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尭明に慧月との入れ替わりを気付かれてしまい、 今後、入れ替わりを見抜かれたら、彼の雛女であり続けることを約束した玲琳。 豊穣祭の開催地となった朱家の治める南領に、皇族や雛女たちと共に赴きますが、 そこで発生した悶着を機に、思いもよらずまた慧月と入れ替わってしまうことに。 そのことで慧月は危機を脱したものの、玲琳は賤民に攫われてしまいます。 しかし、兄・景行と共に邑(むら)で農作業に精を出し、さらに辰宇の支援も受けながら、 玲琳は自らを攫った前頭領の息子・雲嵐たちの心を徐々に開かせていくのでした。 ところが、玲琳たちが禍森で猪狩りをした後、邑人が痢病で次々に倒れ始めます。玲琳たちは寝食を忘れて看病に当たり、雲嵐は一人で郷長のもとに出向き邑の窮状を訴えます。ところが、この痢病は藍家の指示で郷長・江氏が引き起こしたものでした。林煕(りんき)たちに深手を負わされながらも、雲嵐は邑に危機が迫っていることを伝えます。その頃、慧月は自らを陥れようとする藍家の雛女・芳春の言葉に絶句していました。 ***今巻は、玲琳がメンタル面だけではなく、身体能力の高さまで見せつけてくれました。一方、慧月も少しずつ成長していきそうな兆しが。最後のページに至っても、南領を舞台とするお話は終結を迎えず、雛宮における五家の権力闘争が露わなものとなってきたところで、次巻へと続くことに。
2023.08.27
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『思い出が消えないうちに』に続くシリーズ第4弾。 ただし、舞台は『コーヒーが冷めないうちに』の翌年という設定で、 シリーズ第3弾『思い出が消えないうちに』はもちろん、 シリーズ第2弾『この嘘がばれないうちに』よりも昔のお話です。 *** 第一話『「大事なことを伝えていなかった夫の話』は、考古学者で冒険家の男が、事故で脳に障害を負って植物状態となっている妻に、伝え忘れたことを伝えるため、過去に戻るお話。第二話『愛犬にさよならが言えなかった女の話』は、自分が寝たせいで愛犬の最期を看取ることが出来なかったと激しく後悔する女が、過去へと戻り、自分が知らなかった愛犬の行動について夫から知らされるお話。第三話『プロポーズの返事ができなかった女の話』は、男からの求婚を受け入れることが出来ず、その後突然フラれてしまった女が、男の訃報に接し、その本心はどんなものだったのかを確かめるため、過去に戻るというお話。第四話『父を追い返してしまった娘の話』は、宮城県から訪ね来た父親に悪態をつき追い返した娘が、東日本大震災で父親を失ったものの、過去に戻って父親と語り合うことで、自らの幸せへと歩み始めるというお話。 ***お話の中には、『コーヒーが冷めないうちに』に登場した清川二美子や竹高奈々が登場。二人がどんなキャラクターなのかを知れば、今回のお話をより楽しめることでしょう。そして、シリーズ第5弾『やさしさを忘れぬうちに』も既に刊行されているので、また機会を見つけ、読んでみようと思っています。
2023.08.26
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理不尽な理由で辞めさせられた会社への侵入、器物損壊、窃盗未遂で逮捕され、 送検、起訴を待つばかりの身となった直井玲斗を釈放してくれたのは、 亡くなった母の義姉で、ヤナッツ・コーポレーション顧問の柳澤千舟。 その際、伯母が提示した条件は、「クスノキの番人」をすることでした。 玲斗は、満月と新月の夜の前後に、月郷神社の奥に鎮座するクスノキへと、 祈念のためやって来る人たちへの対応を始めます。 そしてある夜、クスノキにやって来た佐治寿明の後を、こっそりつけてきたのが娘の優美。 父の外出や不審な行動について明らかにしようと、玲斗に協力を求めてきます。その後、佐治寿明の兄・喜久夫が、5年前にクスノキを訪れていたことに気付いた玲斗は、優美と共に喜久夫が入所していた介護施設を訪ねますが、これといった情報は得られず、寿明がクスノキで祈念する様子を盗聴しようとしますが、すぐに見つかってしまいます。しかし、二人からここに至った経緯を聞かされた寿明は、事の真相を話し始めたのでした。一方、クスノキを訪れていた和菓子メーカー『たくみや本舗』会長・大場藤一郎が亡くなると、今度は、その息子・大場壮貴が、新たにクスノキを訪ねてくるようになりました。祈念が上手くいかない壮貴は、祈念が失敗した際のルールについて玲斗に尋ねると共に、自身が直面している『たくみや本舗』の後継者争いについて話し始めます。他方、玲斗は柳澤グループ謝恩会で、箱根の『ホテル柳澤』が閉鎖されると知り、後日、千舟と共にそこを訪れた際に、総支配人・桑原に閉鎖の理由を尋ねます。さらに後日、千舟の指示で『ヤナッツホテル渋谷』に宿泊することになった玲斗は、千舟と現在の代表取締役・柳澤将和との理念の違いに気付くのでした。その後、兄・喜久夫がクスノキに預念したピアノ曲は、弟・寿明を経て、その娘・優美が受念し、それを楽譜に再現した岡崎実奈子が、兄弟の母親が入居する介護施設で披露します。そして、玲斗から壮貴へのアドバイスで、『たくみや本舗』の後継者問題も一気に解決。さらに、玲斗の名演説により、『ホテル柳澤』の存続は改めて協議することになったのでした。 ***千舟の手帳に秘められた事実が、私にとってはかなりの衝撃でした。でも、本人にとっても周囲にとっても、切実な問題ですよね。このお話も、やがて映画化されることになるのでしょうが、私のイメージとしては、玲斗は菅田将暉さんです。
2023.08.20
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前巻を受け、まずは、玲琳付の筆頭女官・黄冬雪が、 玲琳と慧月の入れ替わりに気付いた時の状況を振り返り。 その後、お話は皇后・絹秀の雛宮時代を舞台をするものへと大転換し、 問題児・絹秀と『殿下の芙蓉』と称えられていた朱雅媚との関係が描かれます。 皇后には、優美にして慈愛深き朱雅媚を。 貴妃には闊達で華やかな金麗雅を、淑妃には藍芳林、徳妃には玄傲雪、 そして最下位の賢妃に、妃としての栄華を望まない黄絹秀を。 5人の未来の序列は、誰の目にも明らかで、 それがかえって雛宮に平和をもたらした。(p.072)しかし、伝染病に罹患した皇太子を、絹秀が我が身をかえりみず看病したことで形勢は逆転。その数か月後、皇太子が帝位を引き継いだ際、絹秀が皇后の座に就くことになりました。さらに、雅媚は皇子を儲けながらも死産、一方の絹秀は尭明を産んだことが発端となって、今回の入れ替わりが起こり、皇后・絹秀が床に臥せる事態へと繋がっていったのです。その後は、玲琳と慧月が協力して、絹秀の危機を救うべく、『蟲毒(こどく)』に立ち向かう姿が描かれていきます。さらに、入れ替わりの事実に気付いた尭明と辰宇の異母兄弟が、玲琳を巡って弓で競い合う姿も描かれます。
2023.08.16
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