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2025.01.11
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カテゴリ: 昭和期・後半男性
『さようなら、ギャングたち』高橋源一郎(講談社文芸文庫)

 筆者高橋源一郎氏については、私は拙ブログで再三とっても好きな作家と述べています。本書も、単行本が出版されてほぼ直後に買いました。裏表紙に、オーバーオール・ジーンズをはいた若き日の高橋氏の写真があったのを覚えています。

 覚えていると書いたのは、その本はすでに我が家の本棚にないからです。まー、売ったか棄てたんでしょうねー。
 と、やや無責任なことを書きましたが、私は時々発作的に本棚の整理をするんですね。どんな本を整理するかといえば、これも、まー、その「発作」時に残した本こそが我が文学的評価においてベストである、つまり、棄てた本は、我が文学的評価において本棚の空間の一部を占めるに及ばないと考えた、……と、まどろっこしい書き方をしてしまったのは、大概いつも、書物大整理イベントが終わった後、なぜ私はあの本を捨ててしまったのだろうと、激しく反省するからであります。

 さて、そんなこんなで本書が手元にないものですから、図書館で借りてきました。で、読みました。今までにたぶん、2.3回は読んだいると思うのですが、やはり今回もそれなりに面白かったです。

 ただ、なぜ面白かったのかについて、やはり少しはかつてより成長した読書力を示さねばならぬという気が、まー、起こりました。そんなつまらないものを起こす必要は、実はなかったのかもしれませんが、このような文章を書いている以上、私としては、それしか手掛かりはなく、ぼつぼつぼそぼそと以下に書いてみます。

 まず本書が、いわゆる「ポストモダン」小説である、と。
 これはウィキなんかにもそう書いてあります。ところが、この「ポストモダン」というものの説明が、かなりアバウトな頭の作りの私には読んでもよくわかりません。そもそも私は思想とか哲学とかとは没交渉の人生をずっと送ってきたんですね。(と、最近はちゃっかり居直ったりしています。)
 仕方がないので、ウィキの説明中、これは本書の特徴といえそうだなー、と思われる表現をいくつか拾い出すにとどめました。こんな感じ。

 大きな物語への不信・モザイク・遊び心

 挙げようと思えばまだ挙げられるでしょうが、とりあえずここまでにしておきます。

 で、私は少しあきれました。
 しかし、そんなことはないだろう。たった三表現だけで、本書の魅力がすべて説明しきれるというのは錯覚だろうと、思い直しました。で、考えました。

 確かに、レッテルはそれで貼れたとしても、それはその内容を全く説明していない、と。
 うーん、これも当たり前ではありますねえ。
 たとえば、これはウィスキーです。これも、こちらも、あれも、別々の会社が製造したウィスキーです、と、決して間違ってはいないことを言っても、個々のウィスキーの一番大切な部分についてはなにも説明していないのと同じであります。

 で、あれこれ考えまして、最後にたどり着いたのは、結局最初の問いの堂々巡りになりますが、私にとって本小説の一番好きな部分はどこだ、とぱらぱらと読み直すと、ふたつ、出てきました。

 SBとの愛の生活・キャラウェイの話

 じーと睨んで、そのあと私なりにまとめてみますと、結局のところ本書は、この二つの明らかな意味と構造のあるストーリーを、詩についての様々な逸話による説明と共に、多くのモザイクの中に紛れ込ませて描いたものである、と。

 まずそのモザイクに描かれているものは、固有名詞と隠喩(「ギャング」は最大の隠喩でしょう)の氾濫・言葉の誤選択・文脈のすり替えなどであり、そして、中心にある二つの物語とは、みずみずしさと圧倒的な哀感の漂う物語らしい物語である、と。(そんな意味でいえば、高橋作品は「大きな物語」は否定しても、物語性そのものについては全く否定していないことがわかります。)

 さてこうまとめてみると、結局、高橋作品についてよく言われる特徴の読書報告になってしまいました。
 しかし、本小説は、筆者のデビュー作であります。ということは、小説を書き出した時点から筆者はすでに、いつまでも色あせない、完成度の高い独創的なフォルムを持っていたということでありませんか。
 やはりそれは、驚くべき才能でありましょう。

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Last updated  2025.01.11 08:00:39
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analog純文 @ Re[1]:父親という苦悩(06/04)  七詩さん、コメントありがとうございま…
七詩 @ Re:父親という苦悩(06/04) 親子二代の小説家父子というのは思いつき…
analog純文 @ Re:方丈記にあまり触れない方丈記(03/03)  おや、今猿人さん、ご無沙汰しています…
今猿人@ Re:方丈記にあまり触れない方丈記(03/03) この件は、私よく覚えておりますよ。何故…
analog純文 @ Re:漱石は「I love you」をどう訳したのか、それとも、、、(08/25) 今猿人さんへ コメントありがとうございま…

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