インターネットが世間に登場してから、インターネットを上手く使いこなす人とそうでない人の格差が生まれたように、今後はAIやロボットを使いこなす人と、そうでない人との格差の拡大が始まる。使いこなす側が受けられる恩恵と、使いこなせない側の不利益は、これまでの格差とは比べものにならないほど、大きくなるだろう。 とてつもない「AI格差」の時代が、始まりつつあるのだ 。AIやロボットに仕事を奪われる……ある意味では、事実だろう。だが、奪われるという発想を持つ必要はない。 私たちの方から、AIやロボットの側に、面倒な仕事を受け渡し、本当にやりたい事だけに集中すればいい 。ホリエモンが考える、AIとの付き合い方が全て集約された1冊。
★AIが「手」を獲得した時、飛躍的な進化を遂げる!?
私たちの幼児期を思い出してみれば、明らかだ。 世界の情報を得るための一番のツールは、何だっただろう? 言うまでもなく、「手」だ。 母親に抱きつく、食欲を満たすために物をつかんで食べる、ケガをしたところを撫でる、文字を学ぶのに鉛筆を持つ、気になったものを拾って見る……生きていくのに大事な知識や、経験を積み重ねていくのに、「手」は欠かせなかった。 「手」を介した無限のインタラクションが、知性を養った。さらに言うなら、「手」のインタラクションで、人は、知性体として成長できたと言えよう 。
「手」そのものが大事というより、知覚・感触によって得られる、身体性を通過したビッグデータが、進化には重要だという話だ。人の文明は、「手」がつくりあげた。 4本の長さの違う指と、少し逆の動きをする親指の連動で、「つかむ」「さわる」「なでる」「しめる」など、膨大な量の知覚情報の収集を可能にした。 人のディープラーニングを支えたのは、「手」なのだ 。
現在のAIロボットに高性能の「手」が搭載されたら、IT革命を超えるような次世代の一大産業革命が起きるのではないかと想像している。社会構造の在り方や人間の価値観を根幹から変えてしまう可能性すらある。
★パーソナルモビリティの進化
パーソナルモビリティ とは、一人乗りを前提とした移動支援マシンのこと。 セグウェイ は一時期、爆発的に売れて有名になった。多機能AIロボットの中で、パーソナルモビリティはいち早く製品化され、世の中に普及しつつある。
千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之さんが開発した、 カングーロ はホリエモンも注目しているパーソナルモビリティ。古田さんは14歳の時に脊髄がウイルスに冒される難病にかかり、余命8年と宣告された過去を持つ。余命尽きるまでずっと、車椅子生活になることも覚悟してください、と医者に言われたそうだ。半年の入院生活の中で周りの患者たちは次々と死んでいった。その経験は現在の古田さんの仕事観や人生観に多大な影響を与えることになる。
「いつかやれる、いつか作れるではダメなんだ。人生は一度きり、いつ死ぬか分からない。やりたいことをやって死んでいくのが1番。僕はロボットが好きだ。ロボットをとことんやろう!」
そう心に誓った古田さんは奇跡的に病状が回復し、車椅子時代に歩くのが不自由な人に対する社会インフラの未熟さに驚き、カングーロの開発を決めたのだという。
「 開発の仕事の本質は、ものづくりではなく、ものごとづくりである 。ものごとを作らないことには、既存のものによって行動を制限されている人たちの不便を解くことはできない」
★粛々と進むロボット化
アマゾンエコー、グーグルホームなどのスマートスピーカーは予想外の使用方法で普及している。それは、育児面での使用 。子どもは別に意味のある言葉を投げかけていない。無意味な質問をずっと続けがちだ。普通の大人なら相手にしきれず、仕事や家事にも支障が出る。しかし、スマートスピーカーはとことん付き合う。たくさん喋った子どもが賢く育つのは、発達心理の面でも正しい。
★アマゾン倉庫内の写真が出回らない理由
アマゾンの倉庫内の写真が世間にあまり出回っていない理由、それはあまりにも衝撃的で不安を掻き立てる光景だから 。従業員があまりにも少なく、ロボットによる作業が大半を占めている。ジェフ・ベゾスのビジョンには、人間のための仕事はない。 おそらく私たちの社会は、中産階級を維持する方法を見つけなければならないという重荷を背負う事をやめてしまったのだ 。
僕たちはもう働かなくていい。いやな仕事、面倒なことはしなくていい。これからの時代、生き残れるのは、安定した仕事を与えられた人でも、お金持ちでもない。働かなくてもいい世界で、なおモチベーションを持ち、何かの行動を起こせる人が、生き残れるのだ。AIやロボットは、そうした人たちを選別するツールでもある。
【感想】
AIが進化して普及すれば、人間の仕事は奪われてしまう。こういった間違った解釈を持ってAIやロボットを避けていると、間違いなく時代に取り残されてしまうという危機感を改めて持った。AIロボットに面倒な仕事を任せ、人間にしかできないもっと大事な仕事、ものに集中する。そういう付き合い方をしていかなくてはいけないのだと思う。どれだけ便利なAIが誕生するのか、楽しみに待ち望むくらいのスタンスでいようと思う。
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