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左脚の膝下を骨折した。ポキッと折れたわけではなく、CT画像で見ると、線状の亀裂が確認できる。担当医によると、医「ズレるとまずいので、プレートを入れるのが無難。 保険として、ボルトだけ入れる方法もある」とのことだが、あと1年生きる保証がないような人間である。プレートを入れるのはもったいない。虫けらが虫「このまま固まるのを待ちたいんですが」と希望すると医「プレートを入れた方が早く歩けるようになる。 このまま様子を見て、1〜2週間経って結局ズレたら 手術ということになるけど」虫「手術したら、また入院ですよね……」とちょっと考えたが、ズレないことを期待して、手術を回避する方向で押し切った。入院は11日間だったが、手術をしたらもう1〜2週間は伸びる。個室に入っていたので、20日以上はキツい。一か八かで自然治癒に賭けた格好だ。入院生活は、初めての体験ばかりだった。もっとも、骨折が初めての体験なので、当たり前なのだが。病室では車椅子を使ってトイレに行った。ドアの内側まで車椅子を入れ、ドアを解放したまま便座に移動して用を足したり、洗面したりするのだが(個室のトイレには、洗面とシャワースペースが併設されている)、全てドアを開けての作業になるので、誰かが病室に入ってこないか気が気でない。松葉杖を使えばドアを締め切ることができるが、片脚で歩行するのは危ない。手術回避を選んだ虫けらにとっては、転倒や左脚を地面に着くなどといった間違いを犯すわけにはいかないのだ。ベッドより奥のスペースにあるブラインドを操作したり、物置に用があるときは、車椅子では入れないので松葉杖を使ったが、トイレのような狭いスペースで杖を操作するのは大変危険だ。松葉杖は主にリハビリ時に使う程度だった。退院時には、病院の松葉杖をレンタルするしかないのだが、家の中でとなると、重くてかさばる松葉杖では動きにくい。というわけで、入院中に何かいいアイテムはないかとググった。「クラッチ杖」というものを見つけた。これが欲しかったのだが、手に入らなかった松葉杖より使いやすいという確証はないのだが、軽さと操作性が高いだろうと踏んで、ポチッた。帰宅すると同時に届くようなイメージでオーダー。アマゾンは、配送日の自由が余りきかない。退院前日か前々日のタイミングでオーダーするのがベスト。が、あらかじめカートに入れておくと、配送日がズレたり、売り切れの表示になったりして、難儀した。何度かやり直して、結局、欲しい商品はオーダーできず、少し機能性が劣るが低価格の商品を手に入れることに。せいぜいひと月程度の付き合いだ。それほどこだわる必要もない。病院の松葉杖で帰宅したのが11時前。2時間ほど待ったところでクラッチ杖が到着。【トイレ】待ち時間の2時間の間にトイレに立つことがなかったので、松葉杖の自宅での操作性は確認できていないが、クラッチ杖は軽いし、コンパクトなのでトイレの中に持ち込めて便利だ。ところが!トイレの中に左脚が入らない。膝を伸ばした状態で固定装具をつけているので、便器から壁までの距離が足りないのだ。一人暮らしはかなり長い方なのだが、これまで、トイレのドアを開けて用を足したことがないので、ドアを開け、左脚をドア枠より少し外に出す姿勢は、大変違和感があった。が、右脚の負傷でなくてよかった。右側は壁に塞がれてならどうしようもない。そうなったら、一体どうやって用を足せばいいのか。。しかも、便器に正対できない。少し左側に斜めの姿勢になる。これで、きちんと便器の中に用が足せるのだろうか。と、危惧しながら用を足したが、何とかなった。「拭く」という作業もちょっとテクニックが必要。片脚で中腰になるのは結構大変である。脚力も必要だが、バランス感覚も重要である。虫けらは筋力とインナーマッスルは強靭なので大した労力は必要ないのだが、同じくらいの歳の女性のことを考えると、補助器具(手すりや脚置きなど)が必要かもしれない。【風呂】風呂がまた大変である。風呂といっても、シャワーだけである。夏でよかった。入浴時には、固定装具を外すのだが、医師から「絶対曲げないように」と言われている。古いマンションである我が家の湯船は脚を伸ばしたまま入れるほどの幅がないし、へりが高いのでまたぐのに一苦労だろう。洗い場に設置した椅子に座り、洗髪し、体を洗う。それ専用(介護用)の椅子ではないので、座面が滑る(介護用の椅子は滑らない加工が施してある)。ボディソープで尻を洗ったら、尻がツルツル滑って椅子から落ちそうになる。危ない。中腰になって、椅子に体を預け切らないようにする。結構腹筋と大腿筋を使う。入浴の後は、脱衣所で体を拭いたり服を着たりするのだが、ずっと片脚立ちである。両手を使う作業のときは、片脚で立つしかない。女性は、洗面所での作業が長い。スキンケアやドライヤーを使う間、片脚立ちするのだが、両脚とも健康な状態での片脚立ちと、片方を伸ばしたままで、しかも着地してはならないという制約付き、さらには重量のある固定装具を装着しての片脚立ちとでは、難易度が全く違う(バランスが取れない)。大変疲れる時間である。【 2階 】虫けらの自宅は、マンションなのに2階がある。1階はリビングダイニングキッチン、2階は寝室とパソコン部屋である。ケガをしてから、2階では寝ていない。いつもはベッドではなく(未購入。本当は欲しい)、14cmのマットレスで休んでいるのだが、片脚を伸ばしたまま立ち上がるのは大変だろうと(やってみたら、大変ではなかったのだが)、1階にあるマッサージチェアで休んでいる。ネックになるのは、階段の上り下りだ。手すりと杖で一歩ずつの作業になるので、トイレや、宅配便の受け取りなどで上り下りが必要になると、慌てるに違いない。階段から落ちたりしたら、命取りにもなりかねない。というわけで、1階生活である。退院して2週間ほどになるが、まだ熟睡できた日はない。何しろ寝返りが全く打てない(マッサージチェアでなくても、脚が原因で寝返りは打てないが)し、フルフラットにならないので、寝心地は余りよくない。が、マッサージチェアがあったことで、助かった。退院してからはもちろんだが、ケガをして帰ってきた日の夜、2階に上がらずに済んだことで、何とか休めた。一睡もできなかったが、横になれたことは脚にとっても、精神的にも救われた。マッサージチェアは、2年前の転居のときに廃棄を検討したのだが、捨てなくてよかった。【キッチン】リビングダイニングでは、クラッチ杖ではなくエステチェアという代物を使っている。簡単に言うと、キャスター付きスツールである。座ったまま移動できるので、両手が解放される。作った食事をテーブルに運んだり、仏壇に手を合わせたりするときに大変楽だ。ただ、我が家のリビングダイニングの床は、クッションフロアなので、キャスターの転がりが悪い。後ろ向きならスムーズに動くのだが、順行すると時間がかかる。とはいえ、松葉杖にしろ、スクラッチ杖にしろ両手がふさがるので、ちょっとしたものも移動させるのが困難だ。食事や飲料(酒!)を運ぶのには、これが必須である。【ゴミ捨て】現在の生活の中で最も困難なのは、これである(以後、もっと困難なことが出現するだろうが)。軽い荷物ならトートバッグに入れて肩からぶら下げるが、ゴミとなるとそうはいかない。しかも、ゴミ捨て場の扉(重い!)を開けて、段差を乗り越えて中に入って分別のゴンドラに入れ、出てきて段差を降り、扉を閉める。これの大変なこと。中でも生ゴミは重い。入院前の生ゴミが結構溜まっていたので、最初のゴミ捨てが本当に大変だった。スクラッチ杖のグリップと一緒にゴミ袋を握る。重みで杖があらぬ方向に行きそうになるのを修正する。ゴミで杖の足元が見えないので、地面に正対しているか確認できない。一歩、一歩、時間をかけて歩く。ペットボトルなど軽いものなら地面に置いて蹴って移動させてもいいかもしれないが、生ゴミとなるとそうはいかない。大変な労力だった。ことほどさように片脚生活は不自由である。しかも、動かせない左脚は、筋力が衰える。が、使い倒す右足は筋力が上がる。筋力のアンバランスもケガの元になり得る。リハビリに時間がかかるだろう。ケガをしてから3週間が経過した。子供なら、そろそろ完治の時期である。成人だと、1〜2週間、老人だと、ひと月単位で伸びるらしい。できるだけ早く完治に持っていきたい。営業再開も早くしたいし、シロアリ駆除のスケジュールも連絡せねばならない。お盆の墓参りもしたい(今の状態では無理)。そして何より、誕生日が控えている。毎年お客さんと楽しく迎える誕生日、今年は一人寂しく、となりそうだ。1週か2週遅れでもいい。誕生日的一日をぜひつくりたいものだ。 悲 哀
2025.07.30
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【黄昏のリハビリ】整形外科に入院している患者の多くは、『リハビリテーション』という代物が入院生活にピタリとくっついている。虫けらの場合、入院当日の夕方(病室に入って1時間余り後)、理学療法士の偉い人(男性)がやってきた。前日夜にけがを負った虫けらは、20時間ほどの間飲まず食わずだったし、一睡もしていないし、車椅子で検査に駆けずり回っていたし、相当痛い縫合に耐えていたのだ。部屋に入って1時間ほどでリハビリしますか。。理「車椅子の使い方、知っていますか?」虫「ある程度は。夫が使っていたので」虫けらが車椅子を使っていたわけではないが、夫が使っているのを見ていたし、手押しハンドルで押すのは虫けらだったので車椅子の構造は知っている。理「じゃ、動いてみてください」え、やっとベッドに腰掛けたのに、また車椅子に乗るの?車椅子に乗って、ハンドリムを操作する。お、重たい。こんなに重かったっけ?理「難しいですか?」虫「ちょっと操作しにくいですね」と言いつつ、トイレに行く操作とトイレの中での動作をやってみる。片脚生活は初体験なので、そうそううまくいかないと思ったが、持ち前の筋力と体幹の強さで何とかこなす。理「松葉杖は使ったことありますか?」虫「夫が使っていたので、使わせてもらったことはあります」理「あすから、リハビリ室でリハビリを開始します。 車椅子と松葉杖の使い方をやりましょう」翌朝までに、車椅子の操作はマスターした。リハビリは松葉杖だけになった。担当は女性理学療法士にスイッチ。車椅子を使って、自力でリハビリ室に行く。女理「使いこなせていますね。じゃ、松葉杖を」リハビリ室の中と外の廊下を松葉杖で歩く。女理「大丈夫ですね。……じゃ、平行棒、行きますか」リハビリ室の中にある、平行棒へ移動。両手で棒を持ち、片脚歩きするというものだが、虫けらにとって何の訓練かわからない。第一、平行棒なんて生活圏内にないし、筋力強化とか、平衡感覚を養うといった意味合いがあるなら別だが、単純なケガを負っているだけの虫けらの状態から言って不要だと思われた。何度か行き来したら、女理「はい、いいです。…することなくなったなぁ」椅子に座って血圧を測り、あとは雑談して過ごした。あとで聞いたのだが、1日目で3日分のメニューをクリアしたようだ。次の日からは、松葉杖で階段の上り下りに入った。その日から退院まで、松葉杖で階段を上り下りする毎日だった。これ、リハビリ?リハビリ室の階段は5段くらいしかないので、外の、本当の階段を上り下りしていた。週末はリハビリがないので、虫けらは車椅子で廊下の端まで行き、ガラス張りになっていて景色のいいその場所で、筋トレをする。手すりを持ち、折れた左足の太ももを鍛える動きを30分以上続けていたと思う。虫けらのような患者のメニューを特別に考えてほしい。ベッドの上でできるような運動や自分一人でできる筋トレなら、担当患者を何人も抱えて忙しい理学療法士さんのお世話にならずとも済むのだし。毎日「きょうは何をしようか」と考える理学療法士の横で、無表情に黄昏る虫けらなのであった。【黄昏の検査】入院中、レントゲンやエコーなどの検査があった。病棟から検査室に降りるのだが、朝、看護師が部屋にやってきて看「きょうはレントゲンがあります。 あとで診察券持ってきますから、行ってきてくださいね」え、一人で行くの?かくして虫けらは、診察券を携えて一人車椅子で検査室に向かう。エレベーター待ちのボタン操作だって、大変なんだぞ!混んでいるエレベーターに乗り込むの、大変なんだぞ!外来患者がいる待合室に行くと、ジロジロ見られるんだぞ!検査室に入るとき、車椅子だと大変なんだぞ!他の入院患者は看護師が付き添っているのに。付き添いの看護師が受け付けや検査室の入室など全てをやってくれているのに。虫けらはいつもひとりぼっち。看「行ってきてください」の一言。検査が終わって診察券を返すためナースステーションに立ち寄るが、労いの一言もない。虫けらは個室を取っているんだぞ!車椅子は押してもらったら極楽だということを知っているんだぞ。自室に向かいながら、黄昏る虫けらでなのあった。【黄昏のダイニング】入院中、ブルーインパルスが大阪に飛来した。どこで鑑賞しようかと画策する。12階に屋上庭園があるそうだが、行ったことがない。飛行ルートを確認すると、きっとここからだと観られると思われたダイニングに行くことにする。ワクワクしながらダイニングに入り、窓のそばに行くと歩行器を使いながら立っている男性に声をかけられる。男「見えますかね?」虫「見えると思うんですけど。屋上は人が多いでしょうし、 暑いでしょうから、ここから」男「もうすぐですよね」虫「あと10分くらいですね」他の患者も集まってきて、ちょっと会話をしたりしながらブルーインパルスの飛来を待った。結果は、音が聞こえただけ。窓が向いている東側ではなく、もっと西寄りを飛行したようだった。皆、落胆のため息を吐きながら部屋に戻って行ったが、歩行器の男性が話しかけてくるので部屋に戻れず、そのまましばらく話し込んだ。いろいろ質問されたので、都度それに対する見解を述べていたのだが、さて部屋に戻ろうか、となったときに男「明日は屋上に行きましょうよ」虫「そうですね」男「14:00くらいに上で」飛来が14:50くらいなので随分時間があるが、そのことを伝えると男「場所取りもあるし」ということで、適当に約束した。が、翌日は、傷口の洗浄(いつもは10:00過ぎ)など看護師を部屋で待たないといけない用件が相次ぎ、屋上に上がれたのが14:40くらいになってしまった。屋上で歩行器の男性を見つけ、車椅子で近寄ったのだが、虫けらに気づいても会話をしようとする気配がない。怒っているのか?遅くなったことを謝ろうとしても、男性の後ろにしか近づけず、余り深追いしないことにした。約束にしても、一応のものだし、遅れる理由もうっかり、とか、個人的なものではなく、看護に関することなので、致し方ない。虫「あっつ」男「あっついよねー」何事もなかったように言葉が返ってきた。それから普通に喋り、イベント終了後は入院階のダイニングに行こうと誘われる。男「何か奢りますわ」虫「いえ、財布持ってますから、自分で買いますよ」男「いや、奢りますって」頑なに断る意味もない。次に虫けらが奢ればいい。ありがたく頂戴するべく、ペットボトルの飲み物をお願いした。スマホをかざして、auペイで購入しようとするのだが、どうも機器の反応が悪い。すったもんだした挙句、購入してもらった。1時間くらい話しただろうか。部屋に戻ろうとしたとき男「あしたも来てくださいよ」虫「はーい」どうも、懐かれたようだ。男性は、多分虫けらより5歳ほど下だろう(後に判明したのだが、この予想はドンピシャだった)。寂しがり屋なのだと見た。離婚した元妻から、3人の娘に「連絡取るな」という通達が出ているらしく、娘とも会えないとか。こんなときくらい、連絡してもいいのではないか、と言ったが、難しいらしい。その寂しさを虫けらに向けるのは…。。退院しても、メールが来る。LINE電話もかかって来る。随分懐かれている。外来のときにはダイニングに来いと言う。自身の退院時には、酒を飲みに行こうと誘われる。酒はいいのだが、杖をついて飲みに行くのは格好悪い。杖が取れてから、とやんわり断るが、タクシーを使えばいいとか、家まで送るとか、いろいろ言ってくる。夫と過ごした25年の間にすっかり男性の扱い方を忘れてしまったので、どうしたものか…と黄昏る虫けらなのであった。 完
2025.07.26
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「トントントン」9:30くらいにノック音がした。するりと入室してきたのは、怖い主治医だった。怖い主治医の登場を待ちに待った1週間が過ぎ、もう諦めたものと思っていたのに、怖い主治医の姿を見た途端、虫けらの顔面からは最大限の笑みがこぼれていたと思う。まだ期待していたということか。虫「先生、いらしてくださったんですね」怖「きのう、カルテ見てて気づいたんや。 けど、まぁいいかって…」虫「えー、そんな扱いですか」怖「もう(夜)8時過ぎてたからな」虫「8時ならまだ起きてましたのに」怖「さーけどや」虫「ま、そうですよね」1年前の入院時の会話のテンポと口調が戻って来た。怖い主治医は、診察室では必要以上の単語を話さないし、虫けらもつっけんどんと言われても仕方ないような端的で無駄がない(どころか、いつも言葉足らずになる)会話しかしない。笑いや軽口は全く存在しない。特に今年に入ってからは。ところが、診察室以外で顔を合わせると(といっても、診察室以外は病室しかない)、とてもスムーズで自然な会話ができる。虫「お忙しいのに、すみません。 あ、きょうは手術日ですよね」怖「きょうは手術はない。大丈夫」虫「よかった」こんな会話から、怖い主治医とのやりとりが始まった。担当医のことを少し話題にした。担当医がまだ新人(?/10年ほど前)の頃、怖い主治医が指導(多分手術)したらしく、笑顔でそのことを語ってくれた。虫けらが、今回のケガのことについて話したら、それまで壁際の離れたところで話していた怖い主治医は、ベッドの左サイドまで近寄って足の状態を見てくれた。担当医がするようなアドバイスではなく、あくまでも一般的なケアの手法を教えてくれたり、感想を話してくれたりして、若い医師からは得られないベテラン医師の知見に感動した。話を聞いていると、怖い主治医は虫けらの状態を熟知していることがわかる。カルテをよく読み込んで分析しているのだ。ま、単純なケガなので、ベテラン医師にとっては大した労力ではなかったのかもしれない。話している間、虫けらは終始ベッドの上で、左足を(固定装具をつけて)伸ばして座っている状態。すっぴんの上、病院のパジャマを着て医療用の帽子をかぶっていたので、病人然と見えたのか、元気なときの虫けらより小さく見えたのか、それとも頼りなく見えたのか。ふと怖い主治医の顔を見上げると、初めて見るような、とても優しい笑顔で虫けらを見下ろしている。『こんな笑顔初めて…』と思った刹那、怖い主治医が虫けらを優しく抱き締めてくれた。はたから見たら、「ハグ」と言うかもしれないが、虫けらにとってはまごうことなく「抱き締める」であった。虫けらは、自らの手の置きどころに迷った。怖い主治医がすぐに離れなかったので、ゆっくり怖い主治医の背中に両手を回した。そのタイミングで、怖い主治医の虫けらを抱き締める力が少し強くなった。そして、耳元で小さく一言つぶやいた。が、虫けらにはその言葉が理解できなかった。気が動転していたのか、ぼうーっとしていたのか、はたまた腑抜けになっていたのか。「頑張れ」「大丈夫」「すぐ治る」などというケガに関する言葉か。しかし、もっと短い単語だったような気がする。この後ずっと考えているが、まだわからない。耳には入っているので、あるときふと思い出すかもしれない。随分長い間抱き締めていてくれた。といっても、5〜7秒くらいだと思う。意外過ぎる展開だったので、実際より長く感じたのか。これ以外にも、会話や絡み(変な意味ではない!)がいろいろあったが、全容は虫けらがあと数日で死ぬとわかったときにアップしようと思う。大丈夫。記憶が薄れないように、既に文章化してある。ふふふ。という、余りにも衝撃的な怖い主治医との面会だったのだが、その行動の根源は何なのかがわからずにいる。主治医が担当患者を心配する気持ち長い付き合いの患者をかわいそうに思った小さく哀れに見えた患者への衝動的な言動人の思いは全くわからない。直接聞いてみることはできないだろう。妄想に耽ることにする。実は、虫けらの妄想劇場の中で、こうしたハグシーンは登場したことがあった。シチュエーションも今回と同じ、再入院中。とはいっても、間抜けなケガではなく、ガンに関する症状(副作用など)での入院だが。今回の入院は、全く無駄な入院だと思っていた。経緯から言って、ちょっと注意していればしなくていいケガだったし、骨折ではなく、打撲程度に収まってくれていたら、入院は回避できていたのに…。担当医から、ケガの治療に要する期間は6週間ほどだと聞いた。このケガは、人生の終焉に来て、貴重な時間を削る本当に無意味なものだと入院中ずっと考えていたが、怖い主治医の虫けらに対しての言動を思うと、人生の貴重な時間と引き換えにしても余りある大変嬉しいことだったと思う。虫「冥土の土産がまたできました」怖「死なんよ」虫けらは、去年の入院時、怖い主治医との会話の中で、「冥土の土産」と言った。怖「またそんなこと言うて」と怖い主治医は少し表情を曇らせたが、今回は、笑顔で「死なんよ」と言ってくれた。いや、間もなく死ぬのは確かなのだが、「死なんよ」と言ってくれたことは、虫けらの気持ちを少し明るくしてくれた。何しろ、怖い主治医様の言葉である。あ、そうそう。一昨年からの課題であった、「虫けらの怖い主治医に対する気持ち」をそろそろ書かねばならぬと思っている。わかっていたが、結論づけることができなかったことも今回はっきりと認識できたので、近いうちに。退院前日の朝。このタイミングは、きっと怖い主治医が図りに図ったものだったのだろう。大変「スマートで、いい男」を自認していると思われる怖い主治医のことである。虫けらの感情や状況をうまく捉えて怖い主治医のことを最大限良好に印象付けることのできる絶妙のタイミングを図っていたに違いない。多分、虫けらが救急にやってきた直後(医師がカルテを開いたとき)虫けらの来院を察知したのではないだろうか(救急処置室で知ったのだが、ある人がある患者のカルテを開いていると、開いているのが誰だかわかるし、そのカルテを他人が扱うことができなくなるようだ。「開示中」のサインはどこででも確認することができる)。何しろ、何でも知っている怖い主治医のことだ。虫けらの情報はすぐに収集し、あらゆる策を講じていたと考えられる。と、妄想はこのくらいにして。今回の怖い主治医の来訪は、人生で最大級の驚愕と感動を与えてくれた出来事であった。ふふふ……。 つづく
2025.07.25
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今回は、整形外科病棟への入院だが、虫けらに関わってくれた医師は4名いる。回診に2度来てくださった部長先生を入れたら5名になる。虫けらは人気者である。病気(ケガ含む)に。【救急医 Dr.N】救急車で搬送されたとき、最初に診てくれた医師である。虫けらは、残念ながら「心細い」「不安」などという感情とは無縁の生き物なので、一般的な人々よりもありがたみなくこのドクターと接していたが、手際のよさ、判断の速さ、指示の的確さから救急医としては相当なレベルだと思った。もちろん、虫けらの症状が単純で軽いということがベースだが、イヤミを言ったり、不機嫌になったり、嫌な顔をしたりといった、救命救急の現場ではありがちな、感情が出る場面も全くなかった。常にポーカーフェイスで、ときには小さな軽口も叩きながら、スムーズにケガの処置をしてくれた。虫「こんなつまらないケガで救急要請してすみません」Dr.N「つまらないことない。救急車呼んでください(キリッ)」看護師「先生、座って作業してください。腰を傷めます」Dr.N「救急医は座らない」虫「素晴らしい。救急医のお手本!」Dr.N「(ニヤリ)」(指と爪を縫合してもらっているとき)虫「先生、麻酔効いてません」Dr.N「え、ほんと? 麻酔足しましょか?」虫「麻酔も痛いので、我慢します」Dr.N「そう。ありがとう」救急処置室でこんなほのぼのとした会話ができるのは、このドクターの人柄ならではなのだろう。入院4日目に、Dr.Nが病室を訪ねてくれた。虫けらは驚いた。救急医が病棟に来ることがあるのかと。Dr.N「左手親指の付け根、どうですか?」虫けらは何のことを言われているかわからず、虫「え、付け根? 爪しか問題はありませんが」Dr.N「そう。CTで付け根に骨折のような所見があると 書いてあったから」虫「いや…、痛みもありませんし、特に異常は…」と言いながら、ドクターに向かって手を差し出した。触診をしてくれるか、少なくとも目視で確認するかと思ったのだ。Dr.N「いや、僕が触ってもわからんし」えーーーっ、そうなの?そんなに虫けらに触るのが嫌なの?じゃ、何しに来たん?虫「いまのところ、問題ありません。 わざわざ来てくださって、ありがとうございます」Dr.N「いえいえ、当然です」という言葉を残して去っていった。一体何だったのだ。その日は、担当医が別の病院の診察が入っていて不在だったということが関係しているのかもしれないが、入院から4日も経って、それ? である。にしても、わざわざ病室まで足を運んでくださったのは、患者として大変ありがたいことである。しかし…、そういう疑問があったとしても、担当医に伝えて、担当医が虫けらに確認するのが筋というものだろう。翌日、このことを担当医に伝えたら、担「あー、(画像上)そう見えただけでしょう。問題ないですよね」虫「はい」で終了だった。先にも書いたが、Dr.Nは大変端正(精悍)な顔立ちである。上背がないのがちょっと惜しいのだが(あくまでも虫けらの私見)、いい感じの医師である。看護師の評判としては、「ちょっと変わってる」だが。。【担当医 Dr.I】初対面は、救急処置室である。背の高い、品のいい若い医師が虫けらの担当医と知って、ちょっとうれしくなった。顔立ちは、若い頃の仲村トオル的なあっさりした感じ。声は穏やかで、静かな話し方(声そのものは、少し少年ぽい。やや高めの成分がある)。表情を大きく変えないし、余り抑揚のない口調が年より落ち着いた雰囲気だ(虫けらの計算では、実年齢36〜38歳)。この若い医師が、毎朝8:30くらいに来てくれる。必要があれば、夕食後にも訪ねてくれる。こういう医師の行動は、患者に安心感を与える。虫けらのような単純なケガだと実感しにくいが、痛みや薬の副作用が出ているような患者だと、常に不安と苦痛に悩まされているわけで、そのことを医師が理解し、素早く対処してくれるのはこの上ない安心材料なのだ。退院後の初外来のとき、本来は、診察日でない担当医が特別に虫けらを診てくれた。診察日の月曜に設定したかったのだが、祝日に当たってしまったので、手術日の水曜日に無理して診察を入れてくれた。レントゲン画像で、手術の要不要を決定するのと、左手親指の抜糸をしてもらうためだ。本来の診察室ではなく、「ギプス室」という狭い作業場のようなところでの診察だったので、Dr.Iも虫けらも気持ちが落ち着かなかったのかもしれない。レントゲン画像による診断が終わった時点で、双方「終わり」の認識を持ってしまった。杖をついて廊下を歩き、待合室に戻ってしばらくしたら、看護師とともにDr.Iがやって来た。手には何かの器具を持っている(多分抜糸剪刀/ハサミ)。Dr.I「左手を…」虫「あ、抜糸をしてもらわないと!」またギプス室に戻った。待合室までやって来たDr.Iの姿を見ると、とてもかわいいと思った。「息子」と言うには少々年が上だが、看護師に指示するだけではなく、自らも来てしまうところに、誠実さを感じた。杖をついて歩く虫けらをまたギプス室に戻らせるのが申し訳ないと思ったゆえの行動だと思う。ドクターが来てくれたところで、虫けらの労力は1ミリも減らないのだが。これからも、何回か診察を受ける。(まだ)親しくなっていないし、軽口を叩くような人でもない。しかし、もう少し面白い会話ができたらいいな、と思う虫けらであった。【内科医 Dr.S】こんなイレギュラーな事故がなかったら、半年に一度の内科の診察を通常どおり受けるはずだったが、車椅子での外来受診は難しいということで(内科の待合室はいつも激混みである。しかも、診察室が外科や整形と比べて狭い。車椅子で入るのが困難なのだ)、病室に往診してもらうことになった。病室担当の看護師が14:00ごろに来てくれて看「S先生が往診してくれるんですが、 もう外来は終了しているはずで…」虫「時間の連絡はないんですね」看「ゆっくりランチでもされてるんですかね」虫「来てくださるのはありがたいので、待ってます」看「ちゃんと先生には伝わってますから、ちょっと 待っててくださいね」というやりとりの後、16:00まで待った。本当に来てくれるのか?車椅子の虫けらは、トイレに行く際、ドアを開けっ放しにして用を足さないといけない。車椅子が中に入らないからだ。14:00からずっとトイレを我慢していた。早よ来てくれい!この時間は、日中と夜間の看護師が申し送りをする時間。いまのうちにいつドクターが来てくれるのかを確かめないと、事情を知っている日中の看護師が交代していなくなる。これはいかん、と車椅子でナースステーションに行った。一番近くにいた女性看護師(初見)に目配せした。看「何かご用ですか?」虫「内科のS先生が往診に来てくださる予定ですが、 まだなんです。お忘れではないかと思って」病室番号と名前を名乗って聞いた。看「調べてみます。お部屋でお待ちください」不安だ。明日退院だというのに、今日往診がなかったら、どうなるのだ!ヒヤヒヤものである。一向に返事がないまま、ひたすら待っていたのだが、看「夜の担当の◯◯です。何かありましたら…」男性看護師が部屋にやって来た。虫「実は、内科のS先生の往診が…」事情を説明した。看「わかりました。ちょっとお待ちくださいね」時刻にして17:00。間に合うかどうか、ギリギリの攻防になった。5分ほどして男性看護師が戻って来た。看「先生に連絡したら、明日が退院とご存じなかったようで…」虫「え、明日往診のつもりだったってこと?」看「よくわからないんですが、間もなく来てくださると思います」虫「わかりました。待ってます。ありがとうございます」結局、先に問い合わせを依頼した女性看護師は何の仕事もしなかったということだろう。こういうとき、やっぱり男性の方が仕事をするな、と思ってしまう(多少の偏見あり)。17:30に担当医の I 先生が最後の診察に来てくれた。退院後のスケジュールや段取りを話しているときに、内科医Sがドヤドヤとやって来た。診察室では、こんなにでっかい(横幅と顔)人だとは思わなかった(前回の診察から半年経っているので、その間にでかくなったのかも)。対してすらっと長身なDr.Iがとてつもなく格好よく見えた。しかも、「お話中なら、後で…」とか、「よろしいですか?」といった言葉もなく、ズカズカと入ってくるではないか。やおら大きな声で話し出す。Dr.Iが「診察日、よろしく」的な仕草と雰囲気で、場を辞する。あー、もうちょっと話したかったなぁ。入院中の最後の会話なのに。内科医Sの説明は簡単なものだった。Dr.S「検査結果は問題ないので、また半年後に」だけである。伝言でもよさそうなものだ。Dr.S「9月か10月に予約入れてくださいね」という言葉を残して去っていった。トイレを我慢し、病室から出るのを控えていた虫けらの2時間半を返してくれい!!!【怖い主治医】怖い主治医の診察予約も1ヵ月と少し先に入っている。絶対この日でないとダメ、という診察ではないので、早めに状況を説明し、診察日を後にずらしてもらう方が迷惑をかけずに済むと考えた。入院3日目の朝、その話をしたかったのだが、担当医 I 先生は朝の診察時、歯磨きをするために洗面所(兼トイレ)にいた虫けらに気づき、Dr.I「後でまた来ます」とスルーして他の部屋に行ってしまった。2時間待っても戻って来てくれなかった。その日は手術日だからか、夜の診察もなかった。翌日は別の病院の診察でお休み。翌々日にようやくその話ができた。虫「主治医の◯◯先生は、私が入院していることご存じですか?」Dr.I「気付かれているかもしれません。僕からは言ってませんが」入院5日目である。きっと怖い主治医は知っているだろう(「怖い主治医は何でも知っている!?」)。病院内での虫けらの行動はすぐさま察知する怖い主治医のことだ。虫けらは、入院した日に会いに来てくれると思っていた。なぜ会いにくる?主治医だからじゃないか。根拠は薄弱だが、きっと会いに来てくれると思っていた。しかし、入院5日目にしてもまだ来ない。しかも、担当医は報告すらしていないという。そんなものなのか。それ以後もずっと怖い主治医は来てくれなかった。次の診察を延期しなくてもいいものか。ま、退院してから電話してもいいし、怖い主治医に直接言わなくても問題ない。これを口実に看護師などを介して連絡してもらったら、あざとすぎる。診察日までまだ5週間ある。ケガがどんな状態になっているかもわからないのに、早々に連絡する意図にあざとさがにじむではないか。怖い主治医が来てくれることはないな、と入院1週間で諦めた。どんなに手段を講じても、偶然を装って会うシチュエーションは創り出せなかった。そうして過ごした、退院1日前の朝。9:30くらいにノック音がした。担当医の診察は8:30(既に来訪済み)。バイタルチェックは10:00過ぎ。掃除は既に終わっている。誰だ? つづく
2025.07.24
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通常の入院は、ドクターのオペ日程や自身の仕事の都合などを勘案し、1週間とか、ひと月などの猶予をもらえる。が、今回は救急搬送からの緊急入院である。入院必至なのは想定していたので、必要最低限の所持品は確保していた。抗がん剤の治療に際して、予期せぬ副作用や、緊急性のある症状が出た場合、入院を指示されることがあるので、虫けらはいつも入院セットを用意していた。(詳しくは、人生の終焉に…緊急入院の顛末 ②をご覧ください)今回の入院で、これは大変役立った。実は、病院で購入できるものがある。●ティッシュ(Box)●歯磨きセット●コップ(でんしレンジ対応)●箸とスプーン●ゴミ袋(20L)●タオル(安物)●ハンドタオル(安物)●シャワー3点セット(試供品サイズの シャンプー・コンディショナー・ボディソープ)このセットで1800円である。全て百均で揃うような品質なのに。。せいぜい700円くらいだろう。ボッタクリである。しかし、救急車で搬送してもらうときに、こういうものを持参するとなると、荷物がかさむ。他にも必要なものがあるので、カバン一つに収まりきらないこれらは、購入となることも致し方がない。虫けらは、携帯電話2台とイヤホン、充電セットは絶対必要だと思う。2泊以上の入院なら、パソコンが欲しいところだが、パソコンは荷物になるし、その重さから勘案して、退院時に大変な負担になるだろうと予測された。泣く泣く諦めたが、それを補うのが2台の携帯電話である。1台はアクティブ(メールチェックやメールの送受信、Xのチェック、買い物、調べ物など)に使用し、1台はYouTubeなどの動画を視聴するのに当てる。イヤホンは、動画視聴のときに必要になる。前回のブログに書いたが、入院生活は慌ただしい。しかし、下界と隔絶されるのは避けたい。今回の入院中には、ブルーインパルスの編隊飛行があり、この情報入手にも携帯電話が役立った(イベント自体は入院前から知っていたし、スケジュールをカレンダーに記載していたのだが、当日の各種変更事項のチェックは重要)。病室にはテレビがあるが、そもそももう5年以上テレビを観ていないので、今更何を観るということもない。旅行に行ったとき、一応つけるにはつけたが(ご当地の番組を観てみようという気持ちで)、相変わらず大した番組をやっていないので、数分で消した。ポケットWi-Fiも一応持参した。病院にはWi-Fi設備があるが、速度や容量に問題があるときは、持参したポケットWi-Fiを使用するという保険。これだけ機器を持ち込んだら、絶対必要になるのが充電関連機器。ケーブルの長さのバリエーションも考慮しないといけない。最近のベッドの枕上部分には、各種機器との接続コネクタとともにコンセント(4口程度)があるが、古い病院なら、その限りではないだろう。さらに、以前の入院時に必須としていたのが「飲み物」の確保だ。病院には必ず売店があるが、スペースの関係で2Lボトルなどの大容量飲料は置いていない。いちいち150円で500mlの飲み物を買っていては、飲み物代がかさむ。前回は、2Lのアクエリアスを数本とキレートレモン数本を持ち込んだ。今回はそれができなかったので、「麦茶」「ビタミン飲料」のペットボトル(500ml程度)を購入し、飲み終えたボトルに無料の水と煎茶(配膳室や談話室に給湯器が置いてある)を注いで(朝と早い夕方。これで2Lが確保できる)入院中の水分補給を賄った。下着1枚とタオル1枚は持参していたので(タオルはぼったくり入院セットに1枚入っていたので計2枚)、これで何とかなった。しかし、タオルはもう1枚、靴下も1足余分にあるとよかった。これで本当に足りるのか、と思うが、下着も靴下も手洗いしてトイレに干していたので(個室を取ったのでできたことだが)、何とか賄えた(靴下は数日後に追加購入した)。贅沢を言えばキリがない。女性なら、化粧品(スキンケア用品)は必携だが、虫けらはかなり無頓着な性格なので試供品サイズの化粧水と美容液、クリームだけだった。洗顔料は入っていたが、メイク落とし兼洗顔料だったので、すっぴんの顔にはきついだろうと判断し、体を拭きに来てくれるときに、最初に顔を拭かせてもらい、朝晩の洗顔は、水洗いのみで乗り越えた。ブラシ(髪用)は必要だと思う。虫けらは、抗がん剤の影響で髪がおかしいので、医療用のキャップを被っていた。髪型や寝癖を気にすることはついぞなかったが、そういう問題がないなら、ブラシがないと困ったと思う。問題は「着替え」である。パジャマは、病院のリース品を利用できる。1着150円と安価だし、洗濯は必要ないので柄やデザインに文句がないなら、利用すればいい。しかし、同じパジャマを着ている人が大勢いるので、体型を比べられたり、没個性になることは必至である。下着が厄介である。病院では、各種検査を頻繁に受ける。そのとき、金具があるものはNGだ。虫けらは、救急搬送時にタンクトップインナーをシアーシャツと合わせて着ていた。入院時はタンクトップインナーを下着代わりにしていたが、退院時にも着用しなければならないので、代わりの下着が必要だった。下着にもなり、トップスにもなるものが欲しい(冷房が効いているときは、パジャマだけでは寒いし、効いてないときは、パジャマを脱いで下着だけで過ごしたい)。看護師さんに確認したら、病院が宅配便を受け付けてくれるとのことなので、アマゾンで購入した。●ノースリーブのTシャツ2枚セット●靴下5足セットこれは、大変助かった。靴下は病室では履かないのだが、検査など病室から離れるときには、裸足では危ないだろうし、ちょっと失礼な感じがする。あ、病室を出るときは、車椅子を使っていたので、怪我した方の足は靴は履かないから、そう感じたのだが。そんなこんなで、11日間の入院生活を何とか凌いだ。余談だが、今回は、見舞いの打診を全て断った(相手は全て男性。お客さんがほとんど)。何しろ、検査などで忙しいし、余りに汚いすっぴんを見られることも、病院のパジャマを着ていることも、車椅子生活であることを、見られたくなかった。そもそも、短期の入院で済みそうなので、退院してからゆっくり会っていただくということで、了解してもらった。入院期間をできるだけ短縮するというのは、いまの医療界の方針のようだ。昔なら、1ヵ月ほど入院という症例でも、最近では1週間〜20日間ということも少なくない。年齢(身体能力)や自宅での生活状況などを勘案して期間を決めるようだが、身体能力も自宅での生活状況も問題のない虫けらは、1週間で退院日程を決めるということになった。そのときに状態がよくても、その日(月曜日)に退院というのは無理なので、翌日(火曜日)に、ということになったのだが、水曜日に別の科の検査・診察の予約が入っていたので、それを済ませた木曜日に退院ということにしてもらった。(もし、月曜日の検査で状態が悪化していたら、手術〜経過観察で2週間、リハビリの状況でさらに数週間追加入院になることもあるそう)2日間の延期のために入院費用がかさむことになったのだが、そんなことは藻屑と消えるほど衝撃的な出来事があったので、延期になって「よかったー」と思った。そのことは、次回(か次々回)に記すとして、そんなことがないように祈りながらも、新たな入院セットを構築することにしようと考える虫けらであった。 つづく
2025.07.23
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「入院」と聞くと、「眠りたい放題」というイメージがある。生活時間のほとんどをベッドの上で過ごすのだから、いつでも睡眠を貪れると考えるのが普通だろう。入院初日の夜は、痛くて眠れなかった。病室に入ってすぐ、虫けら「痛み止め、出してもらえますよね」看護師「先生にお願いしておきますね」という会話があったのに、しかも、夕方病室に来てくれた担当医にその旨を伝えたのに、結局、夜の痛み止めが出なかった。救急外来で、救急医が指示してくれた1錠は13時半くらいに服用したので、寝る前には薬効は切れていたはずだ。ひどい話である。ところが、外が明るくなってくると、眠気が襲ってくる。YouTubeの音声を聞きながらコクッとなったところで、「おはようございまーす。お薬出てますー」と唐突に看護師が入ってきた。慌てて起きる。痛み止めだった。朝食後の服用なので、まだ飲めない。時刻は6:30である。7:00前「日中の担当の◯◯です。何かあったらすぐに呼んでください」担当看護師が挨拶に来る。7:00過ぎ「お茶かお水、ありますかー?」と、朝食用の飲み物担当の女性が入ってきた。7:30過ぎ「おはようございます。朝食です。お名前をフルネームでどうぞ」8:00過ぎ「お食事終わりましたかー?」食器を下げてくれる。歯磨きや洗顔を済ませたら、8:30担当医の朝の診察。現在の状態のチェックと治療方針の説明。9:00前「お掃除させていただいてよろしいでしょうか」お掃除の係の人がやってきた。9:00過ぎ「ゴミはありますかー?」お掃除が終わるとゴミの回収。10:00前「血圧とお熱を計ります」担当看護師が登場。10:00過ぎ「栄養士の◯◯です。ちょっとご説明、よろしいですか?」「薬剤師の◯◯です。薬についてのご説明をします」「リハビリ担当の◯◯です。午後からのリハビリについて ご説明します」連続の来訪。11:00前「お身体を拭くのと、洗髪となら、どちらがいいですか?」洗髪がいいと告げると、すぐに行こうと言われる。11:30洗髪から戻って髪を乾かしていると「お茶かお水をお持ちしました。ありますかー?」12:00前「昼食でーす。お名前をフルネームでどうぞ」ランチがやって来た。12:30「お食事、終わりましたかー?」13:00「リハビリにまいりましょうか?」理学療法士がやって来た。リハビリメニューは約1時間。14:00リハビリから戻る。14:00過ぎ脚の固定装具を販売する業者がやって来た。事前に身長・体重を聞いていたのか、虫けらの体型に合う装具を持参している(実は、この病院では、一昨年の最初の入院の際に計測した数値がそのまま使われている。虫けらはその数値から変化がないのだが、そんな人ばかりではないだろう。大丈夫か?)。業者はおっさん(すみません)。やおらベッドの上の虫けらの足に装具を装着していく。装具の説明と注意事項、料金の支払い方法を指示される。それまで虫けらが着けていた装具を回収し、「返しておきますね」と、病室を出る。所要時間30分くらいか。15:00「血圧とお熱を計らせてください」看護師の来訪。15:00過ぎ「傷口の洗浄をします」左手親指の手当てをしてもらう。これを終えたら、店の予約のキャンセルや連絡が必要な関係先へのメールや電話を始める。間の悪いことに、結構たくさんの予約が入っていたし、店のシロアリ駆除のスケジュール調整やゴミ回収業者への一時休止連絡、保険会社への問い合わせなど、連絡先がたんまりあった。17:00「お変わりありませんか?」担当医の来訪である。メールのやり取りの真っ最中なのに、一時休戦となった。17:30「お茶かお水をお持ちしましたー」18:00前「夕食でーす。フルネームでお名前をどうぞ」19:00前「お食事は終わりましたかー?」19:00過ぎ「夜の担当の◯◯です。何かありましたら、 いつでもコールしてくださいね」日中と交代した看護師がやってくる。20:00前後「血圧とお熱を計らせてください」こんな調子である。いつ、眠れるというのか。21時の消灯までに、夜中や朝の飲み物の準備やグルーミング、メールチェックや対応、サブスクの生番組の視聴などやることは山ほどある。入院生活は忙しい。昼間の忙しさから、夜はよく眠れそうなものなのだが入院から3日目くらいまでは余り眠れなかった。怪我の痛みが第一の理由だが、寝返りが打てないことや固定装具のために思ったように脚が動かせないことが大変なストレスになっているようだ。入院生活は始まったばかりである。 つづく
2025.07.20
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救急搬送されて、ようやくたどり着いた救急外来。ストレッチャーで運び込めないほど混雑している。廊下には家族らしき人々。救急車には、家族などの同乗者が必要なのだが、虫けらには近くに肉親や親戚がいないので、一人でやってきた。もし前夜、心配して声をかけてくれた女性に119番通報してもらったら、同乗してもらう羽目になったかもしれない。結構ややこしいのだ。救急搬送途中に死亡することもあるだろうし、意識不明の状態で搬送したら、(連絡先などがわからぬままなら)以後の措置が煩雑になるだろう。最近は、日本に住む外国人が気軽に救急搬送要請をするらしく、有料にすることも検討されているとか。有料になることは致し方ないが、原因が外国人の節操のなさだとしたら、日本人としては情けない限りだ。虫けらのように、「救急搬送を要請する条件」をいつも意識しているのが日本人というもの。できるだけ人の力を借りず、できるだけ人の迷惑にならず、できるだけ社会の荷物にならぬよう配慮して生きている、それが日本人なのだ。救急外来に入ると、先客がわんさかいて、看護師も医師も入り乱れて作業しているが、とりあえず虫けらにも担当看護師がついてくれた。虫けらを搬送してくれた救急隊の一人が、救急医に状況を説明してくれている。救急医は虫けらの電子カルテを表示しながら救急隊の説明を入力していく。看護師と虫けらはしばし待機。一通りの作業が終わった救急隊は、虫けらに向かって一礼、虫けらは虫「ありがとうございます。お世話になりました」と声をかける。救急医が虫けらの前に立つ。医「左脚と左手親指やな」と言いながら、虫けらの左脚と左手を目視する。医「この他に痛いとことかない?」虫「ありません。怪我もありません」医「全身を確認しますね」救急医が頭から肩、背中、腕、腰と、上から下へと触診(服の上から)しながら確認する。医「他は問題ないな。 採血とレントゲン、CTも撮って。あ、先に痛み止め飲ませてな」看護師は虫けらの車椅子を押しながら、採血できるスペースに移動。採血が済んだら、3階の検査室に移動だ。救急外来から出ようとすると、最初に指示してくれた救急医が医「痛み止め飲んだ?」忙しい中でもチェックしてくれる、気遣いのできる医師だと感心した。こういうガチャガチャな状況では、医師も看護師も、患者自体もいい加減になるものだ。しかし、虫けらにとっては、「痛み止め」という特効薬が何よりも必要だし、これを求めて救急外来に来たと言っても過言ではない。虫けらとしては、「服用」ではなく、「静注」で入れて欲しいくらい即効性が求められたが、わがままは言えない。服用で我慢した。左脚と左手のレントゲンは、技師が新人なのか、大変時間がかかった。脚の向きや角度を変えるのは大変な痛みが伴うのだが、経験が浅い技師は、機器ではなく虫けらの脚をあらぬ方向に向けようとする。痛いのだが、いちいち痛いと言っていては面倒な患者と思われかねないので黙っていた。すると、先輩の技師が出てきて指導する。『先に指導してくれよー』虫けらを実験台にするなよと心の中で思う。CTに至っては、ベテランと思しき男性技師なのに、車椅子から3〜4歩ある機器まで技「歩いてこちらに来れますか?」と聞いてくる。虫「一歩も歩けません」と言うしかない。医師や看護師なら、こういう間違いはしないと思うが…。画像撮影が終わったら、再び救急外来へ。採血の分析や画像が電子カルテに送られるまで待機。救急医が虫けらのところにやって来て、医「とりあえず、左手の爪を処置しよか」(左手親指は、多分ハンドルか倒れてきた車体に引っ掛けたようで、爪の上半分が内側から外側に向かって割れて剥がれかけている。事故当初は大変な流血だった)虫「どうするんですか? 爪を剥がす?」医「え、剥がしていいんですか?」虫「剥がす以外にどんな処置を?」医「縫います」虫「縫う?」医「爪はあった方が指にはいいんです。 残った爪が生えて伸びるまで、 置いておいた方がいい」ということで、爪と指先の肉を縫い付ける処置が施された。親指の付け根に麻酔が打たれる。その痛みたるや…。薬剤が溜まってぷっくーと膨れ上がる。救急医がひと針目を爪の右側に入れようと患部に器具を当てる。虫「先生、まだ麻酔が効いてません」医「ちょっと置こか」30秒ほど待って再び針を入れる。医「痛いですか?」虫「痛くないです。針が入っているのはわかりますが」二針目。痛みはない。麻酔が効いている。三針目。痛い!虫「先生、麻酔が効いていません。痛いです」医「え、痛い? 麻酔足そか?」虫「麻酔も痛いから、このままでいいです。 我慢します」結構な痛さだが、麻酔の注射をまた打たれるより、縫合を続行してもらった方がよいと考えた。看護師が医師に向かって声をかける。看「先生、座ってください。腰に来ます」医「救急医は座らない」面白い先生だ。いや、見上げた先生だ。いちいち座っていては、次々にやってくる患者をさばけない。救急外来というのは、そういうものであり、この先生は、それを体現しているということだ。大変痛いのを我慢しながら、縫合は終わった。医「脚の方の説明をします」モニターにCTの画像を映しながら医「ここが折れてます。場合によっては 手術が必要になりますね」虫「プレートですか?」医「ん、どういう手術にするかは、整形の担当医と 相談して決めてください」救急医とはここでお別れし、整形の担当医の元へ。救急医は、精悍な顔立ちながら、小柄なせいで威厳がない(あくまで私見です。勝手な評価、申し訳ありません)。比して、大変高身長の好青年の担当医。話し方も穏やかで、感じがいい。この人が虫けらの担当医になってくれるのかと思うと、少し安心だ。波長の合わない、きつい感じの医師だったら(怖い主治医のような)、怪我のショック(余りないが)に加えて心の負担になるに違いない。担「いまは、ヒビの状態ですが、ズレたら厄介なので、 プレートを入れた方が安心やし、治りも早いです」虫「ズレなければ、手術は必要ないんですよね」担「保険として、ボルトだけ入れる手もあるけどね」虫「ずれないように注意します。手術はしない方向で お願いしたいんですが」担「……ん、それなら、1週間様子見ましょか。 1週間後に決めるということで」虫「はい。最低1週間の入院ですね」担「リハビリもありますから、2週間くらいと思ってください」虫「わかりました」かくして、緊急入院ということにあいなった。車椅子に乗ったまま病棟へ。救急外来に到着してから病棟に上がるまでおよそ3時間。気がついたら、病室にいた虫けらであった。 つづく
2025.07.19
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自らの自転車に襲撃されて、膝下を骨折(多分。打ち身でこれほどの痛みは発生しない)した虫けらは、まんじりともせずに一夜を過ごした。連続営業の疲れが厳然とあり、片脚歩き、片脚漕ぎで体力を消耗したこともあり、とりあえず少しは眠りたいのだが、1分ごとに脚の状態を変えないと痛くてどうしようもないので、眠ることができなかった。早朝(4時ごろ)、救急隊出動の要請を覚悟し、「さて、スケジュールをどうするか」と考えた。救急隊出動の要請時間は、近隣住民が動き出す時間と重なるのは避けたい。救急車の存在やサイレンに騒然となるだろうし、エレベーターを占領することになる事態が大変迷惑だろうと考えたのだ。しかし、人々がまだ眠りの中にいる今の時間帯はもっと迷惑だろう。昼前まで待つか。それまでどう過ごすか……。飲み食いができない。昨夜からゲリリンが続いている上に、飲み食いの末の尿意、便意は必至である。トイレに立つ回数を少しでも減らしたい。何しろ、余りの痛さと体力の消耗で、汗だくになるし、ほとほと疲れてしまう。1分ごとに脚や体勢を変えながら、7時間以上をマッサージ機の上で過ごしたが、そろそろ準備をしなければ。1〜2日の入院に対応する備品セット(下着、タオル、ウエットタオル、スキンケアセット、歯磨きセット、うがい薬、ティッシュ)、ポケットWi-Fi、充電ケーブル、副携帯、イヤホン、メガネ、ボールペン、医療用帽子など携行品をちょっと大きめのバッグに詰めた。パジャマは2階に上がらないといけないので諦めた。本当は、もっとたくさん必要になる(下着やタオル)だろうが、救急車に持ち込むことを考えると、バッグ1個に収めないと顰蹙ものであろう。正午を過ぎた。救急隊も病院の救急医や看護師も昼食を取る時間が必要だ。13時まで待とう。その間に身支度と着替えをする。立った姿勢での着替えは無理だ。洗面所に座り込んで、左脚を伸ばしたままスラックスを履き、下着や上着を着る。靴下を履くのが困難。くるぶし下のソックスをかかとまで下ろすのがこんなに大変なのか。日頃から柔軟体操をしていればよかった。虫けらは体が硬い。ストレッチや簡単な運動を布団の上でするのが習慣だが、柔軟体操はほとんどしたことがなかった。(しかし、2日もすると、すんなり履けるようになった。これを機に、柔軟体操をしよう)用意を済ませ、カバンを玄関に置いて携帯で119をコールする。119「消防ですか、救急ですか』虫「救急車をお願いします」119「どんな状態ですか?」虫「左脚の膝下が骨折したようで、歩行不能です」こうしたやり取りで、救急車を要請した。119「玄関の鍵は開けられますか?」虫「今、玄関から電話しています。鍵は開けました」119「では、しばらくお待ちください。いま…出動しました」119のオペレーターの言葉が終わる前に、サイレンの音が聞こえた。実は、虫けらの自宅と最寄の消防署の直線距離、100m余りと、大変近い。この分だと、1分もあれば到着するだろう。余談だが、大阪市の救急隊は男前が多い。夫のために救急要請したときは、大抵同乗することになるのだが、いつも3人1チームでやってきて、搬送者を救急車に乗せるまでは3人で、救急車の中では一人は運転に専念、後の二人でバイタルチェックや搬送先病院への連絡などをこなしていく。これまでは、3人とも若い男性だったが、今回は、年配者が一人入っていた。年配の人間は経験値もあるし、判断力も高いだろう……と思った虫けらは浅慮だった。年配の隊員が一番使えなかった。救急搬送要請しておきながら、この言い分は大変失礼だと思う。謹んでお詫び申し上げます。自宅前までは、椅子型のストレッチャーを運び入れてくれた。隊員の肩を借りてどうにか腰掛け、エレベーターで降ろされる。マンション前で、ストレッチャーに乗せ換えられる。しかも、自力でだ。両足負傷なら、抱え上げて乗せ換えてくれるのではないか。振動さえも痛い状況なのになかなか厳しい対応だ。若い女性なら、もっと扱いがよいのではないか。そんな要らぬことを考えるのも、救急車の出動要請が初めてだからで、次回の際は、達観した状態で乗り込めるはずだ(次回はないと願いたいが)。虫「◯◯◯病院に行くことはできませんか?」救「救急の場合は、病院を指定できませんよ」虫「いまかかっていますし、基本情報があるので、 整形が対応できるなら、スムーズにいくと思います」救「基本情報?」虫「緊急連絡先とか、保証人とか。入院したことがあるので」救「何でかかってるの?」虫「がんです。大腸がん」骨折とがんは関係ないが、がんは長期間の治療を要する病気なので、ちょっとかかったことがある、というのとは全く違う認識になるだろうと思う。診察券と保険証を出したら、すぐに問い合わせてくれた。救「◯◯◯病院に向かいます」よかった。入院に関する情報があるのは便利だが、何より近い。退院後の帰宅のことを考えると、できるだけ近い方がいい。すぐに病院に到着。何せ、1kmそこそこの場所だ。救急入口にストレッチャーで到着したら、病院の職員が出てきて、病「いま、混んでいてストレッチャーを入れる場所がないので、 車椅子に乗り換えてもらえますか?」また自力で乗り換えだ。過酷である。事故から15時間。ようやく病院に到着した。さて、どんな処置をしてくれて、どんな診断結果が出るのだろうか。虫けらは、骨折だと思っているが、実際はそうなのか、違うのか…。この瞬間から、11日に及ぶ入院生活が始まった。さて、虫けらの脚はどうなっているのか。次回に続く。 つづく
2025.07.18
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6日の夜、緊急事態が起きた。脚が動かない。歩けない。どうする……。と、大げさに書いているが、つまりは、左膝下を強打して骨折した、ということだ。営業後の22時過ぎ、自転車で帰路についたのだが、数日間の連続営業で少々疲れていた。自転車に乗ってしばらくして(店から100m足らず)「携帯をカバンに入れたか?」疲れのせいで、こういううっかりミスを犯しがちだ。手を伸ばして前かごの中のバッグを探る。無事、携帯電話があったことを確認した刹那、右側から来る自転車を察知。バッグを見ていたので、認知が遅れた。当該自転車が虫けらの寸前を通過する際に虫けらが焦ってハンドルを左に切る。バランスを崩して転倒。受け身を取って、仰向けに倒れる。次の瞬間、自らの自転車が虫けらを襲う。右脚は自転車から離して上方に上げていたが、地面側にあった左脚の上に落ちてきた。虫けらの自転車は、中国製の安物で、大変な重量がある(鉄製)。地面と自転車に挟まれた左脚の膝下に激痛が走る。動けない。女性「大丈夫ですか?」虫けらの後方から声をかけてくれた女性。顔を上に向けて女性の顔を見る。虫「大丈夫です」女性が自転車を起こしてくれた。しかし、立てない。なぜか左手親指が流血している。女性2「頭打ってないですか? 救急車呼びます?」虫けらの前方から違う女性が声をかけてくれる。虫「頭は大丈夫です」大げさなことになったら、救急車を呼んだ人にも迷惑がかかるので、無理をして立ち上がる。虫「ありがとうございます。大丈夫です」虫けらが立ったのをきっかけに、女性二人はめいめいの方向に歩き出した。が、虫けらは一歩も動けない。5分以上そうしていたのではないか。とにかく左脚が前に出せない。とは言っても、そこにずっと立っているわけにはいかない。自転車のハンドルを杖代わりにして、片脚歩きで歩を進めた。100m以上歩いて大きな交差点に出た。自宅に戻る覚悟をし、レバーを回してサドルを下げる。自転車の右側に体を回してまたがる。信号が青になったタイミングで漕ぎ出す。片脚漕ぎで走る。店と自宅のちょうど中間地点に通っている病院がある。夜間の救急外来に駆け込むことも考えたが、「入院」となったときに必要となるものがないと、とんでもなく不自由な時間を過ごすことになる。とりあえず自宅を目指す。自宅に戻ったら、2度と自力で外に出られないことは理解していた。「救急車」の3文字が頭をかすめる。この脚では、タクシーを呼んでもマンションの1階に降りることができない。救急車はいやだが致し方ない。救急車が「いや」な理由は、1.そもそも自損事故(悪いのは自分)2.骨折という単純な怪我3.命に別条がないのに、大げさ常々、命に関わる重病人が救急車を要請すべき、と思っている。自分の状態は、恥ずかしいくらい救急車にそぐわない。しかし、歩けないのだから、誰かに運んでもらわないと病院に行けない。どうにか自宅にたどり着き、自転車を停車させてケンケン歩きで部屋に入る。寝室は2階だが、上がれる状態ではないので、1階リビングのマッサージチェアの背もたれを倒してそこに寝転ぶ。夜中の救急車要請は目立つし、周辺のお宅の安眠を奪う。何より、虫けらが救急車で運ばれたら、しばらく帰宅しない留守宅になることがバレる。泥棒が怖い。朝か、昼まで我慢しようと思う。眠りたいのだが、膝を曲げて1分、伸ばして1分、曲げて1分……1分しか同じ姿勢を続けることができない。痛みのために眠れない。そんな状態なのに、虫けらの体質を恨むしかない症状(ゲリリン)が夜通し続く。翌日の昼前までに5回もトイレに立つことを余儀なくされた。古いマンションゆえ、部屋ごとに段差がある。リビングと廊下、廊下とトイレにかなりの段差があり、片脚でジャンプするのは至難の技だ。健康体なら問題ないが、左脚に振動を与えると、激痛が走る。ドアノブやドア枠、家具などを掴みながら、通常なら7〜8歩の距離を3分以上かけてにじり歩く。人生最初(で最後にしたい)の骨折は、もっと若いときに経験しておくべきものだったと思わずにはいられなかった。骨折の痛みは大変なものだ。特に脚は、浮かしておくことが不可能な部位なので、痛みに加え、不自由さもひとしおである。若いときなら筋力ももっとあったし、体幹や反射神経も鋭かった。人生の終焉に、大変なことになった。しかし、不思議なことに虫けらはこういう事態になったときに「後悔」しない。「カバンを探るとき、自転車を止めたらよかった」「店を出る前に、携帯を確かめたらよかった」程度のことは思わないではないが、起こった事件そのものについて悔いたり、悲しんだりすることがない。さて、これからどうしよう、としか思えないのだ。この事件が、必ずしも悪いことばかりをもたらすとは限らないし、何より、後悔などしても仕方がない。時間を逆戻しできるなら、精一杯後悔してもいいが、どうにもならないことを考えるのは無駄だ。さて、虫けらがこの後どうするか、乞うご期待である。 つづく
2025.07.17
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