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『空飛ぶタイヤ』以来、久々に池井戸作品を読書。 それまで読んだ全ての作品が良かったので、実は『民王』も購入してありました。 しかし、昨年末から、私が本を読むことが出来なくなり、そのまま放置状態に。 そして、4月になって、ようやく本を読むことが出来るようになりました。 その手始めが、『村上ラヂオ2』。 以来、エッセイやソフトタッチの小説は読んできたのですが、 池井戸さんの作品は、何といっても、シビアでハードな場面の連続。 それ故、現在の私は、『民王』に、まだ手を伸ばすことが出来ませんでした。現在TVドラマで放映している『ルーズヴェルト・ゲーム』や、『花咲舞が黙ってない』も、全く見ることが出来ません(というか、その気になれません)。『半沢直樹』を放映していた頃は、あんなに楽しみにして見ていたのに……。とにかく、精神的に、今、私は池井戸作品を受けつけることが出来ないのです。それでも、「このままではダメだ。一歩踏み出さねば。」と一念発起し、本屋さんで手にしたのが、文庫化された本著。これなら、『半沢直樹』シリーズや『空飛ぶタイヤ』に比べて、ハードでシビアな場面は少ないんじゃないかなと思って、購入し読書を始めたのです。しかし……この作品も紛れもない池井戸ワールドでした。彼の代表作ともいうべき作品ですから、当たり前といえば当たり前なのですが、胸が締め付けられるような緊張するシーンの連続で、一応、何とか読み切りましたが、精神的にはかなりキツかったです。もちろん、作品としては素晴らしい出来映えで、さすが直木賞受賞作品と言えるもの。ただ、ナカシマ工業との攻防については、思いがけなくあっさりと片付いてしまい、少々肩すかしを食らった観はありますが、第二章からの帝国重工との駆け引きは、読み応え充分でした。そして、本著の特筆すべき点は、村上貴史さんの「解説」が素晴らしいこと。このお話しの解説もさることながら、池井戸作品全体のガイドとして、非常に良くまとまっており、分かりやすい。この解説によると、『民王』は、池井戸作品の中では、まだソフトなイメージかな。でも、まだ、しばらくの間は、手が伸びそうもありません。せっかく、家の書棚に並んではいるのだけれど、もうちょっと、私の気分が、前向きになるまで、待っててもらうことになりそうです。
2014.05.30
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精神科の先生から頂いた一冊。 左の写真では、表紙が何だかくすんだ色に映っていますが、 実際には、綺麗なライトブルーの表紙です。 ただし、発行されたのは1998年の4月1日で、もう随分昔のこと。 医療関係者向けに書かれた書物である本書は、 これまで、私が読んできた「うつ」関係の書籍に比べると、やはり流石の専門書。 「うつ病」について50のポイントが、基本見開き2ページで説明されており、 これを一冊読めば、「うつ病」についての知識は、必要充分に得られると思います。もちろん、医療を職業としない素人には、『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』 とか、『うつにもいろいろあるんです。』の方が、遙かに読みやすいわけですが、その中身の質、充実度には、やはり大きな差があると思いました。そして、50のポイントの中で、私が付箋を貼ったのは、次の5箇所。2.うつ病の症状にはどんな特徴があるのか(p.12)13.うつ病の経過をどう説明するとよいか(p.40)23.抗うつ薬の副作用の説明とその対策をどのようにすればよいか(p.60)31.入院を勧める場合とは(p.78)50.診断書を作成するときに注意したいことは(p.118)これ以外にも興味深いところは、本当にあちこちにあり、そんなのを拾い上げていったら、ほとんど50ポイント全てということになってしまいます。治療者が、うつ病をどのようにとらえ、患者にどのように対応していこうとしているのかが、本当によく分かりました。もちろん、個別に「社会復帰に向けて」のことだけを知りたいのであれば、『「うつ」からの社会復帰ガイド』等を読む方が、実例も多く内容も充実していますが、本著の「社会復帰にあたって」(ポイント43~50)の内容も、なかなか充実したものであり、『「うつ」からの社会復帰ガイド』には書かれていないことも、たくさん書かれていました。本著を、患者さん自身が読むことは、もちろん良いことだと思いますが、本当は、患者さんを支える家族や職場の方たちが読んでいただいた方が、より、スムーズな治療や社会復帰が可能になる気がしました。専門書なので、取っ付きにくいですが、興味のある方はぜひご一読を!
2014.05.30
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これまで、『こんなツレでゴメンナサイ。』とか、 『仕事休んでうつ地獄に行ってきた』のように、 「うつ」になった当事者の書かれた本を何冊か読んできました。 『私のうつノート』も、そのうちの一つです。 ただし、元の職場に復職されたのは、『私のうつノート』の瀧野記者だけ。 そこで、実際に、復職を始め、社会復帰には、どのような手段があるのか知ろうと、 色々、ネットで検索をして調べた結果、見つけたのが本著。 カスタマーレビューの評価も高い一冊です。まず、セッション1『「うつ病」はどのような病気か』では、その症状や診断基準、治療や薬剤について説明されています。コンパクトにまとめてありますが、分かりやすいです。そのなかで、私の印相に残ったのは、次の一文 うつを回復した方が管理職になると、 その上司に対する部下の評価はとてもよい場合が多いのです。 なぜなら自分の経験から相手を配慮できる管理職になるからです。 その意味で「うつ病」を経験することは決してマイナス面だけではありません。(p.23)続くセッション2『「うつ」の再発予防と症状自己管理』では、うつ病の再発率や、そのタイミング、危険因子や薬の調整について説明がなされ、治療は、あくまでも患者自身が主役であると指摘しています。この「患者自身が主役」という言葉には、グッと来る重みを感じました。そして、自身が再発のサインに気付き、「うつ」を乗りこなす手立てを紹介しています。特に、p.45から始まる「コラム うつ病回復者の体験談」は、36歳の大手コンピュータ会社勤務のSEの方が、職場復帰をした経過を詳述しており、とても参考になるものでした。その後に続く、セッション3~5が、本著の核となる部分です。セッション3『「うつ」を乗りこなす - キャリアリカバリーへの道筋』は、職場復帰への道筋について、そのモデルや課題、必要な支援について説明すると共に、ライフキャリア、人生を見つめ直すことの重要性を説いています。セッション4の『復職に向けての心得』は、復職に向けて、取り組んでおかねばならないことについて、具体的に説明しています。それは、8時間労働に耐える、一人で通勤する、元の仕事に戻ることが出来るかどうか。そして、リハビリ出勤について説明した上で、復職だけが人生ではないとも説いています。 また、職場復帰の際に、元の職場に復帰することには問題があるという場合には、 復帰前に事前に相談をすべきです。 元の職場での人間関係がうつ病の原因であったとか、 従来と同様のレベルの仕事をこなすことは不可能だと判断できる場合には、 事前に申し出ることが必要です。 なぜならば、うつ病になる前と同様の状況にならないことが うつ病再発予防の方法の一つであるからです。 職場人員配置の問題もありますが、優秀な人材の有効活用の面から、 会社としてはできるだけの配慮をすることが肝要と考えています。 また、会社側にも労働安全衛生法のほか判例による安全配慮義務等により、 快適な職場環境を形成する義務があることも確かです。(p.94)セッション5の『事例から学ぶ心理的プロセス』では、40代公務員の実体験を元に、休職から復職に至るプロセスを振り返り、それぞれの時期の対処のポイントを示してくれています。1年半の休職期間を経て復職するまでを、初期、中期、後期に分けています。 うつの回復プロセスは単純な右肩上がりではなく、よいとき、悪いときを繰り返します。 今日は調子がよいなと思っていても、翌日は朝から憂うつだったりもするものですが、 悪い時の底は少しずつ上がってくるものです。(p.108)上記の一文は、休職中期のことを記している中で出てくるものですが、この辺りの記述を読んでいると、患者が現時点でどの段階に置かれているのかが見えてきて、非常に心強い道標、地図になってくれると感じました。また、復職直後の段階については、こういう指摘もされています。 上司から体調について聞かれた時には、業務への影響に焦点を絞って話すのがポイントです。 「主治医から、当面は業務量や残業時間の配慮が必要と言われており、 その範囲で働くことは大丈夫です。」、 「朝は気分が落ち込みがちですが、業務の遂行には影響はありません」など、 上司が本人の業務内容を決定する上で参考になるような、またその範囲であれば 仕事を任せて大丈夫との印象を持てるような話し方が望まれます。 「思考力や集中力がまだ戻りません」とか 「睡眠が充分にとれません」など症状だけを伝えると、 業務を任せて大丈夫なのだろうかと不安を残すことになります。(p.113)その後のセッション6『家族が「うつ病」になったとき』は、文字通り、患者本人にというよりも、それを支える家族に役立つ内容となっています。「うつ病」は、患者本人も辛いものですが、それを支える家族にとっても大変辛いものです。p.142からのコラム「夫がうつ病になって - 家族の体験談」は、とても参考になります。以上、本著はタイトルに相応しい、素晴らしい出来映えの一冊であり、「うつ」から社会復帰、復職を目指す人は、ぜひ読んでおきたい一冊です。ただし、本著が発行されたのは、2004年6月3日で、およそ10年前のこと。「この10年で、ここに書かれている内容に変化は全くないのか?」という点は気になりました。最新の情報が掲載された書物も検索して、探してみたいと思っています。
2014.05.30
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私は、岡田彰布氏のファンである。 先日、金本氏と共に解説している試合を、TVで観戦していたが、 いつもながら、たいへん面白かった。 「そこまで、放送で言っていいの?」ということを平然と言ってのける。 また、彼の持っている野球観や、タイガースへの愛情にも、私は惹かれる。 それ故、『頑固力』や『動くが負け』等の著作も読んできた。 本著が発行されたのは、昨シーズンのCSより少し前の時期。 3位の広島に1勝もできず、巨人と戦うことなくシーズンを終える前のことである。だから、今となっては『なぜ阪神はV字回復したのか?』というタイトルには、違和感さえ感じる。2013年のペナントレースは、結局1位巨人に大差を付けられ、CSでもイイところは全くなし。2位とは言っても、気持はほとんどBクラスのイメージのシーズンになってしまったからだ。そして今年も、スタートからまずまず良かった調子が、上本が欠場してからは下降気味。最中、苦手の交流戦が始まり、現在首位のオリックスに、藤浪がボコボコにやられてしまった。本著で、岡田氏がケチョンケチョンに貶しているオリックスが、何故、今年はこんなに強いのか?どこが、どう変わったのか、岡田氏に教えてもらいたい。きっと、彼なら、分かっているはずだ(でも、オリックス戦の解説などしないだろうな)。しかし、一昨日の試合は、タイガースも粘りを見せた(交流戦から上本も復帰)。榎田から交代した鶴が、初球ホームランで逆転され「もう終わったな」と思った試合を、何と新井貴が同点ホームラン、「もうあかん」と思うピンチの連続を安藤が踏ん張りきり、最後は、4番ゴメスの豪快なホームランと、呉のセーブで見事な逆転勝利。その余韻を引きずったまま、昨日書店に行ったため、思わず本著を購入してしまった。新書を読むのは久し振りだったが、一気に読み終えた。昨シーズンのことを書いているので、今シーズンには当てはまらない部分もあるが、タイガースに残る慢性的な課題についても、遠慮なく指摘している。その点で、昨年出版された書籍ではあるものの、「第4章 常勝軍団になるための阪神への提言」と「第5章 次期監督問題を考える」とは、過去の古い問題ではなく、まさに現在も続いている問題で、読む価値十分である。そして、本著から何よりも強く伝わってくるのは、岡田氏のタイガースへの愛情である。
2014.05.23
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『真夜中のパン屋さん』シリーズは、ずっと楽しく読ませてもらっているし、 先日読んだ『てのひらの父』も、とってもヨカッタので、 他の大沼さんの作品も読んでみようと思い購入しました。 読者レビューも、高評価のものが多いすしね。 主人公の奏の最初の行動には、何だか腑に落ちないところはあったものの、 女性専用の老人ホーム・ラヴィアンローズを舞台とする、 奏とその入居者たちやスタッフ、それに山崎和臣たちとの日々の描写は、 ホノボノとしたもので、とってもイイ感じ。でも、途中からは、一転してミステリー小説ぽくなっていき、最後には、冒頭部で奏のとった行動の意味も明らかになるという、かなり凝った作りの作品でした。まぁ、田村くんについては、早い段階で怪しげな男とは思ってましたけど。そして、結論からいうと、私の読後感は、これまで読んだ大沼さんの作品からは感じたことのない、とっても悪いものでした。この作品を読んで、みなさん、どんな感想を持ったのだろうと、もう一度、色んな読者レビューを、見直してみたくらいです。すると、高評価にする人だけでなく、奏に共感するような意見も多数見られました。でも、私は素直には共感できないなぁ……まぁ、そういう状況に、私自身が置かれたことがないからかも知れませんが、それでも、そこに「殺意」が芽生えるというのは、どうも……だから、私にとって、田村くんなんて、もう論外です。策略を巡らし、他人(遙さん)を使って、自らの目的を達成しようとしたわけですから。田村くんの父親が幸せそうにしているのも、確かに腹立たしいけれど、それでもなお、田村くんが何事もなかったように、これから過ごしていくのかと思うと、釈然とはしません。また、最後は、奏と紗記子ちゃんの、一見ほのぼのシーンで締めくくられており、何だか、ハッピーエンドのように見えるけれど、先に記したように、今の私にとって、この作品の読後感は、極めて悪いものでした。文庫版では、最後に、まともな山崎少年のお話を付け加えてくれたことだけが救いです。
2014.05.23
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昨年末から、ずっと本を読むことが出来なかった私が、 4月になって、ようやくエッセイや小説が読めるようになったので、 古本屋さんに出かけ、そこで初めて「うつ」関連の書籍で手にしたのが本著。 「これなら、読めそうだ。」と思い、早速購入。 しかし、実際には、その後に購入した『ツレうつ』シリーズや、 丸岡さんが書いたもの等々を先に読んで、今回、本著を読むことになりました。 これまで読んできたものと決定的に違うのは「復職」にスポットが当たっていること。 ツレさんも、丸岡さんも、元の職場には復職されていません。本著の体験編「私のうつノート」で、自らの体験を書かれた瀧野記者は、気分障害(うつ病)の中でも、双極2型障害ということだそうですが、症状としては、大うつ病と共通する部分も多々あると感じました。その点で、本著は大いに参考になり、読了時には、あちこち付箋だらけに。 日常、当たり前にこなしていることが当たり前ではなくなった。(中略) ささいなことも、する元気がない。 何かを「する」という気持ちがわいてこない。(中略) いすに正しい姿勢で座ることが、とてもおっくうなことに感じる。 いすの背にもたれ、だらしない姿勢で、ずるずるとラーメンを食べた。(中略) めんの味も感触もわからなかった。(p.28)復職してからも 実際、何をやっても混乱した。 思考力、集中力、気力が低下していた。 周りの記者に、いろいろ教えてもらっても、すぐに理解できないし、忘れてしまう。 何かをしようというアイデアも浮かばない。(p.49)そして、また休職、入院。 2006年の6月ごろ、終末に自宅に戻るようになった。 自宅でも病院と同じように朝起きて、生活リズムを守るのが条件。(p.63) 6月後半になると、会社の保健師と新しい生活情報部長が病院を訪ねてくれて、 主治医、私、私の妻と面談した。 「仕事に戻る上で大事なのは生活リズムを守ることです。 本人が遅くまで仕事をしたがっても、させないでください」という説明があった。 話し合いで「復職しても夜勤や土日の勤務は当面控える。(中略) 復職しても100%の力で仕事をしてはいけない。70%ぐらい、抑え気味で仕事してほしい。 (中略)退院後も診察を受けてほしい。受診する、しないを自分で判断しないように」 医師が私に説明してくれたのは以上のような内容だったと記憶している。(p.64)この部分を含め、瀧野記者はとても良い企業に勤務されていたと、羨ましく感じました。本著体験編中の「うつ闘病中の同僚記者と」を書かれた当時生活情報部長の白水さんをはじめとする、素晴らしい上司の方々に恵まれ、また、保健師や産業医等の方たちも、積極的に瀧野記者に関わっていっているからです。これは、企業としての体制がきちんと整備されていて、対応が十分出来ているということ。だからこそ、異動についても十分な配慮がなされ、また復職前後の職場での、丁寧な支援も可能だったのでしょう。これだけのことをしてくれる職場が、今の日本に、どれくらいあるものなのでしょうか?主治医や家族(瀧野記者の場合は、妻や小4の娘さん)は、もちろん必須のものだけれど、職場の理解と支援がなければ、やはり復職は難しいのだろうなと感じました。 ***続く本著の情報編で印象に残ったのは、まず、「変わる常識」の中の、野村総一郎さんの言葉。 野村さんによると、「心のかぜ」という表現により、 患者の苦しみが周囲に軽く受けとめられるのが問題だという。 企業などで「うつ病は短期間で治ると聞くが、あなたはなかなか治らない。 本当にうつ病なのか」と患者が詰問されるケースもある。 「心のかぜ」という言葉が「心の問題なのだから、気の持ちようで治る」 という誤解を招くこともある。 しかし、うつ病には、心の病気というよりも、脳の病気の面がある。 脳内の神経と神経を結ぶ神経伝達物質の働きが乱れた状態だと考えられている。 気の持ちようでは治らない。(p.98)そして、もう一つは「回復めざして」の次の一文。 健康情報などをインターネットで公開しているヘルスクリック(東京)が、 2007年5月にうつ病患者303人を調査したところ、 「うつ病になってつらいこと」の第1位は 「休職、失業で経済的問題が生じている」(56%、複数回答)だった。 「治療効果が現れない」(41%)や「友人や家族の理解が得られない」(40%)を上回り、 うつ病患者にとって経済的不安が最も深刻だということがうかがえる。 うつ病に、ストレスは禁物。 しかし、休職、失業によってストレスが引き起こされている。 経済的な不安を解消することが必要だ。(p.133)今後も、復職に向けてどうすればよいのかに焦点を当てた書籍を、継続して、読んでいきたいと思っています。
2014.05.19
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海堂さんの作品も、長期間に渡って、結構数多く読んできたから、 登場人物とか、色んな事件・出来事が、もう頭の中でグチャグチャ。 何が何だか、記憶が定かでなくなり、こんがらがってしまっている。 それ故、本著の流れについていくことは大変で、十分には出来なかったと思う。 本著が直接関係する『螺鈿迷宮』を読んだのは、もう5年も前の話だし、 彦根新吾と檜山シオンが登場する『イノセント・ゲリラの祝祭』を読んだのが4年前。 そして、今回問題となってくる『ブラックペアン1988』を読んだのも4年前。 さらに、西園寺さやかや南雲忠義が登場する『極北クレイマー』を読んだのが3年前。その上、『アリアドネの弾丸』や『ブレイズメス1990』も関係してくるし、『ナニワ・モンスター』も、ちょっと絡む。特に、最後のボーナストラックなんかは、『ジェネラル・ルージュ』関係を読んでいないと、さっぱり意味不明なのではないだろうか?私自身、文庫化されたものでは、まだ『輝天炎上』を読んでいないし、その他に『玉村警部補の災難』『スリジエセンター1991』『ガンコロリン』『カレイドスコープの箱庭』等も読んでいないので、上手くお話しが繋がっていかないのかも知れない。 ***さて、本著を読んで感じたのは、「結局こうなってしまうのか……」ということと、彦根や白鳥たちの実力なら、「炎上させてしまってはいけないんじゃないの?」ということ。そして、檜山シオンの行動にも解せないところがある。その辺は、『輝天炎上』を読めば、何か分かるかも知れないので、早速読んでみたいと思う。
2014.05.17
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『ツレうつ』シリーズの細川さんとツレさん(望月さん)、 それに朝日新聞出版の編集者の山田さんの三人が、 うつの先生に会いに行って、質問してきたことをまとめたもの。 だから、実体験をまとめた『ツレうつ』シリーズとは、若干色合いが違います。 質問に答えてくれたのは、認知療法における第一人者の 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター長・大野先生。 『ツレうつ』シリーズは、実体験を記したものだけに、臨場感がありますが、 本著は、それとは違った意味で、うつを知るのに、とても参考になる一冊です。どれもこれも、よいテーマ設定で、興味深いものばかりでしたが、中でも、私の心に残ったのは、大野先生の「あとがき」と「文庫版あとがき」。やはり、数多くの患者さんを診察し、実際に対応されてきただけあって、細川さんや望月さんからは、到底出てこないだろう言葉が、そこにはありました。文章を読むと、「分かってもらえているな」という気持ちになれます。ただし、本著冒頭部にあるように、「うつ病って、結局なんなの?」という質問に対しての答えは、「うーん、実はぼくにも、はっきりわからないんですよ」という答え。そう、本著を読んで思ったのは、やはり「うつは、わからないことが多い」ということ。そして、その対応は難しいということ。例えば「子供への説明はどうすれば?」の答えは「子供にうつ病を説明するのは、難しいんですよ」(p.61)。また、「うつ病患者の気持ち3 近所の目」(p.70)も、お答えはされていますが、「じゃあ、具体的にどうすればいいの……?」。実は、本著を購入する前に、この二つの項目が掲載されていることを知り、その回答に、かなり期待していただけに、肩すかしを食ったような感じもします。それでも、先にも書いたように、本著には参考になる部分が本当にたくさんありました。かなり幅広い範囲のことを、コンパクトにまとめてあるので、深みには欠けるかもしれませんが、ササッと一気に読んでしまえるのも、本書の優れたところ。これまでの『ツレうつ』シリーズからは得られなかったものを、確実に得ることが出来ます。
2014.05.08
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これまで村上さんの作品を、結構多く読んできた私にとって、 前作の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が、 少々肩すかしの感のあった作品だったのに対し、 本著は、短編集でありながら、まさに村上ワールド。 ただ、現在の私にとって、本著に収められた作品群は、 難解過ぎるものであったり、ある意味、恐怖を覚えるものが多かった。 もちろん、この感覚は、これまでの村上さんの作品でも味わってきたものだが、 特に、今回、現在の私には、その感覚が強烈に引き起こされたということ。最初の『ドライブ・マイ・カー』は、まだ、何とか平静を保ち、読み進めることができた。お話しは、家福の亡くなった妻が、なぜ高槻と関係を持っていたのかを問うものだが、「北海道中頓別町」が「北海道**郡上十二滝町」になっていても、違和感はなかった。そして、みさきが、女性として、家福の妻や自分自身について語り、話は収束している。それに比べると、『イエスタディ』の方は、関西弁の訳詞が大幅に削られたのは残念。特に あの子はどこかに 消えてしもた さきおとといのあさってには ちゃんとおったのにが、作品に残っているのと、削られてしまっているのでは、随分違いがあるように感じた。そして、このお話しと、次の『独立器官』は、共に谷村視点で、お話しが進んで行くわけだが、『イエスタディ』の木樽は、栗谷えりかとは離ればなれの人生を歩んでいるものの、まだ、世界のどこかで寿司職人をして、生きているのだろうという救いがある。しかし、『独立器官』の渡会医師は、それまでの順風満帆過ぎる程の人生を、十六歳年下で、夫も子どももいる女性に心を奪われてしまい、そのことが、あまりにも痛々しい命の失い方をする引き金となる。もう、この辺りになると、私は得体の知れない恐怖感を感じずにはおれなかった。『シェエラザード』は、難しかった。『女のいない男たち』は、本著のために書き下ろされた作品だが、やはり、これも私には難しかった。と言うか、『木野』で終わってしまった方が、本著全体として納まりが良かったのでは?何故なら、『木野』は、本著の中で、私に最も村上さんを感じさせてくれた作品だから。「柳」「灰色の猫」「蛇」「神田」「叔母」「火傷の痕のある女」「妻」。不思議なお話で、最後は読者を路頭に迷わせたまま終わってしまう。まさに、村上ワールド。
2014.05.05
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