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2024.12.30
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カテゴリ: 報徳

「安居院庄七 50歳からの大冒険」クラウドファンディング




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1人、寺院、テキストのイラストのようです

森信三の見る二宮尊徳
「人間が真に人間らしく生きるには、他人に推し及ぼさねばならない」

森信三〔もりしんぞう・戸籍上は、のぶぞう〕は、戦前・戦後を通じ、日本の教育界最大の人物で、「国民教育の父」といわれる。代表書『修身教授録』は現在でも多くの人に愛読されている名著である。
『現代の覚者たち』(竹井出版・昭和六十三年発行)において、森先生は、「先生は西田幾太郎の門下生として京都大学で学んでいたが、かねがね日本の学問の現実遊離性に疑問をいだいていた。それで三十三歳の頃、『二宮翁夜話』の巻頭の言葉、「まことの道は天地不書の経文を読みて知るべし」によって開眼した、といわれていますね」の問いに対して、
「そうです。その意味では、尊徳は私にとって『開眼の師』です。一代の哲学者西田幾太郎先生に八年も師事しながら、最後のところで、尾てい骨のように残っていた大学的アカデミズムから、完全に解放せられたのは、その『天地不書の経文を読め』の一語によるものだったからです。
つまりね、それまでの私はいわゆる哲学書の中にこそ、絶対の真理はあると考えていたのに、それとは逆に、真理はこの現実の天地人生のただ中に、文字ならぬ事実そのものによって書かれており、しかもそれは刻々時々に展開しつつあることに開眼せしめられたわけです。」(同書p.19)

「大学では、哲学科に入ったのですが、それはご多分にもれず、戦前のわが国では、哲学がいわゆる諸学の王と考えられており、略その頃は概念的なドイツ哲学の全盛期でしたから、わたくしの要求したようなものとは全然世界が違うといってよいのです。・・・・・そうした一般の学者の中で一人趣の違っていたのは、わたくしが大学在学時代及び卒業後、数年間没頭したN博士であって、明治以降の日本の思想界では、もっとも独創的な思想家といわれた方です。当時わたくしは、博士の全著作を読破したばかりか、時々の講演などにも出席し、またお宅にも伺ったこともあります。そして確かに卓越した方だとは思いましたが、しかし最後のところで、アカデミックなところが、残っている感がして、一時あれほどまでに没頭しながら、どうしても無条件についてはゆけなかったのです。」()
「大学を出て三年あまりたった頃、フトしたことから二宮尊徳の座談の筆記の『二宮翁夜話』を見て驚いのです。その最初のところを見ますと、「それわが教えは書籍を尊まず、ゆえに天地をもって経文とす。(中略)かかる尊き天地の経文を粗にして書籍の上に道を求むる学者輩の論説はとらざるなり。」と喝破されてあるではありませんか。これらの文字を見たときのわたくしの驚き、それは単なる驚きなどという言葉で現わせるものではなくて、全くこの宇宙がわたくしの眼前で真二つに裂けて、その断面を見せつけられたような気がしたのです。そうしてここにこそ真の道があり、真の学問とは、このような大精神を現代の哲学や科学を媒介として論理的体系的に表現するものではならぬと考えたわけです。それは文字どおりわたくしにとっての魂の開眼であって、。わたくしの学問観はその一瞬を境にして、それまでのアカデミックな歩みとは本質的に異なったものとなってきたわけです。・・・・・・わたくしは、そのとき尊徳翁から得たものを、簡明に「真理は現実の只中にあり」と言う言葉で表現することにしていますが、この「真理は現実の只中にあって書物の中に存せず」ということが、爾来わたくしの学問観の根本公理をなしているといってよいのです。」(同書p.38)
 森先生は、尊徳の思想について次のように述べる。
「尊徳の思想には、大体四つの根本原理があるわけです。それは一至誠 二勤勉 三分度 四推譲という四つです。そのうち第一の至誠というのは、人間の私心のない真心ということで、これは確かに尊徳の根本信念といってよいでしょう。ですから尊徳を高利貸だなどという見方は、この根本のところが分からぬところからくる偏見といっていわけです。ところで次の勤勉ですが、これも説明せずとも、あの歩きながら薪をしょって本を読んでいる姿が最もよく象徴しているはずです。そこで尊徳の思想で最も特色のある点といえば、結局第三と第四ということになりましょうが、その第三の分度というのは今風の言葉でいえば「生活の基準」とか「標準」ということで、手取り早くいえば、一ヶ月をいったい、どれだけでくらすかという問題です。その点を尊徳は極度に厳しく力説しているわけで、そのために、一村の米のとれ高を、時には百八十年も遡って調査したこともあるほどです。つまりこの村では年にどれだけとれるのが標準である。随ってそれから勘定して、年にどの程度の暮らしにしないと、結局赤字になってしまうぞーというわけです。ここで、一つぜひ申しておかねばならぬと思うのは、尊徳という人の貧富観で、これが普通の考えと違っているのです。というのは、普通の人ですと、とかく収入の大小だけで貧富を決めてしまおうとする。―つまり月収二万円〔一九五八年に書かれた本である〕の人は貧、三万円の人はやや富み、五万、十万と月収のあるのは富というふうに考えたがるわけです。皆さん方もおそらくそうでしょう。ところが尊徳翁はちょっと違うのです。というのは尊徳翁は収入と支出をつき比べてみて、そこに残りがあれば富であり、もし赤字となるなら、いかに収入が多かろうとも、それは結局貧だというわけです。ですから月収は五万円あっても、月々六万円も費う者は貧乏であり、それに反してたとえ月収は二万円でも、月々の暮らしを一万八千円でやってゆくなら、その人間は、富の部に入るー少なくとも貧ではないというわけです。ですからこれは。結果的現実で押さえる実に手堅い貧富観といってよいわけです。」(p.229-230)
「この尊徳翁の貧富観というものは、経済的真理の不動の鉄則の一面を語るものだということを看却してはならぬと思うのです。・・・・・・そしてそれは小にしては個人経済から、大にしては国家の歳入歳出についても当てはまると思うのです。」(p.230)
「尊徳先生の第四の原理たる推譲の原理ですが、この推譲の原理は、詳しくいうと、さらに自譲と他譲という二つに分かれるのです。そのうち自譲とは、文字も示すように、一身一家のために譲るということであって、簡単に申せば、蓄積であり貯蓄ということなんです。尊徳という人は、実に面白い人でして、貧乏人というものは昨日のために今日働き、去年のために今年働くが、富める者は明日のために今日働き、来年のために今年働く―といっております。では昨年のために今年働くとは、いったい、どういうことかというに、去年の端境期に米が足りなくなって、つい地主に借りたものは、今年の秋の収穫からこれを返さねばならぬ。しかも利息までつけて―というわけです。ここが貧乏人は去年のために今年働くと、尊徳先生が言うゆえんです。」(p.233)
「そこでこの他譲の教えということですが、それは尊徳翁によれば、人間は自分だけの暮らしを考えているのでは鳥やけだものと同じことで、人間が真に人間らしく生きるには、自分の暮らしの一部をつづめて、それを他人に推し及ぼすのでなければならないといっているのです。そしてこの場合注意してよいことは、尊徳はここで施すといわないで、譲るとか推し及ぼすとかいっている点で、ここに彼の立場の道徳宗教的な点があるわけです。つまり尊徳の考えとしては、財物というものは、もともと天下のものであって、誰一人これを絶対的に所有することのできるものではない、という思想がその根底に横たわっているわけです。ですから他人に施すといわないで、他にゆずるといっているのです。尊徳は山に樹を植えることを盛んに奨励していますが、しかしそれはまだ己が子孫のためにする営みに過ぎないから、自讓の域を出るものではないと言っているわけです。」
「ところで尊徳の推譲の教えですが、尊徳は一応収入の四分の一を天引きせよ、そうしてそれを最初のうちは自譲、つまり自分のために貯え、ついで余裕を生じてきたら、順に他譲に転ぜよ、といっています。」(p.235)
 読書会で、森信三先生の二宮尊徳の報徳の原理、推譲の自譲・他譲について読むと、会員皆が考えがすっきりすると口を揃える。これがいわゆる哲学の効用というものであろうかと話し合ったものである。
「二宮尊徳の会」で、多くの人が参加し去ったが、当初のメンバーの幾人かが継続し、成果として鈴木藤三郎氏に関する本を四冊、札幌農学校精神に関する本三冊を刊行し、全国の公共・大学図書館に寄贈した。現在それらの蔵書の集積が進んで、本会は優れた資料集を発行する団体として認知されてきた。また本会なりの「他譲」をいろいろと試みている。今回、集大成として本会成立の契機となった『報徳記を読む』を発行する。読者の理解を図るために、ビジョン篇を作成したが、『報徳記』原文と現代語訳はほぼ当時と同じである。ぜひ全国の読書会等で、本会が実践したように、報徳記原文と現代語訳をあわせて声に出して輪読していただければ幸いである。





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最終更新日  2024.12.30 03:00:10


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