漸くに付近の桜も満開、今盛りなりとなりましたが、雨が降ったりのお天気続きにて、何となく出そびれていました。幸い、今日は曇り空なるも雨の心配はなさそうと、銀輪花散歩でありました。兼好さんのようにへそ曲がりでないヤカモチは「花は盛りを見るべかりける」なのである。
明日はまた雨の予報。風も強まるそうだから、散ってしまう前に見て置こうという次第。と言っても、朝のうちだけの近隣花散歩。昼食後は書斎にてゴロゴロして居りましたので、余り運動にはなっていない。それはさて置き、満開の桜をご紹介申し上げます。先ずは、近鉄奈良線額田駅南側の踏切前から枚岡公園への坂道の桜並木です。古木が枯れて伐られたりして、昔ほどではないのだけれど、それでも十分に花見が楽しめる道であります。
まあ、桜の名所と言う訳でもないので、無粋な看板などもあって、風趣を壊していたりするが、そういうものは見ないことにすればいい、と言う次第(笑)。
額田駅と石切駅の中間位にある小さな公園も、この時期は一年で一番華やかになるのであります。
石切駅を過ぎて、旧生駒トンネル下の坂道を少し下った処に、日下新池というのがある。その池を取り巻く丘を「パンドラの丘」という。
此処も、桜が美しい。
この丘を何故「パンドラの丘」と呼ぶのかは、2013年2月20日の記事を読まれたお方はご承知かと思いますが、太宰治の小説「パンドラの匣」の舞台となる結核療養所が此処にあったからであります。
<参考> パンドラの丘
2013.2.20.
今は、その昔を偲ぶものと言えば、このような石垣の残骸のみである。
それでは愛想なかろうと、3年前(2014年3月)にこのような説明碑が設置された。
日下新池から坂を下って行くと大龍禅寺という寺がある。ここの境内も桜が美しい。
大龍禅寺の写真は
コチラ
の記事にも掲載されています。
寺の前の道端にはツルニチニチソウが自生、咲き群れていました。
ノゲシも咲いていました。
ヤエムグラも繁茂。
思ふ人 来むと知りせば 八重葎
おほへる庭に 珠敷かましを (万葉集巻11-2824)
玉敷ける 家も何せむ 八重葎
おほへる小屋も 妹とし居らば (万葉集巻11-2825)
葎は、万葉集にも数首登場するが、これは雑草が密生した状態を言う言葉で、このヤエムグラを指している訳ではない。クワ科のカナムグラやこのヤエムグラなどの総称という解釈もある。ハコベも語源は「はびこる」と言う言葉から転訛したという説があるが、ヤエムグラも八重にムグラなす草、というのが、縮んで、後世にこの草の名となったものだろう。確かにムグラなす草に相応しい命名である。
大龍禅寺から更に坂を下って行くと旧河澄家住宅。歌人・石上露子の母親の実家がこの河澄家である。今は市に寄贈され一般公開されているが、今日は休館日。
軒下で「鯉のぼり」が「雨やどり」、駄洒落のようで、面白い光景。
河澄家住宅と石上露子については、下記参考記事をご参照下さい。
<参考> 旧河澄家ーゆきずりのわが小板橋
2013.2.22.
カラスノエンドウはよく見るが、スズメノエンドウはカラスノエンドウほどには見かけない。そう言えば、鳥の方も、稲田などが減少している所為か、昔ほどにはスズメは多くない。カラスの方が目立つ、というのが都市部及びその近郊の今日の姿ではある。
そして、最近急速に増えているのが、このナガミヒナゲシ。
旺盛過ぎるその繁殖力は、他の草花たちには脅威かも。
花の数は あまた増えけり いたづらに
ながみひなげし ながめせしまに (長実小町)
こちらは、昔ながらの、ぺんぺん草こと、ナズナ。
ナガミヒナゲシのような外来植物がはびこると、何やら生態系の攪乱要因になるのではと、不気味な感じもするが、ナズナなど古来からある雑草はいくらはびこっても、そういう不気味さを抱かない、これは差別、偏見ですかね(笑)。
ミミナグサも同様。在来種のミミナグサは枕草子にも登場する草で、春の七草の一つであるハコベと変わらぬ古来からの植物。これに対して外来種のオランダミミナグサというのがあって、どんどん勢力を拡大し、在来のミミナグサの生存地域を脅かしているらしい。
それでか、余りミミナグサはお目にかからない。目にするのはオランダミミナグサばかりである。で、今日、そのミミナグサらしきものを見つけたのであるが、果たしてこれはミミナグサなんだろうか。
ミミナグサは花弁と花柄の長さがほぼ同じで、花柄が長く、蕾が下に垂れる。これに対してオランダミミナグサは、花弁の長さに比べて萼の長さが短い。また花柄が短く、茎にくっつくように蕾が付くので、下に垂れるということがない。これが小生の理解であったので、これに照らせば、これはミミナグサであるということになる。
オランダミミナグサであると小生が思っている下の写真の草と比べていただければ分かるように、上の写真の草は、花柄が長く蕾が垂れている。花弁の長さも萼と同じか、それよりも短めで、蕾状態では萼に覆われて花弁が見えない。下の写真の蕾は花弁が萼よりも長く飛び出している。違いは一目瞭然である。
ところが、ネットで調べていたら、花弁と萼の長さはミミナグサもオランダミミナグサも同じ位の長さであるとするものもあって、少し頭が混乱し出しているのであります。まあ、そのサイトでも、ミミナグサは花柄が長く、オランダミミナグサは花柄が短いとしていますから、上がミミナグサで下がオランダミニナグサで間違いがないと思うのですが、元来花のことなどは門外漢の小生であるので、ちょっと異なる情報が入って来ると、自信が無くなってしまうのでありますな(笑)。
みみなぐさ ありやなしやの 春の草
きくも咲かねば きくひともなし (耳家持)
以上、花散歩の記事でありました。
明日は、また雨のようですから、花散歩もままならぬようであります。
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