻すと、1人分を超えて働いている人が大勢いるのに、そういう人が多い分野について「できるだけ減員を避け」ても意味ないのでないか。その員数が1人分ムダなく働いたとしてできる業務の総量を割り出し「これしかできません」と周知すべきである。あるいは総業務量に見合った員数を確保すべきである。 とまあ、こんなことを考えていると、鈴木議員が、いよいよ本題に入っていく。 「ここ3年くらい厚生労働省と議論を続けてきた。厚生労働省は一貫して、医師は全体として足りている、偏在しているだけだ、と主張し、我々は絶対的に足らないと主張してきた。現場の医師たちは労働基準法をはるかに逸脱した過酷な勤務をしている。これが我々の絶対的医師不足説の根拠である。しかるに新聞報道などを見ると、与党が医師不足対策のプロジェクトチームを立ち上げたそうだが、厚生労働省は引き続き医師偏在説を取り続けるのか」 柳沢厚労相「OECDなどと比べると、確かに人口あたり医師数は決してゆとりのある数ではない。今の状況では特に病院の医師の勤務時間が長い。対して診療所の医師はそれほど勤務が長くない。結果として病院の医師にしわよっていることはよく認識しており、これが一つの偏在として読み取れる。地域的にも医師数の多い地域と少ない地域があり、また科目ごとにも偏在がある。与党が医師不足とタイトルにうたったPTを作ったといっても、これは私どもの認識の延長線上にある話で、私どもの努力をさらに後押ししていただくお考えであろうと」 よくもまあ言ったものである。一つは日本医師会の支持基盤である開業医に、もっと働けと言っている。でもそれ以上に凄いなあと思うのは、もともと「ゆとりがない」ところで偏在を解消しようとするのだから、要するに「国民みんなで我慢しましょう」と言っているのに等しい。しかし、この政権を選んだのは国民だから、巡り巡ると仕方ないのかもしれない。 ここで質問の話題は先日来話題になっている「医師確保法」へと移る。 鈴木議員「地方の医師不足を解消するために国公立病院から派遣を行うとのことだが、このような構想が近々まとめられるのは事実か」 柳沢厚労相「現実に研修医を引き付けているところを拠点病院と位置づけ、そこから地域で不足しているところへ派遣する。このネットワーク化は、そもそも私どもが進めさせていただいているシステム。明らかに不足しているところ10県くらいについては将来の養成数を先食いする形で医学部定員を増やすというのもあるけれど急場には間に合わないので、急場の対応としては派遣ネットワーク制をどう使うのか新しい知恵をいただけるのかなあと考えている」 政府与党案のようなことは、既に以前からやっていたのだそうだ。以前からやっていたのなら、さも新しいことを始めるかのようにマスコミにリークするのは、いかがなものか。 鈴木議員「卒後臨床研修のアンバランスが医師不足の原因と認識していると思う。しかし、ないパイの中でどうやりくりしても足りないところは出てくる。(中略) 問題は研修医だけなのか。たとえば女医さんの問題。産婦人科などでは卒後10年経つと女医さんが臨床現場から離れてしまうという現状がある。この状況を放置したままでは抜本的な解決にならないのでないか。(中略) 今の方法論だと都会は足りているという前提でないと成り立たないが、都会だって医師は足らない。人口あたり医師数が一番少ないのは埼玉県で10万人あたり134人、その次が茨城県で10万人あたり150人、その次が千葉県。地方だけが足りないという政策論議や報道は明らかにミスリードしている」 一般には意外と知られていない事実だが、まさか厚労省が知らないはずはあるまい。さらに鈴木議員は続ける。「短期的には、医師は人手不足が解消して休みが取れることを願っている。そのためには人手不足を解消できるよう、診療報酬で配慮してあげることが必要ではないか」 これに対して初めて大臣ではなく保険局長が答弁に立つ。「診療報酬設定については、医師や病院団体の関係者らが参画する中医協の場で議論され決まるものであり、平成18年度改訂では医師偏在の議論を踏まえて、産科・小児科や救急に手厚い評価を行ったところである」 この答弁に対して面白いところから矢が飛んできた。 鈴木議員「この点に関しては、まだまだ足らない。さらに努力をお願いしたい。長期的には医学部定員を増やす必要があると思う。これは文部科学大臣の所管だが、報道によると医学部に自治医大方式の地方枠が検討されているそうだが」 事務方が答えようとしたのを制して伊吹文部科学大臣が答弁に立つ。「(医学部の地方枠については)新聞報道などで存じているだけで与党からまだ話はない。しかしながら、現在の医師不足に関して二つの大事な原因があると思う。今回の医師不足は新研修制度で人手が足りなくなった大学医局が大学院修了後の中堅を引き揚げたことに本質がある。研修制度をいったいどうするのか、大きな問題があると思う。それから、市場経済で動いているわけだから、子どもと新生児が減ってその分野の医療需要が減っているわけだから、診療報酬の単価を上げて、その従事者のトータルの報酬を確保してあげないとなり手が減っていくのは当たり前。対症療法的にふるさと枠を設けるだけでは解決しない。少し事柄を深めて議論していただく必要があるのでないか」 明らかに厚生労働省を能無し扱いし、ツケを文部科学省に回すなとケンカを売った答弁であり、逆に言うと質問者である鈴木議員への共感を示したとも言える。 鈴木議員もこれだけ引き出せば十分と考えたのであろう。質問を再び厚生労働省へ向ける。いよいよ例の『診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会』が俎上に上がる。 このインタビューは、『ロハス・メディカル』ブログ(http://lohasmedical.jp)にも掲載されています。
2007.05.22
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たこ部屋が 今よみがえる 若手医師 地域医療の中心となる拠点病院ですら崩壊の危機にある今、冗談としか思えない検討が行われているようだ。 研修医、拠点病院に集約 修了後へき地に 政府与党検討 2007年05月19日 政府・与党は18日、医師の不足や地域間の偏在を解消するため、大学卒業後の研修医の受け入れ先を地域の拠点病院に限定し、拠点病院にへき地への若手医師派遣を義務づける方向で検討に入った。従来、医師を割り振る役割を担ってきた大学医学部が、04年度の新しい臨床研修制度の導入をきっかけに機能しなくなってきたため、地域医療の中心になる拠点病院に代替させる狙いだ。 政府・与党は同日、医師不足対策のための協議会を発足。100人程度の医師を国立病院機構などにプールし不足地域に緊急派遣する対策とともに、拠点病院からの派遣策について具体的な検討を進め、6月の骨太方針に盛り込む方針だ。 これまで新卒医師の7割以上は大学医学部の医局に在籍して研修を受け、強い人事権を持つ教授と地元病院などとの話し合いで決められた医療機関に派遣されることが多かった。 だが、新臨床研修制度の導入で原則として医師が自分で研修先を決められるようになり、実践的な技術を学べる一般病院を選ぶ医師が急増。都市部の病院に研修医が集中する一方、地方では定員割れの病院が続出し、へき地に医師を派遣するゆとりがなくなった。 政府・与党は、現在年1万1300人分ある研修医の定員総枠を、研修医の総数8600人程度に削減することを検討。都市部を中心に定員枠を大幅に削減することで、地方への研修医の流入を促進するとともに、受け入れ先を地域の拠点病院に限定する。 そのうえで、拠点病院に対して、研修の終わった若手医師を医師不足が深刻な地域に派遣することを義務づける。勤務を終えた医師には拠点病院でのポストを約束することで、若手医師の理解を得たい考えだ。都道府県が条例などで拠点病院に医師派遣を義務づけられるようにし、医師の供給を確実にすることを目指す。 このほか、長期的な対策として、一定規模以上の医療機関の院長(管理者)になる条件にへき地勤務の経験を盛り込むことや、都道府県が地元出身の医学部生に出す奨学金に国が財政支援する案も浮上。卒業後、地域医療に10年程度携われば、奨学金の返済を免除することなども検討する。 asahi.com 研修医と言っても、前期研修医と後期研修医がいる。後期研修は新研修医制度の枠外だから、記事で言う研修医は前期研修医のことだろう。つまり、2年間の研修を終えた時点で僻地に送り込もうと言うことなのだろう。全く冗談としか思えない。とりあえずいろいろな科を見学したけれど、本当に学ぶのはこれからという医師に、何を期待しているのだろう。 私の勤務先も地域の基幹病院だが、毎年医師が減少している。研修を終えた医師をよそに出すくらいなら、はじめから研修医を募集しない。指導医に余分な負担をかけてまで研修医を募集するのは、その内の何人かでも残って、いずれは戦力になることを期待しているからだ。 この記事で一番笑ってしまうのは「勤務を終えた医師には拠点病院でのポストを約束することで、若手医師の理解を得たい考えだ」と言う部分だ。ポストを欲しがる役人ならではの発想だ。若い医師は何度も職場を変えるが、ポストが欲しければそんなことはしない。同じ職場にずっといた方がポストを得るにも有利だし、退職金も多い。それでも職場を変えるのは、技術を学びたいからだ。同じ職場にいれば、どうしても覚えられることは限られるからだ。技術を覚えられるのは若いうちだ。若い貴重な時期に、ろくな指導者もいない僻地で働けば、医師としての能力は悲惨なものになるだろう。こんな制度がうまくいくわけがない。ミラーサイト
2007.05.20
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行き先で 生死が決まる チューブかな 胃に入れるべき胃管を気管に入れ、流動食を注入して患者を死なせてしまう事故は何度も報道されている。そのような報道に目を通していれば、このような事故は減るのだろうと思う。現在のようなネット社会では、その気になれば自動的に医療ニュースを配信してもらえる。医師たるもの、医療事故のニュースには関心を持つべきだろう。他人の起こした医療事故ほど、医療安全に役に立つ情報はないのだから。 栄養剤を気管に、患者死亡 岩手医大病院、医師がミス 記事:共同通信社 【2007年5月16日】 盛岡市の岩手医科大(佐藤俊一(さとう・しゅんいち)学長)は16日、同大付属病院で手術を受けた70代の男性患者が、栄養剤のチューブを気管に挿入する医療ミスで15日に死亡したと発表した。 同大によると、男性患者は5月9日に心臓などの手術を受けた。付属病院の30代の男性医師は、この患者が食事を取ることや薬を服用することが困難と判断し、12日にチューブを使って胃に栄養剤を投与しようとして、誤って気管に管を入れた。栄養剤を流し込んだところ呼吸不全を起こし、患者は3日後に死亡した。死因は多臓器不全だった。 岡林均(おかばやし・ひとし)循環器医療センター長は「エックス線でチューブの位置を確認したはずだったが、誤っていた。男性医師に思い込みがあったのではないか」と話している。 鈴木一幸(すずき・かずゆき)院長は「遺族に深く心からおわびする」と謝罪した。 レントゲン写真でチューブの位置を確認していれば、気管に入っていれば気がつくと思う。同じような事故が何度も起きていることを知ってさえいれば、もっと慎重に確認しただろう。もちろん物事に絶対はないから、何時いかなる場合でも確認できるとまでは言わないけれど、何度も報道されるほど頻繁には同じような事故は起きないだろう。いわゆるネット医師なら、こんな事故を起こす可能性は少ないのではないか。 一方、気管に入れるべき気管チューブを食道に入れる事故も多い。ついこの間も救命士がやり玉に挙がっていた。今度は看護師が書類送検された。看護師2人を書類送検 福岡、国立病院の挿管ミス 記事:共同通信社 【2007年5月18日】 国立病院機構福岡病院(福岡市南区)で昨年4月、入院していた福岡県の男性=当時(78)=が気管に挿入する人工呼吸器のチューブを誤って食道に挿入され窒息死した事故で、福岡県警南署は18日、チューブを誤挿入したとして業務上過失致死容疑で、同病院の27歳と22歳の女性看護師を書類送検した。 2人は「男性がチューブをかんだため挿入できなかった。食道には入れていない」と容疑を否認しているという。 同署は、チューブが食道に挿入されていたことが確認されていることから、2人が不合理な弁解をしていると判断。「厳しい処分を求める」との意見を付けた。 調べでは、男性は昨年4月3日、重症の間質性肺炎で入院。口にくわえた筒状のホルダーに通したチューブを気管に挿入され肺への酸素供給を受けていた。看護師2人は同月20日午前8時50分ごろ、シーツを交換中にホルダーが外れかけたため装着し直したが、チューブを食道に誤挿入したため、男性を約1時間半後に酸欠による窒息で死亡させた疑い。 病院のマニュアルでは、ホルダーが外れた際は医師を呼ぶことになっていたが、2人は「ホルダーがずれただけ」と判断し自分たちで装着し直した。男性の血中酸素濃度が低下して初めて医師を呼んだという。その後、食道への挿管が判明。医師が気道に挿入し直したが男性は死亡した。 病院は同日、医療ミスについて、遺族に謝罪するとともに南署に届けていた。 恥ずかしながらbambooは「口にくわえた筒状のホルダーに通したチューブ」と言うものを知らない。救命士の使うホルダーなら分かるが、自分では使ったことはない。bambooの行う方法は、口にくわえた筒状のバイトブロックと気管チューブをテープで頬に固定するものである。どのような器具なのか分からないから、どのようなことが起きたのか判断も出来ない。でも、看護師が食道に誤挿入したのが問題なのではなく、気管チューブが抜けたのに気がつかなかったことが問題なのだと思う。なぜなら、看護師は気管挿管をしてはいけないからだ。結果として食道に入ったことが問題なのではなく、そもそも挿入してはいけないのだ。チューブがずれた時点で医師を呼ぶ必要があったのだ。 息が出来なければ人は死ぬ。当たり前だが、こんなことすら何度も何度も教育しないと身に付かない。身に付かないうちにベテランになると、一生身に付かないのだ。人工呼吸をしている患者の気管チューブがずれたなら、震え上がって医師を呼ぶようでなければ、危機感が不足していると言っても良いと思う。 ミラーサイト
2007.05.19
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大淀病院がらみの「個人情報漏洩」の件で、m3comの掲示板が閉鎖されている。まあ、書き込みが見られないのは問題がないが、m3comから送られてくる医療情報自体が少なくなった。実際に医療訴訟やトラブルが減っているのであれば喜ばしいのであるが、本当のところ、どうなのだろう。ブログの更新が出来ないことは喜ばしいことなのだと思うことにしよう。医療の世界が平和でありますように
2007.05.17
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当事者が 辞めればそれで 済むのかな? 何か事故が起きたとき、当事者の責任として処理するだけでは同じことがまた起きる。元々人間はミスをするものだし、ミスを誘発しやすい環境というものもある。出来るだけミスを防ぐ環境を整えることと、たとえミスが起きてしまっても対処できる体制が必要なのだ。 「適切な救命怠った」 遺族側、法人を損賠提訴 記事:毎日新聞社 【2007年5月11日】 湯沢の病院投薬ミス:「適切な救命怠った」 遺族側、法人を損賠提訴 /秋田 湯沢市の医療法人仁恵会(佐藤恵一理事長)が経営する佐藤病院で03年9月、准看護師が別の患者の薬を服用させ、入院中の女性(当時67歳)が死亡した医療過誤事故で、女性の遺族が「誤投薬したうえ、その後適切な救命措置を怠った」として、医療法人を相手取り、約3000万円の損害賠償を求める訴訟を起こしていたことが分かった。既に第1回口頭弁論は秋田地裁横手支部で3月に開かれており、法人側は「誤投薬と死亡との因果関係はない」として争う姿勢を示した。次回の今月25日以降、秋田地裁で合議で審理される。 訴状によると03年9月3日、元准看護師が同病院の精神科に入院していた女性に対し、別の大腸がん患者のモルヒネを取り違えて投薬。女性はその後体調を急変させ、同8日に死亡した。遺族側は「死因は急性モルヒネ中毒で、誤投与とその後の対応の不適切が挙げられる」とする鑑定書を基に病院側の重大な過失を主張。一方、法人側は元准看護師のミスを認めたうえで「投薬と死亡との因果関係は認められず、死因は脳出血と考える。その後も適切な処置をした」としている。 元准看護師は05年9月に業務上過失致死罪で略式起訴され、同年10月に罰金50万円の略式命令を受けている。【百武信幸】 誤投薬自体は明らかなミスだけど、それと死亡との関係はよく分からない。元准看護師が罰金刑を受けているところを見ると、裁判所の判断は関係ありと言うことなのだろう。でも、一般的に誤投薬で死亡するときは、薬自体が通常に投与してはならない特殊なものであったり、量を間違えたりしたときなのだ。他の患者に投与しただけで死亡するのであれば、本来の患者にも危なくて投与できないだろう。 今回の事例では、誤投薬が本当に死亡と関係があったとすれば、次のようなことが考えられる。亡くなった患者は精神科に入院していたそうなので、すでに鎮静剤などを大量に投与されていて、そこにモルヒネを投与されたので、呼吸不全で死亡した。あるいは、元々の大腸癌の患者の痛みは非常に激しく、大量のモルヒネが投与されていたので、他の患者にとっては致死量を超えていた。いずれにしても、モルヒネの副作用に対処していれば死亡する可能性はきわめて少ない。准看護師だけに責任を負わせることはフェアじゃないと思う。 実は患者取り違えによる誤投薬はよくあるミスなのだ。あまりメディアで取り上げられないのは、何も不都合が起きないからだ。たとえば高血圧の薬を他の人が飲んだとしても、血圧が下がりすぎて危険な状態になることはほとんど無い。たいていはゴメンで済むのである。でも、ミスはミスなので、防ぐためにいろいろと工夫はしている。複数での確認や患者識別バンドの採用など、やれることはある。人間の注意力には限界があるから、ミスをしたひとを辞めさせても何の解決にもならないのだ。ミラーサイト
2007.05.13
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主訴頭痛 髄液検査 不要なの? 頭痛はありふれた症状だが、時には致命的な疾患の症状であることも多い。髄膜炎を疑えば、髄液検査をするのは当然だ。記事では骨髄検査となっているが。「不要な検査で後遺症」と提訴 前橋の女性、医師ら相手に 記事:毎日新聞社 【2007年5月10日】 訴訟:「不要な検査で後遺症」と提訴 前橋の女性、医師ら相手に /群馬 前橋協立病院(前橋市朝倉町)で必要のない検査を受け、後遺症が残ったなどとして、同市内の20代の女性が9日までに、医師らを相手取り、慰謝料など約3600万円の支払いを求める訴えを前橋地裁に起こした。 訴状によると、女性は06年7月、頭痛のため、同病院で2度診察を受けた。2度目の診察の骨髄検査で、腰に体液採取用の針を刺された。その後、腰や左足などにしびれや痛みを感じるようになった。 原告は「不要な検査が左下半身に後遺症を引き起こした」などと主張。病院側は「訴状の中身を検討している段階で、コメントできない」としている。【杉山順平】 頭痛で骨髄検査をすることは一般的ではないので、本当に骨髄検査をしたのなら、必要のない検査だった可能性はある。でも、骨髄穿刺で腰や下肢にしびれや痛みを感じるようになるのなら、骨髄移植のドナーのなり手はいない。実際に行われたのは脳脊髄液検査のための、腰部くも膜下穿刺だったのだろう。報道する前に、少しは推敲しろよ、毎日新聞。 くも膜下腔には脊髄がある。腰部では太い脊髄ではなく、馬尾と呼ばれる細い神経の束に分かれている。太い脊髄のあるところに針を刺せば脊髄に傷を付ける可能性が大きいが、馬尾の部分であれば、神経に針が当たる可能性も少ないし、たとえ当たっても神経が避けてくれるので傷つける危険は少ない。「少ない」というのは、少しはあると言うことだから、時には神経が傷つくことはある。そのために起こる障害を馬尾症候群という。たいていはひと月くらいで症状は治まる。でも、時には症状が続くこともある。 医療行為には絶対に安全というものは少ない。何らかの不具合があるかもしれないが、やらないよりはやった方がメリットがあると思うからやるのだ。個別の症例でメリットがあると確信があるからではなく、多くの症例に採用したときに、トータルでメリットがあるから行うのだ。結果的に医療行為が原因で特定の症例で後遺症があったとしても、その医療行為で救われる症例の方が多ければ、やった価値はあるのだ。結果が悪かったからと言って訴訟されるのは、医療機関からすれば納得できないだろう。 そもそも、症状の原因が検査だという証拠はあるのだろうか。元々の病気が髄膜炎だとすれば、後遺症が残る可能性は十分にあるのではないだろうか。ミラーサイト
2007.05.12
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救命士 訴訟の怖さ 知るのかな ある休日、自宅でまったりしていたbambooに電話がかかってきた。勤務先の外科医からだ。「お休みのところ済みませんが助けてください」と言う。聞けば気管挿管が出来ないのだそうだ。駐車場でもたつく時間も惜しいので、バイクにまたがり病院に急いだ。bambooが到着したとき、別の外科医がへたり込みながらマスクでの人工呼吸を続けていた。すぐに人工呼吸を代わり、鎮静剤の追加をしてから気管挿管を試みた。門歯はすでに折れていたので、視野が狭くなることには目をつぶって、門歯の右側に喉頭鏡をかけて挿管した。 bambooにとっては決して困難な症例ではなかったが、以前も挿管できなくて心停止を来した患者だそうだ。麻酔科医以外にとっては困難な症例だったのだろう。なぜなら、その外科医の専門は食道癌なのだ。術後の呼吸管理はお手の物なのだ。外科医の中では気管挿管の機会は多いのだ。まして、いくら人形で訓練を受けているとはいえ、たかだか30例しか気管挿管の訓練を受けていない救命士であれば、困難な症例の気管挿管は無理だろう。救急隊員、食道に気管挿管 搬送後に女性死亡 記事:毎日新聞社 【2007年5月8日】 気管挿管:救急隊員、食道に 搬送後に女性死亡----名古屋 名古屋市消防局の男性救急隊員(37)が今月1日、心肺停止した同市内の女性患者(68)の肺に酸素を送り込む気管挿管の際、チューブを誤って食道に挿入していたことが7日、分かった。女性は病院搬送後、心筋梗塞(こうそく)で死亡したが、チューブの誤挿入との因果関係は不明という。市は今後、弁護士や医療関係者らによる第三者委員会を設置し、原因を究明する。 市によると、隊員は1日午前0時5分ごろ、女性の家族から119番通報を受け、10分後に女性宅に到着した。女性はすぐに心肺停止状態となったため、隊員は気管挿管を実施。その際、チューブを誤って気管下の食道に挿入した。女性はそのまま病院に搬送され、同1時15分ごろ、病院内で死亡した。隊員は救急救命士で、05年8月に気管挿管の資格を取得したが、措置は今回が2例目だという。【式守克史】 原因を究明するも何も、要は技術の問題だ。麻酔科医だって失敗することはあるのだ。まして技術的にずっと劣る救命士であれば、失敗するケースがあることは当然だ。それでも気管挿管をしないよりはした方が救命率が上がると踏んで、救命士に気管挿管を許可する制度を構築したのではないのか。(実際にはそのような、救命率が上がるという証拠はないのだが) 製品を作るにも、歩留まりというものはある。どのような行為にも、うまくいくこともあればうまくいかないこともあるのだ。それを踏まえた上で、その行為をした方が良いのかしない方が良いのか考える必要があるのだ。ある行為を採用したら、何が何でも100%成功させなければならないとしたら、どのような行為も成り立たないであろう。ミラーサイト
2007.05.08
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ミスなのか 一定の確率で起きる合併症なのか それが問題だ 膀胱は子宮の下部前面にある。腎臓は子宮より上方にあるので、腎臓から膀胱に尿を運ぶ尿管は子宮のそばを通る。だから子宮の手術をするときには、尿管を傷つけないように、とても気を遣うのだ。ほとんどの場合、注意して手術すれば尿管を傷つけることはない。でも、人間の体は千差万別だ。通常とは違うところを通っていれば、注意していても尿管を傷つけることはある。きちんと再建して、通過障害がなくなるようにすることで良しとしてはいけないのだろうか。鳥取県が71歳女性と和解 厚生病院医師の手術ミスで障害 07/05/02 記事:毎日新聞社医療ミス:厚生病院医師の手術ミスで障害 県が71歳女性と和解 /鳥取 ◇慰謝料など86万円支払う 県立厚生病院(倉吉市東昭和町)で手術を受けた北栄町の女性(71)が産婦人科医のミスで障害を負ったとして、県が女性と和解し慰謝料など86万2600円を支払っていたことが1日、明らかになった。県は10日の臨時議会に議案を提案して承認を求める。 県病院局によると、女性は05年6月30日、子宮内膜腫瘍(しゅよう)と子宮下垂のため、産婦人科の男性医師(56)による子宮摘出手術などを受けた。女性は7月17日に退院したが、「腰が痛い」などと訴え同月26日に鳥取大付属病院(米子市)に入院。左尿管が詰まる障害を負っていたことが判明し、9月に同病院で手術を実施した。女性は回復したという。 女性が05年10月に県に訴えて交渉を開始。県病院局は「下垂した子宮のすぐ近くに尿管があることが確認できず、尿管に傷をつけてしまった可能性が高い」と認定した。県の坂出徹・病院事業管理者は「大変ご迷惑を掛け、申し訳ない。反省し、県民に期待される病院にしたい」と謝罪した。【山下貴史】 子宮内膜腫瘍ってなんだろう。たぶん子宮内膜症なんだろう。子宮筋腫よりは癒着している可能性が高いので、尿管を傷つける可能性も高い手術だ。本来傷つけてはいけないところを傷つけたのだから、ミスと言えばミスだ。でも、注意していても一定の確率で避けられないのだとしたら、ミスというより手術に伴う合併症と言っても良いのではないだろうか。 「女性は回復した」と報道しながら、見出しが「手術ミスで障害」というのも悪意を感じる。そもそも86万円での和解であれば、紛争と言うほどのものでもないのではないか。わざわざ報道することだったのか疑問に思う。どうしても医者を叩きたいのかな。ミラーサイト
2007.05.07
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日本でも つけてほしいな 医療秘書 検査で問題がないと帰宅させる医師は多い。でも、検査で問題がないからと言って、重大な病気でないとは言い切れない。気になる症状があるのなら、やはり入院させて経過観察をした方がいいのだろう。 問題は大量の書類だ。入院させるとなると、入院から退院まで、大量の書類を書かねばならぬ。どうしても医師でなければならない書類はわずかだ。多くは事務員が書けばすむのに、不足していて貴重な医師が、貴重な時間をかけて書かねばならぬ。結局、救急外来でしばらく観察して、帰宅させると言うことになりやすい。岩手県が争う姿勢 山田の男性急性心筋梗塞死亡で 記事:毎日新聞社 【2007年4月28日】 山田の男性急性心筋梗塞死亡:損賠訴訟 県が争う姿勢----第1回口頭弁論 /岩手 山田町の男性(当時34歳)が急性心筋梗塞(こうそく)で死亡したのは医師が適切な措置を怠ったためだとして、遺族が県立山田病院(及川修次院長)を管理する県に約8077万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が27日、盛岡地裁(榎戸道也裁判長)であった。県は「死因が急性心筋梗塞かどうか不明だ」と全面的に争う姿勢を示した。 訴状によると、男性は05年9月に胸が苦しく、左手などにしびれを覚えたため、同病院を受診。心電図検査などを受けた。「医師の確認を要す」などの異常所見が記録されていたが、診察した内科長の医師は「異常はなかった」と説明し、帰宅させた。男性はその夜、就寝中に死亡。県立宮古病院の病理解剖で急性心筋梗塞が死因と診断された。【山口圭一】 心電図の機械が「医師の確認を要す」と判断するのはしょっちゅうで、たいていは問題がない。問題があるのに医師のチェックを受けないことの方がリスクが高いので、当然だ。「医師の確認を要す」と言うコメントがあっても医師がチェックしなかったのであれば問題だが、ちゃんとチェックしているのだから、それ自体は問題ない。問題があるとすれば、症状があるのに帰宅させたことだろう。 入院して経過観察をしても、就寝中に死亡したのでは手の打ちようがない。おそらくは入院していても死亡したであろう。でも、異常はないと帰宅させられての死と比べれば、遺族の気持ちは異なると思う。甘いだろうか。 ある病院で、同様の事例があった。問題なしとの診断で帰宅させた後、やはり心筋梗塞で亡くなったのだ。遺族からの抗議を受けて、病院側のとった行動は謝罪であった。診察した医師にミスがあったわけではないが、結果として患者を救えなかったことには病院として責任を感じていると謝罪したのだ。遺族は快く謝罪を受け入れてくれたと聞いている。 検査で問題がなくても重病かもしれないのは上記の通り。でも、やっぱりなんでもないことの方がずっと多いのだ。そのような状況で、念のために入院させるのは、医師にとって負担が大きいのだろう。アメリカのように、カルテまで秘書に書けとは言わないが、事務仕事は事務員にやって貰うわけにはいかないのだろうか。ミラーサイト
2007.05.03
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崩壊を 歓迎する気も 少しある 今日は記事にかこつけて少し愚痴ってしまおう。bambooはもういい歳をした麻酔科医だ。若い頃は無理が利いたが、今は高血圧もあって、徹夜はきつい。それなりの肩書きもついた今でも、月に7回の待機当番はあんまりだ。最近は救急医療も崩壊しているのか、夜に呼ばれることは少なくなったが、以前のように、待機当番の半分くらいが徹夜になるようだと、身が持たない。まあ、辞めればいいのだろうけど、辞めれば完全に外科系が崩壊するからな。医の現場 疲弊する勤務医(1)「医師逮捕」心キレた 勤務医の劣悪な労働環境をどうするのか。厚生労働省は、患者の流れを整理し、病院の負担を軽くする「総合科」創設構想をまとめたが、医の現場では、医師不足に医療事故への不安が重なり、崩壊寸前の所もある。勤務医の現状を追う。ミスの不安と激務 女医辞める 「精いっぱいやっても患者が亡くなれば逮捕。これではやっていけません」 昨年夏、公立病院に勤務していた一人の女性産婦人科医(42)が、そんな理由で医療現場を去った。月6回の当直日は翌日夕まで32時間の連続勤務。仕事の合間にコンビニエンスストアのおにぎりをかじり、睡眠不足のまま手術することも。たまの休日でも呼び出しがかかる。スタッフ削減などで仕事は増える一方だ。 体力の限界。この生活がいつまで続くのかという不安。燃え尽きる直前の女医に、白衣を脱ぐ決断をさせたのが福島県で起きた「大野病院事件」だった。◇ 「逮捕・起訴の時に殺到した医療関係者からの抗議のメールや投書が1年以上たった今も続いている。こんなことは初めてだ」。福島地検の幹部はそう明かす。 福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性が死亡し、医師が逮捕・起訴された事件は、医学界に空前の反発を巻き起こした。昨年2月の逮捕以降、捜査を遺憾とする陳情書の署名が、全国の病院勤務医を中心に1万2000人にも及んだ。 「病院の産婦人科を支えるたった一人の医師をこんなふうにつぶしてしまえば、地域医療は崩壊する」。医学会や医師たちの会合、医師個人のブログで、そんな声があふれる。「医療に刑事罰はなじまない」とも。欧米では、捜査当局ではなく、第三者機関が原因を調べる方法が一般的なのに……。そんな考えが背景にある。 今月27日、福島地裁で開かれた医師の第4回公判。「癒着胎盤の処置で過失があった」とする検察と、「できる限りの施術を尽くした」とする被告の主張は真っ向から対立したままだ。 警察庁によると、医療事故で、医師が業務上過失致死容疑で逮捕されたのは大野病院事件が4件目。最初は1988年、鹿児島県で研修医が造影剤を脊髄(せきずい)に誤注射して患者を死亡させた事件だったが、当時、この逮捕は注目されなかった。 分岐点は、1999年の横浜市大病院の患者取り違え事故。逮捕はなかったが、医療不信が燎原(りょうげん)の火のように広がった。その後も医師が腹腔(ふくくう)鏡手術で60歳患者を死亡させた慈恵医大青戸病院の事件(2003年)など、医師逮捕が続く。だが、過酷な労働実態の問題は棚上げされ、むしろ悪化した。医師の反発は今、臨界点に達した感がある。◇ 今年2月、妊娠10か月の母親が東京都内の病院に担ぎ込まれた。異常妊娠で男児は死亡していたが、産婦人科医(35)は母親の命を守るため陣痛促進剤を使い、出産を支えた。「助けるよ。心配しないで」。十数時間の格闘で、医師は母親を励まし続けた。 翌日、両親は男児の病理解剖を望んだ。「原因が分かれば他の赤ちゃんが救われる。でも顔は傷つけないで」 が、その後の病院の対応が両親との信頼関係を壊す。大野病院事件の医師は異状死体の届け出義務違反でも立件されたが、この二の舞いを恐れた病院側が警察に連絡したのだ。警察官の姿を見た父親が叫んだ。「なぜ警察を呼ぶの?(司法解剖で)顔も切るの? 僕の赤ちゃんだよ」 4か月以上の胎児は異状死の届け出対象になりえるが、その判断基準はあいまいなまま。この時は司法解剖は見送られたが、両親には病院への不信感が残った。格闘の末、母親の命を救った産婦人科医は月に8回以上の当直をこなしていた。彼は悔しそうに話す。「患者さんからの『ありがとう』の一言さえあればやっていけるのに。今はその関係さえ揺らいでいる」 大野病院事件のショックで産婦人科医を辞めた女性は今、化学会社の専門職として働く。「改善の取り組みがなければ、踏みとどまっている元同僚たちも、遠からずいなくなります」大野病院事件 2004年12月、福島県大熊町の県立大野病院で、帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が失血死した。同県警は昨年2月、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の容疑で産婦人科医(39)を逮捕。その後、起訴された医師は無罪を主張している。 (2007年4月30日 読売新聞) こんな記事が出るところを見ると、メディアもさすがに危機感を持つようになったのだろう。すでにあちこちで産科は崩壊している。小児科も救急医療の輪番が埋まらないところが多い。うちの病院も内科医の逃散で、すでに内科は崩壊寸前だ。こんな状況なのだから、市場原理で言えば、bambooの待遇は殿様状態でいいはずだ。なんと言ってもbambooが辞めれば麻酔科が崩壊し、手術もできなくなるのだから。 でもね、そんなことは出来ないのだ。bambooの待遇を良くすれば、結局は仕事が回らなくなって、手術は出来なくなる。今はどこでも手術待ちの患者がたくさんいる。ガンと診断されて、不安な思いで手術を待っている患者がたくさんいるのだ。そういう人たちの役に立ちたくて医者になったのだから、やっぱり頑張るしかないのだ。 そういう気持ちも、もう少しで切れるかもしれない。ミラーサイト
2007.05.01
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