全7件 (7件中 1-7件目)
1

あす、入院する。左脚の骨折部を手術するためである。救急隊、救急医、怖い主治医が「どうやって骨折した?」と疑問と驚きの表情を隠さずに聞くほど、外傷がなかった左脚だが、いよいよ手術のために傷がつく。というわけで、ここに遺影を掲げておくことにする。ここひと月以上、ベッドとなっていたマッサージチェアの上。派手な布はタオルケット代わりのバスタオルこうして並べて見ると、違いは歴然。向かって右側が折れた左脚。膝頭と膝周辺が腫れているのは、水が溜まっているからとのこと(リハビリの理学療法士談)。ひと月以上歩いていないので、ふくらはぎがしぼんでしまっている。全体に浮腫んでいるのだが、足首から爪先にかけてが顕著。足首は、歩いていないことによる緩みもあるか。膝もよく曲がるし、股間節や膝の可動域もほぼ戻っている。とはいえ、膝の曲がりは水のせいで9割ほど。それでも、脚を組んだり、体育座りするのは大丈夫。あとは歩く訓練をするまでになれば……、というところなのだが、それまでにまだ時間がかかるらしい。その時間を縮めるために受けるのが、今回の手術。「髄内釘(ずいないてい)」という、脛骨の中心に金属を入れ、それに向かってビスを刺して固定する方法と、プレートとビスで固定する方法のどちらかを採用するとのこと。担当医の「開けてみないとわからない」という不安定な発言に抵抗することもできず、とりあえず任せるしかないのかと諦念している。体に傷をつけるのは本意ではない。しかも、残りわずかな時間なのに、ここへ来て手術とは……と、やりきれない思いなのだが、人生何事も経験、と思うことにする。ま、もう新しい経験は必要ないのだが。これは、怖い主治医の驚くほどの心配ぶりと、CT画像(がんの)を見た虫けらが下した判断である。誰の責任でもない。両手が使えないので、リュックを購入した。まだ使っていないキャリーバッグ(ケガの1週間後に予定していた旅行をキャンセルしたゆえ)は杖をついているから使えない。悔しい。30L入る。サイドのファスナーを開けると、37Lに拡張リュックに、病院から指示されたものどもと、タオル、パジャマ、下着、グルーミング用品を入れたら、10kgほどあるのではないかという重さになった。杖をつきながら背負って歩くのは大変である。よって、ノーパソを持参するのは諦めた。死後の処理リストを仕上げようと思っていたのに……、仕方ない。昨日、店のお客さんが自宅に遊びに来てくれた。リュックの左サイドにペットボトル用のポケットがあるのだが、そこにハンドグリップをねじ込んでくれた。せっかくなので、入院中は握力の維持に努めよう。ケガをしてから体重が減った。2kg以上3kg以下というところで、筋肉が落ちたことと、脂肪も一緒に落ちたことが原因のようだ。タニタの体組成計で計測すると、内臓脂肪レベルが4から2になっていた。体脂肪率も10%ほど落ちている。このままカヘキシアに移行しないように注意せねば。とりあえず1週間程度、上げ膳据え膳の生活を満喫する。手術による体力消耗も覚悟しないといけないが、余り深く考えずに、状況の好転を願って担当医先生様にお任せしよう。今夜は、傷のないきれいな脚を存分に撫でておくとする。そして、感謝を述べておこう。長い間、ありがとう。あとちょっとの間、よろしくお願いします。 寂 寥
2025.08.24
コメント(2)
虫けらは、7月最初の日曜日に負傷した。自転車での転倒事故が原因。自転車の前カゴに入れたバッグを探っているとき右側から来た自転車を咄嗟に避けて左にハンドルを切ったことからバランスを崩して転倒。受け身の完璧な虫けららしく、転倒自体での負傷は皆無だったのだが、転倒した左脚の上に、安物の自転車が落ちてきた。大変重い虫けらの自転車(鉄製)が左脚膝下の、筋肉も脂肪もついていない骨ばった部位を直撃した。すぐに骨折だとわかったが、その場で救急車を呼ぶと、この自転車はどうなるのだ?入院に必要な携帯充電器やタオル等々は?とりあえず家に帰ろう。サドルを下げて自転車にまたがる。片足で自転車をこいで自宅に戻る。救急車を呼ぶしかないのだが、夜中のサイレンは近所迷惑だ。朝はエレベーターが混むのに、救急隊が占領してしまう。昼はランチを食べてもらわないと(救急隊と病院のスタッフ)。13時に救急要請した。病院の救急外来では、一通りの検査をし、入院が決定した。整形外科の担当医が救急外来に降りて来てくれ、ケガの状態を説明してくれた。担「手術をするのが主流です。その方が 歩けるようになるまでの期間が短いです」虫「手術なしで治したいんですが」虫けらの残りの時間を考えると、手術をするのがもったいないと思えたのだ。何年も生きるのなら、患部を頑丈に修復する必要があるが、あと僅かな時間のために、プレートを入れたりするのがどうにもやり過ぎだと考えたというわけだ。担当医からの手術の勧めはあと2回はあった。入院病棟に最初に来てくれたときと、1週間後の検査結果を受けてのとき。それ以外にも、ことあるごとに担「ズレたら手術ですよ」と脅されていた。が、虫けらは、虫「ズレないように頑張ります」と、手術回避の申し出を貫いた。ところがである。退院からひと月、左脚に負担がかからぬよう慎重には慎重を重ねて過ごしてきた先週、怖い主治医の診察があった。2ヵ月ぶりの診察である。診察室に入ったときの、怖い主治医の表情が忘れられない。いつもは、体はモニターに向かっていて、入室した虫けらを顔のみで振り返り虫「お願いします」怖「はい」という無味乾燥なやり取りをすることが通例だったのに、今回は、全身がドアに向いていて、常にポーカーフェースの冷静なその顔に驚くほど心配そうな表情を浮かべている。診察室でこんな顔をした怖い主治医は見たことがなかった。怖「大変やな」虫「大変です」と、いつもにない状況に動揺した虫けらは、意味のない返しをしながら丸椅子に腰掛けた。こんなにはっきりと感情を出した怖い主治医を見たことがなかった。それゆえ、怖い主治医への対峙の仕方を決めあぐねた。怖「どんどん見えるようになってるね」レントゲン画像を見たのだろう。しかも、最初から6回ほど撮影している画像すべてを見ていると思われる。「見えるようになっている」というのは、折れた患部の亀裂のことで、回を重ねるごとにはっきりと目視できるようになってきている。(担当医からは、骨を修復する段階で、亀裂が鮮明になるとの説明があった)怖「手術せんで大丈夫なん?」と、本当に心配そうな目で虫けらを見る。そんな目で見られたら、これまで頑なに手術回避を言い張ってきた虫けらの心が折れるではないか。本来の虫けらなら、人の意見になどでは絶対折れはしないのだが、怖い主治医の目だけは、虫けらの心を揺るがす。虫「週明け、先生に相談します」となってしまった。週明け。担当医が事前に撮影した虫けらのレントゲン画像を見ながら担「ズレはしてないね。このままいきますか」いつもどおりの表情で、虫けらを見る。虫「先生、手術をするとなったら…」と手術の話を始める。担当医が驚きの表情に変わる。あれほど頑なに手術を拒否した虫けらの口から手術を匂わす話が出たことが、非常に意外だったのだろう。この時点から手術をする場合としない場合の回復のスケジュールを簡単に説明してくれる。虫「本当なら、このままいきたいんですが、 がんの状態がよくないんです。 あんまり時間がないので、このままゆっくり回復を 待っていられないなと……」担「あー……」担当医が表情を曇らせて、言葉を飲み込む。虫「◯◯先生(怖い主治医)がすごく心配してくださるので、 週明けに相談しますって」担「◯◯先生、心配されてたよー」またか。怖い主治医は担当医に虫けらの状態を問い合わせていたようだ。担当医が気づくほど「心配」の気配を言葉に漂わせていたのか。「心配していた」という言葉、何度聞いただろう。治療室の看護師、薬剤師、処置室の看護師、そして、他の担当医。きっと、他にも怖い主治医から問い合わせを受けた関係者はいるだろう。胃カメラの検査をしてくれた医師や(検査の前に怖い主治医と虫けらの間にちょっと特殊なやり取りがあった)他の検査担当の技師や医師、リハビリの理学療法士など、虫けらに関わってくれた人に虫けらの状態を細かく聞いてくれているのかもしれない。以前、怖い主治医は何でも知っていると書いた。怖い主治医は、そういうスタイルなのだろう。担当している患者のことを把握するための努力を惜しまず、細かな気遣いをする人なのだ。大変だと思う。虫けらのようなわがままな患者もいるし、心を開かない患者もいるに違いない。人間に対峙する職業は神経をすり減らす。というわけで、虫けらは怖い主治医の心配そうな顔に負けて手術を自ら申し入れ、担当医によって受諾された。手術は来週。入院となると、カバンから買い揃えなければならない。杖のために両手が使えない状況と、虫けらのいまの状態に対応するために今週は、アマゾンと楽天でグッズをポチる日々である。手術か……。嫌なことに、怖い主治医にやってもらう手筈だった胸の「CVポート」の撤去手術がリスケされた。前回の怖い主治医の診察時に決めていた日程が、入院日と重なったからだ。担当医がその場で怖い主治医に院内電話をかけてくれ、担「こっちのスケジュールに合わせるっておっしゃってます」と虫けらに伝えてくれたのだが、リスケされたことで、怖い主治医から別の医師にチェンジされはしないかと不安で仕方ない。この手術だけは、怖い主治医にやってもらいたい。設置手術をやってもらえなかったという小さな恨みを晴らすという意味もあるのだが、その手術が、怖い主治医に会える最後の機会になるだろと虫けらには理解できているのだ。いつになるのだろう。入院している間に、怖い主治医に会うことができるだろうか。難しい気がする。来週は、怖い主治医が休暇を取る(「盆休み」と勝手に思っていたが、違う用件があるような…)と聞いていた。怖い主治医と入れ替わりに虫けらは退院となる。間が悪い虫けらの真骨頂発揮か。こんなときに……。 悲 運
2025.08.20
コメント(0)
タイトルがおかしい。二人を並列に語るわけではない。怖い主治医が主人公で虫けらは添え物、という扱いで語りたいわけでもない。怖い主治医 vs 虫けら という位置付けでもなく、怖い主治医 and 虫けら というイメージでもない。虫けらが怖い主治医をどう考え、どう接しようとしたのか、いや、どういう関係を求めたのか…、違う。怖い主治医をどのように虫けらの心の中に置いていたのか…、そんな感じか。つまり、得手勝手な話なのである。怖い主治医にとっては、かなり迷惑な話であることは間違いない。しかし、虫けらは、自分の中に置いているイメージをこうあってほしいと怖い主治医に押し付けるわけでも、無理やりイメージに当てはめようとするわけでもない。いわば、妄想なのである。前提として、虫けらはの人生は常に孤独であった。どんなことでも自分で決め、自分で実行し、自分で処理し、完結してきた。それは、小学2年生のときに体得した「楽に生きる方法」だったのだ。人に頼ったり、求めたり、期待したりすると、必ず痛い目に合うことを知った。いつも己の力のみで生きることが最も楽であることに気づいたのだ。それは、親といても、夫といても同じ。気軽に人に頼り、何かを求め、期待して言動を発すると、裏切りに合ったり、目的を達成できなかったりして、落胆することになるのがわかっていたのだ。人の力量は、こちらが思うほど大きくない。期待するのは無駄だと、8歳のときからずっと変わらず思い続けている。母方の祖母に始まり、自分の両親、夫の両親、そして夫の面倒を見た。多分、大抵の人よりやったことは多く、広く、深かったと思う。もちろん、十分だとは言わない。しかし、長年の経験や見聞を駆使してやれることはやったように思う。幸い、体力もあり、身体能力も高い方だったし、ストイックな生き方のせいで精神力も人並み以上だったので、過労で倒れたり、弱音を吐いたり、精神を病んだりは一切なかった。夫の生きた証のほとんどのものや事柄を処理し、ようやく自分一人の人生に戻った2年前、病気が発覚した。そこで出会ったのが怖い主治医である。虫けらが「怖い」と呼ぶくらいなのだから、本当に怖い人なのだ。社長業を24歳から30年近く背負ってきた虫けらは、実にさまざまな人と仕事をしてきた。性格や態度が悪い人などはましな方。権力や権威を振りかざして、人を威圧する人種や稼業?と見紛う人種まで怖気付くことなく付き合ってきたのである。その虫けらが怖いと思う人。別に怒鳴られるわけでもなく、人相や態度が怖いわけでもない。物静かで品があり、頭脳明晰なのが雰囲気でわかる。身なりや纏った空気がとてもきれいで、女性からは人気があるだろうと推測できる人なのだが、虫けらに対しては、冷たい視線と容赦ない単語で打ちのめしてくれる。それも怖いのだが、それだけではない。虫けらが「怖い」と思う原因は間違いなく虫けらの中にあるのだとわかっていた。なぜなら、「この人を失ってはいけない」という強迫観念が常にあったからだ。そのことには、随分たってから気づいた。なぜ失ってはいけないのか。虫けらは、一人ぼっちの身の上である。子供はいない。(生い立ちについてはこのブログで散々書いているが、子供がいないことは、虫けらの勝手な選択ではなく、運命の必然だったのだ)死後の処理は姉の子に託す算段はできているが、それは契約のようなもので、「頼って」とか「お願いして」といった身内間の甘えの上に成り立つものではない。つまり、病気発覚から死ぬまで、虫けらは終始一人ぼっちなのである。これまでは、自分の力だけで生きてきた。が、病気については如何ともし難い。主治医を信頼して、主治医の言うことを昇華しながら、自分の生き方に変えるしかない。幸いにして、怖い主治医は信頼でき、尊敬できる人だし、怖い主治医の言葉を理解して受け入れることに何ら異存はなかった。そうして診察の機会ごとに怖い主治医に会い、話をしていく中で、虫けらは自分の中に「執着」を感じた。この難解な感情を解き明かすまでに大変時間がかかった。何が原因で「執着」が始まったのか。「好き」という感情か……幾ら考えてもそれはない。好きなどという単純な感情ではない。「好意」「憧れ」「恋」「興味」……何と軽い言葉ども。もちろん、背が高く、スタイルが良く、きれいな顔立ちの怖い主治医に男性として好意を持つ、という可能性が虫けらにもあるに違いない。しかし、幾ら考えても、そういう浮き足立った感情ではないのだ。それが何であるか、長い間わからなかった。ところが、ひと月前の入院時、病室に来てくれた怖い主治医が抱き締めてくれたときにわかったのだ。そのときの安堵感、気持ちよさ、いつまでもそうしていたいという欲望。その根源が、「この人に看取られて死にたい」という感情だったと、そのとき気づいた。ひとりぼっちの虫けらが、死ぬときだけは一人ではなく、この人のそばで死にたいという人生で初めて抱いた強い欲求が存在したことに初めて気づいたのだ。ひとりぼっちの人生が嫌だとは思っていなかった。それが虫けらの運命、宿命だと諦めていた。しかし、怖い主治医に出会ってから、その諦めが徐々に欲望に変化していったのかもしれない。担当した患者がそんな感情を抱いていても、医師としてはいちいち相手にしていられないということは理解できている。だから、そのことを口に出して言うつもりもないし、虫けらが死ぬときに、本当に枕元に来てほしいなどとは全く思っていない。近くに存在があれば、それでよかったのだ。心の奥に隠された思いが「執着」となり、「この人を失ってはいけない」という強迫観念につながったのだ。そういう人に巡り会えたのも、運命なのだと思えた。先週までは。が、それは、そうではなかったようだ。虫けらの人生は過酷である。最後の最後まで過酷であった。来生では、もう少し人間らしい人生を与えてもらいたいものである。 慟 哭
2025.08.19
コメント(0)
きょうは怖い主治医の診察があった。14:00の予約だったが、その前に血液検査とCT撮影があり、血液検査は到着順であるため、検査患者が多いときは30分以上待つこともしばしばだ。CT検査は13:30の予約だが、こちらは概ね時間どおりに進行する。13:00病院到着がマストだと判断。自宅からUber(タクシー)を使って病院に向かう。お盆休み期間であるため、配車量も限定されている可能性がある。いつもよりゆとりを持って配車依頼をする。すると「1分で到着」という表示。早過ぎる。が、多分3〜5分はかかると踏む。靴を履いてドアに施錠し、エレベーターに向かう途中で携帯の告知音が鳴る。本当に1分じゃないか!エントランスに降りたら、女性ドライバーのタクシーが止まっていた。タクシーの到着に間に合わなかったのは初めてだった。お盆の時期は暇なのか。道路も空いていて、一度信号で停車したが、思ったより早く病院に到着。再診機に診察券(カード)を通し、採血場へ。待ち患者なし。採血が一番上手な池田さんが虫けらを待ち受ける。池「どうぞ、お掛けください」一番近い椅子に導く。診察券を手渡す(本来は受付BOXに患者が投入する)。若い女性が採血をしてくれた。外科の外来へ。CT検査の検査票を受け取って、放射線科へ。まだ13:00になっていない。『30分以上待つのか……』と覚悟して放射線の受付へ。受「お掛けになってお待ちください」待ち患者は虫けら以外に一人。早く検査してくれないかなぁ、と思っていたら、虫けらを呼び込むアナウンス。造影剤を使った検査なら、20分くらいはかかるのだが、単純CT撮影だったので、すぐに終わる。サクサク行き過ぎである。外科外来に戻る。14:00の予約なのに、まだ13:10にもなっていない。いつもは満員の待合室が、きょうは閑散としている。モニターに表示される怖い主治医の待ち患者は2名のみ(虫けらの番号はまだ表示されていない)。他の診察室の待ち客は0名だ。が、この時間はランチ休憩のはず。少なくとも前回は、13:30の予約だったのに、14:00まで待たされた。多分、13:30に午後の診察再開の予定だったのが、午前の患者が多過ぎて、押したのだと予想した。13:20くらいに怖い主治医の声で呼び込みがあった。男性が立ち上がる。あれ??お盆だから、イレギュラーな態勢になっているのか?待合室から、診察室前の椅子に移動した。杖をついての移動は時間がかかるので、呼び込まれたらすぐに対応できるように診察室の近くで待機する。診察室前で待つのにはもう一つ理由があった。これは虫けらの予想に基づくものであるが、きっと当たると思っている。怖い主治医の性格や虫けらに対する言動から、そう思わずにいられなかったのだ。先ほど呼び込まれた男性が診察室から出てきた。次か?もう一人か二人いるかもしれない(診察室前に移動してきたとき、まだ虫けらの受診番号はモニターに表示されていなかった)。呼び込みの声がないまま、待機していると、整形の担当医が前を通った。虫「こんにちは」担「あ、こんにちは。どうですか? 膝は」虫「曲がってます」担「まだ足(地面に)つけんといてな」虫「はい。気をつけてます」担「きょうは◯◯先生(怖い主治医)の診察?」虫「はい。週明け、よろしくお願いします」という会話をした。来週月曜日に診察があるのだ。整形の担当医が姿を消して程なくして、診察室から看護師が出てきた。この人は、抗がん剤治療のときなどで大変お世話になった人だ。先方も虫けらのことを認識している。看「いけます?」虫「え? もう診察ですか?」看「先生が、見てきてって」虫「ありがとうございます。まいります」呼び込みのアナウンスをせず、看護師に診察室への入室を手伝えと指示してくれたのだ。これが診察室前で待つもう一つの理由だ。虫けらはこの展開を予想していた。怖い主治医は、きっとこういう配慮をしてくれるだろうと。杖をつきながら入室する。看護師がドアを開けて、状態を保持してくれたので大変助かった(診察室のドアは自動で閉まる。開けてから閉まるまでの間に入室できるか微妙)。怖い主治医は珍しく全身をこちらに向けている。いつもはモニターに向かい、顔だけこちらを見る格好で虫けらを出迎える。虫「こんな情けない状態ですみません」怖「いや、大変やな」虫「大変です。でも、だいぶ慣れました」怖い主治医は少し笑っている。苦笑いか? 明るい笑顔ではない。怖「レントゲン見たら、どんどん見えるようになってるなぁ」虫「そうなんです。最初の画像が一番わかりにくい」怖「手術せんで大丈夫なん?」虫「△△先生(整形の担当医)は、しない方向で、って。 私がそうお願いしたんですけど」怖「そう……。まだまだ歩ける状態やないな」虫「まだ、足つけんといてなってさっき言われました」怖「んー」虫「手術した方がいいですか?」怖「どうなってるの?」虫けら、ロングワンピースの裾をめくって膝を出す。ケガをしていないので、きれいなのだが、まだだいぶ腫れていて(右脚と比べないとわからないが)、熱を持っている。怖い主治医が虫けらの膝から足首にかけてをじっくり見ている。怖「どうやってこけて折ったん?」ケガがないことを不思議に思ったようだ。虫「転んだときは、受け身をとってケガなしだったんですが、 自転車が落ちてきました。私の自転車は安物で すごく重いんです」怖「自転車と地面に挟まれた?」虫「多分。運悪く、身のないところを直撃したので」怖い主治医は、会話している間も、虫けらの脚から目を離さない。見ても、何もわからないように思うが。ふと気づいた。整形の担当医は、虫けらの患部を目視したことがない。ずっとレントゲンもしくはCTの画像を見て話していた。何の違いだろう。怖い主治医は脚フェチかもしれない。以前、抗がん剤の副作用の話から、脚を見せたことがあった。やおら足首を掴まれて驚いたことを思い出した。こんなときに何を思い出すやら。ん?きょうは、がんの診察だったはずだが……。虫「今更手術を申し出ると、△△先生、びっくりするでしょうね」怖「それは大丈夫やろ」虫「これまでの5週間が無駄になりますが……、 週明けの診察で、相談してみます」これよりももう少し会話した。整形の話をする時間があるのかと、気になっていた。いつもは5分で診察室を出ることを心がけていた。報酬をもたらさない患者に時間をかけることはできない、と病院側は思っているだろうから。ま、きょうは30分近く早く呼び込まれているので、少し余裕があったのかもしれない。しかし、幾らなんでも、と、虫けらは話を切り上げた。そこからが、本題。血液検査の結果票を見ると、随分よい数値が並んでいる。虫「なんか、いい結果ですね」怖「そうやねん。数字的には悪いところはない」虫「血液検査だけだったら、病気がないみたいですね。 腫瘍マーカーだけは別ですけど」少し間を置いて、怖「もう治療をしないという考えは変わりませんか?」真剣な表情で聞かれた。虫「はい」CTの画像を見ながら、現状を話してくれる。虫けらも細かな質問をしながら理解していく。この会話の詳しい内容は、別記したいと思う。虫けらのがんの状況をお知らせする必要もあろうかと思うが、ここでは割愛する。怖「治療のためにつくったポートですが…」(抗がん剤投与のために、右胸に設置した『CVポート』という装置のこと)虫「取りたいと思っています」怖「それがあれば、点滴や、治療…それはまた 話し合ってのことやけど、対症療法のときなんかに 使えるよ。いちいち針刺すより楽や」虫「そうですね。でも、もう治療的なことは必要ないので」怖「治療ではなくて、痛み止めを入れたり、 状態に合わせて薬剤を入れなあかんようになったら という意味や」虫「死ぬときは、何もない状態になりたいなと」怖「ポートは残らんよ。全部溶ける」遺体を焼いたら溶けるという意味。シビアな話になってきた。虫「手術が嫌なのは、プレートが残るからなんですが、 これ(ポート)は気にしてなかったです」怖「プレートも小さいのやったら、溶けるよ」虫「残りますよ。主人が入れたプレート、3つとも きちんと残ってました」怖「脚のプレートはね…」どうしてこの二人は、どうでもいいようなことを深掘りしてしてしまうのか。いつも本題とズレたところで討論しがちだ。怖「取る?」虫「はい。……取ってくださるのは⬜︎⬜︎先生(設置手術を してくれた医師。虫けらは大変痛い思いをした) ですか?」笑いながら聞いた。怖「僕、取ろか?」怖い主治医も笑いながら答える。昨年の手術のときのやり取りを覚えているようだ。虫けらは顔の前で手を合わせ、拝む格好をする。虫「お忙しいと思いますが、できれば」怖「忙しい言うても、ここでも取れるぐらいのもんや」ここ、というのは診察室にある触診や簡単な処置をするためのベッドである。設置手術は手術室でやってもらった。虫「そんなに簡単なんですか? お願いできます?」怖「来週でもいい?」撤去日が決まった。ポートを取るときは、怖い主治医にお願いしたいとずっと思っていた。設置手術をしてもらえなかったので、せめて撤去は…と。ポートを撤去する話は、近いうちにしなければならないと思っていた。忙しい部長先生につまらぬお願いをすることは大変ためらわれたのだが、怖い主治医の方から振ってくれたこと、しかも、自分がしてやろうと言ってくれたことに心から安堵した。しかし!!!きょうは、驚愕の話をされてしまった。ここに書くには事態が大き過ぎるので、それだけをテーマに書きたいと思う。がんの現状報告と驚愕の話。きょうの診察室では、どんなことでも平気な顔をしている虫けらの表情が人生で初めてと言えるほど変化しただろうと思う。顔を手で覆ってしまう場面もあった。言葉をなくす場面もあった。しばし固まって、怖い主治医の顔をじっと見つめる場面もあった。しかし、怖い主治医はその都度目をそらさず、虫けらを見つめながら言葉をかけてくれた。こんなに包容力のある人だと思ったことはなかった。ひと月前の病室での出来事は、もしかしたらきょうの診察室のことを想定した行動だったのかもしれない。診察が終わって診察室を出るときも、看護師に先導されて杖を使いながら出て行く虫けらを怖い主治医はずっと見守ってくれた。外に出て振り返った虫けらは、まだ怖い主治医がこちらを向いて心配そうな視線を送っているのを確認した。虫けらは、そうそう簡単に動揺する人間ではない。幼少の頃から、突拍子もない経験を数多くしてきた虫けらは、感情を表に出さないことが身についているし、長い間そうしてきたことで、感情そのものが鈍感になっているのも事実だ。しかし、きょうの診察室では大変動揺した。自宅に戻ってからも、呆然とするしかなかった。朝から何も食べていなかったので、稲庭うどんをざるにして食べたが、全く味がしなかった。その後YouTubeを見たのだが、内容が全く頭に入らなかった。これではいけない。きちんと体勢を立て直して、後の時間を逆算して必要な行動をすることが最も重要なことだ。これを書いたら、少し落ち着いた。あすは、出会って15年以上になる、ブログ仲間が自宅にやってきてくれる。ビール好きの人なので、楽しい時間が過ごせるだろう。その翌日は、小学生のときからの親友が来訪する。看護師の彼女には、病気のことを詳しく告げている。その続きを話すことになるだろうが、無駄な心配をすることなく、的確なアドバイスをしてくれるだろう。そんな予定があってよかった。今夜は眠れそうにない。考えても仕方ないが、考えてしまう夜になるのは間違いない。無駄な時間はもうない。建設的な時間にしよう。……絶対無理……。 無 常
2025.08.15
コメント(0)

先週末から、世間はお盆休みモードである。ゆえに、虫けら周辺でもスケジュールに余裕のある人々がいろいろと虫けらにアプローチしてくれている。それに呼応するように、虫けらの身の上にもいろいろな変化が起きていて、停滞していた空気が動いているのを感じる。それがよいのか悪いのかは別として。脱ニーブレース5週間前に左脚膝下を骨折した虫けらは、緊急入院直後からニーブレースという固定装具を強制的に装着させられていた。入院時。車椅子生活だった石膏で固めるギプスとは違い、自ら脱着可能なので、肌のメンテナンスや着替えのために日々外したり、着けたりしていたのだが、骨折部がある程度定着するまでは外して行動することは禁じられていた。毎週、レントゲン撮影をした上で、整形の担当医が固定装具を外す時期を判断する。「ズレる」という表現で、毎回医師に脅されながら、4週間を過ごし、先週末にようやく外す許可が出た。しかし、医「リハビリしてズレたら、手術ですよ」虫「げっ、まだズレる可能性がありますか」医「あります。まだ地面に足をつかないように」恐ろしい。1ヵ月もの間、片脚の不自由な生活を辛抱したのに、まだ手術の可能性が……。入院直後にプレートを入れる手術をしていたら(最近では、手術をするのが主流)、いまごろ歩くリハビリができているのではないか、と後悔させることを意図しているかのような医師の無慈悲な言葉。担当医は手術を推奨していた。虫「自然治癒を目指したいんですが。 手術をするのはもったいない」医「もったいないことはない」『もったいない』という言葉の意味を医師は誤解しているだろうと思ったが、あえて修正はしなかった。別に、間もなく死ぬことに投げやりになっているわけではないし、それを振りかざして、つらいことから逃れる免罪符にしようとも思っていない。が、1年以内に死ぬであろう人間にとって、今後の長い人生にとって有意義と考えられる手術はやはりもったいないのである。手術給付金が生命保険から出るので、手術しても構わなかったが、20年以上、ピアスの穴を開けることを躊躇している変なこだわりのある女が、そう簡単に体を傷つけることどもを受け入れるわけがなかった。元の木阿弥になることを覚悟しながら自然治癒を選んだのだから、もう少し辛抱するのは仕方ない。固定装具を外してよし、という医師の判断の後、リハビリセンターに出向いた。ここでの課題は「膝を曲げること」で、担当の理学療法士が慎重に膝を曲げてくれたのだが、理「痛くないですか? これは? これは?」と、徐々に角度を縮めていく。すると、90度以上(?鋭角に)曲がることがわかり、理「きょうはこれぐらいにしときましょうか」ということで、リハビリ終了、となった。リハビリはいつもこんな感じ。その日のプログラムをすぐにクリアしてしまうので、残り時間は理学療法士との雑談タイムとなる。今回も、前週の旅行の話、次週の旅行の話(単身赴任の彼氏を訪ねる旅らしい)をして終わった。とりあえず、脱ニーブレースは完了した。再度装着しなくてよいように、足を地面に着けぬよう注意しながら、そろそろ筋力回復の運動をしないといけない。が、マッサージ機の上での生活では、なかなかそれがかなわない。2階の寝室で睡眠をとれるようになると、ベッド(マットレス)の上で結構な運動ができる。2階での生活……、杖で階段を上り下りする生活では、それは難しい。この矛盾。。何とかしよう。脱ウイッグ骨折で緊急入院したとき、ウイッグを装着していた。いつもなら、帽子(ハンチングかキャップ)で隠すのだが、救急車を要請した人間が、おしゃれ要素と見られる帽子を被っているのは大変不謹慎な振る舞いだと思われたので、ウイッグにしたのだ(がん患者であることは救急隊にも告げる必要があるだろうし、ウイッグを被っていても違和感はない)。しかし、抗がん剤をやめて7ヵ月、地毛が結構生えてきていて、ウイッグを被ると後頭部から襟足にかけてが浮いてしまうという事態になっていた。ゆえに、カバンには医療用帽子を忍ばせ、入院した後は、ウイッグを外す算段だった。入院が決まって、病室に入った直後看「それ、ウイッグですか?」と看護師に聞かれた。虫けらはすぐにウイッグを外し、虫「そうなんです。地毛が結構生えてて 浮いてしまうんですよね」と言いつつ、カバンから帽子を取り出した。虫「抗がん剤で毛質が変わってしまって、 緩んだパンチパーマみたいになってるでしょう? 格好悪くて」と言い訳をした。入院中は、ずっと帽子を装着したままだった。一昨日(11日)、3ヵ月ぶりにカットに行った。前回は、まだ生えてきた毛が短すぎて、抜けずに残った髪とのバランスを整える程度にしか手の入れようがなかったのだが、3ヵ月辛抱したので、そろそろある程度の髪型にできるかと期待しながら。いつも通っているヘアサロンのオーナーは、この1月に虫けらと同じ災難に遭っていた。自転車での転倒からの骨折。彼の場合は、複雑骨折で、何箇所も折れていたし、怪我もあったので、手術必至だったし、入院期間も長かったようだ。そんな話をしつつ、施術をしてくれ、ショートカットにスタイリングしてくれた。全体がまだまだ短いし、前髪がつくれないので、似合うとか、カッコいいとかの次元ではないが、少なくともウイッグなしの、帽子装着で何とかなるようになった。虫「毛量は減ったかしら?」オ「いや、戻ってますよ。前回はまだ全部復活、 とはいってなかったですが、今回は、 以前どおりに生えてます」前回は、毛穴から出ている毛が3本とか2本ではなく、1本だけというものもあったらしい。今回は、以前の密度になっているとのこと。よかった。が、である。虫けらが購入したウイッグは、結構高級なものだったので、人毛で、髪型もよかった。虫けらの顔にもよく合っていたのだ。今回のショートヘアは、決して虫けらの顔に合っているとは言い難い。長さが足りないので、子供の髪型のようにも見える。オ「頭、ちっさいなぁ。子供みたいや」と何度もオーナーに言われた。髪のボリュームがないので、頭の小さい問題が急浮上してしまったのだ。つらい。致し方ない。もう少し伸びるまで帽子でごまかそう。冬用の帽子は幾つかあるが、夏用の帽子は一つしかない。しかも、ウイッグ装着時にぴったりだったので、現在はブカブカである。この髪型でキャップは難しい(頭の小さい問題が余計クローズアップされる)。もう一つ買うか。。が、もうお盆である。我慢するか。。悩みどころ(決して「悩ましい」と言ってはならない)である。なにせ、次の夏はないかもしれないのだし。。脱・脱怖い主治医1月から抗がん剤治療をやめている。今後も再開する予定はない。それを決定した3月から診察の間隔が伸び、2週間がひと月に、ひと月が2ヵ月になっていた。前回の診察から2ヵ月経った今週、怖い主治医の診察がある。検査の後に、現在の状態の確認と今後の療養生活を判断、指示してもらう。治療をやめる判断をしたとき、虫けらと怖い主治医の距離は相当遠かった。怖い主治医は立場上、抗がん剤治療をすすめるし、虫けらは頑として断る。対立はしなかったが、さりとて新たな治療法を提案してくれるでなし、他病院への紹介や転院を言われるでもなし。なすすべのない状態で、虫けらは放置された。虫けらが望んだことだが、医師としての仕事はもっとあるのではないか、と虫けらは思っていた。そんな状態だったので、その時点で「脱怖い主治医」は達成されていた。診察時、二人の間に冷たい空気が流れていたのは確かだった。血液検査の結果票を見ながら、怖「特に問題はないですね。安定した状態です」虫「やはり、腫瘍マーカーが上がってますね」怖「それは、目をつぶらな」虫「そうですね」怖「そういうことで」早く出て行きやがれ、とでも言わんばかりの終わり方。虫けらも、何も言わずにすっと立ち上がる。終始、怖い主治医の表情を確かめることもしなかった。怖い主治医も、虫けらを振り返ったのは一度か二度ほどだったと思う。虫けらにとって、それはそれで気が楽だった。病院に報酬という恩恵をもたらさない患者が優遇されるわけもないし、医師から心をかけてもらえるはずがない。が!!!入院中に、理由もなく優しくされた虫けらは、これまでと違った感情が小さく芽生えてしまったのを感じずにはいられない。だからと言って、怖い主治医との関係が変わったわけではないし、治療を再開するわけでもない。これまでと同じ対応をするしかないのだが、この感情の微妙な変化を表面に出さずにやり過ごすという高等テクニックを虫けらが持ち合わせているのかと大変不安に思っている。診察は間もなく。どうにかうまくこなせるよう祈り、自分の力量に賭けるしかない。脱怖い主治医がかなったはずだったのに、元の木阿弥ではないか。元の木阿弥の多い人生である。 阿 鼻
2025.08.13
コメント(0)

虫けらの住んでいるマンションは古い。これまでは新築の物件に住むことがほとんどだったので、築古のマンションの不便さは堪えるものがある。コンセントの少なさや電灯のスイッチの古さ、50年モノの団地のような玄関ドア、小さなシューズボックス、低く小さな便座(ウォシュレットが合わない)、狭く深い浴槽、低い水圧……挙げればキリがないほどだ。中でも虫けらが最も嫌なのは、オートロックではないこと。女の一人暮らしという状態で、玄関前まで誰でも来ることができるのは、大変怖いことである。「神を信じますか〜?」も来るし、「みなさまのNHKです」も来る。「試食をしていただいてますが、いかがですか?」などという得体の知れないセールスも来るのだ。そんな物件なので、1階にある郵便受けには南京錠が必須なのである。幅が狭く、奥行きのない郵便受けは、大方のメール便が入らないことで宅配業者には不評ではないかと思うが、それでも小型の荷物が届く。重要な書類が届くこともある。虫けらの郵便受けは左端の最上段なので、盗人が真っ先に開けたい扉に違いない。で、このマンションに転居してから2年半の間、虫けらは南京錠をつけて管理していた。が、が、が!!!南京錠が開かなくなった!退院してきた日は、大雨で床が濡れていた上、入院時に持って行ったカバンと病院で購入した備品の紙袋を抱えていたので、郵便受けを見るのをやめた。使い慣れない松葉杖で危なっかしかったし、入っていた荷物が多かったら、持ち切れないと思ったのだ。郵便を取りに行ったのは翌々日の朝4時。エレベーターで誰かと一緒になるのが嫌だし、外を不審な人が歩いていて、松葉杖の虫けらに気づいて襲ってきたら、防御のしようがないので、できるだけ人のいない時間帯を狙った。2〜3時はまだ夜の時間帯。5時以降は朝の時間帯。動いている人種が違うのだが、どちらも危ない人が多い。というわけで、その間(はざま)を狙ったというわけだ。虫けらが設置している南京錠はボタンプッシュ式。アンダーな照明(いまだに蛍光灯)のエントランス、視線より高い位置にある郵便受けなので、数字を合わせるタイプは不可。夜になると、きっと見えないと踏んだ。鍵式だと、鍵を持ち歩くのが面倒だし、無くしたときが厄介だ。虫けらが選んだ南京錠は10個のボタンが並んでいて、そのうち5つをプッシュして開錠するのだが、左列1つ、右列4つ(連続)というとても覚えやすい配置である。両手に持った杖を壁に立てかけ、南京錠のボタンをプッシュして開錠する。開いた郵便受けにはおよそ2週間分の郵便物が溜まっていた。チラシはその場でゴミ箱に捨てるのだが、それでもたくさんの郵便物が手元に残り、持参したトートバックにどさっと入れて肩にかけ、南京錠を施錠して部屋に戻った。退院してすぐに生命保険の「払い戻し請求用紙」の送付を保険会社に依頼した。それが到着しているだろうころ(2日後)に再び郵便受けに向かった。もちろん朝4時。いつものように南京錠を操作する。!!!開かない。なぜに?いよいよボケたかと思った。2年半の間、開け続けた南京錠が開かない。いや、つい2日前には開いたではないか。絶対違うだろうという番号も押してみたが開かない。5分ほど操作したが、諦めた。片脚で立つのに疲れたのもあったが、誰かに見られるのを避けたかった。外廊下のマンションだけに、1階からどの階に移り、どの部屋に入ったのかがバレてしまう。松葉杖の人間など、襲うのが容易である。部屋に戻って、南京錠が送付されたときに同封されていた番号札を探した。実は、何気なくファイルか何かを整理していて、「あ、こんなところに南京錠の番号が…」と気づいたことがあったのだ。きっとここだと思ったところを探したが、見つからなかった。自分を疑ったわけではないが、例えば、鍵の業者に来てもらったとして、その番号札を出した方が作業しやすいのではないかと考えたのだ。もしかしたら、押しが足りなかった?ボタンの。南京錠を設置した当初から、開けにくいことがたびたびあった。多分、5つのボタンのうちの一つに不具合があって(奥まで押し込めない)、それが悪さしているのだと思っていた。しかし、これまでは、1、2回やり直せば開いたし、さほど問題は感じなかった。……翌日の4時にもまたトライした。しかし、前日と同様。押したボタンに間違いはない。……さらに翌日の4時、『556』を持参した。ツルの根元とボタンの裏側、開錠ボタンに556をスプレーする。すると、見違えるほどボタンの操作性が上がった。とてもスムーズに押し込むことができる。しかし……開錠出来なかった。3日連続の攻防に敢えなく敗れ去ったのだ。。これは、内部で部品が折れるなどしてボタンが機能しなくなったと推察し、諦めるより仕方ないと思った。部屋に帰って、ネットで鍵屋を調べた。すぐ近くに「鍵の119番」があったのだが、南京錠ごときで呼びつけるのは申し訳なかった。なぜなら、その店はワンオペで、出張修理に出ると店は休まざるを得ないということを知っているからだ。出張費と作業代で1万円行かないだろう。自力で何とかならないだろうか…。近くにコーナンがあるので、脚がまともならすぐに工具を買いに行くのだが…。誰か助けてくれる人はいないか?!!!朝5時でも起床している可能性の高い天満のエロ男爵(店のお客さん)にメールしてみた。間もなく返信があった。何度かのやり取りの後、「行ったるでぇ」という返事。切れる糸鋸を携えて自転車で来てくれた。無駄に頑丈な南京錠のツルを少しずつカットしていく。10分くらいかかっただろうか。無事切断でき、郵便受けが開いた。保険会社からの払い戻し請求用紙も届いていたし、月末だけに、毎月届く請求書関係も、誕生日の特別割引券など季節郵便も多数。すぐに新しい南京錠の購入が必要だが、とりあえず一件落着。天満のエロ男爵を部屋に連れ込み(言い方が悪い)、喉の渇きを癒してもらいながら、「どうしたんや、その脚」という男爵の問いに丁寧に答えたり、入院生活のあれこれを話したりして小一時間過ごしただろうか。「コーナンに寄って帰るわ」と、天満のエロ男爵は颯爽と消えて行ったのだった。右が人をボケと化した南京錠。左が新しい南京錠ボタンが壊れるというのは想定外。そうなったら、どうにもならないのも認識できた。なんか、悪いことが起こるときはまとめてやってくるということを体感する、嫌な感じの事件だった。まだ嫌なことが起こるのかぁ?覚悟して過ごす必要がありそうだ。 戦 慄
2025.08.05
コメント(0)
恋に胸を焦がしているわけではない。ひどいことをして人を傷つけたわけではない。人を裏切るような秘め事を抱えているわけでもない。胸筋が痛い! のだ。昨日、病院に出かけた。骨折した左足の検査と診察とリハビリのためである。1階★7:54 病院玄関に到着。 タクシーから降りる。 背後から怖い主治医が出勤してきたのが見えた。 玄関に入り、内側からこっそり伺う(ストーカー ではない)。★7:57 再診機に診察券を差し込むも、はねられる。 もう一つの再診機に差し込むが同じ結果。 「初診受付にお申し付けください」とのアナウンス。 初診受付がまだ始まっていないので、とりあえず 検査室フロアに直行。3階★8:03 放射線受付に到着。番号札を取る。 (8:30に受付がオープンするまでに到着したら 番号札を取って待つシステム)1階★8:10 再度再診機に診察券を差し込む(先ほどは、 正式な受付開始時刻の8時より数分前だったので、 はねられた可能性も)。結果は同じ。★8:12 まだ照明が点灯していない初診受付の中に女性を発見。 そちらを目指して急ぐ。 虫「再診機に通らないのですが…」 受「その場合、こちらで処理します。保険証確認もありますし (月に1回の確認必須。その月の最初の受診時)」 虫「8:30からですよね。検査がその時間なんです。 9:00から診察ですし」 受「検査が終わってからでいいので、またお越し…あ、脚が…」 虫「また来ます」 2階★8:15 再度検査室フロアへ。他に対処のしようがないのか、 とちょっと憤慨。 何しろ、8/1日なので、保険証確認待ちの人数は半端ない。 虫けらはいつも朝一の受診時は、受診後に確認に出向いていた。 保険証確認が理由で再診機にはねられたことはない。1階★8:35 レントゲン検査を終え、再び1階に降りて保険証確認へ。 案の定、大変な人数が確認待ち。9時からの受診に間に合うのか。 窓口担当は珍しく男性。事情を説明する。 虫「診察券が再診機に通らなかったんです」 受「はい、確認します(保険証についてのやり取りの後)、 磁気が弱くなっているようなので、交換しますね」 と、迅速に診察券を新しいものと交換してくれた。 (アタリ!と思った。男性は仕事が早い)2階★8:55 診察室前に陣取る。 怖い主治医の呼び込みのアナウンスが聞こえる。 いつもは9時を過ぎないと診察を開始しないのに。 患者が多いのだろうか。それに反して、虫けらの担当医は 一向に現れない。 担当医が診察室に入ったのが10分過ぎくらいだろうか。 病棟の回診もあるので致し方ない。 担「うーん、怪しいなぁ。レントゲンではよく分からないけど、 ちょっとずれて来た兆候みたいな…」 というわけで、追加検査を言い渡される。3階★9:20 再び検査室へ。今度はCT撮影だ。2階★9:50 診察室前に戻る。 担「画像を見る限り、ずれてはいないね。 装具を外すのは1週伸ばして、判断を来週にしよか」 虫「来週、やっぱりずれそうとなったら、手術?」 担「まぁ、そうなるねぇ」 虫「一からかぁ〜。ま、1週間、おとなしくしときます」 担「きょうのリハビリでは、膝曲げるのはなしって 先生に言うてね」 虫「はい。。」4階★10:10 リハビリセンターへ。担当の理学療法士と話をする。 ちょっとした相談をしたのみで、リハビリ中止とし、 来週の打ち合わせ。2階★10:20 精算書をもらうため、外来受付へ。 いつものことだが混み合っている。 外科と同一の待合室なのだが、怖い主治医が外来に入る 金曜日は大変受診患者が多い。 整形はコンスタントに患者が多いので、金曜日はごった返す。1階★10:40 受診料の清算(精算機) 最近、精算機で診察券がはねられることがあったが、 今回はすんなりいった。磁気のせいだったのだな。 新しい診察券に換えてもらって安心。1階外の薬局★10:50 処方箋を出して薬を待つ。3人目。いつになく少ない。 ラッキーだ。1階★11:00 病院ロビーへ。薬局は出口付近なので行くのが楽だが、 入り口はちと遠い。杖でえっちらおっちら歩く。 タクシーを呼ぶためなのだが、患者を送って来た タクシーには乗れない決まりになっているようで、 そこにタクシーがいるのに…。致し方ない。★11:20 Uberで呼んだタクシーが来たので乗り込む8階★11:30 自宅に到着1階★15:30 アマゾンから荷物が届いたので、郵便受けへ。8階★15:35 ようやく落ち着く階床移動は全てエレベーターだが、総合病院だけに、結構広い。クラッチ杖を使って片脚歩きするのはそれなりの重労働である。スピードが出ないので、苦労も絶えない。8基あるエレベーターのどれが到着するか、寸前までわからない。到着したエレベーターが遠ければ、急いでそちらに向かうが、杖歩行のスピードは知れている。他の人に気を使わせてしまうのが申し訳ない。3階から2階へ向かうとき、ドアの右側階床ボタンの前にすっと入った。虫けらが最初に降りることになるからだ。すると、後から乗って来た女性(父親の付き添い。母親もいた)が、虫けらの前に入ろうとした。虫けらは焦った。杖でバックするのは大変危険なのだ。バランスを崩しやすいし、後ろを確認するために振り返ると命取りになる。虫「えーっと」と小さな声を上げたら、他の人が「あ」と口々に声を出してくれて、それに気づいたその女性は、左側に移動した。この親子とは同じ階で降りたのだが、虫けらに絡んできて(無意識に)、困った。3人の誰かが行く手を阻む。立ち止まってとうせんぼをする。踵を返して虫けらとぶつかりそうになる。虫けらはそこに立ち止まって動かず、3人の行動を注視するしかなかった。健康体なら全く問題ないのだが、杖をついている人間のそばで不規則な動きをするのは大変危険であることを認識してほしい。これだけの移動と苦労をした一日。筋肉痛にならないわけがない。虫けらの胸筋はいま、筋肉痛を起こしている。学生の頃から、虫けらの胸筋は大変発達していて、動かすこともできた。が、病気をしてからというもの、筋肉が落ちてしまって、胸筋も例外ではなかった。これを機に再び発達するかも知れない。が、ここ2、3日は痛みに耐えねばなるまい。……待合室にいて、ふと気づいた。整形なのに、杖をついている人は皆無だ。???あ、車椅子を使っているのか。付添人が必ずいるし。虫けらも最初の外来のときに車椅子を使おうかと迷った。が、車椅子に乗ると、杖の置きどころがないのだ。付添人がいれば、虫けらが杖を持ち、付添人に押してもらえばいいが、虫けら一人だと、両手でハンドリムを操作するので杖を持つことができない。そうか。付添人か。……いない、いない。杖歩行は必至だった、というわけだ。杖をついた片脚生活、果たしていつまで続くのか。。1週間伸びたことだけは確かだ。トホホ。。。 諦 念
2025.08.02
コメント(0)
全7件 (7件中 1-7件目)
1


![]()