政府は、取り付けが起きキプロスから資金が逃避するのを回避するため、一時的に厳しい資本規制を導入する。資本規制は少なくとも1週間、おそらくそれ以上続く見通しだ。中央銀行は銀行再開に備えユーロを積み上げている。
同国政府が100億ユーロ(約1兆2100億円)に上る国際金融支援の見返りに、銀行預金への全面課税を決めた16日以降、同国の銀行は休業を続けてきた。当初の課税案が議会で否決され、今週初めに合意した新たな見返り策は、多くの預金者にはより大きな打撃となった。政府の推定によると、預金保険対象外の大口預金は、同国最大手のキプロス銀行の場合は最大40%、第2位のキプロス・ポピュラー銀行では最大で5分の4削減される見通し。
一方キプロス政府当局者によると、資本規制に関する政令は同国銀行のすべての預金者に適用され、オンラインショッピングによる送金などキプロスから外国への電子決済は停止される。また、国外への現金持ち出しについても1人当たり1回の渡航で外国通貨を含め3000ユーロ相当の上限が課せられる。カード決済は1カ月5000ユーロが上限となる。
これらの措置は28日からまず1週間実施されるが、期間は預金流出状況をみながら毎週見直される。政府当局者は延長は必至とみている。
サリス財務相は26日記者団に対し、資本規制は一時的なものだとしながらも、どの程度継続されるかについては具体的に示さなかった。ある欧州連合(EU)当局者は、資本規制は何らかに形で「数カ月間」実施されると予想している。
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一方、キプロス議会の委員会のシロウリス副委員長は、キプロス中央銀行に書簡を送り、金融支援の交渉が始まる前に同国から大量に資金を流出させた銀行預金口座保有者に対する調査を行うよう要請したことを明らかにした。
同副委員長によれば、海外への資金移動は違法ではないが、一部の預金者は金融支援交渉で預金の削減が実施されるとの警告を受けていた可能性がある。ユーロ圏の高官によると、キプロス中央銀行は、当初の国際金融支援策を受け入れる方向になった15日から、特に認められたものを除き、海外への資金移動の全面禁止を開始した。例外は、医薬品など人道目的のものや、金融破綻を回避するための決済など。
ある政府当局者によれば、キプロスからの資金流出は1月から増加し始め、先週には急増した。銀行が休業していたにもかかわらず、数億ユーロが国外に流出したという。
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