2006年02月26日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
山本 文緒著  『プラナリア』  「ネイキッド」 2005 (株)文藝春秋 p.64

この物語の主人公は2年前に離婚し、その夫の経営する会社も辞め、慰謝料で働かず暮らしている34歳の女性が、ぬいぐるみ作りであったりHPづくりであったり、そういう「責任の無い衝動に身を任せ」つつ、それまでのしがらみ人生からの解放を楽しみながらも、社会から外れていく自分に疑問を抱いていく。
ところがいくら疑問を抱いたところで、何も考えず好きなものを好きとはいえなくなっている社会に、そして自分に苛立ち、どうしようもない無常観のうちに物語が終わってしまう。

この本は直木賞を受賞した『プラナリア』はじめ5本の短編から構成されている。
そこで描かれているのは日常だ。
日常が丁寧に丁寧に描かれている。
日常は事象ではない。
そこには意思なり思考なりが無限に織り込まれている。
それを記号という人もいれば、意味されたものという人もいる。


だからそこには主人公のいたたまれないまでの苦悩が見える。
ぼくも基本的にポジティブに人生を楽しむ方だが、ネガティブな人と同じくらいマイナスな部分だって持っている。
それを認識してこそ日常をポジティブに生きられると思う。
克服なんじゃなくて、共存という考え方。
そうでなければ高次のレベルに到達していくことが難しい。

でも、それは楽しくて充実してはいるんだけど、体が睡眠を必要とするのと同じように、精神にも休養は必要だと思う。
そんなときこの「責任の無い衝動に身を任せる」という、人によってはなんの利益も生み出さない無駄な行為が、ぼくにとってはことのほか心地よいのである。

実はこの「責任の無い衝動」というのは利益とか絡まない純粋な好奇心なのではないかと思う。
体が疲れたときの睡魔と同じように、精神が疲れたときの好奇心。
これはなかなか当てはまっているのではなかろうか。
精神的に疲れると集中力が散漫となる。

それは好奇心に他ならないのではなかろうか。
ちとだいたんな仮説だけど、これはこれでよしとしようか。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012年04月15日 13時19分46秒
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

Jeraldanact@ Проститутки метро Выборгская Брат замминистра инфраструктуры Украины…
Adamixp@ Свежие новости Где Вы ищите свежие новости? Лично я ч…
FLUR @ >alex99さん(2) alexさん、こんばんわ! >いいえ。 …
alex99 @ Re:>alex99さん(09/23) FLURさん >一休和尚がご乱交!? -----…
FLUR @ >alex99さん alexさん、こんにちわ! >万物はうつ…
FLUR @ >alex99さん alexさん、こんにちわ! 返事が遅くなっ…

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: