全15件 (15件中 1-15件目)
1
アメリカに限った話ではないが、資本家は「平和」や「反戦」を主張する人々を危険視してきた。これまでもアメリカでは盗聴などで反戦/平和運動を監視してきたのだが、9月24日にはSWATのチームが活動家の自宅などを急襲している。ミネソタ州ミネアポリス、イリノイ州シカゴのほか、ミシガン州やノースカロライナ州で、イスラエルやコロンビアに対するアメリカの支援を批判していた反戦活動家たちが襲われている。アメリカ政府は暴力による威嚇を始めたと言うべきだろう。 令状は前日、スーザン・ネルソン判事が出したもので、電子機器や国外旅行に関する資料を押収することが認められていた。アメリカ政府が「テロリスト」と認定している人物や組織と接触しているかどうかを調べようとしたのだろう。逮捕は認められていないものの、出頭を命じられた関係者もいるようだ。 こうした襲撃を予告する発言もあった。9月10日に国土安全保障長官のジャネット・ナポリターノは国内でも「テロリスト」と戦うと宣言しているのだ。アメリカ政府でテロリストという場合、実際には反戦/平和運動の支持者を指す。 ACLU(アメリカ自由人権協会)によると、軍は戦争に反対する非暴力のグループをは「テロリスト」と見なして監視、集めた情報はTALONと呼ばれるデーターベースに蓄積している。 CIAやFBIも同じように反戦/平和運動を監視してきた。何も「9/11」の後に始まったわけではない。FBIの場合、1950年代に国民を監視するプロジェクト「COINTELPRO」を始動させている。反戦集会やデモに捜査官を潜入させただけでなく、平和運動を支援していた著名人の尾行、電話盗聴、郵便開封、さらに銀行口座の調査も実施されていた。最近、マーティン・ルーサー・キング牧師たちの写真を撮っていたことで有名な写真家、アーネスト・ウィザーズがFBIのスパイだったことも判明している。 CIAの場合、1967年にMHCHAOSをスタートさせている。このプロジェクトはCIAの内部でも秘密にされていた。何しろ、CIAがアメリカ国内で活動することは禁じられていたからである。当初、このプロジェクトでターゲットにされたのはランパート誌をはじめとする反戦メディア。軍隊、警察、FBIとも協力し、ターゲットの内部にもスパイを潜入させていた。 ところが、実際に破壊活動を行っている勢力に対しては甘い。「9/11」の一件でアメリカの捜査機関や情報機関がそうした人々の行動に鈍感だということが判明している。外国の政府が「テロリスト」と見なした人物を保護することもある。その象徴的な存在がルイス・ポサダ・カリレス。 1976年、ベネズエラのカラカスを飛び立ったキューバの旅客機が爆破されて73名が犠牲になっているが、その爆破計画の会議に何度かポサダも出席、計画内容を彼はCIAに伝えている。勿論、アメリカ側からキューバ政府に情報が提供されることはなかった。 事件後、ポサダはベネズエラで収監されたものの、1985年に脱獄してCIAのコントラ(ニカラグアの反革命ゲリラ)支援工作に参加、1997年にはキューバのハバナにあるホテルを爆破し、2000年にはキューバのフィデル・カストロ首相の暗殺を計画、パナマの刑務所に入れられた。 ところが、2004年に彼は特赦で自由の身になり、翌年にはメキシコ経由でアメリカへ不法入国し、亡命を求めた。その後、アメリカ政府はこの「テロリスト」を匿っている。つまり、アメリカはテロ支援国家である。テロ支援国家がテロリストを敵視することはない・・・ということだろう。 資本家にとって戦争はビジネス・チャンスであり、彼らは平和な時代を嫌う。日本の財界も戦争ビジネスへの本格的な参入を強く望んでいる。当然、日本でも反戦/平和運動に参加している人や団体は弾圧されることになるだろう・・・と言いたいところだが、現在の日本において、反戦/平和を訴える人は圧倒的な少数派だ。
2010.09.26
那覇地検は24日、石垣海上保安部が「公務執行妨害」で逮捕した中国漁船の船長を釈放すると発表した。「今後の日中関係を考慮」したというのだが、検察が外交的、あるいは政治的な判断をするとは恐ろしいことである。東京や大阪の地検特捜部が政治的判断から特定の政治家を狙い撃ちしていると疑われている現在、絶対に口にしてはならないことを口にしたと言えるだろう。 そもそも、この事件には胡散臭い点がある。事件の直前、東アジアでの軍事的な緊張を緩める動きがあり、それに冷水を浴びせるような逮捕劇だったということである。勿論、偶発的な出来事だった可能性もあるのだが、今回逮捕されたトロール船は通常とは違う特別なことをしていたのだろうか? 東アジアは急速な経済発展を遂げている。ネオコン(アメリカの親イスラエル派)が潜在的な脅威だとしている地域だ。2000年に彼らが公表した報告書「米国防の再構築」でも、ライバルへ成長する前に東アジアを叩いておくべきだとしている。小泉純一郎と同じようにネオコン色の濃い菅直人政権がこうした考えに影響されていないとは言えない。 東アジアには朝鮮という火種が存在する。国内が不安定な国で、リョンチョンで貨物列車が大爆発して多数の犠牲者を出したという出来事もかつてあった。事件の真相は不明だが、何らかの破壊工作も噂されている。爆発の2週間前にイスラエル系のウェブサイトで金正日暗殺が話題になっていたことも、そうした噂が流れる一因になっている。 2003年の春、ジョージ・W・ブッシュ政権は空母カール・ビンソンを中心とする艦隊を朝鮮半島に派遣、6機のF-117が韓国に移動、グアムにはB-1爆撃機とB-52爆撃機が待機するという緊迫した状況にあった。その当時、好戦的なネオコンがホワイトハウスで主導権を握っていただけに、日本の外では開戦の危機を感じた人は少なくなかった。こうした動きにブレーキを掛けたのは当時の韓国政府とアメリカの旧保守派だったと言われている。 旧保守派の大物、ドナルド・グレッグが韓国の李明博政権にとって都合の悪い話をインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に書いたのは8月31日のこと。ジミー・カーター元米大統領が平壌を訪問してアメリカ人の解放を実現した直後だ。「ロシアからの情報」という形で、3月に韓国の哨戒艦が沈没した原因に対する韓国政府の見解に疑問を投げかけたのである。韓国では李政権の主張に疑問を持つ人は多く、グレッグの記事は大きな波紋を呼んだ。もっとも、日本のマスコミは無視していたようだが。 それから間もない9月8日未明、石垣海上保安部の巡視船が尖閣諸島の久場島沖で中国のトロール漁船の船長を「公務執行妨害」の容疑で逮捕したのである。日本政府の見解には関係なく、この海域が不安定な状況にあることは間違いない。海上保安庁もそうした状況を十分に把握していたはずで、世界を納得させる証拠を残し、逮捕するなら、その直後に情報を開示する必要があった。「外交判断」をするとしても、それはその後のことだ。今のままでは、本当に漁船が巡視船に体当たりしたかどうかも明確でない。捜査当局の主張が信用できないことは、大阪地検特捜部の一件でも再確認されている。 尖閣諸島は1895年1月、閣議決定を経て正式に日本の領土として編入されたと日本側は主張してる。こうした問題では日本側の主張が無条件に正しいと言わないと「国賊」扱いされることになっているが、ここではあえて当時の状況を再検討してみる。 日本の外務省によると、「1885年以降政府が沖縄県当局を通ずる等の方法により再三にわたり現地調査を行ない、単にこれが無人島であるのみならず、清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重確認」したとしている。 1867年11月、徳川15代将軍慶喜は政権を朝廷に返上することを申し出た。大政奉還である。その後も戊辰戦争などの戦闘は続くが、大政奉還で徳川幕府の時代は終わったと言えるだろう。1868年1月に薩長政権は外交権の確立を告げている。東アジア支配を目論むイギリスを後ろ立てとする長州藩と薩摩藩の連合が勝利したわけだ。 そして1871年に廃藩置県を実施するのだが、その翌年に「琉球藩」が新たに設置されている。この矛盾は「琉球王国」を日本の領土とするために生じた。1879年には「沖縄県」が設置されるのだが、「旧慣温存」を決めている。つまり沖縄県には本土並みの権利は与えていない。 薩摩藩に支配されていたとはいうものの、琉球王国は独立した王国であり、清(中国)は宗主国だと認識していた。つまり、冊封体制に組み込まれ、琉球諸島を清は「縄張り」と考えていたはずだ。 勿論、明治政府は琉球諸島にとどまらず、その先を見ていた。1871年、琉球藩が設置された年に宮古島の漁民が難破して台湾に漂着、五十数名が殺されている。この事件で日本政府は清国政府に対して賠償や謝罪を要求、1874年には3000名程度の軍隊を台湾に送り込んだ。この事件で清が日本を当事者と認めたことから、清は琉球王国を日本が支配することを認めたことになる。(琉球王国の意志は無視されているが) 1875年には朝鮮半島で江華島事件が引き起こされている。朝鮮の首都だった漢城(現在のソウル)に通じる要衝、江華島の近くに軍艦「雲揚号」を派遣して挑発、軍事衝突に発展し、日本は朝鮮から治外法権を獲得した。朝鮮半島でこの事件が日本による侵略の第一歩だと認識されるのは当然だろう。 当時、朝鮮も清と冊封体制で結ばれていた。つまり、清は朝鮮の宗主国だった。そうした中、1884年に親日派がクーデターを試みたものの、清が朝鮮駐留軍を出動させたために失敗する。1894年に甲午農民戦争が起こると日本は「邦人保護」を口実にして軍隊を派遣、日清戦争に発展する。 この戦争で清を破った日本は、朝鮮側が帝政ロシアに接近することを警戒する。そこで朝鮮国王高宗の王妃、閔妃の暗殺を計画する。1895年10月、夜明け間近になって日本の官憲と大陸浪人で編成された暗殺部隊が宮廷に突入、閔妃を含む女性3名を暗殺している。計画の立案者は漢城公使の三浦梧楼だとされている。その後、日本の裁判で三浦たちは「証拠不十分」で無罪になっているが、現場を多くの朝鮮人、そして宮廷の顧問だったロシア人やアメリカ人が目撃しているので、この判決は日本にとって「恥の上塗り」ということになった。おそらく、日本政府の命令で三浦は暗殺を実行したのであり、彼を罰することはできなかったのだろうが。 1895年。閣議決定を経て尖閣諸島が日本の領土として編入されたのはこの年のことである。中国人にとって尖閣諸島は日本の過去を思い起こさせるキーワードになっている。この点だけでも、日中友好に反対するのでなければ、日本政府はこの問題に対し、慎重の上にも慎重でなければならない。
2010.09.25
5月31日にイスラエル軍が公海上でガザ支援船を襲撃した事件で、国連の人権理事会はイスラエルの行為は残忍であり、人権法や国際法に違反していると判断した。襲撃部隊が「処刑」や「拷問」を行ったことも認めている。また、ガザを封鎖している行為自体も違法だとしている。 当然の結論なのだが、これまでイスラエルが相手だと当然のことが認められずにきた。勿論、核兵器の問題では今でもイスラエルは特別扱いされているのだが、かつてとは違って批判の声が聞かれるようになってきた。粗暴ぶりが目にあまるということもあるのだろう。 現在のイスラエル情勢はロシアの事情と関係していると本コラムでは指摘してきた。ボリス・エリツィン時代の規制緩和/民営化で巨万の富を手に入れた大富豪の一部はウラジミール・プーチンの登場後、イギリスのロンドンやイスラエルに逃げ込んでいるが、そうした富豪たちがイスラエルへ大きな影響を及ぼしている。ロシアから多くの庶民も移民しているのだが、そうした人々は入植政策と深く結びついている。このところ、ロシア政府はイスラエルに接近しているようだが、これはロシア/ソ連からの移民/亡命者に対抗するためなのか、協力するためなのか、注意深く観察する必要がある。 1970年代の後半から旧ソ連圏ではアメリカの支援を受けた「民主化運動」が広がり、ロナルド・レーガン大統領時代、つまり1980年代には「プロジェクト・デモクラシー」なる工作が展開された。勿論、この「民主化」とか「デモクラシー」を字面通りに解釈してはならない。ソ連を攻撃するための「呪文」だ。アメリカがいくつもの民主政権を暴力的に破壊し、独裁者を作り上げてきた歴史を考えると、この民主化/デモクラシーは独裁とか強権とかファシズムと同じ意味で使われている。実際、当時の「民主化勢力」は核廃絶に反対し、少なくとも一部は白人政権時代の南アフリカを理想化していた。 最近、ビル・クリントン元米大統領も「ロシアからの移民が平和の障害になっている」と発言したらしい。そうした障害の一例として挙げられている人物がイスラエルの国会議員、ナタン・シャランスキー。こうした人々は「民主主義」を口実として使う。決して行動の「目的」ではない。「戦争は平和」、「自由は隷属」、「無知は強さ」といった類の表現だ。 ビルの妻、ヒラリー国務長官はネオコン的、つまり親イスラエル的な発言を繰り返している。夫と妻で考え方が違うのか、政治的な立場のせいなのか、それはわからない。
2010.09.23
大阪地検特捜部の主任検事が逮捕された。改めて言うまでもないだろうが、検察は組織の問題を個人の問題にすり替えようとしている。 検察だけでなく、裁判所も警察も戦前の体質を人脈的にも思想的にも引きずっているわけで、今回の事件でもそうした問題が根底にはある。「報道機関」も戦争責任を問われたとは言い難く、反省もしていない。戦前と同じような検察/警察との関係を今でも維持している。これまでは日本国憲法が重石になり、戦前の体質をある程度は抑えていたが、アメリカで憲法無視のネオコンが台頭するにつれ、日本でも重石が揺らいでいる。 地検特捜部の暴走は、日本の支配層(大企業/富裕層)の暴走を反映している。富を独占している階層は、自分たちを特別な存在だと思い込んでいる。貧困への坂道を転げ落ちている庶民のことなど気にもしていない。だからこそ、もっと富を独占させろと政府に要求しているわけだ。 外国で企業に求められている義務には目をつむり、都合の良い数字だけを振りかざして日本の大企業/富裕層は富を独り占めにしてきた。その中身を「二大保守政党」やマスコミが問題にしないのを良いことに、強欲さを剥き出しにしている。 民主党の菅直人政権もこうした大企業/富裕層の要求に応えようとしている。庶民のことなど眼中にはない。この政権を「左」だと言うのは、商売の上で「左翼」の幻影を必要とする一部のマスコミくらいだろう。 西ヨーロッパ、そしてアメリカでさえ庶民は富の独占に異を唱え、抵抗し始めている。「階級戦争」が始まろうとしていると主張する人もいる。富の独占を批判する声は中国でも高まりつつある。 そうした中、アメリカでは「ティー・パーティ」と称するカルト色の濃いグループが台頭している。エスタブリッシュメントへ反旗を翻しているようなイメージで売っているのだが、主張の中身はロナルド・レーガン政権から続く大企業/富裕層の優遇政策の継続にすぎない。 支持母体を見ると、その中心は低所得層への転落を恐れる中間層の白人で、庶民へ資金が回ることを嫌っているようだ。1930年代のドイツではナチスが特権階級を憎悪していた市民を吸収することで勢力を伸ばしたのだが、裏では大資本と結びついていた。そうしたナチスと同じような役割をティー・パーティーは演じつつある。 本コラムでも書いたように、ティー・パーティの候補者はかなり「個性的」である。今後、どれだけ支持者を増やせるかは不明だが、無視することはできない。アメリカ社会がカルト/ファシズム色を強めた場合、日本にも少なからぬ影響がおよぶはずで、封印されていた「戦前レジーム」の亡霊が完全に姿を現すことになるかもしれない。そうなると、日本で支配層の暴走を止めることは不可能だろう。暴走を止めるのは今が最後のチャンスかもしれない。
2010.09.22
証拠として押収したフロッピーディスクの内容を大阪地検特捜部が改竄した疑いがあるそうだ。主任検事が「捜査の見立てに合うようにデータを変えた」と「検察関係者」は朝日新聞の記者に説明したともいう。 これまでも検察は自分たちにとって都合の悪い、つまり被告にとって有利な証拠を当たり前のように隠し、裁判所も問題にしてこなかった。証拠の捏造が強く疑われる事例も少なくない。指紋にしろDNAにしろ、自分たちに都合良く「解釈」することも珍しくない。冤罪と考えられている事件の大半では、こうしたことが指摘されている。郵便割引制度を悪用するために偽証明書が発行された今回の事件でも、「いつものように」検事はデータを改竄したのではないだろうか? 勿論、警察/検察の間でこうした「手口」が横行している理由のひとつは、マスコミが当局の発表を垂れ流し、チェックしてこなかったことにある。マスコミは単なる権力の走狗、支配システムの暴力装置として機能しているのが実態だ。アメリカでも言えることだが、1970年代の後半から特に状況はひどくなっている。 アメリカでは「愛国者法」という形でファシズム体制が整備されたが、日本では細かい法律や条令の積み重ねでファシズム化を推進してきた。その結果、警察や検察は暴走している。地検の特捜部は暴走を示す象徴的な存在だ。こうした「空気」は海上保安庁や自衛隊にも広まっていると考えるべきだろう。
2010.09.21
「雇用」を強調しながら目は財界に向き、外交面では「対米従属」というよりも「ネオコン追随」の菅直人政権。1990年代からネオコンは東アジアを潜在的な脅威と主張、成長を止めようとしている。「第2次朝鮮戦争」を計画していたこともある。菅首相が言うところの「抑止力」とは、ネオコンの戦略に基づく発言だと解釈するべきだろう。 日本経済は1970年代に行き詰まっていた。アメリカにしろ日本にしろ、富の集中が進み、社会を循環する資金が枯渇しての行き詰まりであり、「石油危機」はその結果にすぎない。本コラムでも指摘したように、石油価格の高騰はアメリカの巨大石油企業からの要請だった。 不景気といっても、富が消えたわけではない。一部に滞留しているだけである。それが「カネ余り」であり、企業は「財テク(投機)」へ走って「バブル」につながった。国債を発行した大きな理由のひとつは、そうした投機資金を吸収することにある。投機先を提供したとも言える。この政策が日本を地獄へと導くことになった。 大企業に資金が集中すれば、経済は崩壊する。だぶついた資金を社会へ還流させる政策を政府は推進しなければならなかった。下請け企業や労働者に適切な対価を支払うということである。社会を資金が循環すれば、「内需」は拡大して景気は良くなる。非正規雇用の拡大など論外だ。(日本のマスコミは非正規雇用で儲けてきたのだが) ところが、菅政権は富の集中を促進しようとしている。法人減税(富裕層優遇)と消費税率のアップ(庶民冷遇)だ。日本の法人負担が世界的に見て軽いと言うことは、さまざまな人から指摘されている。マスコミはこうした事実を伝えたがらないが、これは否定できない。菅首相はどう考えているかわからないが、彼の政権は日本経済にとどめを刺しかねない。 日本にとどまらず、菅政権は東アジア経済を揺さぶろうとしている。経済的なつながりが強まりつつある東アジアの不安定要因と言えば朝鮮と日本だろう。朝鮮は国内が不安定であり、日本には朝鮮や中国に喧嘩を売りたがる人が少なくない。韓国で強硬路線の李明博が大統領に就任したことも大きい。 3月に沈没した韓国の哨戒艦は朝鮮の魚雷攻撃で沈没したと韓国政府は叫び、対話の道を閉ざそうとしたのだが、1989年から93年にかけて韓国駐在のアメリカ大使を務めていたドナルド・グレッグは暴走にブレーキをかけている。 この事件に関し、早い段階から韓国政府の見解に疑問を投げかける人は多く、その中には調査団に参加していた人物も含まれていた。魚雷ではなく、機雷が原因だった可能性が高いというロシアの見解をグレッグは紹介、間接的に韓国政府を批判している。グレッグは旧保守の見解を代弁していると考えるべきだろう。 グレッグの記事が出た直後、石垣海上保安部の巡視船が尖閣諸島の久場島沖で中国のトロール漁船の船長を「公務執行妨害」の容疑で逮捕した。漁船が故意に巡視船と衝突したという。 このケースについては何とも言えないが、一般的に言って公務執行妨害は言いがかり、逮捕の口実にすぎないことが多い。その時の様子を撮影していたらしいので、疑念を抱かれたくないなら、すぐに映像を公開するべきだった。 公開しないのは問題外だが、公開しても時間を経てからでは、ガザ支援船を襲撃したイスラエル軍のケースのように映像を編集したと言われかねない。拘留を2度延長したということは、船長を起訴する材料が揃っていない可能性が高いわけで、映像が決定的な証拠になっていないのかもしれない。 少し前、捕鯨船がシー・シェパードと衝突するということもあった。あの場合、日本で公開された映像は最初の部分が削られていた。都合が悪かったからだ。オリジナルの映像を見ると、先ず捕鯨船側が止まっていたシー・シェパードに向かって直進、直前で左へ舵を切ったのだが、その時シー・シェパードの船も危険を感じて前へ逃げようとして衝突したのだ。 さて、内閣改造で菅首相は反中国派(要するにネオコンだが)と見られている前原誠司を外務大臣に据えた。菅政権は中国に対して友好的でないと判断されても仕方がないだろう。経済的なつながりが強まる中、賢明な政策だとは思えない。日本の経済力を中国が必要としていると考え、足下を見ているのかもしれないが、ネオコンの尻ばかり追いかけていると、大きなしっぺ返しを喰らう可能性がある。
2010.09.20
今年の11月、アメリカでは中間選挙がある。それに先立ち、政党の候補者を決める予備選が行われたのだが、デラウェア州では「ティー・パーティー」と称するグループが推すクリスティーヌ・オドンネルが選ばれた。キリスト教系カルトの活動家で、2008年の大統領選挙で共和党の副大統領候補だったサラ・ペイリンも支援している。 ペイリンもキリスト教系カルトの信者で、知事室にイスラエルの国旗を飾るような人物だったのだが、オドンネルの主張もかなり「個性的」で、アメリカでは話題になっている。例えば・・・1) 自慰行為は不倫と同じであり、反対。2) AIDSは個人の責任であり、その治療に政府が支出することに反対。3) 進化論を事実だと信じている人が多すぎる。4) 自分達がSALTというグループを創設した目的は「世代X」における道徳の基礎を築くことにある。5) 男女共同の寄宿舎という考えに反対し、「次は何?乱交部屋?三角関係?」などと発言。6) バラク・オバマはリベラル過ぎて反米的だ。 長い間、デラウェア州の上院議員選挙ではジョー・バイデン副大統領が選ばれてきたので、今は民主党から議席を奪うチャンス・・・ということで選ばれたのがオドンネル。この女性と争ったマイク・キャッスルはエスタブリッシュメントの一員と理解されたことも敗因だったようだが、それにしても、すごい選択だ。 この結果を見て民主党は喜んでいるとも言われているが、アメリカはカルトの世界へ足を踏み入れつつあるのかもしれない。そう言えば、あのナチスは、カルトと緊密な関係にあった。国家神道の日本とは相性が良い?
2010.09.16
バグダッドから約80キロメートルの地点にある村で、アメリカ軍の「非戦闘部隊」が武装勢力と交戦し、イラク人兵士ひとり、警察官ひとり、そして反政府軍の兵士ひとりが死亡したと報道されている。先週にはバグダッドの基地が攻撃され、その際にアメリカ軍が戦闘に参加したとされているので、「最後の戦闘部隊」がイラクを離れてから少なくとも2度、アメリカ軍は戦闘に参加したことになる。予想通りと言えるだろう。 イラクの現政権の権力基盤は脆弱であり、アメリカ軍を頼りにしている。2016年まではアメリカ軍がイラクに駐留するとイラクの国防大臣は発言しているが、その後も傭兵を使いつつ、アメリカ軍は居座ると見通している人が少なくない。アメリカの正規軍や傭兵たちが存在している限り、非武装のイラク人も殺され続け、反米感情は高まる。つまり「抵抗運動」は続き、アメリカの戦争ビジネスは儲かり、庶民は戦費負担に喘ぐことになる。さまざまな形で日本も負担を強いられるだろう。日本もアフガニスタンやイラクでの泥沼化した戦争に引きずり込まれていくと覚悟しなければならない。 こうした戦争の実態をアメリカのメディアは隠してきた。いや、開戦の下地を作るために偽情報を撒き散らし、戦争が始まると「インベッド(埋め込み)」方式、つまり軍の管理下で取材することで「大本営発表」を続けてきた。積極的に戦争へ荷担してきたのである。アメリカの尻を追いかけている日本のマスコミはアメリカよりも状況は悪い。つまり宣伝機関色が濃い。 こうしたメディアの醜態を明確にしたのが内部告発サイトのWikiLeaks。当然、アメリカ政府は敵視、潰そうとしている。そうした最中、同サイトのスポークスパーソンを務めていたジュリアン・アッサンジをスウェーデンの警察/検察当局が締め上げている。 8月20日に警察の求めに応じて「臨時検事」が逮捕令状を出し、スウェーデンのタブロイド紙が警察のリーク情報に基づいて「事件」を報道するのだが、その翌日には主任検事のエバ・フィンが令状を取り消した。ところが、9月1日に検事局長のマリアンヌ・ナイが主任検事の決定を翻し、捜査再開を決めている。しかも、捜査資料が全てメディアに流されてしまう。 この事件を胡散臭いと感じる人が少なくない理由のひとつは、「被害者」とされる女性アンナ・アーディンの背後関係にある。 この女性はウプサラ大学の研究学生で、メディアに関する会議での講演をアッサンジに依頼したスタッフのひとりだった。その際にアッサンジはアーディンのアパートに泊まってセックスをしているのだが、数日後に彼は別の女性とも床をともにしている。アーディンは男に対する「法的な復讐」を主張するフェミニストだと言われ、「二股」を掛けることは許さない。 また、彼女のいとこ、マチアス・アーディンはスウェーデン軍の中佐で、アフガニスタンで活動しているスウェーデン軍の副官を務めているという。アメリカが主導するアフガニスタンやイラクでの戦争にとって邪魔な存在であるWikiLeaksを排除したいとマチアスや軍の仲間たちが考えている可能性は十分にある。 9月19日にスウェーデンで選挙が予定されていることも注目されている。戦争に賛成している現政権と平和を訴える社会民主党と緑の党が争っているのだが、WikiLeaksが反戦派を後押しする形になっていることは否定できず、現政権にとっても邪魔な存在だ。この選挙が今回の騒動の一因になっていることもありえるだろう。
2010.09.14
2001年9月11日に起こった出来事を切っ掛けにしてアメリカは大きく進路を変え、一気にファシズム国家の領域に突入した。事実上、憲法を機能停止の状態にして国民から主権者としての権利を奪い、盗聴、拉致、拷問、そして殺人さえも認める国になったのだ。その出来事とは、言うまでもなくニューヨークの世界貿易センターや国防総省への攻撃である。ファシズム化への舵取りをしたのはジョージ・W・ブッシュ(ジュニア)政権だった。その波は間違いなく日本へも押し寄せている。検察やマスコミの暴走を見るだけでもわかるだろう。 さて、2000年に実施されたアメリカの大統領選挙でブッシュ・ジュニアを最終的な勝利者に決めたのは連邦最高裁だった。有権者登録での選別、投票妨害、そして投票用紙に関する不正が指摘されていたが、それでもブッシュが大統領となるためには、裁判所の力を必要としたのである。 ブッシュ・ジュニアを担いでいたのはネオコン(新保守)やシアコン(神保守)と呼ばれる勢力で、両者は「親イスラエル」という共通項で結ばれている。ネオコンはイスラエルのリクードなど軍事強硬派と緊密な関係にあり、シアコンはキリスト教原理主義者とも呼ばれている。 この勢力はジョージ・H・W・ブッシュ(シニア)政権の終わり、1992年にDPG(国防計画指針)を書き上げた人脈も属している。1991年12月にソ連が消滅、冷戦を口実にしてビジネスを展開していた軍需産業はピンチに陥ったが、DPGは「唯一の超大国」としての地位を維持するため、国防予算を膨らませるべきだと主張していた。軍事力を使い、潜在的なライバル、つまり西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアを潰すというわけだ。 この秘密文書はリチャード・チェイニー国防長官の下、I・ルイス・リビー、ポール・ウォルフォウィッツ、ザルメイ・カリルザッドというネオコンのグループが書き上げているのだが、その際に外部の仲間、つまりリチャード・パール、アルバート・ウォールステッター、アンドリュー・マーシャルたちと内容に関して討議したと言われている。 この文書は外部にリークされ、取り下げられたことになっているが、ネオコンの戦略としては生き続けた。DPGだけでなく、1990年代にはイラクからのサダム・フセイン排除を含め、イスラエルを中心とした世界戦略をネオコンは打ち出している。ビル・クリントン大統領をスキャンダル攻撃(その大半は嘘だった)していたのもネオコン/シアコンたちだ。ちなみに、日本のマスコミはこの勢力からの「情報」を垂れ流していた。 結局、クリントンを辞任に追い込むことはできなかったが、スキャンダル攻撃で手足を縛っていたことは確かだ。そして2000年の大統領選挙。どうしても自分達の担ぐ人物、つまりブッシュ・ジュニアを大統領にする必要があった。 ブッシュ・ジュニア大統領は、独善的で強引な政策を次々と打ち出した。ミサイル防衛計画ではペンタゴンの制服組からも公然と批判され、京都議定書を反故にしたときには世界的な非難を浴びている。「中国脅威論」も叫び始めた。 DPGは東アジアを潜在的ライバルのひとつとしてリストアップしていた。中国脅威論の黒幕がアンドリュー・マーシャルだと聞いて不思議に思う人はいないだろう。日本のある種の人々がこの議論を喜んでいたようだが、ネオコンの矛先が日本にも向いていることは言うまでもない。 2001年当時、アメリカのカジノ経済は破綻寸前だった。冷戦の終結は軍需産業の見通しを暗くしていた。 2000年9月には中東でも和平への道を破壊しようとする動きがある。リクードのアリエル・シャロン党首が数百名の警察官を従えてエルサレムの神殿の丘を訪問、イスラム教徒を挑発したのである。その結果が第2次インティファーダであり、ハマスが影響力を拡大する切っ掛けにもなった。 ブッシュ・ジュニアが大統領に就任したとき、何か大きな出来事が起こると感じた人は少なくないだろう。アメリカの状況を見れば、その歴史から考えて、何かクーデター的なことが起こる可能性があると筆者は考えたが、中には2001年5月から6月にかけて実施されたNORADの演習から「オサマ・ビン・ラディン」に注目する人もいたようだ。この演習は、巡航ミサイルでアメリカの東海岸が攻撃されるという想定だったが、演習のシナリオが書かれた文書の表紙がオサマ・ビン・ラディンだったのである。ともかく、事件の謎が解明されるのはこれからである。
2010.09.10
東アジアが微妙な情勢になりつつある9月8日未明、石垣海上保安部の巡視船が尖閣諸島の久場島沖で中国のトロール漁船の船長を「公務執行妨害」の容疑で逮捕した。 言うまでもなく、この海域は日本だけでなく中国も台湾も領有権を主張しているわけであり、海上保安部の巡視船が退去するように「呼びかけ」たところで、すんなりと引き下がるはずはない。中国、あるいは台湾側が日本の船舶に退去を呼びかけたところで、同じことだろう。事件は起こるべくして起こった。 この出来事が起こる少し前、ジミー・カーター元米大統領が平壌を訪問してアメリカ人の解放を実現、その直後、8月31日に韓国政府を揺るがす証言がアメリカから飛び込んでいる。 1989年から93年にかけて韓国駐在のアメリカ大使を務めていたドナルド・グレッグはインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に掲載された署名入りの記事で、哨戒艦沈没に関するロシアの調査について語っている。すでのロサンゼルス・タイムズも韓国政府の公式見解に疑問を投げかけているが、今回の記事はより衝撃的だと言えるだろう。 問題の哨戒艦は3月に沈没したのだが、「国際軍民合同調査団」は「北朝鮮の小型潜水艦・艇による発射以外に説明がつかない」という結論を公表、ヒラリー・クリントン米国務長官は7月、朝鮮に対し、韓国の哨戒艦に魚雷を発射したことを認めるように迫っている。グレッグの記事によると、李明博大統領は事件を切っ掛けにして朝鮮との橋を全て燃やしてしまったと韓国の外交官は発言している。 この事件を調べるためにロシア政府も6月に調査団を派遣しているのだが、明確な結論には達していないとして、報告書の類を公表していない。報告書を明らかにしていないという点では、「国際軍民合同調査団」も同じだ。グレッグのよると、ロシア側は魚雷ではなく、機雷が原因だった可能性が高いと推測しているのだが、李政権やバラク・オバマ政権へのダメージを考えて沈黙しているのだという。 ハンギョレ新聞のインタビューでグレッグは、韓国政府がロシアの調査を妨害したと話している。全ての資料を調べることは許されず、シミュレーション試験もできなかったという事情を明らかにし、朝鮮の技術水準から考えて合同調査団の仮説には無理があるとロシア側は考えているという。こうした事情をロシア側から聞いた中国は、調査団を派遣しても意味はないと判断しているとも述べている。 調査結果のブリーフィングをした、合同討議をした、「40種類の」調査資料を提供したなどと韓国側は主張しているようだが、「全ての」重要資料を見せたとは言えず、再現実験については触れていない。つまり、記事を読んだかぎりでは、グレッグの話に対する反論にはなっていない。 こうした情報を公表したグレッグはCIAの「元高官」であり、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領(シニア)の側近としても知られている「旧保守」。CIAの韓国支局長を務めたこともある。決して平和的な人物ではないが、東アジアで軍事的な緊張を高めることには反対しているようだ。ジョージ・W・ブッシュ(ジュニア)が大統領に就任した直後、新保守(ネオコン)は「第2次朝鮮戦争」を考えていたが、これを止めさせたのは旧保守(シニア)だったと言われている。 尖閣諸島での事件が起こる直前にローレンス・サマーズが率いるアメリカのチームが訪中し、9月6日、7日と中国の要人たちと会談している。事件は会談の大きな影響を与えなかったようだ。 カーターが朝鮮を訪問した際、金正日は中国にいた。何が話し合われたのかは不明だが、その金正日の後継者としてキム・ジョンウン(金正銀, 金正雲 または 金正恩)が決まり、近く公表されると噂されている。軍隊が首都に集まっていることから、パレードの準備ではないかとも言われている。
2010.09.09
カタログ性能というものがある。ある条件の下で算出された数字にすぎず、顧客の興味を引くために実用性を無視して作り出されたものも少なくない。武器や兵器の販売でも使われる宣伝テクニックだ。専門家であるはずの軍人なら騙されないだろうと思う人も多いだろうが、カタログ性能の効果は絶大だ。 カタログ性能の良い商品は往々にして高く、利幅は大きい。つまり、軍需産業にとって儲かる商品だ。退役後の再就職を考えている将軍たちは、そうした面からも高額兵器を買いたがる。軍需産業を儲けさせれば、その一部は自分の懐に戻ってくるからだ。 企業から多額の資金を受け取っている議員にしても、企業を設けさせることに異存はない。どうせ、カネを出すのは庶民から巻き上げた税金だ。高額所得者?そうした人たちは税金の見返りがあるから高額所得者なのである。 軍人や議員よりも無邪気に高額兵器を喜んでいるのがマスコミ社員。子供がおもちゃを見るように、高額兵器を眺めている。「性能」や「実績」も「専門家」から聞いた話、つまり一方的な情報を垂れ流すだけの記者が大半だ。もし、軍需産業を儲けさせれば広告料が入ってくると思っているのなら、犯罪的だ。 こうした問題でA-10という軍用機が引き合いに出されることもある。地上への攻撃や地上での戦闘を支援する目的で1970年代前半に登場し、湾岸戦争ではかなりの戦果を挙げた航空機だ。ところがアフガン戦争ではA-10よりカタログ性能の良い戦闘機で攻撃、多くの非武装の住民を殺害する一因になっている。「より高く、より速く」飛行する戦闘機を空軍が求めたひとつの結果である。高額兵器が単なる「役立たず」なら、それもそれで良いのだが、犠牲者を増やしているから始末が悪い。
2010.09.08
ロシアで権力バランスが変化しているか、あるいは戦略を修正している可能性がある。イスラエルと軍事協力で合意、アフガニスタンではアメリカ/NATO軍に協力を申し出たのだ。イスラエルでの権力対立が激しくなっていることも考慮する必要がある。 グルジアとの対立でロシア軍の幹部はイスラエルの関与を指摘、ロシアの現体制と対立した富豪たちはロンドンやイスラエルに亡命している。亡命者のひとり、ロンドンへ逃亡したボリス・ベレゾフスキー(プラトン・エレーニンに改名)はイスラエル系で、しかもチェチェンのイスラム武装勢力と結びついていると言われている。ベレゾフスキーと同じようにロシアを脱出した富豪の一部はイスラエルへ逃げ込んでいるが、そこで政治に影響力をおよばしている。 そのイスラエルとロシアが軍事協力をするというのだ。9月6日に両国は合意文書に署名している。アメリカとの関係にすきま風が吹き始めたイスラエルとしては、ロシアに接近することでアメリカを牽制したいのかもしれない。 9月6日にロシアはアフガニスタンでの戦争に介入する意志のあることも表明した。ヘリコプターの提供やエンジニアの派遣を提案したという。アフガニスタンの不安定化がロシアの治安に悪い影響を及ぼすことを懸念しているとも推測されている。ウラジミール・プーチンが大統領になってからアメリカの「旧保守」に接近しているようなので、そうした関係が影響している可能性もある。 8月16日にロシアの軍情報機関GRUのナンバー2だったユーリ・イワノフの死体がトルコの海岸で発見されたことも気になるところだ。2000年にはチェチェンでの戦闘を指揮していたという人物で、シリアを訪問中、行方不明になっていたという。護衛に囲まれていた人物が水泳中に溺死したとは考えにくく、殺された可能性が高い。国際情勢が大きく動き始める兆候なのかもしれない。
2010.09.07
1983年8月31日から9月1日にかけて、大韓航空のKE007は航路を大幅に逸脱してカムチャツカ半島とサハリンを横断、その際にソ連の重要な軍事基地上空を飛行し、撃墜されるという出来事があった。 その間、アメリカの緩衝空域、飛行禁止空域を横断しているわけで、NORAD(北米航空宇宙防衛軍)は当該機へ即座に呼びかけ、近くのFAA(連邦航空局)へ知らせなければならなかったのだが、何もしていない。その理由はふたつしか考えられない。担当官が怠慢で任務を遂行しなかったのか、飛行禁止空域への侵入が許されていたかである。ちなみに、担当官が処罰されたという話は聞かない。 KE007はサハリンの西側で撃墜されたことになっている。迎撃機のパイロットは右に旋回しながら降下していると報告しているが、レーダーの記録では左に旋回している。パイロットが右と左を間違えたのか、レーダーが故障しているのか、パイロットが見ていた航空機とレーダーが追っていた航空機は別なのか、原因は不明だ。 サハリンの沖、モネロン島の近くで撃墜されることが予定されていなかったと仮定するならば、撃ち落とされなければ、そのまま飛行を続けた可能性がある。この事件を調べている人でも、撃墜されなければ左に旋回して日本海を南下し、ソウルに向かったと思い込んでいるようだが、そうしたシナリオの根拠は全くない。それまで通りに飛行を続ければ、ウラジオストックに到達する。当時は閉鎖軍港であり、ソ連軍の重要な拠点だった。 ソ連の迎撃機が当該機を「軍用」だと表現したのはカムチャツカを横断した後、サハリンに近づいているときである。その時の時刻は世界時で18時4分。すでに迎撃機はKE007と思われる航空機を視認している。 迎撃機はロックオンしたまま、IFF(敵味方識別装置)で呼びかけているが、反応はない。18時17分に航空機は再びソ連領空を侵犯、撃墜命令が出るものの、19分には着陸させろとも命じている。 18時20分に航空機の前方に向かって迎撃機は機銃を発射して警告、反応がないため18時21分にミサイルの発射が命じられる。目標機がレーダーのスクリーンから消えたのはその直後だった。そして18時23分に迎撃機はミサイルを発射すると通信、その3分後にターゲットを破壊したと報告している。 この間に行われたコックピット内の会話が興味深い。18時4分:税関を通過するのは、かなり面倒なことになりそうだ。18時5分:まだ向かい風を受けている。18時11分:ドルから韓国の通貨へは問題ない。当時、ウォンをドルに交換することは制限されていたのだが、ドルをウォンに交換する際に制限はなかったはずで、会話として不自然だ。そして18時15分にモールス信号が始まり、20分まで続く。爆発音らしき音が録音されているのは18時26分だ。 この事件の後、アメリカのある退役将校は「自爆説」を主張した。おそらく、「ノースウッズ作戦」を連想したのだろう。そして2001年9月11日、再び航空機が軍事的な緊張を高めることになる。
2010.09.06
しつこいようだが、イラクでの戦闘をアメリカ軍は終えていない。助言と支援のために残っているという5万のアメリカ軍は戦闘を継続している。 ジョージ・W・ブッシュ政権が先制攻撃を始めるにあたり、当時の国防長官、ドナルド・ラムズフェルドは3カ月でアメリカ軍を5万人にすると言っていたので、やっとその水準に到達したと揶揄されているのだが、このうち4500名は特殊部隊だそうで、相変わらずの「掃討作戦」を展開するのだろう。イラク市民にとって、平和は遠い。 しかし、少なからぬアメリカ人は本当に戦争が終わったと思っているらしい。残念ながら、これは事実に反している。アメリカ人を錯覚させた一因はネットワーク局NBCの報道にあったらしく、罪深い。 Foxニューズの世論調査によると、アメリカが主導した軍事侵攻によってイラク人の状況が良くなったかどうかという質問に対し、71%が良くなったと応えている。ちなみに、2004年3月が74%、05年1月が59%、05年7月が64%、06年3月が59%だ。バラク・オバマ大統領の宣言も影響して上昇しているわけだが、低い数値でも59%だとは驚く。「戦争は正しかった」と思いたいのかもしれないが、それにしても恐ろしい感覚だ。中間選挙までこの目眩ましが有効だったとしても、その後の反動でオバマ政権は苦しむことになりそうだ。 ニューヨーク・タイムズは国務省が傭兵を2700人から6000~7000人に増強すると報道しているが、全体でも増えると見られている。正確な数字は不明だが、伝えられているところによると、国防総省の下で活動中の傭兵は現在、1万1600名。つまり、正規軍が5万、国務省が2700、国防総省が1万1600で、合計すると6万4300名ということになる。国防総省が国務省と同じように傭兵の数を増やすならば、総兵力は9万に近づく可能性がある。 これは以前から指摘されてきたことだが、傭兵には大きな問題がある。免責特権を持ちながら、アメリカ軍の指揮系統から外れているのだ。アメリカ軍の兵士なら、不十分とはいえ、軍隊内部に犯罪を取り締まるシステムは存在しているのだが、傭兵の場合は制御システムがないに等しい。オバマ大統領でさえ、傭兵たちが銃を乱射し、市民を撃ち、反米感情を高めていると語ったこともある。 こうした傭兵を供給しているXe(かつてのブラックウォーター)のような会社や武器や兵器を提供している戦争ビジネスと決別し、ネオコンの戦略を捨て去らない限り、イラクやアフガニスタンの泥沼から抜け出すことはできない。それが不可能ならば、アメリカはソ連の二の舞になる。
2010.09.04
泥沼化した「アメリカの戦争」をめぐり、いくつかのニュースが飛び込んできた。先ずバラク・オバマ米大統領はイラクでの戦争が終結したと宣言したようだが、前にも書いたように、これは事実に反している。5万人の戦闘部隊は残って戦い続けているのであり、戦争は終わっていない。 1990年代にネオコン(親イスラエル派)の戦略に則り、イラクからサダム・フセインを排除するためにジョージ・W・ブッシュ米大統領とトニー・ブレア英首相が始めた戦争では100万人前後のイラク市民が殺され、イラクの社会基盤が破壊され、歴史的な財産が盗まれた。しかも「テロリスト」をイラクへ引き込むことになった。 先制攻撃の口実にされた「大量破壊兵器」の話はでっち上げであり、「9/11」とイラクは無関係だったことが明確になっている。アメリカとイギリス、両国の政府は嘘で殺戮と略奪をはじめたことになる。それでもオバマ大統領はブッシュ大統領を褒め称えた。 ブレア元首相は自著の営業で忙しいようだが、イラク攻撃について反省していない。それどころか、イランを攻撃すべきだと言い続けている。本コラムでは何度か書いているように、ブレアのスポンサーはイスラエル政府なわけで、当然のことだろうが。 アメリカはイラクだけで戦争しているわけではない。アフガニスタンはイラク以上に深刻な状況だ。山岳地帯という地形的な問題だけでなく、いくつもの武装勢力が存在し、安定化にはほど遠い。そのアフガニスタンでの戦闘をアメリカ政府はエスカレートさせるつもりらしいが、泥沼からますます抜け出せなくなる。無人機で攻撃しても、非戦闘員の犠牲者が増え、反米感情が高まるだけだ。 もともと安定した国ではなかったが、その混乱を深刻化させたのもアメリカだ。1979年5月にCIAのイスラマバード支局長が武装勢力と接触し、7月にはズビグネフ・ブレジンスキー補佐官に言われるまま、ジミー・カーター大統領はアフガニスタンでの秘密工作を承認している。ソ連軍が軍事侵攻するのは、その半年後だ。その時に集め、訓練し、武器弾薬を供給し、資金面でも支援した「自由の戦士」とアメリカ軍は今、戦っている。 こうした状況の一端を暴露したのがWikiLeaks。アメリカの軍や情報機関にとって、気にくわない存在だろう。何とかして活動を止めようと必死だ。 そのWikiLeaksの「顔」になっているジュリアン・アッサンジがスウェーデンで攻撃されている。まず、8月20日に警察の求めに応じて「臨時検事」が逮捕令状を出し、翌日には主任検事のエバ・フィンが令状を取り消し、9月1日には検事局長のマリアンヌ・ナイが再び「レイプ容疑」で捜査すると発表したようだ。 ここで思い出すのは、1982年10月にスウェーデンの領海で起こった潜水艦騒動。アメリカやスウェーデンは「ソ連の潜水艦」が領海を侵犯したと宣伝、スウェーデン国内に反ソ連の「空気」を広めることに成功した。この潜水艦をノルウェーの情報機関は「西側のもの」と断言している。軍や情報機関の世界では、アメリカとスウェーデンは仲良しなのである。
2010.09.01
全15件 (15件中 1-15件目)
1