2006年03月18日
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清水 一行著  『虚構大学』  2006  (株)光文社  p.173

失意のどん底から努力だけで這い上がるのは難しい。
そもそも努力して努力してそれでもだめだから失意が生まれる。
となれば、きっかけというか運がないと逆転は無い。
ここで大事なのは、失意から逆転するのに、たしかに運の力は必要なんだけど、その運を引き寄せるのが「物理的なプロセス」だということだ。

この物語は千田という公認会計士がその腕を見込まれ、大学設立に奔走するというないようであるが、なかなかうまくいかず、周りの人間もエゴを丸出しにするため、大学設立計画がほとんど頓挫しそうになったときにそれ以上ないというほどの失意に陥る。
それを救ったのが縁故と政治力だった。
だからここで言われている「物理的プロセス」とはそういった社会の仕組み的なものであって、努力とは違う。
違うけど、さっきも言ったように、失意自体はほんとうに努力している人間ほど反動として大きくなると思う。


努力もせずに、政治力やらお金やらで解決してしまうと、楽なんだけど、それが効かないケースでは脆弱になる。
逆に本当に失意を味わい、そこから運良く這い上がってくることができたのであれば、それは自信となって自分の中に蓄積される。

これが運となるとまた難しい問題をはらんでくる。
ビギナーズラックで一儲けし、それに味を占めて身を滅ぼす人は多い。
ギャンブルだって多くの部分で確率論に支配されている。
相手との心理戦に対しての心得も必要だ。
そういう努力をしてこそ、持続的な運を身に着けることができるのではなかろうか。

また、才能とは美貌とかもなかなか厄介だと思う。
よく小学生のころ「神童」とか呼ばれていた子供が、だんだん平凡となりそれを苦にするケースがよくある。
そういう、エリート崩れというか、小さいころに高い評価をもらってしまった人が評価されなくなって犯罪を犯してしまう場合だってある。
若いころにもてていた人が、そのまま老いてしまい黄金時代と同じような調子で高飛車に人と接して顰蹙を買うこともままある。

井の中の蛙が大海へ出たとき、あくまでも自分のポジションを貫き通すか、新しい自分を模索するのか。
新しい自分を模索しながらも自分を見失わない。
そういう生き方ができなければ、いまの世の中窒息してしまいかねないと思う。
だからこそいろいろな意味での「物理的プロセス」が必要となってくる。





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最終更新日  2012年04月14日 09時04分58秒
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