【ロンドン坂井隆之】財政政策を巡って、欧州連合(EU)の主要国である
ドイツと、フランス・イタリアとの路線対立が鮮明になっている。仏伊が景気
え、逆に仏伊などの構造改革の遅れに注文を付けているためだ。財政が悪化し
た南欧諸国とドイツとの足並みの乱れは欧州債務危機以来の構図だが、長期化
すれば世界経済の足を引っ張りかねない。
◇「緊縮緩和を」vs「規律維持」
「(債務危機の時期)欧州は巨額の財政赤字を抱え、成長しなかった。過去
から学ぶべきだ」。23〜24日ブリュッセルで開かれたEU首脳会議に出席
したドイツのメルケル首相は記者団に訴えた。
ドイツは2014年度予算で「赤字ゼロ」を達成し、EUが加盟国に義務づ
ける「対国内総生産(GDP)比財政赤字3%以下」の目標までには、数百億
ユーロ(数兆円)規模で歳出を増やす余裕がある。景気減速に苦しむ欧州では
ドイツへの財政出動期待が強く、国際通貨基金は「余力のある国は柔軟な財政
政策を行うべきだ」と要請。フランスのマクロン経済相も独紙のインタビュー
で「フランスは3年で500億ユーロ(約6兆8400億円)の歳出削減を行
う。ドイツが同額歳出を増やしてくれれば釣り合いが取れる」と促した。だが
独政府は「線香花火のような短期の刺激策は取らない」(ガブリエル経済・エ
ネルギー相)として、財政黒字化の公約にこだわる姿勢だ。
一方のフランスは景気停滞が深刻で、財政再建も遅れている。1日公表した
15年度予算案は「赤字3%目標」の達成年度を、当初の15年度から17年
度まで先送りした。目標にこだわれば巨額の歳出削減は避けられず、オランド
大統領は「ルールは尊重するが、柔軟性も大事だ」と主張。15年度に180
億ユーロ(約2兆5000億円)の大型減税を導入するイタリアのレンツィ首
相も「(目標値にこだわる)小さい議論はしない」として、EUのもう一つの
財政規律目標である「構造的財政赤字ゼロ」の達成時期を16年度から1年延
期する方針だ。
欧州経済の停滞は、中国の欧州向け輸出の低迷につながり、世界経済の減速
に波及している。欧州中央銀行のドラギ総裁は「構造改革と財政・金融政策が
協調しなければ、投資は回復しない」として、南欧諸国に改革を求める一方で、
余力のある国の財政出動も必要との認識を示している。
協調を要求するには大きすぎる経済圏・・・・。
ユーロの経済不安は当分つつきそうですね・・。
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