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「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(原題:Guardians of the Galaxy)は、2014年公開のアメリカのSFアクション&アドベンチャー映画です。マーベル・コミックの「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」を原作に、ジェームズ・ガン監督、クリス・プラット、ゾーイ・サルダナら出演で、5人組の宇宙のはみ出し者「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」が、強大な力を持つパワー・ストーン「オーブ」の力で宇宙を滅ぼそうとする悪党やお尋ね者たちと繰り広げる戦いを描いています。第87回アカデミー賞で、ベスト・メイクアップ&ヘアスタイリング賞と視覚効果賞にノミネートされた作品です。 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のDVD(楽天市場)監督:ジェームズ・ガン脚本:ジェームズ・ガン/ニコール・パールマン原作:ダン・アブネット/アンディ・ランニング出演:クリス・プラット(ピーター・クイル/スター・ロード、ガーディアンズのリーダ) ゾーイ・サルダナ(ガモーラ、サノスによって訓練された暗殺者) デイヴ・バウティスタ(ドラックス、家族の敵を討つためロナンを探す戦士) ヴィン・ディーゼル(グルート、ロケットの相棒である木のヒューマノイド) ブラッドリー・クーパー(ロケット、遺伝子改造されたアライグマの賞金稼ぎ/傭兵) リー・ペイス(ロナン・ジ・アキューザー、狂信的クリー人、ガーディアンズと敵対) マイケル・ルーカー(ヨンドゥ・ウドンタ、窃盗団のリーダー、クイルの父親代わり) カレン・ギラン(ネビュラ、ガモーラと姉妹同然のサノスの養女、ロナンとサノスの部下) ジャイモン・フンスー(コラス、ハンター、ロナンの部下) ジョン・C・ライリー(ローマン・デイ、ノバ帝国軍警察の衛生兵) グレン・クローズ(ノバ・プライム・イラニ・ラエル、ノバ帝国軍警察リーダー) ベニチオ・デル・トロ(タニリーア・ティヴァン/コレクター、動物や遺物を集め保管する) ほか【あらすじ】1988年、母親を亡くした幼いピーター・クイル(クリス・プラット)はヨンドゥ・ウドンタ(マイケル・ルーカー)率いる宇宙海賊ラヴェジャーズによって拉致されます。それから26年後、惑星モラグでトレジャー・ハンターに成長したクイルがオーブを盗み出そうとしたところ、同じくそれを狙うクリー人のロナン(リー・ペイス)の部下コラス(ジャイモン・フンスー)と遭遇します。クイルはオーブを持って逃亡しますが、横取りを知ったヨンドゥは彼を捕らえる為に懸賞金を掛け、ロナンはオーブ強奪の為に暗殺者ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)を派遣します。クイルがノバ帝国の首都惑星ザンダーでオーブを売ろうとした時、ガモーラが襲いかかり、揉み合う2人に遺伝子改造されたアライグマのロケット(声:ブラッドリー・クーパー)とその相棒の樹木型ヒューマノイドのグルート(声:ヴィン・ディーゼル)の賞金稼ぎペアが加わります。派手な戦いを繰り広げた4人はノバ軍警察に逮捕され、銀河一危険なキルン刑務所に投獄されます。ロナンに家族を殺されたドラックス(デイヴ・バウティスタ)は、ロナンと協力関係にあったガモーラを殺そうとしますが、クイルは彼女を生かしておけばロナンがやって来ると言い思いとどまらせます。ロナンを裏切りつもりのガモーラは、惑星を破壊するオーブの力をロナンに使わせたくないと言います。ガモーラにオーブの買い手がいることを知り、5人はガモーラとともにキルンから脱走します。ロナンはガモーラの養父でタイタン人のサノスと会い、彼女の裏切りとオーブについて議論します。クイルのグループは彼の宇宙船ミラノ号で、オーブに大金を払う「コレクター」と呼ばれる男に会う為、宇宙の果てのノーウェアへ到着します。酔ったドラックスがロナンを呼び寄せてしまう間、他の4人はコレクターのタニリーア・ティヴァン(ベニチオ・デル・トロ)と会います。ティヴァンは、オーブがそれを使う強者以外の全てを破壊するパワーを持つインフィニティ・ストーンであることを明かします。その直後、ティヴァンの使用人がストーンに触れ、ティヴァンのアーカイブを飲み込む大爆発を引き起こしてしまいます。ノーウェアに到着したロナンはドラックスを倒し、逃げる者たちをロナンの部下とガモーラの姉妹のネビュラ(カレン・ギラン)が追跡します。ネビュラがガモーラの船を破壊すると彼女は生身で宇宙空間に放り出され、ロナン軍はオーブを持ち去ります。クイルは自分を追ってきたヨンドゥを呼び寄せ、宇宙空間に出ます。外したヘルメットをガモーラに装着して延命し、2人はヨンドゥの船に回収されます。ロケット、ドラックス、グルートは2人を救出するためにヨンドゥの船を破壊すると脅迫しますが、クイルがオーブを取り戻すとヨンドゥを説得し、停戦に持ち込みます。グループは、インフィニティ・ストーンで銀河を破壊しようとするロナンを、決死の覚悟で止める必要があると考えます。ロナンの旗艦ダーク・アスター号では、ストーンの力を自分で使うことに決めたロナンが自身のコズミックハンマーに埋め込みます。ロナンはサノスに連絡し、ザンダーを滅ぼした後は彼を殺すと宣言、内心、サノスを恨んでいたネビュラと手を組みます。ザンダー星上空で、ダーク・アスター号は、ラヴェジャーズ、ノバ軍警察、クイルのグループと戦闘を開始します・・・。【レビュー・解説】しゃべるアライグマや樹木のヒューマノイドなどナチュラルな要素、カセットテープや70年代のポップスなどレトロな要素を取り込むなど、常識にとらわれず、スペクタクルなSFバトル・アクションでありながら、5人のはみ出し者が宇宙を守るという、ユーモアに溢れた、暖かみのある冒険談です。ガーディアンズの5人組 2017年の5月に、シリーズ第二作目の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」が公開されましたが、本作は2014年公開の第一作です。これは、マーベル・シネマティック・ユニバースの作品ですが、主人公がスーパーヒーローではなく、はみ出し者や悪党の集まり地球ではなく宇宙が舞台ポップでレトロな色使いコメディ色が強く、アクションよりもキャラクター同士の関係を重視と、これまでに比べてかなり個性的です。そして何よりもこの作品を強烈に印象づけるのが、しゃべるアライグマのロケットです。この映画唯一の主役というわけではないのですが、ガン監督がこの映画を制作する気になった最大の理由がロケットだと言います。最初に「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の説明を受けた時、正直に言って(しゃべるアライグマは)いいアイディアとは思えませんでした。不思議キャラのアライグマが喋るのは奇妙だと思ったのです。「アベンジャーズ」の真っ只中にバグズ・バーニーが登場するようなものです。うまく行くとは思えませんでした。コミックの「ガーディアンズ」はとても好きでしたが、それがマーベル・シネマティック・ユニバースの世界観にフィットするとは思えませんでした。私は家に帰る途中に、「ちょっと考えて見よう。もし、しゃべるアライグマがいるとしたら、それはどんなだろう?どのように現れるだろう?」と考えました。答えはとても悲しいものでしたが、私にとって「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」全体のベースとなりました。(ロケットは)実験でバラバラにされては縫合された小動物で、人工頭脳を埋め込まれた、半分機械で半分アライグマです。彼に似たものなんていません。ひねくれた、みすぼらしい、怒れる生き物なのです。彼の様に生きることは、たやすいことではありません。(ジェームズ・ガン監督)ブラッドリー・クーパー(ロケット、遺伝子改造されたアライグマ、賞金稼ぎ/傭兵)ブラッドリー・クーパーが声を担当するという贅沢なキャスティング。クーパーのギャラは「ハングオーバー! 消えた花婿と史上最悪の二日酔い」(2009年)と「世界にひとつのプレイブック」(2012年)を合わせたギャラのより多いという力の入れよう。ガン監督は、「ムービー43」(2013年)という悪名高い(?)コメディのアンソロジー映画集に参加しており、「ビーゼル」というタイトルで漫画のキャラクターの猫が、アニメ、実写入り乱れて主人と恋人の仲を邪魔をするという短編を制作しています。なかなか面白い作品です。この作品で動物ネタが得意と評価され、本作の監督に抜擢されたのかもしれません。いずれにせよ、ガン監督らは期待に応えるべく徹底的にアライグマを研究しています。実際のアライグマについてたくさん調べ、実際にアライグマを飼いました。アライグマの写真を撮り、アライグマと遊び、アライグマを餌付けし、アライグマの行動を覚え込みました。アライグマのロケットは映画の核心で、アベンジャーズの途中に登場する単なる漫画のキャラクターのバグズ・バーニーではないのです。ロケットは、現実世界の小さな傷ついた孤独な獣なのです。この宇宙に彼に似たものは存在しません。ロケットは、実験的に作られた出来損ないの戦闘マシーンなのです。(ジェームズ・ガン監督)このラクーンを引き立てているのが、樹木のヒューマノイドのグルートです。「私はグルート」というセリフしか言わないこのキャラクターは、口が達者なラクーンのツッコミに対して、いわばボケ的な存在ですが、木々が生物を育むようにグルートは優しくラクーンを守ります。ヴィン・ディーゼル(左、グルート、ロケットの相棒である木のヒューマノイド)ヴィン・ディーゼルが声を担当するという贅沢なキャスティング。「私はグルート」というセリフしかないが、その時々のグルートの気持ちを説明する脚本がディーゼルの為に特別に用意された。他に、筋骨隆々で全身赤い入れ墨だらけの強面だが、実はそれほど強いわけではないドラックスなど、魅力的なキャラクターが登場します。デイヴ・バウティスタ(左、ドラックス、家族の敵を討つためロナンを探す戦士)デビッド・バウティスタ(1969年〜)は、バージニア出身のアメリカのプロレスラー、俳優。レスラーとして体ができているので、本作の為に肉体改造する必要は無かったが、非常に真面目な性格で、撮影期間中、ずっとスタッフとキャストのジョークのカモにされた。クリス・プラット演じるピーター・クイル/スター・ロードが主役級、ゾーイ・サルダナが演じるガモーラがヒロイン級ですが、なにせ尖ったキャラが多いので、二人はまともなキャラに見えます。もっとも、本作は5人のはみ出し者や悪党の物語なので、むしろ他のキャラの魅力も引き出すよう、そつなく演じていると言った方が良いかもしれません。クリス・プラット(ピーター・クイル/スター・ロード、ガーディアンズのリーダ)クリス・プラット(1979年〜)は、ミネソタ出身のアメリカの俳優。大学を中退してセールスマンとして働いた後、ハワイのマウイ島でホームレス生活を送る。レストランで働いていた時に女優と出会い、映画デビュー、テレビのコメディ番組で人気を得る。映画「ウォンテッド」(2008年)、「マネーボール」(2011年)、「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)、「her/世界でひとつの彼女」(2013年)などの話題作やアカデミー賞ノミネート作品に出演を重ね、本作の主演で、一躍スターダムにのし上がる。ゾーイ・サルダナ(ガモーラ、サノスによって訓練された暗殺者)ゾーイ・サルダナ(1978年〜)は、ニュージャージー出身のアメリカの女優。父はドミニカ共和国、母はプエルトリコの出身。バレエ、演技の勉強を続け、バレエ・カンパニーを舞台にした映画「センターステージ」(2000年)でデビュー、「アバター」(2009年)でヒロインを演じて一躍有名になる。本作で共演のブラッドリー・クーパーと以前、交際していたが、別れている。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」5人組のフィギュア(楽天市場)クイルガモーラドラックスグルートロケット他に、ガーディアンズと敵対するロナンや、幼いクイルを誘拐、親代わりに育てた窃盗団の首領ヨンドゥなど、個性的なキャラが登場します。コレクターとして登場するベニチオ・デル・トロも見逃せません。リー・ペイス(ロナン・ジ・アキューザー、狂信的クリー人、ガーディアンズと敵対)マイケル・ルーカー(ヨンドゥ・ウドンタ、窃盗団のリーダー、クイルの父親代わり)ベニチオ・デル・トロ(タニリーア・ティヴァン/コレクター、動物や遺物の収集家)出演時間は短いが、存在感が半端ない。【サウンドトラック】 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:オーサム・ミックス Vol.1(楽天市場)ビルボード誌のヒットチャートのトップになったアルバム。オリジナル曲を含まないサウンドトラックでは初めての快挙。グラミー賞のベスト・サウンドトラック賞にノミネートされている。1 ウガ・チャカ(フックト・オン・ア・フィーリング)2 ゴー・オール・ザ・ウェイ3 スピリット・イン・ザ・スカイ4 月世界の白昼夢5 愛に狂って6 アイム・ノット・イン・ラヴ7 帰ってほしいの8 カム・アンド・ゲット・ユア・ラヴ9 チェリー・ボム10 エスケイプ11 ウー・チャイルド12 エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ(MONO) 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のDVD(楽天市場)【関連作品】「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のコミック版前日談(楽天市場) ダン・アブネット他著「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:プレリュード」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の続編のDVD(楽天市場) 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス」(2017年)ジェームズ・ガン監督作品のDVD(楽天市場) 「スリザー」 (2006年) 監督・脚本・出演クリス・プラット出演作品のDVD(楽天市場) 「マネーボール」(2011年) 「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年) 「her/世界でひとつの彼女」(2013年)ゾーイ・サルダナ出演作品のDVD(楽天市場) 「ドラムライン」(2002年) 「スター・トレック」(2009年) 「アバター」(2009年) 「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(2013年) 「スター・トレック BEYOND」(2016年)
2017年06月30日
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「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」(原題:Florence Foster Jenkins)は、2016年公開のイギリス・フランス合作の音楽コメディ&伝記映画です。伝説のソプラノ歌手フローレンス・フォスター・ジェンキンスの実話に基づき、スティーヴン・フリアーズ監督、メリル・ストリープ、ヒュー・グラントら出演で、歌唱力に致命的な欠陥がありながらもソプラノ歌手になる夢を追う女性と、そんな彼女を盛り立て、音楽の殿堂カーネギーホールでのリサイタルを成功させようとする夫の愛を、笑いと涙とともに描いています。第89回アカデミー賞で、主演女優賞(メリル・ストリープ)、衣装デザイン賞にノミネートされた作品です。 「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:スティーヴン・フリアーズ脚本:ニコラス・マーティン出演:メリル・ストリープ(フローレンス・フォスター・ジェンキンス) ヒュー・グラント(シンクレア・ベイフィールド) サイモン・ヘルバーク(コズメ・マクムーン) レベッカ・ファーガソン(キャサリン) ニナ・アリアンダ(アグネス・スターク) デイヴィッド・ヘイグ(カルロ・エドワード) ほか【あらすじ】ニューヨークの資産家で社交家のマダム・フローレンス(メリル・ストリープ)は、オペラを愛する人々の為にヴェルディ・クラブを創設します。イギリスのシェイクスピア俳優、セント・クレア・ベイフィールド(ヒュー・グラント)は、フローレンスのマネージャーで夫ですが別居しています。フローレンスは街の高級アパートに住み、ベイフィールドは未亡人のキャスリーン・ウィザリー(レベッカ・ファーガソン)と暮らしています。フローレンスは最初の夫からうつされた梅毒を患っており、水銀やヒ素の治療薬の副作用など健康上の問題を抱えています。病気をベイフィールドにうつすという懸念から、フローレンスは性交渉を控え、ベイフィールドはキャスリーンを相手に性的欲望を満たしています。歌のレッスンを再開したフローレンスは、コズメ・マクムーン(サイモン・ヘルバーク)を伴奏者として雇い、メトロポリタン歌劇場副指揮者のカルロ・エドワード(デイヴィッド・ヘイグ)に紹介します。マクムーンは、フローレンスの歌唱力に欠陥に驚きますが、ベイフィールドとエドワードはあたかも彼女が素晴らしい歌手であるかのように振る舞います。ベイフィールドは、決してフローレンスを批判しないようにとマクムーンに忠告します。ベイフィールドはマスコミを買収、信奉者だけを集めた小さなリサイタルを手配、限られた人だけにチケットを売ります。リサイタルでは、ヴェルディ・クラブの忠実なメンバーは敬意を持って聞きますが、他の人々は笑いをこらえています。リサイタルのレビューに気を良くしたフローレンスは、ヴェルディ・クラブへのクリスマスプレゼントにと、歌をレコーディングします。マクムーンにレコードを一枚プレンゼントしたフローレンスは、ベイフィールドは必ずしも成功した役者ではなく、彼が感情を害さないよう批判的なレビューを隠しているとマクムーンに打ち明けます。さらに彼女は、子供の頃に大統領の前でピアノを演奏したことがあり、ピアノ教師でもあったことをマクムーンに教えます。フローレンスに音楽の才能がないわけではないと知ったマクムーンは、友情を深めます。フローレンスとマクムーンはオリジナル曲を作曲、演奏します。その一曲がラジオで放送され、ベイフィールドとキャスリーンは驚き、コメディと勘違いした多くのリスナーはそれを楽しみます。人気を得たフローレンスは、音楽の殿堂「カーネギーホール」を一晩予約し、兵士達に千枚のチケットをプレゼントするとベイフィールドに伝えます。彼女を思いとどまらせようとする説得は失敗し、本番が迫りくるストレスから、ベイフィールドはバーでフローレンスとマクムーンの曲を馬鹿にした男たちと喧嘩します。自分を顧みてもらえない寂しさに耐えられなくなったキャスリーンはベイフィールドの元を去り、マクムーンはリサイタルで笑いものにされて彼のキャリアが終わってしまうのが恐いとベイフィールドに打ち明けます・・・。【レビュー・解説】伝説のソプラノ歌手、フローレンス・フォスター・ジェンキンスに関して明確な解釈を示し、厳しい状況にある人間に向けたスティーヴン・フリアーズ監督の暖かな眼差しが感じられる伝記コメディ&ドラマ映画です。映画とは言え、音程がはずれ、テンポのズレた歌を聞かされるのは大変かなと思ったのですが、実際に観てみるとそうでもありません。それどころか、メリル・ストリープ扮するフローレンスの歌が魅力的に思えてくるから不思議です。若い頃、オペラの訓練を受け、「マンマ・ミーア!」(2008年)や「イントゥ・ザ・ウッズ」(2014年)で歌唱力にも定評のあるストリープは、本作を演じるにあたりオペラのコーチのもとで2カ月にわたり正しく歌う特訓に励み、最後の2週間で音程を外す練習をしたと言います。ピアノの伴奏も、コズメ役のサイモン・ヘルバーク自身が演奏しています。歌うシーンのある映画では、最初に歌をレコーディング、撮影現場では口パクするのが一般的です。ストリープとヘルバークは本作でもそのつもりで、ロンドンのスタジオで全曲レコーディングしました。しかし、撮影が始まるや否や、フリアーズ監督が「生でやるべきだと思うよ!」と言い出し、結局、生演奏で収録しています。ストリープは即興でわざとミスしますが、ヘルバークはすぐさま反応しストリープの全てミスに即興でタイミングを合わせています。実は、ヘルバークは一時期ジャズピアニストを目指したこともあるほどの腕前で、コミカルな演技ともに彼のピアノ演奏は本作の見所のひとつです。この映画を観た後、実際にフローレンス・フォスター・ジェンキンスが実際に録音したものを聞いてみたのですが、ストリープがその特長を良く捉えていることだけではなく、オリジナルの録音自体が魅力的であることがわかります。私が会った音楽の学生は皆、このレコードをよく知っているわ。でも、それは通して聴くに耐えないひどい歌だからだけじゃない。ドキッとするのよ。彼女の呼吸がドキッとするくらい素晴らしくて、可笑しいの。レコードを聞けばすぐに分かるわ。彼女は息継ぎをするのがちょっと遅すぎるけれど、大きく息を吸い込んでいる。音楽への願望、音楽への愛がぐっと詰まっているのよ。私は子どもたちを連想したわ。子どもたちはよく家で家族の為にショーを演じたけど、本当に真剣で気持ちがこもっていた。なりきることが好きで好きで仕方なくって、喜びに満ち溢れていたのよ。私たちは誰しも子どもの頃にはそういう気持ちを持っているけど、大人になると忘れてしまう。でも、フローレンスは偉大な歌手になれるという夢を捨てずに持ち続けていたの。(メリル・ストリープ)詳細は次項の年表を参照して頂くとして、音楽家になることに父が反対、駆け落ちして結婚した最初の夫から梅毒をうつされるなど、フローレンスの人生には試練がありました。父親の死後、遺産を相続して彼女の人生は好転しますが、単に金を持っているだけの病気持ちの老女と見ることもできます。また、ベイフィールドも金目当てでフローレンスに近づいたのではないかと見ることができます。しかし、ストリープは「世界の美しくて素晴らしい部分だけを見ることができる人」とフローレンスを評します。撮影前にプロデューサーが私たちを家での夕食に招いてくれて、30年にわたってシンクレアとフローレンスが互いに書いたラブレターを見せてくれたの。シンクレアの行動は愛だったのか、それともお金が目的だったのか、疑問が持たれているのは知っていたけれど、それはこの手紙をみんな知らないからよ。そこには真の愛情があったわ。ヒューが言うには、愛というのは私利だって。それは否定できない。でも彼らの互いについての幻想は「愛」といえるんじゃないかしら。最高の部分だけを見て、残りは無視するの。(メリル・ストリープ)お金があったから「世界の美しくて素晴らしい部分だけを見ること」ができたのかもしれませんが、人それぞれ、運もあれば性格もあります。フローレンスと同じく素晴らしい音楽の才能を持ちながらもホームレスになった実在の女性を描いた、「ミス・シェパードをお手本に」(2015年)と対比してみると興味深いです。 「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」「ミス・シェパードをお手本に」モデルフローレンス・フォスター・ジェンキンスマーガレット・フェアチャイルド才能8歳でピアノコンサートを開く音楽の天才としてホワイトハウスに呼ばる将来を嘱望されたコンサートピアニストフランスの巨匠アルフレッド・コルトーに師事する試練父が音楽家になる事に反対、支援を打ち切られる駆け落ちするも夫に不治の梅毒をうつされる腕に傷を負い、ピアニストとして成功が難しくなる離婚するも貧困に陥り、負債未払いで訴えられるコルトーがナチス協力者としてバッシングされる最愛の母を失い、ショックで放浪の旅へ修道女を志すが、ピアノを禁じられ精神的に破綻する死亡事故に巻き込まれ、警察から逃亡することになる選択音楽家を諦めることを条件に親元に帰る父の死後、遺産を相続、社交界デビュー歌のレッスンを受け、ソプラノ歌手デビュー享年76歳過去に封印し、ホームレスとして暮らす享年78歳二人とも厳しい試練に直面しますが、どちらの生き方がいいとか、悪いとかということではなく、二人の生き方がそれぞれ特徴的であることがわかります。ミス・シェパードにはさすらい人の高潔さがあったと言われますが、この映画は病気でボロボロになっても、歌唱力の欠陥をものともせず音楽を楽しむフローレンスの楽天性を描いています。今回、私自身について学んだのは、何が間違っているのかという視点で私はものを見てしまいがちだということ。いつもどこに間違いがあるかを探してしまうの。それが私の弱いところ。間違いを無視して世界の美しくて素晴らしい部分だけを見る人々に、私は感服する。フローレンスに惹かれる理由の一つは、彼女の楽天的で嫌なものはわざと無視するところに私の母を思い出すから。そんな人たちは人生を通してとても幸せでいられる。逆に私みたいな人は、何が間違っているのかに集中するあまり自分をみじめにしてしまうのよ。(メリル・ストリープ)メリル・ストリープ(フローレンス・フォスター・ジェンキンス)メリル・ストリープ(1949年〜)は、ニュージャージー出身のアメリカの女優。イェール大学演劇大学院に学び、舞台俳優としてキャリアをスタートする。1976年にブロードウェイ・デビュー、トニー賞にノミネートされる。「ジュリア」(1977年)で映画デビュー、「ディア・ハンター」(1978年)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされる。「クレイマー、クレイマー」(1979年)で同助演女優賞、「ソフィーの選択」(1982年)で同主演女優賞、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」(2011年)で同主演女優賞を受賞している。2017年現在、アカデミー賞に20回ノミネートされており、これは俳優としては最多記録。ヒュー・グラントの相手役を務めるのは年上すぎると思っていたが、彼が年を取ったので本作で初共演できたと喜んでいる。ヒュー・グラント(シンクレア・ベイフィールド)ヒュー・グラント(1960年〜)は、ロンドン出身のイギリスの俳優。オックスフォード大学で英文学を専攻、在学中に俳優としてのキャリアをスタートする。映画「モーリス」(1987年)がヒットし、世界的に知られるようになる。「フォー・ウェディング」(1994年)、「ノッティングヒルの恋人」(1999年)、「ブリジット・ジョーンズの日記」(2002年)と、コンスタントにヒットを飛ばし、「ロマンティック・コメディの帝王」と呼ばれ、愛すべきダメ男俳優のひとりとして親しまれた。パニック障害を患ったりで半ば休業状態だったが、メリル・ストリープと共演できると聞いて本作に出演した。サイモン・ヘルバーク(コズメ・マクムーン)サイモン・ヘルバーク(1980年〜)は、ロスアンジェルス出身のアメリカの俳優、コメディアン、ミュージシャン。10歳からピアノを弾き始め、一時期ジャズピアニストを目指したほどの腕前で、本作でもコミカルな演技とともに、素晴らしいピアノ演奏を披露している。レベッカ・ファーガソン(キャサリン)レベッカ・ファーガソン(1983年〜 )は、ストックホルム出身のスウェーデンの女優。やや遅咲きの観はあるが、2013年、テレビドラマでゴールデングローブ主演女優賞にノミネートされている。「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」(2015年)に出演、次作への出演も期待されている。【フローレンス・フォスター・ジェンキンスの略歴】西暦年齢主な出来事1868年0歳ペンシルヴェニアで裕福な家庭に生まれる(父チャールズ・フォスターは、弁護士で銀行取締役もつとめる州議会議員)1876年8歳ピアニストとして初のコンサートを開く音楽の天才児とみなされ、ホワイトハウスに呼ばれなど注目を集める。1885年17歳音楽家を目指すが父の猛反対にあう年上医師のフランク・ジェンキンスと駆け落ちし、結婚(父からの援助を絶たれる)夫に梅毒をうつされる(当時は死に至る病気で、治療の副作用もひどかった)1902年34歳フランク・ジェンキンスと離婚音楽教師やピアノ奏者として生計を立てる腕に負った傷の為、ピアニストとしての成功は難しかった1907年39歳 貧困状態で負債未払いで訴えられる父に探し出され、音楽家になることを諦めることを条件に親元へと帰ることに1909年41歳 シンクレア・ベイフィールドと出会い、数ヶ月で事実婚に至る父チャールズ・フォスター死去莫大な遺産を相続母と共にNYへ渡り、お互い別の高級ホテルに住み、社交界に参入1912年43歳歌のレッスンを受け、初めて公の場で歌手としてデビュー1917年48歳ヴェルディ・クラブを創設元夫フランク・ジェンキンス死去1922年53歳 ヴェルディ・クラブの音楽会や海軍のためのガラ・ナイトで歌う*この頃から数多くのリサイタルなどに参加。舞台で歌う。1930年61歳 コズメ・マクムーンを伴奏者として雇うホテルのスイートルームで毎週音楽の夕べを始める母メアリー・フォスター死去、さらに莫大な遺産を相続する1938年69歳 NYのラジオ局で毎週日曜午後リサイタル番組を開始(5ヶ月続く)1944年76歳 10月25日 76歳にして、カーネギーホールの舞台に立つ*チケットは2時間で完売。観客の中には、作詞・作曲家のコール・ポーターやソプラノ歌手リリー・ポンス、ジプシー・ローズ・リー、作曲家のジャン=カルロ=メノッティ、女優タルラ・バンクヘッドらがいたと言われている10月30日 音楽店来店中に心臓発作を起こす11月26日 NYホテル・シーモアで死去「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」公式サイトより【サウンドトラック】「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」のサウンドトラックCD(Amazon)1. マダム・フローレンス 2. あなたのため以外には、もう歌わない 3. 華麗なるニューヨーク社交界 4. 買収工作 5. 喜歌劇≪こうもり≫より 「侯爵様、貴方のようなお方は」 6. 夢見るふたり 7. テイク・イット・イージー 8. 歌劇≪ラクメ≫より 「鐘の歌」 9. 歌劇≪ラクメ≫より 「鐘の歌」 10. コズメ・マクムーン 11. 歌ってよ、マダム・フローレンス! 12. 前奏曲 第4番 Op.28-4 13. チャーリーズ・プレリュード(前奏曲 第4番) 14. ベッドタイム15. マエストロ・トスカニーニ 16. 歌劇≪魔笛≫より 「夜の女王のアリア」 17. ラジオからきこえてきた歌声 18. キャサリンのもとへ 19. シンクレアのブルース 20. NYポスト 21. いざ、音楽の殿堂カーネギーホールへ 22. 手荒い聴衆たち 23. ついに知ってしまった真実 24. 鳥のように 25. 記事を目にする運命 26. 愛する音楽のために 27. 子守歌 Op.49-4 28. 甘美なワルツ【撮影地(グーグルマップ)】設定はニューヨークだが、撮影はロンドン、リバプール、グラスゴー等で行われている。カーネギー・ホール(ロンドン、ハーマンスミス・アポロ) 「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」のDVD(楽天市場)【関連作品】フローレンス・フォスター・ジェンキンスのレコーディング(楽天市場) The Glory (????) Of The Human Voice (Sony Classical Originals)輸入版CDフローレンス・フォスター・ジェンキンスのドキュメンタリーのDVD(楽天市場) 「Florence Foster Jenkins: A World of Her Own」(2007年)フローレンス・フォスター・ジェンキンスの伝記本(楽天市場) ダリル・W. ブロック著「フローレンス・フォスター・ジェンキンス 騒音の歌姫」篠儀直子訳スティーヴン・フリアーズ監督作品のDVD(楽天市場) 「グリフターズ/詐欺師たち」(1990年) 「ハイ・フィデリティ」(2000年) 「堕天使のパスポート」(2002年) 「クィーン」(2006年) 「あなたを抱きしめる日まで」(2013年)メリル・ストリープ出演作品のDVD(楽天市場) 「ディア・ハンター」(1978年) 「クレイマー、クレイマー」(1979年) 「マンハッタン」(1979年) 「ソフィーの選択」(1982年) 「マディソン郡の橋」(1994年) 「マイ・ルーム」(1996年) 「母の眠り」(1998年) 「めぐりあう時間たち」(2002年) 「アダプテーション」(2002年) 「クライシス・オブ・アメリカ」(2004年) 「今宵、フィッツジェラルド劇場で」(2006年) 「プラダを着た悪魔」(2006年) 「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙}(2011年)ヒュー・グラント出演作品のDVD(楽天市場) 「フォー・ウェディング」(1994年) 「いつか晴れた日に」(1995年) 「ノッティングヒルの恋人」(1999年) 「ブリジット・ジョーンズの日記」(2002年) 「アバウト・ア・ボーイ」(2002年)レベッカ・ファーガソン出演作品のDVD(楽天市場) 「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」(2015年)
2017年06月28日
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「キングスマン」(原題:Kingsman: The Secret Service)は、2014年公開のイギリスのスパイ・アクション映画です。マーク・ミラー/デイヴ・ギボンズのコミック「キングスマン:ザ・シークレット・サービスを原作に、マシュー・ヴォーン監督、コリン・ファース、 サミュエル・L・ジャクソンら出演で、どの国にも属さない世界最強のスパイ機関「キングスマン」の活躍と亡き父の後を継いでキングスマンのスパイとなる道を選んだ青年の成長をユーモアを交えて描いています。 「キングスマン」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:マシュー・ヴォーン脚本:ジェーン・ゴールドマン/マシュー・ヴォーン原作:マーク・ミラー/デイヴ・ギボンズ「キングスマン:ザ・シークレット・サービス」出演:タロン・エガートン(ゲイリー・“エグジー”・アンウィン、亡父を継ぐキングスマン候補生) コリン・ファース(ハリー・ハート、キングスマンのベテランスパイ) サミュエル・L・ジャクソン(リッチモンド・ヴァレンタイン、多発テロを計画するIT富豪) マーク・ストロング(マーリン、キングスマンの新人候補生を指導する教官) マイケル・ケイン(アーサー 、キングスマンのリーダー) ソフィ・クックソン(ロキシー・モートン 、キングスマン候補生、上流出身だが平等主義) ソフィア・ブテラ(ガゼル、ヴァレンタインの部下、両足が義足の殺し屋) サマンサ・ウォマック(ミシェル・アンウィン、エグジーの母親、夫を亡くし自堕落に) ジョノ・デイヴィース(リー・アンウィン、エグジーの父、元キングスマン候補生、殉職) ジェフ・ベル(ディーン・ベイカー、エグジーの義父、ミシェルにDVを働く、不良のボス) エドワード・ホルクロフト(チャーリー・ヘスケス、キングスマン候補生、差別的) マーク・ハミル(アーノルド教授、ガイア理論を提唱する学者、謎の一味に拉致される) ジャック・ダヴェンポート(ランスロット、キングスマンのベテランスパイ、リーと同期) ハンナ・アルストロム(ティルデ王女、スウェーデンの王女、ヴァレンタインが監禁する) JB(エグジーが訓練の一環として育てるパグ、名前の由来は「24」のジャック・バウアー) ほか【あらすじ】ロンドンのサヴィル・ロウにある「キングスマン」は表向きは高級テーラーですが、実はどこの国にも属せずに、難事件・テロリズムを解決するスパイ機関「キングスマン」の拠点です。「キングスマン」のエリートスパイ、ハリー(コリン・ファース)は、英国風のスーツをスタイリッシュに着こなし、組織の指揮者アーサー(マイケル・ケイン)のもとで秘密裏の活動を行っています。ある日、チームの一員が何者かに惨殺され、ハリーは新人をスカウトすることになります。海兵隊を辞めて無為に日々を過ごすエグジーは、チンピラ相手のつまらない諍いで逮捕され、「キングスマン」に保釈の面倒をみてもらいます。エグジーの父(リー・アンウィン)は「キングスマン」の候補生でしたが、17年前に殉職しました。かつてリーに命を救われたハリーは、エグジーの頭脳と身体能力に注目、エグジーをキングスマン候補生としてスカウトします。家柄の良い候補生たちと共に過酷な試練に耐え、エグジーは最終試験まで残りますが、合格したのは紅一点のロキシーでした。一方、人類の存亡に関わる巨大な陰謀を追っていたハリーは、ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)というIT富豪が絡んでいることを突き止めますが、道半ばでヴァレンタインに射殺されてしまいます。エグジーは「キングスマン」の内部にヴァレンタインのシンパがいることに気付き、信頼できる指導教官マーリンとロキシーとともに、ハリーの仇を取ろうとヴァレンタインに戦いを挑みます・・・。【レビュー・解説】スマホ文化と格差社会をフックに、イギリス伝統のスタイリッシュなスパイ映画を面白おかしく描き、切れ味のあるアクションで新世代の若者を魅了する、マシュー・ヴォーン監督のスパイ・アクション・コメディです。007シリーズを彷彿とさせるコリン・ファースのアクションは元より、高い身体能力を活かし義足を武器に戦うソフィア・ブテラのファイト、「希望と栄光の国」が流れる中での仕掛け花火を彷彿とさせるクライマックスと、アクション・シーンが際立つ本作ですが、背景となるストーリーもしっかりとした秀作です。「キック・アス」(2010年) 、「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(2011年)の監督・脚本で知られるマシュー・ヴォーン監督が、マーク・ミラー/デイヴ・ギボンズの原作コミック「キングスマン:ザ・シークレット・サービス」の製作過程を見て絶対に自分で監督したいと思い立ち、既に決まっていた「X-MEN: フューチャー&パスト」の監督をプロデューサーのプライアン・ジンガーに頼み込んで、本作の制作にとりかかったこだわりの作品です。コミック作家のマーク・ミラーとヴォーン監督はかねてから面白いスパイ物を作りたいと話し合う仲で、新旧の世代がミックスする現代スパイ劇を描いたらどうかという話から「キングスマン」が実現したと言います。マーク・ミラーは当初、アメリカを舞台に描くつもりでしたが、イギリスを舞台にすべきというヴォーン監督の意見を取り入れ、イギリスの階級社会を絵にすることができるイギリス人イラストレーターのデイヴ・ギボンズと組みました。コミック版には、共同プロッターとしてマシュー・ヴォーンの名がクレジットされています。ヴォーン監督は、「スターダスト」(2007年)、「キック・アス:(2010年)、「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(2011年)と、一緒に脚本を書いたジェーン・ゴールドマンと共にこのコミックを脚本にします。ヴォーン監督の本作への思いをゴールドマンは次の様に語っています。マシューはボンド映画をとても愛しているの。「キングスマン」は、そんなボンド映画を慈しみながら、新しいことも取り入れた映画だわ。彼はスパイ映画を作るってもう何年も話しているの。「スターダスト」(2007年)の脚本を書いている頃からね。(ジェーン・ゴールドマン)スティーブン・スピルバーグ監督が子供の頃を見た映画を時代に合った、わかりやすく新鮮なもの作り変えたのが彼の「レイダース/失われたアーク」(1981年)ですが、ヴォーン監督が子供の頃に見たボンド映画を時代に合った、わかりやすく新鮮なもの作り変えたのが本作です。かつてボンド映画は東西の冷戦構造を背景にしましたが、1989年のベルリンの壁崩壊以降、スパイ映画は、中東紛争や対テロ戦争、巨大企業の陰謀などを題材にするようになります。本作でエグジーの父が就いた特殊任務は中東戦争を想定したものと思われます。IT富豪のヴァレンタインに特定のモデルはいませんが、彼は強いて言えばアップルのスティーブ・ジョブズのようにカリスマ性を持ち、大衆に影響力を持つ人物という設定です。通信料がタダになるSIMカードを無料配布するという、ありそうなビジネスモデルの陰に隠れた陰謀を、地球温暖化や人口過密を絡めて描くなど、冷戦を知らない若い世代にもわかりやすいスパイ映画にしています。ヴォーンとゴールドマンはこうした世代からより共感が得れるよう、「キングスマン」を政府機関からプライベートな組織にするエグジーを「キングスマン」のメンバーの甥から、血縁のない労働者階級の青年にする格差を風刺し、階級差を乗り越えるサクセスストーリーを盛り込むなど、原作から脚本を書き換えていますが、イギリスの伝統的文化にはこだわっています。タイトルの「キングスマン」は、「アーサー王伝説」で英国王に使えた「12人の円卓の騎士」に由来するもので、道義心や礼節の精神に根ざした者の映画であることを暗示します。英語版公式サイトには次のような「紳士たるキングスマンの心得」が掲載されていました。紳士は勝利や私事、取引を語らない。他人には関係ないことだ。紳士は公衆の面前で敵や別れたパートナーと争わない。洒落っ気のない争いは最悪だ。紳士は喜んでドアを開け、勘定を払い、翌朝にタクシーを呼ぶ。助けを求めれば彼は断らない。紳士は無礼をあたかもなかったことのように無視する。それはあってはならないことだからだ。紳士は誰にとっても効き目のある機知に富んだコメント、面白い事実、会話のきっかけに適確だ。紳士は相手の気分を害さずに質問し、注目してみせる。例えそうではなくても、他の誰よりも相手に興味を抱いているように感じさせる。古くからのキングスマンのメンバーであるハリーはこうしたスタイルを持っていますが、エグジーはなかなかこうはなれません。また、エグジーは愛犬をJBと名付けますが、これはジェイムス・ボンドはおろか、スパイ映画「ボーン」シリーズのジェイソン・ボーンでさえなく、TVドラマ・シリーズ「24 -TWENTY FOUR」の主人公ジャック・バウワーの略であることが、世代間のギャップを暗示しています。イギリスはテイラード・スーツで有名ですが、「キングスマン」のメンバーがロンドンの仕立て屋に集うなど、プロット上、重要な役割を果たすだけでなく、次世代の「キングスマン」を育成する中でスーツが男を作ることが示されており、ヴォーン監督はこの映画の為にコンセプチャル・スーツを作るほど入れ込んでいます。また、秘密兵器として使われる傘も、イギリス紳士の必須アイテムと言われるものです。傘と言えば婦人用の日傘だったものを、男性が使う雨傘として広めたのは18世紀のイギリスの旅行家、著述家、商人ジョナス・ハンウェーで、19世紀に同じくイギリスのサミュエル・フォックスが鋼鉄製のU字型溝骨の発明、傘が飛躍的に広まりました。また、クライマックスに流れる「希望と栄光の国」は、エルガー作曲による「威風堂々」第1番のメロディに歌詞をつけたイギリスの愛国歌で、戦時下でも暗くならずに生きる人々の逞しさと祖国への誇りを重ねたものです。夏のロンドンの風物詩、BBCプロムス最終夜のクライマックスに聴衆が国旗を振りながら歌うなど、現代のイギリス人にも馴染みの深い曲ですが、本作でこの曲をバックに仕掛け花火のように次々と爆発が起きていく様は圧巻です。イギリス紳士の必須アイテムである雨傘がボンド映画のようなスパイの小道具に「希望と栄光の国」が流れる中、仕掛け花火のように爆発が起きるシーン圧巻と言えば、高い身体能力を活かし義足を武器に戦うソフィア・ブテラのファイト・シーンも圧巻です。彼女が演じるガゼルは両足が義足でそのバネが鋭い刃物の武器となっています。このキャラクタは、007シリーズの「私を愛したスパイ」(1977年)に登場した鋼鉄の歯の持つ不死身な大男「ジョーズ」顔負けの特徴的キャラクターです。「ジョーズ」が巨大人喰鮫に因んだキャラクターであるのに対し、「ガゼル」は跳ね上がるように走る動作で知られている草食動物で、好対照をなしています。原作では男性でしたが、映画でこれを女性に変えたヴォーン監督のセンスは素晴らしいです。さらにガゼルを演じたソフィア・ブテラが出色です。彼女はアルジェリア出身のフランス人のダンサー、モデル、女優で、5歳からクラシックバレエを始め、10歳でフランスに移住、新体操のフランス代表チームに所属するほどの高い身体能力を有しています。彼女は、この役に為にタイ式ボクシング、テコンドーなどでキックの仕方を学び、さらにスタントの為のワイヤーの扱い方を習得、非常に見応えのあるパフォーマンスを見せています。 ボンド映画の「ジョーズ」顔負けの特徴的キャラクター、ガゼルのファイト・シーン007シリーズ同様、本作もお色気シーンで幕を閉じます。エンドクレジットには、ヴォーン監督の愛する亡き母であり女優のキャシー・シートンへの献辞が捧げられています。彼女はキングスマンたるものどう有るべきかをヴォーン監督に教えてくれたと言います。マシュー・ヴォーン監督が生まれた時、シートンはアメリカの俳優ロバート・ヴォーンと交際しており、ロバートは子供がヴォーン姓を名乗ることを求めたと言います。その後、マシューの実父はイギリス貴族であることが分かりましたが、仕事ではヴォーン姓を名乗り続けています。ロバート・ヴォーンはアメリカのスパイアクションTVドラマシリーズ「0011 ナポレオン・ソロ」で有名な俳優で、ヴォーン監督はここでもスパイものに縁があったことになります。本作はアメリカでもヒットしましたが、主人公がイギリス英語を話し、悪役がアメリカ英語を話す映画としては異例です。新旧、米英双方のセンスを併せ持つ、ヴォーン監督ならではかもしれません。続編「キングスマン:ゴールデン・サークル」も製作中で、2017年9月にアメリカで公開予定です。コリン・ファース(ハリー・ハート、キングスマンのベテランスパイ、エグジーの亡父に救われた)タロン・エガートン(右、ゲイリー・“エグジー”・アンウィン、亡父を継ぐキングスマン候補生)マーク・ストロング(マーリン、キングスマンの新人候補生を指導する教官)サミュエル・L・ジャクソン(リッチモンド・ヴァレンタイン、世界的なロ計画を進めるIT富豪)ソフィア・ブテラ(ガゼル、ヴァレンタインの部下、両足が義足の殺し屋)マイケル・ケイン(アーサー 、キングスマンのリーダー、上流階級こそキングスマンと考えている)ソフィ・クックソン(ロキシー・モートン 、キングスマン候補生、上流階級出身だが平等主義)「キングスマン」のポスター(左)と「007 ユア・アイズ・オンリー」のポスター(右)【サウンドトラック】 「キングスマン」サウンドトラックCD輸入版(楽天市場)ボンド映画を思わせるサウンドトラックと言われています。1. Manners Maketh Man 2. The Medallion 3. Valentine 4. To Become a Kingsman 5. Pick a Puppy 6. Drinks with Valentine 7. Skydiving 8. Shame We Had to Grow Up 9. CD ONLY: Kentucky Christians10. Curious Scars and Implants 11. Toast to a Kingsman 12. An 1815 Napoleonic Brandy 13. Eat, Drink, and Paaaaarty 14. Calculated Infiltration 15. CD ONLY: Out of Options 16. Hand On the Machine 17. Finale 18. CD ONLY: Original Valentine Ideas (Demo Suite)なお、スコアのみで挿入歌は含まれていません。 【撮影地(グーグルマップ)】キングスマンの本拠地である仕立て屋世界的に有名な「Hunsman & Sons」。ショーウィンドウの右下を拡大してみるとキングスマンのマークが貼ってあるのがわかる。仕立て屋の内部スーツ姿のコリン・ファースの写真を額に入れて飾ってある。実際に営業している仕立て屋を撮影に使用するのは非現実的であるため、スタジオに複製を作って撮影している。もっともらしく見えるよう、物品が「Hunsman & Sons」から貸し出された。エグジーの済む集合住宅ハリーの住む家エグジーが捕えられた警察署ハリーが紳士のマナーを教え込むパブヴァレンタインがハリーの勧めで帽子を買った店ハリーが乱闘に巻き込まれるケンタッキーの教会 「キングスマン」のDVD(楽天市場)【関連作品】「キングスマン」の原作コミック(楽天市場) Mark Millar/Dave Gibbons"The Secret Service: Kingsman"マシュー・ヴォーン監督・脚本作品のDVD(楽天市場) 「レイヤー・ケーキ」(2004年) 監督 「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」(2011年) 監督・脚本 「X-MEN: フューチャー&パスト」(2014年) 原案コリン・ファース x マーク・ストロング共演作品のDVD(楽天市場) 「裏切りのサーカス」(2011年)コリン・ファース出演作品のDVD(楽天市場) 「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年) 「恋におちたシェイクスピア」(1998年) 「ブリジット・ジョーンズの日記」(2001年) 「シングルマン」(2009年) 「英国王のスピーチ」(2010年)タロン・エガートン出演作品のDVD(楽天市場) 「戦場からのラブレター」(2014年) 「イーグル・ジャンプ」(2015年)サミュエル・L・ジャクソン出演作品のDVD(楽天市場) 「ドゥ・ザ・ライト・シング」(1989年) 「グッドフェローズ」(1990年) 「ジャングル・フィーバー」(1991年) 「トゥルー・ロマンス」(1993年) 「ジュラシック・パーク」(1993年) 「パルプ・フィクション」(1994年) 「プレイヤー/死の祈り」(1997年)「ジャッキー・ブラウン」(1997年) 「キル・ビル Vol.2」(2004年) 「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」(2011年) 「アベンジャーズ」(2012年) 「ジャンゴ 繋がれざる者」(2012年) 「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」(2014年)マーク・ストロング出演作品のDVD(楽天市場) 「ザ・ガード〜西部の相棒〜」(2011年) 「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年) 「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」(2014年) ソフィア・ブテラ出演作品のDVD(楽天市場) 「スター・トレック BEYOND 」(2016年)
2017年06月25日
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「ドクター・ストレンジ」(原題:Doctor Strange)は、2016年公開のアメリカのSFファンジー&アクション映画です。「マーベル・コミック」のヒーローである「ドクター・ストレンジ」の実写映画化作品で、スコット・デリクソン監督、ベネディクト・カンバーバッチ、レイチェル・マクアダムス、キウェテル・イジョフォー、マッツ・ミケルセン、ティルダ・スウィントンら豪華キャストで、人智を超えた力を手に入れた元天才外科医の魔術師という異色のヒーローが世界を滅亡から救うために強大な敵に立ち向かっていく姿を描いています。【スタッフ・キャスト】監督:スコット・デリクソン脚本:スコット・デリクソン/ジョン・スペイツ/C・ロバート・カージル原作:スタン・リー/スティーヴ・デッコ「ドクター・ストレンジ」(マーベル・コミック)出演:ベネディクト・カンバーバッチ(ドクター・ストレンジ)高い知性とユーモアを持ち合わせるが、傲慢な天才外科医。交通事故で神経を損傷、両手の繊細な動きという外科医として致命的な機能を失う。藁にもすがる思いで、カトマンズにあるカマー・タージという施設へ向かう。レイチェル・マクアダムス(クリスティーン・パーマー)ストレンジの同僚。一時は恋人だったが、ストレンジの傲慢さに付いていくことができず、別れる。事故後に自暴自棄になったストレンジを気に掛ける。マイケル・スタールバーグ(ニコデマス・ウエスト)スティーヴンの同僚の医師。重症を負ったスティーヴンの治療を担当する。ベンジャミン・ブラット(ジョナサン・パングボーン) 事故で半身不随になるが、エンシェント・ワンの下で魔術を身につけ、回復した男性。両手を直したいストレンジにカマー・タージに行くよう助言する。ティルダ・スウィントン(エンシェント・ワン)カマー・タージの主で、ソーサラー・スプリーム(至高の魔術師)。年齢不詳の女性で、ストレンジを魔術に導く。キウェテル・イジョフォー(モルド) エンシェント・ワンの弟子で、新たに弟子入りしたストレンジのお目付け役。魔術師であることに誇りを持つが、生真面目で融通が利かない面もある。ベネディクト・ウォン(ウォン)カマー・タージの蔵書を管理するアジア系の男。仏頂面で、ストレンジのジョークにも動じないが、堅物というわけでもない。マッツ・ミケルセン(カエシリウス)かつてエンシェント・ワンの弟子であったが、最愛の人を亡くして以来、永遠の命を求めるようになるヴィラン。ダーク・ディメンション(暗黒次元)に魅入られ、数人の部下と共に離反し、この世界をダーク・ディメンションに引きずり込もうと暗躍する。強力な魔術を使いこなす。スコット・アドキンス(ルシアン / ストロング・ゼロッツ)カエシリウスの部下の一人。ダーク・ディメンションより強力な力を得ており、まだ戦闘慣れしていないスティーヴンを苦しめる。【あらすじ】天才脳外科医のスティーヴン・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は容姿も知能も秀でており、ユーモアもありますが、プライドが高く傲慢です。彼はある日交通事故に遭い、両手の神経を損傷、外科医として致命的な障害を負います。輝かしいキャリアを一瞬にして絶たれた彼は、あらゆる治療を試すうちに財産を使い果たしてしまいます。完治の手立てが見つからぬまま富も名声も失ったストレンジは、最後の望みをかけ、カトマンズの修行場カマー・タージに辿り着きます。神秘の力を操る指導者エンシェント・ワン(ティルダ・スウィントン)と巡り会った彼は、未知なる世界を目の当たりにして衝撃を受け、彼女に弟子入りします。栄光を取り戻す為にストレンジは厳しい修業に励みますが、そんな彼の前に魔術の力で世界を破滅に導こうとする闇の魔術師カエシリウス(マッツ・ミケルセン)が現われ、人類の存亡をかけた戦いの渦に巻き込まれていきます・・・。【レビュー・解説】古めかしい魔術をオスカー級俳優のキャスティング、グローバルな舞台設定、変化に富んだプロット、カラフルでダイナミックな視覚効果で描き、新たに神秘世界を開拓するマーベル・シネマティック・ユニバースの娯楽大作です。古めかしい印象のある魔術を題材にしながら、ベネディクト・カンバーバッチ、レイチェル・マクアダムス、キウェテル・イジョフォー、マッツ・ミケルセン、ティルダ・スウィントンと、いずれもオスカー級の大スターをキャスティング、カトマンズのカマー・タージを中心に、ロンドン、ニューヨーク、香港の三つ拠点と、さらにアフリカの砂漠などに世界各地につながるグローバルな舞台設定、都市空間のデフォルメや幽体離脱、神秘空間への移動など、カラフルでダイナミックな視覚効果、さらに変化に富んだプロットで、娯楽大作に仕上げたマーベル・シネマティック・ユニバース作品です。物理的危機から世界を守る「アヴェンジャーズ」に対して、「ドクター・ストレンジ」は神秘的脅威から世界を守ると差別化されています。カトマンズに本拠地、ロンドン、ニューヨーク、香港の拠点はさらに世界各地に繋がる魔術でデフォルメする都市空間幽体離脱の視覚効果カラフルな神秘世界 メイン・キャストは、ベネディクト・カンバーバッチ(イギリス) 「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」(2015年)でアカデミー主演男優賞ノミネートレイチェル・マクアダムス(カナダ) 「スポットライト 世紀のスクープ」(2015年)でアカデミー助演女優賞ノミネートキウェテル・イジョフォー(イギリス、アフリカ系) 「それでも夜は明ける」(2013年)でアカデミー主演男優賞ノミネートマッツ・ミケルセン(デンマーク)「偽りなき者」(2012年)でカンヌ国際映画祭男優賞受賞(アカデミー外国語映画賞ノミネート)ティルダ・スウィントン(イギリス) 「フィクサー」(2007年)でアカデミー助演女優賞受賞ベネディクト・ウォン(イギリス、中国系)と、すべてアメリカ人以外を起用、ほとんどがオスカー級という贅沢なオールスター・キャトとなっています。ベネディクト・カンバーバッチとキウェテル・イジョフォーは、期待に違わぬきっちりとしたパフォーマンスです。マッツ・ミケルセンのヴィランは、邪悪というよりスタイリッシュでかっこいい(実際、彼には悪悪者でないという理屈がある)。ティルダ・スウィントンは最高位の魔術師としては線が細いと思いきや、そもそも腕力ではなく魔術の戦いの話であり、終盤に向けて最高位の魔術師が秘める心の襞の描写が絶妙です。オスカー女優にもかかわらず常に変った役をやりたいという彼女が、喜々として演じているのが伝わってくるようです。シリアスな展開の中で、レイチェル・マクアダムスとベネディクト・ウォンの、一種、ユーモラスでコミカルなパフォーマンスが引き立ちます。これまでの魔術を題材にした映画ではイギリスの「ハリポッター」シリーズが圧倒的でしたが、その後継である「ファンタスティック・ビースト」(2016年)と本作を比較すると、 制作費 興行収入 「ドクター・ストレンジ」 1億7千万ドル 6億8千万ドル「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」 1億8千万ドル 8億1千万ドルといい勝負になっています。まさにマーベル・スタジオ、恐るべしです。興行収入もさることながら、制作費に驚きます。キャストも視覚効果も「ドクター・ストレンジ」によりゴージャス感がありますが、制作費は安い。このあたりがマーベル・スタジオの強みでしょうか。また、メイン・キャストに中国系のウォンが出演しているカマー・タージのある場所を原作のチベットからネパールのカトマンズに変更している(チベット自治区と中国政府は不仲)最高位の魔術師を原作のチベット人高僧から、白人女性に変えている(チベット仏教最上位の僧ダライ・ラマと中国政府は不仲)など、中国政府への配慮が伺われます。「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」は全五部作の第一作、「ドクター・ストレンジ」はマーベル・シネマティック・ユニバースの一環で、エンド・クレジットで示唆するように「マイティ・ソー」や「アベンジャーズ」など他のマーベル作品との融合も考えられますが、「ドクター・ストレンジ」としての続編も期待できそうです。魔術映画を巡る米英の戦いがどう動いていくのか、楽しみです。ベネディクト・カンバーバッチ(ドクター・ストレンジ、天才外科医、手の機能を失う)ベネディクト・カンバーバッチ(1976年〜 )は、ロンドン出身のイギリスの俳優。マンチェスター大学、ロンドン音楽芸術学院で演劇を学ぶ。2001年からナショナル・シアターなどで舞台を演じ、2005年にローレンス・オリヴィエ賞助演部門にノミネート、2012年に同主演男優賞を受賞。映画「アメイジング・グレイス」(2006年)、「つぐない」(2007年)、「ブーリン家の姉妹」(2008年)、「戦火の馬」(2011年)などに出演、「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」(2014年)でアカデミー主演男優賞を受賞。2015年、大英帝国勲章を叙勲。レイチェル・マクアダムス(クリスティーン・パーマー、ストレンジの同僚、元恋人)レイチェル・マクアダムス (1978年〜)は、カナダの女優。12歳から演技を学び、1998年に映画デビュー、2004年に「ミーン・ガールズ」、「きみに読む物語」でブレイク。「きみがぼくを見つけた日」(2009年)、「ミッドナイト・イン・パリ」(2011年)、「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」(2013年)と、タイムトラベラーの恋人、婚約者、妻を演じており、本作でも時間を操るストレンジの元恋人役。「スポットライト 世紀のスクープ」(2015年)で、アカデミー助演女優賞にノミネート。ジョン・ファブローに「アイアンマン」(2008年)のペッパー役をアプローチされたが辞退、本作が初のマーベル作品出演。ティルダ・スウィントン(エンシェント・ワン、カマー・タージの主、ストレンジの師)ティルダ・スウィントン(1960年〜)は、ロンドン出身のイギリスの女優。ケンブリッジ大学で政治学と社会学を専攻、1983年に卒業後、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで演劇を学ぶ。長身、クールな風貌と知的な演技が評価され、魔女や天使、女王、女ボスなどキーマン的な存在感ある役柄が多い。「フィクサー」(2007年) でアカデミー助演女優賞を受賞。本作で演じるエイシェント・ワンは、原作ではチベット人の高僧で、渡辺謙も候補にあがっていたが、ステレオタイプを避けたいデリクソン監督がスウィントンを想定して女性役に脚本を書き換えたもの。スウィントンはその期待に見事に答えている。キウェテル・イジョフォー(モルド、エンシェント・ワンの弟子、ストレンジの目付役)キウェテル・イジョフォー(1977年)はロンドン出身のイギリスの俳優。ナイジェリア出身のイボ人の両親の元に生まれ、13歳から演技を学ぶ。1995年に舞台「オセロ」で注目されるなど、ロンドンの演劇界で重要な役者となり、ローレンス・オリヴィエ賞など数々の賞を受賞している。映画への出演も増え、「それでも夜は明ける」(2012年)でアカデミー主演男優賞にノミネートされているが、シェイクスピア劇を中心に舞台にも出演し続けている。2008年に大英帝国勲章を叙勲。ベネディクト・ウォン(ウォン、カマー・タージの蔵書室を管理するアジア系の男)ベネディクト・ウォン(1970年〜)はマンチェスター出身のイギリスの俳優。両親は香港からの移民で中国系。「キス★キス★バン★バン」(2000年)、「スパイ・ゲーム」(2001年)、「堕天使のパスポート」(2002年)、「月に囚われた男」(2009年)、「ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬」(2011年)、「キック・アス/ジャスティス・フォーエバー」(2013年)、「オデッセイ」(2015年)などに出演している。マッツ・ミケルセン(カエシリウス、エンシェント・ワンの元弟子、部下と共に離反)マッツ・ミケルセン(1965年〜)は、コペンハーゲン出身のデンマークの俳優。デンマーク語、英語、スウェーデン語に堪能。俳優になる前は体操選手、プロダンサーだった。国立演劇学校で学び、1996年に長編映画デビュー、「しあわせな孤独」(2004年)など多くのデンマーク映画に出演、「キング・アーサー」(2004年)でハリウッド進出し、「007 カジノ・ロワイヤル」(2006年)で国際的知名度を得る。「アフター・ウェディング」(2008年)、「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」(2012年)などアカデミー外国語映画賞ノミネート作品に出演する一方、「偽りなき者」(2012年)でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞している。【サウンドトラック】 「ドクター・ストレンジ」サウンドトラックCD輸入版(楽天市場)1. Ancient Sorcerer's Secret 2. The Hands Dealt 3. A Long Strange Trip 4. The Eyes Have It 5. Mystery Training 6. Reading Is Fundamental 7. Inside the Mirror Dimension 8. The True Purpose of the Sorcerer 9. Sanctimonious Sanctum Sacking 10. Astral Doom11. Post Op Paracosm 12. Hippocratic Hypocrite 13. Smoke and Mirrors 14. Ancient History 15. Hong Kong Kablooey 16. Astral Worlds Worst Killer 17. Strange Days Ahead 18. Go for Baroque 19. The Master of the Mystic End Credits【動画クリップ(YouTube)】都市空間をディフォルメする視覚効果瞬間的な幽体離脱と神秘空間の視覚効果【撮影地(YouTube)】冒頭、エンシェント・ワンとカエシリウスが戦うロンドンの通りカトマンズの街カマー・タージを探すストレンジがカトマンズで渡る橋カエシリウスが盗んだ魔術書でより強力な魔力を得る場所 【関連作品】「ドクター・ストレンジ」の原作コミック(楽天市場) Doctor Strange ベネディクト・カンバーバッチ x キウェテル・イジョフォー共演作品(楽天市場) 「それでも夜は明ける」(2013年)ベネディクト・カンバーバッチ出演作品のDVD(楽天市場) 「つぐない」(2007年)「ミスティック・アイズ」(2010年) 「裏切りのサーカス」(2011年) 「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(2013年) 「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」(2014年)キウェテル・イジョフォー出演作品のDVD(楽天市場) 「堕天使のパスポート」(2002年) 「セレニティー」(2005年) 「インサイド・マン」(2006年) 「トゥモロー・ワールド」(2006年) 「アメリカン・ギャングスター」(2007年) 「オデッセイ」(2015年)マッツ・ミケルセン出演作品のDVD(楽天市場) 「しあわせな孤独」(2004年) 「007 カジノ・ロワイヤル」(2006年) 「アフター・ウェディング」(2008年) 「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」(2012年) 「偽りなき者」(2012年) 「メン&チキン」(2015年)ティルダ・スウィントン出演作品のDVD(楽天市場) 「オルランド」(1992年)・・・北米盤、リージョン1、日本語なし 「アダプテーション」(2002年) 「ブロークン・フラワーズ」(2005年) 「フィクサー」(2007年) 「ミラノ、愛に生きる」(2009年) 「ムーンライズ・キングダム」(2012年) 「スノーピアサー」(2013年) 「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」(2013年) 「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年) 「胸騒ぎのシチリア」(2015年) 「ヘイル、シーザー!」(2016年)レイチェル・マクアダムス出演作品のDVD(楽天市場) 「ミーン・ガールズ」(2004年) 「消されたヘッドライン」(2009年)「ミッドナイト・イン・パリ」(2011年) 「誰よりも狙われた男」(2014年)「スポットライト 世紀のスクープ」(2015年)
2017年06月21日
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「ミッドナイト・スペシャル」は、2016年公開のアメリカのSFファンタジー&ドラマ映画です。ジェフ・ニコルズ監督・脚本、マイケル・シャノン、ジョエル・エドガートン、キルステン・ダンストら出演で、実の父親が超能力を持つ息子をカルト教団から誘拐、友人と妻と共に追手から逃れて息子の目指す場所へ向かう姿を描いています。 「ミッドナイト・スペシャル」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ジェフ・ニコルズ脚本:ジェフ・ニコルズ出演:マイケル・シャノン(ロイ・トムリン、教団の信者、教団から息子を誘拐する) ジョエル・エドガートン(ルーカス、ロイの幼馴染、元州警察官、ロイを助ける) キルステン・ダンスト(サラ・トムリン、ロイの妻、教団に息子を奪われた) ジェイデン・リーバハー(アルトン・メイヤー、超能力者、ロイとサラの息子) アダム・ドライバー(ポール・セヴィア、NSAの分析官、仕事熱心で純粋) サム・シェパード(カルヴィン・メイヤー、カルト教団の牧師、アルトンの養父) ほか【あらすじ】ロイ・トムリン(マイケル・シャノン)とその友人、ルーカス(ジョエル・エドガートン)は、8歳のアルトン・メイヤーがロイ・トムリンに誘拐されたというニュースをモーテルで見ています。アルトン(ジェイデン・リーバハー)はモーテルの床の上で遊んでいます。テキサスのあるカルト教団の農場では、カルヴィン・メイヤー牧師(サム・シェパード)が、アルトンを取り戻すために二人の教徒を送り出します。やがて、教団の集会にFBIが乗り込み、NSAの分析官ポール・セヴィア(アダム・ドライバー)は、暗号化されて衛星回線で送られた数字が何故、牧師の説教に出てくるのか、カルヴィンに尋ねます。カルヴィンはアルトンが口走った意味不明の言葉だと答えます。メイヤーが養父となって教団がアルトンを育て、母は教団を出たこと、ロイがアルトンの実父であることも明らかになります。州警察との撃ち合いの後、ロイとルーカスは、元信者の男の家に匿ってもらいます。ロイとルーカスは、夜中に地震のような揺れを感じて目覚め、ドアを破ってアルトンの部屋にはいると、アルトンと男の目がまばゆい光線が結ばれ、二人が交信しているのを目撃します。ロイは男を倒し、光に弱いアルトンを覆い隠します。彼らは男のバンに乗り、アルトンが啓示する場所を目指します。教団はアルトンの向かう先を知っているようでしたが、FBIは必死に三人を探します。立ち寄ったガソリンスタンドで、アルトンが引き寄せるかのように隕石群が降り注ぎます。三人はサラ・トムリン(キルステン・ダンスト)の家に着き、息子のアルトンと再会したサラは大喜びします。ガソリンスタンドに降り注いだのは軍の衛星であることが、ニュースで明らかになります。警察が衛星を使って追跡したので破壊したと、アルトンは言います。サラも加わり4人は逃亡を続けますが、アルトンはだんだんと弱っていきます。アルトンは、陽の光に当てて欲しいとロイを説得します。朝日を浴びるとアルトンの目が光り、巨大なドームが二人を包みます。一足先にモーテルに向かったサラとルーカスに合流すると、アルトンはすっかり元気になっています。アルトンは、太陽を見て自分が何物であるかわかったと言います。この世界の上にもうひとつの世界があり、自分の世界は上にある世界だと言います。ロイは、ドームの中で上の世界を垣間見たと言います。彼らがモーテルを出ると教団の追手が待ち伏せており、アルトンが連れ去られますが、すぐに警察に保護されます。アルトンは政府の施設に連れて行かれヒアリングを受けますが、アルトンはセヴィア以外には話さないと主張します。アルトンの超能力を目の当たりにしたセヴィアは、アルトンが両親の元に戻るのを助けます。アルトンの目的地を解読したセヴィアは、フロリダにある目的地の周囲5マイルに非常線が張られていると、アルトンら4人に警告します・・・。【レビュー・解説】超能力を持つ息子の両親とその友人、カルト教団、政府の分析官らを通して、親の愛情、友情、信念のあり方を、ミスリアスな演出と実力派俳優による人間味溢れるパフォーマンスで描く、寓話的SFファンタジーです。「未知との遭遇」(1977年)や「E.T.」(1982年)など1980年代のSF映画を観て育ったジェフ・ニコルズ監督が当時のテイストのSF映画を作ろうと思った時に、夜に南部の裏道を車で走る二人の男のイメージが浮かんだと言います。この時点で後部座席に子供がいるかどうかは不確かでしたが、ニコルズ監督は親子関係を絡めてこのイメージを発展させていきます。冒頭、少年の誘拐を報じるニュースが流れる中、目張りを外して日が落ちたことを確認した男が「行くぞ」と声をかけ、身支度をするもう一人の男とシーツをかぶってコミックを読んでいる少年が映し出されます。暗がりの中、三人は車に乗って夜の道を走り出します。二人の男は誘拐した少年の実父とその友人です。彼らは、政府やカルト教団から逃れて少年をある場所に送り届けようとしてますが、少年が陽の光に弱い為、夜間に移動するしかありません。原題「Midnight Special」はかつて南部を走っていた夜行列車の名前で、刑務所からこの列車の灯りが見えると釈放が近いと歌うフォークソングの題名にもなっています。アルトンらの夜の逃避行と、解放を暗示するタイトルですが、わくわくする出だしです。アルトンが陽の光に弱い為、逃避行では夜間に移動する暗号解読のシーンなどはあるものの、本作は少年の超能力や少年が目指すパラレルワールドを科学的合理性で追求するようなハードSFではありません。少年の両親とその友人、カルト教団の牧師、政府の分析官らを通して、親子、友人、組織と個人、信念といったものを描く寓話的なSFファンダジーですが、ミスリアスな演出と実力派俳優による人間味溢れるパフォーマンスで、寓話的でありながら娯楽性が感じられる作品です。アルトンに超能力を見出した教団はこれを利用する為に彼を牧師の養子にし、教団で育てます。信者がアルトンの実母が育児放棄したので教団で育てた証言しますが、サラは育児放棄するような母親には見えません。ロイは教団に残りましたが、養子に出すことに耐えられなかったサラは教団に残ることができなかったというのが真相です。しかし、アルトンの意思を無視しあくまでも利用しようとする教団に我慢できなくなったロイは、自分の息子を「誘拐」します。一方、アルトンの超能力に気づいた政府はアルトンを追跡します。政府はアルトンの超能力が脅威ならばこれを封じ、役立つならば利用しなければなりません。サム・シェパード(カルヴィン・メイヤー、カルト教団の牧師、アルトンの養父)サム・シェパード(1943年〜)は、イリノイ出身のアメリカの劇作家、俳優。戯曲「埋められた子供」(1979年)でピューリツァー賞を受賞、「ライトスタッフ」(1982年)でアカデミー助演男優賞にノミネートされる。本作では知的で精悍な老牧師を演じ、邪悪さを見せずに誤った信念の怖さを醸し出す。ジェイデン・リーバハー(アルトン・メイヤー、超能力者、教団の子として育てられる)ジェイデン・リーバハー(2003年〜)はアメリカの俳優。2013年に映画デビュー、「ヴィンセントが教えてくれたこと」(2014年)のパフォーマンスが注目され、様々な若手俳優賞にノミネートされ、いくつか受賞している。<やがて両親は、息子がパラレルワールドに目指していることを知り、息子に二度と会えなくなることを悟ってショックを受けますが、それを受け入れ、必死に息子の願いを叶えようとします。ここに、「子供をコントロールするのではなく、子供が自分であることを助けるのが親の務め」というニコルズ監督のメッセージが込められています。マイケル・シャノン(ロイ・トムリン、教団の信者、教団に奪われた息子を連れ出す)マイケル・シャノン(1974年〜)は、ケンタッキー出身のアメリカの俳優。ロックバンドのPVでデビュー、シカゴで舞台に立つようになる。「恋はデジャ・ブ」(1993年)で映画デビュー、キャリアを重ね、「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」(2008年)でアカデミー助演男優賞にノミネートされる。「テイク・シェルター」(2011年)、「MUD -マッド-」(2012年)など、ジェフ・ニコルズ監督作品に必ずと言ってよいほど出演している。キルステン・ダンスト(サラ・トムリン、ロイの妻、教団に息子を奪われた元信者)キルスティン・ダンスト(1982年〜)は、ニュージャージー出身のアメリカの女優。3歳でCMに出演、1989年に映画デビュー、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」(1994年)でゴールデングローブ助演女優賞にノミネートされる。「スパイダーマン」シリーズ(2002年 - 2007年)のヒロインを務め、「メランコリア」(2011年)でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞。本作では、優しいがどこかしら弱さを感じる母親役を好演。等身大の女性をノーメイクで見事に演じ、さらなるスケールアップの可能性を感じる。元州警察官のルーカスはロイの幼馴染で、ロイが両親に連れられて教団に引っ越してから交友がなかったものの、数日前にロイに助けを求められ、アルトンの超能力を目の当たりにして全てを投げ打ってロイを助けようとします。この貴重な友人は最初からニコルズ監督のイメージの中にあった男で、本作ではロイと共に最後まで登場します。ニコルズ監督が友の存在を非常に重視していることがわかります。ジョエル・エドガートン(ルーカス、ロイの幼馴染、元州警察官、ロイを手助けする)ジョエル・エドガートン(1974年〜)は、オーストラリア出身の俳優、脚本家、映画監督。「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」(2002年)、「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」(2005年)への出演で、一躍、有名になる。「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)、「華麗なるギャツビー」(2013年)と、大作の助演でしっかりとした印象を残す実力派。2010年頃から脚本も書いており、「ザ・ギフト」(2015年)で長編映画監督デビューと、活動の幅を広げている。本作では教団も政府も誤った信念を持った人間の集団のように描かれています。しかし、NSAの分析官セヴィアはアルトンの目的地を解読するものの、アルトンの超能力を目の当たりにし、彼が親元に帰るのを密かに手助けします。セヴィアは組織にありながらも、人間らしさを失わない好青年です。一方、三人が最初に立ち寄った家でアルトンを利用しようとしてロイに倒される元教団の男は邪悪で、信念や行動の是非は組織にあるのではなく個人にあることを示しています。アダム・ドライバー(ポール・セヴィア、NSAの分析官、組織の信念に毒されていない)アダム・ドライバー(1983年〜)は、サンディエゴ出身のアメリカの俳優。TVドラマシリーズ「GIRLS/ガールズ」に主人公の恋人役で出演、2013年〜2015年にエミー賞にノミネートをされる。「リンカーン」(2012年)、「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」(2013年)、「ヤング・アダルト・ニューヨーク」(2014年)、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(2015年)、「沈黙 -サイレンス-」(2016年)と高評価の映画に出演し続けている。本作ではNSAの分析官を好演、彼の器用さがわかりやすいはまり役。【「上の世界」が意味するもの】ニコルズ監督の作品は個人的体験に触発されていますが、それとわかるようには制作しません。例えば、前作「テイク・シェルター」(2011年)は世界金融危機の社会不安と、結婚生活の将来への不安に触発されていますが、彼は社会不安を巨大竜巻への不安に置き換え、不安感が家庭生活を脅かすという見事なサイコ・スリラーに仕上げています。結婚したばかりの映画製作者にとって、大不況は彼の家庭生活を脅かす死活問題だったわけですが、映画を見る限りそんなことは全く感じられません。また、そんなことを知らなくても映画を十分に楽しめます。この映画も彼の個人的な体験に触発されています。結婚後、ニコルズ監督は息子に恵まれますが、その子が生後8ヶ月の時にひどい熱性けいれんを起こします。熱性けいれんは、子供によく見られるけいれんで、発熱は38℃以上、身体を硬くして手足をガタガタ震わし、顔色が悪くなり、白目をむき、意識障害を起こすこともあります。ニコルズ監督はこの体験について、次のように語っています。それは妻と私にとって恐ろしい瞬間でした。私は子供を病院に担ぎ込みましたが、このまま死んでしまうのではないかと思いました。私はこの時、息子の生死に関して全く為す術を持たないという現実を突きつけられました。息子がどんな人間になるかについて、為す術を持たないのです。これは私を恐怖に陥れました。わたしはその恐怖と息子への愛、なりたての父親が気持ちのすべてをこの映画に込めました。(ジェフ・ニコルズ監督)この話を踏まえると、ニコルズ監督は本作で熱性けいれんを超能力に置き換えていることがわかります。超能力がポジティブなものなのか、ネガティブなものなのかは未知ですが、親が為す術を持たないのは熱性けいれんと同じです。超能力を持つアルトンは、自分は「上の世界」に属すると言います。「上の世界」がどのようなものかについてあまり語られていませんが、アルトンの味方であること、行ったり来たりはできないことが示唆されています。この「上の世界」をアルトンが自らの超能力を自分の為に活かすことができるレベルの高い世界と捉えることもできますが、同時に天国の比喩と捉えることもできます。荒っぽい言い方をすれば、もはや超能力を持つことがなく、この世界に戻ることがない点において、この二つは同じことです。ニコルズ監督はそうとわかるようには作っていませんが、子供の生死に関して全く為す術を持たない親の愛と希望を、「上の世界」と「天国」の二重性に託したものと思います。【撮影地(グーグルマップ)】アルトンが軍の衛星を破壊したガソリンスタンドアルトンが教団の追手に連れ去られたモーテルアルトンが政府に確保された道路アルトンが逃げ出した空軍基地(ステニス国際空港)沼地(セント・マークス国立自然保護区) 「ミッドナイト・スペシャル」のDVD(楽天市場)【関連作品】ジェフ・ニコルズ監督xマイケル・シャノンxジョエル・エドガートンのコラボ作品 「ラビング 愛という名前のふたり」( 2016年)ジェフ・ニコルズ監督xマイケル・シャノンのコラボ作品のDVD(楽天市場) 「ショットガン・ストーリーズ」(2007年)・・・輸入版、日本語なし 「テイク・シェルター」(2011年) 「MUD -マッド-」(2012年)マイケル・シャノン出演作品のDVD(楽天市場) 「その土曜日、7時58分」(2007年) 「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」(2014年)ジョエル・エドガートン出演作品のDVD(楽天市場) 「アニマル・キングダム」(2010年) 「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年) 「華麗なるギャツビー」(2013年) 「ザ・ギフト」(2015年)キルステン・ダンスト出演作品のDVD(楽天市場) 「ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ」(1997年) 「スパイダーマン」(2002年)「エターナル・サンシャイン」(2004年) 「スパイダーマン2」(2004年) 「ギリシャに消えた嘘」(2014年) 「ドリーム」(2016年)アダム・ドライバー出演作品のDVD(楽天市場) 「リンカーン」(2012年) 「フランシス・ハ」(2012年) 「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」(2013年) 「奇跡の2000マイル」(2013年) 「ヤング・アダルト・ニューヨーク」(2014年) 「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(2015年) 「沈黙 -サイレンス-」(2016年) 「パターソン Paterson」(2016年)・・・輸入版、日本語なし
2017年06月18日
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「ある戦争」(原題:Krigen、英題:A War)は、2015年公開のデンマークのヒューマン・ドラマ映画です。トビアス・リンホルム監督・脚本、ピルウ・アスベック、ソーレン・マリンら出演で、アフガニスタンでタリバンと戦いながら市民を守ろうとするデンマーク軍中隊の指揮官が、部下を守る為に交戦規則違反を問われて裁判にかけられる様を描いています。第88回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた作品です。 「ある戦争」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:トビアス・リンホルム脚本:トビアス・リンホルム出演:ピルウ・アスベック(クラウス・M・ペデルセン、アフガンに駐留するデンマークの指揮官) ダール・サリム(ナジブ・ビスマ、副指揮官) ダルフィ・アル・ジャブリ(ルトフィ・“ラッセ”・ハッサン、クラウスの部下) ツヴァ・ノヴォトニー(マリア・ペデルセン、クラウスの妻) ソーレン・マリン(マルティン・R・オルセン、クラウスの弁護士) シャルロッテ・ムンク(リズベート・ダニング、クラウスを追求する法務官) ほか【あらすじ】デンマーク陸軍中隊の指揮官クラウス・M・ペデルセン(ピルー・アスベック)と彼の部下は平和維持の為にアフガニスタンのヘルマンド州に駐留しています。一方、デンマークでは戦地の夫クラウスと遠く離れた妻マリア(ツヴァ・ノヴォトニー)が、父の不在を寂しがる3人の子供たちを相手に孤軍奮闘の日々を送っています。ある日、タリバンの激しい攻撃にさらされたクラウスは、部下を守る為に敵が攻撃してくると思われる地区に空爆を要請します。しかし、そこには民間人がおり、子どもを含む11名の罪のない命が犠牲になります。帰国命令が下り、クラウスは空爆により11人を殺害した罪で起訴されてしまいます。起訴はクラウスとその家族を動揺させ、クラウスは過酷な状況で部下を守る為に不可欠だった判断と、罪の意識との間で揺れ動きます・・・。【レビュー・解説】緊張感溢れる前線での戦闘と法廷での戦いに、部下、現地住民、母国の妻と子どもたちとの関係を折り込みながら、部下の命を守る為に現地の子供達を誤爆させてしまった平和維持軍指揮官の揺れる心情を、知的で抑制の効いたトーンでリアルに描くヒューマン・ドラマです。CGや特殊効果、セット撮影、人工照明、回想シーンなどの虚飾を排し、ハンディカメラで時系列に刻々と現在を切り取っていくなど、映画の本質を追求するドグマ95(CG等、過度な特殊効果や先端技術への依存を拒否し、映画本来の伝統的価値へと立ち返るデンマークの運動)の流れを汲む、全編ドキュメンタリータッチのリアルで緊迫感溢れる作品です。また、戦地のシーンでは三人の俳優を除き全てアフガニスタンで実戦を経験したデンマーク兵と実際の避難民を起用、法廷シーンは判事経験者が演じています。映画が始まって間もなく、基地司令室の指揮官はパトロール中の部下を地雷で失います。部下の動揺を鎮める為に、指揮官は部下と共にパトロールにで出ることにします。タリバンの活動が活発化するある日、アフガン人が妻と子供を連れて基地を訪れ、タリバンに脅されているので保護して欲しいと懇願します。部下の女性兵士は基地内に宿泊させることを提案しますが、指揮官をこれを拒否、翌日にタリバンを掃討すると約束して、アフガン人一家を帰します(拒否した理由は明示されていないが、恐らく基地内に安易に宿泊させることができないものと思われる)。翌日、部隊を引き連れてアフガン人の家を訪れると、一家全員がタリバンに惨殺されています。タリバンの罠だったのか、その直後に部隊は猛攻を受け、部下が瀕死の重傷を負います。タリバンの攻撃が激しく救護ヘリの出動を拒否された指揮官は、部下の容態が切迫する中、敵がいると思われる地区に援護の空爆を要求します。地雷でパトロール中の部下を失い、保護を求めてきたアフガン人一家を惨殺され、そして今、自らの部隊が激しい攻撃に晒され、さらに部下を失おうとしている中での、ギリギリの判断でした。空爆が功を奏し、敵の攻撃は止み、瀕死の部下は無事、救護ヘリで搬送されます。しかし、空爆で子供を含む11人の民間人が死亡したことがわかり、指揮官は交戦規則違反で起訴されてしまいます。戦時国際法では市民の被害を最小限にする努力と適切な武力行使が求められていますが、空爆を要請した指揮官がこれを怠ったという嫌疑です。国際法違反は一兵士の問題ではなく、国としての問題にもなるので、デンマークとしても放ってはおけません。後半の法廷ではこの問題が争われ、故殺として最長4年の刑が求刑されます。余談になりますが、戦場で兵士を最も強く動かすのは大義ではなく、仲間との絆と言われています。部下や仲間を救いたいが為に交戦規則を犯してしまうのはありがちなケースですが、倫理的に批判できても、心情的には批判しきれない部分もあります。状況の複雑さを見せるというのが今回の一番の目標でした。血まみれで死にかけている友人を目の前にして、空爆をすれば助かるかもしれないけど、一般市民が犠牲になるかもしれない。観客を「あなたならどうする?」という複雑な状況に置きたかったんです。それこそが戦争がいかに複雑なものであるかということの証拠でもあると思いました。我々は過ちに対して罰を求めますが、この単純な図式は人間の複雑さを反映するものではありません。だから私の映画には英雄はいません、ただ人間がいるだけです。(トビアス・リンホルム監督)因みに、本作では狙撃兵がタリバン兵を狙うシーンを除いて敵の姿が見えません。これは、狙撃兵以外の兵士が敵を目視して攻撃することは稀であるという前線の実態に基づいています。敵も遮蔽物に隠れていますから、目視できないまま敵がいる周辺を狙って銃撃するのが前線実態です。戦闘が予想される場合、住民が事前に避難する場合もありますが、本作の場合はそのようなケースではなかったようです。また、敵が見えないのは、平和維持という目的が実感しにくい戦いの比喩的表現でもあります。母国の国境や我々自身の家族を守る為の戦いではないのに、我々は何故、地球の裏側に若い兵士を送り込むのか?民主主義を構築する為?人心を掴む為?私が話をした多くの兵士は、実のところ、わかっていなかった。それどころか、10年も各地を転戦すれば誰もそんなことは疑問に感じなくなると、口を揃えて言うんだ。(トビアス・リンホルム監督)本作では、戦闘や法廷のみならず、戦地の夫から遠く離れた母国で三人の子供を相手に奮闘する妻の日常も描かれており、女性の共感も誘います(関係者の妻たちや兵士の夫婦たちは、一様に涙したという)。誤爆で子どもたちの命を奪ってしまったことに責任を感じる夫に、さらに妻は詰め寄ります。マリア:責任をとる?子供達は?私は?あなたが必要なの。ずっと離れてたのよ。ユリウスも苦しんでいる。クラウス:どうしろと?マリア:過去より、今のことを考えて。4年も服役してどうなるのよ。気持ちが軽くなる?じゃあ子供たちは?あの子達には父親が必要なのよ。クラウス:爆弾を落としたんだ、俺の判断で。マリア:だったら、弁護士の助言どおり、「誰が確認したか忘れたが、敵はいた」と言えばいいじゃないの。死んだ子が何よ?生きてる我が子を考えてよ。妻は、すぐに謝りますが、これも本作の中で重要なセリフのひとつです。マリアを演じたツヴァ・ノヴォトニーは、一連の妻の描写に関して「母国に残された女性の視点が初めて描かれた」と語っています。こうした視点も含めて、平和維持活動の大義、部下の命、現地の人々の命、倫理、家族の幸せといった、時に相反する利益をめぐる兵士の葛藤を、本作は描いています。空港でクラウスを出迎える子どもたち誤射、誤爆は世界各地で起きており、本作の指揮官が抱えるような問題は、決して稀なものではありません。しかし、こうした事案がどのようにして起きたのか、その後どうなったのか、我々はほとんど知ることがありません。本作と同じ地域の兵士を追ったドキュメンタリーに、デンマークの「アルマジロ」(2010年)がありますが、実はこの中には負傷したタリバン兵の殺害を示唆する兵士の音声が収録されています。また、イギリスの海兵隊員が同じ地域で負傷したタリバン兵を殺害してしまい、終身刑を言い渡された実例もあります。本作とは異質のケースですが、いずれもジュネーブ条約に抵触する行為です。イギリスのケースは精神上の問題を抱えやすい環境での出来事であることが酌量され、7年に減刑されて刑期を終えています。有罪を言い渡され、妻の将来を考えた海兵隊員は、「君は僕が犯罪者になる前提で結婚したわけではない」と、離婚を妻に委ねましたが、妻は「私の結婚の誓いは私の結婚の誓い、共に歩みます」と答えたそうです。 第二次世界大戦でドイツに攻められた際に、デンマークはわずか二時間で降伏しました。戦後はリベラルな時代が続きましたが、やがて徐々に保守化し、平和維持活動に派兵するようになりました。長く実戦経験のなかったデンマークは、今、実戦を通して戦争を学びつつありますが、人々の意識はまだ低いと言います。本作には、紛争地域の住民の安全を守る必要性その為に兵士が背負う危険性兵士を守る為に住民を危険に晒す可能性家族の平和と人道的倫理の利益相反といった戦争の複雑さが描かれていますが、政治や思想の問題と簡単に片付けること無く、民主主義に則って国民一人ひとりが紛争地域への派兵について考えて欲しいと、リンホルム監督は語っています。苦しんでいるのは紛争地域の人々だけではない、平和維持軍の派遣という政治判断によって、我々も彼らに繋がり、苦しんでいるんだ。デンマークのみならず、アメリカもイギリスもこの現実を見直さなければならない。(トビアス・リンホルム監督)アフガニスタンの平和維持軍は2014年に任務を完了、撤収しましたが、デンマーク軍はイスラム国掃討の為に現在も他国とともにシリアに派兵しています。日本はデンマークとは逆に第二次世界大戦で戦線を拡大し惨敗、その反省から戦争を放棄しました。以降、実戦に参加することなく世界各地の紛争に距離を置いたのは、リベラルな時代のデンマークに似ています。しかし、日本も敵とイスラム国が名指し、実際に日本人の被害者が出ている北朝鮮が着々と核を準備し、日本も敵と名指しする韓国の竹島占拠に続き、中国も尖閣諸島を狙う第2次世界大戦以降、圧倒的パワーで世界秩序をリードしてきたアメリカが各国に応分の負担を求め始めているなど、世界情勢が変化する中、単純な反戦思想、別の言葉で言えば「自国は守ってもらうが、他国は守らない」という態度で良いのか、日本は岐路に立たされています。かつて日本人は「水と安全はたタダと思っている」と言われたことがあります。最近はペットボトルの水を買うになりましたが、安全も実はただではないのかもしれません。世界各地の紛争、日本を取り巻く環境といった世界情勢をよく理解し、自衛官を送り出すか否かという悩ましい問題に、国民一人ひとりが煩悶しなければならない時代になりつつあります。先進国は国連平和維持軍への派兵に疑問を感じ始めており、現在は途上国や紛争周辺国からの派兵が主になっています。デンマークの派兵は、単なる国連の一員としてではなく、先進国主体の NATOや有志国連合の一員としての側面があります。日本では国連平和維持軍への自衛官派遣がよく議論になりますが、実は、日本周辺を含む世界各地の紛争解決はどうあるべきか国連のみならず、NATOや有志国連合と如何に関わるかどのような形で紛争解決に貢献するのが効果的なのかといったことが、日本にとってより本質的な問題なのかもしれません。ピルウ・アスベック(クラウス・M・ペデルセン、アフガン駐留の指揮官)ピルウ・アスベック(1982年〜)は、テレビ、映画、部隊で活躍するデンマークの俳優。トビアス・リンホルム監督とは、テレビドラマシリーズ「Brogen」(2010〜2013年)、映画「R」(2011年)、「シージャック」に続いて、本作が4度目のコラボ作品。2016年には、アメリカのテレビドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローン」に出演している。ダール・サリム(左、ナジブ・ビスマ、副指揮官)ダール・サリム(1977年〜)は、バグダッド出身のデンマークの俳優。デンマーク陸軍の歩兵連隊に所属、パイロットの訓練を受け、イギリスの航空会社で働く。その後、テレビドラマシリーズや映画に出演するようになる。ツヴァ・ノヴォトニー(中央、マリア・ペデルセン、クラウスの妻)ツヴァ・ノヴォトニー(1979年〜)は、ストックホルム出身のスウェーデンの女優、歌手。日本で公開されている作品は少ないが、ジュリア・ロバーツ主演の「食べて、祈って、恋をして」(2010年)で、ローマに滞在する主人公のスウェーデン人の友人を演じている。 ソーレン・マリン(マルティン・R・オルセン、クラウスの弁護士)ソーレン・マリン(1969年〜)は、映画、テレビで活躍するデンマークの俳優。「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」(2012年)、「シージャック」(2012年)、「メン&チキン」(2015年)などに出演している。シャルロッテ・ムンク(リズベート・ダニング、クラウスを追求する法務官)シャルロッテ・ムンク(1969年〜)は、テレビ、映画で活躍するデンマークの女優、作家。「シェイク・ユア・ハート」(2001年)などに出演している。【戦時国際法について】戦時国際法の陸戦法規では、軍人と文民、軍事目標と民用物を区別せずに行う無差別攻撃の禁止する。第二次世界大戦において見られた都市圏に対する戦略爆撃は違法化されている。文民と民用物への被害を最小化する。文民や民用物の巻き添えは不可避だが、最小限になるよう努力し、攻撃による軍事的利益と巻き添えの被害は比例性原則に基づかなければならない。同一の軍事的利益が得られる2つの攻撃目標がある場合、文民と民用物の被害が少ないものを選択しなければならない。ことが定められています。空戦法規は条約として存在しませんが、慣習法としてしばしば引用され、空襲は非戦闘員保護の観点から軍事目標、即ちその破壊が交戦国に明確に軍事的利益をもたらす目標に限定されることなどが定められています(他に海戦法規があるが、省略)。本作のケースを整理すると、敵の罠にはまり、敵は部隊の位置を正確に把握している。ロケット砲を含む敵の猛攻を受け、身動きが取れず、全滅の危機に瀕している。銃撃で応戦するも負傷した部下の容態が悪化、緊急搬送する為に早急に戦況を打開する必要がある。指揮官は敵の位置を第6地区と確信しており、他の場所は考えていない。部下は第6地区に敵がいる可能性を否定していない。また、敵がいる可能性のある他の場所を誰も示していない。第6地区への空爆により敵の攻撃は止み、部隊は離脱に成功、軍事的利益を得たが、子どもを含む11名の民間人が犠牲となった。従って、陸戦法規の2.及び空戦法規の限定的な適用になるものと思われます(空戦法規は条約ではない慣習法であり、また本ケースは局地的陸戦の援護で軍事施設に対する空襲ではない)。よって、民間人の被害が最小限になるように努力したか部隊の離脱の為に空爆が適切な選択か(過剰な手段ではないか)第6地区を「軍事的利益をもたらす目標」とみなすことが出来るか(他の場所から攻撃されている可能性があったか)を、裁判官が判断し、判決を下すことになります。なお、本作では判決理由が割愛されていますが、これはリンホルム監督が裁判官の法解釈によって絶対的な正義、不正義を印象づけてしまうことを避け、兵士の命 vs 住民の命、倫理への忠誠 vs 家族の幸せといった問題を観客に委ねる為と思われます。 「ある戦争」のDVD(楽天市場)【関連作品】トビアス・リンホルム監督 x ピルウ・アスベックのコラボ作品のDVD(楽天市場) 「シージャック」(2012年)トビアス・リンホルム監督作品のDVD(楽天市場) 「偽りなき者」(2012年)ピルウ・アスベック出演作品のDVD(楽天市場) 「特捜部Q キジ殺し」(2014年)おすすめデンマーク映画のDVD(楽天市場) 「バベットの晩餐会」(1983年) 「モルグ/屍体消失」(1994年) 「プッシャー 」(1996年) 「セレブレーション」(1998年) 「ゼイ・イート・ドッグス」(1999年) 「ストリングス〜愛と絆の旅路〜」(2004年) 「しあわせな孤独」(2004年) 「ある愛の風景」(2006年) 「アフター・ウェディング」(2008年) 「ビルマVJ 消された革命」(2008年) 「未来を生きる君たちへ」(2010年) 「100,000年後の安全」(2010年)「アクト・オブ・キリング」(2012年) 「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」(2012年) 「ルック・オブ・サイレンス」(2014年) 「アルマジロ」(2015年) 「メン&チキン」(2015年) 「遙か群衆を離れて」(2015年)・・・北米版、日本語なし
2017年06月15日
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「ジャンゴ 繋がれざる者」(原題:Django Unchained)は、2012年公開のアメリカの西部劇映画です。クエンティン・タランティーノ監督・脚本、ジェイミー・フォックス、レオナルド・ディカプリオ、クリストフ・ヴァルツら出演で、ドイツ人の賞金稼ぎに助けられたアフリカ系アメリカ人の奴隷ジャンゴが、過酷な戦いの末に生き別れた妻を取り戻すという、西部劇は白人のものという歴史を書き換えるような映画です。タランティーノ作品で最も稼いだ「イングロリアス・バスターズ」を超える興行成績を記録、第85回アカデミー賞では、作品、脚本、助演男優、撮影、音響編集の5部門にノミネートされ、脚本賞(クエンティン・タランティーノ)と助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ)を受賞した作品です。 「ジャンゴ 繋がれざる者」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:クエンティン・タランティーノ脚本:クエンティン・タランティーノ出演:ジェイミー・フォックス(ジャンゴ・フリーマン、主役のアフリカ系アメリカ人) クリストフ・ヴァルツ(ドクター・キング・シュルツ、ジャンゴを救うドイツ人) レオナルド・ディカプリオ(カルビン・J・キャンディ、悪辣な白人農園主) ケリー・ワシントン(ブルームヒルダ・ヴォン・シャフト、ジャンゴの妻) サミュエル・L・ジャクソン(スティーヴン、キャンディ一族の執事) ローラ・カユーテ(ララ・リー・キャンディ=フィッツウィリー、カルビンの姉) ブルース・ダーン(カーティス、ジャンゴと妻を別々に売り払った農園主) フランコ・ネロ(アメリゴ・バセッピィ、カメオ出演、元祖ジャンゴ) ジョナ・ヒル(ランディ、白人至上主義の秘密結社K.K.K.団の前身の一員) クエンティン・タランティーノ(フランキー、レクィント・ディッキー鉱業社員) ほか【あらすじ】南北戦争直前、奴隷制度をめぐる対立が色濃くなる1859年アメリカ南部。賞金稼ぎのキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)がは、彼が追うお尋ね者の顔を知っているアフリカ系アメリカ人の奴隷ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)を、奴隷の鎖から解放します。お尋ね者の抹殺には手段を選ばない、飄々としたシュルツは、南部の白人達に奇異に見られながらもジャンゴを白人と対等に扱い、目指すお尋ね者の三兄弟を共に追跡します。三兄弟を仕留めた後、ジャンゴの銃の才能に気づいたシュルツは、彼を相棒にして銃の扱い方と賞金稼ぎの仕事を教え込みます。ジャンゴはキングと共に南部のお尋ね者を捕まえながら経験を積み、奴隷市場で生き別れとなった妻のブルームヒルダ(ケリー・ワシントン)を探します。奴隷同士を闘わせては楽しむなど、黒人の酷使で有名な農園領主カルビン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)の下に彼女がいることを知った2人は、彼女を救う為に差別の激しいミシシッピへ向かいます。二人は格闘奴隷の買い付けを行う奴隷商の振りをしてキャンディに近づき、1万2000ドルの大金を見せ金に彼に気に入られます。キャンディの農園に招かれたシュルツらは偶然を装ってブルームヒルダを買おうとしますが、キャンディ一族に忠誠を誓う黒人の老僕スティーブン(サミュエル・L・ジャクソン)がシュルツらの真の狙いに気づきます。騙されたことを知ったキャンディは、脅迫して大金を巻き上げようとし、300ドルのブルームヒルダを1万2千ドルで売りつけます。シュルツは得意の話術でキャンディに一矢報いますが、やり返すキャンディの人間性に耐えられなくなり、彼を射ち殺してしまいます。シュルツはキャンディの側近に撃ち殺され、隙を突いて銃を奪ったジャンゴはキャンディの部下達に反撃しますが、ブルームヒルダを人質に取られ、捕まってしまいます・・・。【レビュー・解説】アフリカ系アメリカ人の賞金稼ぎという大胆な設定と巧みなストーリー・テリングでアメリカ映画のタブーに風穴を空け、衰退したマカロニ・ウェスタンをスタイリッシュに蘇らせた、クエンティン・タランティーノ監督の社会派娯楽大作です。犯罪を題材にする事が多いタランティーノ監督ですが、アフリカ系アメリカ人の賞金稼ぎの白人への復讐を描く本作は、ユダヤ人によるナチスへの復讐を描いた「イングロリアス・バスターズ」(2009年)に続き、テーマに社会性を帯びた作品です。子供の頃からマカロニ・ウェスタンのファンだったタランティーノ監督は、2009年に来日した際、買い集めたマカロニ・ウエスタンのサウンドトラックをホテルで聞きながら、「続・荒野の用心棒」(1966年)などで知られ、残酷な描写やダーティな映像、リアリティを度外視した演出でマカロニ・ウエスタンのスタイルを方向づけたセルジオ・コルブッチ監督について思いを巡らしていました。この時、突如、彼は自分でもマカロニ・ウェスタンを作れると思い立ちます。元々あったアフリカ系アメリカ人の賞金稼ぎというアイディアが、本作の冒頭シーンの具体的なイメージとなって湧き上がり、ホテルの便箋に脚本を書き始めたといいます。本作の翌年に公開され、第86回アカデミー賞作品賞を受賞したアメリカ・イギリス合作の「それでも夜は明ける」や、悪評の高い「マンディンゴ」(1975年)など、数少ない例はありますが、アメリカ映画で奴隷制度の実態を描くことは基本的にタブーであり、タランティーノ監督もこのアイディアの具現化を、長年、躊躇していました。しかし、奴隷制度を描くことにより、イタリア人のコルブッチ監督にはない、アメリカ人独自の視点でマカロニ・ウェスタンに新たな生命を与えることができるいう想いが、タランティーノ監督に沸き起こったものと思われます。彼はコルブッチ監督を否定している訳ではなく、むしろ、残酷でスタイリッシュなマカロニ・ウェスタンには、タランティーノ監督の作風と共通する部分があります。第二次世界大戦中のナチス占領下のフランスを舞台にした前作の「イングロリアス・バスターズ」では、マカロニ・ウェスタンのような戦争映画を目指したとまで語っています。また、本作は、主人公であり、タイトルの一部でもある「Django」は、コルブッチ監督の「続・荒野の用心棒」の原題であり、主人公である「Django」に由来する劇中、「続・荒野の用心棒」のテーマ曲「Django」を使用しているキャストに「続・荒野の用心棒」で主人公を演じたフランコ・ネロが名を連ねるなど、コルブッチ監督作品へのオマージュに満ちたものになっています。本作のユニークな点は、アフリカ系アメリカ人の賞金稼ぎという設定ですが、劇中にも描かれているように、これはかなり奇異なものです。西部劇は、1860年代から1890年のフロンティア消滅までの西部開拓時代を舞台にしたものですので、南北戦争(1861年〜1865年)以降に、奴隷から開放されたアフリカ系アメリカ人が賞金稼ぎとなって悪辣な白人と戦う西部劇があっても、不思議はありません。しかしながら、奴隷解放の後も、アメリカにはジム・クロウ法という悪名高い法律が1964年まで存在しました。これは「農作業労働者の黒人が白人と平等になっては困る」という南部経済を支える有力な白人農園主たちの本音を反映したものです。州によって異なる部分もありますが、過酷な投票税を設け、有色人種の投票を実質的に妨げた学校やレストラン、病院、バスなどを公共の場を白人と有色人種で厳密に分けた白人と有色人種の結婚や同居を禁止した4世代遡って血が一滴でも混じれば有色人種としたビラ・出版・演説などで平等や異人種間結婚を訴えると平等扇動罪に問われたといった内容の法律です。日本人は被差別人種であることをあまり意識していませんが、この法律の対象となる人種にはアフリカ系アメリカ人だけでなく、その混血者、インディアン、黄色人種など、白人以外の有色人種も含まれています。驚いたことに、アメリカでは1964年までこうした差別に、法律がお墨付きを与えていたのです。奴隷解放されたとしても、依然として法律のお墨付きで様々な偏見や社会的圧力にさらされるアフリカ系アメリカ人が、一転、農園や仲間の守りのない賞金稼ぎとなって単独で悪辣な白人を退治するなどということは、例えあったとしても極めて稀でしょう。しかし、時にリアリティを度外視して演出されるマカロニ・ウェスタンならば、そうした設定を可能にすることができます。さらに、巧みに脚本が巻き起こすカタストロフは、アフリカ系アメリカ人のみならず、長い間差別されてきた有色人種にさえ、快哉の声をもたらすものであります。本作が、タランティーノ作品の中で最大のヒット作となった背景には、そうした側面もありそうです。「ジャンゴ、繋がれざるもの」(2012年) 約1億6千万ドル「イングロリアス・バスターズ」(2009年) 約1億2千万ドル「パルプ・フィクション」(1994年) 約1億1千万ドルかつて一世を風靡した西部劇ですが、近年、特に2000年以降は、「トゥルー・グリット」(2010年)のように西部劇の名作といえるものは極めて少なく、まさに絶滅に瀕しています。第二次大戦以降、1960年頃までは西部劇の黄金時代で、多数の名作とともに、ゲイリー・クーパー、ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ、グレゴリー・ペック、ジェームズ・スチュアートらの大スターを輩出しました。しかし、主人公は基本的に白人で、刃向う先住民が悪役というワンパターンの勧善懲悪は、白人に都合のいい内容として反発を招き、1960年代に入って公民権運動が盛んになると、西部劇の衰退を招く大きな原因になりました。製作費の高騰もあって、イタリアなどでマカロニ・ウェスタンと呼ばれる西部劇が作られるようになり、詩情を排した過激なアクションや暴力シーンに活路を見出そうとしましたが、粗製乱造がたたり、さらに西部劇の衰退が加速しました。そんなマカロニ・ウェスタンに、バイオレント、スタイリッシュという美学を見出したタランティーノ監督は、本作に反奴隷制度、反差別という社会的メッセージを織り込む賞金稼ぎとなった奴隷が生き別れの妻を救うというラブストーリーを織り込むタランティーノ監督特有のユーモアを織り込むなど、マカロニ・ウェスタンに希薄だった情を吹き込むことにより、撮影日数が100日を超える大作を見事に現代に蘇らせたわけです。因みに、バイオレントな描写で知られるタランティーノ監督ですが、白人による奴隷への暴虐ぶりは観客にトラウマを与えてしまう為、やむなくセーブして描いているとのことです。このあたりのさじ加減も、本作が成功した理由のひとつでしょう。白人の奴隷に対する暴虐ぶりは、アメリカの奴隷制度をドキュメンタリータッチで描いたイタリア映画「ヤコペッティの残酷大陸」(1971年)や、「マンディンゴ」(1975年)に詳しいようです。奴隷制のみならず、差別はアメリカの歴史の大きな汚点ですが、ハリウッドはこれらを映画にしたがりません。例え歴史として知ってはいても、ことさら映画にして目の当たりにしたくないという心理が働くのでしょう。事実、奴隷の実態を描いた「マンディンゴ」も「ヤコペッティの残酷大陸」も、決して評判が良い作品ではありません。そういう意味では、奴隷制度を描きながら、見事な娯楽作品に仕立て上げたタランティーノ監督の力量が際立ちます。また、ストーリー展開上、悪辣な白人役が必要でも、アメリカ人俳優は尻込みしてしまい、イギリス人俳優を起用することが多いそうですが、悪辣な白人農園主を演じたブルース・ダーンやレオナルド・ディカプリオも称賛に値します。ディカプリオは、あまりにも差別的なセリフの連続に、撮影中に何度も絶句してしまい、共演のサミュエル・L・ジャクソンらに「大したことはない、毎度のことよ」となだめられながら、撮影を続けたといいます。ジェイミー・フォックス(ジャンゴ・フリーマン、奴隷から解放され賞金稼ぎになる)ジェイミー・フォックス(1967年〜)は、テキサス出身のアメリカの俳優、ミュージシャン。高校時代はアメフトのクォーターバックとして活躍。大学では音楽を専攻、ジュリアード音楽院でピアノも学んだが、卒業後はコメディアンの道を歩むなど、多才な人物。1996年から2001年までテレビのシチュエーション・コメディ「ザ・ジェイミー・フォックス・ショー」に出演、人気を得る。レイ・チャールズの伝記映画「Ray/レイ」(2004年)で主役を演じ、アフリカ系アメリカ人俳優としては史上3人目のアカデミー主演男優賞を受賞した。同年公開の「コラテラル」でも助演男優賞にもノミネートされている。クリストフ・ヴァルツ(ドクター・キング・シュルツ、ジャンゴを開放し賞金稼ぎにするドイツ人)クリストフ・ヴァルツ(1956年〜 )は、オーストリア出身の国際的俳優。父はドイツ人、母はオーストリア人で、ドイツ語、英語、フランス語に堪能。クエンティン・タランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」(2009年)で、一見紳士的ながら冷徹なナチス親衛隊の将校を演じ、アカデミー賞助演男優賞を受賞。タランティーノ作品でアカデミー賞を受賞した俳優は彼だけで、タランティーノ監督にミューズと言わしめている。本作で二度目のアカデミー賞助演男優賞を受賞している。レオナルド・ディカプリオ(カルビン・J・キャンディ、悪辣な白人農園主、ジャンゴの妻を所有)レオナルド・ディカプリオ(1974年〜 )は、ロスアンゼルス出身のアメリカの俳優、映画プロデューサー、脚本家。父の再婚相手の息子がテレビコマーシャルで多くの収入を得ていたことに感化され、俳優になることを志す。14歳で初めてテレビコマーシャルに出演、テレビドラマにも出演するようになり、映画「ギルバート・グレイプ」(1993年)で19歳にしてアカデミー助演男優賞にノミネートされる。数多くの興行収入記録を塗り替えた「タイタニック」(1997年)で、一躍スターになる。その後、「アビエイター」(2004年)、「ブラッド・ダイアモンド」(2006年)、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013年)とアカデミー俳優賞にノミネートされたが、受賞できず、「レヴェナント: 蘇えりし者」(2015年)でついに主演男優賞を受賞している。本作では、悪辣な白人農園主役で鬼気迫る演技を見せている。上の写真の左手をよく見ると、血に染まっているが、これは激昂してテーブルを叩いた際にグラスが割れて本当に怪我をしたもの。唖然とするタランティーノ監督を横目に、鬼気迫る演技を続け、カットの声と同時に居合わせたスタッフ、キャストからスタンディング・オベーションを浴びたという。ケリー・ワシントン(ブルームヒルダ・ヴォン・シャフト、ジャンゴと生き別れになった妻)ケリー・ワシントン(1977年〜)は、ブルックリン出身のアメリカの女優。「Ray/レイ」(2004年)でレイ・チャールズの妻役、「ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]」(2005年)でベン・グリムの恋人役、「ラストキング・オブ・スコットランド」(2006年)でイディ・アミンの妻役などを務めている。サミュエル・L・ジャクソン(スティーヴン、アフリカ系アメリカ人、キャンディ一族の執事)サミュエル・L・ジャクソン(1948年〜)は、ワシントンDC出身のアメリカの俳優。1988年公開の「星の王子 ニューヨークへ行く」や、以降の「グッドフェローズ」、「パトリオット・ゲーム」、「ジュラシック・パーク」などの大作に脇役で出演。タランティーノ監督の「パルプ・フィクション」(1994年)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたことをきっかけに注目を集め、以降も多数の映画で名脇役として活躍している。ローラ・カユーテ(右、ララ・リー・キャンディ=フィッツウィリー、カルビンの姉)ローラ・カユーテ(1964年〜 )は、メリーランド出身のアメリカ合衆国の女優。出演時間は短いが、本作で唯一、南部上流階級の白人女性を演じている。ブルース・ダーン(カーティス、ジャンゴと妻を所有していた農園主、二人を別々に売り払う)ブルース・ダーン(1936年〜)は、シカゴ出身のアメリカの俳優。祖父は政治家のジョージ・ヘンリー・ダーン、女優のローラ・ダーンは娘。1960年に映画デビュー、西部劇やサスペンス映画で印象的な演技を見せ、ベルリン国際映画祭男優賞やカンヌ国際映画祭男優賞を受賞している。演出家で映画監督のエリア・カザンに「決して主役を演じるタイプではないし、これからも決してないだろう。でも、君は演じる役になりきれるから素晴らしい。業界の誰ひとりとしてダーンが60歳になるまでその才能に気付くことはないだろう。」と言われたという。本作では、脱走を企てたジャンゴと妻を別々に売り払う農園主を演じているが、短い出演時間に見せる抑えた凄みに、当時の農園主の権威と冷徹さ感じさせるパフォーマンスが素晴らしい。フランコ・ネロ(アメリゴ・バセッピィ、カメオ出演、「続・荒野の用心棒」の元祖ジャンゴ)フランコ・ネロ(1941年〜 )は、イタリアの俳優。1964年に映画デビューし、マカロニ・ウェスタンを中心に100本以上の映画に出演している。西部劇の伝説的なキャラクターとなった「ジャンゴ」を演じた人物として知られる。ジョナ・ヒル(ランディ、白人至上主義の秘密結社K.K.K.団の前身であるレギュレイターズの一員)ジョナ・ヒル(1983年〜)は、ロスアンゼルス出身のアメリカの俳優、脚本家、声優、コメディアン。ニューヨークの大学で演技を学び、バーで自作の一人芝居を演じていたところ、友人の父であるダスティン・ホフマンにオーディションを受けるよう勧められ、「ハッカビーズ」(2004年)で映画デビューする。その後も「40歳の童貞男」、「もしも昨日が選べたら」などのコメディ映画でキャリアを重ね、2007年には「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」や「スーパーバッド 童貞ウォーズ」がヒットし、「マネーボール」と「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013年)それぞれでアカデミー助演男優賞にノミネートされる。他の映画とスケジュールが重なった為、本作の出演時間は短いが、白人至上主義の組織の一員を演じ、「前が見えないので顔を隠す白頭巾の替えがないか」などと、笑いを振りまいている。クエンティン・タランティーノ(左、フランキー、レクィント・ディッキー鉱業社の従業員)クエンティン・タランティーノ(1963年〜)は、言わずと知れたアメリカの映画監督、脚本家。1990年代前半、入り組んだプロットと犯罪と暴力の姿を描いた作品で一躍脚光を浴びる。「パルプ・フィクション」(1994年)でカンヌ国際映画祭パルム・ドール 、「パルプ・フィクション」(1995年) と本作でアカデミー賞脚本賞を受賞している。自身の作品に俳優として出演することもあり、本作でも終盤にチョイ役で出演している。【サウンドトラック】 「繋がれざる者」オリジナル・サウンドトラックCD(Amazon)1. ウィングド2. ジャンゴ 3. 運び屋 4. 「ならばジャンゴ、お先にどうぞ…」 5. 奴の名はキング 6. フリーダム 7. 5,000 ダラー・ニ**ズ・アンド ・ガミー・マウス・ビッチーズ 8. ラ・コルサ (セカンド・ヴァージョン) 9. 狡猾なシュルツとシャープの死 10. アイヴ・ガット・ア・ネイム 11. イ・ジョルニ・デリラ12. 100基の黒い棺13. ニカラグア 14. ヒルディのお仕置き箱 15. シスター・サラのテーマ 16. アンコラ・キ 17. 繋がれざる者 18. フー・ディッド・ザット・トゥ・ユー 19. トゥー・オールド・トゥ・ダイ・ヤング 20. ポーカー・プレイヤーの執事スティーブン 21. ウン・モニュメント 22. 6ショッツ・2ガンズ 23. ティトリ【撮影地(グーグルマップ)】キャンディの邸宅に向かう並木道 撮影はルイジアナのエバーグリーン農場で行われた。両側に見えるのは、当時の奴隷が住んでいた住居。ルイジアナのアフリカ系アメリカ人文化遺産に含まれている。なお、キャンディの邸宅の撮影は、外観、内部ともにセットを使用して行われた。 「ジャンゴ 繋がれざる者」のDVD(楽天市場)【関連作品】オマージュが捧げられたマカロニ・ウェスタンのDVD(楽天市場) 「続・荒野の用心棒」(1966年)奴隷制度の実態を描いた映画のDVD(楽天市場) 「ヤコペッティの残酷大陸」(1971年) 「マンディンゴ」(1975年) 「それでも夜は明ける」(2013年)クエンティン・タランティーノ監督 x クリストフ・ヴァルツのコラボ作品(楽天市場) 「イングロリアス・バスターズ」(2009年)クエンティン・タランティーノ監督・脚本作品のDVD(楽天市場) 「レザボア・ドッグス」(1992年) 「トゥルー・ロマンス」(1993年、脚本のみ) 「パルプ・フィクション」(1994年) 「クリムゾン・タイド」(1995年、脚本リライトのみ) 「ジャッキー・ブラウン」(1997年) 「キル・ビル Vol.1」(2003年) 「キル・ビル Vol.2」(2004年)ジェイミー・フォックス出演作品のDVD(楽天市場) 「コラテラル」(2004年) 「Ray/レイ」(2004年) 「ドリームガールズ」(2006年)レオナルド・ディカプリオ出演作品のDVD(楽天市場) 「ギルバート・グレイプ」(1993年) 「マイ・ルーム」(1996年) 「タイタニック」(1997年) 「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(2002年) 「アビエイター」(2004年) 「ディパーテッド」(2006年) 「インセプション」(2010年) 「華麗なるギャツビー」(2013年) 「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013年) 「レヴェナント: 蘇えりし者」(2015年)
2017年06月12日
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「胸騒ぎのシチリア」(原題:A Bigger Splash)は、2015年公開のイタリア・フランス合作の心理サスペンス&ドラマ映画(英語劇)です。イタリア・フランス合作映画「太陽が知っている」(1968年)を原作に、ルカ・グァダニーノ監督、デヴィッド・カイガニック脚本、ティルダ・スウィントン、レイフ・ファインズら出演で、地中海のパンテッレリーア島で静養する女性ロック歌手とその恋人が、押しかけてきた元彼とその娘に翻弄される様を描いています。 「胸騒ぎのシチリア」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ルカ・グァダニーノ脚本:デヴィッド・カイガニック原作:アラン・パジュ出演:ティルダ・スウィントン(マリアン・レーン、ロック歌手、喉を手術し静養中) レイフ・ファインズ(ハリー、敏腕音楽プロデューサー、マリアンの元カレ) マティアス・スーナールツ(ポール、無名の映画監督、マリアンの現在の恋人) ダコタ・ジョンソン(ペネロープ、ハリーが父と最近わかったアメリカの少女) ほか【あらすじ】世界的な人気を誇るロック歌手のマリアン(ティルダ・スウィントン)は、恋人で無名の映画監督のポール(マティアス・スーナールツ)と南イタリアの孤島、シチリアのパンテッレリーア島で静養しています。声帯の手術を受けたばかりのマリアンは、声を出して話すことができません。そんな中、マリアンの元恋人でカリスマ音楽プロデューサーのハリー(レイフ・ファインズ)が、セクシーな娘ペネロープ(ダコタ・ジョンソン)を連れて押しかけてきます。歌って踊り続けるエネルギーの塊のようなハリーは、実はマリアンとの復縁を狙っています。一方、若さを持て余すペネロープはポールへの好奇心を募らせていきますが、父親のはずのハリーとも何やら妖しげな雰囲気を漂わせます。マリアンの嫉妬と困惑と迷いが最高潮に達した時、思いもよらない事件が起きます・・・。【レビュー・解説】地中海シチリア海峡のパンテッレリーア島を舞台に、ティルダ・スウィントンとレイフ・ファインズが天才的なパフォーマンスを遺憾なく発揮、絡み合う欲望をドラマ・クォリティで描いた心理サスペンスです。 フランス・イタリア合作映画「太陽が知っている」(1968年)のリメイクですが、欲望をテーマに掘り下げてみたかったというルカ・グァダニーノ監督は、舞台をオリジナルのサントロペから、シチリアのパンテッレリーア島に変えました。パンテッレリーア島は地中海のシチリア海峡にある火山島で、人口約8000人、1時間もあれば車で一周できてしまいそうな規模の島です。イタリア領ですが、シチリア島から100キロ、アフリカ大陸のチュニジアから70キロと、アフリカ大陸により近く、アラブ文化の影響を受けており、パンテッレリーアという名も「風の子供」という意味のアラブ語に由来します。周囲に遮るものがない為、年間を通してシロッコ(サハラ砂漠を起源とし地中海を越えてイタリアに吹く暑い南風)が吹きつけ、河川がなく地下水も乏しいなど、厳しい環境の島です。強風から守る為、葡萄の木は膝丈程の低株仕立てで、一房ずつの手積み収穫は腰を屈めての重労働で、世界無形文化遺産に認定されています。今や国際的なリゾートとなったサントロペをファンタジーとすれば、パンテッレリーアは地中海の実存を感じさせるロケーションです。 地中海シチリア海峡にあるパンテッレリーア島が舞台そんなパンテッレリーアで、マリアンは恋人のポールとのんびり過ごしていますが、そこへレイフ・ファインズ扮するハリーが娘をつれて突然、訪ねてきます。彼は、ローリング・ストーンズのアルバムも手掛けたことがあるカリスマ的な音楽プロデューサーで、これをファインズがエネルギッシュで情熱的に演じていますが、その止まることを知らないマシンガン・トークが見ものです。さらには、「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」(2008年)でトム・クルーズが見せたグロスマン・ダンスに匹敵するほどの、ユニークなダンスを見せます。ダンスで自己表現するような役をやったことのなかった彼は、これに挑戦する為にこの役を受けたと言っても良く、ダンサーではない人に教えるのがうまい振付師に相談し、素晴らしい即興の踊りを披露しています。彼は「シンドラーのリスト」や「イングリッシュ・ペイシェント」などシリアス・タッチのドラマでアカデミー俳優賞にノミネートされていますが、「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年)ではコミカルな役を演じ、芸域の広さを見せています。彼は元々、トニー賞を受賞するほどの舞台俳優で、本作のハリーような役を悲喜劇的に演じることができるわけですが、ここまで本格的に演じられる芸達者な俳優はそうそういません。レイフ・ファインズ(ハリー、敏腕音楽プロデューサー、マリアンの元カレ)レイフ・ファインズ(1962年〜) は、イギリスの俳優。王立演劇学校でキャリアをスタート、1988年にロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに参加、1995年にブロードウェイで「ハムレット」に主演し、トニー賞を受賞。映画初出演は「嵐が丘」(1992年)で、「シンドラーのリスト」(1993年)でアカデミー助演男優賞にノミネート、「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年)でアカデミー主演男優賞にノミネートされている。その後も「ナイロビの蜂」、「ハリー・ポッター」シリーズ、「グランド・ブダペスト・ホテル」など、評価の高い作品に出演。映画俳優としてのキャリアも確立した現在も、古典的文芸作品から近代作家の作品まで幅広く舞台に出演している。そんなレイフ・ファインズを、オスカー女優のティルダ・スウィントンが迎え撃つのですが、彼女もただのオスカー女優ではありません。彼女は「フィクサー」(2007年)でアカデミー助演女優賞を受賞していますが、演じるの役の幅が極端に広く、時には本人とわからないほど変身します。最近だけでも、ソーシャルワーカー〜「ムーンライズ・キングダム」(2012年)バンパイア〜「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」(2013年)道化的政治家(入れ歯を着用)〜「スノーピアサー』(2013年)80歳の大富豪〜「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年)双子のジャーナリスト(一人二役)〜「ヘイル、シーザー!」(2016年)など、かなり変化に富んだ役をこなしています。本作で彼女が演じるマリアンは、当初、アメリカ訛を覚えようとするイギリスの女優という設定でした。脚本をすべて読んだスウィントンは、これを音楽を通じて親密にハリーと結びついたロック歌手に変更することを提案します。さらに、マリアンが言葉を話せない状況にあることを提案、マシンガンの様に話す名優レイフ・ファインズを相手に、彼女はほとんど言葉なしで演じることを選びます。スウィントンを共同制作者と捉えているルカ・グァダニーノ監督だからこそ可能な大変更ですが、スウィントンはさらに彼がテーマとする「欲望」に、ロック歌手としてハリーとともに情熱的に生きるか無名の映画監督であるポールとともに静かに生きるかという、女性としての迷いを重ね合わせます。ただの心理サスペンスにとどまらず、本作にドラマの深みが出ているのは、こうした彼女が演ずる上での解釈による部分が少なくありません。ティルダ・スウィントン(右、マリアン・レーン、ロック歌手、喉を手術し静養中)ティルダ・スウィントン(1960年11月5日〜)は、ロンドン出身のイギリスの女優。ケンブリッジ大学で政治学と社会学を専攻、1983年に卒業後、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで演劇を学ぶ。長身、クールな風貌と知的な演技が評価され、魔女や天使、女王、女ボスなどキーマン的な存在感ある役柄が多い。「フィクサー」(2007年) でアカデミー助演女優賞と英国アカデミー賞 助演女優賞を受賞している。マリアンの現在の恋人ポールを演じるのが、「君と歩く世界」(2012年)でセザール賞有望新人賞を獲得したマティアス・スーナールツです。ハリーと対照的に純粋で寡黙なポールは、スーナールツのはまり役です。また、ハリーの娘ペネロープを演じるのが、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(2015年)で一躍、有名になったダコタ・ジョンソンです。静かな生活に惹かれるスウィントンとは対照的で、22歳と偽る17歳の好奇心旺盛な少女を演じています。ペネロープは当初、マーゴット・ロビーが演ずる予定でしたが、スケジュールが合わなくなり、ダコタ・ジョンソンが急遽、起用されました。「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(2015年)はまだ公開されていませんでしたが、結果的に話題性のある強力なキャスティングとなりました。マティアス・スーナールツ(ポール、無名の映画監督、マリアンの現在の恋人) マティアス・スーナールツ(1977年〜) は、ベルギーの俳優。父も俳優。1992年、アカデミー外国語映画賞にノミネートされたベルギー映画「神父ダーンス」 で15歳にして映画デビュー。同じくアカデミー外国語映画賞にノミネートされた「闇を生きる男」(2011年)や、セザール賞有望新人賞を受賞した「君と歩く世界」(2012年)などに出演している。ダコタ・ジョンソン(ペネロープ、ハリーが父と最近わかったアメリカの少女)ダコタ・ジョンソン(1989年〜)は、テキサス出身のアメリカの女優、ファッションモデル。俳優ドン・ジョンソンと女優メラニー・グリフィスの間の娘。2006年からモデルとして活動。1999年、継父が監督、実母が出演する映画でデビュー、「ソーシャル・ネットワーク」(2010年)、「21ジャンプストリート」(2012年)などに出演している。オーディションで「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(2015年)の主役を得て、ヌードやラブシーンなどの難度の高い演技で話題となる。なお、原題の「A Bigger Splash」は、イギリスの画家デイヴィッド・ホックニーがカリフォルニアの邸宅のプールに飛び込みで立ち上がる水しぶきを描いた、同名の絵に由来します。映画では使用されませんでしたが、イギリスのテート・ギャラリーでダコタ・ジョンソンがこの絵を凝視するシーンが撮影されました。恐らくは、未知なるものへの憧憬や、未来への予感を暗示するものであったと思われます。【サウンドトラック】「胸騒ぎのシチリア」オリジナル・サウンドトラックCD輸入版(楽天市場) 1. Observatory Crest - Captain Beefheart 2. Beauty Is Only Skin Deep - Robert Mitchum 3. Black Silk Stocking - Chrisma 4. Jump Into the Fire - Nilsson 5. Moon Is Up - the Rolling Stones 6. Heaven - the Rolling Stones7. "Dal Labbro Il Canto Estasiato Vola" - Daniil Shtoda, Dorothea Röschmann, Adrianne Pieczonka, Larissa Diadkova, Stella Doufexis, Berliner Philharmoniker, Claudio Abbado 8. Okanagon - Ensemble Phoenix Basel 9. Pranam II - Ensemble Phoenix Basel 10. Aguirre I (L'acrime Di Rei) - Popol Vuh 11. Emotional Rescue - St. Vincent【動画クリップ】レイフ・ファインズのダンスシーン【撮影地(グーグルマップ)】マリアンのコンサートシーン冒頭、マリアンとポールが訪れる湖ハリーとペネロープを迎えた空港マリアンとポールが滞在する別荘ハリーとマリアンが買い物をしたスーパーポールとペネロープが出かけた磯浜マリアンらが取り調べを受けた警察署【関連作品】原作映画のDVD(楽天市場) 「太陽が知っている」(1968年)ルカ・グァダニーノ監督 x ティルダ・スウィントンのコラボ作品(楽天市場) 「ミラノ、愛に生きる」(2009年)ルカ・グァダニーノ監督作品のDVD(楽天市場) 「コール・ミー・バイ・ユア・ネーム」(2017年、日本未公開)ティルダ・スウィントン x レイフ・ファインズ共演作品のDVD(楽天市場) 「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年) 「ヘイル、シーザー!」(2016年)ティルダ・スウィントン出演作品のDVD(楽天市場) 「オルランド」(1992年)・・・北米盤、リージョン1、日本語なし 「アダプテーション」(2002年) 「ブロークン・フラワーズ」(2005年) 「フィクサー」(2007年) 「ムーンライズ・キングダム」(2012年) 「スノーピアサー」(2013年) 「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」(2013年)レイフ・ファインズ出演作品のDVD(楽天市場) 「シンドラーのリスト」(1993年) 「クイズ・ショウ」(1994年) 「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年) 「スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする」(2002年) 「ナイロビの蜂」(2005年) 「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(2005年) 「ヒットマンズ・レクイエム」(2008年)・・・輸入版、リージョン1,日本語なし 「ハート・ロッカー」(2009年) 「英雄の証明」(2011年) 「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」(2012年) 「007 スカイフォール」(2012年) 「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年)マティアス・スーナールツ出演作品のDVD(Amazon) 「闇を生きる男」(2011年) 「君と歩く世界」(2012年) 「クライム・ヒート」(2014年) 「遥か群集を離れて」(2015年)ダコタ・ジョンソン出演作品のDVD(Amazon) 「ソーシャル・ネットワーク」(2010年) 「21ジャンプストリート」(2012年)
2017年06月09日
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「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(原題:Fantastic Beasts and Where to Find Them)は2016年公開のイギリスのファンタジー映画です。「ハリーポッター」シリーズの原作者J・K・ローリングの著書「幻の動物とその生息地」をベースに、ローリング自身が脚本を手がけ、デヴィッド・イェーツ監督、エディ・レッドメインら出演で、ホグワーツ魔法魔術学校で学び、魔法使いになった魔法動物好きの青年スキャマンダーが、1926年のニューヨークで逃した魔法動物を捜しながら繰り広げる大冒険を描いています。第89回アカデミー賞で衣裳デザイン賞を受賞、「ハリー・ポッター」シリーズで初めてオスカーを受賞した作品です。「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:デヴィッド・イェーツ脚本:J・K・ローリング原作:J・K・ローリング「Fantastic Beasts & Where to Find Them」出演:エディ・レッドメイン(ニュート・スキャマンダー) キャサリン・ウォーターストン(ポーペンティナ(ティナ)・ゴールドスタイン) ダン・フォグラー(ジェイコブ・コワルスキー) アリソン・スドル(クイニー・ゴールドスタイン) コリン・ファレル(パーシバル・グレイブス) カルメン・イジョゴ(セラフィーナ・ピッカリー) エズラ・ミラー(クリーデンス・ベアボーン) サマンサ・モートン(メアリー・ルー・ベアボーン) ロン・パールマン(ナーラク) ジョン・ヴォイト(ヘンリー・ショー・シニア) ジョシュ・カウダリー(ヘンリー・ショー・ジュニア) ローナン・ラフテリー(ラングドン・ショー) フェイス・ウッド=ブラグローブ(モデスティ・ベアボーン) ジェン・マーリー(チャスティティ・ベアボーン) ピーター・ブライトメイヤー(ギルバート・ビングリー) ダン・ヘダヤ(レッド) ケヴィン・ガスリー(アバナシー) エリー・ハディントン(エスポジト夫人) マーティン・オーエルベーマン(ハインリヒ・エバーシュタット) ジェンマ・チャン(マダム・ヤ・ジョウ) マシュー・ウィルソン(サム ) ゾーイ・クラヴィッツ(リタ・レストレンジ) ほか【あらすじ】1926年、優秀だけどおっちょこちょいな魔法使いニュート・スキャマンダーは、世界中をめぐって魔法動物を集めては不思議なトランクに詰め込んでいます。ニューヨークに立ち寄った際に、持っていたトランクが他人のトランクと入れ替わり、危険な魔法動物たちがトランクから逃げ出してしまいます。ニューヨークは大パニックになり、ニュートは魔法省から追われ、さらには魔法省の壊滅を狙う謎の組織も現れ、思わぬ事態に展開していきます・・・。【レビュー・解説】「ハリー・ポッター」シリーズのスピンオフ前日譚の第1作である本作は、原作者 J・K・ローリング思い入れのキャラクター、ニュート・スキャマンダーとその仲間たち、魔法動物たちが活躍する冒険ファンタジーの娯楽大作です。「ハリー・ポッター」シリーズで、学校で一年目に必要な教科書として挙げられていたもののひとつに「Fantastic Beasts & Where to Find Them」があり、この著者がニュート・スキャマンダーです。この教科書は、魔法の世界の生物がどんな姿なのか、どんな生き物なのかを解説したもので、ニュート・スキャマンダーと J・K・ローリングの共著として実際に刊行されており、本作の原題にもなっています。ローリングは本書を執筆するうちに、もう一人の著者、ニュート・スキャマンダーにとても興味を覚え、心を奪われたと言います。ニュートは世界中を旅する魔法動物の研究家で、彼の野望は魔法動物の本を書くことです。彼は、魔法動物がどこに住んでいて、どんな動物なのかを伝え、人々が彼らを殺すのを止めさせたいのです。彼は傷ついた魔法動物や、危機に瀕した魔法動物を見ると、放っておくことができず、動物病院兼サファリパークである、彼のトランクに詰め込んでしまいます。イギリス人の彼は、アメリカの魔法世界がどのように治められているか知りません。決して彼に友好的とは言えないニューヨークのど真ん中で、彼は間違ってトランクから魔法動物たちを逃してしまうという大失態を演じ、全く理解できないアメリカの魔法世界の複雑な状況に足を踏み入れてしまいます。本作には、ニュート・スキャマンダーにティナ・ゴールドスタイン、ジェイコブ・コワルスキー、クイニー・ゴールドスタインを加えた、4人の個性的なキャラクターが登場します。ニュート・スキャマンダー人と目を合わせるのが苦手なほど内気で友達も少ない、どこにでもいるようなイギリス人。魔法動物と上手にコミュニケートできる。魔法動物をトランクに戻して、ニューヨークから逃れたい。ティナ・ゴールドスタイン降格された調査官。ニュートの起こすゴタゴタに関わるべきではないが、関わってしまう。クイニー・ゴールドスタインティナの妹で、彼ら4人を結びつける潤滑油のような役割を果たす優しい女性。ジェイコブ・コワルスキー唯一のノー・マジ(魔法界の人間ではない)だが、次々と起こることに魅了され、他の仲間と一緒にいたいと思うにようになる。クイニーに思いを寄せる。物語が展開するにつれて、この4人に友情が芽生えていきます。はまり役のニュート・スキャマンダーを演じるエディ・レッドメインは元より、他の三人を演じるキャサリン・ウォーターストン、ダン・フォグラー、アリソン・スドルのパフォーマンスが出色で、本作をしっかりと支えています。個性的な4人に友情が芽生えるエディ・レッドメイン(ニュート・スキャマンダー)エディ・レッドメイン(1982年〜 )は、ロンドン出身のイギリスの俳優。2009年、舞台「Red」でローレンス・オリヴィエ賞助演男優賞とトニー賞を受賞する。「マリリン 7日間の恋」(2012年)などに出演、「博士と彼女のセオリー」(2014年)でアカデミー主演男優賞を受賞する。翌2015年も、「リリーのすべて」でアカデミー主演男優賞にノミネートされている。本作の主役は当初からエディ・レッドメイン以外は考えられておらず、オーデションなしで起用されたほどのはまり役。彼の申し分のないパフォーマンスをじっくりと堪能できる。キャサリン・ウォーターストン(ポーペンティナ(ティナ)・ゴールドスタイン)キャサリン・ウォーターストン(1980年 )は、ロンドン出身のアメリカの女優。父は「華麗なるギャツビー」(1974年)でニック・キャラウェイを演じたサム・ウォーターストンで、異母兄、実姉も俳優。ニューヨーク大学で演技を学んだ後、2004年にテレビ映画でデビュー、「フィクサー」(2007年)で長編映画デビューする。「インヒアレント・ヴァイス」(2014年)で一躍注目を浴びるようになり、「スティーブ・ジョブズ」(2015年)などの大作に出演するようになる。本作では降格された調査官という少々冴えないヒロインを演じている。ティナと妹のクイニーの姉妹のどちらかがローリングを反映しているとローリングは語っているが、ローリングには実の妹がいることから、ティナがローリングを反映しているものと思われる。なお、ティナとニュートは後に結婚することがわかっている。ダン・フォグラー(ジェイコブ・コワルスキー)ダン・フォグラー(1976年〜)は、アメリカの俳優、声優、コメディアン、プロデューサー。「エウロパ」(2012年)などに出演している。ジェイコブ役にはマイケル・セラも検討されたが、「レゴバットマン ザ・ムービー」(2017年)と日程が重なった為、起用されなかった。小太りのフォグラーは、気のいいパン屋というイメージがぴったりで、むしろ、セラよりも役に合っていると思われる。アリソン・スドル(クイニー・ゴールドスタイン)アリソン・スドル(1984年〜)は、ファイン・フレンジーという名で知られるアメリカのシンガーソングライター、女優。2007年のデビュー・アルバムが欧州でヒット、ドイツやスイスでゴールドディスに認定されている。元々は、魔法学校の歌を歌うという設定で起用されたが、歌うシーンは最終的にカットされた。クイニー役には、シアーシャ・ローナン、ダコタ・ファニング、クリスティン・ステュワート、リリー・シモンズなどが検討されたが、スドルは歌なしでも彼女で良かったと思わせる素晴らしいパフォーマンスを見せている。メイン・キャラクターのフィギュア (楽天市場)ニュート・スキャマンダーティナ・ゴールドスタインジェイコブ・コワルスキークイニー・ゴールドスタインコリン・ファレル(パーシバル・グレイブス)コリン・ファレル(1976年〜)は、ハリウッドを中心に活躍するダブリン出身のアイルランド人俳優。1980年代後半から90年代前半にかけて、サッカークラブのゴールキーパーで前途有望な若手選手と目されていた。98年からBBCのテレビドラマや映画などに出演し始め、「マイノリティ・リポート」(2002年)、「ヒットマンズ・レクイエム」(2008年)、「セブン・サイコパス」(2012年)、「ロブスター」(2015年)などに出演している。サマンサ・モートン(メアリー・ルー・ベアボーン)サマンサ・モートン(1977年~ )は、ノッティンガム出身のイギリスの女優。工場労働者の両親が離婚、幼少期を児童福祉施設で過ごす。13歳でテレビに初出演、1997年に「アンダー・ザ・スキン」で映画デビュー、世界的に注目を集め、ウッディ・アレン監督の「ギター弾きの恋」(1999年)でアカデミー助演女優賞に、「イン・アメリカ/三つの小さな願いごと」(2003年)でアカデミー主演女優賞にノミネートされる。登場する主な魔法動物二フラーモグラとカモノハシの中間のような外観の魔法動物。ふわふわした黒い毛を持ち、鼻が長い。生息地はイギリスで巣は深いところで地下6mの場所にあり、一度に6~8匹の子供を産む。キラキラしたものを探す習性があり、お宝を収納するバッグを持っている。ボウトラックル体長最大20cmの植物タイプの魔法動物。木の守番で、杖の材料になる木に住んでいる。体が樹皮と小枝で出来ており、ナナフシのような姿で、昆虫を食べて生活している。長く鋭い指を持ち、自分の住む木に危険が及ぶと、鋭い指で攻撃する。本作では、ペットのようにニュートのポケットの中にいる。スウーピングエヴィル本作のオリジナル魔法動物。見た目は鳥のようだが、安静時はトゲトゲした緑色の繭のようになる。人間の脳みそを吸い取る危険な習性を持つが、この能力をうまく利用することで、相手の記憶だけを消すことが可能。サンダーバード本作のオリジナル魔法動物。アリゾナの乾燥地帯に生息し、翼で嵐を巻き起こす能力を持つ。また、危険を察知する能力も持っている。デミガイズ白いサルのような魔法動物。性格は非常に穏やかで、自由自在に姿を消す能力を持っている。体毛は透明マントの素材に使われるが、予知能力を持っている為、捕獲は非常に難しい。ビリーウィグ青い昆虫のような姿をした魔法生物。回転しながら飛び、刺されるとめまいや浮遊効果を引き起こす。オカミー攻撃的な魔法動物。子供を守る時は特に危険。オカミーの卵は銀でできている為、価値が高い。オブスキュラス魔力を抑制する魔法使いに寄生し、宿主の体を乗っ取る。宿主をオブスキュリアルと言う。コントロールが効かなくなると、非常に危険。灰色で雲のように渦巻き、顔のようなものが見える時がある。【サウンドトラック】「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」サウンドトラック(楽天市場)1. メイン・タイトル2. この中に魔法使いがいる/銀行/ニフラー3. ニュートを引き込むティナ/マクーザ・ ヘッドクォーターズ4. パイ、もしくはシュトルーデル/エスケイピング ・クイニー・アンド・ティナズ・プレイス5. ビラを手放すクリーデンス6. トランクの中身7. エルンペント8. 牢の中で9. ティナとニュートのトライアル/あなたの記憶も 拝見/あなたは仲間/スウーピング・イーヴル10. ナーラクの取り引き11. デミガイズとオカミー 12. 親友 13. オブスキュラス/屋根の上の追跡 14. ティナ、君の言うことなら彼に届 15. 魔法の杖に安心/ニュート、サンダーバードを 解放する/ジェイコブの別れ 16. ニュート、ティナへさよならを言う/ ジェイコブのパン屋 17. エンド・タイトル 18. ブラインド・ピッグ <日本盤ボーナス・ トラック> 19. エンド・タイトル (パート2) <日本盤 ボーナス・トラック>【動画クリップ(YouTube)】ティナとクイニーが歌う魔法学校の歌(最終版からはカット)ゴールドディスに認定されたファイン・フレンジー(アリソン・スドル)の Almost Lover【撮影地(グーグルマップ)】ヘンリー・ショーの講演会が開催されたシティ・ホール「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」のDVD(楽天市場)【関連作品】「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」の原作本(楽天市場) J.K.Rowling「Fantastic Beasts & Where to Find Them」デヴィッド・イェーツ監督作品のDVD(楽天市場) 「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 」(2007年) 「ハリー・ポッターと謎のプリンス」(2009年) 「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」(2010年) 「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2}(2011年)エディ・レッドメイン出演作品のDVD(楽天市場) 「マリリン 7日間の恋」(2011年) 「博士と彼女のセオリー」(2014年) 「リリーのすべて」(2015年)キャサリン・ウォーターストン出演作品のDVD(楽天市場) 「フィクサー」(2007年) 「インヒアレント・ヴァイス」(2014年) 「スティーブ・ジョブズ」(2015年)
2017年06月07日
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「マイ・インターン」(原題: The Intern)は、2015年公開のアメリカのコメディ映画です。ナンシー・マイヤーズ監督・脚本、ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ主演で、ニューヨークでファッション通販のスタートアップに成功した女社長が、40歳も年上の新人アシスタントとの出会いを機に成長する姿を描いています。 「マイ・インターン」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:ナンシー・マイヤーズ脚本:ナンシー・マイヤーズ出演:ロバート・デ・ニーロ(ベン・ウィテカー) アン・ハサウェイ(ジュールズ・オースティン) レネ・ルッソ(フィオナ) アンダーズ・ホーム(マット) ジョジョ・クシュナー(ペイジ) アンドリュー・ラネルズ(キャメロン) アダム・ディヴァイン(ジェイソン) ザック・パールマン(デイビス) ジェイソン・オーリー(ルイス) クリスティーナ・シェラー(ベッキー) ほか【あらすじ】ニューヨークでファッション通販サイトを運営する女社長のジュールズ(アン・ハサウェイ)は短期間に会社を拡大、華やかな世界に身を置きながら、仕事と家庭を両立させ、女性の理想を絵にかいたような人生を送っているかに見えます。そんな彼女の会社にシニア・インターン制度で採用された70歳の老人ベン(ロバート・デ・ニーロ)がやってきます。若者ばかりの会社で浮いた存在のベンですが、誠実で穏やかな人柄でいつしか社内の人気者になります。一方、社長のジュールズには公私ともに大きな問題が立ちはだかります。大きな決断を迫られた彼女は、誰にも自身の気持ちを打ち明けることができず苦しい日々を送りますが、そんな彼女を人生経験豊富なベンが救います。彼の温かな励ましを受けていくうちにベンに心を開くジュールズは、やがて大きな人生の転機を迎えます・・・。【レビュー・解説】ファッション通販スタートアップの若い女性社長らと元電話帳メーカー幹部の70歳の新人との公私に渡る人間的な関わりを、オスカー俳優と選り抜きの若手がおしゃれで現代的に演じた、ハリウッドの伝統を継承するハートフルなヒューマン・コメディです。インターンシップはもともと、業界に興味を持つ学生に働く機会を提供するものですが、2008年のリーマン・ブラザース破綻に端を発する世界的金融危機で失業者が増え、学生ではなく、異業種を希望する30〜40歳のインターンが珍しくなくなりました。最近ではさらに上の年齢層のインターンも増えつつあるそうです。こうした人々にとって、それまでの報酬とプライドを捨てて学生と一緒に学ぶことは一大事であり、挑戦的でやりがいはあるものの、非常にストレスが溜まることでもあると言われています。こうした社会変化の中で、ナンシー・マイヤー監督は数年前に、年配の男がスタートアップ企業にインターンに行くと面白いと考えました。コメディを得意とする映画監督・脚本家である彼女は、社会現象として掘り下げることもさることながら、人間関係を軸にしたコメディにすることを思い立ちます。ベンのキャラクターから考えはじめました。私はいつもコミカルな設定から考え始めます。その段階では、どんなスタートアップか、誰が経営しているかといったことは考えていません。そこから私の好きなコメディに仕上げていくのです。自分自身が見に行きたくなるようなコメディを書きます。ただ、世代間ギャップのネタのみの映画にはしたくありませんでした。もう少し、入り込んだものにしたかったのです。私の映画はいつも人間関係が軸になりますが、ロマンチックな関係以外にもいろいろな関係があります。だから、年配の男性が創業間もない会社でインターンになるというアイデアを思いついた時、それは伝統的なラブ・ストーリーにはならない、そうでなければ決して出会わなかったであろうふたりの間の絆と友情を描いたストーリーになると気づきました。(ナンシー・マイヤー監督) 映画の冒頭、ベンの声で語りが入ります。BEN (V.O.):Freud said, “Love and work, work and love. That’s all there is.” Well, I’m retired and my wife is dead.ベン(語り):フロイト曰く、「愛と仕事、仕事と愛が、人生のすべてだ」。かくいう私は、引退し、妻もいない。ベンとジュールズ、それぞれにとっての愛と仕事が、本作の底を流れる大きなテーマとなります。人生で目標をもつことと、評価されることは、愛し愛されることと同じぐらい基本的に必要なことだと思う。(ナンシー・マイヤー監督)これは、ナンシーらしい映画だし、彼女が得意にしているタイプの作品だよ。ある意味でハリウッドの伝統的なコメディを継承しながらも、決して過去の作品ではなく、とても現代的だ。この映画で彼女が描いているのは、多くの人々に通じるものじゃないかな。シニア世代になると、年をとったこと以外で自分の何かが変わったのかどうかはよく分からない。でも、まだまだたくさん世の中のためにできることはあるし、何かを作り出すこともできるんだ。(ロバート・デ・ニーロ)ベンは、自身でビデオを制作してインターンに応募するほど前向きですが、太極拳を愛し、古めかしいブリーフケースを使い、床屋で髭を剃るといった古風な男でもあります。その一方で、マイヤー監督はスタートアップの社長のジュールズやその仲間たちをベンと対置するかのように、子供っぽく描いています。彼女はボスですが、スタートアップという夢の国ではボスも子供なのです。彼女は30歳そこそこですが、まだ子供の部分が残っています。(ナンシー・マイヤー監督)実際、若手で構成されるスタートアップ企業は上の世代から学ぶ機会が限られ、組織が大きくなると様々な問題を抱えることが多いようです。また、インターネットやソーシャル・メディアなど新しいコミュニケーション・ツールを使いこなす彼らですが、必ずしも人間関係に長けているわけではありません。ある程度の規模になったスタートアップ企業が経験豊富なシニアを迎え入れ、相談相手に得ながら現場をまとめることは、実際に行われていることでもあります。当初、本作はマイケル・ケインとティナ・フェイの主演でパラマウントで制作する予定でしたが、予算がまとまらず、マイヤー監督自身が俳優と交渉し、最終的にワーナー・ブラザーズでの映画化となりました。この間に、ベン役はロバート・デニーロに、ジュールズ役はリース・ウィザースプーンを経てアン・ハサウェイに変わるなどの紆余曲折がありました。ハサウェイはかねてからマイヤー監督を高く評価しており、彼女の作品のオーディションを二度、受けていましたが、三度目の正直の本作で念願の出演が叶いました。ナンシーは、ハートのあるすばらしい映画製作者だし、私がこれまで出会った中で恐らく最もユーモアがある女性だと思います。コメディのタイミングが完璧です。でも彼女の映画は単に笑えるだけじゃない。日常生活での切実な苦しみを、温かく、そしてすごく人間的に扱っているんです。(アン・ハサウェイ)デ・ニーロもハサウェイも個性的な俳優ですが、二人が醸し出す雰囲気が本作最大の魅力になっており、この二人のオスカー俳優のキャスティングは大成功と思います。二人のオスカー俳優が醸し出す雰囲気が最大の魅力本作は、ハサウェイがファッション誌出版社の新人を演じた「プラダを着た悪魔」(2006年)とよく比較されますが、企画も書いた人も異なり、基本的に無関係です。しかしながら、映画を観る人には「9年前、出版社の新人だったハサウェイが、スタートアップの社長になり、パートナーと子供もできたが、彼女自身はまだ若く、悩みも抱えている」とオーバーラップして見えます。加えて、マイヤーズ監督自身が映画製作というクリエイティブな仕事をしながら二人の子供を育てた経験が巧みに織り込まれており、「プラダを着た悪魔」に胸をときめかせた働く女性にとって、たまらなく魅力的な作品です。映像も女性監督らしいセンスが溢れ、おしゃれでスタイリッシュです。マイヤー監督は制作にピンタレストを活用、ベン、ジュールズ、ジュールズの娘のペイジ、ジュールズのパートナーで専業主夫のマット、ジュールズのオフィス、自宅のイメージなど、テーマごとにボードを作っています。腕利きのスタイリストや美術がこれを参考に、キャラクターのファッションやジュールズのキッチンやオフィスなどのライフ・スタイルを適確にデザインしています。これもライフスタイルに敏感な女性ファンにはたまりません。映画を観た後にピンタレストのボードを見ると、「あの素晴らしいイメージができた秘密はここにあったのか」と、感心してしまいます。メイヤーズ監督がスタッフと共有したイメージ(ピンタレスト)面白いのは、ベンのイメージの中にフクロウの写真があること。欧米ではフクロウは叡智のシンボルですが、デ・ニーロが本作で頻繁に目を細める表情を見せるのは、実は意図的な演出であることがわかります。目を細めるロバート・デ・ニーロメイヤーズ監督によるベンのイメージ写真(ピンタレスト)フクロウの他にも、ベンのキーアイテムであるブリーフケースや、出張時に髭を剃る床屋のイメージ写真もボードに貼られています。子供の頃、世界恐慌や第2次大戦を乗り越えた父やおじを見て育ったマイヤー監督は、現代のナイスな男の子たちにも何かしら欠けているものがあると言います。酔っ払ったジュールズは、スタートアップの若手男子にお説教します。JULES: So we were always told we could do anything, be anything. And I think somehow the boys got, maybe not left behind but not quite as nurtured. We had Oprah, you know. I wonder sometimes how guys fit in...they seem to still be trying to figure it all out. Still dressing like little boys, still playing video games... Here’s another thing. You ever notice how the husband on every commercial on TV is always such a dope? Has it always been that way or is the “husband” the new dumb blonde? In one generation men went from guys like Al Pacino and Harrison Ford to... Look at Ben here. A dying breed... Look and learn ‘cause if you ask me... This is what cool is.ジュールズ:女の子は何でもできる、何にでもなれると言われて育ったわ。でも、男の子は取り残されたわけじゃないけど、十分に教育されていないと思うの。私たちにはオプラ(・ウィンフリー)がいるわ。男の子はどうなるのって思う。まだ、どうしていいかわかっていないわ。子供のような格好をして、ビデオ・ゲームをやってる。そうそう、もうひとつ。テレビ・コマーシャルに出てくる夫って、まぬけだと思わない?そんなものなの?馬鹿な金髪女と同じよ。たった一世代で、男たちはアル・パチーノやハリソン・フォードから・・・、ここにいるベンを見て、絶滅危惧種よ。よく見て、学んで。これが、クールっていうものよ。1980年代から2000年前後に生まれた世代はミレニアル世代とも呼ばれ、幼少期からデジタル化された生活に慣れ親しみ、日常的にインターネットを使いこなす一方、それまでの世代とは価値観やライフスタイルなどに隔たりがあるとされます。そんな世代の男の子たちを批判するジュールズも、専業主夫である自分のパートナーを間接的に批判しており、なにやら波乱含みです。自身もミレニアル世代であるジュールズやスタートアップの男の子たちを、ベンとの人間関係の中で優しいまなざしで描いているのは、まさにハリウッドのコメディの伝統を受け継ぐマイヤー監督の真骨頂です。ロバート・デ・ニーロ(ベン・ウィテカー、70歳、スタートアップのインターン)ロバート・デ・ニーロ(1943年)はアメリカとイタリアの国籍を持つ、アメリカの俳優、プロデューサー。フランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザー PART II」(1974年)でアカデミー助演男優賞を受賞、マーティン・スコセッシ監督とは長くタッグを組み、「レイジング・ブル」(1980年)で同主演男優賞を受賞している他、二度、同賞にノミネートされてる。メッソド演技の経験に基づく、徹底した役作りで知られ、出世作である「ゴッドファーザー PART II」をはじめ、「タクシードライバー」、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」、「アンタッチャブル」、「グッドフェローズ」、「カジノ」など数多くの犯罪映画に出演しており、性格俳優的な部分も伺われるが、1980年代半ばからはコメディの演技も評価され、芸域の広さを見せる。本作では若手社員に慕われる人生経験豊富な老人を演じているが、実際の撮影現場でも彼を慕う若手俳優が傍を離れなかったという。アン・ハサウェイ(ジュールズ・オースティン、スタートアップの女社長)アン・ハサウェイ(1982年〜 )は、ブルックリン出身のアメリカの女優。父は弁護士、母は舞台女優で、名前はシェイクスピアの妻に由来する。高校卒業後、ニューヨークの俳優養成学校に入学し、「恋の手ほどき」などの舞台に出演、大学で英文学を学ぶ。1999年にテレビドラマシリーズの主役を務める。「プリティ・プリンセス」(2001年)で映画デビュー、ブレイクし、2004年に続編も公開され、人気女優となる。「ブロークバック・マウンテン」(2005年)でアイドル的イメージを脱却、「プラダを着た悪魔」(2006年)でメリル・ストリープ扮する鬼編集長のアシスタントを演じる。「レイチェルの結婚」(2008年)で元薬物中毒者を演じ、アカデミー主演女優賞にノミネートされる。「ダークナイト・ライジング」(2012年)では徹底的に肉体改造してキャットウーマンを演じ、「レ・ミゼラブル」(2012年)では吹き替えなしのミュージカルを演じてアカデミー賞助演女優賞を受賞する。本作では、情熱とビジョンで前のめりになるスタートアップの純粋な女性社長を演じている。幼い娘がいる役だが、私生活でも2016年に一児の母となった。レネ・ルッソ(フィオナ、スタートアップのマッサージ師)レネ・ルッソ(1954年〜)はカリフォルニア出身のアメリカの女優。「メジャーリーグ」(1989年)で映画デビュー、「リーサル・ウェポン3」(1992年)、「ゲット・ショーティ」(1995年)、「トーマス・クラウン・アフェアー」(1999年9、「マイティ・ソー」(2011年)などに出演している。デ・ニーロとの共演は本作で三度目で、スタートアップ企業のマッサージ師でベンの恋人になる役を演じている。アンダーズ・ホーム(マット、ジュールズのパートナー、専業主夫)アメリカのコメディ俳優。本作では、ジュールズのパートナーの専業主夫をまことしやかに演じている。マイヤー監督による絶妙なキャスティング。ジョジョ・クシュナー(ペイジ、ジュールズの娘)ニューヨーク市ブルックリン出身。演技は本作が初めてだが、作品にマッチして、とにかく可愛い。これもマイヤー監督による絶妙なキャスティング。アンドリュー・ラネルズ(キャメロン、スタートアップの社員)アンドリュー・ラネルズ(1978年〜)は、アメリカの俳優、声優、歌手。ブロードウェイのミュージカルで二度、トニー賞にノミネートされている。アダム・ディヴァイン(ジェイソン、スタートアップの社員)アダム・ディヴァイン(1983年〜)は、アイオワ出身のアメリカの俳優。スタンダップ・コメディアンとしてキャリアをスタート、2007年に映画デビュー、「ピッチ・パーフェクト」シリーズ(2012年〜)で知られるようになる。本作には、マイヤー監督のメガネにかなって出演、スタートアップの若手の中で最も重要な役をコミカルに演じている。ザック・パールマン(右、デイビス、スタートアップのインターン、ベンと同期)ザック・パールマン(1988年〜)はアメリカの俳優。あまり知られていないが、マイヤー監督のメガネにかなって出演。本作では、ベンと同時に参加したインターンをユーモラスに演じている。ジェイソン・オーリー(中央、ルイス、スタートアップの社員)ジェイソン・オーリー(1988年〜)はアメリカの俳優、脚本家、アシスタント。以前、インターンでマイヤー監督のアシスタントを務めたが、その後、彼女に声をかけられ、本作の出演が実現した。新人とは思えないパフォーマンスで、マイヤー監督の絶妙のキャスティング。クリスティーナ・シェラー(ベッキー、ジュールズのアシスタント)クリスティーナ・シェラー(1993年〜)はビバリーヒルズ出身のアメリカの女優、プロデューサー。テレビに出演していたが、本作で注目を浴びる。まだ若いが、コメディのセンスは抜群。何度もオーディションを行い、敢えて無名の彼女を起用したマイヤー監督の絶妙のキャスティング。【サウンドトラック】 「マイ・インターン」サウンドトラックCD輸入版(楽天市場)1 Love and Work by Theodore Shapiro 2 Late For Everything by Theodore Shapiro 3 Interns Get Started by Theodore Shapiro 4 'Deed I Do by Ray Charles 5 Grown Up Conversation by Theodore Shapiro 6 The Girl From Ipanema by Stan Getz, João Gilberto, Astrud Gilberto 7 Facebook Friends by Theodore Shapiro 8 These Foolish Things (Remind Me Of You) by Billie Holiday, Teddy Wilson & His Orchestra9 Ain’t Misbehavin’ by Benny Goodman10 Ben and Fiona by Theodore Shapiro 11 I Spy Something Green by Theodore Shapiro 12 San Francisco by Theodore Shapiro 13 You Were Meant For Me by Gene Kelly 14 To The Airport by Theodore Shapiro 15 We Can Try by Theodore Shapiro 16 Intern Slash Best Friend by Theodore Shapiro 17 Breathe Deeply Jules by Theodore Shapiro【撮影地(グーグルマップ)】ベンがインターン募集のチラシを見つけた食料品店ベンの家ジュールズのオフィスジュールズの家ペイジの友達の誕生パーティの会場ジュールズがメール削除のお礼にベンと仲間たちを連れて行ったバーベンとジュールスが太極拳をする公園 「マイ・インターン」のDVD(楽天市場)【関連作品】ナンシー・マイヤーズ監督・脚本作品のDVD(楽天市場) 「プライベート・ベンジャミン」(1980年)脚本 「赤ちゃんはトップレディがお好き」(1987年)脚本 「花嫁のパパ 」(1991年)脚本 「天使にラブ・ソングを」(1992年)脚本 「ファミリー・ゲーム/双子の天使」(1998年)監督・脚本 「恋愛適齢期」(2003年)監督・脚本ロバート・デ・ニーロ出演作品のDVD(楽天市場) 「ミーン・ストリート」(1973年) 「ゴッドファーザー PART II」(1974年) 「タクシードライバー」(1976年) 「ディア・ハンター」(1978年) 「レイジング・ブル」(1980年) 「キング・オブ・コメディ」(1983年) 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」(1984年) 「未来世紀ブラジル」(1985年) 「アンタッチャブル」(1987年) 「ミッドナイト・ラン」(1988年) 「グッドフェローズ」(1990年) 「カジノ」(1995年) 「ヒート」(1995年) 「ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ」(1997年) 「ジャッキー・ブラウン」(1997年) 「ミート・ザ・ペアレンツ」(2000年) 「世界にひとつのプレイブック」(2012年)アン・ハサウェイ出演作品のDVD(楽天市場) 「ブロークバック・マウンテン」(2002年) 「レイチェルの結婚」(2008年) 「プラダを着た悪魔」(2006年) 「レ・ミゼラブル」(2012年) 「ダークナイト ライジング」(2012年) 「インターステラー」(2014年)
2017年06月04日
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「ピートと秘密の友達」(原題: Pete's Dragon)は、2016年公開のアメリカの冒険ファンタジー映画です。マルコム・マーモスタイン脚本の「ピートとドラゴン」(1977年)を原作に、デヴィッド・ロウリー監督、ブライス・ダラス・ハワード、オークス・フェグリー、カール・アーバン、ロバート・レッドフォードら出演で、人間の少年ピートと森に住む不思議な生き物エリオットとの友情を描いています。 「ピートと秘密の友達」のDVD(楽天市場)【キャスト・スタッフ】監督:デヴィッド・ロウリー脚本:デヴィッド・ロウリー/トビー・ハルブルックス原作:マルコム・マーモスタイン「ピートとドラゴン」出演:ブライス・ダラス・ハワード(グレース) オークス・フェグリー(ピート) ウェス・ベントリー(ジャック) カール・アーバン(ギャヴィン) ウーナ・ローレンス(ナタリー) ロバート・レッドフォード(ミーチャム) イザイア・ウィットロック・Jr(ジーン・デントラー保安官) ジム・マクラーティ(レンジャー・ウェントワース) ほか【あらすじ】家族旅行中に不慮の事故に遭い、6年間、人と関わることなく深い森で暮らしてきたピート(オークス・フェグリー)には、モフモフの毛に覆われた大きな生き物の友達「エリオット」がいます。ピートにとってエリオットは家族同然で、時には兄弟のように寄り添い、時にはエリオットがペットのようにピートに甘えます。森の中での二人きりの生活は、毎日がわくわくする冒険の連続です。この夢のような日々が永遠に続くと思っていたピートですが、グレース(ブライス・ダラス・ハワード)との出会いをきっかけに、伝説でしかなかったはずのエリオットの存在が人間たちに知られてしまいます・・・。【レビュー・解説】「ピートとドラゴン」(1977年)を実写 + VFXでリメイクした本作は、ニュージーランドの美しい大自然と夢のようなドラゴン伝説がオーバーラップする、ディズニーの王道を行くシンプルで良質な冒険ファンタジー映画です。本作は、実写にアニメーションでドラゴンを合成した「ピートとドラゴン」(1977年)を、実写 + VFXでリメイクしたものです。登場人物など設定は変えているもの、ストーリーはシンプルで、デヴィッド・ロウリー監督はディズニーの王道とも言える冒険ファンタジーを見事に再創造しています。ニュージランドで撮影された大自然が美しく、ドラゴン伝説の神話性とマッチし、自然と夢の大切さがオーバーラップします。幼くして両親を亡くしたピートは、ドラゴンが友となり守護神となり、大自然の中で育ちます。子供を育てるのは親だけではない、大自然や夢や空想の産物と言われるものも子供を育むものだと感じさせる作品です。大自然や夢の大切さを、今一度、振り返ってみたくなります。ニュージランドの自然が美しい(設定は太平洋沿いのアメリカ北西部)ドラゴンはピートの友となり、守護神となるが・・・少しばかり重めのどこかしら可愛げのあるドラゴンに、ブライス・ダラス・ハワード、ウェス・ベントリー、カール・アーバンといったスター俳優、語り部に大俳優ロバート・レッドフォードというキャスティングも魅力です。ピートを演じるオークス・フェグリーも、なかなかのパフォーマンスを見せており、スタントもワイヤーハーネスをつけて自ら行っています。日本ではクリスマスに向けての公開となりましたが、アメリカでは夏に公開されており、DVDで観るならば自然に触れる機会の多いこれからの季節(夏)がお薦めです。 ライス・ダラス・ハワード(グレース)ブライス・ダラス・ハワード(1981年3月2日〜)は、ロスアンジェルス出身のアメリカの女優。父親は映画監督のロン・ハワードで、幼い頃からロン・ハーワードの作品に出演しており、「アポロ13」(1995年)にもノン・クレジットで出演している。ニューヨーク大学で演技等を学び、舞台女優としてシェイクスピアやチェーホフの舞台に立つ。2004年から本格的な映画出演を始め、「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」(2011年)、「50/50 フィフティ・フィフティ」(2011年)、「ジュラシック・ワールド」(2015年)などに出演している。本作では、パークレンジャー(森林保護観)を演じているが、制服が良く似合う(上の写真)。ロバート・レッドフォードとの共演に感激、「彼の演技はドラゴン以上にマジックだった」と語っている。2006年に結婚、2007年、2012年に一男一女を出産している。本作では、ジャックの恋人役で、またピートの母親でもないが、巧みに母性も演じている。オークス・フェグリー(ピート)オークス・フェグリー(2004年〜)はアメリカの子役俳優。2012年に映画デビュー。本作には4回のオーディションを突破して起用されただけあって、なかなかのパフォーマンスを見せている。ワイヤーハーネスをつけて、スタントもこなしている。ウェス・ベントリー(ジャック)ウェス・ベントリー(1978年)は、アーカンソー出身のアメリカの俳優。1998年に映画デビュー、1999年、サム・メンデスの「アメリカン・ビューティー」に出演して知られるようになる。カール・アーバン(ギャヴィン)カール・アーバン(1972年〜)は、ニュージーランド出身の俳優。俳優になるために大学を中退、ニュージーランドの舞台やテレビに出演。「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」(2002年)、「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」(2003年)のエオメル役に抜擢されて広く知られるようになる。ニュージーランドでは、親戚の牧場で仕事を手伝ったこともあり、釣り、サーフィン、ロック・クライミング等が好きなスポーツマン。本作は、ホームグランドでの撮影で、思わずニュージランド訛が出てしまうこともあったとか。ウーナ・ローレンス(ナタリー)ウーナ・ローレンス(2002年〜)は、アメリカ合衆国のユースシアター(劇団)の女優。ブロードウェイ・ミュージカルの舞台や映画・テレビで活躍している。ロバート・レッドフォード(右、ミーチャム)ロバート・レッドフォード(1936年〜 )は、サンタモニカ出身のアメリカの俳優、映画監督、プロデューサー。1959年にブロードウェイで舞台デビュー、1962年に映画デビューするも、大きな役に恵まれず長年の下積みを余儀なくされた。1969年、アメリカン・ニューシネマの傑作「明日に向って撃て!」に出演、一躍スターダムに上り詰める。「スティング」(1973年)でアカデミー主演男優賞にノミネートされ、1980年には初めて監督した映画「普通の人々」でアカデミー監督賞を受賞する。翌1981年、サンダンス・インスティテュートを設立、優秀なインディペンデント映画とその製作者を世に送り出すためにサンダンス映画祭を開催する。1994年に「クイズ・ショウ」でアカデミー作品賞、監督賞にノミネートされ、2001年にアカデミー名誉賞を受賞、2016年には大統領自由勲章を受章している。本作では、語り部という理想的なポジションで映画を底上げしている。エリオットのぬいぐるみ(楽天市場)VFXのエリオットは緑色のふさふさでした毛で覆われており、優しくユーモラスな麺があって、ぬいぐるみのフィギュアが最もイメージに合う。【サウンドトラック】 ピートと秘密の友達 オリジナル・サウンドトラックCD輸入版(楽天市場)1 The Dragon Song by Bonnie "Prince" Billy 2 Something Wild by Lindsey Stirling featuring Andrew McMahon in the Wilderness 3 Nobody Knows by The Lumineers 4 Something on Your Mind by St.Vincent 5 So Long, Marianne by Leonard Cohen 6 Gina Anne by Bosque Brown 7 An Adventure by Daniel Hart 8 Are You Gonna Eat Me? by Daniel Hart 9 Brown Bunny by Daniel Hart 10 Reverie by Daniel Hart 11 Tree Fort by Daniel Hart 12 North Star by Daniel Hart 13 Bedtime Compass by Daniel Hart 14 Timber by Daniel Hart15 Breathe Daniel Hart 16 Gavin Knows What He's Doing 17 You Are Not Alone by Daniel Hart 18 Elliot Gets Lost by Daniel Hart 19 Takedown by Daniel Hart 20 It'll Be Just Like It Used to Be by Daniel Hart 21 Follow That Dragon by Daniel Hart 22 Elliot at the Bridge by Daniel Hart 23 Abyss by Daniel Hart 24 Go North by Daniel Hart 25 Saying Goodbye by Daniel Hart 26 The Bravest Boy I've Ever Met by Daniel Hart 27 The Dragon Song Revisited by Bonnie "Prince" Billy 28 Candle on the Water by Okkervil River【撮影地(グーグルマップ)】ピートが住むセコイアの森ピートが病院から抜け出して逃げ回った街ピートが追いつめられて捕えられた場所 「ピートと秘密の友達」のDVD(楽天市場)【関連作品】「ピートと秘密の友達」の原作 「ピートとドラゴン」(1977年)デヴィッド・ロウリー監督作品 「セインツ -約束の果て-」(2013年) - 監督・脚本 「A Ghost Story 」(2017年) - 監督・脚本・・・未公開ブライス・ダラス・ハワード出演作品 「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」(2011年) 「50/50 フィフティ・フィフティ」(2011年) 「ジュラシック・ワールド」(2015年)ロバート・レッドフォード出演作品 「明日に向って撃て!」(1969年) 「スティング」(1973年) 「コンドル」(1975年) 「大統領の陰謀」(1976年) 「普通の人々」(1980年)・・・監督 「スニーカーズ」(1992年) 「リバー・ランズ・スルー・イット」(1992年)・・・監督・ナレーション 「クイズ・ショウ」(1994年)・・・監督「オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜」(2013年)
2017年06月02日
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