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「重力ピエロ」もミステリーと言えばミステリーなのでしょう。例によって(伊坂幸太郎の小説は世の中の悪の定義が作中でなされ、それをどうやって成敗するかということが問われるのですが)、殺人もあります。放火もあります。レイプもあります。でも、それだけでなく、遺伝子情報があって、時間を越えての復讐劇があってと、これまたいつものように、ただのミステリーでは終わりません。主人公は二人の兄弟です。兄の名は泉水(いずみ)、弟は春。(どちらもspringなんですね。主人公達の両親の子供たちにかける何らかの気持ちをこういったところでも表すというところが伊坂幸太郎の芸の細かいところです)穏やかな父と美しい母。ところが弟の春には出生の秘密がある。それがずっとこの兄弟、家族に影響を与え続けるのです。兄がある探偵(例の黒沢という泥棒がまた登場)に頼んで、裏稼業の成功者の遺伝子検査をしようとすれば、弟は仙台で起こる連続放火の謎解きを兄に持ちかけるという具合に、物語は錯綜します。放火のメッセージに遺伝子暗号がからみ、さらに春のストーカーである「夏子」なる女性が登場し、例のしゃべることのできる案山子にあった青年まで出てきて、話はますますわからなくなるのですが・・・。実は、殺人が起こることはもう端からわかっていて、誰が殺人を犯すかもわかってはいるのですがね。この兄弟の描き方がいいです。極端な性格を、こういう兄弟もいるかもしれないと読者に思わされるように丁寧に書いています。 ただ、父と母の描写がもう少し欲しかったな。 「好きになったら、とっとと結婚する」とは「忍ぶ川」のお志乃さん(僕のお気に入りの小説の女性)ですが、この母親も美しくかつ強く描かれています。ただ、登場が少なすぎ。他の小説でまた出てきて欲しいです。 気になった点がちょっとあります。 物語の終わり付近で、兄弟が話し合うペットショップが、「鴨とアヒルのコインロッカー」のペットショップならいいのですが、それを案じさせる文章があまりないのが物足りないです。 父親が残した「Cancer Agony Gravity」ですが、これにTriumphを加えて、四文字にするという話にしていますが、CAG はAmberという名の終止コドンですので、物語を終えるにはちょうどいいのでは? なお、父が死んだということをたんたんと兄がナレーションするときに「そういうものだろう」というカート・ヴォネガットのような一文がはいったのには、さすがにまいりました。にやりっていう感じです。
August 28, 2007
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以前紹介した「オルタード・カーボン」の続編が「ブロークン・エンジェル」です。物語はやはり27世紀で、サンクション星系第4惑星での革命軍と制圧軍との闘争の中で、火星人が残した遺跡を調査するために我らがヒーローであるタケシ・コヴァッチがまた、スリーブ(人体のことです。この時代、記憶は首の辺りにあるスタックというメモリーデバイスに蓄積されるので、人体を取り替えることも自由なのです。そのかわり、スタックがやられ、しかもバックアップがないと、リアル・デスとなります)に各種兵器を携えて戦います。今回は、訳ありで一度死んだ兵士達のスタックを闇市場で購入して小隊を作りますが、どうも裏切り者もいるようで・・・。 すごく重い本です(重量が。何しろ上下の2巻からなっているのです。これは「オルタード・カーボン」と同じですが)。上巻は、いまいち乗り切れないのですが、いちど語り口に乗ると、あっという間にスピードアップし、下巻は1,2日で読み終えてしまいます。 非常にスピード感のある文章で、訳者も腕がいいなあと思います。 でも、スタックが首のところにあるのはやっぱり納得できないなあ。記憶に関係するなら、テント上じゃないとね(つまり小脳よりも上の、大脳近くでしょ)。
August 27, 2007
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夏休みを30日から1週間とります。仕事が溜まるから休みなんかそんなに欲しくないんですけど。ま、しょうがないですね。場所は?帰ってきてから写真をupしますので、それまで内緒です。仕事がますます忙しくなりそうですが、知的な行為をしてないと気が狂いそうになるので、今秋は何か洋書でも読もうかなとも思ってます。それとも書評で久しぶりに思い出した広松渉でも読み返そうかな?
August 27, 2007
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日曜日に(映画の後に)上野の国立西洋美術館でパルマ イタリア美術、もう一つの都 展を見てきました。実は最終日だったのですが、日本(もしかして世界的にも)で知られていない画家たちが主ですから比較的空いていました。でも、いい絵だなって感じる絵も何枚かあって、美術展によっては一枚(一品)も感動を覚えず帰ってくることもありますから僕としては、行ってよかったと思います。 コレッジョ、パルミジャニーノ、スケドーニ、コエーリョなんて知らない画家ばかりです。でも、スケドーニの「キリストの墓の前のマリアたち」という一枚はすばらしかった。 すごくモダンなんです。15,6世紀なのにですよ。 このパルマ展を見終わって、大急ぎで常設展示も見て、あらためて(現代美術はこの国立西洋美術館には少ないのですが)この美術館の持っている絵も一級品が多いなと感じ入りました。 もうすぐ芸術の秋です。ますます楽しくなってしまいます。
August 27, 2007
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ジョン・キャメロン・ミッチェルの脚本・主演・監督作品です。日本語版は高いので、例によってAMAZON.COMで買ったアメリカ版で見ました。この映画はロック・ミュージカルなので、歌が続く映画がだめだっていう人は退屈かもしれませんが、そうじゃない(多くの)人にとっては、非常におもしろく、美しい映画だと思います。 あらすじはというと、アメリカの各地を巡業しているロックシンガー ヘドウィグは自らの生い立ちを歌詞にしたためて唄います。東ベルリンで生まれた男の子(父親は米軍兵士)ハンセルは、すぐに父親がいなくなり(この事情もちょっと・・)、母親(彫刻などを生徒に教えることで生計をたてています)と二人暮らしですが、ハンセルの楽しみはアメリカ軍のラジオ放送から流れてくるロックを聴くこと。 彼が怖い母親から聞いた「愛の起源」(origin of love)とは、もともと2対の手足、2つの頭をもっていたのが、神の雷・稲妻によって真っ二つになってしまった人間は、以来、2本足となって失った片割れ(the other half)を探して歩く存在になった。その片割れに会ったときの感情こそ「愛」なんだと。 ハンセルが瓦礫のうえで全裸で休んでいると、黒人のアメリカ兵が来て「グミキャンディ」をくれて、そのうち求婚したものだから、結婚の手続きとして、ハンセルは母親の名前「ヘドウィッグ」をもらい、医者に性転換手術を受けたのですが、6インチのペニスのうち、5インチはなくなったものの1インチ(アングリーインチ)は残ってしまうのです。 さらにアメリカにきたハンセル(以降ヘドウィグ)の元から、新しい女(男ですけど!)を作った黒人米兵は去ってしまいます。彼(以降彼女とします)はロックシンガーの夢を思い出し、韓国兵の妻達(このひとりが「ショートバス」のソフィアを演じています)とバンドを組み、さらに親しくなったトミー・グノーシス(知識という意味ですよね「グノーシス主義」のあれです)と曲を作り始めるのですが、トミーは彼女の元を離れて歌手として成功してしまいます。 ヘドウィグは自らのバンドを引き連れレストランのようなところを巡業して回るのですが・・・。 最後に女装をすてて、ブラジャーをはずし、つめもの(トマト?)をとり、男のすがたとなって、トミーに対峙するヘドウィグの前で・・・・。 結構感動的なロックオペラです。9月下旬には「ヴォイス・オヴ・ヘドウィグ」が上映されるそうです。さあ、みなくっちゃ!
August 27, 2007
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「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」で一世を風靡したジョン・キャメロン・ミッチェル監督・脚本の映画です。渋谷シネマライズに日曜日の昼に行き、今度こそ見ました。相変わらず見終わると首が疲れてしまう映画館なのですが、かかっている映画はいい映画が多いので困りものです。さて、ショートバスってなんだろう?これは自動の送り迎えのバスは長いですけど、肢体不自由児や精神障害児など用の少人数用のバスだそうです。むろん、こんなバスは出てこないで、映画の登場人物は他人との関係をうまく取れなくて、それをセックスによって取ろうとしている人々が集まる特殊なサロン「ショートバス」を舞台としています。 ニューヨークの町を紙で作った模型のように俯瞰するカットから始まりますが、これは実はアニメらしいです。で、始まるや否や、自分のペニスをえびのように丸くなってしゃぶることで射精にいたる若い男性ジェームズや、それを望遠レンズで盗撮している男性カレブ、恋愛コンサルタントをやっているけど夫とのセックスではイケなくて、そのふりをしている女性ソフィア(中国系アジア人という設定)、SMの女王様をしているけれど過去に問題があるセブリンなどの寝室で物語りは始まります。 のっけは観客である我々も「あらっ」と思ってしまうほどのあらゆるセックスのオンパレードなのですが、それが、ショートバスを舞台にして、ジェームズとそのパートナーである男性ジェイミーとの関係、ソフィアの夫ロブとソフィアとの関係、セブリンの他人との関係、ストーカーであるカレブ(物語の最後の方にやっと重要な役をするようになりますが)、ジェイミーとジェームズの間で三角関係となる男性セス、さらにショートバスに集まる様々に人物によるセックスを見ているうちに、そのセックスが生殖ではなくて、言語とは別の形態のコミュニケーションであることを感じるようになります。 それはゲイであるジョン・キャメロン・ミッチェルだから撮れたのかもしれませんが、保守的なアメリカ、それも9.11事件以降さらに保守的になっているアメリカで、よくもこのような映画が撮れたものです。 R-18指定ですが、18歳以上の方は是非見てください。
August 27, 2007
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残念。本日8月25日に渋谷シネマライズに22時ごろ行って23時からのオールナイトを見ようとしたら、な、なんとチケット完売でした。「ヒドウィグアンドアングリーインチ」の監督であるジョン・キャメロン・ミッチェルの「ショートバス」です。オールナイトはこの「ショートバス」と「ヘドウィグ・・」「ヴォイス・オブ・ヘドウィグ」の3本立てだったんですけど・・。残念だなあ。特に「ヴォイス・オブ・ヘドウィグ」は見たことなかったんで。うーん、改めて「ショートバス」を見に行きます。ああ、くやしい。
August 25, 2007
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僕は東京都の23区内から、毎朝市区に勤務しています。毎日遠足のような気分です。で、さすがに都心から離れると緑が多くて、僕の職場は森のような木々に囲まれています。毎晩9時か10時に帰途に着くのですが、そのとき、ポケットライトを持って、いつも甘い樹液をたらしている木に寄って行きます。 すると2日に1日の割合で、クワガタやカブトムシをゲットできます(カブトムシ ゲットだぜ!)。 この間なんか、1日で3匹のカブトムシをゲットしました。それをコーヒー豆が入っていた、結構丈夫な袋に入れて自宅まで持って帰ったのですが、自宅近くのセブンイレ○ンに寄ったときに、レジでお金を払おうとしたら、首筋になにやらごそごそと感触が・・。 そうです、カブトムシの大脱走です。まず首筋を押さえて一匹は捕獲しました。 ところが、もう一匹が店内を飛び始めるではないですか。 店員さんは「な、なんですか!!」 「カブトムシなんです」 「エー?!」 大捕り物の末、捕獲しました。もう一匹は袋の中でごそごそしてました。 セブンイレ○ンさん、ごめんなさい。 こんなわけで、僕の自宅のマンションのドアをあけると、土がはいった虫かごが6個、玄関に並んでいます。玄関は虫ゼリーの甘い香りでなんとも・・・な気分です。 もう、カブトを捕らなくてもいいと思っても、つい捕獲して持ち帰ってしまうんですよ。なんなんでしょうね??
August 23, 2007
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「レミーのおいしいレストラン」を池袋の映画館で観たときの話です。チケット売り場が混雑していて、列に並んで自分の順番を待っていました。で一番前まできたら、現れたのがこの人形です。こんなの見えなかったよー。すごく怖いです。僕は怖い映画は苦手です。もちろん「呪怨」は見ないつもりです。「リング」なんかも怖くてみてません。それにしても、この人形が、真夏の暑い日の映画館のチケット売り場の横にちょこんっておいてあるんですよ。本当に怖いと思いません?
August 21, 2007
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8月16日木曜日、仕事を早く終わらせて神宮球場にいきました。花火大会です。アリーナSS席の入場券があったのでお弁当を食べながら花火見物です。写真は始まる前の球場の様子です。もう少しで始まります。ワイルドワンズだと思っていたら、当日ステージで演奏してたのは昔懐かしいゴダイゴでした。以前、松健サンバのときが一番よかったかな。アルフィーのときは、ファンが多かったけど・・。いよいよ花火です。協賛会社が発表されて(番組の提供みたいな形で)花火が打ちあがります。以前は武富士の花火がすごかったけど、今は武富士は手を引いてしまい、DHCが相当長い間花火をあげてます。今年は世界陸上の宣伝のためかTBSが花火を協賛してました。キリン、ヤクルト、NIPPO、Pure i、主催の日刊スポーツなどなど。東急百貨店もけっこう沢山の花火を協賛していました。花火のあとは、いつも配布したうちわの番号であたるくじの番号発表なのですが、今年はプロレスの「ハッスル」のリングがあり、ざわざわと観客が帰る事となりました。いっぺんに帰ると大混雑だから、このようにくだらない出し物を最後に持ってくるっていい考えかもしれません。来年もこよっと。
August 17, 2007
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今朝、やっぱり暑くて暑くて、汗を流しながらの通勤途中(僕はやせ我慢が好きなので、暑くてもスーツです)に空を見上げると、雲ひとつないきれいな青空です。天の蒼。見てたら涼しくなりました。バタイユの作品にもあったようだけど、本当に空の蒼さが目にしみました。ちょっと、朝から得しました。
August 14, 2007
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PIXARのアニメの「レミーのおいしいレストラン」を見てきました。原題は「RATATOUILLE ラタトゥーユ」です。そう、ラタトゥーユとRat(ネズミ)をかけているんですよね。rat a too eeです。 主人公は天才的シェフであるネズミのレミーとまったく料理の才能がない若者リングイニです。 料理というものに魅せられてしまったネズミのレミーが、パリに迷い込み、今はなくなった大料理人グストーの店で、まったく才能がない雑役のリングイニがいたずらでスープの味付けをしているのを見て、つい自分で味付けをしてしまったらこれが客におお受け!リングイニはネズミのくせに料理の才能を持つレミーの存在を知り、自分の・・・・として、料理を二人(ひとりと一匹)で作ることに成功する。 さらに、リングイニは実は・・・・であるという出生の秘密も明らかになり(これもレミーのおかげ)、とうとうリングイニは晴れて、グストーの店の・・・・となる。 ところが、辛口の批評でしられる料理評論家のイーゴが来るということから、ストレスのあまり、リングイニはレミーと仲たがいしてしまう。 なんだかんだあってもレミーの力が必要であることを悟ったリングイニはみんなの前に・・・・。 さて、ねずみによってうまく切り抜けたのだが、衛生局によって店は・・・。 でも、新しい「ラタトゥーユ」はレミーが切り盛りする店となり、大繁盛!、なんとネズミ用の客席まであるのです。 あまり説教臭くないところがディズニー映画にしてはいいところです。映像もきれいで、笑いを誘う場面もたくさんあります。アニメとはいえ、(むしろアニマだからこそ?)心がなごむ映画です。
August 12, 2007
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「劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!」「電影版 獣拳戦隊 ゲキレンジャー ネイネイ!ホウホウ! 香港大決戦」を見てきました。柏に用があったので土曜日の午後に柏神社の裏の映画館で観ました。 始まるまで30分だというのに、劇場には一人しか観客がいません。で、近くの餃子店「ホワイト餃子」にはりました。 30年ぶりです。僕はこの近くの高校を卒業しています。一つ下の学年には有名な歌のグループのボーカルがいます(今、彼は株の専門家であり、健康の専門家であるようです)。高校に制服がないので、パチンコとかたばこはもちろん、アルコールを飲むのも容易でした。で、酔った僕たちはこの餃子店で何個まで食べることができるかを競っていたのです。 30年ぶりの餃子ですが、そんなにおいしくありませんでした。思い出っていうのは、食べ物をおいしくさせるのですね。 餃子とビールを飲んで、それから映画館にはりましたが、はじまっても10人に満たない人数です。しかも、足を前の座席の背もたれにかけてみている女性グループや、携帯を開いて操作していたり・・・、うーん場末かも。 「ゲキレンジャー」の方は小野真弓をゲストに迎え、香港を舞台にしていますがとにかくスケールが小さい!結局特撮となると、香港もくそもないですからね。つまらなくて、一番の山場である戦闘シーンで眠ってしまいました。 そのあとの「仮面ライダー電王」ですが、今テレビの電王のすじが非常にねじれてきたのは、劇場版にあわせて登場人物を増やしたりしているせいです。ですからテレビを快適にみるためにはどうしても、この劇場版を見る必要があったのです(それほどの必要性はないのですがね・・・)。 特異点である遼太郎に何人ものイマジンがとりついたのはどうしてかというのは、この映画ではじめてわかりました。また、映画版ではいろいろな有名人がカメオ出演するのですが、今回もこれまでのライダーシリーズに出た人たちがけっこう出ていました。 ライダーシリーズが好きな人にはおすすめです。
August 12, 2007
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さて、恵比寿で「インランド・エンパイア」を見てきました。 なんたって、3時間の映画です。 いきなり、ウサギが洋服着て生活している場面から始まります。しかも、それは爆笑もののテレビ映画のようでもあります。さらに、その場面を見ている女性が泣いています。 話はかわって、ハリウッド女優のニッキー(ブルー・ベルベッドで大口をあけてわめいたあの女優ローラ・ダーンです)は夫のピオトルケと豪邸に住んでいますが、そこへ変な老婆(近くに越してきたといっています)が訪ねてきて、ニッキーが役を得るであろう映画でおぞましい殺人が起きることを予言します。 ニッキーは無事映画「暗い明日の空の上で high in blue tomorrow」の主演を得ることができます。この映画は不倫の映画なのですが、ニッキーは次第に現実と虚構の区別がつかなくなり、相手の男優デヴォン(ジャスティン・セロー)と不倫してしまうのです。 ところで、この映画はもともとはポーランドの映画「47」のリメイクで、「47」の撮影は主演俳優が殺されてお蔵入りになったといういわくつきの映画なのです。 映画は現実のリッキーの世界、「暗い明日の空の上で」の世界、ポーランドの世界、ウサギの世界などなどをつぎつぎと関連なく描写します。 映画の中ではスーザン(ニッキーが演じているはず)は不倫相手の家に乗り込み、その相手の妻に殴られ、時代がどういうわけか変わって、ファントムという夫から暴力を受けています。そのうらみつらみをスーザンは肥満のメガネ男に暗い部屋の中で訴えているのですが、その男もどこかと連絡をとりあっているのです。 スーザンはドライバーを手にしてふらふらと通りを歩くのですが、逆に不倫相手の妻であるドリスに刺殺されるのです(この臨終のシーンで祐木奈江が出てきます)。 ここで・・・・という声が・・・・ ところがニッキーは・・・。 複数の世界は絡み合い・・・・。 ラストはエンド・ロールとともに出演者が一度に登場し、踊り、歌い、笑っています。 この映画に筋があるのかどうかも疑問です。 おそらく、現代美術のなかに物語性を拒否するものがあるのと同様に、この映画も、容易に物語を読み取ることを拒否しています。ただ、まったくノイズというわけではなく、ゆるい物語性、ゆるい関連性があります。それが統合失調症の連想のようでありながら、関連性がある程度保たれていることで、我々一般人でも了解することが部分的に可能となっているのでしょう。 フランシス・ベーコンの絵のようでもあります。 近いうちにまた見に行こうと思います。
August 12, 2007
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これほど有名な写真家の写真集ですが、いつも週刊誌や月刊誌でしか見ていず、センチメンタルな旅も実は観たことがなかったのです。で、これは1991年2月に出版された「センチメンタルな旅 冬の旅」です。愛妻 陽子さんとの新婚写真を私小説風に撮ったものが「センチメンタルな旅」、そして陽子さんが癌に侵され入院してから、亡くなり、葬儀・火葬となり、愛猫チロだけが待つ家に返るまでを描写したのが「冬の旅」です。 なんともすさまじいのは写真家という職業意識です。つまり、この写真集は、新婚の日から愛し続けた妻の死をファインダー越しに撮影したものなのです。単に、眺めて記憶したのではなく、写真の対象として構図を考え(おそらく)、そしてシャッターを切った結果なのです。 その写真の積み重ねを観たときに、なんとも涙が出てきます。 写真として残っているのではなく、その作業の結果としての写真集に、陽子さんへの深い愛情を感じ、生活を急に変更された人生の不条理を感じて、見ている僕も涙が出るのです。 名作です。
August 9, 2007
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伊藤若冲をここまで有名にした立役者といえば、オクラホマの実業家、ジョー・D・プライスさんである。日本人が江戸時代の画家に対して尊敬を示そうともしないときに、彼は独力で、自分の感性だけを信じてこつこつと江戸時代の絵画を集めてコレクションを増やしていったのである。確かに彼が金持ちだからできたことだろうけど、例えば、金策がつかなくなって、購入をあきらめた作品が1年半経っても売れておらず、結局プライス氏が購入することになったなんて逸話は、いかに当時の日本人が自分達の文化をないがしろにしているかを示すものでしょう。 僕達はみな巨人の肩に乗った小人なのである。 過去を振り返って、自らの文化の歴史から、新たな発見や発明を見出すのが文化・文明の進歩でしょう(異論もあるでしょうが)。 どうも私達の国は、10年前のことを評価するのも忘れがちだし、10年後を想像することも不得手な民族で形成されているらしいのは、例えば年金とか国債とか、はたまた医療の人手不足なんてのを見ても明らかです。 で、話は戻ってプライスさんですが、ベンツのスポーツカー(あのガルウイングのやつ)を買おうとして、ふと立ち寄った東洋の絵画店で、名前も知らず(日本という国さえよく知らなかったといってますが)若冲の「葡萄図」を購入したのが運の尽き、つぎつぎの自分が見て楽しくなる絵を集めていきます。 そのうち、日本にも来て、絵だけじゃなくて奥さんまでも得て、この奥さんと二人三脚でコレクションを充実させるとともに、その絵画の勉強をしたいという学者を自宅に招待して江戸の絵画の研究を助けるという、まことに素晴らしい人物なのです。 こういう金の使い方って、本当にかっこいいと思いますね。また、倫理的であると思います。 そろそろこういう文化的な仕事を日本人がやってみる時期なのでは?とも思います。
August 8, 2007
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さて、日曜日の午前中に上野の芸大に行って来て、自宅に戻った途端、外出していた家族から連絡があり、市ヶ谷に向かった。 護国寺から有楽町線に乗ったのだけれど、今、護国寺につながった御陵の横に高層マンションが立っていて、きっと眺めがいいんだろうなあってつまらないことを思いながら、汗をかきかき地下鉄ホームに降りていった。 さて、ちょっと遅くなった昼食を市ヶ谷ですませ、子供と釣りをすることになった。 市ヶ谷とくれば釣りなのである。 総武線を使っているひとは、もう当然でしょうね。 で、普通の釣堀の方に大人一人子供一人って行ったら、係りのおばさんがこちらをにらんで「無理だよ。子供には無理。ミニフィッシングの方がいいよ。」と。 僕もそう思っていたから、ミニフィッシングを1時間することにした。 ところで、僕は釣りが下手である。だから、金魚釣りも久しぶりで、それでも釣りが始めての子供よりはうまいと思っていたのだけど、やり始めて次々と金魚を吊り上げるのは、子供のほうだったんだ。うーん、僕と子供の違いといえば、餌のつけ方かな。釣り初めてのくせに、理論をたてて餌をつけているからびっくりした。はい、釣果は1時間で金魚10匹です。途中で飽きたのも事実です。でも、今度はふつうのつりに行きたいな。
August 5, 2007
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日曜日の午前中に7月7日から9月9日まで上野の東京藝術大学大学美術館で開かれている「金刀比羅宮 書院の美 応挙・若冲・岸岱」に行ってきた。前から行こうと思っていたのだが、この日も午前4時まで仕事をしていて、今日は一日寝て日曜を過ごすかなと思っていたら、8時に子供に起こされて、テレビを見ていたらNHK教育テレビでちょうどこの美術展をやっていたので、遅れたら混むぞ!って思い、パジャマ代わりに来ていたラガーシャツのままバスに乗った。 池の端2丁目の停留所で降りて、上野動物園の裏に沿って進むと、都立上野高校があり、さらに行くと芸大である。 チケットを購入(一般当日 1300円)し、会場へ! 思いのほか空いている。 しかも、その書院をそのまま移している展示方法がすばらしい! 久しぶりで絵を見て(ふすま絵を見て)背中がぞくぞくとした。 虎の間、鶴の間、すばらしい。もちろん、若冲が植物ばかりを書いた襖もあった。でも、応挙がすごかった。また岸岱がすばらしかった。1300円なんてめちゃくちゃ安い。本当にそう思った。芸大もやるものである。 さらに地下2階で開かれている「歌川広重<名所江戸百景>のすべて」展にも入場することができた。 僕はもともと北区赤羽の生まれで王子なども近く、また中学・高校の頃は北千住をはじめ、御茶ノ水、神田、秋葉原、水道橋などにもよく来ていたのだが、これらはみな古い町で、歌川広重のこの百景を見ると昔の風景を知ることができ、とても興味深い。 今後、江戸名所図会などで、自分の身近なところを調べていきたい。 いや、本当に面白かった。 で、芸大を出て、恩賜上野公園を突っ切って、不忍池のはすをみながら、骨董屋をひやかして広小路まで歩き、バスに乗って帰路に着いた。
August 5, 2007
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サミュエル・ベケット生誕100周年が2006年というのは知らなかった。どうりでここのところ戯曲全集などがお色直しをしていた。 「ゴドーを待ちながら」などの戯曲や「マロウン」「マーフィ」などの小説で知られ、ノーベル文学賞受賞作家であるベケットであるが、日本ではもっと知られていいのではと思う。 戯曲は有名であるが、僕はその小説も、戯曲におとらず素晴らしいと思っている。不条理といえば、誰しもカフカを思い出すが、カフカが世界の耐え切れない不条理をその想像力で紡ぎだしているのに対して、ベケットはその人間の存在の不条理を描写しているのではと思っている。 さて、この「ベケット巡礼」はベケット学者である著者が、ベケットゆかりの地を歩き回るという形をとりながら、ベケットの足跡、生涯、日本での受容などについて詳しく記述したものである。少しミーハーな部分があるが、学者なんて多少ミーハーなものであろう。 特に日本におけるベケットの受容の歴史が興味深かった。 ベケットファンにはおすすめの一冊です。
August 1, 2007
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