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前川千帆という版画家をはじめて知りました。創作版画家の中では、恩地孝四郎、平塚運一を並んで、御三家と称されるそうなのです。そういえば平塚運一もこの千葉市美術館での展覧会で知ったのでした。前川千帆は、もともと漫画家としてデビューしたそう。日本最初のアニメの「なまくら刀」を作ったとのことで、その作品も上映されていました。現存する最古のアニメーション映画だそうです。漫画家からスタートしたからか、どの作品からもほのぼのとした人々の様子が伝わります。だから見ていてとても心地よくなる作品ばかりです。その後、漫画家をやめ版画に専念するようになってからは、風景画にも取り組みます。木版画の彫りはどちらかというと大雑把ですが、それがほっこりとした感じを押し出していて、どこか懐かしく、郷愁を誘うものばかりでした。
2021年08月17日
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今回の展覧会の白眉は何と言ってもこのチラシだろう。尾上菊五郎の役者絵をメインにスポーツ新聞の広告タイプ、そして週刊誌タイプのもの。長らく展覧会チラシを眺めているがこんなものは初めてだ。菊五郎の怪しい役者絵。明治になって西洋錦絵として作成されたが、当時の人々には生々しすぎて不評だったとのこと。展覧会のオープニングはこの役者絵を何枚も並べてあり(おまけに鑑賞者の移動と同時に目が動くものもあり)、これは見世物小屋に入るようで、あのキッチュなチラシとも併せて、この展覧会きっとおどろおどろしい作品のオンパレードかなとワクワクしたのだが、実はとても真面目なものだったので、ちょっとがっかりだった。(実はサントリー美術館の所蔵の名品を、心がざわざわするような展示方法で見せるという企画。ちょっと誇大タイトルで煽られ、だまされたような気もする)「うらうらする」「ちょきちょきする」「じろじろする」「ばらばらする」「はこはこする」「ざわざわする」という6つのテーマで構成されていた。平安時代の病草紙断簡「不眠の女」、おなじみの室町時代の「放屁合戦絵巻」、江戸時代の「道成寺縁起絵巻」など、面白かったのだが、特に江戸時代の「袋法師絵巻」にはびっくりした。女性の後ろの袋、布団?の下から覗く男の顔。まさに好色のお坊さん。日本の三大性愛絵巻に数えられているということで、今回、いちばんの収穫だった。 (7/23)
2021年08月17日
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まずは、コローの絵。16点もあり、見応えがありました。かつて見たことがあるような絵もあり、どれも同じように見えるのですが、いつの間にかその光景の中に取り込まれているように感じてしまうのが、コローの絵の不思議なところです。もわったとしたコローの絵に比べて、クールベの「レマン湖の岸辺(急流)」ははっきりとしとタッチで目が覚めるようでした。次はバルビゾン派のコーナーでした。ドービニーの絵を見ていて、以前この美術館にドービニー展を見に来たことを思い出しました。その時は前のビルの42階にあり、それこそ都心の光景を眺めることができてよかったなぁとまったく目の前の絵に関係ないことを考えていました。あれれ、ミレーの絵がないことに気づきました。版画コーナーの次はブーダンの特集です。7点のブーダン作品がありましたが、ほとんどは海景画でした。そして印象派のコーナーに行くと、俄然、部屋が明るい雰囲気に包まれます。ジエムとか、レピーヌとかモーフラなどはじめて名前を聞く画家の作品もありましたが、それぞれ明るい光に満たされた素敵な作品でした。でもやはり、極め付きは、ピサロ、シスレー、スーラ―そして、ルノアール、モネたち印象派の巨匠たちの作品です。彼らの筆さばきと華麗な色彩にうっとりとして会場を後にしました。(この美術館定番のゴッホとゴーギャンもしっかり眺めてきました。) 7/24
2021年08月17日
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会場は「解説シアター」「3面シアター」「デジタル北斎×広重コーナー」の3つのエリアで構成されていました。はじめの「解説シアター」で五大絵師-北斎・広重・宗達・光琳・若冲の作品と源氏物語図屏風などその他の絵の説明を行います。この説明がわかりやすくてよかったです。次の「3面シアター」を鑑賞するための予備知識となります。当日、上映されていたのは、Aプログラムで、次のような作品が上映されていました。葛飾北斎の冨嶽三⼗六景、歌川広重の東海道五拾三次、俵屋宗達と尾形光琳のふたつの⾵神雷神図屛風の比較。伊藤若冲の仙人掌群鶏図、百花の図。そのほか同時代の絵師の作品として、狩野邦信の源氏物語図屏風と作者不詳の平家物語図屏風。「3面シアター」がこの展覧会のメインとなります。縦7m、横45mの3面ワイドスクリーンに上記の拡大映像が音楽に合わせ投影されます。こちらは解説は無し。大画面にクローズアップされた作品は迫力満点でした。普段なら見逃してしまうひとりひとりの人物の繊細な表情。動植物の細部までこだわった表現。建物や着物の細かな装飾の様子。それぞれの絵師の確かな技術などが本当によく分かります。これは本当に感動的でした。上映後に写真撮影のための時間も設けられていて親切です。最後の「デジタル北斎×広重コーナー」では超高精細デジタル画像による「冨嶽三十六景」と「東海道五拾三次」を紹介しています。ここでも大型モニターによる拡大画面で人物の表情、細かな筆致などいつも眺め飛ばしてしまう作品の新たな発見がありました。「3面シアター」で狩野邦信の「源氏物語図屏風」を見た時、文を読む光源氏の右手の指が6本あることに気づきました。これも超拡大映像だからこそ発見できたことなんでしょうね。今回取り上げられた作品だけでなく、若冲の動植綵絵、その他、円山応挙や岩佐又兵衛の作品、歌麿、写楽、国芳の浮世絵などこのデジタル超大画面で見ることができればうれしい限りです。(8/9)https://faaj.art/2021tokyo/
2021年08月12日
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生誕130年を記念した全国5カ所での展覧会。ついに晩年のアトリエがあった柏市に廻ってきました。柏市の会場、会期がわずか2週間しかないので、最終日前日にぎりぎり駆け込むことが出来ました。15年前、「美の巨人たち」で取り上げられ、はじめて知った高島野十郎。そのあと三鷹市民ギャラリーでの展覧会で実際にその絵を眺めた時の衝撃は今でも忘れることができません。ラストの蝋燭のコーナーは、本物の蝋燭の灯りに囲まれているような夢幻の世界でした。今回の展示もラストは太陽、月、そして蝋燭の絵で構成された「光と闇」のコーナーで終わります。高島野十郎といえば、写実の絵。特にヨーロッパから帰った後の絵は、静物画にしろ風景画にしろ、細部まで緻密に描き、逆に日常から離れてしまい不思議な感覚に陥る作品が多いです。野十郎は写実の極みが「慈悲」となると述べています。絵を描くことが仏教の思想とリンクしているのです。今回、印象に残った絵は若かりし頃に描いた「ひまわりとリンゴ」の絵です。のちの写実とは異なり、ウネウネとしたひまわりを描き、お得意のリンゴを添えた構図はゴッホにあこがれた青春の情熱を感じました。資料として展示されていた野十郎が知人の娘さんに宛てた手紙には、写真集など送ってくれるななどと書かれています。絵の参考になると思いわざわざ送って頂いたのにそんなのは必要ないとのこと。なんて傲慢な人物なんでしょう。いつもは汚い恰好をしているのに、時折、シャキッとした背広を着て都内に出かけて、近所の住民はその変わりように驚いたとのこと。修行僧のようでもあり、そうでもないようであり、その人物を知れば知るほど興味が尽きません。お墓は市川市霊園にあるとのこと。いつか墓参りに出かけてみましょうか。(8/7)
2021年08月10日
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隈研吾が携わった世界各国の公共施設建築を紹介する展覧会。ちょうどオリンピック開催中のタイムリーな国立競技場からスタート。今、我々は外観を眺めるだけで内部を見ることはできない。いろいろ考えるところが多い。さて隈研吾の公共施設って日本のあちこちにあります。都内にも多数あり。展覧会を見て、これって隈さんの設計だったのと初めて知ったところもありました。最新の渋谷の鍋島松濤公園のトイレは見当たりませんでしたが。昔、美の巨人たちで見た高知県梼原町の「雲の上のギャラリー」にはぜひ出かけてみたいです。ここには隈さん設計の建物が6つあるそうで楽しみです。この展覧会でいちばん楽しかったのは、ネコの視点から街や建築を考えようという第2会場の「東京計画2020ネコちゃん建築の5656原則」のコーナーでした。ネコの視点から建物や人間を眺めたり、ネコの移動コースを一目瞭然に視覚化した展示など興味深かったです。これからの公共施設は、ネコのように勝手気ままにゆるりとしたものが必要になってくるのだという意図。これからの隈さんがどんな建物を造っていくのか楽しみです。もうひとつ「TOYAMAキラリ」の360度VRの映像はすばらしい体験でした。あたかもドローンに乗ったように館内を自在に眺めることができ、特に真下を見るのが怖かったです。(8/6)
2021年08月09日
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7月の読書メーター読んだ本の数:15読んだページ数:4308ナイス数:368暗渠パラダイス!の感想まさに暗渠をテーマにした妄想の世界。諸星大二郎の暗黒神話の馬頭星雲まで登場したのにはびっくり。都内の競馬場の変遷など、新しい知識が増えました。読了日:07月01日 著者:高山英男,吉村生まち歩きが楽しくなる 水路上観察入門の感想超芸術トマソンへのオマージュ。暗渠の橋(著者は暗橋と命名)の分類には笑ってしまった。東京の街歩きに役立てようと思ったら、なんと千葉のホントに身近な暗渠が出てきてびっくり。読了日:07月03日 著者:吉村 生,高山 英男東京の異界 渋谷円山町 (新潮文庫)の感想「渋谷って路地と坂が面白いんですよ」まさにその通り。Bunkamuraや松涛美術館へ出かけた折、ついでにディープな円山町を散策するのが楽しみ。道一本隔てただけで松濤と円山の街の雰囲気のギャップの大きさに面食らう。円山町の方がワクワクドキドキする。しかしこの本が文庫化になるこの5年の間でも渋谷の街は大きく変わったなぁ。そうそう隈研吾のトイレが鍋島松濤公園にできたみたいなので近々、出かけてみたい。読了日:07月05日 著者:本橋 信宏透明人間は密室に潜むの感想初めて読む作家。密室トリックなどの作品は、頭を使いながら読むのでしんどいのだが、「六人の熱狂する日本人」はアイドルオタクのバカらしさ加減がノリノリで笑え、最後のオチも楽しめた。読了日:07月07日 著者:阿津川 辰海カエルの小指 a murder of crowsの感想騙し騙されつつのどんでん返しが続いて面白かったが、「カラスの親指」のようなラストの大どんでん返しはなかった。読了日:07月12日 著者:道尾 秀介コロナと潜水服の感想少し不思議な短編5作品。ほんわかムードで一気読み。いつかコロナ禍時代小説のアンソロジーができれば、表題作はドンピシャ。早くそんな時代が来てほしい。パンダ…そんな車が確かにあったな。懐かしい。読了日:07月12日 著者:奥田英朗そして、バトンは渡されたの感想茶者の本は「あと少し、もう少し」に続いて2作目。だからてっきり、駅伝かリレーの話だと思っていた。なるほどバトンってそういうことだったのか。表紙の絵にも納得。森宮さんのとぼけた会話が絶妙。ピアノの持つ力、食べ物の持つ力。それぞれ素敵だった。読了日:07月15日 著者:瀬尾まいこおばちゃんたちのいるところ - Where the Wild Ladies Areの感想コメディタッチの怪談集といった感じ。元ネタを知っているものもあり、知らないものもあるが、涙あり、笑いありで楽しめた。この作家は初読み。他の作品も追っかけてみるか。読了日:07月17日 著者:松田 青子村上朝日堂 (新潮文庫)の感想現在、世田谷文学館で安西水丸展を開催中のため、展覧会に併せて読みました。安西水丸ののんびりとしたイラストと村上春樹の緩いエッセイがいい味わい。時代もバブル突入のちょっと前くらい。当時村上春樹はわが市の住民だったことにびっくり。読了日:07月19日 著者:村上 春樹,安西 水丸光 (光文社文庫)の感想ラストの冒険シーンにはハラハラドキドキさせられた。エピグラフまでこんな仕掛けがあったなんて。大林宜彦の解説を読んで理解できた。読了日:07月23日 著者:道尾 秀介化物蠟燭の感想創元推理文庫のアンソロジー、「平成怪奇小説傑作集」にこの「蛼橋」が収録されており、そこで初めて知った作家です。江戸の町の庶民を主人公にした怖い話が7編続きます。この世とあの世をつなぐ情緒たっぷりの作品が多く、素敵な短編集でした。「幼馴染み」はサイコサスペンスの類。こちらは生きている人間の情念が怖かった。読了日:07月26日 著者:木内 昇来世の記憶の感想藤野可織初読み。20の短編集で楽勝と思いきや、シュールな世界観にかなり苦戦する作品が多かった。なんだ、これは!という感じ。決してつまらないわけではないのだが。ピアノが生き物になる話、人間が突然スパゲッティ化する話など印象に残る。ラストの鞄の話は美しかった。読了日:07月27日 著者:藤野 可織へんな西洋絵画の感想江戸絵画のヘタウマな絵が大好きなんですが、西洋絵画にもそんな絵が多くて笑えました。ロマネスク時代ののこぎり引き処刑の絵なんかもう最高。真っ二つに処刑されてる人は何ら動じることがなく、処刑人が彼を大いに盛り上げています。アンリ・ルソーの絵がへんなのは前から知っていました、あの近代絵画の父セザンヌの絵にも笑えました。スターウォーズのヨーダの原型も発見して嬉しい限りです。山田五郎、いい味わいです。読了日:07月29日 著者:山田 五郎私にふさわしいホテル (新潮文庫)の感想文壇を目指して這い登っていく主人公。なりふり構わないその姿をコミカルに描いている。笑える場面が随所にああり、実在の作家が登場したり、出版業界の裏側の様子を垣間見ることが出き、楽しい読書体験だった。読了日:07月31日 著者:柚木 麻子東京奇譚集 (新潮文庫)の感想真夏の昼下がりに一気読み。「ハナレイ・ベイ」の一本足のサーファーを夢見つつ。「品川猿」には笑えた。都会の暗渠には正体不明な生き物がまだまだ潜んでいそう。村上春樹作品にしては分かりやすかった。読了日:07月31日 著者:村上 春樹読書メーター
2021年08月06日
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