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みなとみらいホール 13:00〜 1階後方 リスト:バラード第1番 パガニーニによる超絶技巧練習曲 第3曲「ラ・カンパネッラ」 / 第4曲「アルペッジオ」 夜想曲「夢の中で」 ハンガリー狂詩曲第2番 ピアノソナタ パガニーニによる大練習曲 第3曲「ラ・カンパネッラ」 ベートーヴェン / リスト編:アデライーデ ベッリーニ / リスト編:「ノルマ」の回想 <アンコール> シューマン / リスト編:献呈 ラフマニノフ (阪田編) :ヴォカリーズ ピアノ:阪田知樹 この週末は寒くてイマイチで、土曜日は寒すぎるというのを理由にタンホイザーはパス.....いっぺん観たからもういいやという.....日曜日は、クルレンツィスが来てて、立見席を出すというのでオーチャードに行ってみたら、販売開始30分以上前でもう結構並んでて無理そうなので、もういいやと思って並ばず。ザルツブルクでも買えてないし、きっと縁が無いのだと思う。縁が無いのは無理に追い掛ける必要はない.....と、色恋沙汰とは違ってサバサバとしてみせるのは、もう一つには、正直録音で聴いてもそれほど凄いのかぁ?と思ってる部分はあるので。本音を言うと、あんだけザルツブルク行ってるくせに、ザルツブルクで人気あるものって、言うほどには良くないんじゃないか?という気がしないでもないのですよ、本音は。ネトレプコ然り、ムーティ然り、ソコロフとかもね....ポリーニも、人気は当然凄いんだけど、正直、何年か前の時は同じ日に聞いたシフの方がずっと良かったし。シフも人気ではあったけれどね。でも、ポリーニは祝祭大劇場、シフはモーツァルテウム....収容人数倍以上違う...... 閑話休題。 で、今日は3連休の月曜日。他にもあったけれど、暫く前に見つけて出来心で買ったのは、安いチケットが出ていたから。正直この人知らないけれど、ジャパンアーツだし、オール・リストだと言うし。まぁ、聞いてみようかと。買った後で夕方予定が入ったので、ちょっとどうしようかな....と思いつつ、聞いてみました。 この人、2016年のフランツ・リスト国際ピアノコンクール第1位なんだそうで。ただ、このコンペティション、果たしてどんなものやらよくわからん、という....英語版のwikiとかだと、戦前アニー・フィッシャーが勝ってるとか、戦後はベルマンが3位取ってるとかいうくらいで、正直、殆ど知らない人ばっかし。しかも、その昔からやってるのとは別物らしいようなそうでもないような.....でも、ハンガリーのブダペスト国際音楽コンクールの運営団体らしきところがやっているようではあるし....... まぁ、どういうものであれ、コンペに勝ったのは事実だろうし、それがリストを中心にしたものだったろうことも事実らしいし。それでのオール・リスト・プログラムというのは、まぁわかる。 プログラムはそこそこ盛り沢山の三部構成。二部と三部一緒でもいい気はするけれど、ちょっと長いし、ソナタだけ独立させたのも分からなくはない。 お客の入りは、これが珍しく満員に近い盛況。どうやら結構動員を掛けたらしく、決して狭くはないみなとみらいホールがこんなに埋まってるのは久しぶり。 で、演奏は? 正直、最初聞いて、帰ろうかと思いましたよ。なんというか、非力。リストっていうと、例えばベレゾフスキーみたいにバリバリ弾きこなしてみせる、みたいなものをイメージするじゃないですか。ところが華奢な若い子が出て来て、頑張って弾くんだけれども、決して力強いとは言えない。みなとみらいホールが幾ら広めと言っても、ピアノリサイタルですからね。それにここは風呂場みたいな音響。なのに..... いや、非力なのはそれ自体が悪いわけではないんですが、聞いててつまらないんですよね。何したいのか分からない。どういう音楽を作りたいのか.....だってリストだろ?「ラ・カンパネッラ」だろ?そんな奥歯に物挟まったような感じで、どうすんだろ.....的な。 それが3曲目から持ち直して、少なくともこういう音楽ですね、というのは一応出て来た。まぁこれだったら、と思ってのピアノ・ソナタ。 確かに、悪くはない。悪くはないが、非力というか、線が細目なのは変わらない。諄いようだがそれがいけないとは言わないが.... で、結局第3部もまぁまだ間に合うし聞いておくか、と思っての「ラ・カンパネッラ」、こちらは大練習曲の方、そしてアデライーデ、ノルマ、と来て、ようやっとわかった。この人、いわゆる「リスト弾き」じゃないんですね。 確かに「ラ・カンパネッラ」とかがプログラムに並ぶけれど、この人技巧を聞かせる人ではない。ノルマまで来てやっと分かるのだけれど、こっちは、「ノルマ」の回想だと、大体原曲が解る訳ですよ。どういう場面で、とかね。この人はそれをちゃんと解って弾いている。そういう旋律の歌わせ方をしている。いや、楽譜通りやりゃぁ、という説もあるでしょうが、それにしてもセンスが要る。それがある。技巧を駆使してバリバリ弾いてみせる、ではなくて、抒情的な音楽を紡ぎたい、ということなのではないだろうかと。 で、アンコールですよ。オールリストとなると、「愛の夢」だのなんだの出しそうなもんじゃないですか。そこを敢えてのシューマンの「献呈」。このセンス。 ピアニストとしてどうなの、というのは微妙ではありますが、このリストで賞を取ったのだとするなら、こういうアプローチにもなろうというものだし。
2019年02月12日
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新国立劇場 14:00〜 4階右手 タンホイザー:トルステン・ケール ヴォルフラム:ローマン・トレーケル エリーザベト:リエネ・キンチャ ヴェーヌス:アレクサンドラ・ペーターザマー 領主ヘルマン:妻屋秀和 ヴァルター:鈴木准 ビーテロルフ:萩原潤 ハインリヒ:与儀巧 ラインマル:大塚博章 新国立劇場バレエ団 新国立劇場合唱団 東京交響楽団 指揮:アッシャー・フィッシュ 演出:ハンス=ペーター・レーマン 前回が10月のグルベローヴァの時で、4ヶ月ぶり....とか書いてるんですね〜 あれから4ヶ月。あ、あけましておめでとうございます。<何を今更 この4ヶ月間、聞いてないというわけでもないんですよ。むしろ聞いてる。グルベローヴァはもっと聞いたし、東フィルはメフィストフェレとかあったし、新国のファルスタッフもあった。年末には珍しく欧州行って聞き歩いたし、年明けも色々聞いて、藤原の久々の椿姫もあった。まぁ、昔に比べると確かに聞いてないけれど、それでもそこそこ聞いてる。でも、まぁ、書いてなかった。ツィートしてるしね。それと、やっぱりモチベーションがねー......いや、書かないからビューが伸びないとかいうのもあるけれど、ちょっとね、書こうが書くまいがもうあんまどーでもいーんかなーとか思うわけですよ。仕事も忙しいしね。 でも、まぁ、たまにあっちで聞いた耳が残ってるままに引っ掛かりがあると、こうして書こうとする訳で、まぁ、やなモチベーションだよねぇ...... 新国のタンホイザー。初演が2007年だそうで、12年前。今回が3度目、6年おきにやってるようで、まぁ意外と物持ちがいいのね最近の新国は。それほど素晴らしい演出というほどでもないとは思うけれど、悪くもない。まぁ、ちょっとオーソドックス過ぎて、このオペラとしてはもうちょっといじってもいいんじゃないの?とも思わなくはないかと。いや、これはこれでいいんですよ?ただ、例えばトゥーランドットとか新制作するくらいなら、タンホイザーの新しいのの方が興味は湧くかなぁと。ここ数年の新国の演出ははっきり言って後退気味だと思うので、特にね。 一応言っておくと、私は現代演出=進歩、読み替え=進歩、新奇なもの=進歩、だとはこれっぽっちも思ってません。ただ、各々のオペラには舞台として掛ける上での親和性というものがあるのでして。今この時代、この場所で、その作品を掛ける上で、どのようにするのがいいのか?ということを考える時、この解は決して悪くはないけれど、唯一無二の解か?と言われると.....と思うのですよね。そういう意味での別の解を見たくなるタイプのオペラではあるとは思うのですよ。 まぁ、いいんだけどね。 ただ、率直に言って今回の上演は不満が残ります。多分、皆そんなに不満を抱えて帰ってる訳ではないんですよ。それだけに、個人的にはね。 何が不満かというと、オケと合唱。まぁいつも悪口言うところではあるんですが、今回は結構残念で、どうやらあまり残念に思う人がいないようなのが、ちょっとショックなんすがね。 今回の公演は全5回、2日は中日に当たります。新国の大抵のパターンは、初日はまだとっちらかってて、中日頃はある程度こなれてきつつ、楽日に向かっては皆疲れてる、とか、まぁざっくりそんな感じで、だから割とバランス良かったりする訳ですが、今回はちょっとね。 何が残念かというと、オケはもう序曲から残念。何がと言って、要はちゃんと弾いてないんですよ。これ、実は、先月、東響のモーツァルト・マチネ聞きに行った時もそうだったんですが、音符の最後で抜いちゃうんですよね。当人達そのつもりは無いのかも知れないけれど、4分音符なら4分音符を最後まできちんと音を出して、次に行く。いわば当たり前がちゃんと出来てない。いや、あれは、やらない、なんだろうな。やりゃ出来る筈だよ。でも、やらない。だから、タンホイザーの序曲なら、下降音形のところが段々畑みたいにしか聞こえない。そうじゃないんだよ.....序曲だからさ、疲れてますってこともなかろう? 全編こんな感じだから、じっくり聴かせるようなところに来ると、スカスカになる。スカスカに見えちゃう、と言うべきなのか?でも、これは、多分、ワーグナーじゃ無いよ.... 合唱は、まぁ、相変わらずなんだけれど、合唱・オケ・指揮者の3者がもう絶望的....というのが、3幕前半の巡礼が帰還した場面。 あのねぇ。この場面、一番大事なところってどこだか分かるかい?「ハレルヤ!」なんですよ。なんでか? この場面は、エリーザベトがタンホイザーが救われるのを一心に祈っている。それを見守るヴォルフラム。そこに、聞き覚えのある歌声が聞こえて来る。巡礼の歌だ!帰って来た!巡礼達は無事赦しを得、遂に故郷を目にすることが出来たその喜びと神への感謝を歌う訳です。だから、「ハレルヤ!」なんですね。だから、この「ハレルヤ!」はこの場面のクライマックスであるし、そういう風に音楽も書かれている。言ってみれば、この幕、いやうっかりするとこのオペラの中で最大のクライマックスと言ってもいいくらい。本当は違うんですけれどね。でも、彼ら巡礼達にとってはそれくらいの大事な場面。 それがさぁ、なんで、全然クライマックスにも何にもならないのよ。と言うより、一体どんな気持ちで、どんなつもりで、その「ハレルヤ!」を歌っている?そこに神への感謝は、あるいは感動は、あるのか?全然何も感じないんですが。「あーここ大きめにやっときゃいーのねはいはい」ってな感じ。クライマックスになってない。電子レンジでチンしたピザみたいにべちゃっとしてる。 この演出家は、タンホイザーをキリスト教の話だと書いてます。それはそうだと思う。であればこそ尚の事、ここはさらっとやっちゃダメでしょ。 ここがこうである以上、予想通り、最後も、通り一遍の「クライマックス」なんですね。これはさぁ、奇蹟が顕現したという、とんでもない場面なんですよ。巡礼の合唱が我と我が身の事を神に感謝する「私にとってのクライマックス」ならば、これは「奇蹟の物語のクライマックス」。もっととんでもない事。それが、まぁ、そう言っちゃなんだが、ステレオのボリュームちょっと上げてみました、って感じのね... 歌唱陣は、好みの問題はあるかもだけれど、まぁこの出来ならいいんでは。ちょっと自由過ぎないか?という感じの(歌い方もですよ)外題役のケール。ヴォルフラムのトレーケルは、ちょっと調子悪いのか?と思ったくらいだけれど、後半は良くなった。女声陣もまぁ良かったし。 昔だったら、こんな感じだと、うるさ型の面々がブーイング仕掛けたりしそうなもんですが、ね。
2019年02月04日
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