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アメリカが「ロシアのスパイ」で騒いでる間にイスラエルではガザ支援船襲撃に関する「調査」が始まっている。勿論、容疑国自らが実施する調査に期待することはできないのだが、それでも調査を指揮しているヤコブ・トゥルケルは政府に対し、調査の権限を拡大するように求め、ある程度は認められたという。ところが、エウド・バラク国防相は兵士や将校への尋問を拒否している。イスラエル政府が考える調査とは、そんな程度の代物であり、それを認めたアメリカ政府の責任は重い。
2010.06.30
アメリカ司法省は「ロシアのスパイ」を逮捕したと28日に発表した。10名をアメリカ国内で逮捕したほか、1名はキプロスで逮捕している。逮捕容疑は移民法違反のようだ。 アメリカ当局の主張を読む限り、スパイ活動の具体的な内容は判然としない。修飾語の羅列で、「あなたの隣にスパイがいる」という戦時下、あるいは戒厳令下の宣伝文の域を出ない。そもそも「普通の市民」が機密情報を入手できるだろうか? ある人は「ジョン・ル・カレの小説」、別の人はコミックだと今回の「スパイ騒動」を表現している。ともかく、実際に機密情報がイスラエル政府へ渡されたことが判明しているAIPAC(イスラエルのロビー団体)のケースとは根本的に違う。 このところ、アメリカ政府とロシア政府は接近していた。その過程でロシア側はかなりアメリカに譲歩している。イラン問題ではアメリカの「二重基準」、つまり親イスラエル政策に強く反対せず、韓国の哨戒艦沈没でロシアは「朝鮮の魚雷攻撃説」に疑問を持っているにもかかわらず、強く批判はしていない。(この件については本コラムでも書いているので、ここでは割愛する)ロシア政府としては、アメリカとの友好促進を第一に考えたのだろう。 つまり、今回の逮捕劇はドミトリー・メドベージェフ大統領にとって大きなダメージになる。アメリカはロシアから譲歩を引き出した上でパンチをお見舞いした形であり、親米路線をロシアが修正する可能性が出てきた。世界の軍事的な緊張を高めておきたい勢力にとっては良い流れだ。 アメリカとロシアの接近を嫌う勢力のひとつがイスラエル、特にアビグドル・リーバーマン外相のような人たちだ。リーバーマンたちの背景にはロシアから追い出された「イスラエル系」の富豪が存在し、その富豪たちはイギリスのロスチャイルド家と緊密な関係にあることは、すでに本コラムで書いた通り。グルジアの南オセチアに対する奇襲攻撃でイスラエルが深く関与していた(本コラムで何回か書いているので、ここでは説明を省略する)ことからもわかるように、現在、イスラエルの強硬路線をリードしている勢力は強烈な反ロシア派でもある。 勿論、今回の逮捕劇がイスラエルの陰謀だと言っているわけではない。念のため、付け加えておく。
2010.06.30
イスラエルのアビグドル・リーバーマン外相は、パレスチナ問題の「解決策」を公表した。パレスチナ人から市民権を取り上げ、将来のイスラエル領から追い出すという内容である。先住民を抹殺、あるいは駆逐して「ユダヤ人の国」を作るということのようだ。 リーバーマンは旧ソ連、モルドバのキシニョフで1958年に生まれ、1978年にイスラエルへ家族と一緒に移民している。その後、ウラジミール・(ゼフ・)ジャボチンスキーの思想を受け継ぐ政党「イスラエル・ベイテイニュ(我が祖国イスラエル)」を創設している。 ジャボチンスキーとは、1880年にウクライナのオデッサで生まれた人物で、1925年に「修正シオニスト世界連合」を結成し、1931年にはパレスチナで「ユダヤ人国家」を建設しようと提案している。 しかし、「ユダヤ人国家」の建設を最初に思いついたのはイギリス政府。1838年にイギリスはエルサレムに領事館を建設し、1840年になるとイギリスのタイムズ紙は、同国政府がユダヤ人の復興を考えていると報じている。こうした動きとジャボチンスキーの動きが無縁だとは思えない。 もっとも、こうしたイギリス政府やジャボチンスキーの思惑通りにことは進まない。住み慣れた場所を離れ、パレスチナに移住しようという「ユダヤ教徒」はほとんどいなかったからである。 第一次世界大戦の最中、1915年にメッカの豪族、フセイン・ビン・アリに対し、大戦後の自治と引き替えにオスマン帝国と戦うようにイギリス政府は求めた。これが「フセイン・マクマホン協定」。その2年後、1917年にはシオニストに対し、パレスチナに「ユダヤ人の国」を造らせると約束している。これが「バルフォア宣言」。実際に、この宣言を書いた人物はアルフレッド・ミルナーだ。 1891年にセシル・ローズ(歴史の教科書にも出てくる有名人なので説明は省略)は、「選民協会」なる秘密結社を創設しているが、ミルナーもそのメンバー。1901年からはミルナーが協会の主導権を握った。「ミルナー幼稚園」や「円卓グループ」と呼ばれるグループは選民協会に含まれている。 また、「RIIA(王立国際問題研究所)」はミルナー・グループが創設したシンクタンクであり、そのアメリカ支部的な役割を果たしたのは、JPモルガンが主導権を握ってからの「CFR(外交問題評議会)」だ。 フランクリン・ルーズベルトが大統領に就任した直後からJPモルガンを中心とする勢力は反ルーズベルト/親ファシストのクーデターを計画するが、スメドレー・バトラー退役少将の告発で失敗に終わる。その後、CFRはロックフェラーが支配するようになった。 つまり、バルフォア宣言の背景には、こうした勢力が存在していた。しかも、19世紀の前半にイギリス政府はパレスチナに「ユダヤ人国家」を建設しようと計画していた。シオニストの正体はこうした人々なのであり、「ユダヤ教徒」は隠れ蓑にすぎない。いわば、イスラム教徒もユダヤ教徒も手玉にとられているだけだ。 第2次世界大戦でナチスは障害者や左翼勢力のほか、「ユダヤ人」を弾圧しているが、それでも多くのユダヤ教徒はパレスチナへ移住していない。大半はイギリスやアメリカなどへ渡っている。当然だろう。「多くのユダヤ人がヨーロッパに住みたくない」と考えるようになり、パレスチナに「ユダヤ人国家」を作ろうとしたとする説明は、事実に反している。 そうした中、1947年に国連はパレスチナ分割案を提示するが、水資源が豊かで農耕に適している土地は「ユダヤ人」に、砂漠に近い土地はアラブ人に割り当てられたもので、きわめて不公平な内容になっていた。「イスラエル建国」の黒幕を考えれば当然かもしれないが、これで先住のアラブ系住民に納得しろという方が無理だった。 1948年4月4日、シオニストはイスラエル建国に向けて、アラブ系住民を追い出す大規模な作戦を開始している。「ダーレット作戦」だ。その過程でデイル・ヤシン村に住むアラブ系住民254名が虐殺されている。「殺されたくなければパレスチナから出て行け」というわけだ。この虐殺にイルグンと呼ばれる武装グループも含まれていたのだが、メナヘム・ベギンはその指導者だった。 恐怖に駆られたアラブ系住民が逃げ出して難民化する中、5月14日にイスラエルの「建国」が宣言されている。アラブ諸国の軍隊が参戦するのはその翌日だ。建国前、シオニストに武器を供給していたのがニカラグアの独裁者、アナスタシオ・ソモサ・ガルシアだ。 こうした事態を問題視する人もいた。そこで、国際連合調整官のフォルケ・ベルナドッテ伯はパレスチナ難民の帰還を含む解決策の草案を公表していたのだが、その内容をイスラエル側は気に入らない。そして9月17日、ベルナドッテ伯は国際連合監視者のアンドレ・セロー大佐とともに、シオニストの非公然武装グループ「レヒ(通称スターン・ギャング)」のメンバーにエルサレムで暗殺された。イツハク・シャミルはレヒを指揮していた。 1967年6月の第3次中東戦争でイスラエル軍はヨルダン川西岸とガザ地区が占領しているのだが、当初の予定ではさらに広い領土を獲得するつもりだったと言われている。おそらく、リーバーマン外相は当初の予定通りに領土を拡大するつもりだ。 現在、イスラエルは旧ソ連領からの移民が動かしている。その資金源は、ボリス・エリツィン時代に不正な手段で巨万の富を手にし、現在はイギリスやイスラエルに亡命している富豪たちである。その富豪たちは現在、イギリスのロスチャイルド家と親密な関係にある・・・・・。長くなりすぎたので、今回はこの辺で終わりにする。
2010.06.28
イスラエルのパレスチナ人に対する兵糧攻めは続いている。2008年12月から翌年の1月にかけて実行されたガザへの軍事侵攻、そして今年5月に行われた公海上でのガザ支援船団襲撃を批判されたイスラエル政府は「英語」で封鎖の緩和を宣言していたが、新たに搬入を認めたのはチョコレートやマーガリン、おもちゃ、鉛筆などにすぎない。つまり、こうした商品もイスラエルは持ち込ませないようにしていた。チョコレートやマーガリンはパレスチナ人にとって「贅沢だ」という理由だったらしい。イスラエル軍に破壊された建造物を修復し、建て直すために必要なセメントの搬入も認めようとしていない。 最近の例では、ノルウェーの開発局が寄付した医療用装置がイスラエル政府によって没収、つまり強奪されている。その装置とは7台の酸素発生機で、北部ガザの病院へ6台、残りの1台は南部ガザへ送られることになっていた。 イスラエル側は「軍事転用が可能」というのだが、乾電池やコードも爆弾製造に使えるとも言えるわけで、機械類で軍事転用が不可能なものはないだろう。つまり、イスラエルの論法に従えば、近代的な装置をパレスチナ人は使えないということになる。 そもそも、イスラエルはフランスやアメリカの協力を得て「秘密裏に」核兵器を開発、世界有数の核弾頭保有国になった「近代国家」だ。合法、非合法、あらゆる手段をつかってアメリカから軍事技術を手に入れ、パレスチナ人を虐殺してきた国に「軍事転用云々」などと言う資格はないだろう。 2008年12月から1月にかけて実行されたガザ侵攻で、イスラエル軍は白リン弾のような「化学兵器」やGBU-39(スマート爆弾)を使用、そのターゲットにはUNRWA(国連難民救済事業機関)の施設、学校、救急車、病院なども含まれていた。国連の調査団はイスラエル軍に人道法や人権法に違反する多くの行為があったと認めている。 この調査団を率いていたのは「ユダヤ系」のリチャード・ゴールドストーンなのだが、「裏切り者」だと親イスラエル派は激しく攻撃してきた。アメリカのバラク・オバマ大統領やヒラリー・クリントン国務長官も偏向してるとゴールドストーン報告を非難している。もっとも、どの点が具体的に問題なのかを両者は指摘できないようだが。 ゴールドストーン報告を攻撃している人たちの中には、アメリカの議員たちも含まれている。昨年10月には、アメリカの下院で「ゴールドストーン報告」を拒否する決議が344対36の大差で可決された。ブライアン・ベアード下院議員によると、議員たちは報告書を読まず、決議の内容も知らないで投票しているという。とりあえず、イスラエルに胡麻をすっておこうということのようだ。また、つい最近、支援船を襲撃したイスラエル政府を支援する書簡をアメリカの議員たち87名はオバマ大統領に送った。 兵糧攻めとは、時間をかけて戦闘員も一般庶民も区別なく殺す戦法である。イスラエルのパレスチナ人虐殺は今も続いていると言える。圧倒的な軍事力を持つイスラエルが先住民をパレスチナから消滅させようとしている。
2010.06.27
60年前の6月25日、朝鮮半島で戦争が始まった。言うまでもなく「朝鮮戦争」である。切っ掛けは、朝鮮軍が北緯38度線を越えて韓国に軍事侵攻したことにあるとされているのだが、東アジアにおけるアメリカの戦争はすでに始まっていた。その相手は中国。コミュニスト政権の樹立を阻止するため、アメリカは国民党を支援していた。 当初、この計画は簡単に達成できると思われたのだが、徐々にコミュニストの勢力が拡大、1949年5月に蒋介石は台湾に逃れ、同年10月には中華人民共和国が成立してしまった。アメリカが秘密裏に創設していた「テロ組織」のOPCはこの年、拠点を中国の上海から日本の厚木基地などに移動させている。 アメリカも手をこまねいていたわけではない。1949年1月に人民解放軍(コミュニスト軍)が北京へ無血入城しているが、同軍の首脳部全員を暗殺し、混乱に乗じて陳誠(蒋介石の片腕)が率いる国民党軍と傅作義軍を蜂起させ、一気に形勢を逆転しようと計画していた。 つまり、人民解放軍が北京入りして民衆の前に姿を現した時に首脳部を暗殺し、偽装帰順していた傅作義の軍隊と済南に待機していた陳誠の率いる国民党軍が武装蜂起し、人民解放軍を殲滅するというシナリオだ。 この計画をアメリカ政府は否定しているが、元特務機関員で、朝鮮戦争の当時はCIAのエージェントとして活動していた人物は、実際にあった計画だと断言している。この計画は、遅くとも1948年の夏には始動していた。 言うまでもなく、この計画は実行されていない。途中で計画が中国側に漏れていることに気づいたアメリカは1950年の2月頃、計画の中止を決断したのだ。そした始まったのが朝鮮半島での攪乱工作。朝鮮側を挑発して軍事的な緊張を高めることが目的だった。 当時、アメリカ政府は「民意」に基づく朝鮮半島の統一を嫌っていた。アメリカが望んでいたのは、自分たちの傀儡政権にすぎない。李承晩とならぶ右派の大物だった金九も自分たちの意志に基づく朝鮮半島の統一を目指して活動したいた人物だが、1949年に暗殺されている。 1950年になると、OPCは中国南部へ侵攻する作戦を立て、ラオスにいた国民党軍を再編成、同年3月までに約1万5000名の国民党軍がビルマのチェンタン市とタチレクの間を占領している。その先には中国への軍事侵攻が計画されていた 朝鮮半島でOPCが挑発工作を始めた頃、すでに朝鮮半島では軍事的な緊張が高まりつつあり、一日に何回も南北両軍が衝突していた。そうした中、ジョン・フォスター・ダレスが東アジアを訪問、6月22日、つまり朝鮮戦争が勃発する3日前にニューズウィーク誌の東京支局長だったコンプトン・パケナムの邸宅で夕食会を開いている。その会に出席していた日本人は、渡辺武元子爵、松平康昌元侯爵、外務省の沢田廉三、国家地方警察企画課長の海原治だ。 アメリカ軍は山岳地帯での戦闘に不慣れで、開戦直後は朝鮮軍に圧倒される。28日にはソウルが占領され、韓国側は馬山、大邱、浦項を結ぶ三角地帯に押し込められてしまう。旧日本軍の関係者によると、ここで日本人が戦闘に関してアドバイスをするようになったという。9月には有名な「仁川上陸作戦」で反撃を開始、中国との国境近くまでアメリカ軍は攻め込んでいる。 第2次世界大戦後の流れを寸断して考えるべきではない。中国に対する秘密工作から朝鮮戦争、さらに先までを一連の流れでとらえるべきであり、中国はそう考えた。そして「義勇軍」が送り込まれてくる。 1951年4月、国民党軍の兵士2000名がCIA(1950年10月、OPCはCIAの内部に潜り込んだ)の軍事顧問団とともに国境を越えて中国領内に侵入し、片馬(ケンマ)を占領、人民解放軍の反撃にあって追い返されている。1952年8月にも国民党軍は中国に侵入して約100キロメートルほど進んだが、やはり中国側の反撃で撃退されてしまった。 朝鮮戦争は1953年7月に停戦、板門店で休戦協定が結ばれている。1953年1月にドワイト・アイゼンハワーが大統領に就任しているが、同政権で国務長官となったジョン・フォスター・ダレスは翌年の1月、NSC(国家安全保障会議)でベトナムにおけるゲリラ戦の準備を提案している。アメリカの対中国戦はまだ終わっていなかった。
2010.06.25
参議院選挙が24日に公示され、投票日は7月11日が予定されている。一方、アメリカも今年は中間選挙の年。政治どころでない議員も少なくないだろう。 ところで、アメリカの議員にとって、イスラエルは特別な存在らしい。イスラエルはアメリカの「戦略的パートナー」であり、「伝統的」にイスラエル側に立ってきたのだと主張する議員もいる。 確かに、両国のあり方は似ている。その成り立ちを考えると、殺戮を繰り返すことで先住民を排除し、土地を奪い、さらに周辺を侵略することで国の基盤を築いてきた。似たもの同士、「パートナー」になるのは当然かもしれない。 そのイスラエルは現在、苦境にある。直接的な軍事攻撃だけでなく、兵糧攻めで苦しむガザの人々を助ける目的で組織された支援船団をイスラエルの特殊部隊が公海上で襲撃、少なくとも9名を殺しているが、こうした行為を批判する人の声はインターネットを通じて広がっている。犠牲者の何人かは「処刑」された可能性が高いことはすでに本コラムでも指摘した通りだ。 支援船を襲撃する前から、イスラエルを批判する声は国際的に高まっていた。その切っ掛けは2008年12月から1月にかけて実行された軍事侵攻だ。 もっとも、「建国」の前からイスラエル軍はパレスチナ人の殺戮を繰り返してきた。しかし、1980年代に入るとイスラエルの「防衛装置」が徐々に機能しなくなり、1982年にレバノンのパレスチナ難民キャンプ、サブラとシャティーラで数百名とも3000名とも言われる難民をファランジスタ党と共同で殺害した際には大きな問題になった。 サブラとシャティーラの虐殺では、それまで「親イスラエル派」だったイギリスの労働党もイスラエルから距離を置くようになる。この方針転換を元に戻したのがイスラエルから資金を受け取っていたトニー・ブレアが率いる「ニューレーバー」だ。イスラエルの逆襲が功を奏したとも言えるだろう。ちなみに、アメリカの親イスラエル派はネオコン。日本には、ニューレーバーを真似しようとした政治家が存在する。 その後、イスラエルを批判する声は小さくなるが、2009年から再び大きくなる。封印されていた批判が吹き出したとも言える。その切っ掛けになった出来事がイスラエル軍のガザ侵攻だった。国際情勢の変化を無視して2008年12月27日にイスラエル軍が50機以上の戦闘機と攻撃用ヘリを投入してガザを空爆、年明け早々の1月3日に地上軍が侵攻している。 その際、イスラエル軍は白リン弾を住民を殺す目的で発射し、化学兵器の使用だとも批判された。しかも、戦闘とは関係のないUNRWA(国連難民救済事業機関)の施設、学校、救急車、病院、メディアを攻撃し、1300名以上を殺害したとされている。 そこで国連は軍事侵攻について調べる独立調査団を編成、「ユダヤ系」のリチャード・ゴールドストーンが率いることになった。ガザへの攻撃は何ら国際法に違反していないとイスラエル軍は自らが作成した報告書の中で主張しているが、国連の調査団は、イスラエル軍に人道法や人権法に違反する多くの行為があったとしている。そこで例によって「反ユダヤ主義」だという攻撃が始まるのだが、相手のゴールドストーンが「ユダヤ系」のため、迫力不足だ。 さて、こうした中、支援船襲撃で苦境に陥ったイスラエルを助けるためにアメリカでは超党派の議員が立ち上がった。イスラエル政府の主張をそのまま繰り返している議員たちは、イスラエルを支援するようにバラク・オバマ大統領の求める書簡を送っている。 その書簡を作成したのは民主党のハリー・リード上院議員や共和党のミッチ・マッコーネル上院議員。署名した議員はリチャード・ダーバン、ジョン・キル、チャールズ・シュマー、ジョン・トゥーン、パリー・マーリ、レイマー・アレキサンダー、ロバート・メネンデス、ジョン・コーニンなど85名に達する。つまり、87名がイスラエル軍の公海上での支援船襲撃を支持すると宣言したことになる。そんな国に歴代日本政府の大半は忠誠を誓ってきた。自主独立の道を歩もうとした政権は沈没している。菅直人政権は・・・どうやら、アメリカの忠実な僕のようだ。
2010.06.24
アメリカの海兵隊を「抑止力」だと言い残して鳩山由紀夫は首相の座を降りた。後継首相の菅直人は、名護市辺野古周辺に米軍基地を建設すると表明したのに続き、消費税率を10%へ引き上げると言い始めた。巨大企業や富裕層への課税を軽減する一方、低所得層に厳しい消費税を増やそうという「強者に優しい」政策である。 改めて指摘するまでもないことかもしれないが、日本の巨大企業が国際的にみて重い負担を課されているとは言えない。この事実は、さまざまな人が指摘している通りだ。ただ、「大政党」やマスコミが取り上げないけれど。 例えば、財務省が公表している「法人所得課税及び社会保険料の法人負担の国際比較に関する調査」(2006年3月)によると、各国の数字は次のようになっている。【自動車製造業】日:30.4%、米:26.9%(42.3)、英:20.7%、独:36.9%、仏:41.6%【エレクトロニクス製造業】日:33.3%、米:28.3%(30.4)、英:23.4%、独:38.1%、仏:49.2%【情報サービス業】日:44.2%、米:46.7%(48.5)、英:39.3%、独:55.7%、仏:70.1%【金融(銀行)業】日:26.3%、米:27.8%(28.5)、英:23.6%、独:23.8%、仏:31.3%但し、括弧内は民間医療費を加算した場合の推計値 また、神奈川県総務部税制企画担当課長だった井立雅之によると、法人所得課税と企業課税、法人が負担する不動産課税、そして社会保険料の事業主負担を加えた額を、国内総生産(GDP)で比較すると、2004年の場合は次のようになっている。A【法人所得課税】日:3.8、米:2.2、英:2.9、独:1.6、伊:2.8、仏:2.8B【A、地方事業課税等、不動産課税、社会保険料負担】日:9.4、米:7.2、英:8.3、独:9.2、伊:14.3、仏:15.8C【B、民間医療保険負担】日:9.4、米:11.2、英:8.3、独:9.2、伊:14.3、仏:15.8 要するに「実効税率」の比較とは、「重さ」を比較すると称してキログラムで表示された数字も、ポンドで表示された数字も一緒にして比べているようなものであり、無意味なのだが、それを承知で(菅首相もマスコミも、「優秀な人たち」であり、こうした事実に気づかないとは思えない)、日本の法人税は重いと言っているわけで、タチが悪い。 また日本の場合、「大企業優遇税制」、要するに「抜け道」が整備されていることも無視できない。表通りを進めば高負担だが、抜け道を通れば負担が軽くなるという仕組みだ。 こうした指摘がなされている中、菅首相は法人減税と消費税率アップをセットで主張しているわけである。しかも、低所得者への配慮を口実にして納税者番号制度の導入も検討しているという。国民管理を強化するということだ。こんな破廉恥な主張を繰り返していれば、共産党を利するだけ・・・・ということで、菅直人首相は共産党の工作員だという珍説が出てくる。そうとでも考えなければ、これほどお粗末な「公約」をするはずがないということらしい。そう言えば、週刊誌も菅政権には「赤い」閣僚がいると書いていた。どこが「赤い」のかは知らないが。 それから最後にもうひとつ。国際比較するなら賃金体系もライバル国、例えばEUと同じような仕組みにするべきだ。非正規雇用の賃金が低いなど論外。公平な国際競争のため、直ぐにでも実行するべきことである。「赤い内閣」なら、当然の政策だろう。
2010.06.22
ガザ支援船をイスラエル軍が襲撃した事件をイスラエルのチームが調査することになり、ベンジャミン・ネタニアフ首相は事実上の「勝利宣言」をした。国連が主導した国際的で独立した調査団を拒否することに成功、よほどうれしかったのか、調査で自分たちの正当性が証明されると調査の目的まで宣言している。ガザへの軍事侵攻に関する国連の調査がよほどこたえているのだろう。 今回の調査は、犯罪の容疑者に容疑を捜査させるようなものでナンセンスなのだが、アメリカ政府がイスラエル政府を支援し、ヨーロッパ諸国も沈黙した結果だ。これが「欧米流の公正さ」なのだろう。オブザーバーとして「ノーベル平和賞」を受賞した北アイルランドのウィリアム・トリンブルとカナダ人のケン・ワトキンが参加するようだが、その仕事内容は不明。しかも、トリンブルはイギリスとの統一を主張してきたアルスター統一党(プロテスタント系)の元リーダーで、2週間前、パリで創設された「イスラエルの友」に参加している親イスラエル派だ。この団体にはイスラエルの元国連大使でネタニアフと親しいドレ・ゴールドも含まれている。 1972年1月30日、イギリス軍は北アイルランドの独立を求める平和的なデモを銃撃して13名を射殺している。狙い撃ちだった。その際、14名が負傷、そのうちのひとりが後に死亡している。この「血の日曜日」事件はジョン・レノンが歌で抗議しているので、知っている人も少なくないだろう。その事件についてイギリス政府が謝罪する内容の報告書を出したのだが、イギリス政府と手を組んでアルスター統一党は独立派と激しく戦っていた。 さて、支援団体にしろ、トルコ政府にしろ、襲撃の調査を襲撃国の調査で決着させることを決して許さないだろう。すでにイスラエルの神通力はなくなっている。このことを「先進国」のエリートは理解していないようだ。国連も自分たちの調査をあきらめたとは言っていない。
2010.06.15
日本の役人は「調査捕鯨」と称し、売れないクジラをとり続けてきた。その背後に何があるのかは知らないが、捕鯨に賛成する国を増やすために日本政府がさまざまな手段を講じてきたという話は、門外漢の私にも伝わってくる。その「噂話」を実際に確認したのがタイムズ紙の記事だった。 日本のマスコミもこの問題に触れていたのだが、面白いことに共通した部分が隠されている。つまり、「封筒に入れた現金」を受け取ったという話と、「コール・ガールを提供された」という話だ。旅行代やホテル代を持ったというだけではないのだ。 日本政府としては嘘だと言い張るしかないだろうが、複数の国の官僚が話しているようなので、否定しきれない。しかも、タイムズ紙は当事者の証言を撮影しているそうなので、問題が大きくなると日本政府は恥をかく。ま、当事者の証言や文書が出てきても「密約はない」と国会でも言い張ってきたのが日本の官僚や政治家であり、「票の買収」程度で動じはしないだろう。 ところで、買収資金はどこから出たのだろうか?まさか、官僚たちが自腹を切ったわけではないだろうし・・・やはり例の「官房機密費」?
2010.06.14
スタートして間もない菅直人政権に新たな問題が浮上した。イギリスのサンデー・タイムズ紙の調査で、日本が「捕鯨票」を買うため、小国6カ国の代表に対して現金や売春婦を提供していたことを確認したというのである。セント・キッツ、マーシャル諸島、キリバス、グレナダ、ギニア、象牙海岸は援助と引き替えに賛成票を投じたとしている。IWCを舞台にした買収工作だ。買収のチャンネルは水産庁や海外漁業協力財団などだという。 サンデー・タイムズによると、捕鯨賛成国の代表はフィルムの中でこんなことを話している。(1) 日本から多額の援助を受けることを条件に賛成した。(2) IWCの会議で日本は旅行代やホテル代を持つだけでなく、封筒に入れた現金をくれた。(3) 水産大臣や役人が日本を訪れたときにコール・ガールを提供された。ギニアで水産関係を担当している官僚は、IWCや水産関連の会議があると、1日に少なくとも1000ドルは日本から受け取っていたとしている。
2010.06.13
現在、アメリカ国防総省はWikileaksを創設したジュリアン・アッサンジを追跡しているという。それだけの働きをしているということだ。4月5日にはアメリカ軍のアパッチ・ヘリコプターに乗った兵士が戦闘行為と関係のない十数名の人々を殺害している映像を公開している。2007年の出来事だが、映像を公開したインパクトはそれだけ大きかったということ。日本のマスコミが無視したことを考えても衝撃の度合いはわかる。交信内容から「間違い」で殺したように伝えていた日本の通信社もあったが、映像を見れば面白半分に殺しているとしか思えない。ところで、犠牲者の中には通信社ロイターのスタッフ2名も含まれていた。 5月中旬、米陸軍のCID(犯罪捜査部)は内部告発者として、陸軍情報部で分析を担当しているブラドレー・マニング特技兵をイラクで逮捕し、クウェートで拘留しているようだ。Wikileaksの弁護士が弁護にあたるという。 アメリカのワイアード誌などによると、マニングは2009年5月にアフガニスタンのガラニ村をF/A-18ジェットとB-1爆撃機が空爆した際の映像をすでに渡しているという。97名の市民を殺害したとされている事件だ。当時、厳しく批判された米中央軍のデイビッド・ペトレアス司令官は映像を公開すると口にしたのだが、未だに実現していない。苦し紛れに言ったのか、あるいは司令官への報告が嘘だったのか、ともかく公開できる映像ではなかったようだ。それを公開されると、アメリカ軍にとって大きなダメージにはなるだろう。アフガニスタンやイラクでアメリカ軍は外部に知られては困るようなことをしているということだ。 自分たちの行為を必死に隠そうとしている点で、イスラエル軍も似ている。ガザへ支援物資を運ぼうとしていた船団をイスラエル海軍の特殊部隊「シャエテット13」が公海上で襲撃、「マビ・マルマラ」に乗り込んでいた多くの人が死傷した。襲撃の際にイスラエル軍はジャミングで通信を妨害、乗船していたジャーナリストらが撮影した映像を押収し、廃棄した可能性がある。ただ、自分たちに都合良く加工する材料を残してのことだが。 この襲撃事件を国際的な調査団に調べさせたいと国連も考えているようだが、イスラエルは勿論、アメリカ政府も拒否している。スネが傷だらけの両国が意気投合するまでに、長い時間はかからなかった。余り文句を言うと、イランを攻撃して石油生産を止めるぞという展開にもなっている。確かに、イスラエルは過去に核攻撃を閣議決定したこともある国。それを止めたソ連はもう存在しない。こういう物騒な国との同盟を金科玉条としているのが日本の歴代政府だ。
2010.06.12
臭い物には蓋をして、嵐が過ぎ去るのを待ち、自分たちの犯罪的な行為をなかったことにしようとしている人たちがいる。イスラエル政府だ。日本が使う「蓋」は「沈黙」なのだが、イスラエルは「偽情報」や「プロパガンダ」という積極的な手段が使われている。蓋をするだけでなく香水を振りかけているようなものだろう。 長い間、ガザは兵糧攻めで攻撃されてきた。周囲は巨大な壁で囲われ、強制収容所と化している。そこに住む人々を助けようとしていた支援船団を公海上でイスラエル海軍の特殊部隊「シャエテット13」が襲撃、「マビ・マルマラ」では少なくとも9名を殺害し、多くの人々を負傷させた。こうした暴力行為は最初から計画に含まれていたようで、情報操作の手際は良い。 ヘブライ語のメディアによる報道では、襲撃が計画されたのは、決行日の1週間前で、暴力的な手段が使われることは決まっていたという。その計画は、ベンジャミン・ネタニアフ首相とエーウド・バラク国防相が個人的に許可したとされている。(ヘブライ語が理解できないので確認できないが) 支援船に乗っていた人々の話を総合すると、イスラエル軍はまずジャミングで通信を妨害したうえ、上空から銃撃を開始した。イスラエル政府によると、スタン・グレネード(閃光と大音響で視覚と聴覚を麻痺させる)、ペイントボール(塗料入りの弾丸)、あるいは鋼鉄をゴムで包んだ弾丸を発射したというが、支援船側からは、何を撃ち込まれているのかはわからない。その後、ヘリコプターから船に降りた戦闘員はジャーナリストから撮影機材や映像を記録したものを没収、そこから暴行と殺害が本格化したという。証拠湮滅というだけでなく、襲撃を正当化するための捏造映像を作る材料にもされている。 イスラエル側は「負傷者」がどこで治療を受けているのかを公表せず、面会も拒否しているので被害状況は不明であり、実際のところ、何人殺されたのかさえ明確になっていない。殺されたことが確認されている9名は検死解剖され、多くは至近距離から銃撃を受けていたことが判明した。5名は後頭部、あるいは背中を撃たれていた。犠牲者のひとりは襲撃の様子を撮影していたジャーナリストで、眉間を撃ち抜かれた。 船上で襲撃に抗議する人々に取り押さえられたイスラエル兵もいるのだが、イギリスのインディペンデント紙の記事などによると、その兵士は「暗殺リスト」を持っていたと主張する人もいる。殺害方法も含め、処刑されたと推測できるだろう。 こうした証言が出てくる中、国連の潘基文事務総長は多国籍の調査団による襲撃の調査を求めているが、イスラエル政府は拒否し、ネタニアフ首相は自分たちで調査すると言い張っている。バラク国防相などは、閣僚たちに対し、あと2、3週間待てば、みんな事件のことなど忘れてしまい、イスラエルへの圧力などなくなると話しているという。 こうしたイスラエル政府の姿勢をアメリカ政府も容認しているが、自国がアフガニスタンやイラクに対して行ったことを考えれば、イスラエルに強く言えるはずはない。もっとも、偽情報で人々を騙し、先制攻撃したジョージ・W・ブッシュ政権を動かしていたのは親イスラエル派のネオコン(新保守)とその同盟者であるシアコン(神保守)だが。 今回の襲撃について、イスラエルでは大多数のメディアが政府の「大本営発表」を垂れ流しているのだが、アメリカの「有力メディア」も大同小異と言えるだろう。そうしたメディアに従属している日本のマスコミも同様だ。 アメリカの有力メディアはブッシュ政権の嘘を受け入れ、政府の広報係として好戦的な雰囲気を作り上げることに貢献し、自らの信頼度を大きく落とすことになった。そうしたことを反省せず、今でも基本的にイスラエルの行動は正しいという立場から報道、イスラエルと対立する組織や国々は「テロリスト」だとしている。 そうした中で例外的な存在が「名物記者」のヘレン・トーマスだった。例えば、同記者は2006年3月、ブッシュ大統領に対し、軍事侵攻しなければならない理由として政府が主張していた話が嘘だと判明した以上、その本当の理由を明らかにするべきだと記者会見で迫っている。そのとき、ブッシュ大統領は、サダム・フセインが国連の査察を拒否したからだと再び嘘をつくしかなかった。 また、同じ年にはホワイトハウスの広報担当だったトニー・スノーに対し、アメリカはイスラエルのレバノン砲撃を止めるどころか、レバノンやパレスチナに住む全ての人々を罰していると発言し、その4年前には、スノーの前任者、アリ・フライシャーに対し、35年間にわたる残忍な占領と弾圧に抵抗する権利がパレスチナ人にはないのかと質問している。至極もっともな意見であり、質問なのだが、アメリカのメディア界では「異端」だった。 このヘレン・トーマスが突如、引退を発表した。2000年に所属していたUPIが統一協会に買収された際にもトーマス記者は第一線を退こうとしたが、その時は別のメディアへ移ることで現役を続けた。しかし、89歳という年齢のこともあり、今回は本当の引退になるだろう。 今回、引退の切っ掛けになったのは、5月27日に撮影されたというビデオ。その中で、イスラエル人はパレスチナから出て、ドイツ、ポーランド、あるいはアメリカへ行くように語ったことが非難されたのである。思慮の足りない発言だとは言えるが、イスラエルがイスラム教徒の権利を認めず、パレスチナ人を弾圧、殺戮を繰り返してきたことは事実である。しかもイスラエルを「建国」したシオニストはユダヤ教徒を盾に使ってきた。彼らがホロコーストを口にするのは、ホロコーストで犠牲になった人々への冒涜以外の何ものでもない。
2010.06.09
ガザへ支援物資を運ぼうとしていた合計7隻の船がイスラエル海軍の特殊部隊「シャエテット13」に公海上で襲撃され、550名の平和活動家が乗っていた「マビ・マルマラ」では多くの死傷者が出た。襲撃の際にイスラエル軍はジャミングで通信を妨害、乗船していたジャーナリストらが撮影した映像を押収し、自分たちに都合良く加工してプロパガンダに使っている。 拘束されていた人々が解放されるにつれ、イスラエル側の主張と違う話が流れるようになってきた。船に乗り込む前、先ずスタン・グレネード(閃光と大音響で視覚と聴覚を麻痺させる)、ペイントボール(塗料入りの弾丸)、あるいは鋼鉄をゴムで包んだ弾丸を発射、次にヘリコプターをホバリングさせて戦闘員を船に降ろしている。乗り込む前から銃撃を始めたとする証言もある。そして、船は血の海になったわけである。 イスラエル軍が公表した映像が編集されていることは明らかなのだが、別の船との通信を重ねるなど、単にフィルムを切り刻み、つなぎ合わせただけでないことも明るみに出てきた。イスラエル軍が証拠を湮滅し、捏造している可能性が高い。 国連の潘基文事務総長は多国籍の調査団による襲撃の調査を求め、団長にニュージーランドの元首相、ジェオフレイ・パーマーを指名したようだが、イスラエル政府は拒否し、アメリカ政府と協議していると伝えられている。偽情報で人々を騙してアフガニスタンやイラクに攻め込んだアメリカを頼っているわけだ。すでに、アメリカは信頼できない国というレッテルが貼られている。現在のイスラエルは、そんな国に頼るしかないのだろう。 ところで、アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学とアル・ムスタンシリヤ大学の共同調査による推計では、2006年7月の段階でイラク市民は65万4965名が戦争で殺されている。また、イギリスのORB(オピニオン・リサーチ・ビジネス)が行った調査では、2007年夏までに約100万人が戦争で殺されたという。嘘で始めた戦争で、これだけの市民を殺しているのがアメリカを中心とする占領軍だ。 これまでイスラエルは「狂犬外交」、つまり何をやらかすかわからないと恐れさせるという戦術を採用してきたと言われている。第4次中東戦争では核攻撃の寸前まで行った。イスラエルは再び核兵器で脅してくる可能性もあると警戒している国も少なくないようである。
2010.06.06
和歌山県太地町のイルカ漁をテーマにした映画「ザ・コーヴ」の上映を中止しろと抗議活動を展開している「保守系市民グループ」のひとつは「主権回復を目指す会」のようだが、この団体は「在日特権を許さない市民の会」と友好的な関係にある。後者は「在特会」という略称で呼ばれることが多いようだが、この団体は民主党の幹事長だった小沢一郎の不起訴を不服として東京検察審査会に申し立てを行ったことで知られている。審査会で審査補助員を務めた米澤敏雄弁護士はいわゆる「ヤメ検」、つまり1961年から66年まで検事を務め、その後裁判官に転身、今では自民党と関係が深いらしい「麻生総合法律事務所」に所属している。小沢一郎を起訴しようとする動きと映画の上映を中止させようとする動きはつながり、警察や検察も関係していると見られても仕方がないだろう。
2010.06.06
ガザは兵糧攻めに苦しんできた。イスラエルがエジプトの協力を得て続けてきたのだ。イスラム諸国を含め、世界の国々は見て見ぬふりをしてきた。そうした苦境にある人々を助けるため、支援物資を積んだ船団が出発したのだが、イスラエル海軍の特殊部隊「シャエテット13」に襲撃され、「マビ・マルマラ」に乗っていた人々に多数の死傷者が出た。5月31日のことである。その5日後に別の支援船「レイチェル・コリー」も制圧された。2003年3月にガザでイスラエル軍によって生き埋めにされ、殺されたアメリカ人女性、レイチェル・コリーにちなんでつけられた名前の船だ。 今回は「平和的」に航行が阻止されたのだが、「マビ・マルマラ」の件は決着がついていない。そもそも、死者が確定できていない。イスラエル側は9名としているが、本コラムでも書いたように、死者が病院、あるいはどこかに運び去られている可能性があり、支援船に乗っていた人たち全員の行方が明確になるまでは何とも言えない。 その殺された9名にうち8名がトルコ人で、1名がアメリカ人。また、5名は至近距離から頭部を撃たれている。「処刑」だった可能性があるだろう。19歳のアメリカ人、フルカン・ドーガンの場合は至近距離から5発。後頭部と顔、2発は足、そして背中にも1発撃たれていた。9名に撃ち込まれた銃弾の数は合計すると30発になる。死亡が確認されている9名のうち6名を射殺したイスラエル兵は「剛勇勲章」を授与されるようだ。 今回のイスラエル軍による攻撃を見て、1967年6月8日の出来事を思い出した人もいるだろう。アメリカ海軍の情報収集艦「リバティ」が公海上でイスラエル軍に猛攻撃を受けて乗組員34名が殺され、171名が負傷したという事件だ。 その日の午前中、リバティの上空にはイスラエル軍の偵察機が低空で何度も飛来、アメリカ軍の艦船だということを確認したうえでの攻撃だった。何とか沈没を免れたリバティは第六艦隊に救援を要請、ここに至り、イスラエル軍は攻撃をやめている。 この事件でイスラエル側は「誤爆」だと強弁、アメリカ政府はこの説明を受け入れてしまった。イスラエルはアメリカの軍艦を攻撃する国である。その国がトルコの船を襲撃しても不思議ではない。そして、アメリカ政府はNATOに所属する「同盟国」よりも、自国の艦船を攻撃したイスラエルを擁護しているわけだ。
2010.06.05
和歌山県太地町のイルカ漁をテーマにしたアメリカの映画で、アカデミー賞を受賞した「ザ・コーヴ」の上映を中止する映画館が出ているのだという。映画を見ていないので映画の内容に関するコメントはできないが、一連の騒動を見ているとトヨタ自動車の欠陥車問題を連想させる。対応が稚拙すぎるのだ。臭い物には蓋をし、嵐が過ぎ去るのを待ち、なかったことにするという態度では世界に通用しない。 今回の映画は国外で制作され、一般公開されているので、こうした手法は無駄である。日本においてだけでも臭い物に蓋をしようと「保守系市民グループ」は意気込んでいるのだろうが、結局は日本の評判を落とすだけのことであり、映画への評価を上げるだけのことだ。 2年前、「靖国」という映画でも似たようなことがあった。その時と同じように、映画館は「何かがあってからでは遅い」と言っているようだが、警視庁はそうした心配のない「デモ」だと判断している。だからこそ、デモを許可したはずだ。もし、映画上映を妨害する目的だということを認識した上でデモを許可したのならば、警察もグルだということになる。「革新系市民グループ」が同じシチュエーションでデモを申請して許可されるだろうか?ともかく、もし、「何かがあった」ならば、それは全面的に警視庁の責任なのである。
2010.06.05
NATO(北大西洋条約機構)に加盟している国の船が公海上で襲撃されたが、NATO軍は船を助けず、襲撃した国に報復もしない。軍事同盟とは、所詮こんなものなのだろう。 この軍事同盟で中心的な存在のアメリカ政府などは、ヒラリー・クリントン国務長官が各国政府の要人に電話してイスラエル批判を抑えるように要請、ジョー・バイデン副大統領は襲撃を擁護する発言をしている。公海上を航行している船が何を積んでいるのか知る権利がイスラエルにはあるというわけだ。 そもそも、問題の根本には先住のパレスチナ人を暴力で追い出し、「イスラエル」なる国を建国したことにある。この地に「ユダヤ人の国」を作るというアイデアは、イギリスが考え出したもので、1838年にイギリスはエルサレムに領事館を建設、1840年になるとイギリスのタイムズ紙は、イギリス政府が「ユダヤ人」の復興を考えていると報じている。ユダヤ教徒はイギリスに利用されただけということ。そうした背景があるため、ユダヤ教徒の一部はシオニスト/シオニズムを徹底的に攻撃してきた。 ところで、エルサレムにある丘「シオン」に戻ろうという運動(シオニズム)を政治活動として始めたのはハンガリーに生まれたセオドール・ヘルツルで、この人物がシオニズムに関する本を出版したのは1896年のこと。一般に「近代シオニズム」はこのヘルツルに始まるとされているが、それより前からイギリスはイスラエルの建国を考えていたわけである。帝政ロシアでユダヤ教徒の虐殺、「ポグロム」が起こるのは19世紀後半からのことなので、この出来事よりも前からイギリスはイスラエル建国のプランがあったということにもなる。 それはともかく、イスラエル建国以来、多くのパレスチナ人が故郷を追われ、虐殺されてきた。そのひとつの結果がガザの収容所化であり、今回の支援船「マビ・マルマラ」襲撃と活動家殺害である。 船を襲ったのはイスラエル海軍の特殊部隊「シャエテット13」だと考えられている。海から陸地への侵入、暗殺、対テロ、破壊活動、海上における情報収集や人質救出などが任務であり、日頃からそうした訓練を受けてきたはずだ。つまり、「敵」は殺す。 活動家を殺すのは計画に含まれていたと考える人もいる。殺人によって恐怖を植えつけて支援船をガザに向かわせる計画を止めようとしたというわけだ。この推測が正しいとするならば、その目論見は大きく外れた。大多数の国の人々を敵に回しただけで、ガザ支援の動きは弱まりそうにない。 世界的な非難の声に慌てたのか、イスラエル政府は自分たちに都合良く編集したビデオを公開している。船にはイスラエルの情報機関員が何人か乗り込んでいるので、彼らは襲撃の手引きだけでなく撮影も担当していたかもしれない。が、どのような映像を流そうとも、問題は襲撃にあるわけで、周辺にある棒やチェーンなどで自衛行動をとったとしてもイスラエルの責任は軽減されない。
2010.06.03
強制収容所と化したガザに住む人々を救う目的で公海上を航行していた船団をイスラエル軍が襲撃、マビ・マルマラで多くの死傷者が出たわけだが、イスラエルにとって都合の悪い話が漏れ始めた。この船にはイスラエルの議員、ハニン・ゾアビが乗っていて、襲撃の様子を記者に語っている。それによると、イスラエル海軍は兵士がヘリコプターから乗り込む前、5分間にわたって支援船に向かって銃撃を加えたという。また襲われた人々が武装していたとするイスラエル側の主張を否定した。襲撃の様子をイスラエル軍は撮影しているはずなので、公正な調査が行われれば、その時の様子がわかるはずだとも語っている。ゾアビ議員のほか、15名以上のジャーナリストが支援船に乗っていたのだが、拘束されているため外部に状況を伝えられないでいる。要するに、情報が漏れることをイスラエル軍側は恐れている。 当初、支援船団は9隻で構成されると言われていたが、そのうち2隻、チャレンジャーIとチャレンジャーIIはキプロスで止められている。残る1隻のレイチェル・コリーが支援物資を積んでガザへ向かっている。本コラムでも取り上げたが、2003年3月にガザでイスラエル軍に殺されたアメリカ人女性、レイチェル・コリーの名前をつけた船だ。 彼女は平和運動の団体「国際連帯運動」に所属していて、パレスチナ人の家を破壊しようとしていたブルドーザーの前に立って抗議し、生き埋めにされた。遺族がイスラエル国防省を訴え、今年の3月からイスラエルのハイファで裁判が始まっている。イスラエル側は当初、証人の入国を拒否、コリーが所属した団体の事務所などをイスラエル軍は何度も家宅捜索していた。「レイチェル・コリー」とは、ガザの問題を象徴する名前なのである。 アメリカではアンソニー・ワイナー下院議員、ジェロルド・ネイドラー下院議員、ゲイリー・アッカーマン下院議員、ロン・クレイン下院議員、カーステン・ジリブランド上院議員などが襲撃事件でイスラエルへの支持を表明、ホワイトハウスで広報を担当しているロバート・ギブスはイスラエルの「安全保障」をアメリカ政府は支持していると語っている。 これに対し、今回の出来事を懸念しているのがモサド(イスラエルの情報機関)のメイアー・ダガン長官。すでにイスラエルはアメリカの「資産」ではなく、「重荷」になりつつあるというのだ。すでにガザへの軍事侵攻で国連の調査委員会は人道法や人権法に違反する多くの行為があったことを認める報告書をまとめるなど、イスラエルは国際的に苦しい立場に陥っている。今回の襲撃は、そうした立場をさらに悪くするものだ。
2010.06.02
鳩山由紀夫首相が辞意を表明したのに続き、民主党の小沢一郎も幹事長の座から降りることにしたという。鳩山首相によると、普天間基地の問題と「政治とカネ」の問題が辞任の理由らしい。 普天間基地の問題は、自民党と公明党が与党だった時代にアメリカ政府と決めた移設案を「御破算」にしようというわけで、アメリカ政府との交渉がタフになることは最初からわかっていたはずだ。「抑止力」なる呪文の効果がなくなっていることに気づかなかったのは間抜けな話であり、韓国軍の哨戒艦の沈没も理由にはならない。朝鮮軍に攻撃されたとする「公式発表」を否定する話が調査団の内部を含め、早くも伝えられている。だいたい、アメリカのネオコン(新保守/親イスラエル派)が望むように朝鮮半島で戦争が勃発すれば、日本はアメリカ軍の出撃基地、そしてアメリカを守る盾になるだけのこと。アメリカ軍の基地は攻撃目標になるだけだ。 また、検察が火をつけた「民主党とカネ」の問題に疑問点が多いことは、少なからぬ人々から指摘されてきた。その中には、長崎地方検察庁次席検事を務めた経験のある郷原信郎も含まれている。ある政党などは「不適切な行為」と「違法行為」を混同した議論を展開しているが、これは厳密に区別しなければならない。 鳩山首相や小沢幹事長に「政治とカネ」の問題があるとするならば、それは企業献金をはじめとする団体からの献金を禁止しなかったことにある。企業や団体からカネをもらう以上、そうした企業や団体の利益を考えるのは当然のことであり、だからこそ財界は「通知表」をつけて献金額を決めていたのではないのか。 結局は民主党が大勝した前回の総選挙だが、その前に東京地検特捜部は小沢一郎の強制捜査に乗り出していた。西松建設が政治団体を通じて行った小沢側への献金について、小沢の秘書は西松建設からの献金であると認識して受け取ったという嫌疑だ。この件に関して小沢の政治団体が強制捜査を受けている。 自民党には同じような形で献金を受け取っている議員が多数存在しているはずだが、あくまでもターゲットは小沢。しかも、捜査が進む過程で漆間巌官房副長官が「今回の疑惑追及が与党(自公)に波及することはない」と記者に語っている。 漆間は元警察庁長官。長官時代に安倍晋三首相と頻繁に会っていたという。ジャーナリストの青木理氏によると、漆間長官時代の警察は事実に基づかない、あるいは事実を誇張したり歪曲した捜査が横行していた。相当怪しげな捜査を「メッセージ」として行うと明言していた人物でもある。勿論、公安警察や思想検察などはその前にも政治的に動いていたが、これほど露骨な発言をした人はいるだろうか? こうした警察/検察からの攻撃はあったものの、民主党への支持が減っている最大の要因は「自民党政治」から抜け出せなかったことにある。基地問題のほか、巨大企業が下請け企業や労働者から富を搾り取るシステムを放置、劣悪な労働条件で働かされている非正規労働者の問題を抜本的に改正する努力をせず、法人税の減税と消費税の増税を主張、つまり庶民からカネを巻き上げ、巨大企業や富裕層のカネ儲けを助ける政策を続けようとしたことが大きい。 法人税を引き下げる根拠として日本の支配層は「実効税率」を持ち出してくるが、この議論はすでに破綻している。おそらく、日本のマスコミ以外では通用しない。まず指摘されるのは、社会保険料の事業主負担額が日本は低いという事実。このほか、地方の法人課税で、所得課税以外の方式による課税が比較の対象になっていない、また課税ベースが国によって異なっているなど、「実効税率」を国際比較の指標にすることはできない。 鳩山と小沢の退場で民主党はますます自民党的になった。民主党の明日は暗い。
2010.06.02
ガザを支援する目的でキプロスに集まった船は8隻、貨物船3隻と客船5隻だった。約1万トンの物資を800名近くの活動家や政治家を乗せてガザへ向かおうとしたのだが、キプロス政府は出港を妨害、6隻がガザに向かった。船籍はトルコが3隻、ギリシャが2隻、そしてアメリカだ。 この船団が公海上でイスラエル軍に襲撃され、マビ・マルマラで多くの死傷者が出たわけである。死亡が確認されたのは9名とも19名とも言われているが、死体を「負傷者」として病院に運んでいる可能性もあり、まだはっきりしない。けがをした人も多いようで、その状態も不明だ。 イスラエル政府は支援グループ側に暴力行為があったと盛んに宣伝しているが、開放された人々の間からイスラエル側の主張を否定する証言が出始めている。船に乗り込む前からイスラエル兵は銃撃を始めていたというのである。イスラエル政府は600名程度を逮捕し、メディアなどと接触できない状態にしている。イスラエル側の主張を否定する声がこれ以上出ることを恐れているとも見られている。 イスラム国やEUからイスラエルを批判する声が高まる中、アンソニー・ワイナー米下院議員などは「イスラエルのために立ち上がれ」と叫ぶなどアメリカは異質だ。国連ではイスラエルを批判する声をアメリカ政府が押さえ込んでいるが、こうした行為は早晩、アメリカ自身に跳ね返ってくるだろう。 ハマスの幹部だったマームード・アルマボーを暗殺する際、モサド(イスラエルの情報機関)はイギリスを含む国々の偽造パスポートを使っていた。親イスラエル派のトニー・ブレアーが退陣した後のイギリス労働党はイスラエルへ厳しい姿勢を見せていたのだが、選挙で保守党が第1党になると、再び親イスラエル路線へ戻っていた。その保守党を中心とする連立政権も今回の襲撃では調査を求めている。イスラエルのガザに対する兵糧攻めに協力していたエジプトも午前9時から午後7時までの間、通行を認めることにしたようだ。また、支援グループは新たな船をだすと言っている。イスラエルは厳しい状況に追い込まれている。で、日本政府は?
2010.06.01
強制収容所化したガザに住む人々を支援する目的で公海上を進んでいた船団をイスラエル軍が襲撃し、多くの死傷者を出した。イスラエル政府としては「テロリスト」との関係を宣伝し、「暴力行為」を強調するしかないだろうが、イスラム世界だけでなくEUを含む多くの国々の人々を納得させることはできないだろう。何しろ、イスラエルの領土ではないガザに向かい、公海上を航行していた船を襲撃したのである。しかも、船から送られたビデオの中での証言によると、イスラエル軍は船に乗り込んでくる前から銃撃している。トルコ政府は今後、支援船を海軍が護衛すると言っているようだが、国民の反応を考えれば、そう言わざるをえないだろう。イスラエル政府は自分たちの力を過信し、完全に見通しを誤った。
2010.06.01
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