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食べられない人にとってPEGは有用な手段ですが、チューブ交換時の事故の報道はたびたび目にしているような気がします。事故は起きない方が良いに決まっていますが、起きてしまった以上はその情報を共有して、同じ事故が起きないようにしたいものです。 報道は事故情報の共有化に役立つはずですが、用語がデタラメで何を言っているのか判らなかったり、再発防止よりもバッシングに重きを置いたものであれば役に立ちません。ミスを責める風潮の中では、ミスの内容を広く知らしめようと言う気にはならないでしょう。再発防止のためには何に注意すべきなのか、という観点での報道は無理でしょうか。挿管ミスで患者一時重体に 横浜市大センター病院 08/09/22記事:共同通信社 横浜市大市民総合医療センター(横浜市)は19日、胃に入れる栄養摂取用チューブの挿入ミスで横浜市戸塚区の30代の女性患者が腹膜炎を起こし、一時意識不明の重体になった、と発表した。女性の容体はその後、回復したという。 同センターによると、女性は神経系の疾患で食欲不振だったため入院。8月8日、栄養摂取用のチューブの挿管処置を受けた。チューブに微小の穴が見つかり、29日に担当の消化器内科医がチューブを入れ替えたが、十分に挿入されていないのを気付かず栄養剤が体内に漏れ、女性は腹膜炎を発症した。 30日に一時、意識不明の重体となり、開腹手術を受けた。さらに腹部に出血するなどしたため9月12日、再度血腫を取り除く手術を受けた。 医療の現場で「挿管」と言えば、普通は気管挿管を指します。この場合は、実際にはPEGのチューブの挿入ではないかと思います。チューブの交換自体は、多くの場合、簡単に問題なく行われているのでしょう。それだけに、慣れてくるとどうしても確認がおろそかになりやすいと言う面がありそうです。でも、まれには腹腔内に迷入することもあって、腹膜炎などの重大な合併症を起こすこともあります。 たとえ簡単な操作であっても、重大な結果になりうる医療行為は、手順を決めて慎重に行うことが肝要です。
2008.09.26
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セ・リーグのペナントの行方は混沌としてきたが、パ・リーグはライオンズでほぼ決まりだろう。そのライオンズの試合で珍事があったもよう。 9回の表、2アウト2塁から次打者の片岡は三振。本来なら無得点で終わるはずが、何と振り逃げ。次の栗山のヒットで1点。更に平尾のヒットでもう1点。次の中島は四球で満塁。その後は現在ホームラン王の中村がグランドスラム。こんな事って、あるんだねえ。
2008.09.21
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子供の頃、誰かになじられたとき、こんな風に言い返していた。いいのよいいのよほっといてみんなあたしが悪いのよ電信柱が高いのも夜にお日様出ないのもど~~せ、あたしが悪いのよ 自分のせいではないことをギャグを交えて表現していた面もあったのだろうが、今ではギャグでは済まされない。登って落ちたら危険な物体は、賠償責任を負わされるのだ。公園の男児転落死亡事故 越谷市に2900万円の賠償命令9月20日7時50分配信 産経新聞 越谷市の公園で平成17年、小学2年の男児=当時(7)=が噴水の岩山から転落し死亡した事故で、「安全管理に問題があった」として、両親が同市に慰謝料など約7200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、さいたま地裁であり、片野悟好裁判長は「施設や管理に安全性を欠いていた」として、同市に約2900万円の支払いを命じた。 片野裁判長は「落ちてけがをする事故が以前もあったが、仕切りなど立ち入りを制限する措置をしていない」と指摘。「看板で登ることを禁じていた。事故は予見不可能」とした市の主張を退けた。 判決によると、男児は平成17年4月、同市千間台西の公園で、噴水の岩山(高さ約1・7メートル)から転落し頭を打ち死亡した。 板川文夫市長は「遺族の心情を考え、判決を受け入れる」とコメントを出し、控訴しない方針を明らかにした。 登って落ちたら怪我をするようなものはいくらでもある。樹木や塀はもちろん、トラックの荷台から落ちても大けがをすることはある。それらの全てに立ち入りを制限するような措置を執るより、高いところに登らない教育をする方が効果的じゃないのだろうか。こんな甘やかされた環境に育ったら、海外で事故に遭う危険が高いだろうと心配になる。
2008.09.20
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最近は、医療を行うのは医師だけではなく、医師を中心としたチームが行うという概念があります。チームの中心として医師の責任が重いことは当然ですが、チームの役割分担上の当事者よりも医師の責任が重いのかどうか、私には疑問です。どうして医師だけが書類送検なんでしょうか。他の人も書類送検しろと言ってるわけではないのですが。大崎市民病院医療事故:業過致死容疑で執刀医を書類送検 /宮城 大崎市民病院で昨年6月、当時40歳の女性が脳動脈瘤(りゅう)の破裂を防ぐ手術を受けた後に死亡した問題で、県警捜査1課と古川署は18日、手術を行った男性医師(43)を業務上過失致死容疑で仙台地検に書類送検した。過失があったことを認めているという。 調べでは、男性医師は昨年6月6日、入院していた同市のパート従業員女性の手術をした際、生理食塩水入りの加圧式点滴パックが空になったことの確認を怠ったため、脳動脈に空気が送り込まれて血流が止まる「空気塞栓(そくせん)症」に陥らせ、同12日に脳循環不全で死亡させた疑い。 手術は、点滴で広がった血管を通じて動脈瘤に特殊合金コイルを入れ、中に血液が流れ込まないようにして肥大化を防ぐものだった。同病院が死亡直後に「異状死」として古川署に届け出て、県警が捜査していた。 市は昨年10月、遺族に4513万円の損害賠償を支払うことで示談で合意した。【比嘉洋】毎日新聞 2008年9月19日 地方版 非医療者のために解説します。脳に血液を送る脳動脈の一部がふくれてコブになる病気があります。脳動脈瘤と言います。コブの部分はもろいので、破れて出血しやすいのです。出血するとクモ膜下出血となり、命に関わります。そのため、予防的処置が必要になります。 以前はコブにクリップをかける治療が主流でした。このやり方では頭蓋骨を大きく開くことになります。最近は症例によっては血管内治療が可能となりました。大腿部の動脈から脳動脈のコブの部分まで細い管を入れて、そこにコイルを詰めるという治療です。 細い管を只入れるだけでは、血液が凝固してすぐに詰まります。それを防ぐために、生理的食塩水にヘパリン(抗凝固剤)を入れたものを加圧して、少しずつ細い管を通して送り続けます。 医師は治療に夢中ですから、生理的食塩水の交換は、通常は、看護師の役目です。いつもなら簡単に終わっていたようなので、この病院では交換要員は決まっていなかったのかも知れませんが。 いつも簡単に終わっていたせいでしょうが、実は重大なシステムエラーがあります。加圧して注入する際には、容器内の空気を完全に抜いておかなければなりません。空気さえ抜いておけば、生理的食塩水が無くなっても、空気を注入することはありません。 ミスはミスですし、重大な結果となったわけですから、賠償責任は当然だと思います。でも、術者である医師個人に刑事罰を求めるのは誤りだと思います。この事例を教訓とし、再発防止に努めることが、犠牲を無駄にしない唯一の方策だと考えます。
2008.09.19
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MRIC医療メルマガ通信からいつものように転送歓迎の記事が届きました。医療安全のためにはとても重要な意見だと思うので、転載します。【はじめに 医療安全委員会の設立に向けて】医療事故や医療過誤、そして相次ぐ医療訴訟を背景に、日本でも現在、医療安全調査委員会の試案が厚生省の会議で議論されており、この試案(第三次試案)を基にした法案の作成と国民からの意見聴取が予定されています。これに際し、日本が世界標準の医療安全委員会を設立する基準たりうるのが、アメリカ合衆国・連邦復員軍人局の患者安全ナショナル・センター(1999~)が掲げる医療安全のポリシー(1)です。同センターは全米の復員軍人病院を運営し、医療安全システムの重要な世界的モデルのひとつとされています。それでは、連邦復員軍人局の患者安全ナショナル・センターのホームページから、医療安全システムの基礎となる考え方をご紹介致します。【Culture Change:Prevention,Not Punishment(文化の変化:予防、刑罰を与えない)】「復員軍人病院の患者安全へのアプローチ」1999年に出版された医学研究所(the Institute of Medicine)の画期的な報告である「人間は間違えるものである(To Err is Human)」に先立って、事実上、全てのヘルスケア機関は患者に害を及ぼした原因の調査を行ってきた。しかしながら、体系的に問題を解決しようと試みるアプローチはほとんど存在しなかった。従来の調査では、有害事象に関係した個人と失敗に焦点を当ててきた。それにより個人の名前を挙げて罪を負わせるもので、有害事象の予防よりも処罰(刑罰)を強調したものだった。復員軍人病院では、「エラーをなくすこと」から「患者への害を減らすあるいは害をなくすこと」へそのゴールを変換し、個人の行為に焦点を当てるよりも医療ケアシステムの存立可能性を調べることで、多くのことが成し遂げられた。我々のゴールは単純である:ケアの結果として、患者に対する不意の(=故意でない)害を減らし、予防すること。患者への害を減らすあるいはなくすことが、患者安全のための本当の鍵である。エラーをなくすことだけに焦点をあてた試みは失敗に帰するであろう。個人のエラーをゼロにすることは無理である。ゴールは"誤りに寛容な"システムの構築である。たとえ個人が誤りを犯しても患者への害につながらないシステムである。こうして我々は復員軍人病院の患者安全プログラムの基盤を、処罰(刑罰)ではなく予防に焦点をあてるような問題解決型システム・アプローチに置いた。我々はシステムの脆弱さに照準を定め、それを排除するために、航空機産業や原子力発電のような"高信頼性"(を要求される)組織からの方法を学び、その考え方を応用している。例えば、"誤りへの寛容"の原理も、"高信頼性"組織がそのシステムを構築する際に長年使ってきたものである。そして安全性も、ヘルスケア組織のものを圧倒的に凌駕している。我々は人々を標的にはしない。個人の名前を挙げて、罪を負わせる過去の文化に加わるつもりはない。我々は繰り返し発生する問題、すなわちシステムに端を発し、無視されたり気づかれないままとなっている問題の連鎖を断ち切る方法を探している。これを実行するための最も重要な方法の一つは、時にニアミスと呼ばれる身近なサインから学ぶことである――それらは実際、有害事象よりももっと高い頻度で起こっている。このような方法で問題点に取り組むことは、結果として安全なシステムであるばかりか、起こりうる問題を継続的に明らかにしては解決している全ての人々の努力に焦点をあてることになる。だからといって、このことが在郷軍人病院が全くの処罰(刑罰)なしの組織だというわけではない。我々はどの行為が処罰(刑罰)の対象になるのか、ならないのかを線引きするシステムを持っている。故意に安全でない行為を行ったと判定された有害事象だけが、処罰(刑罰)の対象となる。患者と関係を持つというような、故意に安全でない行為をしたときは、刑法、患者との不適切な(肉体)関係法、アルコールもしくは薬物濫用や患者虐待などに関係する法律の対象となる。こうしたアプローチを組織横断的に統合させることで、一定レベルの信頼と、安全の文化の永続につながる努力の焦点が創出される。【Root Cause Analysis(RCA、基にある原因の分析)】上記の患者安全のアプローチへの基本的な考えに続き、有害事象やニアミスに関して「どんなことが起こったのか」「なぜ起こったのか」を見いだし、再発予防のためにできることを決定するRoot Cause Analysis(RCA、基にある原因の分析)と呼ばれる集学的チームアプローチのプロセスが記載されていますので、以下にご紹介します。通常、臨床の第一線で働く現場の人間こそ、問題点および解決法を見いだす一番良いポジションにいるので、復員軍人病院でもRCAチームが患者安全の改善を図るために必要な解決法、検査、医療機器を考案し、結果を見極めることとなっている。*RCAのゴールは、・何が起こったか・なぜ起こったのか・再び起きないよう予防するためになすべきことを見いだすことである。RCAは、予防戦略を明らかにする手段であり、罪を負わせる文化を越えて「患者安全の文化」を構築する努力の一過程である。RCAでは、常に再発防止を念頭においたゴール設定がなされるという点で、病気の診断に似たプロセスで根本原因を見いだす。*RCAは1.第一線のサービスから専門家を参加させる学際領域である。2.その状況に最も精通した人を参加させることである。3.個々の原因や効果のレベルで「なぜか」を尋ねることによって、継続的により深く掘り下げることである。4.システムを必要とされる変化を明らかにするプロセスである。5.できる限り公平なプロセスである。*完璧である為には、RCAは以下の内容を含んでいなければならない。1.人あるいは他の因子を決める。2.関係するプロセスとシステムを決める。3.「なぜ?」という質問を繰り返すことにより、基礎のある原因と効果システムを分析する。4.プロセスやシステムをどれだけ改善できるかを決める。*信頼できるためには、RCAは、1.組織のリーダーシップとプロセスとシステムに最も密接に関連した人を参加させなければならない。2.本質的に首尾一貫していなければならない。3.関係する論文を考慮しなければならない。【結論 罪を負わせる文化からの離脱】既に欧米の先進国は罪を負わせる文化を超えて、医療安全システムを構築に取り組んでいます。医療安全システムに関して2006年に発表されたイギリス議会の報告書「患者のためのより安全な場所:患者安全を改善するために学ぶこと」(2)でも、患者安全ナショナル・センターの医療安全のポリシーは紹介されています。そして同報告書は、「毎日、NHS(National Health Service)は100万人を超える人々を首尾よく診療している。しかしながら、ヘルスケアは国民、技能、テクノロジー、そして医薬品を含むある種の複雑な相互関係に依っている。時には、外科的治療は悪い方向に進み、医薬品投与の際のエラーは起き、患者は他の有害事象をこうむる。患者の安全を改善する為の動きは、2000年に保健省大臣のリポート『記憶のある組織』に始まった。罪を負わせる文化と、学んだ知識を共有するシステムの欠如が、医療安全の個別の事象を明らかにしてその数を減らすことの重大な障害となったことが、このリポートで明らかになった。」と結論付けています。罪を負わせる文化からは、医療安全のためのシステムは生まれないのです。翻って、これから法案化の手続きに入る日本の第三次試案は、いまだに罪を負わせる文化から抜け出せていない内容です。日本の医療安全委員会のシステムを世界標準から逸脱させず、正常に機能させるためには、モデルとしての欧米の先進国の医療安全の文化を学び取り、拙速ではない十分な議論を重ねてから法案の作成に着手することが不可欠かつ最重要といえるでしょう。参考資料(1)アメリカ合衆国復員軍人局・患者安全ナショナル・センター 「文化の変化:予防、処罰(刑罰)なし」 http://www.patientsafety.gov/vision.html(2)イギリス議会・「患者のための安全な場所:患者安全を改善するための学習」 A safer place for patients: learning to improve patient safety http://www.publications.parliament.uk/pa/cm200506/cmselect/cmpubacc/831/831.pdf著者経歴関根 利藏1988年 神戸大医学部卒1989年 国立国際医療センター内科1991年 東京医科歯科大学医学部循環器内科2001~2002年 オランダ国立エラスムス大学メディカル・センター(心臓移植ユニット)2006年 葛西循環器脳神経外科病院内科日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医
2008.09.10
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05年4月のJR宝塚線(福知山線)の脱線事故は、多くの犠牲者を出した悲惨な事故だった。JR西日本の体質も問題があったと言われているし、私には関係のない世界の話なので、刑事責任を問われてもいいような気もしてしまう。でも、考えてみれば、これも後出しジャンケンですよね。JR西日本・山崎社長ら10人書類送検、宝塚線脱線事故 asahi.com 2008年9月8日 乗客106人が死亡し、562人が負傷した05年4月のJR宝塚線(福知山線)の脱線事故で、兵庫県警は8日、JR西日本の山崎正夫社長(65)ら歴代幹部9人と事故で死亡した高見隆二郎運転士(当時23)の計10人を業務上過失致死傷容疑で神戸地検に書類送検した。列車の運行や安全管理を担う幹部が過失責任を問われるのは異例。地検は年内をめどに起訴の可否を判断する。(染田屋竜太、倉富竜太) 神戸地検は被害者対策の一環として、近く事故の遺族と負傷者全員に、どんな処罰を求めるか、検察官との面談を求めるかなどを尋ねる手紙を郵送するほか、問い合わせに対応する専用の電話回線を設置する。検察当局が本格捜査の前に、多数の被害者から捜査や処分に関する要望を集約するのは例がない。 尼崎東署捜査本部の調べでは、高見運転士は05年4月25日午前9時20分ごろ、兵庫県尼崎市のJR宝塚線塚口―尼崎駅間で快速電車(7両編成)を運転し、カーブの制限速度(時速70キロ)を超過した時速116キロで進入。1~5両目を脱線させ、先頭車両が線路脇のマンションに突っ込むなどし、乗客668人を死傷させたとされる。 歴代幹部9人のうち山崎社長ら7人について、一部の遺族が告訴。山崎社長や梅原利之・JR四国相談役(69)ら5人は、96年12月に現場カーブを半径600メートルから同304メートルの急カーブに付け替えた際に自動列車停止装置(ATS)の設置を怠り、事故を発生させた疑いがもたれた。当時、山崎社長は梅原相談役の後任としてATSの設置を判断できる鉄道本部長だった。 県警はこの5人について、事故が起きる危険性を予測できたとみなし、起訴を求める「厳重処分」に次いで重い「相当処分」の意見を付けて書類送検した。 一方、JR西が宝塚線に新型ATSの整備を決めた03年9月当時と事故時の鉄道本部長や運輸部長ら4人については、起訴を求めない「しかるべき処分」の意見にとどめた。4人は事故までに新型ATSを設置しなかったり、運転士への懲罰的な「日勤教育」や余裕のないダイヤ編成を続けたりして事故を招いたとされたが、県警は「事故との因果関係は立証できない」と判断。刑事訴訟法の規定に従い、告訴事案の捜査結果をまとめた書類を地検に送付した。 誰の目にも危険性が明らかで、何度も改善するよう求められていたにもかかわらず無視していたのなら、刑事罰もやむを得ないかなと思わないでもありません。あるいは、業界内の常識としてATSの設置が当然であり、他の会社では実施されていたのであれば、やはり、刑事罰もやむを得ないかなと思わないでもありません。 そのようなことがなく、予算に応じて順次ATSの設置が進められていたのが実情だったのであれば、刑事罰まで求めるのは酷というものでしょう。ましてや、検察が被害者(遺族を含む)に処罰の希望を訊くのは行き過ぎではないでしょうか。被害者の処罰感情は理不尽でも当然ですから。 この件は民事と行政指導で良いのではないかと思います。被害者の処罰感情は理解できますが、無関係なひとの処罰感情は私には理解できません。単なるイジメではないでしょうか。
2008.09.09
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大野病院事件は一応の収束を見ましたが、本丸である福島県立医大産婦人科に関わる理不尽な判決の控訴審が始まりました。注目して行こうと思います。福島県立医大病院医療過誤訴訟:控訴審始まる--仙台高裁 記事:毎日新聞社 【2008年9月5日】 県立医大付属病院で出産した次女が脳性まひになり、4年9カ月後に死亡したのは医療ミスが原因として、福島市の両親が県立医大を相手取り、約1億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が4日、仙台高裁(大橋弘裁判長)であった。 同病院の過失を認めた1審判決について、医大側は控訴理由書で「症例が子宮破裂の危険性が高かったという前提自体が誤っており、結果を回避できたとする医学的根拠も示されていない」と主張した。原告側は答弁書で「病院は子宮破裂を想定した監視体制をとるなどの注意義務を果たしておらず、責任は明らか」と控訴棄却を求めた。 1審で福島地裁は「子宮破裂の危険性が高く、直ちに帝王切開手術を行える準備が必要だったのに怠った」と、医大側に約7340万円の支払いを命じた。医大側が控訴していた。 弁論後、原告の幕田智広さん(42)は「6年間争い心身ともに疲れ切っているが、病院側が医療行為について正当に論じたいというなら控訴審を受け入れたい」と語った。【今井美津子】 そもそもこれがどのような事例かというと、「新小児科医のつぶやき」の2008-05-26 福島VBAC訴訟 報道編や2008-05-30 福島VBAC訴訟 判決文編に詳しい情報が載っています。また、「産科医療のこれから」の裁判は公正?も重要な情報源です。拙ブログでも、2008.05.22の日記でこの件に触れています。 第一審では病院の責任が認められ、病院敗訴の判決が下されました。でも、裁判所の求める責任は実現不可能です。病院には数多くの患者がいて、何時容態が急変するか分からない患者も多いのです。それらの患者すべてに至れり尽くせりで対応できればよいのですが、日本の医療費ではそのようなことは夢物語です。現状で出来る範囲で注意を払う以上のことは出来るはずもありません。 一審判決の要求を満たそうとすれば、他の患者を放置して、かかりきりで当該患者の観察を行い、麻酔科医や手術室スタッフを常駐させ、他の緊急手術は決して受けずに待機していなければなりません。他の患者は決して緊急事態にはならず、当該患者だけが緊急事態になることが始めから分かっていなければ出来ないことです。医療関係者は神でも超能力者でもないのですが、世間では理解されていないのでしょうか。 判断を下すのであれば、具体的にどのような(実現可能な)体制を取るべきなのかまで踏み込んで判断して欲しいと思います。実現不可能な理想論を述べられても、社会にとって有害です。
2008.09.06
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