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「ザ・ギフト」(原題: The Gift)は、2015年公開のアメリカのサイコ・スリラー映画です。ジョエル・エドガートン監督・脚本・出演・製作、ジェイソン・ベイトマン、レベッカ・ホールら出演で、平穏な毎日を過ごしていた若い夫婦が、夫の旧友との再会を機に次々と届けられる贈り物に悩まされ、恐ろしい出来事に巻き込まれていく様を描いています。 「ザ・ギフト」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ジョエル・エドガートン脚本:ジョエル・エドガートン出演:ジェイソン・ベイトマン(サイモン) レベッカ・ホール(ロビン) ジョエル・エドガートン(ゴード) アリソン・トルマン(ルーシー) ティム・グリフィン(ケヴィン・KK・ケラー) ビジー・フィリップス(ダフィー) アダム・ラザール=ホワイト(ロン) ボー・ナップ(ウォーカー刑事) ウェンデル・ピアース(ミルズ刑事) ミラー・フォークス(ウェンディ・デール) ナッシュ・エドガートン(フランク・デール) デヴィッド・デンマン(グレッグ) ケイティ・アセルトン(ジョーン) デヴィッド・クレイグ(スチュワート) スーザン・メイ・プラット(ロンダ・ライアン) P・J・バーン(ダニー) フェリシティ・プライス(アンジェラ・デレジオ医師) メリンダ・アレン(不動産業者) ほか【あらすじ】シカゴからカリフォルニアの郊外に移り住んだ若い夫婦サイモン(ジェイソン・ベイトマン)とロビン(レベッカ・ホール)は、人もうらやむような幸せな生活を送っています。カリフォルニアはサイモンの故郷でもあり、新居用の調度を買い物していた二人は、サイモンの高校時代の同級生ゴード(ジョエル・エドガートン)に声をかけられます。サイモンはゴードのことをすっかり忘れていましたが、旧友との25年ぶりの再会を喜んだゴードは、次々と贈り物を届けてきます。しかし、あまりも頻繁な為、二人は困惑し、とりわけサイモンは露骨にゴードを煙たがり、ついに「もう自宅に来るな」と強く言い放ちます。やがて夫妻の周囲で奇妙な出来事が頻発するようになり、ゴードからは謝罪の手紙が届きますが、そこにはサイモンとの過去の因縁をほのめかす一文がありました。彼らの間に何があったのか、頑なに口を閉ざす夫への疑念を募らせたロビンは、自らその秘密を解き明かし、衝撃的な事実に行き当たります・・・。【レビュー・解説】ジョエル・エドガートンが監督・脚本・出演・制作を務める本作は、脚本がしっかりとしており、自然かつ、メリハリの効いた演出と、キャラクターの微妙な変化を演じる俳優のパフォーマンスに説得力のある、完成度のサスペンス&ドラマ映画です。ミステリー&サスペンスですが、ストーリーの背景がしっかりとしており、観客をハラハラさせれば良い、期待を裏切れば良いといった類の作品でありません。再会したサイモンとゴードが決別するまでが1/3、不思議に思った妻が二人の間のあった出来事を探るのが次の1/3、急展開の結末に最後の1/3といった時間配分ですが、じわじわと展開するストーリーに目を離せません。話が進むに連れて、キャラクターの隠されていた面が見えてきますが、俳優であるジョエル・エドガートン自ら脚本を書き、演出しているだけあって、安手のミステリー&サスペンスのようにキャラクターの急変に白々しい思いすることはありません。ジェイソン・ベイトマン、レベッカ・ホールといった実力派俳優が、キャラクターの見え隠れする部分をメリハリを効かせながら、かつ、連続性を持たせて丁寧に演じており、ドラマとしても見ごたえがあります。これほど、俳優を活かすミステリー&サスペンスは滅多になく、しっかりとした脚本、演出と相まって、初めての長編映画監督とは思えないほど完成度の高い作品に仕上がっています。ジョエル・エドガートンが監督・脚本・出演・制作を務める長編映画監督デビュー作ジョエル・エドガートン(1974年〜)は、「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」(2002年)、「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」(2005年)でオーウェン・ラーズを演じ、一躍、有名になったオーストラリア出身の俳優、脚本家、映画監督です。2010年頃から脚本も書いており、本作で長編映画監督デビューと、活動の幅を広げています。彼は「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)で、米海軍特殊部隊の兵士パトリックを、「華麗なるギャツビー」(2013年)で大富豪のトム・ブキャナンを演じていますが、助演でもしっかりとした印象を残すことができる実力派俳優です。助演でしっかりした印象を残す為には、脚本や演出をよく理解し、主演俳優と競合するのではなく、主演にない部分を強調して演技する必要があります。本作を見ていると、やり手のサイモン、優しく繊細な妻のロビン、気弱なゴードと、それぞれの配役が互いに際立たせるよう、対称的なキャラクター設定がなされており、それぞれが均等に絡み合いながら、緊迫感の中でポジションを少しずつ変化させていくダイナミズムで動いていることがわかります。エドガートンは、本作では監督に専念し、ゴード役は誰かに譲ろうかと最後まで迷ったそうですが、自分で演じたい気持ちが強かったこと、演じる場面はそれほど多くないこと、映画監督である兄(ナッシュ・エドガートン)のサポートがあったことから、初監督の重圧に耐えながら、共演の一角であるゴード役も見事に演じ切っています。驚くほど完成度の高い長編映画監督のデビュー作に、今後の期待が高まります。ジョエル・エドガートン(ゴード)ジェイソン・ベイトマン(1969年〜)は、アメリカの俳優、監督、プロデューサーで、テレビを中心に活躍していましたが、2007年の「JUNO/ジュノ」以降、映画にも出演するようになりました。「消されたヘッドライン」(2009年)ではやり手のPRマン、「マイレージ、マイライフ」(2009年)では主人公の上司役と、有能なビジネスマンを演じることが多く、本作でもやり手のビジネスマンを巧みに演じています。私生活では、有名な歌手ポール・アンカの娘の夫で、二人の娘がいます。ジェイソン・ベイトマン(サイモン)レベッカ・ホール(1982年〜)は、イギリス、アメリカで活躍する女優です。イギリスの舞台演出家・映画監督、ピーター・ホール卿を父に、アメリカのオペラ歌手、マリア・ユーイングを母にロンドンに生まれ、ボーディング・スクールを首席で卒業、ケンブリッジ大学に進学するほどの才媛です。両親は彼女が5歳の時に離婚しましたが、彼女はイギリス、アメリカ、ふたつの国籍を持ち、子供の頃から休みを母とともにニューヨークやロスアンジェルスで過ごした彼女のアメリカ英語は完璧です。10歳の頃から女優志望でしたが、父親の教育方針で20歳まで演技の勉強をしなかった彼女は、2002年に大学を中退して舞台デビュー、続いて2006年に「プレステージ」で映画デビューします。さらに、ウディ・アレン監督の「それでも恋するバルセロナ」(2008年)に出演、一躍注目を浴びます。「ザ・タウン」(2010年)では、主人公の恋人役で強盗に襲われれる銀行の女性支店長を演じていますが、アメリカ女優には演じにくい、上品で純粋な女性らしい美しさを自然に演じられるのが彼女の持ち味で、本作でも知的で優しく繊細な女性が成長する姿をナチュラルに演じています。レベッカ・ホール(ロビン)【撮影地(グーグルマップ)】サイモンとロビンの新居映画のタイトルで有名なマルホランド・ドライブの近くの高台、ロスアンジェルスを見渡せる景色の良い場所にある。冒頭、サイモンとロビンが買い物をする家具店ゴードがサイモンとロビンを招待した邸宅サイモンがゴードに会いに行ったパブ 「ザ・ギフト」のDVD(楽天市場)【関連作品】ジョエル・エドガートン出演作品のDVD(楽天市場) 「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」(2005年) 「アニマル・キングダム」(2010年) 「ウォーリアー」(2011年) 「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年) 「華麗なるギャツビー」(2013年) 「ブラック・スキャンダル」(2015年) 「ラビング 愛という名前のふたり」(2016年)ジェイソン・ベイトマン出演作品のDVD(楽天市場) 「JUNO/ジュノ」(2007年) 「寝取られ男のラブ♂バカンス」(2008年) 「消されたヘッドライン」(2009年) 「マイレージ、マイライフ」(2009年)レベッカ・ホール出演作品のDVD(楽天市場) 「プレステージ」(2006年) 「それでも恋するバルセロナ」(2008年) 「フロスト×ニクソン」(2008年) 「善意の向こう側」(2010年)・・・輸入版、リージョン1,日本語なし 「ザ・タウン」(2010年) 「アイアンマン3」(2013年)
2017年03月30日
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「エリックを探して」(原題: Looking for Eric)は、2009年公開のイギリス・フランス合作のコメディ&ドラマ映画です。元サッカー選手のエリック・カントナが企画を持ち込み、ケン・ローチ監督、ポール・ラヴァーティ脚本、エリック・カントナ製作総指揮、スティーヴ・エヴェッツ、エリック・カントナら出演で、人生のどん底に落ちている中年郵便配達員の前に、憧れていたエリック・カントナが突如現れ、彼のアドバイスによって立ち直ってゆく姿を描いています。 「エリックを探して」のDVD(楽天市場)監督:ケン・ローチ脚本:ポール・ラヴァーティ原案:エリック・カントナ出演:スティーヴ・エヴェッツ(エリック・ビショップ) エリック・カントナ(エリック・カントナ) ステファニー・ビショップ(リリー) ジェラルド・カーンズ(ライアン) ジョン・ヘンショウ(ミートボール) ルーシー=ジョー・ハドソン(サム) ほか【あらすじ】マンチェスターの郵便配達員、エリック・ビショップ(スティーヴ・エヴェッツ)は7年前に出て行った2度目の妻の連れ子、10代のライアン(ジェラード・キーンズ)、ジェス(ステファン・ガンブ)との3人で暮らしています。人生失敗続きで、このところ元気をなくしていた彼は、ある日、交通事故を起こしてしまいます。翌日、病院から帰宅しますが、家では子供たちがやりたい放題、郵便局の仲間たちは落ち込むエリックを励ましますが、効果がありません。その夜、彼は自室でサッカーのスーパースター、エリック・カントナのポスターに向かって、「俺の憂鬱の理由がわかるか?一生後悔するような失敗をしたことは?」と、話しかけます。すると背後から、「君はどうだ?」と尋ねる声がし、振り向いてみると、そこにはカントナ(エリック・カントナ)本人が立っています。エリックの憂鬱の理由は、30年前に恋に落ち、娘のサム(ルーシー・ジョー・ハドソン)が生まれたが、すぐに別れて以来、会わずにいる最初の妻リリー(ステファニー・ビショップ)です。子育てしながら大学に通うサムのために孫娘デイジー(コール&ディラン・ウィリアムズ)を預かることになり、リリーと再会しますが、以前と変わらぬ美しい姿を目にしたエリックは、気後れしてしまい、彼女に会うことができないまま、動揺して事故を起こしたのでした。自信喪失のエリックにカントナは「髭を剃って会いに行け」とアドバイスし、エリックはようやくリリーに話しかけることができます。カントナの励ましと助言に従い、エリックは少しずつリリーとの距離を縮めていきます。一方、ギャングとの関わりを断ち切れないライアン(ジェラルド・カーンズ)は預かった拳銃を家の中に隠し持っており、エリックはギャングに銃を返しに行きますが、逆に脅され持ち帰ってきます。リリーとの間に温かい気持ちが通うようになったエリックは、リリー、サム、デイジーを食事に招待しますが、その平和なひと時に、武装警察の急襲を受け、全員、拘束されてしまいます・・・。【レビュー・解説】労働者とサッカーの街、マンチェスターを舞台に、人生のどん底にいた中年の郵便配達員が、熱狂的に憧れる元マンチェスター・ユナイテッドのスーパースター、エリック・カントナに導かれ、仲間ともに人生の危機を脱する姿を描くコメディは、カントナ本人の出演と、一貫して労働者階級を描いてきたケン・ローチ監督の他の追随を許さない人物描写が際立つ秀作です。エリック・カントナ(1966年〜)は、サッカーの元フランス代表選手で、1992年〜1997年、マンチェスター・ユナイテッドに所属し、プロのサッカー選手としてのキャリアを終えました。カントナは低迷していたマンチェスター・ユナイテッドの復活に貢献した中心選手であり、2001年には、マンチェスター・ユナイテッドの「20世紀最高のサッカー選手」に選ばれています。また、1998年にはフットボールリーグの「歴代の名選手100人」に選出され、2002年にはイングランドのサッカーの殿堂入りを果たしています。引退後は俳優として主に映画に出演しており、1998年にはケイト・ブランシェット主演の映画「エリザベス」に出演、本作もカントナがケン・ローチ監督に企画を持ち込む形で実現しました。 エリック・カントナのポスター(楽天市場)ケン・ローチ (1936年6月17日 〜 ) は、一貫して労働者階級に焦点を当てた作品を製作し続けるイギリスの映画監督・脚本家です。長編映画監督2作目の「ケス」(1969年)が英国アカデミー賞作品賞と監督賞にノミネートされますが、1970年代から1980年代にかけて長い不遇時代を過ごします。1990年代に入り、労働者階級や移民を描いた作品を立て続けに発表、カンヌ国際映画祭やヴェネツィア国際映画祭などで、国際的に評価されるようになります。2006年、「麦の穂をゆらす風」が第59回カンヌ国際映画祭に出品され、69歳、13回目の出品で初のパルム・ドールを受賞します。2014年に引退の意向を発表するものの、その後復帰し、2016年に「わたしは、ダニエル・ブレイク」で第69回カンヌ国際映画祭で二度目のパルムドールを受賞しています。舞台となるマンチェスターは、産業革命において中心的役割を果たした街です。1842年から二年間、この街に住んだエンゲルスは、都市の広範囲に拡がった貧困に衝撃を受け、「イギリスにおける労働者階級の状態」を執筆、カール・マルクスによって労働者階級に関する歴史的な文献として極めて高い評価を与えられます。20世紀になって綿工業などが衰退しますが、グレーター・マンチェスターに再編され、現在ではイギリス第二の都市とされています。世界有数のサッカー・チームであるマンチェスター・ユナイテッドや、世界有数のサッカー場であるオールド・トラッフォード・スタジアムがマンチェスターにあるのは、ロンドンの上流階級を中心に発展したラグビーやテニスと異なり、サッカーは労働者階級を中心に発展した歴史的な背景によるものです。そんな労働者とサッカーの街、マンチェスターで、人生のどん底にいた中年の郵便配達員が、熱狂的に憧れるスーパースターのカントナに導かれ、仲間と共に人生の危機を脱するというストーリーは、非常に説得力があり、コミカルなエンディングには思わず大笑いしてしまいます。ヒーローやヒロインが不在の時代と言われる昨今ですが、ヒーローやヒロインは少年少女のみならず大人にも影響を与えうるものであり、少年少女の心を持ち続けていれば、どんな人生も良くなっていくのではないかと感じさせる作品です。また、一貫して労働者階級を描いてきたケン・ローチ監督の人物描写には、右に出る人がいません。エリックを演じるスティーヴ・エヴェッツは、イギリス人でさえ理解し難いのではないかと思われるほどのディープなマンチェスター訛を話し、気弱な失意の主人公をリアルに演じています。ジョン・ヘンショウが演じる仲間のミートボールは、その友達思いと、孫の名をデイジーと教えられてもドリーと呼び続けるようなオヤジぶりが最高です。女性の訛は意外に聞く機会がないのですが、リリーを演じるステファニー・ビショップや、サムを演じるルーシー=ジョー・ハドソンのマンチェスター訛もなかなか味わいがあります(ケン・ローチ監督は、キャストをマンチェスター及び北イングランド出身者で固めている)。いわば労働者の味方である本作は、サッカーファンでなくても十分に楽しめる作品です。スティーヴ・エヴェッツ(エリック・ビショップ)エリック・カントナ(左、本人)ステファニー・ビショップ(リリー)ジェラルド・カーンズ(右、ライアン)ジョン・ヘンショウ(ミートボール)ルーシー=ジョー・ハドソン(左、サム) エリック・カントナのフィギュア(楽天市場)【撮影地(グーグルマップ)】エリックの住む家エリックの仲間たちが集うパブ現在はコンビニになっている。エリックがリリーからデイジーを預かる場所エリックがリリーの元を去った理由を打ち明けるパブエリックとリリーが初めて会ったダンスホール(回想シーン)マンチェスター・ユナイテッドのホーム・グラウンド 「エリックを探して」のDVD(楽天市場)【関連作品】ケン・ローチ監督作品のDVD(楽天市場) 「ケス」(1969年) 「リフ・ラフ」(1991年) 「カルラの歌」(1996年) 「マイ・ネーム・イズ・ジョー」(1998年) 「ナビゲーター ある鉄道員の物語」(2001年) 「SWEET SIXTEEN」(2002年) 「やさしくキスをして」(2004年) 「麦の穂をゆらす風 」(2006年) 「この自由な世界で 」(2007年) 「エリックを探して」(2009年) 「天使の分け前」(2012年)
2017年03月28日
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「ティエリー・トグルドーの憂鬱」(原題: La Loi du marché、英題: The Measure of a Man)は、2015年公開のフランスのドラマ映画です。ステファヌ・ブリゼ監督・共同脚本、ヴァンサン・ランドンら出演で、勤務先をリストラされ、やっとの思いで再就職にこぎつけた中年男が、ある事件をきっかけに自らの気持ちと会社の決まりの間で葛藤する姿をドキュメンタリータッチで映し出し、情け容赦のない現代社会をリアルに描いています。第68回カンヌ国際映画祭でパルムドールを争い、男優賞(ヴァンサン・ランドン)とエキュメニカル審査員賞(ステファヌ・ブリゼ)を受賞、第41回セザール賞では主演男優賞(ヴァンサン・ランドン)を受賞するとともに、フランス本国で多くの人々の共感を呼んだ作品です。 「ティエリー・トグルドーの憂鬱」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ステファヌ・ブリゼ脚本:ステファヌ・ブリゼ/オリヴィエ・ゴルス出演:ヴァンサン・ランドン(ティエリー・トグルドー) カリーヌ・ドゥ・ミルベック(ティエリーの妻) マチュー・シャレール(ティエリーの息子) ほか【あらすじ】「研修を受けたのに、仕事がない」と、51歳のティエリー・トグルドーは職業紹介所の職員に訴えます。失業して1年半経ちますが、クレーン操縦士の研修を受け資格を取ったにも関わらずに、実務経験がない為に雇ってもらえません。職に就けないような研修をなぜ勧めるのか、失業保険が減額されローンの支払いで暮らせなくなると声を荒げますが、職員は「履歴書作成のお手伝いと募集企業リストの作成しかできない」と答えるばかりです。ティエリーには障害を持つ高校生の息子と、何一つ不満を言わない妻がおり、先が見えない彼にとって家族と囲む食卓がせめてもの憩いです。工作機械のオペレーターとして勤めていた会社に対し、不当解雇を訴えようと元の同僚たちが集まり話し合いを重ねますが、ティエリーには裁判と職探しを両立する気力はもうありません。「失業で心が裂けてしまった」と言って、仲間から去ります。ティエリーは就職活動でスカイプを使って面接を受けますが、人事担当からは採用の確率は低いと言い渡された上、履歴書の自己PRが足りないと指摘されます。模擬面接を行い評価し合うグループコーチングでは、「笑顔がなく冷たい」、「おどおどして心を閉ざしているよう」、「答え方がおざなり」などと、人生経験を重ねてきた彼にとっては、人格を否定されるように厳しい意見を若いメンバーからもらいます。銀行の借り入れ相談では、住んでいるアパルトマンの売却を勧められます。あと5年で返済が終わる家が唯一の財産と抵抗すると、今より状況が悪くなる、つまり彼が死ぬことがあっても、遺された家族が将来に不安を抱かずにすむ生命保険加入こそ、有益な支出と女性行員に勧められます。所有するトレーラー・ハウスを売りに出すと、物件を見にきた夫婦が合意済みの売却価格にケチをつけ、値引きを要求します。安売りはしたくないと、ティエリーは売るのをやめてしまいます。やっとのことでスーパーマーケットの警備員の仕事を得、売り場を巡回したり、監視カメラで万引きをチェックする仕事にも慣れ、家では妻とダンスを踊ったりと、家庭が笑い声に包まれるようになります。しかし、監視の仕事は精神的負担が大きく、携帯の充電器を盗む若者は開き直り、肉を盗んだ一人暮らしの老人は無一文で、お金を借りるあてもなく、警察に通報するしかありません。障害を持つ息子は成績が下がり始め、このままでは希望する生物工学の専門校に行けないと進路相談で告げられます。そんなある日、スーパーの取調室に勤続20年以上のベテランのレジ係が連れてこられます。割引クーポン券を不正に集めたことを咎められた彼女は謝罪しますが、店長はその場で解雇します。ほどなく彼女は店内で自殺、本社の人事部長は「彼女には家庭の悩みがあり、退職後の自殺は皆さんに責任はない」と、店員たちに話します。葬儀が終わってしばらくすると、自分のポイントカードをスキャンさせていたレジ係の女性が部屋に連れてこられます。ティエリーと二人きりになった時、「あなたでも上司に報告するの?」と彼女は言います・・・。【レビュー・解説】家庭を大切にする古き良きフランス人、ティエリー・トグルドーの体験を通して、中高年の失業や、冷酷な企業システムが日常生活にもたらす非人間的な側面を、抑制の効いたドキュメンタリータッチでリアルに描き、観る者の感性に人間としての怒りを静かに問いかける優れた作品です。監督・共同脚本のステファヌ・ブリゼは、「愛されるために、ここにいる」(2005年)「シャンボンの背中」(2009年)「母の身終い」(2012年)などの脚本・監督で知られる、フランスの映画監督、脚本家、プロデューサー、俳優で、いずれの作品も50歳前後の冴えない中年男を主人公に、ちょっとした出来事とそれに伴う心情の変化をリアルに描くことを得意とします。また、「シャンボンの背中」と「母の身終い」では、本作同様、ヴァンサン・ランドンが主演を務めています。本作は、大上段に構えて社会を揺るがすような事件を描くものでありません。あくまでも51歳で失業した男のちょっとした出来事を、長めのテイクでじっくりとリアルに見せていきます。「冷たく非人間的なシステムに足を踏み入れてしまった男の人間性と、その反応を描きたかった。不幸にも失業し、これまでとは違った経験を余儀なくされた、実直な男にカメラを向けたんだ。正規雇用される為なら何でもやるか、というのが出発点だった。」「メディアや日常生活で見聞きするものの触発されたんだ。舞台、特にスーパーの現場をよく知る必要があった。何ヶ月も調べ、警備員の見習いもやった。ヴァンサン・ランドンもそうだ。職業紹介所のワークショップにも15ヶ月間、参加し、いろいろと学んだ。この映画は幻想ではない、現実だ。脚本家の気まぐれで書いたものではない。」(ステファヌ・ブリゼ監督)本作は、主人公をいきなりダークサイドに落としたり、ドラマティックな善悪の二元論に落としこんだりはしていませんが、高齢者にはなかなか職が見つからない訓練を受けて資格を取得しても、実務経験の無い者は職を得ることができない職業紹介所は履歴書作成支援と募集企業リスト提供という形式的支援しかできない不器用な高齢者は面接で辛辣な評価を受けても、人生経験を評価される事はないと、主人公はじわじわと追い詰められていきます。ようやく探し当てた警備員の仕事では、不正を咎め、同僚を自殺さえ招きかねない解雇に追い込むか不正を見逃し、自分がクビになって障害児を抱えて路頭にさまようかという窮地に追い込まれます。これらはまさに高齢の失業者の現実で、ヴァンサン・ランドンの抑えた演技が、本作を非常に見応えのあるものしています。企業の目的は利益追求です。成長性のある若い人を安い賃金で使った方が効率が良いので、高齢者の仕事は必然的になくなります。しかし、人間社会は利益を追求するために存在するわけではありません。望む高齢者には雇用が得られるべきです。彼が警備員の仕事で直面する問題を、「決まりを破った者は処罰を受けて当然であり、そうした組織の冷酷さを受け入れなければ、この世の中では生き残れない」と感じるか、「不正は不正としても、人間味のない社会は果たして人々が求めているものだろうか」と感じるかは、人によるでしょうし、もし自分がティエリーの立場ならどうするかというのはとても難しい問題だと思います。しかしながら、私はこうした「組織の冷酷さ」を当然のこととして受け入れることにも、抵抗があります。企業が利益を追求するのはやむを得ないにせよ、高齢者を雇用しないとか、非人間的で冷酷な姿勢に対しては、社会はいつでも怒りを持って「ノー」といえるようでなければならないと思います。原題の「La Loi du marché」は「店の決まり」といった意味で、英題の「The Measure of a Man」は「人間の価値」といった意味です。欧州もアメリカも資本主義社会ですが、アメリカは市場原理に基づく効率最優先の競争的な自由主義社会で、かつての強烈なレッドパージの結果か、社会主義的発想はほとんどありません。一方、欧州の資本主義は成長や効率が必ずしも最優先ではなく、ゆとりと思いやりのある社会を作り、貧富の差を縮め、治安の良い状態を維持しようとする社会民主主義的な性格を持っています。通常、映画の英題は直訳になることが多いのですが、敢えて異なる題名をつけた背景には、こうした欧州とアメリカの人々の社会観の違いが出ているようで興味深いです。つまり、フランス人的感覚では、元従業員を自殺に追い込んだ冷酷な「店の決まり」に否定的な引っ掛かりを感じることができます。しかし、アメリカ的な社会観から言えば利益最優先の「店の決まり」は当然で、自殺は自業自得、疑問の余地はありません。むしろ、なかなか職が得られず、簡単にクビを切られてしまう、企業に翻弄される側の「人間の価値」をストレートに表現した方が、英題としてわかりやすいという配慮かと思われます。日本もかつては「実質的に社会主義」と言われたこともありましたが、金融ビッグバンを経てグローバル経済の荒波に晒される中、アメリカ的な市場原理主義に染まりつつあるように感じられます。年功序列や終身雇用など日本に特徴的な共存的制度が「非効率的」と一刀両断され、議論の余地もないままに廃れた様は、アメリカ的やり方に抵抗する欧州とは対称的です。日本人が本当にアメリカ的な競争社会に納得しているかどうかは疑問ですが、これは日本人の、一種、運命論的な受け止め方なのかもしれません。そう思えば、「ティエリー・トグルドーの憂鬱」という内向きな邦題も納得です。余談になりますが、企業は賃金の安い移民の労働力を使うことで、より利益をあげることができます。グローバル経済が発展してきた理由のひとつはそこにあります。しかし、これは自国内に多くの失業者を生み出すことになり、反動としてイギリスのEU離脱やトランプ大統領の反移民政策をもたらしました。私個人としては移民そのものに反対するわけでありませんが、市場原理や効率や進化といったものを最優先する社会には大きな疑問を感じています。移民に限らず、AIが人間の仕事を奪うなどとまかとしやかに言われていますが、企業が利益を追求すれば、かならず不利益を被る人がでてきます。社会はそうした人々に利益を還元し、バランスをとるようなシステムをうまく機能させて行く必要があると思っています。ヴァンサン・ランドン(ティエリー・トグルドー)【撮影地(グーグルマップ)】ティエリーが警備員を勤めたスーパーマーケットティエリーが売ろうとしたトレーラーハウスがある場所 「ティエリー・トグルドーの憂鬱」のDVD(楽天市場)【関連作品】ステファヌ・ブリゼ監督 x ヴァンサン・ランドンのコラボ作品のDVD(楽天市場) 「シャンボンの背中」(2009年)・・・輸入版、日本語なし 「母の身終い」(2012年)ステファヌ・ブリゼ監督作品のDVD(楽天市場) 「愛されるために、ここにいる」(2005年)
2017年03月25日
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「アイ・ウェイウェイは謝らない」(原題:Ai Weiwei: Never Sorry)は、2012年の公開のアメリカのドキュメンタリー映画です。アリソン・クレイマン監督が、中国を代表する現代芸術家として存在感を発揮する一方、自国に対して痛烈な批判を繰り返すことでも知られるアイ・ウェイウェイの姿を追ったドキュメンタリーです。2012年のサンダンス映画祭で、審査員特別賞を受賞した作品です。 「アイ・ウェイウェイは謝らない」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:アリソン・クレイマン脚本:アリソン・クレイマン出演:アイ・ウェイウェイ チェン・ダンチン ガオ・イン グー・チャンウェイ ほか【あらすじ】アイ・ウェイウェイは中国随一の著名な現代芸術家であると同時に、声高な自国批判者でもあります。2008年北京オリンピックの「鳥の巣」スタジアムのデザインを手掛けながらも、オリンピックを糾弾したことで危険分子として注目されるようになりました。さらに、2008年5月の四川大地震における校舎倒壊と5,000人以上の学童の死について独自の調査を行なった為、中国政府との対立が決定的となります。本作は、アイ・ウェイウェイが四川での調査に着手し、政府の監視の目が厳しくなってゆく2008年12月からスタートします。2009年8月には、深夜に警察に急襲されるという事態に発展し、暴行を受けた彼は脳内出血、緊急外科手術を受けます。翌月にはミュンヘンでヨーロッパ初の大規模個展が開催され、地震で亡くなった学童たちを追悼するために、9,000個の通学カバンで作られたインスタレーション「追悼」が紹介されます。地元警察の暴力を告発し、学童たちの死を調査するという公私両面の正義追求のため、四川省の省都・成都を繰り返し訪れるアイ・ウェイウェイには、終始、私服刑事たちの尾行と監視がつきまといます。その一方で、彼の芸術家としてのキャリアは急上昇します。ロンドンのテート・モダンのタービンホールで新作を展示するという名誉ある依頼を受け、2010年には手仕事で作られた磁器製のヒマワリの種一億粒をテート・モダンに敷き詰めるという大規模プロジェクトを実現します。そこに使われた種は、彼のこれまでの取り組みの総和とも言える、大衆伝達・大衆参加の持つ力の象徴です。それから間もなく、中国政府が圧倒的な力で反撃します。2011年初め、全国規模の反政府者弾圧を背景に、上海のスタジオを無残に取り壊されたアイ・ウェイウェイは、81日間に渡って当局に身柄を拘束されます・・・。【レビュー・解説】下手に作り込むことなく、事実を押さえ、アイ・ウェイウェイ本人に語らせていくナチュラルな演出の本作は、中国の言論統制と戦う一人の生身の芸術家、活動家の姿を通して、様々なことを問いかける優れたドキュメンタリーです。アイ・ウェイウェイは、中国の現代美術家・キュレーター・建築家・文化評論家・社会評論家で、中国の現代美術が始まったばかりの1980年代から美術家として活躍し、中国の美術および美術評論を先導して世界各地で活動する一方、社会運動にも力を入れています。著名な詩人であるアイ・チンを父に、同じく詩人のガオ・インを母に北京で生まれ、アイ・チンは文化大革命で非難され中国共産党から除名、一家で新疆ウイグル自治区の強制収容所に送られました。アイ・チンが様々な迫害を受ける記録映像も、本作に収められています。アイ・ウェイウェイは、1981年から1993年までアメリカに移り、主にニューヨークを中心に、パフォーマンスアートやコンセプチュアル・アートの制作に取り組み、個展を開催、グループ展に参加します。1993年、父の病気のため中国へ戻り、その後、中国を拠点に活動、2007年の北京オリンピックの主会場である通称「鳥の巣スタジアム」の建設に際し、芸術顧問としてスイス人建築家ユニットヘルツォーク&ド・ムーロンと共同制作を行います。後に、政治的プロパガンダとしてのオリンピック失望し、開催に反対する考えを示しますが、黙殺されます。映画は、アリソン・クレイマン監督がアイ・ウェイウェイに出会った2008年以降を中心に構成されています。監督、プロデューサー、撮影、共同編集と本作の中心人物であるアリソン・クレイマンはフリーのジャーナリストで、ドキュメンタリー映画作家でもあります。2006年から2010年まで中国に暮らし、その間にラジオ/テレビ番組特集を制作、本作がドキュメンタリー長編映画デビュー作となります。北京で暮らしていた彼女のルームメイトがアイ・ウェイウェイの写真展の準備を手伝っていたのがきっかけで、彼の映像を撮るようになりました。「2008年の12月のある朝、午前7時か、8時ころ、私とルームメイトと彼女の上司はスタジオでウェイウェイの到着を、待っていました。彼が部屋に入ってきた時、私は既にカメラを回してブツ撮りしていました。ドキュメンタリーに至る大きなプロジェクトになりましたが、私と彼の関係は、最初の日から「アリソンはカメラを回している」でした。」「最初の数週間で、彼は四川大地震について語り、彼のブログの検閲について語りました。彼について知りたいと思うことが、思った以上にたくさんあったのですが、人々は90分間、彼の映画を観ることができると思いました。彼の周囲にいることは楽しく、彼の話は驚くべきもので、議論を呼ぶようなものでした。」(アリソン・クレイマン監督)彼らが出会った時は、ちょうどアイ・ウェイウェイが政府によってブログを閉鎖され、メッセージを発する場をツィッターに求めていた時期でした。アイ・ウェイウェイにとっても、ドキュメンタリーの被写体になることは、メッセージを発する手段として好都合だったのかもしれません。しかし、カメラに向かって安易なパフォーマンスをすることはなく、カメラが回っているいないに関わらず、彼の言動が変わることはなかったと言います。芸術や活動に関することばかりではなく、彼の愛人とその子供も本作に登場しますが、妻との三角関係についても、彼は実直に答えています。本作は都合よく彼の生き方を繕ったものではなく、むしろ、一人の生身の芸術家、活動家を捉えたものです。中国の言論統制はどうなのか、アイ・ウェイウェイは芸術家なのか、活動家なのか、芸術と政治の関係とはどうなのか、彼の生き方はどうなのか、人間としての彼はどうなのか等、様々なことを問いかけてくる作品です。アイ・ウェイウェイ活動家でもある四川大地震の犠牲になった子どもたちの名簿犠牲者を発表しない中国政府に業を似やしたアイ・ウェイウェイは独自に調査をし、犠牲者をブログで公表するが、中国政府がブログを閉鎖する。四川で警官の暴行を受け脳内出血、緊急外科手術を受ける四川大地震で犠牲になった子どもたちを、ランドセルのインスタレーションでアピールひまわりの種を模した陶器を床に敷き詰めたインスタレーション彼の作品には、大衆、民衆といったテーマが底にある。愛人と子供も出演インタビューで妻の愛人の三角関係を問われて、実直に答えるなど、等身大の人間像が描かれている。 「アイ・ウェイウェイは謝らない」のDVD(楽天市場)芸術やアーティストを追ったドキュメンタリー映画のDVD(楽天市場) 「クラム」(1995年)・・・輸入盤、リージョン1、日本語なし「ミリキタニの猫」(2006年) 「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」(2010年) 「フラメンコ、フラメンコ」(2010年) 「ビル・カニンガム&ニューヨーク」(2011年) 「映画と恋とウディ・アレン」(2011年) 「アイ・ウェイウェイは謝らない」(2012年) 「ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ」(2012年) 「バックコーラスの歌姫たち」(2013年)「キューティー&ボクサー」(2013年) 「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」(2014年) 「AMY エイミー」(2015年)
2017年03月24日
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「ソーセージ・パーティー」(原題:Sausage Party)は、2016年公開のアメリカの3DCGアニメーション映画です。コンラッド・ヴァーノン/グレッグ・ティアナン監督、セス・ローゲン共同脚本、セス・ローゲン、クリステン・ウィグ、ジョナ・ヒルら声の出演で、ソーセージやパンなど食材たちが、待ち受ける過酷な運命と戦う姿を過激な下ネタと共に描いた、米国初のR指定CGアニメ、大人向けのコメディ映画です。 「ソーセージ・パーティー」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:コンラッド・ヴァーノン/グレッグ・ティアナン脚本:カイル・ハンター/アリエル・シェイファー/セス・ローゲン/エヴァン・ゴールドバーグ製作:セス・ローゲン/コンラッド・ヴァーノン/エヴァン・ゴールドバーグ/ミーガン・エリソン出演:セス・ローゲン(フランク) クリステン・ウィグ(ブレンダ) マイケル・セラ(バリー) デヴィッド・クラムホルツ(カリーム・アブドゥル・ラヴァッシュ) エドワード・ノートン(サミーベーグル・ジュニア) サルマ・ハエック(テレサ・デル・タコ) ビル・ヘイダー(火酒) クレイグ・ロビンソン(ミスター・グリッツ) ジェームズ・フランコ(麻薬中毒者) ジョナ・ヒル(カール) ダニー・マクブライド(ハニーマスタード) ポール・ラッド(ダーレン) ニック・クロール(携帯用ビデ) ほか【あらすじ】郊外のスーパーマーケット「ショップウェル」に陳列された食材たちは、外の世界が楽園だと信じ、日々買われることを夢見ています。結ばれてホットドッグになることを夢見ていたソーセージのフランク(声:セス・ローゲン)とパンのブレンダ(クリステン・ウィグ)は、お客のカートに入れられて大喜びします。しかし、外の世界の真実を知ってパニックを起こしたハニーマスタード(ダニー・マクブライド)が転落、カートが暴走、フランクとブレンダ達は店に取り残されてしまいます。カートで生き残り、購入された食材たちは、やがて調理される仲間を目の当たりにして、自分たちの運命を知ります・・・。【レビュー・解説】食材をモチーフにした個性的なキャラクターが魅力の、乱交あり、宗教、人種、中東ネタあり、人間社会の縮図が作り込まれた、セス・ローゲンこだわりの下ネタ満載R指定CGアニメです。下ネタ満載で、過激なシーンがある一方で、人間社会の縮図が作り込まれている本作は、食材をモチーフにしたキャラクター群が何よりの魅力です。声の出演もオスカー候補が5人(クリスティン・ウィグ、ジョナ・ヒル、ジェイムズ・フランコ、エドワード・ノートン、サルマ・ハエック)と、贅沢なキャスティングです。監督は「マダガスカル3」、「シュレック2」のコンラッド・ヴァーノン、「機関車トーマス」のグレッグ・ティアナン、音楽は「塔の上のラプンツェル」、「美女と野獣」、「魔法にかけられて」のアラン・メンケンと豪華な布陣です。フランク(声:セス・ローゲン)主人公のソーセージ。隣の棚のパンのブレンダの恋人。買い物客に一緒に選ばれる日を夢見ているが、一方で、買われて店の外に出ると幸せになれるというシステムに疑問を感じている。物語が進むにつれて、彼の疑問は深まり、ブレンダとの間に溝ができる。ブレンダ(声:クリスティン・ウィグ)フランクの恋人のパン。彼女はどのソーセージと一緒にホットドッグになるか、選べると考えている。物語が進むにつれて彼女は確信を深めるが、フランクと彼女が選ぶ道は離れていく。バリー(声:マイケル・セラ)フランクの友人の変形したソーセージ。購入されると幸せになれるという「外の世界」を固く信じ、購入されると変形が直り、他のソーセージと同じになれると夢見ている。カリーム・アブドゥル・ラヴァッシュ(左、声:デヴィッド・クラムホルツ)とサミーベーグル・ジュニア(右、声:エドワード・ノートン)ラヴァシュは中東のパンで、サミーベーグルのライバル。他のキャラクターは、彼がどんな食べ物か知らず、ビラビラ野郎と呼ぶ。サミーは、ウディ・アレンの様なユダヤ人ベーグルで、ラヴァシュのライバル。神経質で愚痴が多く、独善的。中東コーナーに陣取っているが、物語が進むにつれて同じコーナーの住人であるラヴァシュを理解する。テレサ・デル・タコ(中央、声:サルマ・ハエック)テレサはレズビアンで、ブレンダに一目惚れするメキシコ人タコス。「外の世界」を深く信じているが、肉で満たされることに葛藤している。パンのブレンダに一目惚れするが、彼女の信ずる「外の世界」と相容れないことで葛藤する。ガム(声:スコット・アンダーウッド)最も知的な食べ物。とても知的な科学者の靴底に何年もくっついていた為、他の誰よりも食べ物の世界の真理を理解するようになった。火酒(中央、声:ビル・ヘイダー)とミスター・グリッツ(左、声:クレイグ・ロビンソン)火酒はアメリカの先住民、ミスター・グリッツはアフリカ系アメリカ人。カール(声:ジョナ・ヒル)フランクの友人。買い物客に選ばれるが、悲惨な最後を遂げる。ハニーマスタード(声:ダニー・マクブライド)買い物客に普通のマスタードと間違えて選ばれるが、店に戻ってフランクに店の外でどのような運命が待ち構えているか、警告する。麻薬中毒の男(声:ジェームズ・フランコ)ドラッグでハイになり、食べ物に意識があることを知る。今から10年ほど前、「トイ・ストーリー」や「バグズ・ライフ」、「モンスターズ・インク」、「ファインディング・ニモ」、「Mr.インクレディブル」といたピクサー・アニメが世間を賑わしていた頃、セス・ローゲンとジョナ・ヒル、エヴァン・ゴールドバーグは、そのうち誰かが大人向けのCGアニメを作るだろうと予見、自分たちも作ってみたいと考え始めたと言います。その一方で、いつも食料品店の食べ物をネタにジョークを飛ばしていた彼らは、「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」、「スーパーバッド 童貞ウォーズ」のプロモーションの際に、次回作は「ソーセージ・パーティ」とインタビューで答えていました。実際に予定があったわけではなく、いかにも彼らが作りそうな映画に聞こえるからというのがその理由でした。これに「食料品店が舞台でホットドッグ用ソーセージとパンが主人公で、他の通路の陳列棚には他の国の食料がいて・・・」と尾ひれがついて、エスカレート、ひょうたんから駒が出る形になりました。セス・ローゲンのコンピュータの2008年のファイルに残っている最初の概要は、本作に似ている部分もあれば、全く似ていない部分もあるのですが、この時、既に「外の世界」を信ずるか否かという、映画全体を貫く主人公たちの存在に関わるテーマがありました。彼らが飛ばしていた冗談は、日常、目にするものに関する「〜の秘密の生活」といった類のものでしたが、たまたま食べ物を題材にするととても面白いことに気がつきました。毎日食べるものだけに、やられちまった感が半端ない。食材がキャラクターになることがあっても、通常は人間に食べられるところまで描かれませんが、彼らはそこに焦点を当てたと言います。いわば、禁断の「食材たちの秘密の生活」です。「いろんな意味で、とても人間社会に似ているんだ。棚に陳列される期間があり、いろんな商品があり、民族固有の食材もある。人間社会との類似性を求めていた我々も、びっくりするくらいだったよ。」(セス・ローゲン)本作のキャラクターは個性的で、本来は物言わぬ食材たちが実に生き生きと描かれています。また、政治的視点、社会的視点、宗教的視点が入れ込まれ、宗教、人種、性、中東紛争ネタが繰り広げられます。これらは何年もの間、脚本が書き換えられる中で描き込まれたものですが、このように馬鹿げたコメディの中にこうしたネタを仕込んだ方が、下手なドラマよりシリアスに訴えることができると、セス・ローゲンは言います。「ドラマでは不謹慎にならないように工夫するが、我々の映画は違う。信仰、自己存在や、世界を支配するルールへの疑問、それらがどうして出来たか、誰の利益で誰の不利益なのか問う映画なんだ。」「そうした映画は、商業ベースに乗らないので、カモフラージュする必要がある。この映画を見た人は、皆、僕らの言いたいことを感じたと思うよ。でも、この映画の顔はエンタメ映画だ。だから、エセス・ローゲンやエヴァン・ゴールドバーグに、無神論を講義されたと感ぜずに済むんだ。」「結局のところ、「ソーセージ・パーティの立場は、信仰も宗教も、我々を分断しない限り構わない。この映画の知見は、我々が人と仲良くすること、幸せになることを、差別が邪魔をしてはならないということなんだ。」(セス・ローゲン)本作のオープニングはミュージカル風で、明らかにディズニー・アニメへのオマージュです。また、戦闘シーンは「プライベート・ライアン」へのオマージュで、他にも食材たちが調理されるシーンなど、見所満載です。中でも圧巻は、エンディングの二分半にも及ぶ食材たちの乱交シーンです。「ポルノ的ということで実写の映画でやったこともないシーンだから、この映画でもやらないことはできたんだ。でも、食べ物だし、実物じゃないし、解剖学的にも正しくないという、余地がある。アニメーションだと、可愛いし、リアルじゃないから、何か伝えるためには、大げさにしなければならないところもあるんだ。」(セス・ローゲン)単なる下ネタの羅列ではなく、じっくりと作り込まれている本作ですが、「シンプソンズ」(1989年〜)、「レンとスティンピー」(1991年〜)、「ビーバス・アンド・バットヘッド」(1994年〜)、 「サウスパーク」(1997年)、 「ファミリー・ガイ 」(1999年)など、それ以前からあった大人向けのアニメ映画が大きな潮流になることがなかった為、周囲の反応は否定的だったと言います。「我々は無邪気にも、ハリウッドのみんなが、自己の存在の謎を解くホットドッグのコメディに夢中になると思っていたんだ。それは間違いだったよ。」(セス・ローゲン)「これは面白い、いいものが出来るといいね」とは言ってくれるが、どこのスタジオも制作しようとしませんでした。そこにプロデューサーのミーガン・エリソンが現れ、「スタジオと一緒に俺もファイナンスするよ。それで荷が軽くなり、懸念も少なくなり、リスクも減るだろう。」と、言ってくれました。おかげで、ソニーが手を挙げ、制作することができました。もし、ミーガン・エリソンがいなければ、この映画は実現していませんでした。セス・ローゲンの10年来の友人、エドワート・ノートンも絶大なる支援者で、ベーグルのサミーをウディ・アレン風に演じるだけでなく、セスとは面識のなかったサルマ・ハエックを仲間に引き込み、さらにクリスティン・ウィグの出演を説得するなど、影の立役者となりました。また、ディナー・パーティで一緒になった時、彼はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督に「ソーセージ・パーティ」を説明、わかったようなわからないようなイニャリトゥ監督を横目にそれを聞いていたジョナ・ヒル曰く「生涯で最もシュール(超現実的)な会話だった」とのことですが、思い込んだらまっしぐらのエドワード・ノートンの人柄を偲ばせるエピソードです。セス・ローゲンの解説も何やらコミカルですが、悪ふざけだけではここまでできません。真剣にやるからこそコメディな訳で、気長に時間をかけて実現したセス・ローゲンならではの秀作です。「ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日」に引き続き、下ネタ満載の中にメッセージを込める彼の試みは、新たな境地を作っていくかもしれません。「ソーセージ・パーティ」コレクタードール(楽天市場)フランクブレンダバリーラヴァシュサミーテレサ【サウンドトラック】 "Sausage Party" Gatefold LP Jacket(楽天市場)1. The Great Beyond 2. Darren, The Dark Lord 3. Chosen 4. I'd Do Anything for Love (But I Won't Do That) 5. The Crash 6. Douche Loses It 7. Wake Me up Before You Go-Go 8. Our Heroes 9. He's Coming 10. Food Massacre 11. Hungry Eyes 12. True 13. The Spooge14. Magical Sausage 15. Gone 16. We're Home 17. The Cookbook 18. I Have Proof 19. Big Speech 20. The Big Fight 21. Final Battle 22. It's Your Thing 23. Finale 24. Joy to the World 25. The Great Beyond Around The World 【動画クリップ】プロモーションでセス・ローゲンが仕掛けたドッキリ笑えます。【撮影地(グーグルマップ)】ショップウェルのモデルとなったフロリダのサウスゲート・ショッピングセンター 「ソーセージ・パーティー」のDVD(楽天市場)【関連作品】セス・ローゲン出演作品のDVD(楽天市場) 「40歳の童貞男」(2005年) 「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」(2007年) 「スーパーバッド 童貞ウォーズ」(2007年) 「素敵な人生の終り方」(2009年) 「50/50 フィフティ・フィフティ」(2011年) 「ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日」(2013年) 「22ジャンプストリート」(2014年) 「スティーブ・ジョブズ」(2015年)
2017年03月21日
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「マンハッタン」(原題:Manhattan)は、1979年公開のアメリカのロマンティック・コメディ&ドラマ映画です。ウディ・アレン監督・共同脚本・主演、ダイアン・キートン、マリエル・ヘミングウェイ、メリル・ストリープら出演で、ニューヨーク、マンハッタンを舞台に、一人の中年作家と彼を取りまくニューヨーカーたちの恋愛とライフスタイルを描いています。第52回アカデミー賞で脚本賞(ウディ・アレン/マーシャル・ブリックマン)、助演女優賞(マリエル・ヘミングウェイ)にノミネートされ、また文化的に重要としてアメリカ国立フィルム登録簿に登録、アメリカ議会図書館に永久保存されている作品です。 「マンハッタン」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ウディ・アレン脚本:ウディ・アレン/マーシャル・ブリックマン撮影:ゴードン・ウィリス出演:ウディ・アレン(アイザック) ダイアン・キートン(メリー) マイケル・マーフィー(エール) マリエル・ヘミングウェイ(トレーシー) メリル・ストリープ(ジル) エミリー(アン・バーン) ほか【あらすじ】テレビ作家のアイザック(ウディ・アレン)と教師のエール(マイケル・マーフィ)は友人です。42才のアイザックは、17才の女子学生、トレーシー(マリエル・ヘミングウェイ)と付き合っています。エールには妻エミリー(アン・バーン)がいるものの、雑誌ジャーナリストのメリー(ダイアン・キートン)と浮気しています。アイザックはメリーを紹介されますが、頭でっかちな考え方に辟易します。アイザックはテレビ番組の笑いのレベルが年々低下していることに嫌気が差し、スタッフと喧嘩して仕事を辞めてしまいます。二度の離婚により、養育費を払っているアイザックは生活が困窮、引っ越しします。同性の恋人に走った2番目の妻のジル(メリル・ストリープ)は、アイザックとの結婚生活を暴露本として出版しようとします。メリーはエールが妻と別れようとするのを嫌い、エールも妻と別れず、破局します。エールはアイザックにメリーと付き合うように勧め、アイザックも17才のトレーシーとは別れなければいけないと思っており、メリーと付き合うことにします。トレーシーがロンドンで演劇の勉強をすることになり、それを機会にアイザックはトレーシーに別れ話をします。アイザックとメリーは一緒に暮らすようになりますが、エールがメリーに会いたいと電話をかけてきます。メリーもエールを忘れられず、やがて二人はまた会うようになります。メリーはアイザックにエールの元に帰ると言い、それに怒ったアイザックは授業中のエールの元に怒鳴り込み、怒りを爆発させます・・・。【レビュー・解説】ガーシュインのラプソディ・イン・ブルーをバックにモノクロのマンハッタンの風景で始まる本作は、ビタースイートなニューヨーカーの恋愛模様やライフスタイルをウィットの効いたセリフで品よくユーモラスに描く、初期の作品の中で最もウディ・アレンらしさが感じられる、彼の代表的ロマンティック・コメディ&ドラマ映画です。モノクロのニューヨークの風景が美しいニューヨーカーのビタースイートな恋愛やライフスタイルを品よくユーモラスに描く冒頭、クラリネットのソロで始まるガーシュインのラプソディ・イン・ブルーをバックに、美しいマンハッタンの風景がモノクロで映し出され、心を鷲掴みにされます。ウディ・アレン監督は、ガーシュインのレコードを聞いてモノクロのロマンティックな映画の制作を触発されたと言います。「ラプソディ」(狂詩曲)には、「民族音楽風で叙事詩的な、特に形式がなく自由奔放なファンタジー風の楽曲」という意味があります。ジャズをアメリカにおける「民族音楽」と捉えるガーシュインが、「アメリカン・ラプソディ」というタイトルでジャズ風のピアノと管弦楽の為の曲を作曲、後にジャズを連想させるタイトルに改題されたのが、「ラプソディ・イン・ブルー」(ジャズ風のラプソディ)です。ウディ・アレン自身、ジャズを好むクラリネット奏者ですが、彼の音楽センスと映像センスが見事に結実した作品と言えます。「ゴッドファーザー」シリーズ(1972年〜1990年)の陰影に満ちたライティングと琥珀色のノスタルジックな色彩、絵画のように構成された映像で映画界に衝撃を与え、「暗闇の王子」と呼ばれた撮影監督のゴードン・ウィリスは、「アニー・ホール」(1977年)でウディ・アレン監督と組み、ウディ・アレンの映画作家としての才能を飛躍させました。その後、二人は「マンハッタン」の撮影を始めますが、二人ともニューヨークはモノクロで撮らなければばならないと考えており、昼食を食べながらいとも簡単にモノクロで撮影することが決まりました。制作会社のユナイテッド・アーティスツは、当初、その市場性を懸念しましたが、最終的にモノクロでの撮影に合意しました。ニューヨークの美しい風景が挿入されている他、驚くくらい数多くの場所でロケをしており、ウディ・アレンのニューヨーク愛が感じられます。「アニー・ホール」の成功により、ユナイテッド・アーティスツに好きな映画を撮って良いと言われていたウディ・アレン監督は、「アニー・ホール」と「インテリア」(1978年)を組み合わせる様な形で本作を制作します。彼は「インテリア」で初めてシリアスなドラマに挑戦したものの、興行的に失敗、本作ではコミカルなドラマの方向性を目指したものと思われます。ウディ・アレン(アイザック)ダイアン・キートン(メリー)「アニー・ホール」で演じたアニーに比べて屈折した役柄だが、都合8回、ウディ・アレンの映画に出演、そのうち7回を彼が監督を務め、6回が彼との共演というキートンは、ウディ・アレンとぴたりと呼吸の合った演技を見せる。マイケル・マーフィー(エール)マリエル・ヘミングウェイ(トレーシー)当時18歳、内気で怖気づいていたというヘミングウェイは、ウディ・アレン監督の巧みリードで、ナチュラルで新鮮な素晴らしいパフォーマンスを見せ、アカデミー助演女優賞にノミネートされた。メリル・ストリープ(ジル)アイザックの別れた妻役を演じるメリル・ストリープは、存在感が半端ない。出番は多くないが、彼女が登場すると画面がぴりりと引き締まる。ウディ・アレンの映画が、一瞬、彼女の映画になる印象だ。トレイシー役の第一選択は、マーティン・スコセッシ監督の「タクシードライバー」(1972年)で12歳の少女娼婦アイリス役を演じ、アカデミー助演女優賞にノミネートされたジョディ・フォスターでしたが、結局、実現せず、作家のアーネスト・ヘミングウェイの孫である、マリエル・ヘミングウェイに白羽の矢が立ちました。当時、18歳で、内気で怖気づいていたというヘミングウェイは、次の様に語っています。「ウディは映画製作の一部のように私を扱ったわ。私が内気で怖気づいていたことを知っていた彼は、私を美術館に連れていき、マンハッタンに住む若い女の子がどんな風だか、経験させてくれたの。今となっては、滅多にないことよ。彼は基本的に、俳優任せなの。だから、一度、親しくなることによって、それを私にわからせようとしたんだと思うわ。だから、映画で彼が別れを切り出すシーンでは、家族と別れるような雰囲気を自然と感じたわ。それは私がよく知っている雰囲気で、私は彼を大切な友人のように思っていたから。彼の目をじっと見ながら彼の言うことを聞いた、とてもとても注意深くね。」(マリエル・ヘミングウェイ)16歳の時に「アニー・ホール」出演、編集でカットされた女優のステイシー・ネルキンは、17歳の時に42歳のウディ・アレン監督と恋愛関係にあり、本作のステイシーのモデルは彼女自身であるとしていますが、ウディ・アレン監督は彼女との関係はもっと後のことだとしています。真偽のほどはわかりませんが、ニューヨーク州の性的合意年齢は18歳の為、彼はステイシーの言い分を認められない立場にあります。なお、ステイシー・ネルキンは本作に出演していませんが、後に「ブロードウェイと弾丸」(1995年)に小役で出ています。ダイアン・キートン演じるメリーは「アニー・ホール」で演じたアニーに比べて屈折した役柄ですが、都合8回、ウディ・アレンの映画に出演しており、そのうち7回を彼が監督を務め、6回が彼との共演というキートンは、ウディ・アレンとの呼吸もぴったりです。メリル・ストリープは主人公の別れた妻役で、存在感が際立っています。出番は多くありませんが、彼女が登場すると画面がぴりりと引き締まり、ウディ・アレンの映画が、一瞬、彼女の映画になる印象です。因みに、ストリープは、同年に公開された「クレイマー、クレイマー」で、ダスティン・ホフマンを相手に同じく別れた妻役を演じています。本作でエールの妻、エミリーを演じているアン・バーンは、実生活でダスティン・ホフマンの別れた妻で、ウディ・アレンとキートンが一時、恋愛関係にあったことに加え、くっついたり離れたりしながらも同じ業界で、時に同じ仕事をしている現実が、本作で描かれている恋愛事情と重なり、興味深いです。ウディ・アレンは「アニー・ホール」、「インテリア」に続いて本作と、三年連続でアカデミー脚本賞にノミネートされました。ナチュラルで新鮮な、素晴らしいパフォーマンスを見せたヘミングウェイも、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされてます。本作からのノミネートはヘミングウェイになりましたが、主人公の別れた妻を演じたストリープは同年公開の「クレイマー、クレイマー」で同じく別れた妻役を演じ、アカデミー助演女優賞を獲得しています。ヘミングウェイにとっては残念ですが、これはもはや格の差としか言いようがありません。高い評価を得、興行的にも成功した本作ですが、ウディ・アレン本人自身は失敗作と考え、もう一本、ギャラなしで撮るからこの映画は公開しないでくれと、制作者会社のユナイテッド・アーティストに頼んでいます。「これしかできないなら、制作会社は私に制作費を払うべきじゃないと考えたんだ」「本作を見ても、夢中になれなかった。今日に至るまで、がっかりした思いでしかない。美しく撮れていないということではない。ゴードン・ウィリスが撮ったモノクロ映像だ。出演者もいい。でも、脚本が、説教じみていて、独善的なんだ。」(ウディ・アレン)しかし、逆に言えば、他の作品に比して彼の価値観がより強く滲み出ている、より彼らしい作品で、ウディのファンにとってはそこが何よりの魅力です。ウディ・アレンの価値観を感じさせる場面は随所にありますが、卑近な例では、アイザックが挙げる「生きる価値をもたらすもの」は、紛れもなくウディ・アレン自身のものです。グルーチョ・マルクス(影響を受けたアメリカのコメディアン)ウィリー・メイズ(アメリカの野球選手、ウディはスポーツ観戦を好んだ) 交響曲「ジュピター」の第2楽章(モーツアルトの41番目の交響曲) ルイ・アームストロングの「ポテト・ヘッド・ブルース」(ジャズを愛した)スウェーデン映画(イングマール・ベルイマン監督の映画に影響を受けている)ギュスターヴ・フローベールの「感情教育」(フランス人作家の自伝的長編小説)マーロン・ブランド(負の性格を演じて共感を得る先駆者的なアメリカの俳優)フランク・シナトラ(アメリカの歌手、離婚したミア・ファローがウディの元へ)ポール・セザンヌが描いた「桃と林檎」(フランスの画家、静物画を残している)「サム・ウーの店」のカニ料理(ウディの贔屓の中華料理の老舗)トレイシーの顔(映画で交際していた女性、ステイシー・ネルキンがモデル?)余談になりますが、主人公の友人、エールはスポーツカーが好きで、最初はフォード・マスタング・コンバーチブルの1967年型に乗っており、これをポルシェ356に乗り換えます。フォード・マスタングは、ベビーブーマー世代向けの中型車として開発され、低価格ながらスポーティーな外観と充分な性能で、T型フォード以来と言われる大ヒットとなり、「ポニー・カー」(マスタング(野生馬)に引っ掛けた仔馬の車という意味で、日本で言うスポーティ・カーに近い)という新たな分類を生み出しました。シリーズは未だに健在で、「ブリット」、「007 ダイヤモンドは永遠に」、「バニシングin60″」、「ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT」など、数多くの映画に登場します。フォード・マスタング・コンバーチブル1964年型ミニカー(楽天市場)一方、エールが乗り換えるポルシェ356は、1948年から1985年まで生産されたドイツの高級スポーツカーです。どこかしら大衆性を感じさせるフォード・マスタングに比べて、よりスノッブなイメージを持つ車です。こちらも映画「トップガン」で女性教官がっそうと乗り回すほか、「ノーマンズランド」、「ブリット」、「スペースカウボーイ」などの映画に登場します。本作の中で、「渋滞の多いニューヨークでは車は不要」という下りがありますが、そんなニューヨークでいずれもスポーツカー、さらにオープンというのがミソで、エールのスノッブな人物像を象徴しています。 ポルシェ356・カブリオレ1962年型ミニカー(楽天市場)【動画クリップ(YouTube)】アイザックがトレイシーに別れを告げるシーン【サウンドトラック】 Manhattann Original Soundtrack輸入版CD(楽天市場)1. Rhapsody in Blue (Instrumental) by Gary Graffman & New York Philharmonic Orchestra2 Land Of The Gay Caballero (Instrumental) by Zubin Mehta & New York Philharmonic Orchestra3. Someone To Watch Over Me (Instrumental) by Zubin Mehta & New York Philharmonic Orchestra4. I've Got A Crush On You (Instrumental) by Zubin Mehta & New York Philharmonic Orchestra5. Do, Do, Do (Instrumental) by Zubin Mehta & New York Philharmonic Orchestra6. Mine by Zubin Mehta & New York Philharmonic Orchestra7. He Loves And She Loves (Instrumental) by Zubin Mehta & New York Philharmonic Orchestra8. Bronco Busters (Instrumental) by Zubin Mehta & New York Philharmonic Orchestra9. Oh, Lady Be Good (Instrumental) by Zubin Mehta;New York Philharmonic Orchestra10. 'S Wonderful (Instrumental) by Zubin Mehta;New York Philharmonic Orchestra11. Love Is Here To Stay by Zubin MehtaNew & York Philharmonic Orchestra12. Sweet And Low-Down (Instrumental) by Zubin Mehta & New York Philharmonic Orchestra13. Blue, Blue, Blue (Instrumental) by Zubin Mehta & New York Philharmonic Orchestra14. Embraceable You (Instrumental) by Zubin Mehta & New York Philharmonic Orchestra15. He Loves And She Loves (Instrumental) by Zubin Mehta;New York Philharmonic Orchestra16. Love is Sweeping the Country/Land of the Gay Caballero (Instrumental) by Zubin Mehta & New York Philharmonic Orchestra17. Strike Up The Band (Instrumental) by Zubin Mehta & New York Philharmonic Orchestra18. But Not For Me (Instrumental) by Zubin Mehta & New York Philharmonic Orchestra【撮影地(グーグルマップ)】冒頭、アイザック、エール、エミリー、ステイシーの4人が話をする「エレインの店」があった場所ウディ・アレンのみならず、トム・ウルフ、クリント・イースト・ウッド、カーク・ダグラス、ミア・ファローなどの作家、セレブに人気のあった店。2011年の5月26日に閉鎖、その11日後にエレインが81歳で逝去。アイザックがエールと連れ立ったメリーに始めた会ったゲッゲンハイム・ミュージアムテレビの仕事を辞めた後、アイザックがエールと話す書店「Rizzoli Bookstore」があった場所現在は移転。アイザックがメリーに二度目に会った、ニューヨーク近代美術館の彫刻の庭有名な59丁目橋が見えるシーンが撮影された場所 ベンチは設置されておらず、持ち込んで撮影された。風景の美しい場所だったが、誰もこれほど有名になるとは思わなかったという。買い物をするメリーをエールがホテルに誘うデパート(ブルーミングデール)アイザックが息子を連れて行く「ザ・ロシアン・ティールーム」2002年に閉鎖されたが、2006年にオリジナルの外観で再開。アイザックとメリーが雨宿りした「ヘイデン・プラネタリウム」のあった場所1997年に取り壊され、2000年に現在のものが建設された。トレイシーがアイザックにロンドンに一緒にきて欲しいと伝えた「ジョンのピザ」アイザックとメリーが行ったホイットニー美術館現在は移転、メトロポリタン美術館の別館となっている。アイザックとメリーがウィンドウを見入ったニューヨークの老舗スーパー「ゼイバーズ」トレイシーが通う学校 「マンハッタン」のDVD(楽天市場)【関連作品】ウィディ・アレン脚本・監督作品のDVD(楽天市場) 「泥棒野郎」(1969年) 「ウディ・アレンのバナナ」(1971年) 「アニー・ホール」(1977年) 「マンハッタン」(1979年) 「カメレオンマン」(1983年) 「ブロード・ウェイのダニー・ローズ」(1984年) 「カイロの紫のバラ」(1985年) 「ハンナとその姉妹」(1986年) 「ラジオ・デイズ」(1987年) 「ウディ・アレンの重罪と軽罪」(1989年) 「夫たち、妻たち」(1992年) 「ブロードウェイと銃弾」(1994年) 「世界中がアイ・ラヴ・ユー」(1996年) 「ギター弾きの恋」(1999年) 「マッチポイント」(2005年) 「それでも恋するバルセロナ」(2008年)「ミッドナイト・イン・パリ」(2011年) 「ブルー・ジャスミン」(2013年)
2017年03月19日
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「ハドソン川の奇跡」(原題: Sully)は、2016年公開のアメリカのヒューマン・ドラマ映画です。2009年に起こったUSエアウェイズ1549便不時着水事故に関する自伝、チェスリー・サレンバーガーの「機長、究極の決断」を原作に、クリント・イーストウッド監督、トム・ハンクス、 アーロン・エッカートら出演で、全エンジンの出力を失った機体をハドソン川に不時着水させ、乗客・乗員全員を救うという奇跡を起こしながらも、PTSDに悩まされ、国家運輸安全委員会(NTSB)の事故調査と孤独な戦いを強いられた機長の姿を描いています。 「ハドソン川の奇跡」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:クリント・イーストウッド脚本:トッド・コマーニキ原作:チェスリー・サレンバーガー/ジェフリー・ザスロー「機長、究極の決断」出演:トム・ハンクス(チェスリー・"サリー"・サレンバーガー、USエアウェイズ1549便機長) アーロン・エッカート(ジェフ・スカイルズ、USエアウェイズ1549便副機長) ローラ・リニー(ローリー・サレンバーガー、サリーの妻) マイク・オマリー(チャールズ・ポーター、国家運輸安全委員会の調査員) ジェイミー・シェリダン(ベン・エドワーズ、国家運輸安全委員会の調査員) アンナ・ガン(エリザベス・デイヴィス、国家運輸安全委員会の調査員) ホルト・マッキャラニー( マイク・クリアリー、サリーの同僚) ケイティ・クーリック(本人役、サリーにインタビューするニュースキャスター) ジェフ・コーバー(クック大尉、青年期のサリーの教官) クリス・バウアー(ラリー・ルーニー、サリーの同僚) ジェーン・ガバート(シーラ・デイル、事故機の客室乗務員) アン・キューザック(ドナ・デント、事故機の客室乗務員) モリー・ヘイガン(ドリーン・ウェルシュ、事故機の客室乗務員) パッチ・ダラー(パトリック・ハーテン、航空管制官) ヴィンセント・ロンバーティ(本人役、通勤フェリー船長) ほか【あらすじ】2009年1月15日、USエアウェイズ1549便(AWE1549)がニューヨーク・マンハッタンの上空850メートルを飛行中、バードストライクによって全エンジンが停止、コントロールを失い、降下を始めます。機長のチェスリー・サレンバーガー(サリー機長、トム・ハンクス)は、必死のコントロールと苦渋の決断の末、70トンの機体を目の前を流れるハドソン川に不時着させます。乗員乗客155人全員が無事と、1人の犠牲者も出さない生還劇は「ハドソン川の奇跡」として全世界に報道されます。サレンバーガーが世間から国民的英雄として賞賛される一方で、国家運輸安全委員会(NTSB)による事故原因の調査が始まります。その過程でサリー機長の判断が適切であったかどうか、また、左エンジンは動いていたのではないかという疑いを持たれ、彼はNTSBから厳しい追及を受けます。不安に苛まれる中、サリー機長は今までの人生や事故の日を回想します。やがて、検証の最終段階でもある公聴会の日が訪れます・・・。【レビュー・解説】撮影の為に事故機と同型の機体を購入するほどのリアリティへのこだわり、飛行経路や交信記録など実際の出来事を適確に押さえた感動的展開、PTSDや事故調査のプレッシャーに苦しむ機長と周囲の人々を演じるベテラン俳優たちの確実で質の高いパフォーマンスが際立つ秀作です。撮影の為、事故機と同型の退役機を購入、実際に救助を行ったボートと操縦士も登場、パイロットの使用していたボールペンやネクタイの締め方に至るまでリアリティにこだわった本作は、飛行経路や交信記録など実際の出来事を適確に押さえており、虚飾のない真実そのものが持つ感動が伝わってきます。撮影の為、事故機と同型機を購入、実際の救助を行ったボートと操縦士も登場するまた、単に155人の乗員・乗客の命を救ったヒーローとして描くのではなく、PTSDや事故調査委員会のプレッシャーに苦しむ機長や副機長、家族の人物像を、トム・ハンクス、アーロン・エッカート、ローラ・リニーら豪華俳優の質の高いパフォーマンスで描くことにより、ヒューマンドラマとして非常に説得力のあるものになっています。トム・ハンクス(チェスリー・"サリー"・サレンバーガー、USエアウェイズ1549便機長)アーロン・エッカート(ジェフ・スカイルズ、USエアウェイズ1549便副機長)ローラ・リニー(ローリー・サレンバーガー、サリーの妻)強いて難点を上げれば、リアリティにこだわる他の部分に比べ、NTSBの露骨な敵対描写が少し安っぽく感じられます。元NTSBの調査官もこの描写に不満を表明していますが、調査は事故原因を究明し、再発を防止するために行われるもので、協力的な調査対象に露骨に敵対すること基本的にありません。脚本を書いたトッド・コマーニキは、悪気は無かったが、一年以上かけてパイロットのヒューマンエラーをあら捜しする調査を、数日間に圧縮した上で、端的に表現したと結果と語っています。低高度、低速度で全エンジンの推力を失ったパイロットにかかるプレッシャーは相当なものです。サリー機長は、不時着水から48時間で6キロ体重が減り、数ヶ月間、PTSDに苦しむことになります。そんな極限状態でわずか3分あまりの間になされた様々な判断や行動の妥当性を、NTSBの専門家集団は一年以上もかけて調べるわけです。保険会社などの利害や関連組織の責任も絡み、全員助かったからと言って結果オーライ、調査不要とはなりません。落ち度が見つかれば信頼も仕事も失い、下手をすれば家や家族も失いかねない孤独な機長と、NTSBの専門家集団の戦いが延々と続くわけです。パイロット組合のサポートや弁護士の手当があったとしても、PTSDに苦しみながらそれを一年以上も続けるのは想像を絶するような苦しみでしょう。大義名分のもと官僚的に追求をするNTSBを悪者にすることに、映画制作者はさして抵抗がなかったと思われます。なお、NTSBの調査官は当初、実名で書かれていましたが、脚本を読んだサリー機長の提案で架空の名前に変更されています。また、NTSBの最終報告はフェアであり、むしろ、サリー機長を支持する圧倒的な世論に押されてか、彼を尊重する表現が散見されます。【NTSBの最終報告の概要】胴体の損傷及びそれに伴う脱出スライド/救命ボートの動作不良の原因エンジン出力を失ったまま不時着水できるかどうか吟味することなく、FAAが不時着水を認可したこと航空会社による不時着水のトレーニングや教育が不十分だったこと緊急事態における過負荷の為、機長が適切な最終進入速度を維持できなかったこと生存率が高かった理由乗員の判断とCRM(クルー・リソース・マネジメント:乗員の連携)が良かった。「空港に向かわず不時着水する」という判断、機長と副機長の阿吽の呼吸の連携が生存率を高めた。筆者注)「Brace for impact」(衝撃に備えよ)と手短に機内放送すると、即座に客室乗務員が「Brace. Brace. Brace. Head down. Stay down.」(構えて。構えて。構えて。頭を下げて。立たないで。)と連呼する声が聞こえ、その声で自身が湧き、着水の成功を確信したとサリー機長は語っており、これも広い意味でCRMと言える。客室乗務員が連呼する声は、映画にも収録されている。洋上飛行しないにも関わらず、脱出スライド/救命ボートを装備していた。客室乗務員による脱出の誘導が、適確だった。不時着水現場周辺の救援者が、迅速かつ適確に対応した。 NTSB AWE1549便事故最終報告(英文)【何が奇跡をもたらしたのか?】ニューヨーク州知事のデイヴィッド・パターソンが、「We have a heroic pilot who saved himself and 154 other passengers. We've had a Miracle on 34th Street and now I believe we've had a miracle on the Hudson.」(英雄的パイロットが154人の乗員乗客とともに生還した。ニューヨークはかつて「34丁目の奇跡」を生んだが、今また「ハドソン川の奇跡」を生んだ。)と絶賛したことから、この不時着水が「ハドソン川の奇跡」と呼ばれるようになり、本作の邦題にも使用されています。映画でも描かれているように現場でサリー機長に会おうとしたニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグは、「The pilot certainly did a masterful job of landing and everybody worked together」(パイロットが着水をリードし、皆が力を合わせた)と補足しています。上述の【NTSBの最終報告の概要】にもあるのように、「奇跡」は決してサリー機長ひとりによってもたらされたものではありません。当初、サリー機長は「奇跡」とか「ヒーロー」と言われることを嫌いました。身を挺して誰かを救ったわけではない、不時着水するしかなかった、選択肢がない中でやるべきことをやっただけという彼には、ヒーローと呼ばれることが解せませんでした。しかし、リーマンショック以降、人間不振に陥っていたアメリカ国民が「力を合わせて人の命を救うということができる」というヒロイズムを求めている事に、サリー機長は気づきます。自分一人の事を考えてヒーローであることを拒否していたことを恥じ、彼は副機長や他の乗員、救援に駆けつけてくれた人々が期待以上の働きをしてくれたことに改めて感謝、彼らとともにヒーローと呼ばれることを受け入れるようになります。オバマ大統領に招待された際も、他の乗員の同席を条件に受け入れたと言います。映画の終盤、サリー機長が副機長に「我々はチームだった」と言うのは、そんなサリー機長の気持ちの表れでもあります。【危機管理】Wikipedia の日本版を見るとサリー機長が「フォワードスリップにより急降下」という誤った記述があります。日本人にはサリー機長の資質を操縦技術に求める傾向があるようです。恐らく彼が軍のパイロットだった為と思われますが、アメリカでは軍出身のパイロットは珍しくなく、また、彼が乗務していたF4とA320は、いわば電子化以前の旧式レーシングカーと、コンピュータ制御のハイテク大型観光バスほど違い、操縦技術は全く異なります。NTSBが「緊急事態における過負荷の為、機長が適切な最終進入速度を維持できなかった」ことを指摘するなど、仮に彼に卓越した操縦技術があったとしてもそれmは必ずしも発揮されていませんし、彼自身も、同じ状況で乗客を救えるパイロットは、世界中に何千人もいると語っています。彼の行動で際立っているのは、むしろ危機管理です。彼自身や彼の家族、同僚によって、10代の頃、教官に連れられ、パイロットが死亡した墜落現場を見て学んだ軍の同僚が事故死する度に、安全への意欲を新たにした常に不時着可能な場所を視界の中に確認しながら、軽飛行機を飛ばす飛行中、彼は目的地の天候を一時間ごとにコンピューター入力するといったエピソードが語られていますが、危機管理は彼のこだわりであり、映画の中でも触れられように、彼は航空安全に関する副業もしてしています。危機管理は操縦技術に比べて、地味です。誰でも簡単にできそうなことですが、サリー機長はそれを愚直に続けていました。彼の40年の飛行キャリアは、ハドソン川でAWE1549便を救う為にあったととさえ言われています。15:27:32 緊急事態を宣言、ラガーディア空港に戻ることを要求する。 中略(左旋回して、高度を失う。ハドソン川に並行する)15:28:10 ラガーディア空港に戻ることを断念。 ハドソン川に不時着水するかもしれないと伝える。 中略(ハドソン川上空の進路を維持)15:28:49. 右手にテータボロ空港を視認し、追って着陸の意向を伝える。 中略(ハドソン川上空の進路を維持)15:29:28 ハドソン川に不時着水することを伝える。この間、副機長はずっとエンジンの再始動を試みています。早い段階で、ハドソン川に不時着水することを最悪の想定とし、その進路を維持しながら、エンジンが再始動した場合に着陸する空港を探していることがわかります。低高度、低速度で全エンジンの推力を失うという極限状態で緊急事態宣言、緊急対応をしながら不時着水を最終決断するまで、2分弱です。不時着水は決め打ちではありません。選択肢を持つことは非常に重要ですが、極限状態の中、その場で考えてできることではなく、危機管理が身に染み付いていて初めてできることです。 NTSBとの間で争点となった、ラガーディア空港に引き返さなかったことについて、彼は「機長、究極の決断」の中に、次のように記しています。「人口の密集した地域の上空を横切ることを選ぶならば、やり通さなければならなかった。一度、ラガーディアに向かえば、それはやり直しのきかない選択だ。他の選択肢をすべて排除してしまう。到達できない滑走路を目指すことは、機上の全員と地上の数えきれない人々に壊滅的な結末をもたらす。例え、ラガーディアに数フィート足りないだけでも、結末は大惨事だ。」【人生が変った】インタビューで、サリー機長はよく、「人生が変った」と口にします。彼は、不時着水までの40年間の飛行キャリアで、一度もエンジンの推力を失ったことがなく、一度も機体を傷つけて帰還したことがありませんでした。PTSDや事故調査に苦しむことになど、想像だにしなかった人生でした。メディアや世間に注目され、おちおち外出も出来ず、家族もPTSD状態になり、客室乗務員たちは「昔の生活に戻りたい」と願ったそうです。彼は目立ちたがり屋ではなく、一躍ヒーローになった彼は苦痛だったに違いないと、機長夫人は語っています。いろいろな人に出会えたことは良かったそうです。全世界から何万通もの手紙を貰い、中には、「ヒーロー、パイロット、USA」という宛名で届いた手紙もあったそうです。2009年10月1日、サリー機長は事故を起こしたUSエアウェイズ1549便と同じ路線で、操縦士として復帰、副操縦士は不時着水当日と同じくジェフリー・スカイルズが担当し、当日果たせなかったフライトを完遂させます。「もう十分に任務を果たした、これ以上、人命を預かるなんて荷が重すぎる」という家族なる切なる願いもあり、2010年3月3日、サレンバーガー機長はこの日のフライトを最後にパイロットを引退します。相変わらず人に注目されるのが苦痛で、声をかけられ、一緒に写真に写り、飛行機の出発が遅れてしまうという事情もあったようです。飛行機から降りたサリー機長は、家族を大切にしたいと言います。天寿を全うした暁には、墓銘碑に「夫、父、パイロット」と刻まれたいそうです。不時着水したA320は引き上げられ、事故当日の目的地であったノースカロライナ州のシャーロットにあるカロライナ航空博物館に展示されています。エンドクレジットの乗員乗客の記録映像は、この博物館で撮影されたものです。【サウンドトラック】 Music from and Inspired by the Motion Picture -Sully-(楽天市場)1.Sully Suite 2.Sully Wakes Up 3.Flying Home (Sully's Theme) 4.Boarding 5.Hospital 6.F4 Malfunction 7.Hudson View 8.Sully Reflects 9.I Could Have Lost You 10.Arrow11.Sully Running 12.Times Square Run 13.Simulation 14.Sully Doubts 15.Vindication 16.Grey Goose With A Splash Of Water 17.Sauna 18.Rescue 19.Flying Home (Alternate Take)【撮影地(グーグル・マップ)】サリー機長が不時着水したハドソン川カロライナ航空博物館に展示された事故機 「ハドソン川の奇跡」のDVD(楽天市場)【関連作品】「ハドソン川の奇跡」の原作本(楽天市場) チェスリー・サレンバーガー/ジェフリー・ザスロー「機長、究極の決断」クリント・イーストウッド監督作品のDVD(楽天市場) 「許されざる者」(1992年) 「ザ・シークレット・サービス」(1993年) 「マディソン郡の橋」(1995年) 「ミスティックリバー」(2003年) 「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年) 「硫黄島からの手紙」(2006年) 「アメリカン・スナイパー」のDVD(2014年)トム・ハンクス出演作品のDVD(Amazon) 「ビッグ」(1988年) 「アポロ13」(1995年) 「すべてをあなたに」(1996年) 「プライベート・ライアン」(1998年) 「グリーンマイル」(1999年) 「キャスト・アウェイ」(2000年) 「ロード・トゥ・パーディション」(2002年) 「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(2002年) 「キャプテン・フィリップス」(2013年) 「ターミナル」(2004年) 「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」(2007年) 「ブリッジ・オブ・スパイ」(2015年)アーロン・エッカート出演作品のDVD(楽天市場) 「エリン・ブロコビッチ」(2000年) 「ベティ・サイズモア」(2000年) 「サンキュー・スモーキング」(2006年) 「ダークナイト」(2008年) 「ラビット・ホール」(2010年)ローラ・リニー出演作品のDVD(楽天市場) 「トゥルーマン・ショー」(1998年) 「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」(2000年) 「ミスティック・リバー」(2003年) 「愛についてのキンゼイ・レポート」(2004年) 「イカとクジラ」(2005年) 「アメリカを売った男」(2007年) 「マイ・ライフ、マイ・ファミリー」(2007年) 「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」(2015年)
2017年03月16日
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「人生は小説よりも奇なり」(原題:Love is Strange)は、2014年公開のフランス・アメリカ合作のドラマ映画です。アイラ・サックス監督、ジョン・リスゴー、アルフレッド・モリーナ、マリサ・トメイら出演で、念願の同性婚を果たしたカップルの悲喜こもごもを描いています。 「人生は小説よりも奇なり」のDVD(楽天市場)監督:アイラ・サックス脚本:アイラ・サックス /マウリーシオ・ザカリーアス出演:ジョン・リスゴー(ベン) アルフレッド・モリーナ(ジョージ) マリサ・トメイ(ケイト) ダーレン・バロウズ(エリオット) チャーリー・ターハン(ジョーイ) シャイアン・ジャクソン(テッド) マニー・ペレス(ロベルト) クリスチャン・コールソン(イアン) ほか【あらすじ】ニューヨーク、マンハッタンに暮らす画家のベン(ジョン・リスゴー)と音楽教師のジョージ(アルフレッド・モリーナ)は、39年間連れ添ってきた同性カップルです。2011年、ニューヨーク州で同性婚が可能になり、念願かなって入籍しますが、周囲の差別や偏見は根強く、同性婚によってジョージは教会の仕事をクビになってしまいます。彼の給料なしではニューヨークのアパートでの暮らす余裕がなく、二人は、別々に友達や家族の家に世話になります。ベンはブルックリンに住む甥のエリオット(ダーレン・バロウズ)、妻のケイト(マリサ・トメイ)、息子のジョーイ(チャーリー・ターハン)の一家に世話になります。一方、ジョージは隣人の警官の同性カップル、ロベルト(マニー・ペレス)とテッド(シャイアン・ジャクソン)の家に世話になります。慣れない友人や家族との同居には不都合もあり、ベンとジョージは寂しい思いを紛らわすために一緒の時間を作ろうとします・・・。【レビュー・解説】監督自身の体験や見聞を元に再構成、ニューヨークを舞台に、39年間連れ添ったゲイ・カップルの同性婚と新たな逆風を通して、彼らの成熟した関係と、友人や家族など、ゲイ・ストレイトを問わない、世代を超えた人間関係の悲喜こもごもを、散文詩的に描いた作品です。アイラ・サックス監督はゲイであることを公表しています。2012年に共同脚本のマウリーシオ・ザカリーアスと映画の準備を始めた頃、50歳間近のサックス監督は一人暮らしをやめ、10歳年下の画家のボリス・トレスと同性婚、生まれたばかりの双子とその母(ドキュメンタリー映画監督のクリステン・ジョンソン)と一緒に暮らしていました。それぞれの親族がひっきりなしに訪問してくる中で、彼はかつてないほど愛について希望を感じていたといいます。そこで彼は、異なる世代が狭いニューヨークのアパートで同居する話を映画にしようと考えました。登場人物は、サックス監督の実母、継父、大叔父とそのパートナー、トレスの知人でその家の最上階にゲイの警官が住むマイケル・ジマー氏、同性婚した後にカトリック教会の職を失ったというゲイカップルに触発されています。サックス監督とトレスは以前から、子供を持つことに関心がありました。ドキュメンタリー映画監督のクリステン・ジョンソンはボーイフレンドと破局した後に、子供を作るべきか否か、悩んでいたと言います。三人は三年間話し合い、ジョンソンは他の女性から卵子提供を受け、サックス監督の精子で双子の子供を生みます。サックス監督とトレスの同性婚から一週間後、ジョンソンと生まれたばかりの双子が引っ越してきて同居生活を始めます。あまりに騒々しかった為に、14ヶ月後に彼女と双子は隣の家に引っ越しますが、彼らの家族関係はうまく行っているようです。サックス監督は、こうした経験や見聞の断片をふんだんに作品に取り込んでいます。ベンとジョージは直接的には、サックス監督の大叔父とそのパートナーがモデルだが、10歳の年齢差はサックス監督とトレスの年齢差に重なる。ベンは画家という設定だが、トレスも画家であり、サックス監督はベンはトレスに似ていると語っている。また、作中に使用する絵は全てトレスが描いている。同性婚した後、カトリック教会に解雇された話は見聞に基づくが、映画では「教会に公的に対立する立場をとらない」という誓約書に違反した為の解雇と説明されている。ジョージの同性愛はそれまで教会内で暗黙の了解だったが、正式な結婚により、同性婚に反対する教会に「公的に」対立する立場をとったことになってしまったのだ。ジョージが世話になる警官の同性愛カップルは、トレスの知人のジマー氏宅の最上階に住んでいたいた警官カップルがモデルとなっている。サックス監督は、トレスとともにジマー氏宅をよく訪れている。ベンが世話になるエリオットの家族は、サックスの継父と母親がモデルと思われるが、サックス監督とトレスの新婚家庭があまりに騒々しい為、双子とともに隣家に引っ越したジョンソン監督が重なる。引っ越しの為、一時的な別居を余儀なくされ、ベンはストレートの家族、ジョージはゲイのカップルと同居しますが、気まずいことも起きてきます。それはライフスタイルや価値観の違いによるもので、必ずしもゲイだから、ストレートだからという問題ではありません。物語は淡々と進み、意外な展開を迎えますが、ゲイのコミュニティとの繋がりからも、ストレイトの家族との繋がりからも、新たなものが生まれていきます。強いメッセージを発するという言うよりは、39年間連れ添ったゲイ・カップルの成熟した関係と、友人や家族など、ゲイ・ストレイトを問わない、世代を超えた人間関係の悲喜こもごもを、ニューヨークの印象的な風景と、クラシックが中心の美しいサウンドトラックをバックに散文詩的に描いた本作は、叙情的で心に沁みる作品です。ジョン・リスゴー(ベン)ジョン・リスゴー(1945年〜)は、ニューヨーク州出身のアメリカの映画・舞台俳優で、父親は演劇プロデューサー・演出家、母親は女優。奨学金を得てハーヴァード大学で学び、1973年にブロードウェイ・デビュー、トニー賞の助演男優賞(演劇部門)を受賞する。ボブ・フォッシーの半自伝的映画「オール・ザット・ジャズ」などに出演、「ガープの世界」(1982年)、「愛と追憶の日々」(1983年)でアカデミー助演男優賞にノミネートされる。テレビにも出演し、エミー賞を三度、受賞している他、舞台「成功の甘き香り」(2002年)でトニー賞の主演男優賞(ミュージカル部門)を受賞しており、舞台俳優としても定評がある。アルフレッド・モリーナ(左、ジョージ)アルフレッド・モリーナ(1953年〜 )は、イギリス出身の俳優。ロンドンで労働者階級のスペイン人の父とイタリア人の母の元に生まれ育つ。子供の頃から役者を志し、ギルドホール音楽演劇学校で学ぶ。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー に所属、舞台でキャリアを積み、「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」(1981年)で映画デビュー。その後、数多くの映画作品に出演している。マリサ・トメイ(ケイト)マリサ・トメイ(1964年〜)は、アメリカの女優。ブルックリンのイタリア系アメリカ人で弁護士の父、同じく教師の母の元に生まれ、両親が演劇好きだったため、早くから女優を志し、弟のアダムも俳優。「フラミンゴキッド」(1984年)の端役で映画デビュー、「いとこのビニー」(1992年)でアカデミー助演女優賞を受賞し、一躍知られるようになる。以降、伸び悩み、アカデミー賞受賞は間違いだったのではないかと揶揄されるが、「イン・ザ・ベッドルーム」(2001年)、「レスラー」(2008年)でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、実力のほどを見せている。マリサ・トメイは個性的な役柄を演じることが多いが、本作ではベンの同居で仕事に集中できず、かと言って苦情も言えずに悶々とする女性らしい役柄を演じている。疲れた帰ってきた夫に寝室で見せる表情に、さすがオスカー女優とサックス監督を唸らせた。ダーレン・バロウズ(右、エリオット)チャーリー・ターハン(ジョーイ)ゲイの警官カップル、マニー・ペレス(右から2人目、ロベルト)とシャイアン・ジャクソン(右から3人目、テッド)ニューヨークの美しく印象的なショットが挿入される【サウンドトラック】 「ラブ・イズ・ストレンジ」サウンドトラックCD輸入版(楽天市場)ショパン「Berceuse in D-Flat Major, Op. 57」by Idil Biretショパン「Prelude No. 15 in D-Flat, Op. 28」by Dovie Currinベートーベン「Piano Sonata No. 28 in a Major, Op. 101」by Idil Biretショパン「Waltz No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 64, No. 2」by Idil Biretショパン「Ballade No. 3 in A-Flat Major, Op. 47」by Idil Biretシュニトケ「Suite Im Alten Stil, No. 3 Minuet」by Ralf Gothóni & Mark Lubotskyショパン「Nocturne No. 8 in D-Flat Major, Op. 27」by Idil BiretDaniel Indart 「Coco y Ron」by Daniel Indartヴィエニャフスキ「Legende, Op. 17」by Marat Bisengaliev & John Lenehanバーグマン&スペンス「That’s Him Over There」by ニーナ・シモンショパン「Nocturne No. 5 in F-Sharp Major, Op. 15」by Idil Biretショパン「Berceuse in D-Flat Major, Op. 57 (ピアノ交響楽編曲)」by The Slovak Radio Symphony Orchestra【撮影地(グーグルマップ)】冒頭、二人がタクシーを拾おうとする通りバーで飲んだ後、二人で歩く通りベンがジョージと分かれて地下鉄に乗る場所ジョージが新居に向かって歩く道(A)ジョージが新居に向かって歩く道(B)ガールフレンドがジョーイを待つ場所 「人生は小説よりも奇なり」のDVD(楽天市場)【関連作品】アイラ・サックス監督作品のDVD(楽天市場) 「Keep the Lights On」(2014年)・・・輸入版、リージョン1,日本語なし 「Little Men 」(2016年)ジョン・リスゴー出演作品のDVD(楽天市場) 「ミッドナイトクロス」(1981年)・・・輸入版、リージョン1,日本語なし 「愛と追憶の日々」(1983年) 「愛についてのキンゼイ・レポート」(2004年) 「猿の惑星: 創世記」(2011年) アルフレッド・モリーナ出演作品のDVD(楽天市場) 「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」(1981年) 「ブギーナイツ」(1997年) 「マグノリア」(1999年) 「スパイダーマン2」(2004年) 「ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男」(2006年) 「17歳の肖像」(2009年) 「ノーマル・ハート」(2014年)マリサ・トメイ出演作品のDVD(楽天市場) 「いとこのビニー」(1992年) 「イン・ザ・ベッドルーム」(2001年) 「その土曜日、7時58分」(2007年) 「レスラー」(2008年) 「僕の大切な人と、そのクソガキ」(2010年) 「リンカーン弁護士」(2011年) 「スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜」(2011年) 「ラブ・アゲイン」(2011年) 「マネー・ショート 華麗なる大逆転」(2015年) 「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」 (2016年)
2017年03月14日
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「22 ジャンプ・ストリート」(原題:22 Jump Street)は、2014年公開のアクション・コメディ映画です。ジョニーデップ主演のテレビドラマ・シリーズ「21 Jump Stree」を原作に、2012年に公開され大ヒットとなったアクション・コメディ「21ジャンプストリート」の続編として、フィル・ロード/クリストファー・ミラー監督、ジョナ・ヒル、チャニング・テイタムら出演で、大学で起きた麻薬事件を捜査する為、大学生に扮して校内に潜入するが、アメフト選手となって活躍したり、女子大生と恋仲になったりと、キャンパスライフを満喫してしまう二人の潜入捜査官を描いています。 「22 ジャンプ・ストリート」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:フィル・ロード/クリストファー・ミラー脚本:マイケル・バコール/オーレン・ウジエル/ロドニー・ロスマン原案:マイケル・バコール/ジョナ・ヒル原作:パトリック・ハスバーグ/スティーヴン・J・キャネル「21 Jump Stree」出演:ジョナ・ヒル(シュミット) チャニング・テイタム(ジェンコ) ピーター・ストーメア(ゴースト) アイス・キューブ(ディクソン警部) ワイアット・ラッセル(ズーク) ジミー・タトゥロ(ルースター) アンバー・スティーヴンス(マヤ・ディクソン) ジリアン・ベル(メルセデス) キース&ケネス・ルーカス(キース&ケネス・ヤン) ニック・オファーマン(ハーディ副署長) マーク・エヴァン・ジャクソン(ドクター・マーフィー) リチャード・グリエコ(デニス・ブッカー) デイヴ・フランコ(エリック・モルソン、元学生、前作で逮捕され服役中の麻薬の売人) ロブ・リグル(ミスター・ウォルター、元体育教師、前作で逮捕され服役中の麻薬の売人) パットン・オズワルド(カメオ出演、歴史の教授) セス・ローゲン(カメオ出演、ジョナ・ヒルの代役) ほか【あらすじ】二年前に21ジャンプストリートでの任務に成功したシュミット(ジョナ・ヒル)とジェンコ(チャニング・テイタム)は、麻薬の売人を追っています。しかし、ゴースト(ピーター・ストーメア)が率いる売人のグールプを追い詰めることに失敗、ハーディ副所長は二人を犯罪特別捜査課のディクソン警部の元に戻します。犯罪特別捜査課の拠点はかつての21番地から向かいの22番地に引っ越ししており、二人は大学に潜入捜査することになります。ターゲットは、学生が使用して死亡した「WHYPHY」 (新型合成薬物で、Work Hard? Yes, Play Hard? Yesの略) の売人です。大学でジェンコは、体育会系のズーク(ワイアット・ラッセル)とルースター(ジミー・タトゥロ)と友達になります。ルースターが捜査の第一容疑者で、ジェンコは捜査の為にシュミットと一緒にパーティに出ますが、ズークとルースターはシュミットに辛く当たります。一方、シュミットはポエトリー・スラム(詩の朗読競技)に興味があるふりをして、芸術専攻のマヤ(アンバー・スティーヴンス)に近づきます。二人は一夜を共に過ごし、ルームメイトのメルセデス(ジリアン・ベル)の不評を買います。シュミットはディクソン部長に自慢しますが、後にマヤは彼の娘であることわかり、ディクソン部長は激怒します。マヤに本気ではないと言われたシュミットは、ジェンコがズークにフットボールチームに誘われるのを横目に、寂しい思いをします。シュミットとジェンコは売人を特定できず、以前に捕まえた売人を刑務所に訪ね、写真に映っているタトゥーに注目するよう、アドバイスを得ます。ジェンコはタトゥーが第一容疑者のルースターではなく、ズークの腕にあることに気づきますが、ズークは売人ではなく、客だったことがわかります。二人は、ゴーストとその一味がキャンパスにいるのを発見しますが、また逃げられてしまいます。ジェンコは、ズークとともにフットボールの奨学金のオッファーを受けていること、警察官としての将来を不安に感じていることを、シュミットに明かします。シュミットは、マヤに自分の正体を明かし、怒るマヤを後にひとり学生寮を出ます・・・。【レビュー・解説】ジョナ・ヒル、チャニング・テイタムが演じるバディに加えて、アイスキューブが演じる上司もストーリー展開に絡み、さらに数多くのキャスト、カメオが笑いを振りまく一方で、予告編やエンド・クレジットの後にまでギャグを仕込む本作は、笑いが満載された、第一作に劣らないアクション・コメディです。一作目と同様、ジョナ・ヒル、チャニング・テイタムが期待を裏切らないバディぶりを披露しますが、さらにアイスキューブが演じる上司のディクソン警部がストリー展開に絡み、彼の個性を遺憾なく発揮しています。ジョナ・ヒル(右、シュミット)とチャニング・テイタム(左、ジェンコ)アイス・キューブ(中央、ディクソン警部)さらに、最近人気の一卵性双生児のコメディ・デュオ、キースとケネスのルーカス兄弟が学生寮に住むキース&ケネスのヤン兄弟を演じ、息の合ったパフォーマンスを見せます。これが、噛み合わなくなっていくシュミットとジェンコのバディと対称的で、効果的な演出にもなっています。キース&ケネスのルーカス兄弟(キース&ケネスのヤン兄弟)前作に出演したデイヴ・フランコ(エリック・モルソン)、ロブ・リグル(ミスター・ウォルター)も服役中の囚人として出演、エンドクレジットの後にも登場し、しっかりと笑いをとります。デイヴ・フランコ(エリック・モルソン、元学生、前作で逮捕され服役中の麻薬の売人)ロブ・リグル(ミスター・ウォルター、元体育教師、前作で逮捕され服役中の麻薬の売人)本作のマドンナ、マヤを演じるのは、テレビ・映画で活躍しているアンバー・スティーヴンスです。とても綺麗な女優さんで、演技も嫌味がありません。「21 ジャンプストリート」(2012年)で、マドンナを務めたブリー・ラーソンが後に「ルーム」(2015年)でアカデミー賞主演女優賞を受賞しただけではなく、「スーパー・バッド 童貞ウォーズ」(2007年)でジョナ・ヒル演じる主人公のマドンナを務めたエマ・ストーンが「ラ・ラ・ランド」(2016年)でやはりアカデミー賞主演女優賞を受賞しています。ジョナ・ヒルのマドンナ役はオスカー女優への登竜門、アンバー・スティーヴンスも、今後さらに活躍、オスカー女優になってしまうかもしれません。アンバー・スティーヴンス(マヤ・ディクソン)さらに、パットン・オズワルドや、セス・ローゲンもカメオ出演しています。パットン・オズワルド(カメオ出演、歴史の教授)セス・ローゲン(左、カメオ出演、ジョナ・ヒルの代役)メキシコのウルヴァリン?!高校が舞台の前作の山場はプロムでしたが、大学が舞台の本作の山場はスプリング・ブレイクです。スプリング・ブレイクは学期末の1〜2週間の春休みのことで、アメリカの特に北部の大学生がこの時期に暖かい街に集結し、春を謳歌します。特に、映画「スプリング・ブレイク」(1983年)が公開され、この社会現象が白熱、若者たちが南の街に集結し、酒、ドラッグ、セックスを享楽するイメージが定着しました。その後、沈静化の動きもありますが、未だスプリング・ブレイクは健在で、2013年にはセレーナ・ゴメス、ヴァネッサ・ハジェンズ、アシュレイ・ベンソン、レイチェル・コリン、ジェームズ・フランコら出演で、春休みを楽しむ4人の女子大学生たちが描く「スプリング・ブレイカーズ」が公開されています。スプリング・ブレイクでプエルトリコの海岸に集結した大学生たちエンディングに流れる、「23 ジャンプストリート」以降の作品を紹介するフェイクの予告編のポスターが秀逸です。これは公開の一ヶ月前に一日で撮影されたものですが、実際のポスターのようにクォリティが高く、「ジャンプストリート」シリーズのファンにはたまらないもので、どの作品も見てみたくなります。23 Jump Street: Medical School24 Jump Street: Foreign Exchange25 Jump Street: Semester at Sea26 Jump Street: Arts School27 Jump Street: Culinary School28 Jump Street: Veterinary School29 Jump Street: Sunday School30 Jump Street: Flight Academy31 Jump Street: Ninja Academy32 Jump Street: Fireman Academy33 Jump Street: Generations34 Jump Street: Return of the Ghost35 Jump Street: Traffic School36 Jump Street: Military School37 Jump Street: Scuba Class38 Jump Street: Dance Academy39 Jump Street: The Electronic Game40 Jump Street: The Retirement Home41 Jump Street: Magic School42 Jump Street: Beauty School43 Jump Street: Mariachi School2121 Jump Street【動画クリップ(YouTube)】「ジャンプストリート」シリーズ偽予告編 「22 ジャンプ・ストリート」のDVD(楽天市場)【撮影地(グーグルマップ)】引っ越しした犯罪特別捜査課の新しい拠点(22ジャンプストリート)シュミットとジェンコが潜入した大学(A)シュミットとジェンコが潜入した大学(B)シュミットとジェンコが再会する公園スプリング・ブレイクのシーンが撮影されたプレルトルコの海岸エンディングでヘリが右手のホテルの屋上がから飛び立つ【関連作品】「22 ジャンプストリート」の前作のDVD(楽天市場)(フィル・ロード/クリストファー・ミラー監督xジョナ・ヒルxチャニング・テイタム) 「21ジャンプストリート」のDVD(楽天市場)オリジナルのTVシリーズ(ジョニー・デップ主演)のDVDボックス(楽天市場) シーズン1 シーズン2 vol.1 シーズン2 vol.2 シーズン3 vol.1 シーズン3 vol.2フィル・ロード/クリストファー・ミラー監督作品のDVD(楽天市場) 「くもりときどきミートボール」(2009年) 「LEGO ムービー」(2014年)マイケル・バコール脚本作品のDVD(楽天市場) 「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」(2010年)ジョナ・ヒルxチャニング・テイタム共演作品のDVD(楽天市場) 「ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日」(2013年) 「ヘイル、シーザー!」(2016年)ジョナ・ヒル出演作品のDVD(楽天市場) 「40歳の童貞男」(2005年) 「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」(2007年) 「スーパーバッド 童貞ウォーズ」(2007年) 「寝取られ男のラブ♂バカンス」(2008年) 「素敵な人生の終り方」(2009年) 「僕の大切な人と、そのクソガキ」(2010年) 「マネーボール」(2011年) 「ジャンゴ 繋がれざる者}(2012年) 「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013年) チャニング・テイタム出演作品のDVD(楽天市場) 「エージェント・マロリー」(2011年) 「マジック・マイク」(2012年) 「サイド・エフェクト」(2013年) 「フォックスキャッチャー」(2014年)
2017年03月11日
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「さざなみ」(原題:45 Years)は、2015年公開のイギリスのドラマ映画です。デイヴィッド・コンスタンティンの短編小説「In Another Country」を原作に、アンドリュー・ヘイ監督・脚本、シャーロット・ランプリング、トム・コートネイら出演で、 50年以上前に雪山で行方不明となった夫の恋人の遺体が、当時の姿のまま発見されたという知らせを受けた老夫婦の揺れる心を描いています。第65回ベルリン国際映画祭で主演男優賞(トム・コートネイ)と主演女優賞(シャーロット・ランプリング)をダブル受賞、第88回アカデミー賞で主演女優賞(シャーロット・ランプリング)にノミネートされた作品です。 「さざなみ」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:アンドリュー・ヘイ脚本:アンドリュー・ヘイ原作:デイヴィッド・コンスタンティン「In Another Country」出演:シャーロット・ランプリング(ケイト・マーサー ) トム・コートネイ(ジェフ・マーサー) ジェラルディン・ジェイムズ(リナ) ドリー・ウェルズ(サリー) デヴィッド・シブリー(ジョージ) サム・アレキサンダー(クリス・ザ・ポストマン) リチャード・カニンガム(ミスター・ワトキンス) ハンナ・チャーマーズ(旅行代理店の女) カミーユ・ウカン(カフェのウェイトレス) ルーファス・ライト(ジェイク) ほか【あらすじ】イギリスの小さな地方都市に暮らす夫婦、ジェフ(トム・コートネイ)とケイト(シャーロット・ランプリング)は、結婚して45年になります。子供はおらず、仕事を引退した今は平穏な日々を送っています。土曜日に結婚45周年を祝うパーティを控えた週の月曜日に、ジェフに一通の手紙が届きます。50年以上前に雪山でクレバスに落ち行方不明になっていたジェフの恋人カチャが、温暖化により雪が溶けた山中で当時の姿のまま発見されたので、遺体確認に来て欲しいというスイスの警察からの手紙です。ジェフは平静を装いながら動揺を隠せず、老夫婦の関係が少しずつ変化していきます。ケイトに事情を説明しようとするジェフは上の空になり、ケイトは家の中に冷たいものが入り込んで来るのを感じます。祝賀パーティの下打ち合わせに出掛けたケイトは、街の時計店でスイス製の高級時計を見つけ、45周年の記念に夫にふさわしいと思い、家に電話をかけますが、ジェフは電話に出ません。遺体発見の知らせに心奪われて電話に出られないのではないかと、ケイトの気持ちに疑念が生まれていきます。ケイトが家に戻るとジェフはいつもの夫に戻っていますが、彼は夕食の席でカチャとの出来事を語り出します。ジェフは当時、警察に二人は夫婦と届けており、カチャはおもちゃのような指輪を左手の薬指にしていたと話します。ケイトは動揺を隠してやり過ごしますが、内心は聞きたくありません。ケイトは存在しない女への嫉妬を覚え、夫への不信感を募らせ、夫の留守の間にカチャの写真を探します・・・。【レビュー・解説】50年以上前の夫の恋人の遺体が当時のままで発見されたことを契機に、愛する人を二度失う苦しみとそれがもたらす新たな苦しみ、幸せに暮らしていた老夫婦の関係が変化し45年の歳月が培った絆が揺らいでいく様を、シャーロット・ランプリングとトム・コートネイが生々しく演じた、示唆に富む作品です。十数年前、フランスで休暇を過ごしていた原作者のデイヴィッド・コンスタンティンは、1930年代にシャモニーの氷河のクレバスに落ちた20代の登山家の遺体が発見されたという話を聞きます。温暖化による氷河の後退で埋もれていた遺体が現れたもので、登山家の息子が遺体確認に立ち会いますが、既に80歳になろうとしていた息子は若々しいまま完璧な形で保存されていた父親の姿に衝撃を受け、正気を失ってしまうという話です。若いまま完璧に保存されたいう遺体のイメージがコンスタンティンの脳裏に焼き付き、父親を若い女性に、息子をその恋人に置き換えた短編小説「In Another Country」が執筆されます。原作は十数ページの短編で、身重の恋人を失った苦しみを封印したまま現在の妻と長年連れ添い、年老いた夫が、50年以上の歳月を経て恋人の遺体発見の報に再び苦しみ、正気をい、老いた妻に深い悲しみをもたらすという内容です。他にも、アメリカの小説家ポール・オースターが1987年に発表した「ニューヨーク三部作 」に類似の話に言及しており、彼が脚本を執筆した「スモーク」(1995年)でもその話が引用されていますが、こうした遺体発見が遺族にもたらす心理的影響には計り知れないものがあります。1982年にモンブランで遭難した23歳の息子の遺体が32年ぶりに発見された実例では、82歳になっていた息子の父親が、そのショックについて子供を二度失うというボディブローを食らったようだったと例えています。息子は行方不明になったのではなく、山の岩の下で静かに眠っていると考えていた彼は、遺体発見により愛する者を失うという深い悲しみを二度、経験しすることになり、「(遺体発見は)救いになどならない、ずっと山の中にいて欲しかった」とその心境を語っています。一方、原作を読んだアンドリュー・ヘイ監督は、夫の受けたショックもさることながら、長年連れ添った老夫婦の関係が揺らいでしまう点に心を痛めたと言います。そこで彼は、遺体が発見を機に老夫婦の感情が変化していくという原作の展開を残しながら、映画化に際して以下の脚色をしています。老夫婦二人の視点で描く原作に対して、妻の視点のみで描く老夫婦の年齢を原作の80代から、夫を70代前半、妻を60代後半に下げる数週間の話を一週間に圧縮し、結婚45周年のイベントを重ねて密度を高める夫の悪夢ではなく、人生の選択や抑圧された感情という普遍的な問題を静謐に描く不可解な夫の行動や妻が抱く疑念に少しホラー的要素を加え、スリリングにする夫が正気を失う原作に対して、問題解決を図る夫と自己喪失に陥る妻の危機を描く結果、映画の印象は原作とはかなり異なりますが、撮影時、60代後半のシャーロット・ランブリングと70代後半のトム・コートネイの二人の演技派俳優が演じる老夫婦が白眉で、この年代の俳優が主役を演じる映画のリファレンスとも言える、素晴らしい作品に仕上がっています。<ネタバレ>夫の言動に疑念を抱いた妻は夫の恋人の写真を密かに探し当て、彼女が妊娠中だった事を知ります。夫との生活に満足していた彼女は、「子供を産まなかった自分に夫は満足していない」と妄想するようになります。一方、なんとか苦しみを克服し、妻の気持ちを察した夫は「満足している」と伝え、心機一転やり直すことを妻に誓います。翌日、小屋から楽譜を探して来た妻は、バッハの「平均律クラーヴィア」をピアノで弾き始めます。これは、序文に「音楽の学習を志す若い人々の有益な使用のため、さらにはすでにこの学習に熟達せし人々の特別な慰めのために」と書かれている、音楽を学ぶ者のバイブルと言われる曲です。心の平穏を暗示するかのようでしたが、妻は途中でこの曲を止め、即興の曲を弾き始めます。それは打って変わって、もの悲しく、重く沈んでいきます。老夫婦は幸せな生活を送っていたのですが、苦しむ夫を見るうちに、妻は自分の人生は何なのか、自分は何を成し遂げたのか、もっと何かできたのではないか、夫のかつての恋人が生きていれば自分はここにいなかったのではないかと、自己喪失感に苛まれる、抜け出ることができなくなっていたのです。翌日、結婚45周年の祝賀パーティで、夫は「人生最良の選択だった」と妻に感謝を捧げるスピーチをしますが、沈む気持ちを振り切れない妻は二人でダンスを終えた後、喜びで高く差し上げる夫の手を振りほどき、呆然と立ち尽くすまま、映画は終わります。 ↓夫が苦しみを克服したことはせめてもの救いですが、二人がその後どうなるのか、映画は明らかにしません。映画はトラウマを描かないように演出されており、苦しみの余り妻を思いやる余裕のない夫の不用意な言動を非難する人が多いようです。「私なら手を振りほどくだけではすまない」と怒りを露わにする女性もいます。しかし、夫は浮気をしているわけではありません。かつて愛する恋人と彼女が宿した我が子を失った苦しみが彼に甦り、その姿を見た妻が二次的に傷を負ったのです。彼女はまずその傷を癒やす必要があり、次に「夫との生活に満足していた」彼女の幸せを壊したのは、夫ではなく、他ならぬ彼女自身の妄想であることに気づき、また「もし夫の恋人が生きていれば」というのが無意味な考えであることに気づかなければなりません。将来は選択できますが、過去は選択できないのです。こうしたことに気づけなければ、どのような形をとっても、彼女は幸せになることができません。彼女の傷が癒えるまで夫は苦労することになりますが、さもなくば彼は愛するものを三度、失うことになります。年老いたからと言って人生は必ずしも円熟するわけではなく、どこに罠が潜んでいるかわからないことを感じさせる作品です。<ネタバレ終わり>シャーロット・ランプリング(ケイト・マーサー )イギリスの女優、歌手。イギリスとフランスで教育を受け、語学に堪能。イタリア映画「愛の嵐」(1974年)の上半身裸にサスペンダーでナチ帽をかぶって踊るシーンで世界的に有名になる。一時、活動が低調であったが、フランソワ・オゾン監督の「まぼろし」(2000年)で再び注目され、本作ではアカデミー主演女優賞にノミネートされている。大英帝国勲章のオフィサー(OBE)を叙勲されている。トム・コートネイ(ジェフ・マーサー)イギリスの俳優。王立演劇学校で学び、1960年に舞台デビュー、「ハムレット」の舞台に立つ。「長距離ランナーの孤独」や「ドクトル・ジバゴ」といった映画作品にも出演して注目され、テレビにも出演しているが、主に舞台俳優として活躍し、これまでにトニー賞に2度ノミネートされている。2001年にナイトの称号を与えられている。【撮影地(グーグル・マップ)】結婚45周年のパーティ会場ケイトが運河クルーズに乗船した船着き場ジェフが座ってタバコを吸っていたベンチ 「さざなみ」のDVD(楽天市場)【関連作品】アンドリュー・ヘイ監督作品のDVD(楽天市場) 「ウィークエンド」(2011年)・・・輸入版、リージョン1、日本語なしシャーロット・ランプリング出演作品のDVD(楽天市場) 「ジョージー・ガール」(1966年) 「地獄に堕ちた勇者ども」(1969年) 「愛の嵐」(1974年) 「さらば愛しき女よ」(1975年) 「評決」(1982年) 「鳩の翼」(1997年) 「まぼろし」(2000年) 「スイミング・プール」(2003年) 「家の鍵」(2004年) 「メランコリア」(2011年) 「ブリューゲルの動く絵」(2011年) 「17歳」(2013年)
2017年03月09日
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「クスクス粒の秘密」(原題:La graine et le mulet、別題:Couscous、英題:The Secret of the Grain)は2007年公開の、フランス・チュニジア合作のドラマ映画です。アブデラティフ・ケシシュ監督・脚本、アビブ・ブファーレ、アフシア・エルジら出演で、造船所をリストラされた60歳のチュニジア移民の男と様々な問題を抱えるその家族が、船上レストランの開店に向けて奔走する姿をスリリングに描いています。2007年ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞、2008年セザール賞で4部門を受賞した作品です。 「クスクス粒の秘密」のDVD(楽天市場)監督:アブデラティフ・ケシシュ 脚本:アブデラティフ・ケシシュ 出演:アビブ・ブファーレ(スリマーヌ) 60歳の港湾労働者。マグレブからの移民。最初の妻、スアドと離婚。愛人のラティファとその娘リムが切り盛りする場末のホテルで暮らしている。アフシア・エルジ(リム)ホテルの女主人ラティファの娘で、20歳の移民二世。しっかり者で、スリマーヌを父と慕い、彼の船上レストラン開業を手伝う。ブラウイア・マルズーク(スアド)スリマーヌの最初の妻で。大家族の女家長的存在。息子と同じ集合住宅の別の階に住み、日曜日には大家族のためにクスクス料理を作る。ファリダ・ベンケタシュ(カリマ) スリマーヌとスアドの上の娘。マグロの缶詰工場で働いており、夫との間に子供が二人いる。サミ・ジトゥーニ(マジッド) スリマーヌとスアドの上の息子。ロシア移民のジュリアと結婚するが浮気している。自分の家族を顧みない一方で、親の大家族の一員として楽しんでいる。サブリナ・オアザニ(オルファ) スリマーヌとスアドの下の娘。大家族の子どもたちの面倒を見ている。モハメド・べアブデスレム(リアド) スリマーヌとスアドの間下の息子。思春期で、父親の船上レストランの改装を手伝いながら、リムにのぼせ上がっている。アリス・ユーリ(ジュリア)若いロシア系の移民。マジドと不幸な結婚生活を送っている。夫の親族から孤立し、捨て置かれていると感じており、実の兄弟が心の支え。アティカ・カラウイ(ラティファ) スリマーヌの愛人。娘リムとともに場末のホテルを切り盛りしている。アブデルハミッド・アクトゥーシュ(ハミッド) ラティファのホテルの常連客、ミュージシャン。 ほか【あらすじ】フランス南部の港町セートで港湾労働者として働くチュニジア移民のスリマーヌ(アビブ・ブファーレ)は、60歳で年を重ねるごとに仕事は辛くなり、リストラの波も押し寄せます。前妻スアド(ブラウイア・マルズーク)との間に子どもと孫がいますが、家族からは疎まれていると感じています。そんな中、彼は古い船を買い取って船上レストランを始めることを思い立ち、彼の愛人の娘リム(アフシア・エルジ)がそれを手伝います。それぞれが問題を抱えるスリマーヌの家族たちは総出で開店パーティーの準備をしますが、予定していた自慢のクスクスが届きません。家族は団結してなんとか窮地を切り抜けようとしますが・・・。【レビュー・解説】移民当事者の視点で複雑な家族の日常生活を美化することなく描き、一種、喜劇的とも言えるスリリングな展開の中で、世代を超えて受け継がれていく結束やエネルギーを俳優たちが熱演、彼らの体温が感じられるようなユニークで魅力的な作品です。アブデラティフ・ケシシュ監督はチュニジア系移民二世で、六歳の時に父に連れられてフランスのニースに移住しています。「父とムスタファ・アドゥアニ、フランシス・アルノーに捧ぐ」と映画の最後に献辞が出ますが、本作は様々な苦労を経てそれなりの生活ができるようになったケシシュ監督が、移民一世の父と同じ苦労をした同世代の移民に感謝の念を込めて制作した作品です。平和そうな邦題からはほのぼのとした話が連想されますが、サクセスストーリーでも移民一世を美化する話でもなく、予想外のスリリングな展開の中、何とかしようと世代を超えて結束していく移民のエネルギーが、終盤のチュニジア風の民族音楽と激しいベリーダンスで最高潮を迎えます。フランスの移民は約800万人、それを上回る移民二世がいるとも言われ、合わせるとフランスの人口の二割以上になると見られます。かつてフランスの植民地だった国々からの移民が多く、マグリブ(モロッコ、アルジェリア、チュニジア、西サハラの北アフリカ北西部に位置するアラブ諸国)からの移民が三割近くを占めます。フランス人5人にひとりが移民もしくは移民二世なわけで、移民を扱ったフランス映画も少なくありません。「トリコロール/白の愛」(1994年)フランス・ポーランド・スイス合作「憎しみ」(1995年)「クスクス粒の秘密」(2007年)フランス・チュニジア合作「パリ20区、僕たちのクラス」(2008年)「預言者/アンプロフェット」(2009年)「パリ警視庁:未成年保護部隊」(2011年)「最強のふたり」(2011年)「ル・アーヴルの靴みがき」(2011年)フィンランド・フランス・ドイツ合作「ある過去の行方」(2013年)「ディーパンの闘い」(2015年)移民を描いた数多いフランス映画の中で、「クスクス粒の秘密」は、移民当事者の視点で描かれている社会環境や、差別、偏見の描写はあるが、必ずしも主眼ではない離婚、リストラ、浮気、育児ストレスなどの移民の生活を美化していないシリアス・タッチではなく、一種、コミカルに展開する世代を超えて受け継がれる、移民のたくましさやエネルギーを讃えるといったユニークな作品であり、また、家族を描くことにより、移民のコミュニティにとどまらず、普遍的な共感が得られる作品になっています。「この映画は、フランス南部、セットの港町を舞台にしているが、その社会環境を描きたかった。自分はそんな環境で育ったが、誰もそれを映画化していなかった。自分のよく知っている世界、自分の愛する大事な世界を描けば、それが観客にも伝わり、何を見ているのか、理解できると思う。自分自身の家族に基づいて映画を作りたかった。スリマーヌは仕事を得るために国を離れ、子の世代には生活も良くなるだろうと頑張った自分の父や同世代の男たちの象徴だ。彼らのヒロイックな側面を描きたかったんだ。(アブデラティフ・ケシシュ監督)」ケシシュ監督は、センセーショナルな映画「アデル、ブルーは熱い色」(2013年)でカンヌ国際映画祭のパルム・ドールを獲得、一躍、有名になりましたが、食と性によってエネルギーを表現する点が本作と共通しています。「アデル、ブルーは熱い色」は性を主眼としたものですが、何か食べるシーンをしつこいほど映し出し、主人公の生命力を感じさせます。一方、「クスクス粒の秘密」は食がメインですが、終盤の圧巻のベリーダンスが性的なエネルギーを感じさせます。ケシシュ監督は演技経験の少ない俳優を多用しますが、これはプロの俳優を嫌っているわけではなく、彼の撮影方法が時間がかかる為、長期間拘束することが難しいプロの俳優をなかなか使えないことに由来します。「アデル、ブルーは熱い色」では、交差点ですれ違う数十秒のシーンを100テイクも撮り直し、また、映画全体の撮影時間は800時間、撮影期間は当初の予定2ヶ月に対して5ヶ月もかかっています。本作も、終盤の船上レストランでのディナーシーンは、各テーブルでカメラを意識しない会話が同時進行、これを固定カメラで捉えながら絵になる部分をハンディカメラで追う形で撮影していますが、この部分だけで撮影に1ヶ月以上かけています。同様、序盤のおむつの話、大家族での食卓での会話、中盤の楽士たちの雑談、女たちのキッチンでの会話、終盤の夫の浮気に慟哭する妻などもそうですが、こうした日常のシーンをアップを多用して執拗に描写していくのは彼独特のスタイルです。プロット上の重要性もさることながら、登場人物の性格やぬくもり、熱気やエネルギーといったものが、否が応でも肌に感じられます。主役のスリマーヌはプロの俳優が演じる予定でしたが、撮影前に急死、急遽、アビブ・ブファーレが起用されました。彼はケシシュ監督の父親が働いていた建設現場の同僚ですが、スリマーヌ同様、寡黙な男で、敗北、抵抗、愛、悲しみといった年輪に重なる様々な表情を、実に味わい深く見せています。また、ヒロインのリム役を演じたアフシア・エルジも演技経験がほとんどなく、エキストラ希望でした。しかし、彼女の中に光るものを見出したケシシュ監督は、その資質と才能を活かすために脚本を書き換え、リム役を膨らましています。彼女はベリーダンスについてもほとんど知らす、毎日、数時間練習して習得したといいます。新人女優の資質を見出し、とことん作品に活かす展開も、アデル・エグザルホプロスの魅力をフルに引き出した「アデル、ブルーは熱い色」に似ています。ケシシュ監督の目に狂いはなく、アフシア・エルジはこの映画に後にも評価の高い作品に出続けています。アビブ・ブファーレ(スリマーヌ)スリマーヌは60歳の港湾労働者。マグレブからの移民。最初の妻、スアドと離婚し、愛人とその娘リムが切り盛りする場末のホテルで暮らしている。アビブ・ブファーレは、ケシシュ監督の父親が働いていた建設現場の同僚で、作中のスリマーヌ同様、寡黙な男。敗北、抵抗、愛、悲しみといった年輪に重なる様々な味わい深い表情を見せる。アフシア・エルジ(リム)リムはスリマーヌの愛人ラティファの娘で、母ととともに場末のホテルを切り盛りする20歳の移民二世。しっかり者で、スリマーヌを父と慕い、彼の船上レストランの開業を手伝う。演じるアフシア・エルジは、ほとんど演技経験のないエキストラから、ケシシュ監督に見出され、ヒロインに抜擢された。素晴らしいパフォーマンスを見せており、彼女がいなければ本作の成功はなかったかもしれない。ブラウイア・マルズーク(右、スアド)スアドはスリマーヌの最初の妻で、大家族の女家長的存在。息子と同じ集合住宅の別の階に住み、日曜日には大家族のためにクスクス料理を作る。大家族での食事日曜日には大家族が集い、さして広くない部屋にぎゅうぎゅう詰めになって一緒に食事をする。クスクスはこれに欠かせないメニューだ。浮気性の夫に捨て置かれていると感じているジュリアは参加しないとゴネるが、義姉に説得される。家を出た形になっているスリマーヌは顔を出さないが、息子たちがおすそ分けを届けてくれる。大家族のつながりを象徴するマグレブ由来のクスクス料理クスクスは小麦粉から作る粒状の粉食、及びその食材を利用して作る料理。発祥地の北アフリカ(マグリブ近辺)から中東にかけての地域と、それらの地域から伝わったフランス、イタリアなどのヨーロッパ、およびブラジルなどで食べられている。情熱的なベリーダンススリリングなストーリー展開と相まって、チュニジア風の民族音楽とベリーダンスがさまざまな問題を乗り越えようとする移民のエネルギーとたくましさを象徴する終盤は圧巻。原題の「La graine et le mulet」は、「穀物とラバ」という意味で、それぞれスリマーヌの元妻とスリマーヌを暗示しています。mulet にはボラという意味もあります。スリマーヌが家族に配って回る魚ですが、リム以外にはさして歓迎されません。職場でも仕事が遅いとお荷物扱いのスリマーヌは、家族にも疎まれているようで、手料理のクスクス(穀物)が家族に大人気の元妻と対称的です。でも、ラバは辛抱強く、頑固です。子供たちの代には幸せになれると信じ、黙々と働き続けてきた父に対するケシシュ監督の親しみと愛情が感じられるタイトルです。【撮影地(グーグルマップ)】スリマーヌが暮らすホテル愛人とその娘が切り盛りしている。スリマーヌの前妻と家族が暮らす集合住宅結婚した息子も同じ集合住宅の別の階で暮らしている。日曜日には大家族が母の家に集まって、クスクスを食べる。パーティの為に船上レストランを係留した場所ホテルの改修費用にスリマーヌの退職金をあてにしていた愛人は、レストランの開業にご機嫌斜め。たまたま資金集めのパーティがホテルの真向かいで行われることになり、さらに臍を曲げる。 「クスクス粒の秘密」のDVD(楽天市場)【関連作品】アブデラティフ・ケシシュ監督作品のDVD(楽天市場) 「アデル、ブルーは熱い色」移民を描いたフランス映画(楽天市場) 「トリコロール/白の愛」(1994年) 「憎しみ」(1995年)「クスクス粒の秘密」(2007年) 「パリ20区、僕たちのクラス」(2008年) 「預言者/アンプロフェット」(2009年) 「パリ警視庁:未成年保護部隊」(2011年) 「最強のふたり」(2011年) 「ル・アーヴルの靴みがき」(2011年) 「ある過去の行方」(2013年) 「ディーパンの闘い」(2015年)
2017年03月06日
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「AMY エイミー」(原題:Amy)は、2015年公開のイギリス・アメリカ合作のドキュメンタリー映画です。カリスマ性と抜群の歌唱力でファンを魅了し、多くのミュージシャンから愛され、2008年のグラミー賞で5部門受賞を成し遂げるなど輝かしいキャリアを誇る一方、さまざまなスキャンダルで注目を浴びる中、2011年に27歳の若さで亡くなった歌手エイミー・ワインハウスの知られざる素顔と波乱の人生を、未公開フィルムやプライベート映像とともに、アシフ・カパディア監督が映し出しています。第88回アカデミー賞で、長編ドキュメンタリー賞を受賞した作品です。 「AMY エイミー」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:アシフ・カパディア出演:エイミー・ワインハウス ミッチ・ワインハウス マーク・ロンソン サラーム・レミ トニー・ベネット ほか【あらすじ】2003年にデビューアルバムをリリースしたエイミー・ワインハウスは、圧倒的な歌唱力と歌声で一躍トップスターの仲間入りをします。10代でレコード会社と契約を結び、弱冠20歳で完成させたデビュー・アルバム「Frank」で大きな評価を得た後、続くセカンド・アルバム「Back To Black」が全世界1200万枚のセールスを記録、シングル「Rehab」も大ヒットし、第50回グラミー賞で年間最優秀レコードをはじめ5部門で受賞するなど大成功を収めますが、2011年に27歳の若さでこの世を去ります。華々しいキャリアの一方、スキャンダラスな私生活にもフォーカスされる機会の多かった彼女の知られざる真実を、これまでに公開されたことのない映像やプライベート映像などで振り返ります。【レビュー・解説】才能と成功の皮肉な関係、ドラックやアルコールへの依存、悲しくもセンセーショナルな27歳の天才的女性シンガーの素顔とその死の背景が赤裸々に浮かび上がる、優れたドキュメンタリーです。ダイナ・ワシントン、サラ・ヴォーン、トニー・ベネット、キャロル・キング、ジェイムス・テイラーらの音楽を聴いて育ったというエイミー・ワインハウスの歌声が素晴らしいです。思春期にニューソウル、ヒップホップ、カリビアン・ミュージックの影響を受け、現代風になっているものの、50年代のジャズ、60年代のソウル・ミュージックをベースとするサウンドには、時間をかけて熟成されたかのような暖かみが感じられます。「彼女の歌を聞いた時、本物だと思った。まるで65歳の熟練のジャズ歌手みたいな歌い方だ。18でこれじゃ、25になった時、どうなるんだと思った。」(サラーム・レミ)映画には、彼女が自身のどろどろとした身を切るような体験を詞にし、曲をつけていく様子が描かれていますが、できた曲は思いのほか、あっさりとしています。彼女は曲にすることにより吹っ切れると言い、生々しい辛さは完全に昇華されています。機能不全家族に育ち、過食症になっても誰にも気づかれなかったという彼女は、ジャズやソウルが心の支えとなり、歌うことで救われていました。そんな彼女に、プロになることや有名になることへの執着は感じられませんが、精神的な未熟さに対してアンバランスなほど歌の完成度が高いように思われます。成功への執着があればそれなりに備えたのでしょうが、彼女は愛に飢えた子供のまま、不用意に有名になり、莫大なお金を稼ぐようになります。「彼女はスターになって、天狗になるどころか戸惑ってた。不安と恐怖でいっぱいだったんだ。自分を取り巻く状況に『どうしたらいいの?』と言ってたよ。」 (ヤシーン・ベイ)酒やドラッグに溺れるようになりますが、映画を見る限り、いざとなると彼女はきちんと仕事に取り組みことができ、更生の可能性は十分にあったように見受けられます。「僕にとっては魔法のような時間で、彼女も意欲的に仕事した。だから噂が理解できなかった。なぜ優柔不断な問題児と言われるのか。」(マーク・ロンソン)古くから彼女を知る友人たちや最初のマネージャーは、彼女を更生施設に入れるべきと考えましたが、彼女が頼りにする夫や父親、新しいマネージャーらはそうしないことを選択します。彼らにとって彼女は金づるであり、夫に至ってはドラッグは彼女を引き止めておくのに好都合なものでした。彼女は共依存的関係にある人々に翻弄され、本当に彼女の為を思ってくれる人々の声は彼女には届きませんでした。「彼女は聡明で、才能があり、とてもユーモアにあふれた人という素晴らしい人なのに、どうして悲劇的な人生になってしまったのか。誰でもそうだと思うけれど、愛に関しては誰でも無防備になってしまうものだ。エイミーは愛されることを求めていて、それゆえにしばしば人生において間違った選択をしてしまったんだ。誰も恋に落ちることをコントロールすることはできない。エイミーもブレイクという男を愛してしまっただけなんだ。アーティストやクリエイティブな人間が超がつくほど繊細だというのは本当だと思う。」 (アシフ・カパディア監督)映画では、好きなはずの歌が彼女の心の重荷になっていく様が描かれています。気が進まなくても、彼女はツァーに出て歌わなければなりません。酒やドラッグを過剰摂取して倒れれば歌わずにすむので、彼女は酒やドラッグに溺れるようになります。ビリー・ホリデイ、ジャニス・ジョプリン、カレン・カーペンター、ホイットニー・ヒューストンなど、悲劇的な最後を迎えた女性シンガーは彼女が初めてではありませんが、素晴らしい才能が必ずしも幸せを約束し、長く人々を楽しませるを意味しないことが残念です。「彼女は紛れもない本物のジャズ歌手だ。エラ・フィッツジェラルドやビリー・ホリデイに匹敵する素晴らしい才能だった。彼女が生きていたら言いたい。『生き急ぐな。生き方は人生から学べる。』 」(トニー・ベネット)いわば「地元の普通の女の子」であったエイミーが亡くなった時、ロンドンの同じ地区に住み、ただ遠巻に見ているだけだったアシフ・カパディア監督は、彼女に何があったのか、本当はどんな女の子だったのか、調べなければいけないと思い、家族や友人、音楽関係者への長時間にわたる取材を行います。しかし、本作にはこれらの人々がアップで登場し、長々とエイミーについて語るというシーンはありません。代わりに、エイミーがホテルや自室でギターを弾き、ノートに歌詞を書く様子や、幼なじみの友人たちとのパーティー、スタジオでのレコーディング風景、ライヴ直前の舞台裏など、エイミーのプライベート映像や未発表曲などにより彼女を描き、彼女がノートに書いていた数々の歌詞を通じて、隠された出来事や感情を明らかにしています。「この映画のリサーチには3年を費やした。映像をみたり、親しかった人たちに話を聞いたり。110人以上の人に会ったよ。歌を聞いて、歌詞を検証し直したりしていた。彼女の書く歌詞は特別だった。文学的であり、詩的だった。そしてなにより個人的なものだった。日記のようにね。あまり知られていないけれど、彼女はとても書くことにおいて才能があったと思うよ。彼女は人生を歌で表現した。歌は、彼女のアイデンティティの証だった。だから、この映画を観たファンが、すでに知っていて何度も聴いている彼女の歌を聴いたとき、もっと深く、解釈できるようになったらいいと思ったんだ。」(アシフ・カパディア監督)カパディア監督は、彼女の何百もの録音されたインタビューを聞き、本作で何を描くか決めたと言います。監督の意図が明確に反映されたドキュメンタリーですが、恐らく彼のエイミーに関する解釈は間違っていないでしょう。センセーショナルで悲しい題材を、しっかりとした取材に基づいた明確な解釈で描く、説得力のある優れた作品です。【サウンドトラック】 「AMY エイミー」オリジナル・サウンドトラック(楽天市場)1. Opening 2. Stronger Than Me 3. Poetic Finale 4. What Is It About Men [Live @ North Sea Jazz Festival] 5. Walk – Antonio Pinto 6. Some Unholy War [Downtempo version] 7. Holiday Texts 8. Kidnapping Amy 9. Like Smoke [Demo] 10. Tears Dry On Their Own 11. Seperacao Fotos – Antonio Pinto 12. The Name Of The Wave – Strange Cargo13. Back To Black [Acapella / Album Medley] 14. Cynthia 15. Rehab [Live on Jools Holland] 16. In the Studio 17. We’re Still Friends [Live @ Union Chapel] 18. Amy Lives 19. Love Is A Losing Game [Live @ Mercury Awards] 20. Arrested 21. Body and Soul 22. Amy Forever 23. Valerie [Live @ BBC]【撮影地(グーグルマップ)】エイミーが住んでいたカムデンの家没後、カムデン・マーケットに設置されたエイミー・ワインハウスの彫像 「AMY エイミー」のDVD(楽天市場)【関連作品】エイミー・ハウスのアルバム(楽天市場) エイミー・ワインハウス「フランク」 エイミー・ワインハウス 「バック・トゥ・ブラック」 エイミー・ワインハウス:「ライオネス:ヒドゥン・トレジャーズ」アシフ・カパディア監督作品のDVD(楽天市場) 「アイルトン・セナ~音速の彼方へ」(2010年)アート系ドキュメンタリー映画のDVD(楽天市場) 「クラム」(1995年)・・・輸入盤、リージョン1、日本語なし「ミリキタニの猫」(2006年)「ヴィック・ムニーズ ごみアートの奇跡」(2010年) 「バスキアのすべて 」(2010年) 「ビル・カニンガム&ニューヨーク」(2011年) 「映画と恋とウディ・アレン」(2011年) 「アイ・ウェイウェイは謝らない」(2012年) 「ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ」(2012年) 「バックコーラスの歌姫たち」(2013年)「キューティー&ボクサー」(2013年) 「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」(2014年)
2017年03月04日
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「から騒ぎ」(原題: Much Ado About Nothing)は、1993年公開のアメリカ・イギリス合作のコメディ映画です。シェイクスピアの戯曲「空騒ぎ」を原作に、ケネス・ブラナー監督・脚本、エマ・トンプソン、デンゼル・ワシントンら出演で、中世のイタリアを舞台に二組の男女の恋の行方を陽気に明るく描いた作品です。 「から騒ぎ」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ケネス・ブラナー脚本:ケネス・ブラナー原作:ウィリアム・シェイクスピア「空騒ぎ」出演:ケネス・ブラナー(ベネディック) エマ・トンプソン(ベアトリス) デンゼル・ワシントン(ドン・ペドロ) ロバート・ショーン・レナード(クローディオ) キアヌ・リーヴス(ドン・ジョン) ケイト・ベッキンセイル(ヒーロー) リチャード・ブライアーズ(レオナート) ブライアン・ブレスド(アントニオ) マイケル・キートン(ドグベリー) イメルダ・スタウントン(マーガレット) ジェラルド・ホラン(ボラチオ ) リチャード・クリフォード(コンラード) ジミー・ユール(フランシス修道士) ベン・エルトン(ヴァージス) パトリック・ドイル(バルサザール) ほか【あらすじ】イタリアの田園の地メシーナを治めるレオナート(リチャード・ブライアース)の一家は、陽光の降り注ぐ中、なごやかにピクニックを楽しんでいます。弟のアントニオ(ブライアン・ブレスド)、美しい娘ヒーロー(ケイト・ベッキンセイル)、侍女のアーシュラ(フィリダ・ロウ)とマーガレット(イメルダ・スタウントン)らは、姪でヒーローの従姉妹に当たる陽気で勝気な娘、ベアトリス(エマ・トンプソン)が朗読する詩に耳を傾けています。そこへ、急ぎの従者がアラゴンの領主ドン・ペドロ(デンゼル・ワシントン)がメシーナへ凱旋することを、知らせにやって来ます。レオナートたちは歓喜し、一家は大騒ぎになります。若くハンサムなクローディオ(ロバート・S・レナード)、独身主義者のベネディック(ケネス・ブラナー)、ペドロの異母弟ドン・ジョン(キアヌ・リーヴス)らの一行はレオナートの館に到着し、ペドロは一家と再会します。クローディオとヒーローは好意を寄せ合い、ベネディックとベアトリスは減らず口を叩き合います。兄ペドロを疎ましく思っているドン・ジョンは、ただ一人、不服そうです。ヒーローに心ひかれたクローディオは、ペドロの計らいで彼女の気持ちを知り、両家の間で婚礼の話がまとまります。挙式の準備が進む中、レオナートとペドロは、顔を合わせれば口論ばかりしているベネディックとベアトリスのことが気になります。レオナートとペドロは、彼らがお互いに愛していることを知るよう、芝居を仕掛けます。周りの幸せなムードが気に入らないドン・ジョンは、挙式の前夜、手下を使って悪巧みを巡らせ、ペドロとクローディオにヒーローが不貞を犯したと思い込ませます。挙式当日、クローディオはヒーローを不貞の女と罵り、婚礼はなかったことにすると怒ります。ドン・ペドロとクローディオが去った後、神父は「これは何かの間違いだ。ヒーローは悲しみのあまり死んでしまったことにして、身を隠しなさい」と助言します・・・。【レビュー・解説】シェイクスピアの舞台劇「空騒ぎ」を脚色、スペクタクルな映画の魅力を巧みに取り入れた本作は、ケネス・プラナーの舞台俳優ならでは表情豊かな口調や、エマ・トンプソンとのテンポの良いセリフの応酬など、シェイクスピア劇の魅力を手軽に楽しめる優れた作品で、ロマンティック・コメディの名作でもあります。舞台と映画は、似ているようで異なります。最も大きな違いは、舞台にはカメラワークも構図もなく、観客の目線そのものがカメラワークで、構図を決めるのは観客自身です。広い舞台に立つ俳優は、全身で感情を表現し、注目を集めなければならず、また、言葉でより強く感情を表現する必要がある為、シェークスピア劇では壮大で芸術的なセリフが展開されます。これが舞台劇ならではの迫力を生むわけですが、同じ演技を映画でやると強烈なものになってしまいます。そこで映画化する際の、脚色、演技、演出といったさじ加減が重要になってきます。本作は原作の「空騒ぎ」と同じ中世のイタリアを舞台に、セリフなどシェイクスピア劇の魅力を残しながらも、アメリカ人俳優とアメリカ英語を積極的に採用陽光溢れるイタリアの田園でのピクニックシーン「荒野の七人」を思わせるドン・ペドロ一行の騎行シーン邸宅の裏庭、中庭、前庭をぶち抜く、長回しによる見事な舞踏シーンなど、映画ならではの魅力を取り入れ、幅広い層が楽しめる内容となっています。オープニングの騎行シーン舞台劇にはないスペクタクルな迫力が演出されており、本作の怒涛のような展開を予見させる。本作の最大の見所は、ケネス・ブラナーのパフォーマンスでしょう。彼は、ローレンス・オリヴィエの再来と言われ、シェイクスピア俳優として名を成したイギリスの俳優で、本作ではその魅力を強く放っています。特に、表情豊かな声の調子は舞台俳優ならではのもので、思わず引き込まれます。ケネス・ブラナー(ベネディック)ケネス・ブラナー(1960年〜)は、イギリスの俳優・映画監督・脚本家・プロデューサー。「ローレンス・オリヴィエの再来」と呼ばれ、シェイクスピア俳優として有名。もうひとつの見所は、ケネス・ブラナー(ベネディック)とエマ・トンプソン(ベアトリス)のテンポの良いセリフの応酬で、これはシェイクスピア劇の醍醐味です。本作には二組の男女が登場し、そのウェイティングはほぼ同等なのですが、この二人が実質主役とされているのも、劇の見せ場となる二人の掛け合いが随所に挿入されているからでしょう。エマ・トンプソンは、最も成功したイギリス女優のひとりと言われるオスカー女優で、本作はケネス・ブラナーと夫婦で出演しています(後に離婚)。彼女は文芸作品などで控えめな女性を演じる事が多いのですが、本作では強気な女性を演じ、ケネス・プラナーと見事な掛け合いを見せています。エマ・トンプソン(ベアトリス)エマ・トンプソンは、1959年生まれの女優、喜劇役者、脚本家で、最も成功したイギリス女優のひとりと言われている。文芸作品などで皮肉な状況下にある控えめな女性を演じる事が多く、品があって芯の強いイギリス女性らしさを感じさせる一方で、優しげで、どことなくユーモラスな印象もある。俳優の両親の元に生まれ、1989年に映画デビュー、1992年に「ハワーズ・エンド」でアカデミー主演女優賞、1993年には「いつか晴れた日に」(主演女優賞)、「父の祈りを」(助演女優賞)でアカデミー賞にダブル・ノミネートされ、名実ともにイギリスのトップ女優となった。「いつか晴れた日に」(1995年)では脚本家としてアカデミー脚色賞も受賞している。彼女の演技は年齢、経験とともに円熟し、第二次世界大戦前のイギリス映画の様な抑制された感情を、知性で表現できる数少ない女優のひとりと言われている。リチャード・ブライアーズ(レオナート)は、映画・テレビ・舞台と幅広く活躍するイギリスの俳優で、本作では舞台となるレオナート家の当主を演じています。この役は、舞台狭しと暴れまわる個性豊かな登場人物たちの流れを方向づける重要な役割で、メリハリを効かしながら、かつ前に出過ぎること無く、老練に演じています。リチャード・ブライアーズ(レオナート)リチャード・ブライアーズ(1934年 - 2013年)は、イングランド出身の俳優で、映画・テレビ・舞台と幅広く活躍。1989年に大英帝国勲章OBEを、2003年にはCBEを授与されている。2013年、肺気腫の為、逝去。もう一人、見逃せないのが、マイケル・キートン(ドグベリー)です。マイケル・キートンはアメリカの俳優で、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014年)でアカデミー主演男優賞にノミネートされるほどの演技派俳優ですが、本作でもアクの強い道化役を見事に演じており、ケネス・ブラナー監督も絶賛しています。マイケル・キートン(左、ドグベリー)マイケル・キートン(1951年 - )は、ペンシルベニア州出身のアメリカの俳優。スタンダップ・コメディアンとしてキャリアを始め、芸名のキートンはコメディアンの「バスター・キートン」に由来する 。1982年に映画デビュー、ティム・バートン監督の「ビートルジュース」(1988年)で、ハイテンションな霊界のバイオ・エクソシストを演じ、人気を得ると同時に映画俳優としても知られるようになる。さらにバートン監督の「バットマン」(1989年)で初代ブルース・ウェイン役を演じ、演技派俳優としての人気を不動のものにする。「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014年)で、アカデミー主演男優賞にもノミネートされている。その他、デンゼル・ワシントン(ドン・ペドロ)、ロバート・ショーン・レナード(クローディオ)、キアヌ・リーヴス(ドン・ジョン)、ケイト・ベッキンセイル(ヒーロー)といった若々しい大スターが出演しているのも本作の魅力です。デンゼル・ワシントンやキアヌ・リーヴスが違和感なく、シェイクスピア劇に溶け込んでいるのが愉快です。これは、二人の類まれなる才能と、ケネス・ブラナー監督の巧みな演出によるものでしょう。ケイト・ベッキンセイルはこれが長編デビュー作で、あまりに初々しく、一瞬、誰かわかりませんでした。デンゼル・ワシントン(ドン・ペドロ)デンゼル・ワシントン(1954年 - )は、ニューヨーク州出身のアメリカの俳優、映画監督、映画プロデューサー。これまでに2回アカデミー賞を受賞するなど、アメリカを代表する映画俳優のひとり。官僚、将校、ジャーナリストなど、硬派なインテリで真面目な性格の人物を演じることが多い。1989年、「グローリー」で、アカデミー助演男優賞を受賞、2002年に「トレーニングデイ」で、アフリカ系アメリカ人ではシドニー・ポワチエに続いて2人目となるアカデミー主演男優賞を受賞している。ロバート・ショーン・レナード(右、クローディオ)ロバート・ショーン・レナード(1969年〜)はニュージャージー州出身のアメリカの俳優。映画・舞台・テレビと幅広く活躍していたが、最近は舞台が注力している模様。キアヌ・リーヴス(ドン・ジョン)キアヌ・リーヴス(1964年 - )は、レバノン出生の多国籍の俳優・ミュージシャン。1994年の映画「スピード」の大ヒットにより国際的スターとなる。1999年の映画「マトリックス」が世界的に大ヒット、3部作に主演し、不動の人気を得た。ケイト・ベッキンセイル(ヒーロー)ケイト・ベッキンセイル(1973年 - )は、イギリスの女優。両親ともに俳優で、曽祖父がミャンマー系。オックスフォード大学で仏・露文学を学ぶ。在学中に本作のオーディションに受かり、映画デビュー。イギリス系とアジア系の血が混じった美貌は「絶世の美女」、「ポスト・イングリッド・バーグマン」とも呼ばれ、注目を集め続けている。米国の映画専門サイト「インディペンデント・クリティクス」の「最も美しい顔100人」に15年連続ランクイン。また、2009年に「エクスワイア」誌で「最もセクシーな女性」に選ばれている。「アンダーワールド」シリーズ(2003年〜)などのヒット作に出演する他、「アビエイター」(2004年)や「ザ・クリミナル 合衆国の陰謀」(2008年)など、評価の高い作品にも出演しているが、演技よりも容姿に注目されることが多い。幼い頃から読書好きで、16歳でイギリスの若手作家のコンテストで2年連続優勝したことがある。シェイクスピア劇を舞台で観るとなると機会も限られますが、映画のスペクタクルな魅力をふんだんに取り入れた本作は、第一級の舞台俳優らによるセリフの応酬など、シェイクスピア劇を手軽に楽しめるのが魅力です。エンディングの舞踏シーン【撮影地(グーグルマップ)】主な舞台となるレオナートの邸宅舞台となるメシーナはイタリアのシシリーだが、撮影はイタリアのトスカーナで行われている。 「から騒ぎ」のDVD(楽天市場)【関連作品】「から騒ぎ」の原作本(楽天市場) ウィリアム・シェイクスピア「空騒ぎ」映画化されたシェイクスピア劇のDVD(楽天市場) 「ハムレット」(1948年)ローレンス・オリビエ監督・主演「ジュリアス・シーザー」(1953年)ジョセフ・L・マンキウィッツ監督 「禁断の惑星」(1956年)「テンペスト」翻案 「ウエスト・サイド物語」(1961年)「ロミオとジュリエット」翻案「ロミオとジュリエット」(1968年) フランコ・ゼフィレッリ監督 「乱」(1985年)「リア王」翻案 黒澤明監督、仲代達矢主演 「ヘンリー五世」(1989年)ケネス・ブラナー監督・主演 輸入版 日本語なし 「ハムレット」(1996年)ケネス・ブラナー監督・主演 「リチャード三世」(1996年)リチャード・ロンクレイン監督、イアン・マッケラン主演 「恋に落ちたシェイクスピア」(1998年)「ロミオとジュリエット」、「十二夜」翻案 「英雄の証明」(2011年)「コリオレイナス」翻案レイフ・ファインズ監督・主演ケネス・ブラナー監督/出演作品のDVD(Amazon) 「愛と死の間で」(1991年) 監督・主演 「ヘンリー五世」(1989年)ケネス・ブラナー監督・主演 輸入版 日本語なし 「ハムレット」(1996年)ケネス・ブラナー監督・主演 「裸足の1500マイル」(2002年)出演 「ハリー・ポッターと秘密の部屋」(2002年)出演 「マリリン 7日間の恋」(2011年)出演 「シンデレラ 」(2015年) 監督
2017年03月02日
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