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「神様のおっしゃるとおり、わたしは少し低能で、アンポンタンですからね。
何でもかんでも、神に教えてもらって救われるのです。『そら、家へとんで
帰れ。嫁がアイロンを焼ききったぞ』とかね。家へ急いで帰ってみると、
嫁が、燃えて煙の出ているアイロンのコードをコンセントから引き抜いた
ところだったりします。
『ご飯に火をつけておきなさい。帰る頃には丁度できている』とか。まるで、
養い親ですね。『おまえ、血圧が高いから、○○○を買って飲め。あれは
効くぞ!』ってもね」
「新聞の字は、もうあまり読めなくなりましたが、神様が、内容をサマリー
して教えてくれます。選挙のときや組閣のときは、候補者や、新しい大臣の
顔や写真は見えますから、写真は目で見て、学歴や経歴などは書いてある
ことを神が教えてくれます。そして、今日はこういう事件があったって、
新聞が来る前にも、テレビでやる前にも教えてくれます。
実際の生活でも、区役所へ行ってこういう手続きをいつまでにしなければ
ならないって、教えてくれて……、忘れていると、『明日までだぞ』と警告
してくれますから、便利です。書類の書き方も、そこはこう書けと指示して
くれます。
それに、人間には、いろいろわからないことがあって、この問題が将来
どうなるのか、あのことは過去にどうだったのだろう、っていうことが
あります。
そういう困ることをなんでも神に聞けば、間違いなく、正確に教えて
くれます。たとえば、試験を受けるときにどういう問題が出るか、わたし
自身のときには教えられます」
「男の子が欲しいんですが、お腹の中にある子供が、男か女か見て下さい」
長谷川わかが神にたずねると、一秒もしないで、その場ですぐ頭の中に
通知(人語によるスピーキング・メッセージ)があった。
「お腹の赤ん坊は男の子だ。産みなさい。いま堕ろしたら、今度は女だ」
そう聞こえた。それで彼女は、教えられたことをそっくりそのまま「男だ。
産みなさい。堕ろしたら、今度は女ですよ」と言ってあげた。
その奥さんは、姑から、豆腐屋の跡継ぎに男の子が早く欲しいと言われて、
なかなかできないのでいびられていたのである。やっと子供ができて、病院
へ行って検査したところ、結果が女だというので、姑に怒られるのを恐れて、
帰るのがいやで、わざわざ遠回りして、藁にもすがる思いで長谷川わかの
ところへ来たのだった。
だが、長谷川わかから意外なことを言われて、その若奥さんは嬉しく
なって、家へ帰ってお姑さんにそう言った。姑は次のように言ったそうだ。
「何ですか!産婦人科の医者が『女の子だ』と保証して言うものを、この
科学の発達した時代に、あんな長谷川の神様ふぜいが、何でお腹の赤ん坊が
男か女かわかるものですか。そんなことでわかるなら、医者も汽車も要らな
い。すぐに赤ん坊を堕ろしてしまいなさい!」
それで、奥さんはしかたなく病院へ行って胎児を堕ろした。おろした
赤ん坊にはオチンチンがついていた。長谷川わかの言葉は間違っていなかっ
たわけだ。その後また妊娠したので医者に診てもらうと「男の子だ」と言う
ので、喜んで産んだらはたして女の子だった。姑はそれから、お嫁さんを
虐めなくなったそうだ。
現在でもなお、病院で行う白黒の超音波検査像よりも、長谷川わかの
カラー三次元内蔵霊視のほうが、はるかに解像度が優れているであろう。
さらに、「堕ろしたら次は女だ」ということも、長谷川わかの神によって
あらかじめわかっていた。前兆すらまったくない時期から完全にわかるのは、
地震予知と同じだといえるだろう。


向こうから、若くて上品で美しい女性が、スラリとした色白な裸体で、
平気で歩いてくる。
長谷川わかにはそのように見えることがある。昼間の商店街だ。
いつぞや、銀座の通りで、裸のミス日本を霊視させられたこともある
そうだ。
「若くて綺麗な裸をしているのよ。歩いて来ながら、お乳も出した
まま平気でいて、毛も見えるのです」
近所の裕福な家のきれいな奥さんのはずなのだが、真っ昼間、こんな
人の多い街の中を素っ裸で歩くなんて。とビックリしていると、
『オイ、見ろ!』と、神が言う。
《ハハー!》と、長谷川わかは思う。《やっぱりそうか。神がわたしに
見させているのだな。わたしにこの女性のことで通知をしようというの
だな》
そこで、神によるリアルタイムの解説が入る。『この人は、今は元気
なように歩いているが、三日たつと、かならず死んで葬式が出るぞ。
よく見ていなさい』
すると今度は、その女性の素っ裸の身体が、見ている間にダンダンと
骸骨に変わる。ギクシャク、ギクシャクとこちらへ歩いてくる、白い
ガイコツになるのである。長谷川わかは、望まずともそれらを見せられ
てしまう。
二十才代の若い女性の、健康な肉体のままであるならまだしも、
理科室にあるような真っ白い骸骨だけになってこっちへ向かって歩いて
来る様子は、気持ちの悪いことといったらない。
その骸骨が、長谷川わかに会釈をして通り過ぎる。ビックリして、
会釈を返す間もない。通り過ぎたあと振り返ると、骸骨の後ろ姿である。
ギクシャク歩きながら去っていく。
《気の毒に。、もうあの女性はオシマイだ。まだ若いのに……》
そう思っていると、はたして三日後に、その女性のお通夜が行われた。
人間の不幸やいろいろな事件を、そのようにして具体的に見せられる
のが、彼女の悩みなのだ。
「俺は宇宙太子から『剛史はまだなにもわからない子供だが、それでも
剛史の耳に吹き込んでおくことが大切である』と言われたのさ。だから、
全部、伝えておくよ。宇宙太子の話によると、進化の進んだ星の社会
では、貨幣経済というものが存在しないそうだ。貨幣がなくても、
『必要な物が、必要なときに、必要な人に、必要な分だけ行き渡る社会
のシステム』が確立されているそうだ。仕事はすべて愛と奉仕による
もので、物はみな平等に分配されるから、だれも必要なものを必要以上
にとる人はいないそうだ。地球人類は、貨幣制度があるために、みな、
もっと欲しい、もっと欲しいと欲の皮を突っ張らせて、争いや喧嘩が
絶えない社会になっているが、進化の進んだ星の社会では、何億年も
前から、物を奪い合うことのない、愛と奉仕の社会が確立されている
そうだ。地球人類は貨幣制度をありがたがって、社会のありかたを
すべて競争制にしているために、争いが絶えず、限りない戦争に発展
しているそうなんだ。そして、その限りない競争制がこの地球に環境
汚染と環境破壊をもたらし、自然のサイクルを狂わせてしまい、人類は
自らの手で地球を破壊し、滅亡に向かうということなんだ。その人類の
滅亡を救済する役目を担っているのが剛史だというんだ。だから、剛史
の命は尊い命なのさ。簡単に死なれちゃ困るのさ。それから、宇宙太子
がもうひとつ大事なことを言っていた。『剛史は左手を失うような、
大きな事故に遭いそうだから、充分気をつけて育てるように』という
ことだ。峯お婆ちゃん、頼むよ。現実になったら可哀想だからな」
「地球にきている宇宙人は、私達プレアデス星人ばかりではありません。
宇宙の旅の途中で地球に立ち寄ったり、調査をしたり、研究したりしている
星人もたくさんいます。
秘密の基地をつくって研究しているグループや、地球人の社会に溶けこんで
いっしょに生活している宇宙人もいるのです。
それは宇宙連合に属していない、我々とはまた別なグループですが、
某大国には、地球人と宇宙人の共同の研究施設があり、地下深くには
秘密の基地がつくられています。
それはあたかも、ひとつの都市のようになっています。
一般の人にはとても信じられないような、おぞましい光景が我々の
ところにキャッチされてきております。」


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さそい水さん