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福田美蘭の展覧会は、前にも見たことがあると調べたら、2013年の夏に東京都美術館で開催されていました。この時も、NYの9.11やオウム事件などの社会事象を、古今東西の名作に見立てた作品が発表されていて、ひねりのきいた作品が多く、感心させられた記憶がります。今回も、千葉市美術館所有の日本美術を題材に、まさに「イメージ遊びを楽しむ」作品のオンパレードで、見応えがありました。鈴木春信の「三十六歌仙 紀友則」の見立ては、きめだしの技法で、口から出る飛沫の様子を表現しています。まさにコロナ禍の現在の様子をダイレクトに表現していて、うなりました。月岡芳年の「風俗三十二相 けむさう」は煙が五輪の形になっています。この夏の東京五輪開催の賛否両論の騒動を思い出しますが、今となってはそれもすっかり煙のように消えてしまいました。創作当時の作者の意図を超えているように感じます。現天皇の即位式のパレードを若冲の「乗興舟」に見立てた作品。これも見応えがありました。大概の場合は、若冲の作品は場面替えがあるのですが、今回は一気に展示されていて、これだけ見るのも眼福です。天皇夫妻の様子が、モノクロームの場面場面に分かれていて、実際のパレードの様子と思い起こし感慨深かったです。竜安寺石庭の中の石組を尖閣諸島の島に置き換えたり、誰が袖図屏風をディズニーのキャラクターの衣装にしたり、そのパロディも楽しめました。千葉市美術館所有の日本美術作品と福田美蘭の現代アート作品が同時に楽しめる好企画の展覧会でした。
2021年11月12日
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和田誠が亡くなって早2年。この大回顧展が開かれたのは嬉しい。最初のコーナーには80余年の人生、4面にそれぞれ1年ごとの出来事が書かれた年表の柱が立っています。幼い頃から画才に恵まれていたことがよく分かります。後年、空白の柱が立っているのを見て悲しくなりました。この展覧会を見て、わが人生、和田誠のイラストにはずいぶんお世話になったなぁと思います。中学生の頃、星新一の本を夢中になって読みましたが、和田誠と真鍋博の二人のイラストが頭の中に刷り込まれています。この遠藤周作の本も愛読しました。このカメラも我が家にありました。このタバコにもお世話になりました。(大学生時代)学生時代にはよく出かけたジャズ喫茶のロゴデザインも和田誠の仕事だったのですね。和田誠さんありがとうとお伝えしたいです。
2021年11月11日
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ゴッホ展があると聞くと、いつも「またか」と思うのですが、結果的に混雑を覚悟してでも出かけてしまいます。今回も、金曜夜間開館であれば、そこそこ空いているかと期待して、6時過ぎに出かけたのですが、かなり混雑していました。日時指定をとはいえ、土日の混雑具合はいかばかりでしょう。さて、今回は収集家クレラー=ミュラー夫妻、特に妻ヘレーネが収集したゴッホとやそれ以外の画家の作品が出展されています。まずはゴッホ以外の画家で見応えがあったのは、ルドンの「キュクロプス」とアンソールの「キャベツのある静物」でした。ルドンの描く「一つ目の巨人」ポリュペモスの切なさが心に染みます。アンソールの静物は、やはり不気味な仮面が印象に残りました。さて、ゴッホです。今回を時代を追って展示されていますが、途中、素描の作品が並びます。素描をバカにするつもりはありませんが、素描が20点もあり、油彩が31点しかないのは、入場料2,000円もするわりにどうなんだろうと思いました。ゴッホの油絵、特にフランス時代以降の絵をもっと見たかったです。とはいえ、ゴッホ美術館からも名作を借りてきてもらったのは良かったです。「黄色い家」は、アルルで芸術家の楽園を造ろうという意気込みが感じられます。その後に待ち受けるドラマチックな展開を知れば知るほどグッとくるものがあります。クレラー=ミュラー美術館からの作品中、今回の最高傑作は、何と言っても「夜のプロヴァンスの田舎道」でしょう。糸杉と夜の空気感が漂うウネウネ感に圧倒されます。サン=レミ時代のゴッホは死を悟ったように、最後の生命の情熱を画面にたたき続けているように感じます。欲を言えば、また「夜のカフェテラス」を持ってきてもらいたかったなぁと思いました。(11/5)
2021年11月08日
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名古屋の古川美術館に行ってきました。今回、はじめて知った美術館で、地下鉄東山線の池下駅から歩いてすぐのところにありました。住宅地の一画にあり、一瞬しゃれたマンションかなと思いました。チラシを読むとこの美術館が所蔵している作品ではなくコレクターが収集した作品の展示だそうです。出展数も25点と少ないのですが、日本初公開のターナーの作品からピサロ、シスレー、モネ、ルノワール、そしてゴッホ、ゴーギャン、ユトリロ、ルソー、シャガールなどの珠玉の作品が目白押し。ほんとにいい作品ばかりでびっくりしました。チラシにもなっているモネの「霧の中の太陽」は、ロンドンのテムズ川やウォータールー橋を描いた一連の作品のひとつでしょうか。(以前、どこかで見たことがあるようなのですが、思い出せません。)霧にかすむ太陽はあの「印象・日の出」を思い起こします。薄紫の中に、オレンジ色の太陽とその反射がたまらなく美しい。もうひとつ、ムンクの「白夜のオースゴールストラン」も素晴らしかったです。ムンクが「叫び」を描く前、印象派の影響をまともに受けた描いた作品です。小品ながら、見とれてしまいました。その他、モディリアーニ、ユトリロの絵もすばらしく、大満足の展覧会でした。(10/30)
2021年11月04日
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昭和の日本画家川端龍子と現代アーティスト会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・山口晃らとのコラボレーション。まずは龍子の「香炉峰」と会田誠の「紐育空爆之図」が登場。ゼロ戦操縦士の姿とニューヨークを爆撃するゼロ戦部隊の対比。一瞬、どこかのSF小説に登場するような時空がねじ曲がったような感覚に陥ります。鴻池朋子の「ラ・プリマヴェーラ」は、花咲く草原に立つ少女の絵。その上半身から多くの青い剣が渦巻状に飛び出していく。対する龍子の「草の実」は秋の草花を金彩で描いた絵。風雲渦巻く光景が共通点か。山口晃と龍子は武将の鎧姿の対決。ジンギスカンに扮した義経とロボットの武将たち。極めつけはラスト。天明屋尚のマシンガンなどの銃器やナイフを手に持つ十一面観音菩薩を中心に龍子の描く不動明王と十一面観音像が左右に控える。奥には実際に龍子の自宅にあった8世紀の十一面観音がたたずんでいる。人々を救済するべき観音の手に武器を持たせる暴力的な天明屋尚。ゾクゾクしてしまう。展覧会のあとは、記念館の前の龍子の居宅の見学。居間の持仏堂の前の俵屋宗達「桜芥子図襖」のレプリカが見事。さきほどの十一面観音がこの奥に安置されているのかと納得。(10/31)
2021年11月02日
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10月の読書メーター読んだ本の数:9読んだページ数:3300ナイス数:182黒牢城の感想信長に背き籠城する荒木村重と幽閉した織田方の使者黒田官兵衛との物語。籠城のひっ迫感がずしずしと感じられる中での不可思議な事件。荒木村重の物語かと思えば、ラストは黒田官兵衛に主役が変わる見事などんでん返し。歴史小説としても読み応えがあった。読了日:10月06日 著者:米澤 穂信愚行録 (創元推理文庫)の感想惨殺されたハイソな4人家族。夫婦の過去を語る人々。実はこのインタビューにも仕掛けがあったことが分かる。途中どういう展開になるかまったく分からず、ウロウロしながら嫌な話を聞いているような感じだった。また自らの学生時代も、様々な愚行があったなぁと振り返る。しかし、当時の慶応ってこんな感じだったのか。読了日:10月11日 著者:貫井 徳郎定年後の居場所 (朝日新書)の感想著者と同世代なので、共感する部分は多い。ただ結論は人それぞれということ。若き日へのノスタルジー。神田駿河台の明治大学に阿久悠記念館があることを知った。これだけでも本書の収穫。今度行ってみよう。読了日:10月11日 著者:楠木 新移り棲む美術―ジャポニスム、コラン、日本近代洋画―の感想フランスのジャポニズムと日本近代洋画とのコラボレーションを詳細に語る。山本芳翠の「浦島」、黒田清輝の「知・感・情」などかつて衝撃を受けた絵の背景がよく分かった。ラファエル・コランは、日本の洋画発展に無くてはならない存在だったことを知った。勉強になった。読了日:10月17日 著者:三浦 篤シブいビル 高度成長期生まれ・東京のビルガイドの感想写真が実におしゃれで、普段、何気なく訪れていたビルを再発見。でもホテルはちょっと敷居が高いな。それぞれのビルのガイドツァーでもあればぜひ参加したい。読了日:10月18日 著者:鈴木 伸子職業欄はエスパー (角川文庫)の感想超能力はありそうなのだが、明確ではないという著者の焦燥感がひりひりとした痛みとともに伝わってくる。70年代中盤の時代の超能力ブームの熱気が懐かしい。読了日:10月21日 著者:森 達也地獄への近道 (集英社文庫)の感想久々に御茶ノ水署シリーズを読んだ。懐かしい御茶ノ水が舞台になっているのが嬉しい。最近は駅舎も変わり、サンロイヤルビルは仮囲いで取り壊しが近い。三省堂書店本店もいったん閉店の上、建て替え決定。ストーリーはサラッとしていて、サクッと読了。読了日:10月22日 著者:逢坂 剛法廷遊戯の感想事件に関連する法の説明を理解するのが難しく、たぶん合理的なんだろうクライマックスもなかなか理解できずに面白さ半減。ななめ読みではダメ。じっくりと読まなくてはならなかった。読了日:10月25日 著者:五十嵐 律人テスカトリポカの感想とにかく「すごい世界だった」の一言。どういう展開になり、どう物語を収束させるのか予断を許さずに、後半は一気読み。実際の裏社会、日本でもこんな風になっていたらと思うと、ぞっとする。読了日:10月31日 著者:佐藤 究読書メーター
2021年11月01日
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辻惟雄先生の「奇想の系譜」で再発見されたといってもいい曽我蕭白。展覧会しょっぱなからビジュアル感たっぷりの文化庁所有の「群仙図屏風」をはじめ、「雪山童子図」「群童遊戯図屏風」など鮮やかな色彩で楽しめる奇抜な絵が並び、サブタイトルに「奇想ここに極まれり」とあるとおり蕭白の狂気の世界にどっぷりと引き込まれていきます。実は蕭白の彩色画は実はさほど多くはなく、作品のほとんどは水墨画とのこと。この展覧会では、時代を追って蕭白の水墨画の変遷をたどっていきます。蕭白が奇抜な絵を描いたのは、だいたい明和年間(1760年代)あたり。人物の奇妙な表情や手足の指先の異様な形状など、不気味ささえ感じます。最近は蕭白の研究が進み、そこに描かれた意味を読み解くことが出来るようになりました。武士階級の権威を揶揄したり、学問の論争についての蕭白なりの回答を絵にしたものなど、いろいろあるようです。図録の論文を読むとより理解が深まりますが、そこまでしなくても十分楽しめました。晩年になると、定規を使いマジックインクで引いたような直線を中心にした山水画が目立ちます。近江神宮の重要文化財「楼閣山水図屏風」は、この硬質的な線と、金泥、赤、黄色、青色で彩色された建物などが、幻想的な雰囲気を醸し出し、見応えがありました。ゆとりのある会場で、多くの屏風がゆったりと並べられ、蕭白の世界に浸ることができるいい展覧会でした。(10/30)
2021年11月01日
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