北海道滝川市の元暴力団組員の夫婦らによる生活保護不正受給事件では、不正を疑う機会が何度もありながら、市は積極的な行動を取らずにタクシー代として約2億4千万円の公金を支給し続けた。なすべきことをなさない「不作為」がまかり通った過程を、関係者の証言や裁判記録から検証した。
滝川市内にも13の診療科を擁する市立病院がある。約85キロ離れた札幌市の北海道大学病院へのタクシー通院は本当に必要だったのか。幹部職員は「北海道でナンバーワンと認める北大病院の医師の判断が非常に大きかった」と語り、当時の担当者をかばった。
男が「タクシー代を立て替えた」と計340万円分の領収証を福祉事務所に持参し、全額を支出した経緯について、支出を決裁した福祉事務所長(当時)は昨年7月、住民訴訟の法廷で「当時はおかしいとは思わなかった」と証言。夫婦のタクシー代が月に2千万円近くに及ぶこともあったのに、事務所長は「まあ、救急車並みの装備を付けたタクシーだったので、移送費については妥当というふうに考えていた」と語った。
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image