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「ラビング 愛という名前のふたり」(原題:Loving)は、2016年公開のイギリス・アメリカ合作の伝記ドラマ映画です。異人種間の結婚を違法とした1950年代のアメリカの隔週の法律を違憲とするきっかけとなったラビング夫妻の実話を基に、ジェフ・ニコルズ監督・脚本、ジョエル・エドガートン、ルース・ネッガら出演で、逆境の中、愛を貫き通した白人男性と黒人女性の夫婦の物語を描いています。 「ラビング 愛という名前のふたり」のDVD(楽天市場)【キャスト・スタッフ】監督:ジェフ・ニコルズ脚本:ジェフ・ニコルズ出演:ジョエル・エドガートン(リチャード・ラビング) ルース・ネッガ(ミルドレッド・ラビング) マートン・チョーカシュ(ブルックス保安官) ニック・クロール(バーナード・コーエン) マイケル・シャノン(グレイ・ビレット) テリー・アブニー(ガーネット) アラーノ・ミラー(レイモンド) ジョン・ベース(フィリップ・ハーシュコプ) ほか【あらすじ】1958年のバージニア州。建設作業員として働く白人のリチャード・ラビング(ジョエル・エドガートン)は、子どもの頃から深い絆で結ばれていた黒人の恋人ミルドレッド(ルース・ネッガ)から妊娠を告げられ、大喜びで結婚を申し込みます。当時のバージニア州では異人種間の結婚は法律で禁止されていましたが、深い絆で結ばれていた二人は異人種間の結婚が認められているワシントンD.C.で結婚します。バージニア州に戻った二人はミルドレッドの実家で暮らし始めますが、ある夜、保安官が突然押しかけてきてふたりを逮捕、ふたりは法廷で離婚するか故郷を捨てるか、いずれかの選択を迫られます・・・。【レビュー・解説】公民権運動の象徴的存在であるラビング夫妻の実像を、確固たる信念に基づく演出と息遣いが聞こえるような主演二人の繊細な演技で瑞々しく描き、異人種カップルが一緒にいることの自然さを強く感じさせる稀有な伝記ドラマです。異人種カップルが一緒にいることの自然さヴァージニア州で異人種間結婚の有罪判決を受け、連邦最高裁判所に上訴、異人種間結婚を禁ずる州法をすべて違憲とする画期的な判決を勝ち取ったラビング夫妻は、アメリカの公民権運動を語る上で象徴的人物ですが、本作はそんな二人の過酷な体験を強調したり、二人を政治的に偶像化したりすることなく、等身大の人間として描く中で、何よりも異人種である二人が一緒にいることの自然さを強く感じさせる、ユニークで素晴らしい作品です。異人種カップルのラビング夫妻が一緒にいることの自然さを強く感じさせる映画でも保安官がリチャードの生い立ちを語るシーンがありますが、二人が生まれ育ったヴァージニア州のキャロライン郡の片田舎では、人種分離政策が一般的な南部の中では珍しく、異なる人種や民族的ルーツを持つ人々が混然となってコミュニティを形成していました。ミルドレッドの母方も父方も、ネイティブ・アメリカンとアフリカ系アメリカ人の血が入っており、通りをはさんで行ったり来たりしながら育った幼馴染のミルドレッドとラビングにとって、子供ができて結婚するのはとても自然なことでした。ヴァージニア州では異人種間結婚が禁止されているので、二人はワシントンDCで結婚しますが、ミルドレッドの実家に戻った二人は逮捕され、法廷で離婚するか故郷を捨てるかという、理不尽な選択を迫られます。二人は泣く泣く、ワシントンDCで暮らすミルドレッドの従兄弟夫婦の元に身を寄せます。ちょうど公民権運動が盛んになってきた時期で、ミルドレッドは従兄弟の妻に勧められるままに、ロバート・ケネディ司法長官へ手紙を書きます。ケネディは手紙をアメリカ自由人権協会に委ね、そこの弁護士が無償で二人の弁護をすることになりますが、この弁護士は功名心はあるものの経験に乏しく、話は前に進みません。そうこうしているうちに、子供が車に接触する事故があったりして、こんな土地では子育てできないと、二人は密かにヴァージニア州に戻って暮らすことにします。同じ頃、経験あるやり手の人権派弁護士が応援に加わり、ラビング夫妻とヴァージニア州との戦いが始まります。ラビング夫妻に政治的な動機は全くありません。味方になってくれると感じたミルドレッドはある程度、メディアに対応しますが、リチャードはドラッグレースを愛する無口で無愛想な南部男そのものです。二人は、連邦最高裁判所の歴史的な審判に出席もしません。この映画の素晴らしい点は、彼らの政治的な行動や、愛に溢れた勇敢な行動を劇的に描くのではなく、二人がともにいるシーンを自然に描き、異人種である二人が一緒にいて当然と強く感じさせる点です。これは理屈ではない、静かな感情にうったえるメッセージですが、思わず二人の幸せを願わずにはいられなくなる、映画だからこそ可能な強いメッセージでもあります。確固たる信念に基づくニコルズ監督の演出と、ジョエル・エドガートン、ルース・ネッガの繊細な演技の賜物です。多くの映画人が感動したラビング夫妻の実話ニコルズ監督はどちらかという男性的な作品で父と息子の関係がかかわりを描くことが多く、本作を手掛けたことはやや意外でしたが、公民権運動の象徴でもある異人種カップルを社会的視点ではなく、敢えて個人の視点で描くのは、ニコルズ監督ならではです。2011年にナンシー・バースキー監督がラビング夫妻のアーカイブ映像をまとめたドキュメンタリー「The Loving Story」が HBO で放映され、マーティン・スコセッシ監督やコリン・ファースなどの映画人に大きな感動を与えました。南部を舞台にしたニコルズ監督の「テイク・シェルター」や「MUD -マッド-」を気に入っていたスコセッシ監督がニコルズ監督に声をかけ、コリン・ファースもプロデューサーとして映画化に乗り出します。ファースは、ニコルズ監督について次のように語っています。映画で感じる情熱は穏やかな熱だ。逮捕のシーンは恐ろしいけど、極端なことは扱っていない。だから熟練した監督が必要だ。感情の関係を表現でき、ニュアンスを理解できる人、場所や土地勘がある人。家族や愛の話ではあるけど、心の故郷の話でもあるから、それを登場人物に投影させなくちゃいけない。ロケーション、光、温度、匂い。彼にはこれらを取り入れる素晴らしい才能がある。(コリン・ファース、プロデューサー)https://www.youtube.com/watch?time_continue=298&v=y6UZHGOATkM 南部アーカンソー州で生まれ育ったニコルズ監督は人種隔離政策の崩壊について知っていましたが、ヴァージニア州のラビング夫妻については良く知りませんでした。バースキー監督のドキュメンタリーを観て、彼らが政治的でないこと、ただ家族を作りたかったことが重要で、そこに誠実さを感じたニコルズ監督は、政治や法廷とは無関係に二人のラブストーリーを撮ろうと考えます。「公民権運動の象徴でありながら、純粋な愛を持った夫婦でありつづけることなんてできるはずがない」という確信めいたものが彼にはあり、ラビング夫妻が政治に関心がないことから、彼らの結婚は政治的抵抗手段などではない、制作すべきなのは公民権運動ではなく、二人のラブストーリーだという思いを強くしたのです。ちょうど、公民権運動を背景した「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」(2011年)がヒットした後のことで、政治や法廷とは無関係にラブストーリーを描きたいと考えた彼を、スコセッシ監督やバースキー監督も支持してくれました。「MUD マッド」でマシュー・マコノヒーのギャラが高く、迷った時に後ろから背中を押してくれたニコルズ監督の妻も、「あなたのことを愛してるけど、この映画を作らないなら、離婚するわよ」と、本作制作に向けて叱咤激励してくれたそうです。ラビング夫妻の人柄 「これまで学んだことを活かし、この10年で培った専門的な技術をすべてつぎ込んで、デビュー作と同じぐらい静かで地味な作品を作ろう」と考えたというニコルズ監督は、本作を、派手さのないとても静かな映画ラヴィング夫妻そのものであり、構成も、トーンも、シーンのスタイルもすべて、この2人の人柄を反映したものと言います。写真家でプロデューサーのホープ・ライデンが、abcの記者だった1960年代にラビング夫妻の自宅で撮影した貴重なアーカイブ映像や、各種記録、実子とインタビューなどから、ニコルズ監督は、二人は本当に仲が良かったこと二人の会話や行動、家の内装など、彼らのライフスタイルはシンプルで心地よいものだったことミルドレッドは従兄弟の妻の勧めでケネディ司法長官に簡単な手紙を書いたり、メディアに露出するなど周囲の動きに関与したが、リチャードの手の届かないところに行くほどではなかったことミルドレッドは礼儀正しく、可愛らしく自己主張することができたが、リチャードは無口で、一緒にいて心地良い南部男だったニコルズ監督の祖父を髣髴とさせることリチャードは政治に関して無関心で、ミルトドレッドがリチャードと連名でケネディ司法長官に書いた手紙の記憶さえ不確かだったことなどを見てとります。さらに、結婚日と第一子の誕生日から、二人は当時、タブーとされた「できちゃった婚」であることを知り、さらに二人が好きになったというニコルズ監督は、本作の構成をミルドレッドの妊娠の告白から始めています。そんな二人を演じた、ジョエル・エドガートンとルース・ネッガは、実際のラビング夫妻に似ているだけではなく、ラビング夫妻の自然な関係を絶妙に演じ、異人種カップルの二人の関係が極めて自然であることを感じさせ、二人に幸せになって欲しいと感情移入させます。ニコルズ監督は、実際のラビング夫妻をイメージして脚本を書いたので、キャストが似ていることは重要だったと言います。実際のアーカイブ映像や写真を見てみるとわかりますが、エドガートンとネッガは実際のラビング夫妻によく似せています。ネッガはオーディションで口を開いた瞬間、ミルドレッドそのもので、ニコルズ監督に迷う余地がなかったと言います。アーカイブ映像でミルドレッドを研究したというネッガは、「礼儀正しく、可愛らしく自己主張することができ」、「少しは周囲の動きに関与したが、リチャードの手の届かないところに行くほどなかった」ミルドレッドの物腰、押しと引き加減を実に実に巧妙に演じており、アカデミー主演女優賞へのノミネートも納得のパフォーマンスです。エドガートンはニコルズ監督の「ミッドナイト・スペシャル」に出演していましたが、ニコルズ監督はアクセントを操ることができるエドガートンはリチャードの声を再現できるだけではなく、外見もリチャードに似ていることに気づいたと言います。エドガートンが演じるリチャードも素晴らしく、建設作業員として黙々とレンガ積む姿が実直でたくましい南部男の生活力を感じさせる一方で、結婚生活における妻の意向をすべて受け入れる優しさも描かれています。そんな彼はドラッグレースが大好きで、本作でも車をメンテンナンスしているシーンが何度も出てきます。最初と最後にドラッグレースのシーンがありますが、そこには必ず妻、ミルドレッドと親族や地域住民の姿があり、二人の関係や親族、地域との関係を象徴しています。彼の車のひとつが、ツートンのフォード・フェアライン・ヴィクトリアで、広大に南部の溢れる陽の光と空気感の中で輝く車体が、絵に描いたように美しいのが印象的です。フォード・フェアライン・ヴィクトリア ラジコンフィギュア(楽天市場)実はニコルズ監督はこれまでの作品ですべての小道具を仕切ってきましたが、彼が生まれる前の話である本作は、プロダクション・デザイナーらに時代考証を任せたそうです。アンティーク家具を再利用したラビング夫妻のインテリアなど、あまりにシンプルでニコルズ監督が本当にこれでいいのかと身を乗り出すほどでしたが、一転、南部の陽の光に美しく輝くフォード・フェアライン・ヴィクトリアには、ラビング夫妻の一点豪華主義的な、メリハリの効いたライフスタイルが垣間見えるようです。ジョエル・エドガートン(リチャード・ラビング)ジョエル・エドガートン(1974年〜)は、オーストラリア出身の俳優、脚本家、映画監督。「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」(2002年)、「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」(2005年)でオーウェン・ラーズを演じ、一躍、有名俳優になる。彼は、「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)で米海軍特殊部隊の兵士を、「華麗なるギャツビー」(2013年)で大富豪を演じているが、助演でもしっかりとした印象を残すことができる実力派俳優。2010年頃から脚本も書いており、「ギフト」(2015年)で長編映画監督デビューと、活動の幅を広げている。 ルース・ネッガ(ミルドレッド・ラビング)ルース・ネッガ(1982年〜)は、アディスアベバ出身のエチオピア系アイルランド人の女優。父がエチオピア人で母がアイルランド人、母方が大家族。4歳までエチオピアで育ち、その後はアイルランド、2006年からはロンドンに住む。ダブリン大学で演劇学を学び、2004年には舞台でローレンス・オリヴィエ賞新人賞にノミネートされている。同年、アイルランドで映画デビュー、翌年「エイリアン パンデミック」で初主演を務める。「プルートで朝食を」(2005年)では、ニール・ジョーダン監督がオーディションで彼女のパフォーマンスに惚れ込み、彼女の為に脚本を書き換えて出演させた。以降、アメリカを含め、テレビ、舞台、映画と幅広く活躍している。本作では、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされている。マートン・チョーカシュ(ブルックス保安官)マートン・チョーカシュ(1966年〜)は、ニュージーランド出身の俳優。父親はハンガリー出身、母親はアイルランド人とデンマーク人の混血。ニュージーランドの演劇学校を卒業し、1994年にデビュー、ニュージーランド、オーストラリアのテレビでも活躍している。映画 「ロード・オブ・ザ・リング」(2001年)、「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」(2003年)などに出演。ニック・クロール(バーナード・コーエン)ニック・クロール(1978年)は、ニューヨーク出身のアメリカの俳優、コメディアン、作家、プロデューサーです。 テレビのコメディ・シリーズへの出演で知られるほか。「伝説のロックスター再生計画! 」(2010年)、「ソーセージパーティ」(2016年)、「Captain Underpants: The First Epic Movie 」(2017年)などに出演している。マイケル・シャノン(グレイ・ビレット)マイケル・シャノン(1974年〜)は、ケンタッキー出身のアメリカの俳優。ロックバンドのPVでデビュー、シカゴで舞台に立つようになる。「恋はデジャ・ブ」(1993年)で映画デビュー、キャリアを重ね、「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」(2008年)でアカデミー助演男優賞にノミネートされる。「ショットガン・ストーリーズ」(2007年)、「テイク・シェルター」(2011年)、「MUD -マッド-」(2012年)、「ミッドナイト・スペシャル」(2015年)と、ジェフ・ニコルズ監督作品に必ずと言ってよいほど出演しており、本作が5作目のコラボである。【動画クリップ(YouTube)】連邦最高裁の判決を伝える米abcのニュース1967年6月27日、ラビング夫妻vsバージニア州の訴訟に関して連邦最高裁の判決を伝える米abcのニュース。ホープ・ライデンが記者としてレポートしている。ライデンはラビング夫妻を追っており、この頃のアーカイブ映像を元にバースキー監督がドキュメンタリーを制作、ライデンはプロデュースに名を連ねた。また、ライデンはラビング夫妻の自宅も取材しており、ニコルズ監督はドキュメンタリーに含まれなかったプライベート映像も参考にしている。「The Loving Story」バースキー監督インタビュードキュメンタリー 「The Loving Story」に関するバースキー監督のインタビューだが、プロデューサーに名を連ねた当時のライデン記者によるアーカイブ映像や写真がふんだんに挿入されている。本作が、こうした資料映像が伝えるイメージや雰囲気を忠実に再現していることがわかる。ラビング夫妻は既に亡くなり、ライデンも今年、亡くなってしまったが、半世紀前のラビング夫妻の実像がライデン、バースキー監督、そしてニコルズ監督といった映像作家を通して脈々と受け継がれているのが感慨深い。【撮影地(グーグルマップ)】冒頭のドラッグレースが撮影された場所小さな空港の滑走路を利用して撮影している二人が留置された場所、及び有罪が言い渡された法廷実際に龍された場所、有罪が言い渡された法廷で撮影している。二人がワシントンDCで間借りした家設定はワシントンDCだが、撮影はヴァージニア州で行っている。ヴァージニア州最高裁で敗訴した後、記者にインタビューを受けた場所終盤のドラッグレース会場アメリカ合衆国最高裁判所 「ラビング 愛という名前のふたり」のDVD(楽天市場)【関連作品】ナンシー・バースキー監督のドキュメンタリー作品(楽天市場) 「The Loving Story」(2011年)ジェフ・ニコルズ監督xマイケル・シャノンxジェルエ・ドガートンのコラボ作品のDVD(楽天市場) 「ミッドナイト・スペシャル」( 2016年)ジェフ・ニコルズ監督xマイケル・シャノンのコラボ作品のDVD(楽天市場) 「ショットガン・ストーリーズ」(2007年) 「テイク・シェルター」(2011年) 「MUD -マッド-」(2012年)ジョエル・エドガートン出演作品のDVD(楽天市場) 「アニマル・キングダム」(2010年) 「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年) 「華麗なるギャツビー」(2013年) 「ザ・ギフト」(2015年)ルース・ネッガ出演作品のDVD(楽天市場) 「Noble」(2014年) 「of Music and the Mind」(2014年)
2017年10月29日
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「グリーンルーム」(原題:Green Room)は、2015年公開のアメリカのバイオレンス・スリラー映画です。ジェレミー・ソルニエ監督・脚本、アントン・イェルチン、イモージェン・プーツら出演で、ネオナチ集団の巣窟でライブに出演した売れないパンクバンドが、運悪く殺人現場を目撃したことから、集団に命を狙われる恐怖をスリリングに描いています。 「グリーンルーム」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ジェレミー・ソルニエ脚本:ジェレミー・ソルニエ出演:アントン・イェルチン(パット) イモージェン・プーツ(アンバー) パトリック・スチュワート(ダーシー) アリア・ショウカット(サム) ジョー・コール(リース) カラム・ターナー(タイガー) メイコン・ブレア(ゲイブ) マーク・ウェバー(ダニエル) ほか【あらすじ】パット(アントン・イェルチン)率いる売れないパンクバンド「エイント・ライツ」は、車のガソリン代にも事欠くほどの極貧ツアーで各地を旅しています。そんなある日、彼らに久々にライブハウスでの公演が決まり、オレゴン州の片隅にあるライブハウスに向かいます。観客はゴロツキばかりという殺伐とした雰囲気の中、「エイント・ライツ」は挑発的な曲を果敢に演奏し、どうにか出番を終えますが、楽屋で殺人現場を目撃してしまいます。パット達はすぐさま逃げ出そうとしますが、スキンヘッドの従業員たちによって楽屋に閉じ込められてしまいます。実はこのライブハウスはネオナチの巣窟で、ライブハウスのオーナーであり、ネオナチのリーダーであるダーシー(パトリック・スチュワート)は、パットら全員を抹殺するよう部下に命じます。命を狙われる羽目になったパット達は、一緒に閉じ込められた少女アンバー(イモージェン・プーツ)とともに、数でも装備でもかなわないネオナチ集団に立ち向かわざるを得なくなります・・・。【レビュー・解説】ネオナチ集団によって楽屋に閉じ込められたパンクバンドの恐怖を、しっかりとした構想、構成、一ネオナチ集団によって楽屋を包囲されたパンクバンドの恐怖を、しっかりとした構想、構成、一流のキャストで描く、見応えのあるスリラー映画です。 ジェレミー・ソルニエ監督は、「ブルー・リベンジ」(2013年)などで知られるアメリカの映画監督、撮影監督、脚本家です。パンクのエネルギーと芸術性を愛する彼はパンクバンドのメンバーとして、多くのコンサート会場を回りました。そうした経験から、彼はパンクのエネルギーを捉えた映画で、コンサート会場の楽屋に閉じ込められたバンドのスリラーを描きたいという思いにとりつかれていました。2007年には、ヘヴィー・メタル・バンドが地下室でレコードを逆に演奏し、悪魔を召喚するというダーク・コメディの短編映画をを撮ったりしています。その後、「ブルー・リベンジ」(2013年)の成功に気を良くした彼が、この機会にとかねてからの想いを一気に長編映画化したのが本作で、タイトルの「グリーンルーム」は英語で楽屋を意味しています。ネオナチの巣窟でライブ演奏したパンクバンドが楽屋で殺人現場を目撃してしまう映画ではバンドのメンバーを狙うスキンヘッドのネオナチは、実際、1990年代に顕著だったパンクやハードコアの一ジャンルですが、その思想や組織は大きく異なりました。彼らは制服を着ており、すぐにそれとわかったと言います。彼らは兵士のようであり、ギャングや犯罪活動とも関係していました。スキンヘッドと言えば、ネオ・ファシズムや人種偏見に反対するスキンヘッド集団 SHARP(Skinheads Against Racial Prejudice)も存在しますが、ジェレミー・ソルニエ監督はパンクバンド時代に抱いた反感をベースに、スキンヘッドのネオナチをバンドの敵に仕立て上げています。映画が描く世界観や環境は、ソルニエ監督が20年来、馴染みんだものでしたが、具体的なストーリーをどう展開させていくかは、全く考えていませんでした。彼は、馴染み深い世界観や環境に新たなエネルギーを注ぎ込み、楽屋のドアの両側のキャラクターの世界にどっぷり浸りこみました。おかげで、何十年もの間、行き場のないまま自分の中で泡をたてていたものが何かわかり、大いに楽しむことができたと言います。彼はロジックや人間的な選択にこだわりながら双方のキャラクターを動かす一方、様々なジャンル的表現手法を弄することは避けており、先が読めずはらはらするものの、シンプルで力強い展開となっています。「ブルー・リベンジ」、「グリーン・ルーム」とタイトルに色が入る作品が続いた為に、色の名前が入る三部作かと期待する人もいますが、これは偶然で、作風としてはさらにその前作の「Murder Party」(2007年、日本未公開)から、無力な登場人物が悲喜劇に巻き込まれる点が共通しています。我々は何かしらスキルを持った映画の登場人物に慣れていますが、本作に登場するバンドメンバーは、普通の人間です。彼らが、楽屋に閉じ込められ、ジタバタする様は、まさに悲喜劇です。本作を観ていると、思わず息を飲み、手に汗握りますが、これはキャラクターへの感情移入いくつかのルールを破ることによってもたらされると、ソルニエ監督は言います。すべてのルールを破るのではなく、バランスを崩すのが目的です。例えば、登場人物を向かうべきところではないところに向かわせるとかです。キャラクターに感情移入した観客は、どこに連れられていくのかわからず、恐怖を感じます。また、全身血まみれなど、本作には衝撃的なシーンがありますが、こうしたシーンや人が死ぬシーンは、それ自体が娯楽目的というよりは、ボディブローの様に徐々に登場人物を追い詰めていく状況として使われています。一方、追い詰めるネオナチは必ずしもサディスティックな集団ではありません。あるのは残酷なまでの無関心と自己保存で、意図せぬ事件がバンドメンバーを追い詰める動機となります。残酷なことはすべてやむを得ない、現実的な出来事として描かれています。もし、最初に起きた事件を消すことができれば、彼らは何事もなかったように静かに家に帰り、いつもどおりの時間を過ごすでしょう。これはちょっとした事故と戦いの映画ですが、普通の人間が戦わざるを得なくなるというもっともらしい設定にインパクトがあり、また、そこに怖さがあります。一見、B 級映画の様ですが、以上のようにしっかりと構想、構成された映画で、キャストも故アントン・イェルチン(亡くなる前に公開された最後の作品)イモージェン・プーツパトリック・スチュワートメイコン・ブレアと、一流どころを起用するなど、見応えのある作品です。特に、イギリスの名門劇団「ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー」にて主演俳優を歴任、「X-メン」シリーズ(2000年〜)のプロフェッサーX役で有名なパトリック・スチュワートは、パンクバンドを描くインディーズ映画の制作者がおいそれと出演依頼できる俳優ではないのですが、たまたま大胆な役、面白い役を捜していたパトリック・スチュワートの目にとまるという幸運で実現したそうです。アントン・イェルチン(パット)イモージェン・プーツ(アンバー)パトリック・スチュワート(ダーシー)メイコン・ブレア(ゲイブ)【サウンドトラック】 「グリーンルーム」サウンドトラックCD輸入版(楽天市場)1 Weapons Ready by Brooke Blair, Will Blair 2 What Have I Become? by The Ain't Rights 3 Corpus Rottus by Corpus Rottus 4 Oregon Coast by Brooke Blair, Will Blair 5 Balefire by Brooke Blair, Will Blair 6 Prowling Leather by Midnight 7 Nazi Punks, Fxxk Off [Explicit] by The Ain't Rights 8 Red Laces by Brooke Blair, Will Blair 9 Pour a Floor by Brooke Blair, Will Blair 10 Blades and Fangs [Explicit] by Brooke Blair, Will Blair 11 Coronary by The Ain't Rights 12 Inevitable Failure by Hochstedder13 Mosh Pit by Brooke Blair, Will Blair 14 Mopping Up by Brooke Blair, Will Blair 15 Let's Pretend Brooke Blair, Will Blair 16 Savage Pressure by Battletorn 17 Takin' Out the Trash by Patsy's Rats 18 Melted by Patsy's Rats 19 Odin Himself by Brooke Blair, Will Blair 20 Fresh Air by Brooke Blair, Will Blair 21 The Residence by Brooke Blair, Will Blair 22 We Need the Police by Brooke Blair, Will Blair 23 Sinister Purpose by C.C.R (Album Only) 24 Toxic Evolution (Bonus Track) by The Ain't Rights 「グリーンルーム」のDVD(楽天市場)【関連作品】ジェレミー・ソルニエ監督 x メイコン・ブレアのコラボ作品(楽天市場) 「ブルー・リベンジ」(2013年)アントン・イェルチン出演作品のDVD(楽天市場) 「スター・トレック」(2009年) 「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」(2013年) 「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(2013年) 「アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発」(2015年) 「スター・トレック BEYOND」(2016年)イモージェン・プーツ出演作品のDVD(楽天市場) 「ソリタリー・マン」(2009年) 「ジェーン・エア」(2011年)パトリック・スチュワート出演作品のDVD(楽天市場) 「エクスカリバー」(1981年) 「ファースト・コンタクト/STAR TREK」(1996年) 「X-メン」(2001年) 「X-MEN2」(2003年) 「X-MEN: フューチャー&パスト」(2014年) 「LOGAN/ローガン」(2017年)・・・輸入版、日本語なしメイコン・ブレア出演作品のDVD(楽天市場) 「この世に私の居場所なんてない」(2017年)・・・監督・脚本・出演
2017年10月26日
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「ハッピーエンドの選び方」(原題:מיתה טובה、英題:The Farewell Party)は、2014年公開のイスラエルのヒューマン・コメディ映画です。シャロン・マイモン/タル・グラニット共同監督・共同脚本、ゼーブ・リバシュ、レバーナ・フィンケルシュタインら出演で、老人ホームで暮らす発明好きの老人が、自らスイッチを押して苦しまずに最期が迎えられる装置を親友の願いで開発したことから、トラブルに巻き込まれていく姿をユーモアを交えて描いています。 「ハッピーエンドの選び方」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:シャロン・マイモン/タル・グラニット脚本:シャロン・マイモン/タル・グラニット出演:ゼーブ・リバシュ(ヨへスケル) レバーナ・フィンケルシュタイン(レバーナ) アリサ・ローゼン(ヤナ) イラン・ダール(ドクター・ダニエル) ラファエル・タボール(ラフィ・セガール) ほか【あらすじ】エルサレムの老人ホームに暮らすヨヘスケル(ゼーブ・リバシュ)の趣味は、ユニークなアイディアで皆の生活を少しだけ楽にするようなものを発明することです。ある日、ヨヘスケルは、望まぬ延命治療に苦しむ親友から、何とか自らの意志で穏やかな最期を迎えられる装置を発明して欲しいと頼まれます。妻レバ―ナ(レバーナ・フィンケルシュタイン)は猛反対しますが、人のいいヨヘスケルは親友を助けたい一心で、新たな発明に取り組みます。同じホームの仲間たちの助けも借りて準備を進め、数々の困難を乗り越えたヨヘスケルと仲間たちは、自らの意思で安らかに旅立つマックスを見送ります。しかし、秘密だったはずのその発明の評判は瞬く間に広がり、ヨヘスケルのもとに依頼が殺到します。そんな中、妻のレバーナに認知症の兆候が表れ始めます・・・。【レビュー・解説】親友の願いで自ら安楽死できる装置を開発、トラブルに巻き込まれる老人をユーモラスに描く本作は、しっかりとしたリサーチに基づき、倫理に関わる問題をわかりやすく噛み砕いたヒューマン・ドラマ映画です。原題の「מיתה טובה」はヘブライ語で「良い死」という意味で、シャロン・マイモン監督の昔の恋人の祖母が、癌の為に80歳に亡くなった時に、彼女をあたかも16歳の娘であるかのように救命士が蘇生させようとし、亡くなった祖母の息子が「生き返ったら連れて帰るのか?」と聞いたという、真面目なような、可笑しいような出来事が本作制作の原点だそうです。安楽死は非合法で宗教上タブーである国が多い安楽死のみならず、尊厳死や、また安楽死ビジネスへの皮肉などが織り込まれるなど、シリアスなテーマを扱った作品です。なんとなくドタバタコメディ的なものを予想していましたが、シリアスなテーマを受け入れやすくする為に、ユーモアを交えてわかりやすく噛み砕いたという印象の作品です。因みに、積極的な安楽死が合法化されている国は、スイスベネルクス三国アメリカのオレゴン、ワシントン、モンタナ、バーモント、ニューメキシコ、カリフォルニア州カナダと少数で、まだまだ非合法の国が多く、自殺がタブーであるユダヤ教やキリスト教圏では宗教的な抵抗感もあります。本作が製作されたイスラエルはユダヤ教圏ですが、主演のゼーブ・リバシュは出演に先立ち、ラビ(ユダヤ教の指導者)に相談しており、また、声をかけたにも関わらずオーディションに現れない俳優もいたと言います。真剣にかつユーモラスに時代の先を走るはずの制作側でさえそんな感じですから、観客に受け入れて貰う為には、笑いで掴みながらわかりやすくストーリー展開する必要があったようです。相撲レスラーを題材にした「A Matter of Size」(2009年)などで知られるシャロン・マイモン監督は、社会問題をコミカルに描くことを得意とする監督で、本作もしっかりとリサーチをしながら三年かけてじっくりと脚本を書き上げたといいます。病院や介護施設で数多くの話を聞いて問題を理解するだけではなく、安楽死を実際に手助けしたことがあるイスラエルの医師の話を聞き、幇助する側の心理描写に生かしています。また、本作には人生経験豊富な老俳優が多く出演しますが、一般に年齢が高いほど宗教的タブー観が強い為、脚本の完成度を高めることにより、彼らに助言やアドリブを求めるなど余計な負担をかけないですむ様にしています。さらに主演のゼーブ・リバシュとレバーナ・フィンケルシュタインは二人ともコメディアンですが、脚本は二人の出演を前提に書かれており、シリアスな脚本をコメディアンが演じる面白みを狙ています。因みに、本作には老人たちのヌード・シーンがあります。老人のヌードを見たい人はあまりいないと思いますが、これがとても良いシーンで感心しました。海外版(オリジナル)のポスターにもなっており、マイモン監督が本作で最も好きなシーンでもあるそうです。海外版(オリジナル)ポスターヌードの老人達が登場する宗教画のように深みのある構図、色調のポスターは、安楽死という宗教的タブーをユーモラスに描く本作の雰囲気を良く表している。<ネタバレ>本作ではいくつかの安楽死のケースが展開しますが、最初のケースは、回復の見込みがない病気の終末期で死期の直前患者の心身に著しい苦痛・耐えがたい苦痛がある患者の心身の苦痛からの解放が目的患者の意識が明瞭・意思表示能力があり、安楽死を要求ですが、後のケースは、少しずつ条件が変化していきます。最後の初期の認知症のケースは、認知症の介護施設に行きたくないので、まだしっかりしているうちに死にたいというものでした。「アリスのままで」(2014年)では、認知症になった主人公が後で自殺できるように仕掛けを作りますが、単なる自殺、自殺幇助と、どこが違うのか、どこで線を引くのが良いのか、考えされました。<ネタバレ終わり>反響何故、安楽死をテーマに笑えるのかと、騒ぎ立てる人もいるそうですが、ナチスの安楽死計画に対する反感が強いドイツのベルリン映画祭で賞をもらうなど、高い評価を得ています。メイモン監督の「a matter of size」(2009年)はアメリカでも評価され、ハリウッド・リメイクされましたが、本作もハリウッド・リポーター誌が「知恵と感受性と程よく抑制されたユーモアで描かれた魅力的な作品」と評するなど高い評価を得ており、ハリウッド・リメイクされるのではないかと報じられています。問題をしっかりとリサーチした上で、わかりやすくユーモラスに描いていることが評価されているのではないかと思います。ゼーブ・リバシュ(左、ヨへスケル)レバーナ・フィンケルシュタイン(左、レバーナ)アリサ・ローゼン(中央、ヤナ)イラン・ダール(ドクター・ダニエル)日本における安楽死について日本は実質、宗教的な禁忌はないのですが、法律では積極的な安楽死(患者本人の自発的意思に基づいて他人が患者の自殺を幇助すること)の容認していません。しかし、消極的な安楽死(患者本人の意思表示に基づき、予防・救命・回復・維持のための治療を開始しない、または、開始後に中止することによって、死に至らせること)は、殺人罪、幇助罪には問われません。少高齢化が進展する中、医療費削減のプレッシャーもあり、消極的な安楽死は広く一般化していくと思われます。因みに、私の身近では「死ぬ時はポックリといきたい、チューブにつながれてまでも延命されたくない」という意見を言う女性が多いです。自身の延命治療について普段から考えることは良いことだと思うのですが、親が危篤になった時に本人に意識があるのに「延命治療させたくない」と娘さんが話されたのを聞いて、ちょっとびっくりしたことがあります。見ていられないというお気持ちはわかるような気がしますが、「消極的安楽死は本人意思に基づくものであり、親族の意志が認められるのは本人が意思表示できない場合のみ」であることを、ご存じなかったようです。積極的な安楽死については、まだまだ議論の余地があるように思います。アメリカの様に高い医療保険に入れない貧乏人は癌の治療もできないが、安楽死の薬は保険適用」という状況はいかがなものかも思います。また、人は誰しも、生きたいように生きる権利がありますが、「死ぬ時はポックリといきたい、たくさんチューブにつながれてまでも延命されたくない」だけが、生き様ではないかもしれません。「延命治療はいらない」という女性に「意思表示の書面を予め作成しておくといい」と言うと、興味深いことに10人中9人は言葉を濁します。作家の五木寛之氏(85歳)がテレビのインタビューで、「年齢を重ねたからといって悟りができるわけではない。迷いはなくならない。」という趣旨のことをおっしゃっていましたが、少高齢化が進展する中、医療費削減のプレッシャーの中で、表層的死生観の同調圧力が患者の自己決定権や生存権を侵害したり、死を強要したりすることがないよう、細心の注意を払う必要があると思います。イスラエルの映画事情最近のイスラエル映画というと、「戦場でワルツを」(2008年)や「レバノン」(2010年)くらいしか、思い浮かびません。いずれもレバノン内戦への関与を悔いる内容の映画です。イスラエルは、人口約800万人の小国ですが、文化水準のポテンシャルが高く、もっと多様な映画が出てきてもいいような気がしますが、パレスティナ問題が災いし、国際的な作品の制作に陰を落としているようです。例えば、「エルサレムの花嫁」(2002年)「パラダイス・ナウ」(2005年)「オマールの壁」(2013年)「歌声にのった少年」(2015年)などで知られるハニ・アブ・アサド監督の作品は、イスラエル映画ではなく、パレスチナ映画としてクレジットされます。また、イスラエル政府から資金提供を受け、自治杭ではないイスラエル領内で撮影しておきながら、国際映画際にパレスチナ作品として出品して、物議を醸した不届きな監督もいます(パレスチナは自治区であり、イスラエル政府は国として承認していない)。さらに、国際世論はパラスチナに同情的で、市場にはイスラエルにバッシング的なフィルターがかかっている気がします。例えば、アメリカのテレビドラマ史上最高傑作とも言われる「HOMELAND」を始めとしてイスラエルの原作に基づく映画は少なくないのですが、イスラエルが前面に出てくることはほとんどありません。試しに IMDb とRotten Tomatoes で2001年以降制作のイスラエル映画から評価の高いものを20本ほど選んで調べてみました。日本では劇場公開はおろかDVDスルーさえされていないものが圧倒的に多く、日本語字幕付きで見れるDVDはわずか5本でした(うち2本は1982年のレバノン侵攻を自省的に描いたもの)。英語字幕の輸入版は購入を躊躇うことが多いのですが、ちょっと見てみたいなと思った輸入版は日本の通販サイトでは扱われておらず、さらに入手の障壁が高いという、残念な結果でした。 「ハッピーエンドの選び方」のDVD(楽天市場)【関連作品】シャロン・マイモン監督作品のDVD(楽天市場) 「A Matter of Size」(2009年)・・・輸入版、日本語なし2001年以降の主なイスラエル映画のDVD(楽天市場) 「Late Marriage」(2001年) 「Knafayim Shvurot (Broken Wings)」(2002) 「ヨッシ&ジャガー」(2002年)・・・輸入版、日本語なし 「ジェイムズ聖地(エルサレム)へ行く」(2003年) 「Turn Left at the End of the World」(2004年)・・・輸入版、日本語なし 「甘い泥」(2006年) 「迷子の警察音楽隊」(2007年) 「Noodle」(2007年) 「Lost Islands ロスト・アイランド」 (2007年) 「戦場でワルツを」(2008年) 「Ajami」(2010年)・・・輸入版、日本語なし 「The Matchmaker」(2010年) 「レバノン」(2010年) 「フットノート」(2011年) 「Zero Motivation」(2014年) 「Next to Her」(2014年) 「GETT: The Trial of Viviane Amsalem」(2015年) 「In Between」(2017年) 「Foxtrot」(2017年)
2017年10月23日
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「ムーンライト」(原題:Moonlight)は、2016年公開のアメリカのヒューマン・ドラマ映画です。タレル・アルヴィン・マクレイニーによる「In Moonlight Black Boys Look Blu」 を原案に、バリー・ジェンキンス監督、マクレイニーとジェンキンスの共同脚本、トレヴァンテ・ローズ、アンドレ・ホランドら出演で、マイアミを舞台に一人の少年の成長を、少年期、青年期、大人になるまでと、3つの時代構成でつづり、自分の居場所を探し求める主人公の姿を、リアルで色彩豊かな映像で瑞々しく描いています。第89回アカデミー賞では8部門でノミネートされ、作品賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)、脚色賞を受賞した作品です。 「ムーンライト」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:バリー・ジェンキンス脚本:バリー・ジェンキンス原案:タレル・アルヴィン・マクレイニー原作:タレル・アルヴィン・マクレイニー作「In Moonlight Black Boys Look Blue」出演:トレヴァンテ・ローズ(大人のシャロン、通称「ブラック」 ) アシュトン・サンダース(10代のシャロン ) アレックス・ヒバート(子どものシャロン、通称「リトル」) アンドレ・ホランド(大人のケヴィン) ジャレル・ジェローム(10代のケヴィン ) ジェイデン・パイナー(子どものケヴィン) ナオミ・ハリス(ポーラ) ジャネール・モネイ(テレサ) マハーシャラ・アリ(フアン) パトリック・デシル(テレル) ほか【あらすじ】リトルシャロン(アレックス・ヒバート)は、「リトル」というあだ名の男の子です。ある日、いじめっ子たちから隠れていた彼は、キューバ人のクラック・コカイン売人、フアン(マハーシャラ・アリ)に助けられます。フアンは何も話さないシャロンを、恋人のテレサ(ジャネール・モネイ)と暮らす自宅へ連れて行きます。夕食と食べ、一晩、泊まったシャロンはファンとテレサに心を開くようになります。翌朝、フアンは感情的で虐待する母ポーラ(ナオミ・ハリス)の元へシャロンを送り返します。クラスメートのケヴィン(ジェイデン・パイナー)しか友人がいないシャロンは、その後、フアンと多くの時間を共に過ごすようになり、ファンから「自分の道は自分で決めろ、周りに決めさせるな」と教わります。家に帰っても行き場のないシャロンにとって、フアンとケヴィンだけが心を許せる唯一の友人でした。シャロン10代なったシャロン(アシュトン・サンダースは、ケヴィン(ジャレル・ジェローム)と仲良くしているものの、テレル(パトリック・デシル)のグループに苛められる毎日を送っています。フアンは亡くなり、「うちのルールは愛と自信を持つこと」というテレサは時折、シャロンに食事を食べさせるなど、シャロンの面倒を見ています。母ポーラは薬物依存に陥り、売春でヤク代を稼いだり、テレサがシャロンへ渡した金を巻き上げています。ある日、夜の浜辺に向かったシャロンは、ケヴィンに出くわします。密かにケヴィンに惹かれていたシャロンは、マリファナを吸い、初めてお互いの心に触れます。しかし翌日、テレルはケヴィンにシャロンを殴るよう命令し、ケヴィンはいやいやこれに従います。テレルや取り巻きがシャロンを囲み踏みつけ、蹴り始めますが、警備員が現れて彼らは逃げ出します。加害者を問うソーシャル・ワーカーに口を閉ざしたシャロンは、翌日、教室でテレルの背中を椅子で殴りつけ、逮捕されます。ブラック大人になったシャロン(トレヴァンテ・ローズ)は、アトランタでドラッグの売人として暮らしており、「ブラック」との通り名で知られています。少年院を出て売人を始めたシャロンは、体を鍛え上げ、心身に鎧を纏って、かつてのフアンと同様の人生を送っています。シャロンの元には、ポーラから頻繁に家に帰るよう求める電話がかかってきます。ある夜、彼はケヴィン(アンドレ・ホランド)から電話を受け、自分が食堂で働いているマイアミを訪ねて欲しいと伝えられます。シャロンは薬物治療施設に暮らす母ポーラを訪ねます。母は売人を辞めるようシャロンを諭し、シャロンは今まで溜まっていた母への思いを吐気出します。その後、シャロンは会うためマイアミに向かい、レストランで働くケヴィンと再会します・・・。【レビュー・解説】ひとりのアフリカ系アメリカ人の幼年期から青年期までを、三人の異なる俳優が演じ、貧困とドラッグに塗れる美しいマイアミのアフリカ系アメリカ人社会を舞台に、黒人の飲みのキャスティングで、ゲイの少年の繊細な心情と成長を瑞々しく描く、稀有で画期的な作品です。似た生い立ちの原作者の戯曲を大胆に映画化バリー・ジェンキンス監督と原作者のタレル・アルヴィン・マクレイニーの両者をよく知る人が、マクレイニーが数年前に大学院進学の為に書いた未発表の戯曲「In Moonlight Black Boys Look Blue」を、「良く知った世界では?」とジェンキンス監督に紹介したことがきっかけで、本作の映画化が実現しました。ジェンキンス監督とマクレイニーはともにマイアミのリバティー・シティで育ち、母親が麻薬中毒という共通した体験を持っており、ジェンキンス監督は麻薬中毒の母親との関係や、躍動感が溢れるマイアミの描写にいたく共感したと言います。しかし、同じ街出身のアフリカ系アメリカ人とはいえ、性的にはストレートで、2000ドルの超低予算長編映画を1本作ったことがあるだけのジェンキンス監督にとって、貧困が蔓延、治安も悪いマイアミのリバティ・シティを舞台に、ゲイのアフリカ系アメリカ人の主人公と、それを取り巻く麻薬ディーラーや、麻薬中毒の母親や、学校でのアフリカ系アメリカ人同士の苛めなど、観客の多くが映画ではほとんど見たことのないであろうキャラクターの人生を切り取ってみせるのは、とても勇気のいることでした。「キャリアを築く上で間違った選択ではないか?」と自問、友人にも「キャリアを構築する上で論理的な選択ではないし、かなり大胆なテーマの作品」と言われたそうです。最終的に「こんなに感動した作品から手を引いたらただの臆病者だ」と自分を奮い立たせそうですが、自らの感動を原点に、前例もなく何が起こるかもわからない作品作りに全力で取り組んだことが、第89回アカデミー賞で8部門にノミネート、作品賞、助演男優賞、脚色賞を受賞するという素晴らしい結果につながりました。 マイアミのアフリカ系アメリカ人社会が舞台ジェンキンス監督は、本作で外見や肉体的な変化を含めた主人公の変化や成長を示し、その孤独を感じてもらいたかったと言います。僕にとって、今の世の中はお仕着せの世界だ。ソフトパワーというさりげない決まりごとが、世界から見たらアメリカにはたくさんあるんだ。例えば子どもに教えるときの歩き方はこうだとか、女性へのマナーや男性へのマナーなどでもね。これは男は男らしくという考え方で、当たり前のように存在する。古い概念だ。だから僕はスクリーンを通して、外見や肉体的な変化を含めた観客に主人公の成長を示したかった。それは僕が仕かけることで、彼らはそのままでよかったんだ。同じ俳優で3部を撮るとは思っていなかった。それは無理だからね。環境のプレッシャーに負けてしまった時や、期待の重圧に負けてしまった時に人がどのように大幅に変わっていくのかを描きたかった。そこで、同じ感性を持った3人の俳優を探したんだ。決して外見が似てる俳優である必要はなかった。感性というのは、目を見れば分かるんだ。ウォルター・マーチの「映画の瞬き」にも「心の窓」である目について書かれている。似通った魂を持つ3人を見つけられれば外見だけが似てるよりも醸し出す雰囲気が、目を通して分かる。内面的なもので同一人物だと伝わると思ったんだ。僕はアメリカ中にいるシャロンのような子に焦点を当てたかった。突然、人生に他人が割り込み、そして放置される。観客にはシャロンの孤独を感じてもらいたい。」(バリー・ジェンキンス監督)http://eiga.com/news/20170403/3/http://fnmnl.tv/2017/04/03/26761映像とキャスティングも素晴らしいジェンキンス監督が原作を読んだ時、「高熱が出たときに見る夢みたい」に感じたそうですが、本作もハンディカメラで捉えたリアルな臨場感がある映像の中にも、一種、夢のような感覚が漂います。また、肌が輝く、色彩感のある映像も魅力的で、マクレイニーいわく、美しい自然と過酷な貧困が隣り合わせの「美しい悪夢」ジェンキンス監督いわく、美しい自然に囲まれながらも事件が起きる「美しい戦場」というマイアミでの出来事を、美しくもスリリングに映し出しています。映画の8割方はマイアミのリバティ・シティ近辺で行われていますが、ここはアメリカの中で最も貧困が厳しい街のひとつで、発砲事件や死傷事件も多い、危険な場所でもあります。当初、撮影の安全性が懸念されましたが、原作者と監督がともにバティ・シティの出身であることがプラスにはたらき、かつてないほどの住民の歓迎と協力が得られました。ポーラを演じたナオミ・ハリスは、かつてないほど住民に理解され、安心して撮影に臨むことできたと語っています。キャスティングも素晴らしいです。10代のシャロンを演じるアシュトン・サンダースが最初に決まったと言いますが、第三部で大人になったシャロンを演じるトレヴァンテ・ローズが登場すると、主人公のあまりの変貌ぶりにちょっと驚いてしまうかもしれません。実はこのトレヴァンテ・ローズが、監督の抱いていたイメージを一新し、本作の特徴的な描き方を決定づけました。トレヴァンテは筋骨隆々のイメージで、とてつもなくマッチョに見えた。それでいて目には繊細さが宿っていた。彼のおかげで僕が抱いていたブラック役の外見が変わったんだ。彼と会った途端に役のイメージが一新された。トレヴァンテとの出会いから信念にもとづいて、より貪欲にキャスティングできた。(バリー・ジェンキンス監督)http://fnmnl.tv/2017/04/03/26761筋骨隆々の体つきとは裏腹の繊細な目の表情が、エンディングで時を経ても変わらぬシャロンの本質を見事に際立てます。シャロンの母、ポーラを演じるナオミ・ハリスは、1部から3部まで通して出演する唯一の俳優で、言わば本作を貫く一本の芯のような重要な役柄を演じています。ハリスはロンドンの出身のイギリスの女優で、「28日後...」(2002年)、「トリストラム・シャンディの生涯と意見」(2005年)、「007 スカイフォール」(2012年)などに出演していますが、本作では徐々に麻薬に蝕まれていくポーラを見事に演じています。実は彼女のビザの都合で、「007 スペクター」(2015年)のプロモーション・ツアーの合間の三日間で彼女の出演するシーンが撮影されたのですが、15年の間に麻薬に蝕まれている姿をわずか三日間で演じきっているのはさすがです。テレサ役のジャネール・モネイとフアン役のマハーシャラ・アリも、見逃せません。この二人は本作と同時にアカデミー作品賞にノミネートされた「ドリーム」(2016年)にも出演している売れっ子俳優で、本作にも見事に華を添えています。特にアリは、わずか20分そこそこの出演時間でアカデミー助演男優賞を受賞するほどの素晴らしいパフォーマンスを見せています。因みにこの二人は、学校では虐められ、家では麻薬中毒の母に虐げられるシャノンの面倒を見る役柄ですが、リバティ・シティに住んでいたジェンキンス監督も原作者のマクレイニーも、実際にこのような家族ではない他人に助けられたと言います。裕福で安全な土地で隣人の顔も知らずに孤独に暮らす人もいる一方で、貧困と危険が蔓延する土地で助け合いながら暮らす人がいることは、心が温まる話でもあります。ハリウッド映画に風穴を開ける作品無名の原作者の作品を無名の監督がわずか150万ドルで映画化、実質的に最も低予算のアカデミー作品賞受賞作品となった本作は、斬新で感動的な素材を確かなセンスで纏めると、制作者の知名度や予算にかわらず、すばらし作品になることを実感させてくれる作品です。また、制作に名を連ね、資金集めに貢献したブラッド・ピットの目利きの力も素晴らしいです。興行成績最優先のハリウッド映画には、正直、食傷気味になることも少なくないのですが、「白いアカデミー賞」と揶揄される中で、見事、作品賞を受賞した本作は、映画が末永く愛されていく必要なことを、実証しているかのようでもあります。世の中には描かれていない題材や、優れた才能が、まだまだあるに違いありません。そうした才能や題材が今後も発掘されていくことを、期待したいところです。トレヴァンテ・ローズ(大人のシャロン、通称「ブラック」)トレヴァンテ・ローズ(1990年〜)はルイジアナ出身のアフリカ系アメリカ人の俳優。高校・大学時代はフットボールや陸上競技(短距離走)の選手だった。卒業と同時にロスアンジェルスで俳優を志し、本作で一躍、有名になった。アシュトン・サンダース(10代のシャロン )シュトン・サンダース(1995年〜)は、カリフォルニア出身のアフリカ系アメリカ人のの俳優。「 The Retrieval」(2013年)、「ストレイト・アウタ・コンプトン」(2015年)などに出演している。本作の演技が評価され、幾つかの賞を貰っている。アレックス・ヒバート(子どものシャロン、通称「リトル」)アンドレ・ホランド(大人のケヴィン)アンドレ・ホランド(1979年〜)は、テレビ、映画で活躍する、アラバマ出身のアフリカ系アメリカ人の俳優。映画では「Sugar」(2008年)、「グローリー/明日への行進」(2014年)などに出演している。ナオミ・ハリス(ポーラ)ナオミ・ハリス(1976年〜)は、ロンドン出身のイギリスの女優。母親はジャマイカからの移民 。ケンブリッジ大学卒業後、演技の勉強をし、1995年に映画デビュー、「28日後...」(2002年)でヒロインを務め、注目を集める。2004年にハリウッド進出し、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ(2006年〜2007年)でティア・ダルマを演している。他に、「トリストラム・シャンディの生涯と意見」(2005年)、「007 スカイフォール」(2012年)などにも出演、本作でアカデミー助演女優賞にノミネートされている。ジャネール・モネイ(テレサ)ジャネール・モネイ(1985年〜)は、カンザス州出身のアメリカの歌手、作曲家、音楽プロデューサー、女優、モデル。2007年のデビュー作から一貫してシンディーというオルターエゴに基づくコンセプトアルバムを発表して高い評価を受けるとともに、最近は女優としても活躍、「ドリーム」(2016年)にも出演している。マハーシャラ・アリ(フアン)マハーシャラ・アリ(1974年〜)は、カリフォルニア州出身のアフリカ系アメリカ人の俳優。大学で学んだ後、2001年よりテレビシリーズで活躍、映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(2008年)では、その演技が評価され、「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」(2012年)などに出演、本作で第89回アカデミー助演男優賞を受賞したほか、本作と同時に作品賞にノミネートされた「ドリーム」(2016年)にも出演している。【サウンドトラック】 「ムーンライト」サウンドトラックCD(楽天市場)1. エブリ・ニガ・イズ・ア・スター 2. リトルのテーマ 3. 家への帰り道 4. 証聖者の荘厳晩課(ヴェスペレ)ハ長調K.339 :ラウダーテ・ドミヌム 5. 地球の真ん中 6. スポット 7. インタールード 8. シャロンのテーマ 9. メトロレイル・クロージング 10. シャロンのテーマ (チョップド・アンド・スクリュード)11. 知らないくせに12. 私を見るな 13. セル・セラピー 14. アトランタは広くない 15. 甘美な夢 16. シェフのおすすめ 17. ハロー・ストレンジャー 18. ブラックのテーマ 19. お前は何者だ? 20. エンドクレジット 21. カルミネーション (ボーナストラック)【関連動画(YouTube)】ジャネール・モネイ「タイトロープ(フィーチャリング・ビッグ・ボーイ)」本作や「ドリーム」(2016年)で女優として大きなプレゼンスを示すジャネール・モネイは、歌手としてのキャリアが長く、評価も高い。【撮影地(グーグルマップ)】フアンがシャロンを連れて食事に行く店フアンとテレサの家フアンがシャロンに泳ぎを教えるビーチシャロンの家(高校時代)シャロンが通う高校シャロンがケヴィンと出くわすビーチケヴィンが働くレストランケヴィンのアパート 「ムーンライト」のDVD(楽天市場)【関連作品】ジャネール・モネイ x マハーシャラ・アリ共演作品のDVD(楽天市場) 「ドリーム」(2016年)アシュトン・サンダース出演作品のDVD(楽天市場) 「ストレイト・アウタ・コンプトン」(2015年)アンドレ・ホランド出演作品のDVD(楽天市場) 「グローリー/明日への行進」(楽天市場)ナオミ・ハリス出演作品のDVD(楽天市場) 「28日後...」(2002年) 「トリストラム・シャンディの生涯と意見」(2005年)・・・輸入版、日本語なし 「007 スカイフォール」(2012年)マハーシャラ・アリ出演作品のDVD(楽天市場) 「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」(2012年)
2017年10月20日
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「こころに剣士を」(原題:MIEKKAILIJA、英題:The Fencer)は、2015年公開のフィンランド・エストニア・ドイツ合作のヒューマン・ドラマ映画です。元フェンシング選手の実話を基に、クラウス・ハロ監督、マルト・アバンディら出演で、人々が鬱屈した生活を強いられた第2次世界大戦後のソ連占領下のエストニアを舞台に、秘密警察に追われる主人公と子供たちの絆を描いています。アカデミー外国語映画賞のフィンランド代表作品に選出され、第73回ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞にもノミネートされた作品です。 「こころに剣士を」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:クラウス・ハロ 脚本:アナ・ヘイナマー出演:マルト・アバンディ(エンデル) ウルスラ・ラタセップ(カドリ) リーサ・コッペル(マルタ) レンビット・ウルフサク(ヤーンの祖父) ヨーナス・コッフ(ヤーン) ほか【あらすじ】1950年代初頭、ソ連の秘密警察から逃れてきた元フェンシング選手エンデル・エリス(マルト・アヴァンディ)は、エストニアの田舎町で小学校の教師としてフェンシングを教えることになります。ソ連の圧政により親を奪われた子供たちはフェンシングの虜になり、子供が苦手だったエンデルも、明るさを取り戻す子どもたちの表情に心を動かされ、新たな生きがいを見い出します。そんな折、レニングラードで開催される全国大会に出たいと子どもたちにせがまれたエンデルは、秘密警察に見つかることを恐れながらも、子どもたちの夢をかなえるべく出場を決意します・・・。【レビュー解説】圧政下で身を隠すフェンシング教師の葛藤と、父を失い明るさを失った子供たちがフェンシングを通して希望を取り戻していく姿を描いた古典的とも言える作品ですが、ソ連崩壊以前の反露的スタンスが今さらながらに新鮮な作品でもあります。舞台となるエストニアは、13世紀以降、デンマーク、ドイツ騎士団、スウェーデン、ロシア帝国などに支配されました。第一次大戦後にロシア帝国より独立しますが、第二次大戦中、1940年:ソ連が占領1941年:ナチス・ドイツが占領1944年:ソ連が再占領し連邦の一国としてして併合します。以降、ソ連の支配は1991年のソ連崩壊に伴い、バルト三国の独立が承認されるまで続きました。エンデル・エリスはドイツ占領時代にドイツ軍に徴用された経験がある為、終戦後、ドイツに敵対したソ連政府に目をつけられぬように姓を変え、レニングラードの人混みに紛れて暮していましたが、その後、エストニアの小さな田舎町、ハープサルに移り住みます。映画に描かれているように秘密警察に追われていたわけではなかったようですが、彼はソ連による支配を嫌っており、また当局との間にフェンシングを続けられなくなるような何らかのトラブルがあったようです。映画に先立つこと数年前、エンデルの娘、ヘレンからエンデルの話を聞き、ハープサルを訪れた脚本家のアナ・ヘイナマーは、次の様に語っています。エンデルのジレンマに心を動かされました。彼は、愛するフェンシングを諦めなければなりませんでした。彼の生きがいであった、たったひとつのことをです。話の舞台となるエストニアの小さな田舎町ハープサルに知人を訪ねたのですが、街行く人々がフェンシングの道具袋をぶら下げて歩いているのに驚きました。こんな田舎町にフェンシング・クラブがあるの?って。(アナ・ヘイナマー)http://www.mancunianmatters.co.uk/content/120175333-lifelong-learning-process-salford-uni-film-graduate-golden-globes-nomination-andこの頃、ヘイナマーは10年も作品を書いておらず、作家の情熱を半ば失いかけていた時期であり、フェンシングを諦めなければならなかったエンデルの痛みと、情熱を持ち続けることの大切さを痛感し、本作の脚本を書く大きな原動力になったようです。そんな経緯で書かれた脚本ですが、ロマンスも織り込まれ、また子供を見つめる眼差しに、女性らしい優しさ、細やかさ、美しさも感じられる、魅力的な作品になっています。エンデル:正直に言うと子供は苦手で、うまく指導できない。カドリ:根気良く続けるしかない。何度も繰り返し練習させる。あの子達、みんなフェンシングに夢中よ。何かに一生懸命打ち込んでいる間は、つらいことも忘れる。エンデル:子供たちを失望させたくない。こんな僕をまるで・・・。カドリ:父親のように・・・?エンデル:ああ、そうだ。カドリ:何故だかわかる、ねえ?エンデル:分かっている。カドリ:みんな父親を亡くしている。マルタは母親が仕事をしている間、二人の妹の世話をしている。ヤーンは父親と祖父も連行された。エンデル:僕は・・・。カドリ:あの子達にまた同じ悲しみを味あわせるの?帰らぬ人をいつまでも待ち続けるつらさを。行かないで。本作の脚本をプロデューサーに紹介された時、クラウス・ハロ監督は、1950年代のエストニアの話など絶対に気に入らないと、読む気にならなかったそうです。しかし、実際に読んで驚いたのは、こんな退屈な時代を、こんなにも美しく楽しく心が温まる、人を惹きつける物語にすることができたということが素晴らしく、驚きました。そうだ、僕が驚いたのだから、観客も驚かせることができるのかもしれない。そして、そういう映画にしたい、と思ったのを覚えています。主人公のエンデルと子供達が対峙したシーンを読んだ時、ああ、この子たちはこれからどういう風に変化していくのだろう、そして彼はどんな感情の変化をしていくのだろう、という部分に自分はとても惹かれたのです。(クラウス・ハロ監督)http://cinetri.jp/interview/fencer_haro/エンデルが秘密警察に追われているという設定は、恐らく、シンプルで力強いストーリー展開にする為の、脚本のヘイナマーによるフィクションです。私は、実際のエンデル・ネリスをよく知る多くの土地の人と話しましたが、歴史的な事実をかき集めることより、むしろ書くべきストーリーを強く感じました。http://www.mancunianmatters.co.uk/content/120175333-lifelong-learning-process-salford-uni-film-graduate-golden-globes-nomination-andこれが、思わぬ効果を出しているように感じられました。第二次世界大戦中の社会問題としてはヒットラーやナチス・ドイツが扱われることが多く、最近の大きな社会問題というとテロや難民問題に目が行きがちですが、本作はかつてソ連による連邦構成国への圧政があったことを、今更ながらに思い出させます。脚本も監督もフィンランド人ですが、フィンランドもエストニアもロシアに国境を接する、それぞれ人口が約530万人、約130万人の小国で、いずれも過去にソ連の支配に苦しめられた経験があります。2014年にロシアはウクライナに侵攻し物議を醸しましたが、ロシアに国境を接するこれらの小国は、大なり小なり、ロシアによる支配の脅威を未だに感じ続けています。エストニアは旧ソ連からの独立後、2004年には北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)に加盟し、西側社会との結びつきを強めていますが、2007年には首都タリンでロシア系住民による暴動が起きたり、ロシアから大規模なサイバー攻撃を受けネット機能が麻痺するなどの事件が起きています。実際、難民は欧州にとって大問題ですが、ロシア絡みはまた別の大問題です。実は、感動的なシーンを撮影している最中にスタッフがスマホを見ているの気付き、少々苛ついた私は「フェイスブックの時間じゃないよ」と注意したのですが、スタッフが見せてくれたのはロシアのウクライナ侵攻のニュースでした。そのニュースは撮影現場のエネルギーに火をつけました。(クラウス・ハロ監督)http://thefilmexperience.net/blog/2016/1/2/interview-klaus-haro-on-globe-nominee-oscar-finalist-the-fen.html余談になりますが、アジアに目を転じてみると、今や大国化した中国は現在、様々な場所で国境を主張しています。台湾(中華民国)尖閣諸島 魚釣島(日本・沖縄県)琉球諸島(日本・鹿児島県奄美群島及び沖縄県)外蒙古(モンゴル国、トゥヴァ共和国)白頭山(北朝鮮)九段線南沙諸島(スプラトリー諸島)西沙諸島(パラセル諸島)中沙諸島スカボロー礁(黄岩島)東沙諸島(プラタス諸島)ブータン北西部カシミールなどインドとの国境など過去、中国による支配を受けたことのない国々では関心が低いかもしれませんし、また、日本は逆に中国を支配した時期があることから微妙な問題でもありますが、現在、中国の支配下にある内蒙古、チベット、ウイグルなどで何が起きているかは、注意深く見ておいた方が良いでしょう。国境を巡る問題、民族支配を巡る問題の本質は、時代や場所に依存しないような気がします。マルト・アバンディ(エンデル)ウルスラ・ラタセップ(右、カドリ)リーサ・コッペル(マルタ)ヨーナス・コッフ(ヤーン)【撮影地(グーグルマップ)】エンデルが子供たちにフェンシングを教えた学校駅のシーンが撮影された場所 「こころに剣士を」のDVD(楽天市場)【関連作品】エストニアで製作(合作を含む)された主な映画(楽天市場) 「ダークライズ」(1993年) 「ロッテと月の石の秘密」(2006年) 「THE SINGING REVOLUTION 歌う革命」(2007年) 「魂の教育 エル・システマ ~音楽は世界を変える~」(2008年) 「Klass」(2009年) 「ディスコと核戦争」(2009年) 「聖トニの誘惑」(2009年) 「ケルトゥ/愛は盲目」(2013年) 「みかんの丘」(2013年)
2017年10月17日
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「「ブルーに生まれついて」(原題:Born to Be Blue)は、2015年のカナダ・イギリス合作の伝記ドラマ映画です。ロバート・バドロー監督・脚本、イーサン・ホークら出演で、1950年代に興隆したウエストコースト・ジャズシーンで一世を風靡したトランペッター、チェット・ベイカーが、麻薬に溺れ、どん底に転落した後に、ある女性との出会い、再生を目指す様を描いています。 「ブルーに生まれついて」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ロバート・バドロー脚本:ロバート・バドロー出演:イーサン・ホーク(チェット・ベイカー) カルメン・イジョゴ(ジェーン / エレイン) カラム・キース・レニー(ディック・ボック) トニー・ナッポ(リード保護観察官) スティーヴン・マクハティ(チェズニー・ベイカー・シニア) ジャネット=レイン・グリーン(ヴェラ・ベイカー) ダン・レット(ダニー・フリードマン) ケダー・ブラウン(マイルス・デイヴィス) ケヴィン・ハンチャード(ディジー・ガレスピー) ほか【あらすじ】1950年代、黒人アーティストが主流のモダン・ジャズ界において、甘いマスクとソフトな声で多くのファンを熱狂させて一世を風靡した、ジャス・トランペット奏者チェット・ベイカー(イーサン・ホーク)は、ドラッグ絡みのトラブルをたびたび起こし、スポットライトから久しく遠ざかります。 1966年、公演先のイタリアで投獄されたのちにアメリカに帰国したチェットは、自伝映画の撮影に俳優として参加しますが、麻薬の売人から惨たらしい暴行を受け、アゴが砕かれ、前歯を全部失う重症を負います。キャリア終焉の危機に直面したチェットの心のよりどころは、映画で共演した女優ジェーン(カルメン・イジョゴ)の存在でした。ジェーンの献身的な愛に支えられ険しい再起への道のりを乗り越えたチェットは、巨匠ディジー・ガレスビー(ケヴィン・ハンチャード)の計らいで名門ジャズクラブ、バードランド への出演することになります。しかしそこには、若かりしチェットがマイルス・デイヴィス(ケダー・ブラウン)から厳しい言葉を投げかけられた因縁の場所でした。チェットは人生の全てを懸けたステージに立ちますが、舞台で演奏するチェットを見たジェーンは、チェットが再びヘロインに手を出したことに気付きます・・・。【レビュー・解説】1950年代のウエストコースト・ジャズシーン席巻したチェット・ベイカーの不遇の一時期にスポットライトをあて、彼のジャズ精神、人間性といった普遍的なイメージを印象的に浮かび上がらせた、奥行きのある、映像的にも音楽的にも美しい作品です。 チェット・ベイカー(1929年〜1988年)は、アメリカのトランペット奏者、フリューゲルホーン奏者、歌手で、1950年代に彼のボーカルをフィーチャーしたアルバム、「チェット・ベイカー・シングス」(1956年)「It Could Happen to You」(1958年)が特に注目を集め、賞賛されました。将来を嘱望された頃のチェット・ベイカーを、ジェームズ・ディーン、フランク・シナトラ、ビックス・バイダーベック(1920年代に最も影響力のあったコルネット奏者)の魅力を併せ持つと評するジャズ歴史研究家もいます。しかし、牢獄に出たり入ったりを繰り返すなど、その後のドラッグによる悪しき行動は一般の知る所になり、1970年代後半から1980年代にかけて復帰を果たすまで、彼は悪評にまみれた人生を送ることになります。チェット・ベイカーは1988年にアムステルダムのホテルの窓から転落して亡くなりますが、ロバート・バドロー監督は短編「 The Deaths of Chet Baker」(2009年)でその死を描いています。バドロー監督は、本作ではさらに踏み込み、アゴが砕かれ、前歯をすべて失うというトランペッターとしては致命的な傷を追いながらも、復帰を果たすまでの時期にフォーカスし、麻薬中毒との戦い、人種、愛といった普遍的なテーマをとともにチェットのジャズ精神を描いています。チェットが歯を失って復活をしたことや、(プロデューサーから)映画を作らないかと誘われたことなど、いくつかの事実を発見した。私には彼が人種の変革が行われているアメリカにおいて、黒人のスターに認めてもらいたいと思っている白人だと思えたんだ。こういったことが興味深い主題だと思った。(ロバート・バドロー監督)http://borntobeblue.jp/interview/index.htmlチェット・ベイカーを演じたイーサン・ホークは、ドキュメンタリー映画「レッツ・ゲット・ロスト」(1988年)を観て、チェット・ベイカーのファンになり、リチャード・リンクレイター監督とともにチェットに関する映画の制作を企てた程でした。ホークとリンクレイターの企画は実現しませんでしたが、チェット対するホークの情熱と知識が、本作で身を結ぶことになりました。チェットの魅力についてホークは次の様に語っています。映画を観てチェットが大好きになった。特に彼の音楽の虜になったよ。そこからチェットとの付き合いが始まったんだ。僕がチェット・ベイカーの何が大好きかというと、彼がキャリアにおいて基本的にはよい評価を一度も得られなかったという事実だね。面白いよ。初期のころは高く評価されたが。人々は彼を笑い物にした。それなのにレコードは売れ続けているなんて最高だ。(イーサン・ホーク)http://borntobeblue.jp/interview/index.html見事、復帰を果たしたチェット・ベイカーですが、マイルス・デイヴィスを始め、ジャズの巨匠たちが時代とともにその音楽を変えていったのに対して、チェットは一貫した音楽を追求します。1950年代にブラジルで生まれたボサノバと一種、共通するようなソフトな甘さが当初からあったものの、復帰後に初期の作品を凌駕することもありませんでした。しかし、バドロー監督とホークは逆にここにチェットの魅力を見出しているように見受けられらます。即ち、劇中でホーク自身が歌う「マイ・ファニー・バレンタイン」、「I've Never Been In Love Before」に、生涯、変わることがなかったチェットの魅力を集約する変わらぬチェットの人間性、愛の表現として、ジャズのリフのように、劇中劇でチェットの別れた妻エレインを演じるジェーンを新たな恋人として登場させることにより、彼のジャズ精神や愛、人間性は普遍で、時間的、空間的な広がりを持つことを印象づけています。伝記ドラマの形を取りながらも、ジェーンという架空の人物を登場させたことは、本作の大きなの賭けであり、最大の特長でもありますが、チェットの人生の不遇の一時期を描きながらも、彼のジャズ精神、人間性といった普遍的なイメージを創造し、巧みに印象づけていることを考えれば、これは大成功と言えるのではないかと思います。薬物依存の陰に隠れたチェット・ベイカーの人間性を表現したかったというホークは、風貌的な類似点や、芸術的、音楽的な気質を生かし、人間としての息遣いが感じられるチェット見事に演じ、素晴らしい映画の構成と相まって奥行きのある作品を実現しています。エンディングのステージに向けて、ホークが表情を変えていく様が圧巻です。イーサン・ホーク(チェット・ベイカー)イーサン・ホーク(1970年〜)は、テキサス出身のアメリカの俳優、作家、小説家、映画監督です。1985年に映画でデビューするが、活動を一時中断、カーネギーメロン大学やニューヨーク大学で学ぶ。「いまを生きる」(1989年)で復帰、「ホワイト・ファング」(1991年)で初主演、「リアリティ・バイツ」(1994年)、リチャード・リンクレイター監督の「恋人までの距離」(1995年)、「ガタカ」(1997年)と、着実にキャリアを重ねる。「トレーニング デイ」(2001年)でアカデミー助演男優賞にノミネートされる。「恋人までの距離」の続編の「ビフォア・サンセット」(2004年)、「ビフォア・ミッドナイト」(2013年)ではリンクレイター監督、共演のジュリー・デルピーと共に脚本を手がけ、いずれもアカデミー脚色賞にノミネートされる。リンクレイター監督の「6才のボクが、大人になるまで。」(2014年)で、2度目のアカデミー助演男優賞にノミネートされている。カルメン・イジョゴ(ジェーン / エレイン)カルメン・イジョゴ(1973年〜 )は、ロンドン出身のイギリスの女優。父親はナイジェリア人、母親はスコットランド人。「グローリー/明日への行進」(2014年)、「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(2014年)などに出演している。【サウンドトラック】「BORN TO BE BLUE」(ブルーに生まれついて)サウンドトラックCD輸入盤(楽天市場)【動画クリップ(YouTube)】イーサン・ホーク自身が歌う「マイ・ファニー・バレンタイン」イーサン・ホーク自身が歌う「I've Never Been In Love Before」 「ブルーに生まれついて」のDVD(楽天市場)【関連作品】チェット・ベーカーの代表的なアルバム(楽天市場) 「チェット・ベイカー・シングス」(1956年) 「It Could Happen to You」(1958年)イーサン・ホーク出演作品のDVD(楽天市場)「恋人までの距離(ディスタンス)」(1995年) 「ガタカ」(1997年) 「ウェイキング・ライフ」(2001年) 「ビフォア・サンセット」(2004年) 「その土曜日、7時58分」(2007年) 「ビフォア・ミッドナイト」(2013年) 「6才のボクが、大人になるまで。」(2014年) 「プリデスティネーション」(2015年) 「シーモアさんと、大人のための人生入門」(2014年) 「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」(2015年) 「Maudie」(2017年)・・・日本未公開
2017年10月14日
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「レゴバットマン ザ・ムービー」(原題:The Lego Batman Movie)は、2017年公開のアメリカ・デンマーク合作のCGアニメによるスーパーヒーロー・SFアクション&アドベンチャー・コメディ映画です。レゴブロックと、DCコミックスによるアメリカン・コミック「バットマン」を基に、レゴブロックで構築されたゴッサムシティを舞台に、悪の軍団を結成したジョーカーのゴッサム乗っ取り計画を阻止すべく、一匹オオカミだったバットマンがほかのヒーローたちと協力して戦う姿を、クリス・マッケイ監督が描いています。 「レゴバットマン ザ・ムービー」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:クリス・マッケイ脚本:セス・グラハム=スミス/クリス・マッケーナ/エリック・ソマーズ/ジャレッド・スターン /ジョン・ウィッティントン原案:セス・グラハム=スミス原作:DCコミックス バットマン考案(ボブ・ケイン/ビル・フィンガー) スーパーマン考案(ジェリー・シーゲル/ジョー・シャスター)出演:ブルース・ウェイン/バットマン(声:ウィル・アーネット、主人公、孤独なヒーロー) ジョーカー(声:ザック・ガリフィアナキス、悪の道化王子、バットマンへ復讐を企む) ディック・グレイソン/ロビン(声:マイケル・セラ、バットマンに憧れる孤児の少年) バーバラ・ゴードン/バットガール(声:ロザリオ・ドーソン、新任のゴッサム市警本部長) アルフレッド・ペニーワース(声:レイフ・ファインズ、バットマンの身を案じる執事) ハーリーン・クインゼル博士/ハーレイ・クイン(声:ジェニー・スレイト) マカスキル市長(声:マライア・キャリー) ジェームズ・ゴードン(声:ヘクター・エリゾンド) ハービー・デント/トゥーフェイス(声:ビリー・ディー・ウィリアムズ) セリーナ・カイル / キャットウーマン(声:ゾーイ・クラヴィッツ) エドワード・ニグマ/リドラー(声:コナン・オブライエン) パメラ・アイズリー/ポイズン・アイビー(声:リキ・リンドホーム) ジョナサン・クレイン博士/スケアクロウ(声:ジェイソン・マンツォーカス) ベイン(声:ダグ・ベンソン) バジル・カルロ/クレイフェイス(声:ケイト・マイカッチ) ヴォルデモート卿(声:エディー・イザード) キングコング(声:セス・グリーン) サウロン(声:ジェマイン・クレメント) クラーク・ケント/スーパーマン(声:チャニング・テイタム) ハル・ジョーダン/グリーンランタン (声:ジョナ・ヒル) バリー・アレン/フラッシュ(声:アダム・ディヴァイン) ほか【あらすじ】バットマン(声:ウィル・アーネット)は、ゴッサムシティを守るため日々悪党たちと戦い続けています。バットマンは、犯罪界の道化王子を自称するジョーカー(声:ザック・ガリフィアナキス)のゴッサム発電所爆破計画による街の破壊を阻止しますが、この際の一言がジョーカーのライバル心を駆り立ててしまいます。翌日、バットマンはブルース・ウェインとして市が主催するパーティに参加します。そこでゴードン本部長(声:ヘクター・エリゾンド)の退任と、娘であるバーバラ・ゴードン新本部長(声:ロザリオ・ドーソン)の就任が発表されますが、バーバラはバットマンに頼らない新体制を宣言しバットマンを困惑させます。そして、そのパーティ会場にジョーカーが仲間を連れて現れます・・・。【レビュー・解説】バットマンの全てが好きというクリス・マッケイ監督が、「バットマンは幸せか?」をテーマに自分のやり方で展開したと言う本作は、親しみやすく、夢のあるレゴ・スタイルのキャラクターを用いながらも、バットマン、特にクリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト」三部作(2005〜2012年)の世界観を反映した、質の高いパロディ作品で、大人にも子供にも面白おかしく楽しめます。観客の反応で最も嬉しかったのは、幼い子供がお兄さんやお姉さん、両親と一緒に見に行って、それぞれが楽しめる映画を作ることが出来たことです。「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」(2016年)や「スーサイド・スクワッド」(2016年)を観ることが出来ないが、大人向けの本格的なアクション映画を楽しみたい子供たちもいます。我々の映画は沢山のジョークに溢れた、子供たちも楽しめる映画です。シリアスタッチのスーパーヒーロー映画に飽き飽きしている人には、この作品は解毒剤になります。個人的にはノーラン監督の作品が好きです。私にとって、最も完成された三部作です。私は暗ければ暗いほど良いのですが、それは正しいとか、正しくないということではありません。映画には様々な選択肢があった良いと思うのです。(クリス・マッケイ監督)https://www.flickeringmyth.com/2017/06/exclusive-interview-with-chris-mckay-on-the-lego-batman-movie-and-lego-universe/「ダークナイト」三部作の世界観で「バットマンは幸せか?」をテーマに展開本作にロビン少年が登場させたことに関して、マッケイ監督は次の様に語っています。師弟、先生と生徒、親子は、ドラマの題材にできる関係です。ある種の葛藤の結果として、豊かな感情と満足感が得られる関係で、私自身も何度となくこの関係に立ち帰ります。映画の中の家族関係は、現実の家族関係同様、複雑です。私たちを育ててくれる人から何を学ぶのか、我々を囲む環境から何を学ぶのか、それが私たちにどう影響してくるのか、と問いかけます。https://www.flickeringmyth.com/2017/06/exclusive-interview-with-chris-mckay-on-the-lego-batman-movie-and-lego-universe/脚本やグラフィックスのみならず、声の出演も凝っています。特に、作品のトーンに大きく影響を与えるブルース・ウェイン/バットマンの声は、「レミーのおいしいレストラン」(2007年)、「ホートン/ふしぎな世界のダレダーレ」(2008年)、「怪盗グルーの月泥棒」(2010年)など名作アニメへの出演経験が豊かで、「LEGO ムービー」(2014年)でバットマン役を演じているウィル・アーネットが担当、マッケイ監督が意図する本作のテーマとバットマンの世界観を見事に体現しています。子供たちを躾ける時にこの声色を使うというアーネットですが、録音の為にこの声を何時間も出し続けたり、この声でエンディングのラップを歌うのに苦労したそうですが、この声がこの作品の価値を決めていると言っても過言ではありませんn。他にも、ジョーカーの声は、「ハングオーバー」三部作(2009〜2013年)で、実家を出て独立できない髭面の変人を演じて大ブレークしたアメリカのコメディアンのザック・ガリフィアナキスディック・グレイソン/ロビンの声は、子役として活躍後、「スーパーバッド 童貞ウォーズ」(2007年)、「JUNO/ジュノ」で大ブレイクしたカナダの俳優のマイケル・セラバーバラ・ゴードン/バットガールの声は、「ニュースの天才」(2003年)、「デス・プルーフ in グラインドハウス」(2007年)、「アンストッパブル」(2010年)、「トップ・ファイブ」(2014年)などに出演、本作が4作目とDCアニメ映画への出演経験も豊富なロザリオ・ドーソンアルフレッド・ペニーワースの声は、「シンドラーのリスト」(1993年)でアカデミー助演男優賞、「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年)で同主演男優賞にノミネートされた、映画だけではなく、古典から近代の作品まで舞台でも幅広く活躍するイギリスの俳優レイフ・ファインズマカスキル市長に、大歌手のマライア・キャリークラーク・ケント/スーパーマンに、俳優のチャニング・テイタムハル・ジョーダン/グリーンランタンに、コメディアン、俳優のジョナ・ヒルバリー・アレン/フラッシュの声に俳優にアダム・ディヴァインと、凝った声のキャスティングになっています。キャラクターがレゴのまんまで、親しみやすく、夢があって良いのが本作の基本的な魅力ですが、さらにジョーカーが率いる悪の軍団など、バットマンの犯罪者リスト(Batman Rouge Gallery)から登場するキャラクターファントム・ゾーンでDCコミック以外から登場するキャラクタースーパー・フレンド・メンバーから登場するキャラクターと多彩なキャラクターが登場するのも、本作の見所のひとつです。バットマンの犯罪者リスト(Batman Rouge Gallery)から登場するキャラクタージョーカー ハーレイ・クイン リドラー スケアクロウ トゥーフェイス キャットウーマン クレイフェイス ポイズン・アイビー ミスター・フリーズ ペンギン キラー・クロック マン・バット クレイジー・キルト イレイザー ポルカ・ドット・マン ミーム タランチュラ キング・タット オルカキラー・モスマーチ・ハリエットゾディアック・マスターゾディアック・マスター ジェントルマン・ゴースト クロック・キング カレンダー・マン カイト・マン キャットマン ゼブラ・マン コンディメント・キング キャプテン・ブーメラン ミュータント・リーダー ヒューゴ・ストレンジ レッドフード カブキ・ツイン ドクター・フォスフォラスマグパイ エッグヘッドファントム・ゾーンでDCコミック以外から登場するキャラクターキングコング ヴォルデモート卿(「ハリーポッター」シリーズ) クラーケンとメデューサ( 「タイタンの戦い」(1981年)) グレムリン(グレムリン(1984年)) 西の悪い魔女と空飛ぶ猿たち(「オズの魔法使い」(1939年)) ダレク(「ドクター・フー」(1963年〜)」 ヴェロキラプトル(「ジュラシック・パーク)(1993年))ティラノサウルス・レックス(「ジュラシック・パーク)(1993年)) サウロン(「ロード・オブ・ザ・リング」三部作(2001〜2003年)) エージェント・スミス(「マトリックス」(1999年) 鮫(「ジョーズ」(1975年)) ドラキュラ、ミイラ、沼怪人(レゴ・モンスター・ファイター) 骸骨戦士(「アルゴ探検隊の大冒険」(1963年))スーパー・フレンド・メンバーから登場するキャラクターアパッチ・チーフ ブラック・バルカン ワンダー・ツイン ワンダー・ドッグ エルドラド サムライブルース・ウェイン/バットマン(声:ウィル・アーネット、主人公、孤独なヒーロー)レゴ バットマン ミニフィギュア(楽天市場)ジョーカー(声:ザック・ガリフィアナキス、悪の道化王子、バットマンへ復讐を企む)レゴ バットマン ミニフィギュア(楽天市場) ディック・グレイソン/ロビン(声:マイケル・セラ、バットマンに憧れる孤児の少年)レゴ バットマン 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2017年10月11日
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「ナイスガイズ!」(原題:The Nice Guys)は、2016年公開のアメリカのノワール・アクション・コメディ映画です。シェーン・ブラック監督、ラッセル・クロウ、ライアン・ゴズリングら出演で、1970年代のロス・アンジェルスを舞台に、二人が演じる凸凹コンビが女性の失踪事件の捜査を機に巨大な陰謀に巻き込まれていく様を描いています。 「ナイスガイズ!」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:シェーン・ブラック脚本:シェーン・ブラック/アンソニー・バガロッツィ出演:ラッセル・クロウ(ジャクソン・ヒーリー、示談屋、ある事をきっかけにマーチと協力する) ライアン・ゴズリング(ホランド・マーチ、酒浸りの私立探偵) アンガーリー・ライス(ホリー・マーチ、ホランドの娘、父よりもしっかりしている) マット・ボマー(ジョン・ボーイ、プロの殺し屋) マーガレット・クアリー(アメリア・カットナー) ヤヤ・ダコスタ(タリー) キース・デイヴィッド(オールドガイ) ボー・ナップ(ブルー・フェイス) ロイス・スミス(ミセス・グレン) ミュリエル・テリオ(ミスティ・マウンテンズ) ギル・ジェラード(バーゲン・ポールセン) デイジー・ターハン(ジェシカ) キム・ベイシンガー(ジュディス・カットナー) ほか【あらすじ】1970年代、ロサンゼルス。シングル・ファザーで酒浸りの私立探偵マーチ(ライアン・ゴズリング)は、腕力で揉め事を解決する示談屋ヒーリー(ラッセル・クロウ)に強引に相棒にされ、失踪した女性の捜索を始めます。マーチの13歳のホリー(アンガーリー・ライス)も加わり、女性を捜索するうちに簡単なはずだった仕事は一本の映画にまつわる連続不審死事件へと繋がり、やがて二人は巨大な陰謀に巻き込まれていきます・・・。【レビュー・解説】1970年代のロス・アンジェルスを舞台にしたシェーン・ブラック監督十八番のバディものノワール・コメディで、ラッセル・クロウ、ライアン・ゴズリングのオスカー級俳優が絶妙の呼吸でバディを演じ、脚本と演技の魅力が全開の作品です。バイオレントな中にもユーモアがしっかりと織り込まれたバディもののノワール・コメディです。同じくシェーン・ブラック監督・脚本で、「アイアンマン」シリーズで再ブレイク前のロバート・ダウニー・Jr とヴァル・キルマーが共演した「キスキス、バンバン」(2005年)の姉妹作とも言える作品で、本作ではライアン・ゴズリングとラッセル・クロウという二人のオスカー級俳優がチャラ男とタフガイの中年バディを演じ、新進のアンガーリー・ライス演じる利発な子供の相棒というおまけ付きと、さらに強力な布陣です。オスカー級俳優による中年バディと新進女優の利発な子供の相棒という強力な布陣1970年代と言うと40年も昔の話ですが、この40年の間に暴力や喫煙、乱暴な言葉や性的な描写が減り、表現がマイルドになるなど、映画は大きく変化しました。ラッセル・クロウ演じる殴り屋は、1970年代のタフガイらしく乱暴者です。私生活でも暴行事件を起こす乱暴者のクロウには、地でいける(?)はまり役です。まだ50歳を超えたばかりですが、しきりに老眼の素振りを見せるタフガイと、ライアン・ゴズリング演じる酔っぱらいのダメ探偵との好対照のバディが、時代の新旧交代を暗示するようで、素晴らしいです。クロウはシリアスな役を演じることが多いのですが、自虐的とも言える本作のコミカルな味は見事です。相方を演じるゴズリングは、これと対照的な軟弱男とを巧みに演じており、二人のバディぶりは絶品です。近年、中国の大気汚染が話題になっていますが、自動車の排出ガスなど石油類の燃焼が原因とされる光化学スモッグは、1940年代にロス・アンジェルスで観測されていました。1952年には、ロンドンで石炭などの燃焼が原因とするスモッグで一万人以上が死亡する事件が起きています。半世紀前は、欧米の環境も劣悪だった訳です。本作にも出てきますが、ロス・アンジェルスの市庁舎前で市民団体がダイ・イン(死んだ真似することにより行う抗議の一形態)で環境汚染への抗議するなど、1970年代は環境保護と産業界の戦いが激化した時代でもありました。1970年代のロス・アンジェルスが舞台「ブギーナイツ」(1997年)に描かれているように、カリフォルニアでは1970年代にポルノ産業が栄え、本作にもそうした時代背景が織り込まれています。また、大きな襟のジャケットや光沢素材のシャツ、ベルボトムのジーンズやオーバーオール、刺しゅう入りのGジャンなどのティーンズカジュアル、パーティやモーターショーでのレインボーモチーフやサイケデリックカラー、フォークロア調のドレス、ボディペイントなど、1970年代のファッションが丹念に描きこまれています。インテリアや音楽、車に至るまで、色彩豊かな時代の雰囲気が再現されており、当時のディスコブームを反映したサウンドトラックと相まって、当時の刺激的なカルチャーも楽しむことができる作品です。ラッセル・クロウ(ジャクソン・ヒーリー、示談屋、ある事をきっかけにマーチと協力する)ラッセル・クロウ(1964年〜)は、ニュージーランド出身の俳優。1990年に本格的に映画デビュー、「クイック&デッド」(1995年)でハリウッドにも進出、「グラディエーター」(2000年)でアカデミー主演男優賞を受賞、「ビューティフル・マインド」(2001年)でゴールデングローブ賞 主演男優賞(ドラマ部門)を受賞している。ライアン・ゴズリング(ホランド・マーチ、酒浸りの私立探偵)ライアン・ゴズリング(1980年〜)は、カナダの俳優・ミュージシャン。ドラマ映画「きみに読む物語」(2004年)への出演で注目される。「ハーフネルソン」(2006年)でアカデミー主演男優賞に、「ラースと、その彼女」(2007年)、「ブルーバレンタイン」(2010年)、「ラブ・アゲイン」(2011年)、「スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜」(2011年)でゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされている。「ラ・ラ・ランド」(2016年)でゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞、2度目のアカデミー主演男優賞にノミネートされている。アンガーリー・ライス(ホリー・マーチ、ホランドの娘、父よりもしっかりしている)アンガーリー・ライス( 2001年〜)は、オーストラリアの女優。オーストラリアの映画などに出演したあと、本作に出演、世界的な知名度を上げ、続いて「スパイダーマン:ホームカミング」(2017年)、「The Beguiled」(2017年)など、話題作に出演している。初の主演映画も制作中で、今後の成長が楽しみな女優である。マット・ボマー(ジョン・ボーイ、プロの殺し屋)マット・ボマー(1977年〜)は、ミズーリ州グレーター・セントルイス出身のアメリカの俳優。主にテレビドラマで活躍し、2014年には「ノーマル・ハート」で第72回ゴールデングローブ賞最優秀助演男優賞(ミニシリーズ・テレビ映画部門)を受賞している。マーガレット・クアリー(アメリア・カットナー、ヒーリーとマーチが行方を探す女性)マーガレット・クアリー(1994年〜)は、モンタナ州出身のアメリカの女優、モデル。母は女優アンディ・マクダウェル、父は元モデルで牧場主、姉レイニーも女優でモデル。「Palo Alto」(2013年)、「Novitiate 」(2016年)などに出演している。キム・ベイシンガー(ジュディス・カットナー、アメリアの母親)キム・ベイシンガー(1953年〜)は、ジョージア州出身のアメリカの女優。父親はジャズのバンドマン、母親はモデル・女優。ドイツ、スウェーデン、チェロキー族の血をひく。16歳の時にミスコンでジョージア州の代表に選ばれ、ニューヨークに行き、20歳の時でトップモデルになる。その後、ハリウッドで俳優の道を模索、「ネバーセイ・ネバーアゲイン」(1983年)でボンドガールに抜擢され、「ナインハーフ」(1985年)でスターの仲間入り、「バットマン」(1989年)のヒロイン役に抜擢される。「L.A.コンフィデンシャル」(1997年)でゴールデングローブ助演女優賞、アカデミー助演女優賞を受賞している。【撮影地(グーグル・マップ)】冒頭、ヒーリーが未成年に手を出す男を殴り倒す家マーチが髭を剃りながら順番を待つガソリンスタンドヒーリーが少女から仕事の依頼を受ける場所マーチの自宅近くの坂マーチの自宅マーチが娘達と訪れるボーリング場ヒーリーとマーチがエミリアの情報を求めて聞き込みに訪れるシティ・ホールポルノ王シド・シャタックの自宅(パーティ会場)アメリアを捜してヒーリーとマーチが訪れた空港近くのホテル老婆がアメリアを見たと言う家モーターショーが開かれるホテル 「ナイスガイズ!」のDVD(楽天市場)【関連作品】シェーン・ブラック監督・脚本作品のDVD(楽天市場) 「リーサル・ウェポン」(1987年)・・・ 脚本 「キスキス、バンバン」(2005年)・・・ 脚本・監督 「アイアンマン3」(2013年)・・・ 脚本・監督ラッセル・クロウ出演作品のDVD(楽天市場) 「L.A.コンフィデンシャル」(1997年) 「インサイダー」(1999年) 「グラディエーター」(2000年) 「ビューティフル・マインド」(2001年) 「マスター・アンド・コマンダー」(2003年) 「シンデレラマン」(2005年) 「3時10分、決断のとき」(2007年) 「アメリカン・ギャングスター」(2007年) 「消されたヘッドライン」のDVD(2009年)「レ・ミゼラブル」(2012年) 「ノア 約束の舟」(2014年)ライアン・ゴズリング出演作品のDVD(楽天市場) 「ラースと、その彼女」(2007年) 「ブルーバレンタイン」(2010年) 「ドライブ」(2011年) 「スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜」(2011年) 「ラブ・アゲイン」(2011年) 「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」(2012年) 「マネー・ショート 華麗なる大逆転」(2015年)
2017年10月07日
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「海は燃えている〜イタリア最南端の小さな島〜」(原題:Fuocoammare)は、2016年公開のイタリアのドキュメンタリー映画です。ジャンフランコ・ロッシ監督で、イタリア最南端に位置するランペドゥーサ島を舞台に、島民の日常や過酷な旅を経て島にたどり着いた難民・移民の姿を映し出しています。第66回ベルリン国際映画祭で金熊賞を獲得した作品です。 「海は燃えている〜イタリア最南端の小さな島〜」のDVDの(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ジャンフランコ・ロッシ脚本:ジャンフランコ・ロッシ出演:サムエレ・プチッロ ジュゼッぺ・フラガパーネ ピエトロ・バルトロ ほか【あらすじ】イタリア最南端、地中海に浮かぶ北アフリカにもっとも近いヨーロッパ領の小さな島、ランペドゥーザ島。ここで暮らす地元漁師の子で12歳の少年サムエレは、友だちと手作りのパチンコで遊ぶのが大好きな普通の子どもです。島の人々もまた、どこにでもあるような平穏な日々を生きています。しかし、この島にはもうひとつの顔があります。この数十年間、アフリカや中東から船でやってくる移民や難民にとって、ランペドゥーサ島はヨーロッパの玄関口でした。人々は平和と自由で幸せな暮らしを求め、命がけで海を渡ってきますが、その過程で多くの人が命を落とします。日々この人道的な危機を目の当たりにしてきた難民たちを治療する医者や、島の日常にカメラは静かに寄り添いながら、移民問題の本質をあぶり出していきます・・・。【レビュー・解説】アフリカや中東からの移民の目的地として昨今、メディアに注目され始めたランペドゥーザ島の住民に密着し、移民問題の本質をじっくりとあぶり出したユニークなドキュメンタリーです。ランペドゥーザ島は、「胸騒ぎのシチリア」(2015年)の舞台となったパンテッレリーア島から150キロほど南に下った、イタリア領最南端の小さな島です。累計50万部突破のベストセラーシリーズ「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」で紹介されており、そちらでこの島の名前を知っている人もいるかもしれません。ランペドゥーザ島はシチリア島よりもチュニジアの海岸の方が近く、地理的にはヨーロッパではなくアフリカに属するとされることもあります。ランペドゥーザ島は北アフリカから最も近い位置にあるヨーロッパ諸国の領土であるため、ヨーロッパを目指すアフリカからの移民・難民の目的地となっています。島には二十年前から移民が来ていましたが、2010年から翌年にかけて発生したジャスミン革命の際には、約6500人の島民に対して約5万人という大量の難民がランペドゥーザ島に到着、また、2013年にはアフリカや中東からヨーロッパを目指す難民船の大規模な沈没事故が二度も発生し、注目されるようになりました。移民は海上で救助される移民でごった返す島を舞台にしたドキュメンタリーかと思いきや、移民のシーンはあまり出てきません。実はイタリア政府は、2013年に「マーレ・ノストルム」という難民を救出する作戦を開始、国境はランペドゥーサから、海の真ん中に移動しました。以前は、移民が直接、ランペドゥーザ島にやってきて、島に数日滞在したので、移民と島民の間に交流があったのですが、マーレ・ノストルム以来、移民は海上で救助されるようになり、今ではすべてが組織化、制度化されました。移民は海上で船に乗せられ、港から移民センターに移され、2、3日そこに滞在し、身分確認が終わってからヨーロッパ大陸に向かうので、移民と住民の接触はほとんどなくなったといいます。そんなランペドゥーザ島を訪れたロッシ監督は、メディアでの報道とは全く違う複雑さを感じたと言います。島の本来の姿を描く映画にしたかったという彼は、短編では撮りきれないと、島に引っ越し、古い港の小さな家を借りて、最初の三ヶ月はカメラを持たずに滞在したと言います。長く滞在することが重要で、人物を知って始めてどこにカメラを置いていいか分かるという彼は、レンズは85ミリと28ミリの2種類だけ、ズームは使わず、カメラは固定で撮影しています。インタビューもせずに、じっと被写体を追います(映画の中でバルトロ医師が難民について語るのは、インタビューではなく、自分から話したものを撮影しているとのこと)。ロッシ監督曰く、「自分の作品は人物考察のような映画、ポートレイトに近いもの」という極めてユニークなドキュメンタリーです。ドキュメンタリーには、難民・移民の上陸に立ち会う島でただ一人のバルトロ医師が登場しますが、他の大部分はサムエレ少年など移民と接点のない島の人々の淡々とした描写が多く、たまに移民のシーンが効果的に入ります。特に中盤に入る移民が歌うラップは、インパクトが大きいです。これは俺の証言だナイジェリアでは暮らせない大勢死んだ、爆撃も受けた爆撃を受けたからナイジェリアから逃げた砂漠に逃げた、サハラに逃げて大勢死んだサハラに逃げて大勢死んだ殺され、侵され、暮らしもたたない今度はリビアに逃げたリビアにはイスラム国の連中がいて、そこにもいられなかった跪いて俺達は泣いた、「どうすりゃいいんだ?」山はかくまってくれない、人もかくまってくれないだから今度は海に逃げた海までの旅の途中、大勢が命を落とした海に沈んだ仲間もいるボートに乗ったのは90人、助かったのは30人だけ今、俺達は生きている海は渡っていける場所じゃない海は人が通れる道じゃないだけど俺達は生きている命を賭けなきゃ助からない、人生自体が賭けだから何週間もサハラ砂漠にいる中で、大勢が自分の小便を飲んだ生き延びるために、自分の小便を飲んだんだそれは命をかけた旅だから砂漠にいる内に水が尽き、自分の小便を飲んだんだ「神よ、砂漠では死にたくない」リビアに逃げても、誰も同情はしてくれないアフリカ人だから誰も助けない牢屋に閉じ込められ、一年暮らした奴が大勢いた六年暮した奴が大勢いた、大勢が牢屋で死んだリビアの監獄はひどかった食べ物はなく、毎日殴られ、水もなく大勢、そこを逃げ出した今、俺達はここにいる、神が助けてくださった死を恐れずに海に出ようリビアの監獄を生き延びたんだ、海でなど死ぬもんか海に出た俺達はこうして助かったクライマックスに、バルトロ医師と共に難民船の救出に向かうシーンはありますが、島の人々に関する部分は、あるがままの姿を淡々と映し出すタイプのドキュメンタリーで、サムエレ少年の弱視を難民に会わなくなった問題が見えなくなった島民や欧州の人々の暗喩腕をライフルに見立てるサムエレ少年の遊びを移民にどう接して良いのかわからない人々の暗喩として全体の構成を整えています。映画を観て、アフリカに近いにもかかわらず、島に移民やアフリカの文化を感じさせるものが少ないことように感じました。アフリカが近いとは言え、やはり海は大きな隔たりを生むのかと思いました。ロッシ監督によると、イタリアは保守的で社会的地位を得るのが難しく、世襲が多い、変化を許さない停滞した社会で、人種を超えた統合が難しいとのことで、そうしたお国柄も影響しているのかもしれません。もうひとつ感じたのは、組織化、制度化により、実際に救助に当たる人々を除けば、島がもはや移民の現場でなくなっていることです。移民の悲惨さが見えるのは実際に救助に当たる限られた人々だけで、移民の現場は移民と接触することのない島ではなく、実際に移民を受け入れる国々になりつつあります。これまで、欧州がアフリカや中東の移民を受け入れるのは地理的に近いからと考えていました。しかし、移民の現場が組織化、制度化により、政治的に決まるとしたら、地理的な要因は絶対的なものではありません。日本が政治的に移民の現場になってもいいわけです。しかし、日本の2015年の難民認定はわずか27人、これまで認定されたシリア難民は6人と、移民受け入れは異常に低いのが実情です。日本の考え方が簡単に変わるとも思えないのですが、日本人が悲惨さについて心情的には共感するが、物理的に移民を受け入れることができないのかそもそも心情的に共感できないのか少し考えてみても良い気がしています。サムエレ少年バルトロ医師【撮影地(グーグルマップ)】ランペドゥーザ島 「海は燃えている〜イタリア最南端の小さな島〜」のDVDの(楽天市場)【関連作品】地中海が舞台の映画のDVD(楽天市場) 「太陽がいっぱい」(1960年) 「ニュー・シネマ・パラダイス」(1988年) 「グランブルー」(1988年) 「イル・ポスティーノ」(1994年) 「リプリー」(1999年) 「ボーン・アイデンティティー」(2002年) 「もうひとりの息子」(2012年) 「ギリシャに消えた嘘」(2012年) 「ビフォア・ミッドナイト」(2013年) 「胸騒ぎのシチリア」(2015年)ランペドゥーザ島の絶景を紹介した書籍(楽天市場) 詩歩著「死ぬまでに行きたい! 世界の絶景」
2017年10月03日
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