偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2025.05.13
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カテゴリ: 銀輪万葉
承前 ​)
​ 昼食を済ませ、来た道を廓町交差点まで引き返し、川越氷川神社に向かうこととします。
​​

​​​​​​​​​​​​​ (氷川神社・川越城本丸御殿周辺マップ 散策ガイド掲載地図<再掲>)

(川越氷川神社)
<参考>​ 氷川神社(川越市) ​・Wikipedia
    ​ 川越氷川神社|川越總鎮守氷川神社のご紹介
 廓町交差点まで戻り、これを右折、北へと坂道を下って行くと、400m程で、川越氷川神社です。
 上掲写真の「一の鳥居」の左裏手にトレンクルを駐輪し、境内を散策することとします。

(同上・拝殿)
 境内は参拝客でいっぱい。これでは、参拝しお賽銭を投げ入れるのにもかなり時間を要しそうです。

(同上・八坂神社)

(同上・境内図)

(同上・川越氷川祭の山車行事説明碑)
 拝殿から右手に行くと太田道灌が手植えしたという竹と歌碑があった。

(同上・太田道灌手植えの矢竹)

(同上・太田道灌手植えの矢竹と歌碑)
老いらくの 身をつみてこそ 武蔵野の 草にいつまで 残る白雪

 道灌の矢竹と歌碑の脇からご神木があるという場所に通じる回廊に入って行くと、回廊は右に直角に曲がって、護国神社の参道を横切り、奥の何かの建物へと通じているようだったが、正面奥突き当りに結界が置かれていて、そこから先への一般人の立ち入りは禁止されていた。
 引き返して、ご神木の方に回る。

(同上・回廊)
 ご神木は撮らなかったが、これを通り過ぎて進むと一般道に出てしまった。

(氷川橋)
 川越氷川神社の裏手、北側には新河岸川が流れている。
 架かっている橋は氷川橋という銘板。
 川の両岸はずっと桜並木が続いているから、もう少し早くに来れば満開の桜を楽しめたことであったろう。
 一般道に出てしまったついでにと川を背に振り返ると旧上尾街道という碑が目に入った。

(旧上尾街道の碑)

(旧上尾街道)
 地図で見ると、県道川越上尾線は氷川町交差点で、氷川神社の東側の宮下橋で新河岸川を渡り、そこから右に曲がって同神社の南側、一の鳥居前を東西に通じる道となっているが、この旧上尾街道は、氷川町交差点から氷川橋で新河岸川を渡り、氷川神社境内地の西側に沿って南(上掲写真では正面奥)へと坂を上り、県道川越上尾線に再び合流している。
 ひょっとすると、氷川神社目指して廓町交差点から北へと下って来た坂道が既に旧上尾街道であったのかもしれないが、その辺のところはよくは分からない。
 再び、氷川神社境内に引き返し、トレンクルを駐輪した場所に戻る。
 氷川神社をアトにし、旧上尾街道なのかどうか不明なまま廓町交差点へと坂道を上り、そこから下りになっている坂道を喜多院へと走り下りますが、本日はここまでとします。

 ただ、ヤカモチとしての心残りは、氷川神社境内図を注意して見れば気付けた筈の、山上憶良の歌碑と人麻呂神社を見落としたこと。
 で、帰宅後に田村泰秀編「萬葉千八百碑」で調べてみると、その歌は万葉集巻5-800~1の「令反惑情歌」でありました。
 同書によると、歌碑は「題詞、序とも端正な隷書体で11行に刻載」とあるので、少し長くなりますが、題詞、序、長歌、反歌の全体を以下に紹介して置きます。
 また、ネット検索の結果、同歌碑の写真が見つかりましたので転載させていただきます。

(山上憶良歌碑)
※上掲憶良歌碑写真は下記サイトからの転載です。
アラさんの隠れ家|万葉歌碑巡り|​ 埼玉県川越市氷川神社の万葉歌碑

( じん ) ( ) 五年七月二十一日、  筑前国守 ( ちくぜんのくにのかみ ) 山上憶良 ( たてまつ ) る。

(神亀 5 7 21 日、筑前国守山上憶良が献上いたします。)

( まど ) へる ( こころ ) ( かへ ) さしめし歌一首 序を ( あは ) せたり

(心の迷いを正そうとした歌 1 首と序)

或有 ( ある ) ( ひと ) 、父母を ( うやま ) ふことを知りて、 侍養 ( じやう ) することを忘れ、妻子を ( かへり ) みずして、 ( だつし ) より ( かる ) しとす。 ( みづか ) 異俗先生 ( いぞくせんせい ) と称す。意気は青雲の上に ( ) がると ( いへど ) も、身体は ( なほ ) ( ぢん ) ( ぞく ) ( うち ) に在り。 ( いま ) だ修行し 得道 ( とくだう ) するに ( しるし ) あらざる ( ひじり ) か。 ( けだ ) しこれ 山沢 ( さんたく ) 亡命 ( ばうめい ) する民ならむ。 所以 ( このゆゑ ) 三綱 ( さんかう ) ( ) し示し、更に ( ) ( けう ) を開き、これに ( おく ) るに歌を以し、その ( まど ) ひを ( かへ ) さしめむとす。

歌に ( いは ) く、

(ある人が父母を尊敬すべきことは知っているのに世話しようともせず、妻子などは見向きもしないで脱ぎ捨てた藁沓ほどにも思わない。自分で異俗先生と名乗っている。意気込みこそは高空の雲の上まで届くほどだが、身はいまだに俗世にとどまっている。修行して道を得た確かな証拠がまだ現れない仏門の聖か。おそらくは山川に逃れる流民なのだろう。そこで、君臣、父子、夫婦の三綱の道を逐一教えた上に、父は義、母は慈、兄は友、弟は恭、子は孝たるべしという五教の教えを説き聞かせ、歌を贈ってその考え違いを改めさせようとする。その歌に言う、)

父母を 見れば ( たふと ) し  妻子 ( めこ ) 見れば めぐし ( うつく )  世の中は かくぞこと わり もち ( どり ) の かからはしもよ  ( ) くへ知らねば うけ ( ぐつ ) を  ( ) きつるごとく  ( ) ( ) きて  ( ) くちふ人は  石木 ( いはき ) より  ( ) ( ) し人か  ( ) が名 ( ) らさね  ( あめ ) 行かば  ( ) がまにまに  ( つち ) ならば  大君 ( おほきみ ) います この照らす  日月 ( ひつき ) ( した ) は  ( あま ) ( くも ) の  ( むか ) ( ) ( きは ) み たにぐくの さ 渡る ( きは ) み 聞 こし ( ) す 国のまほらぞ かにかくに  ( ) しきまにまに  ( しか ) にはあらじか(万葉集巻5-800

(父母を見れば尊い、妻と子を見ればいとしくかわいい、人の世はそれが当たり前だ。とりもちにに掛かった鳥のように離れがたいことだ。これから自分は何処に行くかわからないのだからと、穴のあいた沓を脱いでしまうに、家族を踏みつけにして捨てて行くという人は、岩や木から生まれ出た人なのか、あなたの名を名のりなさい。天へ行ったら思い通りにするがよい。地にあるからは、天子様がいらっしゃるのだ。地上を照らす日と月との下は、空の雲が垂れる遠い彼方まで、またヒキガエルが這って行く地の果てまで、天子様の治め給うすぐれた国である。あれやこれやと自分のしたい放題に、それではいけないのではないか。)

   反歌

ひさかたの  ( あま ) ( ) は遠 し なほなほに 家に 帰りて  ( なり ) をしまさに (同巻5-801

(<ひさかたの>天に到る道は遠い。素直に家に帰って仕事をしなさいな。)

 家に帰って 仕事をしなさいとは、 浮かれ気分で参拝に押し寄せているであろう大多数の観光客に対しては何やら興醒めな歌であるが、ヤカモチ同様、これに気付く人も殆どないから、これでいいのだろう(笑)
(​ つづく ​)
<参考>​ 銀輪万葉・関東編
​​​​​​​​​





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最終更新日  2025.05.16 22:04:51
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