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2008.02.22
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テーマ: いい言葉(574)
カテゴリ: 文学・芸術
▼もう一つの薔薇2(マラルメ28)


ではそのことを念頭に置いて、詳しく詩を見て行きましょう。

第一節
冷やかな薔薇は生きるために
束の間の白いガクとともに
霧氷となったあなたの吐息を
どれもみな同じようにさえぎっている

いきなり難解のフレーズが出てきますね。「冷やかな薔薇」とは何でしょうか。薔薇は女性の象徴でもありますから、冷たい態度を取るローランのことかなと最初思いましたが、どうもそうではないようです。一つの解釈は、「冷やか薔薇」は扇に描かれた薔薇のことで、扇で口を覆えば吐息もさえぎられることを直接的には指していると思われます。

でも、それだけではつまらないですよね。そこでもう一つの解釈が出てきます。「白いガク」とは、まだ詩ができる前に詩人が向かい合う真っ白な原稿用紙。そして「冷やかな薔薇」は、これから生まれようとしている詩のことではないか、という解釈です。詩は同時に、ローランの美のことでもあります。



あるいは、言葉(薔薇)に生命を吹き込むため(「生きるために」)、詩人が息を潜めて詩作に没頭する様子をそこに重ねているのかもしれませんね。

第二節
しかし私の一扇ぎは
深刻な衝撃となって髪の房を解き放ち
その冷ややかさは
陶酔の花を咲かせる笑みへと溶けていく

さていよいよ、その扇を開きます。扇はマラルメの詩、あるいはマラルメ自身です。扇を開いて一回扇ぐだけで、緊張感(「髪の房」)は解き放たれます。そして詩の力は衝撃波となってローランの心を打つわけです。扇に閉じ込められていた「冷やかな薔薇」はローランを称える「陶酔の花」へと変わり、ローランを喜ばせます。

第二節では、3行目から4行目にかけて「ri」の音が三回も出てきますが、これはメリ・ローラン(Méry Laurent)のMéryの発音と呼応しています。Méryは発音では「Mais ris(さあ、笑おう)!」となります。「笑み(rire)」は、それをもじっているんでしょうね。

第三節
つまびらかに天を広げるには
そこに現れたる美しい扇よ


一行目を直訳すると「空を詳細に投げると」となります。空とは扇に描かれた小宇宙(天)であると推察できますから、扇を広げたときに美の世界が現れることを指していますね。マラルメは、美を表現するには、扇に詩を書いたほうがはるかに適している、香水の瓶などを贈るよりずっとお洒落なプレゼントでしょ、とローランに呼びかけているようにも思われます。

第四節
だれもすりガラスの栓で閉じ込めることはできない
メリから立ち上る香気は
消えることもなければ、せいぜい栓が馬鹿にされるだけ



最後の一行である「L'arôme émané de Méry」には、掛け言葉というか、地口(pun)も含まれています。Émanéは「香りが立ち昇る」という意味ですが、E. Manet(エドゥアール・マネ)と同じ発音になります。「友人マネと親しかったマリよ」という呼びかけにもなるんですね。ついでに言うと、「香り」という意味の「L'arôme」は、マラルメがパリで住んでいたLa Rome(ローマ街)と同じ発音です。ローランもローマ街に住んでいたようですから、「ローマ街に住むマリよ」とも聞こえるわけです。

その前の行の「Sans qu'il y perde」(消えることもなく)を発音からSang qu'il y perde(それがそこで失う血)と読むこともできます。そうするとちょっと怪しげな詩になってきます。「吐息」「深刻な一撃」「陶酔の花」などエロチックに解釈することも可能です。

マラルメの詩はこうして、扇という羽根を得て、彼女をその独自の宇宙へと誘ったのではないでしょうか。「花より団子。扇よりもシャネル」なんて言わないでくださいね。

扇のように開いた薔薇です。

薔薇
(続く)





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最終更新日  2008.02.22 13:18:14
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メリ・ローランの扇  
furafuran  さん
こんにちは。

思わず「かっこいい!!」と思ってしまいました(笑)。こんなに嬉しい恋文はないかもしれません。
細かい部分も全て読み取ることができると、扇を開くだけで、ソネットが小宇宙がのすべてを表現してしまっているようです。

長い年月の間にこの詩を読んで、マラルメへ似た感情を持った女性は、星の数ほどいそうです。今の時代にいたとしたら、超プレイボーイといわれる逸材になっていそうな気がします(笑)。 (2008.02.22 14:35:30)

Re:メリ・ローランの扇(02/22)  
白山菊理姫  さん
furafuranさん


>思わず「かっこいい!!」と思ってしまいました(笑)。こんなに嬉しい恋文はないかもしれません。

シャネルの香水なんて目じゃないですね。現物を見てみたくなる、とても粋なプレゼントです。だけど奥さんにも詩を書かないと怒られてしまいます。それで翌年、「(マラルメ夫人の)扇」という詩を書いたんでしょうね。その詩には薔薇は登場しませんが、「(マラルメ嬢の)扇」の後にご紹介しましょう。

>細かい部分も全て読み取ることができると、扇を開くだけで、ソネットが小宇宙がのすべてを表現してしまっているようです。

調べていませんが、この扇に詩を書くというアイデアは日本か中国から来ているような気がするんですよね。あるいは独自のアイデアなのでしょうか。いずれにしても、扇を開いたときに現れる詩の世界を見事に描いていますね。

>長い年月の間にこの詩を読んで、マラルメへ似た感情を持った女性は、星の数ほどいそうです。今の時代にいたとしたら、超プレイボーイといわれる逸材になっていそうな気がします(笑)。

こんなプレゼントをもらったら、女性はメロメロになってしまうんでしょうね。真相はわかりませんが、妻以外に「親密な関係」になった女性は、メリ・ローランだけだそうです。現代版マラルメも、世界のどこかにいるかもしれませんね。 (2008.02.22 21:18:09)

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