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戸締り役 工場長 tori

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2021年06月03日
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カテゴリ: SUZUKI T20
昨年修理したT20のスピードメーターが、走行中に動かなくなったとの修理依頼。



分解して修理できる場合もありますが、デリケートな機器なので動作が不正確になったりして、
メーター機器本体の故障は、専門屋さんじゃなければ難しい場合が多いと感じます。
まずは中古を探してみると見つかるのは全て海外で、しかも表示の単位がKM/HではなくMPH。
しかし、文字盤が違うだけで機器本体は同じはずなので、取り寄せてみました。



電動ドライバーを使って動かしてみますれば、正常な両タコメーター指針の動きは同じ角度。
ということは、やはり文字盤が違うだけということ。
不良のスピードメーターは固着しているらしく、まったく動かず。



輸入したメーター(右)は、バルブソケットが欠落して、一個は中でコロコロと遊んでいる様子。




作業は仕入れたメーターから着手するとして、二個一修理の開始です。



皆さんよくやる手法は、正面のメッキリングのカシメを外しますが、私はケースを切る方が好き。
個々の状況にもよりますが、今回はケース側は見えなくなる取付構造なので尚更です。

つづいて、依頼品のメーターもケースを切断して分割。
こちらは外観が綺麗で欠損もなく、そのまま使うので極力綺麗に切ります。
尚、メーターケースの縦寸法は余裕があるので、切代(刃物の厚さ)は気になりませんが、
少ないに越したことはないので、私の場合はできるだけ厚みの少ない刃物をいろいろ使います。
小型バンドソーやリューターに研摩ディスクってのが楽に切れますが、普通の鉄鋸でも充分。
今回は、リューターとダイヤモンドディスクで、詰めに刃厚0.3mmのシャークソーを使いました。
ケースの鉄板は薄いので、手鋸でも基本動作を守れば苦労せず切れてしまいます。
思いつきですが、パイプカッターを専用に改造してみてもいいんじゃないでしょうかね。


最後に、切粉が発生して内部に落ちない様に、カッターの刃などで、切り進んで、パカッ!
もし切粉が入っても、あまり動かさなければデリケートな部分に降りかかることは少ないので、
全ての作業は、冷静に落ち着いてゆっくりを心掛ければ問題は起きないと感じてます。

ちなみに、このメーター、以前にも分解したらしく、カシメを解いた時の傷が沢山残っています。
ステンレステープを巻いたり、当て板をしたり、またカシメを解く道具をちょっと工夫すれば、





不良のスピードメーターは、回転軸の油切れによる固着と判明。
なので、給油して動くようにしてはみたものの、電動ドライバーで動作確認すると、
正常なメーターと比べ速度にして10km/hほど差が消えません。
メーター本体を分解修理できるかもしれませんが、今回は替わりがあるのでパス。

文字盤は、色あせが酷いのでコピーを作ります。
スキャンして画像データとして保存後、Photoshopにて加工、ラベルシートにプリントします。
illustratorを使って全てドローデータで書き直して印刷する手法もあると思いますが、
この年代の文字は、よくみれば塗料が滲んで輪郭の乱れが激しく、あまりキッチリしてしまうと、
違った雰囲気の文字盤になってしまうんじゃないかと思います。



なので、色の修整のみに特化したレタッチを心がけ、仕上げは拡大して地道にビット単位で修整。
それなりに時間はかかりますが、表面の光沢を除けば瓜二つに出来上がります。
拘ると切りがないのですが、よく見れば制度の低い印字を綺麗にし過ぎない様にしました。



そして、文字盤の仕上げは、表面のつや消し処理。
私の場合は艶消しクリヤーの塗料を使い、既存のつや消し黒と同じに仕上げるのですが、
使う塗料の違いや、温度湿度によって瓜二つに仕上げるのが容易だったり難しかったりもします。
今回は塗り方の僅かな違いに出来が左右され、10枚以上作って一枚を選出するという具合。



必要な所を切り抜き、シールになっているので元の文字盤にそのまま重ねて貼り付け。
各切り口に乱れが少し見えますが、これも組立て後にガラスを通して見ると気が付きません。
ちょっと妥協ですね(^^!



スピード側の機器本体を交換して仕上げに入ります。
指針は念の為ねじロックをつけ、硬化前は回転方向に動かせるのでキッチリと0調整。
ケースに入れて閉じますが、切断部の接合はハンダ付けで充分。
盛ったハンダをパテのごとく削れば綺麗に面が出て、パット見で分からないくらいにできます。



ライトケースの中に入って見えなくなるメータのケース部分ですが、接合部を完全に隠しました。
この辺は気持ちの問題。




ジンク塗装にひと手間加えたもので、元のユニクロメッキとは色合いが違ってしまいましたが、
一応金属に見える、、そいうことにして、良しとしましょうw

ともあれ、修理完了で、やはり本職のリビルト屋さんの様な完璧な仕上げはできませんが、
持ち主が綺麗になった文字盤を見て、大喜びしてもらったところで終了。

バイクを楽しむ上で、メーターが視覚的にとても大事なものであることを、改めて感じるしだい。
以上、こんな場合の、独自手法による、お楽しみスピードメーター修理の記録でした(^^)





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Last updated  2021年06月03日 10時02分47秒
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