【アメリカ】「第二次大戦後、最低の大統領」と烙印を押されたオバマ…リーダーシップの欠如、「エボラ出血熱」がだめ押しに
米中間選挙は、上下両院選挙と州知事選挙のすべてで共和党が勝った。米国民は、オバマ大統領のリーダーシップに対する
レファレンダム(国民投票)でレッドガードを突きつけたのだ。
今のオバマ大統領に、「Yes We Can」を合言葉に勝利し、ホワイトハウスに乗り込んだ当時の面影はもはやない。「しっかりとした
自分の考えを持ち、決してぶれない。偉大なリーダーになる素質がある」と、ジェラルド・カーティス コロンビア大学教授に太鼓判を押された初の黒人大統領。そのオバマ大統領がなぜ米国民の信頼を失い、「第二次大戦以後、最低の大統領」(クイニピアック大学世論調査)と呼ばれるようになってしまったのか——。
中間選挙を終えて、米言論界にはさまざまな見方が広がっている。異口同音に言われているのは、オバマ大統領のリーダーシップの欠如だ。リーダーシップは危機に直面した時に、判断力と決断力のかたちで発揮される。日ごろ、いくら弁舌さわやかに理想論を並べ立てても、危機に臨んでこの2つの力を発揮できなければ、リーダーとしては失格だ。
「不測の事態が起きた時にリーダーシップを発揮するには、優秀な閣僚や補佐官を集め、情報を幅広く収集し、最善の選択肢を瞬時に選ぶことができなければならない。オバマはそれができない、と有権者は判断したのだ」(『アトランティック・マガジン』で政治エディターを務めるスティーブ・クレモンズ氏)。
■エボラ出血熱がだめ押し
失業率は6%台を維持、景気回復もそこそこ。それなのにオバマ大統領の支持率は40%前半台と低迷している。オバマ大統領のリーダーシップに疑問符が付き始めたのは第2期政権がスタートしてまもなくだった。
人気が低迷している原因は、「決められない政治」「口先だけで実行に移せない政治」だった。「ねじれ議会」の状況下で、国民保険改革法(オバマケア)の実施や移民法改正、赤字国債削減策など内政面で共和党と全く妥協できなかった。こうした状況に拍車をかけたのが外交面での不手際だ。第1期政権で国務長官を務めたヒラリー・クリントン氏までが新著で、「シリア内戦での初動ミスがイスラム教過激派組織『イスラム国』を巨大化させた」と批判する始末だ。
10月初旬、オバマ大統領の「リーダーシップ欠如」に駄目を押したのは「エボラ出血熱の脅威」だった。米主要紙のベテラン政治記者は、筆者に「エボラ出血熱は、米国民がオバマのリーダーシップについて中間選挙前に点をつける最後の機会になった。いわばリトマス試験紙だった。結果は陽性反応を示した。つまりリーダーシップの欠如を立証してしまったのだ」と語っている。
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