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石橋財団コレクションは青木繁の2大傑作を所有している。どちらも重要文化財の「わだつみのいろこの宮」と今回のテーマでもある「海の幸」だ。「わだつみのいろこの宮」は以前のブリヂストン美術館時代からお気に入りの作品。地上のようにも見える海底の不思議な情景が何度見ても飽きずに見入ってしまう。後年、ラファエル前派の影響を受けていると知って、なるほどと納得した次第。一方「海の幸」は未完成の部分があり、どこが傑作なのかとずっと思ってきた。こちらを向いている白い顔の人物が愛人の福田たねだということは有名であり、そのことだけがこの絵を見る際のポイントとなっていた。今回の森村泰昌のチャレンジで、その魅力に少しだけ迫ることができた。「海の幸」は群像表現の絵だ。森村はそれをアレンジするために綿密な研究をしており、そのスケッチやメモ、ジオラマなどが展示されている。銛の棒の位置とか詳細に調べている。この展覧会の見どころは、森村が「海の幸」の群像表現をもとに過去、現在、未来と発展させた10点の連作、「海の幸」変奏曲の大作だ。藤村お得意のなりきりシリーズ。明治時代の上流社会のファッションや古賀春江の「海」を背景にモガファッションの女性たち。戦中の兵士、64年のオリンピックファッション…etc.これらの衣装は別に展示されていて楽しめた。「ワタシガタリの神話」は、青木繁に扮した森村が青木自身に問いかける20分弱の映像作品。青木の破滅的な性格や生活に対し、文句を言うような形で愛情を示している。「海の幸」がなぜ素晴らしいか、森村なりの見解を述べていて、興味深く聞いた。(12/25)
2021年12月27日
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毎日新聞の紹介記事で、民藝の100年展は男性中心、フィンランドデザイン展は女性中心の展覧会であり、比較してみると面白いというような記事がありました。実際に出かけてみると、すべて女性の作家ではないものの、民藝展のように読解が必要な資料中心というわけではなく、広く浅くフィンランドにおけるプロダクツの紹介をした展覧会でした。ひとことでいうと、どのプロダクツも「シンプルなデザインなのに美しい」ということに尽きると思います。アルヴァ・アアルトのアームチェアからはじまって、イッタラのガラス製品、アラビアの皿、マリメッコのテキスタイルなど楽しめました。くどいようですが、見て楽しく、民藝展のように頭を使わなかったのが快適でした。ただ、あっという間に眺めてしまい、もう少しボリュームがあれば嬉しかったなぁというのが率直な感想です。(12/18)
2021年12月21日
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よく言われる民芸品というのは、原点は柳宗悦が見出した「用の美」の工芸品、つまり民藝です。今回の展覧会は柳宗悦没後60年の記念展覧会。東京国立近代美術館は、まさに民藝と相反する理念の牙城。そこでこの企画を実施するのはまさにチャレンジとのことだそうです。ただこの展覧会、民藝の「精神」を中心に企画しているため、作品よりも(文献)資料が多く、見ていて疲れました。これだったら、日本民藝館でゆっくり作品を見た方が楽しめると思いました。民藝の思想などは書籍を読めば、十分理解が進みます。展示されている作品は素敵でしたが、1,800円という入場料に見合ったかどうかは疑問に感じました。(12/11)
2021年12月20日
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チラシは前から手に入れていましたが、知らない画家だし、きわものっぽいので、出かけようかどうかどうか正直迷っていました。ところが最近、ぶら美や日曜美術館で紹介されていて、重い腰を上げました。この画家、富山県に個人美術館があるくらい、地元では有名なんですね。実際に見ると、インパクトの大きい絵ばかりで驚きました。まず藤田嗣治の女性像を思い起こすような、薄い影をつけた細い線の筆致。豊満な姿。それと対比するような渇筆といわれる墨をこすりつける荒々しい木々などの背景。麻紙に描く技法は小杉放菴の影響を受けていたとのこと。ユーモラスな仙人や仙女。虎や熊などの動物など、画面からはみ出そうな荒々しい雰囲気に息を飲みました。中央画壇に背を向け、パトロンが見つかるまで、全国を放浪していた時代もあり、私生活もエキセントリックな画家だったのでしょうね。また新たな画家を発見しました。(12/18)
2021年12月20日
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遠藤彰子の展覧会は久々。はじめて知ったのは2014年の上野の森美術館の展覧会で街シリーズを見て以来、すっかりファンになった画家。今回は初期の楽園シリーズから出展されている。ヒエロニムス・ボスに影響されて描いた絵とのこと。サーカスだろうか、カーニバルだろうか、樹木が生い茂る森の中での動物と人間の幻想的な光景。華やかな色彩が楽しい。続く街シリーズは、諸星大二郎の世界観にも似た幻想的な風景。こちらはエッシャーのだまし絵の影響。迷路、幻、迷宮、異空間、裏町の哀愁、建物に線路や道や広場が複雑に入り組んだゆがんだ空間。都会に生きる人々の不安感を表しているとのこと。そして大作シリーズ。絵がだんだん大きくなり、キャンパス最大の500号を2枚、3枚と組み合わせて描いている。繰り返し描かれるのは、少女、踊る人々、炎・・・大画面の中に春夏秋冬を描き、死生観とか輪廻転生をイメージしている作品が多い。そのすべてに圧倒されるが、これだけ大作がそろっているので、視点があちこちをさまよいすぎて少々疲れてしまった。この画家の小品を家に飾りたいと思った。(12/4)
2021年12月08日
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11月の読書メーター読んだ本の数:18読んだページ数:4816ナイス数:383悪魔には悪魔をの感想行方不明になったアンダーカバーの麻薬捜査官を双子の弟が探す話。ストーリーがどんどん展開し、ハラハラドキドキしながら一気読み。ただ善悪がはっきりし、安直に話が進んでいく感じがして、重厚さに欠けるのが残念。テスカトリポカの後に読んだせいでそう感じてしまうのかも。読了日:11月03日 著者:大沢 在昌月魚 (角川文庫)の感想古書店の世界を背景に男二人の友情(愛情)、父親との確執が描かれる。それぞれの登場人物のたたずまいが美しい本。読了日:11月06日 著者:三浦 しをんカラー版-日本画の歴史 近代篇-狩野派の崩壊から院展・官展の隆盛まで (中公新書)の感想美術団体や画家がたくさん出てきて、一度読んだだけでは覚えきれない。絵の紹介をしているのだが、図版がないのでちんぷんかんぷんのところがあった。例えば注目すべきは大観の「山路」ですと言って、何行かに渡って解説しながら、図版を載せていないというようなところがあったのが残念。読了日:11月07日 著者:草薙 奈津子まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)の感想便利屋2人に起こる様々な波乱含みの依頼の数々にハラハラドキドキ。しかし小学生が麻薬の運び屋になるとは。後半の2人の過去が明らかになるパートには一転して心打たれた。読了日:11月09日 著者:三浦 しをんAnother エピソードS (角川文庫)の感想2001を先に読んだので、なるほど、そうだったのかと思いました。(駄洒落です)アナザーストーリー(番外編)としては楽しめました。読了日:11月10日 著者:綾辻 行人見つける東京の感想聖橋はもう何十年も見ているが、3路線同時に見えるという瞬間は記憶がない。(意識していない)身近な東京を美しい写真で楽しめるた。まだまだ知らないところも多いなぁ。読了日:11月10日 著者:岡部 敬史きみはポラリス (新潮文庫)の感想恋愛小説短編集だが、いろんなテイストの味わいがあって面白かった。「森を歩く」「優雅な生活」あたりの笑って泣いて的な作品がよい。「私たちがしたこと」「ペーパークラフト」のダークな世界にはちょっとびっくり。この作家、こんな話も書くんだな。BLは苦手。読了日:11月12日 著者:三浦 しをん諸星大二郎 デビュー50周年記念 異界への扉の感想三鷹で展覧会を見てから積読本になっており、やっと読了。ただただ諸星大二郎の引き出しの多さに圧倒されるのみ。最後の論文、難しすぎ。読了日:11月14日 著者:諸星大二郎教場 (2) (小学館文庫)の感想話自体は面白かった。警察学校という閉ざされた空間の中で起こる様々な事件。学生同士の軋轢、教官との確執。警察官という絶対の正義の行使が必要となる職業人を育成するためにパワハラとも思われる教育方法は必要なのだろうと納得はしたが。読了日:11月15日 著者:長岡 弘樹もし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫)の感想奥さんの写真が良い。エッセイはあっさりし過ぎで、蘊蓄でもいいからもっとウィスキーの魅力を紹介してほしかった。読了日:11月15日 著者:村上 春樹カラー版-日本画の歴史 現代篇-アヴァンギャルド、戦争画から21世紀の新潮流まで (中公新書)の感想前巻同様、画家名・作品名多数出てくるが、相変わらず図版が少ないので何がどう素晴らしいのか、どんな特徴があるのかなど、ほとんど分からない。歴史の教科書で人名だけが羅列されているのと同じ。概論だけ示すからあとは各自で何とかせよという感じ。何人かの個人の画家にスポットを当てた説明は分かりやすいのだが。若手では松井冬子には触れられていなかったのが個人的に残念。読了日:11月18日 著者:草薙 奈津子東京スリバチの達人 分水嶺東京北部編 (高低差散策を楽しむバイブル)の感想こういう本を読むと「現地に行ってみたい感」が高まります。地図上のスポットの番号が飛び飛びで、あっちに行ったりこっちに行ったりで整っていないのが残念です。どんな意図で番号を振っているのでしょうか。読了日:11月18日 著者:ひと (祥伝社文庫)の感想周囲の善意、悪意の人々の中で、自分の判断力を持ち成長していく主人公の姿が心地よい。東京メトロ東西線利用者なので、親近感が湧いた。ただ砂町銀座商店街には出かけたことがないので近々行ってみよう。読了日:11月20日 著者:小野寺史宜傍聞き (双葉文庫)の感想短編ながらヒリヒリさせられるミステリー。それぞれの主人公の行動は理解はできるが、共感できるかというと疑問の付く話もあった。読了日:11月21日 著者:長岡 弘樹ロバのパン物語の感想現在、近所で車の移動販売のパン屋さんが音楽をかけて走っている。幼少の頃、同様な形態のパン販売、ロバのパンがあったことを思い出し、図書館で拝借。本書が書かれた20年前頃までは京都で現役っだったらしい。現在はどうだろう。未舗装の道を本当にロバが屋台を引っ張ていたことを思い出す。(馬だったかもしれない)。畑や電柱に糞尿垂れ流しっだった。その実態は全国展開のチェーンストアだった。なるほど「連鎖店本部」だ。読了日:11月22日 著者:南浦 邦仁放送禁止歌 (知恵の森文庫)の感想メディアの自主規制体質は今でも変わらないが、YouTubeでこれらの曲が聞けるのはありがたい。高校生の時、日本史の教師に「手紙」を歌わされたのが、被差別部落を知ったきっかけとなったが、「竹田の子守歌」のことはまったく知らなかった。森達也の初めての著作ということで、多分にセンチメンタルな点を感じるが共感できる。20年前に読みたかった。読了日:11月26日 著者:森 達也東京の謎(ミステリー) この街をつくった先駆者たち (文春新書 1328)の感想源頼朝から隈研吾まで、東京の街をめぐる(歴史上の)ミステリーをサクッと紹介。数々の蘊蓄になるほどと感心。漢字の成り立ちからいえば、本来は「とうけい」となるべきところ「とうきょう」となったのですね。面白かった。読了日:11月28日 著者:門井 慶喜あなたの後ろにいるだれか 眠れぬ夜の八つの物語 (新潮文庫)の感想ホラー・アンソロジー。初読み作家も多く、特に宇佐美まことの「半身」と彩藤アザミの「長い雨宿り」にはハマった。新しい作家を知る快感。読了日:11月30日 著者:"恩田 陸","阿部 智里","宇佐美 まこと","彩藤 アザミ","澤村 伊智","清水 朔","あさの あつこ","長江 俊和"読書メーター
2021年12月05日
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Bunkamuraザミュージアムで「甘美なるフランス展」、名古屋の古川美術館の「印象派とエコールドパリ展」、都美での「ゴッホ展」などのフランス絵画展を見てるので、こちらはまぁいいかと思っていたのですが、いざ出かけてみると、大変すばらしい展覧会で大感激でした。展示構成は「水の風景と反映」「自然と人のいる風景」「都市の情景」「人物と静物」そして、特別展示の「睡蓮:水の風景連作」と分かれていました。だいたいこの手の展覧会の定番、コローの作品から、展覧会は始まります。コローはもともと好きな画家なので、つかみはばっちりです。画面上に小さく描かれた人物像にノスタルジーを感じます。ブーダンの24×18の小さな作品はもうそのまま持ち帰って自宅に飾りたいと思いました。この展覧会でレッサー・ユリィという画家を知りました。ミュンヘン/ベルリン分離派のドイツ人の画家だということですが、そういえば表現の硬さもドイツ人らしい。3点出展されていますが、最初の「風景」を見た時にゾクッとし、次に「冬のベルリン」と「夜のポツダム広場」を見てしびれてしまいました。特に「夜のポツダム広場」の雨に煙るブルーの空。道路に反映する黄色い灯り。ジャズのBGMが流れてきそうなどこか気だるくも懐かしい雰囲気。最後のコーナーにあった「赤い絨毯」という人物画も素敵でした。さっそく、絵はがきを買って、自宅の玄関に飾りました。以前、Bunkamuraで買ったソールライターの絵はがきの隣に置きましたが、とても雰囲気が似ています。ゴーガンやゴッホの作品も素晴らしく、モネの睡蓮の連作も見応えがあり、いい気分で美術館を後にしました。(11/27)
2021年12月01日
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