全13件 (13件中 1-13件目)
1
いくら立派なオフィスを持っていようと,いくら会社で残業しようと,また大会社であろうと立派な社是や社長室があろうと,顧客にとっては目の前の商品や営業担当者が「自分にとってこの瞬間ベストな存在」でなければ何の意味もない.目の前の商品・サービス・情報が,その顧客にとって価値のあるものでないと,背景にある上記のような「コスト要因」が如何に大きくても,そんなことで威張っていても顧客には何の意味も持たないのだ.この意味でビジネスはすべて個々の戦闘レベル,つまり細部の各論勝負で勝っていくかが大事だと言える.そして企業は各論を充実させるためにどのような投資を行っていくかをゼロから考える必要がある.オフィスの椅子を買い換えるのが顧客にどのような価値を持つのか(快適に座れた方がいい声が出る?),オフィス内のスリッパを止めて外履きに変えることが顧客に評価されるか(外の緊張感を会社に持ちこめて仕事が充実する?それともスリッパでリラックスした方が提案書がうまく書ける?),掃除を社員がするか外注に頼むか(自分たちでした方がチームワークが良くなり,顧客対応力が向上する?),その研修会に出席することが顧客にとって良いことなのか(どこでその情報・経験を生かして顧客に伝える?),様々なことを考え直した方がいいと思う.そして顧客接点を改善するために,どのような会話が顧客との間でなされたのか,全員で共有して知恵を出し合う工夫も必要だ.顧客から評価されないと企業は成り立たないのだから,その顧客とせっかく接触できたという「企業資産」を最大限有効活用するには,担当者一人の「個人的経験」に終わらせずに,多くの人数で疑似体験してみて,皆で知恵を出し合うことが,「一粒で何度もおいしい」経営の仕方だと思うのだ.今のそのことが顧客にとってどんな意味を持つのか.そのコストを顧客は喜んで払ってくれるのか,折角の顧客接点を最大限有効活用しているか,また振り返って考えることにしよう.
Feb 27, 2008
コメント(4)
経営者の役割は,ひたすら新しい課題を考え,課題として社員に与え続けることだと思う.時には社員を飛び越して,直接顧客に語りかけ,逃げ場のない状況で社員と協力して課題をクリアしないといけない.社長が大見えを切った以上,それ以上のものを実際の青果物として顧客に提案しないと,その会社は信頼されなくなっていく.アップルのスティーブジョブスは(人間性には若干問題もあるようだが),その典型である.毎年のマックワールドや,講演会で多くの聴衆を魅了し,同時に多くの課題をアップル社に与え続けている.社員は課題を越えようと必死になり,それが出来たときには,物心両面で大きな報酬を受けることにもなる.ここで問題なのは,おそらく課題をなかなか解決できない社員の能力の限界ではなく,むしろ「正しい課題を設定できるか」という経営者の問題の方が大きいと思う.皮肉なことだか,企業は社員のせいで衰退するより,無能な経営者のせいでダメになるケースが多いのが実情だと思う.だから経営者は,「正しい課題設定」の一点で,人よりも勉強しないといけないし,その意味では優れた能力も持っていないといけない.人一倍考えているから,社員にも顧客にも偉そうななことを言える(偉そうにはしないけれど)のだと思っている.
Feb 26, 2008
コメント(0)
世の中のビジネスの面白いところは,「良いものがあれば,勝手に売れて勝手に使ってくれる」とは限らないということだ.サービス業であるホテルとかレストランなんかは当たり前で,良い建物,綺麗な内装があっても,それだけでは顧客は満足しない.そこにいる従業員が,良いサービスを提供しないとお客さんからの評価は高まらない.まさしくサービス業だから,これは分かりやすく当たり前のこと.ソニーが苦戦しているゲーム機業界でも同じことである.ソニーが任天堂に負けているのは,PSPがやたらハイテクでハード機能を上げただけのモノだということだ.消費者は高機能でなくて,結局家族と簡単に遊べるWIIを選択した.WIIのいいところは(僕は持ってないけど),単純に「簡単に楽しめる」ことにある.消費者の視点に立って,いわば「サービスに徹した商品」とも言える.当社の防虫資材も,単純にメーカーが作ったものを並べておけば売れるというものでもないし,買った業者さんが誰でもうまく使いこなせるというものでもない.しっかりと仕組みを使い方,対象害虫の生態を知って,また掃除の状態なんかも指導したりして,初めて効果の出るものだ.いわば,「商品を使いこなすソフトの部分」が大変重要になる.これに応じて当社の販売方法も,セミナーを頻繁に開催したり,訪問して情報提供したり,現場に一緒に出掛けて行って,より効果的な手法を研究したり,ソフトの部分を重視した売り方になっている. 3月からまたセミナーが始まります.今回も内容盛りだくさんですので,よろしくお願いしますね.
Feb 21, 2008
コメント(0)
例のイチローの番組を観ていて,もう一つ印象に残ったこと.同僚の城島が言っていたのだが,イチローは決して他人のバットやグラブを触らないとのことだ.理由は,触ってしまうと手にその感触が残ってしまい,自分のバットやグラブを持った時の感覚がぶれてしまうかららしい.「他人の道具を触らない」ということは,つまり,「他人がしていることには目もくれず,自分の信じる道をひたすらに行く」ということである.そう言えば,イチローは,メジャーに来てから7年間,ずっと家でのランチはカレーだと言っていた.これも一つ決めるとわき目も振らないイチローらしい逸話である.自社の強みを自覚したら,わき目も振らずにずっとその道を究めることが,はたして出来るだろうか?自社の市場に集中し,ふらふらとせずに他社がやっていることも気にせず,ひたすらそこに集中できるだろうか?イチローの番組を車の中で15分ほど観ただけだけど,学ぶことは多いなあ感じた週末でした.
Feb 18, 2008
コメント(4)
イチローの番組を観て,もうひとつ参考になったこと.「前までの自分を見ていると,あれでよく打てたなと思います.」毎年毎年,「究極の型」を求めて打法を変えているイチローならではの言葉である.最高の結果を残しながら(!),それでも飽き足らず,常に改善に努める.その結果,「前の自分とは比べるべくもなく,自分は進化している」意識になる.会社経営でも言ってみたいものだ.「当時あんな経営をしていて,よく利益を出していたな.今では考えられない.」まあどんな世界でも昔の自分が未熟に思えるほど,常に進歩していたいと思う.
Feb 17, 2008
コメント(0)
会社にいる社員の人々は,単なる決まった業務をやる人ではなく,常に創造性と自主性を持って行動する人々である.営業活動であれ,事務作業であれ,定型業務を決まった時間だけ提供するなら,それこそそういうサービスを外注すればいいし,正社員である必要は少ないと思う.会社の社員である以上は,常に改善を考え,やりがいを考え,社会貢献を考え,少しでも創造性というもの,要するに「自分の頭で考える」ということが必要だ.強い組織は,「自分の頭で考えて行動する人々」の割合が多い.業務のやり方やビジネスモデルは容易にマネができるが,「一人一人の創造性に基づく改善,発案」は,簡単には模倣不可能であるから.決まった仕事もしっかりやって,頭の中はフル回転できるように,お互い頑張りたいものである.
Feb 17, 2008
コメント(0)
駐車場待ちの車の中で,イチローのドキュメンタリーをやっているのをたまたま観た.相変わらず,独自の道を行く変人振りを発揮していたけど,一つとても面白いことを言っていた.試合前の練習で時折見せる「背面キャッチ」.外野フライを背中に回したグラブでキャッチする曲芸的な技だ.インタビュアーの脳学者・茂木氏が「遊び心がある」的なことを言ったら,イチローは,「あれは遊びではない」と答えたのだ.「遊びではなくて,簡単な外野フライの時にふと気が緩んでボールから目を離してしまった時の『練習』なんです.ボールから目を離してしまってもしっかりと捕れるために,背面キャッチで準備をしているんです」とイチローは説明した.「備えあれば憂いなし」とは言うけれど,ふと「気が緩んでしまった時の備え」のために背面キャッチを練習しているとは.その前の会話で,また茂木氏が,「イチローさんは記念になる様な打席でよくホームランを打ちますね」とコメントした.これに対してイチローは,「あれは遊びなんです.僕は打とうと思ったらホームランを狙える.記念になる打席では『遊び』で狙うんです.」やはり道を究めた「変人」は違うなあ.真剣に狙うホームランが「遊び」で,遊びに見える背面キャッチが「練習」だなんて.たぶん,これくらい人と違っていないと,一流にはなれないのだろうなと思う.すでに十分「変人」かも知れないけれど,もうちょっと究めないとなあと少し反省しました.
Feb 17, 2008
コメント(4)
今週は,祝日の月曜日から韓国出張で,その足で東京だったのでお疲れ気味である.韓国では当社と同業の会社が主催するセミナーで,講師をやってきた.韓国の害虫駆除会社を前に,よく話している経営戦略論などをプレゼン.厳寒のソウルから羽田に飛んで,今度は当社のセミナー,アメリカからのお客さんを連れて取引先訪問,東京営業所の皆さんと会食など,なかなか密度の濃い一週間でした.まあでもこうやって,いろんなところに仕事で行けて,本当に幸せだと思う.当社のセミナーでは当社の顧客で,非常に経営がうまくいっている会社の方に講師をしてもらったり,ソウルでは美味しい韓国焼肉を御馳走になったりした.東京ではアメリカ人と東京タワーの夜景を観ながらアメリカンステーキを食べたり,なんだか自分がどこにいるのか分からない奇妙な感じだったなあ.今週はほぼ終わり,また来週から頑張ります.
Feb 15, 2008
コメント(0)
僕がよく読んでいる有名ブログで梅田望夫さんが書いていた.「日経ビジネス・アソシエ2月19日号は、「できる人の「しないことリスト」」という特集だ。僕も常々「やめることを決める」大切さを主張しているので、興味を持って読んでみたのだが、非常に面白い発見をしたので、ここでご報告しておこう。 「松本大(マネックス・ビーンズCEO)と川本裕子(早稲田大学教授)の「しないことリスト」を比べることで考えよう。 まず松本の「しないことリスト」は、 (1) よく分からない人とはつき合わない。 (2) 苦手な人とは食事しない。 (3) 中華料理を食べない。 (4) 風邪薬を飲まない。 (5) 大切なことを夜に判断しない。 (6) 悩みすぎない。 である。「松本の(3)(4)は「独り言」のようなものなので除くとして、(1)(2)(5)(6)のすべてにおいて、判断基準が曖昧だからである。「よく分からない人」「苦手な人」「大切なこと」「悩みすぎ」はすべて、主観的 であって客観的でない。たとえば、誰かが「よく分からない人」かどうか、の判断のところで「甘さ」が入ってしまえば(こういう特集のコア読者は、そういう 判断の甘い人たちが多いから何事もやめられないという悩みを抱えている)、このルールは骨抜きになってしまい、いつまでも何も変わらない。」 僕も同じ記事を読んだのだが,全く反対の感想を持っていた. 限られた時間の人生において一番時間とエネルギーを取られるのは,「興味がないこと」である.「興味がないから力が入らないし,上手にはならないし,何より,有限の能力では,あれこれ気を取られていると一つのことさえ成し遂げられなくなってしまう.そこで重要になるのは,「自分が一生をかけて成し遂げることを見出すこと」,そして少なくとも,「関わりあいにならないことを明確にすること」だと思うのだ.しかし世間であんまり摩擦を起こさず生きていくためには,多少なりとも不本意ながら付き合わなければいけないこともある.そして松本は,まさにこの点,「よくわからない人とは付き合わなくて良い」と言ってくれているのだと思う.何事も集中しないと成し遂げられない,少なくとも興味がわかない事項,興味が湧かない人は「とりあえず」横にやっといていいんだよってことを言っているのだと思う.そして「横にやってしまったこと」について,別に悩まなくてもいいとフォローもしてくれる.「興味があることは一生懸命に,興味がないことはとりあえずはやらなくていい」というのは,割り切り過ぎているかもしれない.でもそれって本当のことだし,所詮,何もかも責任を持つってできないことなんだろうから,それでまあいいかなと思います.
Feb 15, 2008
コメント(0)

今日は朝から雪が降っている.雪がだんだんと積もっていくのを会社の窓から見ていて,こういうのも企業活動に似ているなあと思った.雪の降り始めは,雪の一つ一つが地面に落ちた瞬間に溶けてしまう.でもその溶けてしまった雪は,確実に地面を冷やしていく.そしてある時点で,最初の雪がなんとか溶けずに地面にへばりつく.そしてその上にもう一つの雪が重なり,また一つ重なり,とうとう雪が地面を覆っていく.そして地面が雪で薄く覆われたら,今度はその上にどんどんと雪が重なっていく.上に重なる雪はもう,地面に接している雪とは交わることはない.(最初の雪の苦労も知らずに)どんどんと新しい雪が雪の表面に重なっていくだけだ.企業活動も,最初は市場にも顧客にも何のインパクトも残さないように見える.でも知らず知らずの内に,確実に,その活動は市場に影響を与えている.それが積み重なってある一定を越えたときに,最初の薄い影響が出てくる.そして次から次へと企業活動を積み重ねていくことで,それが「実績」となり,大きく積もってくることになる.そして最初の人たちの苦労を知らなくなってしまうのもよく似ている.そこに受け入れられている市場があるのが当たり前で,後から来た人たちはそれを「当然のこと」のように受け入れている.苦労して構築された顧客層やブランド,会社の信用を当然の前提として,より高く企業活動が蓄積していくように,今の人たちは努力を続けていくことになる.まあ雪の日に土曜日に出社していると,こういうことも考えてしまう.それにしても,よく降ってますねえ.
Feb 9, 2008
コメント(4)
当社のいる害虫駆除業界はニッチ産業で,さらにその害虫駆除会社に資器材を販売している当社は,さらに超ニッチなマーケットにいる.そして当社の商品開発戦略は,さらにその超ニッチマーケットの中でもそれほど大きくない「ウルトラマイクロニッチ商品」を狙っているとも言える.害虫駆除業者の中でも技術力の高い,特殊な作業に向いたものがウルトラマイクロニッチ商品だ.また白蟻業者さんが使う,顧客管理システムなんかも,世の中的に見ればかなりの極小ニーズに当たるのだろう.しかし「ウルトラマイクロニッチ商品」は極めて21世紀的な概念で(自画自賛),特殊なニーズに応えることで,使用者の創造性・差別化を発揮できることに資するし,何より,大企業が参入して来れず,またそれなりに利益率を見込めるところが良い.更に,元々需要が小さいから,それを開発する費用もそれなりに低く抑えることもできる.毎日顧客にヒアリングし,毎日思いつき,少しだけ開発費を使って少量開発してみる.それが積み重なって,少しずつレイヤーを重ねるように売上が伸びていくのが理想の姿かなあと思っている.
Feb 4, 2008
コメント(4)

NICCOの事業地となっているマラウィの村だが,多くの途上国の例に洩れず,その食料をほぼメイズ(トウモロコシ)の生産だけに頼っている.しかもそのメイズは,先進国から輸入されるいわゆるハイブリッドメイズ(改良メイズ)で,収穫量は土着のものよりも勝るものの,化学肥料と殺虫剤に頼ることで収量を上げる,ハイテク版になっている.マラウィはかなり貧しく,少し雨が降らないと飢えになるから,先進国の援助でこうしたハイブリッドメイズを栽培してきた.そして肥料をあげると収穫が増すから,ますますこれに頼ることになる.レストランに行っても実際メニューのバリエーションは殆どなくて,メイズを茹でて固めたと「シマ」と呼ばれるものと,副菜として少しの肉と野菜がつくものしかない.上の写真はレストランでの食事の一例だが,これが地元料理では最高の部類で,普通の農民では手が出ないほど高価である.アジアではどこの地域でも食事の種類が豊かだから,大分と事情が違うなあと感じる.こうして肥料と殺虫剤に頼った単一農産物生産をしていると,経済的に肥料などが買えなかったり,雨が降らなかったりすると,たちまち立ち行かなくなってしまう.またそれだけ土地に負担をかけるから,長期的には土地が痩せていくという弊害もある.他の作物があれば,これがダメなら他があるということでリスクヘッジされるのだが,これだけだと本当に策がなくなってしまう.これって,まさしく中小企業経営も同じことだ.一つのものに頼り,また肥料や殺虫剤のような短期的な麻薬のようなものに頼ると,地力が弱り,また少しの環境変化ですぐに倒れてしまうことになる.地力をつけること,多くの商品,販売チャネルを持つことでリスクヘッジすること,短期的なものに頼り過ぎないことなど,マラウィの脆弱な状況を見て感じることが多かった.結局,あんなに遠くにいても,やはり会社に結びつけて考えてしまう僕でした.
Feb 3, 2008
コメント(0)

昨日まで2週間ほど,アフリカ出張に行ってきた.理事をしているNICCOのマラウィ支援事業に協力するためだ.NICCOはマラウィで,総合村落開発事業を行っている.ドバイを経由し,今大統領選挙後の混乱の最中のケニア・ナイロビに寄り(行き帰りに一泊ずつ),目的地のマラウィに到着だ.僕の役割は,今回医療チーム(医師2名・看護師1名)を率い,村民の健康予備調査とアフリカ全土で問題になっているマラリアに関してなんらかの改善モデルを構築していくことである.当社は防虫資材商社で,昔からWHO指定のマラリア用噴霧器をアフリカやアジア諸国に輸出している.その関係もあって,専門家兼NGO理事としての参加であった.僕にしても現場に行くのは初めてなので,とても勉強になったし,これからこういう事業をやっていくモチベーションになったような気がする.今回の出張を通じて,多くのとても興味深い人たちとも知り合いになった.関西医科大教授で日本寄生虫学会会長の西山先生や,長崎大学熱帯医学研究所助教授の宮城先生,それにマラウィで青年海外協力隊出身の看護師溝畑さんなどだ.開発分野の世界は狭くて,これらの人たちが知り合いの知り合いであったり,また訪問したマラウィの日本大使館では,数年振りに良く知っている人にもばったりと会ったりもした.NICCOもなかなか良い活動をしていて,駐在の日本人スタッフ・学生インターン計4名で,地元に根差して必死でマラウィの人々の生活を改善しようとしている.医療プロジェクトは始ったばかりで,またこれからも僕がリーダーとなって事業を進めていくことになっている.まあビジネスと海外援助活動の接点に僕がいることで,良い回転が生まれるといいなあと微力ながら思っています.
Feb 1, 2008
コメント(2)
全13件 (13件中 1-13件目)
1