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二宮翁道歌解(福住正兄)【50】色即是空、空即是色
春は花秋は紅葉と夢うつつ ねても覚(さめ)ても有明の月
この世の中、目に見ゆるの事物は、一切云うに及ばねど、目に見えざる処に、深遠の道理あり。これを本邦にては、幽と云い、シナにては玄と云い、インドにては空と云えり。この空に対して、肉眼に見える事物を色(しき)と名付けて論じたり。仏説に色不異空、空不異色、色即是空、空即是色と云えり。この経文の意をよまれしなり。色とは目に見える事物一切を云い、空とは目に見えぬ理一切を云う。
さて世の中は旋転循環して止まらず、変化窮まりなし。昨日まで雪に埋もれし山々も、きょうは花咲き乱れ、花咲き乱れると見れば、たちまち青葉に変じ、青葉と見る間に紅葉となり、紅葉と見る間に、又雪となるなり。人もそのごとく生まれれば死し、死すれば生まれ、日々に間断なし。医術ありといえども、衛生の道ありといえども、不死の薬なく、不死の術なし。神力も仏力も皆及ばず。一切経を千遍よみ、悟道を極めるも、また同じく、西洋の方術も又詮なし。然れば学者も不学者も、悟者も迷者も、高きも賎しきも、この境を免れるの道あらず。ここに至りては皆同等なり。誠に夢といえば夢なり。現といえば現なり。学問も栓なく悟道も栓なき、この場合を寝ても覚めても、有明の月とよめるなり。
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