「おい徳光、休みすぎだろ!」「これじゃ散歩じゃねーか」
ネットを中心に非難囂々(ごうごう)だったのも当然だろう。
「24時間テレビ」(日本テレビ)の恒例企画、24時間マラソンに今年は70歳の徳光和夫が挑戦した。
だが、走行距離はたったの63キロ……。しかも、休憩ばかりで、とてもマラソンとは呼べない内容だったのだ。
マラソンのスターターとして巨人の長嶋茂雄終身名誉監督がサプライズで登場。
そんな大盛り上がりの様子や走っている姿が番組や公式HPの動画、テキスト速報で随時アップされていた。
「このマラソンへの挑戦がたくさんの人に元気を与えようとしています!」
「皆の思いを背に徳光さんは、一歩一歩、武道館に向かいます!!」などと仰々しかった。
だが、その実態は——。あるネット上のサイトでは徳光の姿をツイッターやUstreamで24時間生中継。
おかげでテレビが映さないマラソンの実態が明らかになったのだ。
まず、スタート早々に出発地点は相模原市中央区の南橋本駅付近の企業敷地内であることが判明。
ちなみに、ここからゴールの日本武道館までは直線距離で約40キロ。
最短ルートならゆっくり歩いても9時間程度しかかからない。
今回は徳光の年齢を考慮して走行距離は歴代最短の63キロ(これまでは萩本欽一の70キロ)に設定されたが、
それでも短すぎだ。
しかも、ネットの24時間中継を見ると、「スタートして5時間で4時間睡眠(TV中継一切なし)、
その後2時間ほど休みながら歩き、90分休憩」。早朝からは再び走り始めたが、
「14:00 休憩 日産プリンス東京246上馬店」「14:56 休憩(トイレ休憩・ファミリーマート上馬交差点前店)」
「15:19 休憩 アランチャータスクーターズ(目黒区碑文谷)」と休憩ばかり……。
しかも、休憩中は足にお灸(きゅう)をしてもらったり、マッサージを受けたりと至れり尽くせり。
徳光は番組終了直前の午後8時45分頃に武道館に到着し、ゴールのテープを切ったが、
血色もよく、健康そのものに見えた。
階段でコケるシーンもあったが、マイクの声は「千里の道も一歩から」とよどみなかったし……。
ちなみに、東京マラソンでは規定の7時間以内に42.195キロを完走した70代以上のランナーが多数。
フルマラソンのギネス記録は2010年のホノルルマラソンを完走した92歳の女性(9時間53分)である。
至れり尽くせりの24時間マラソン。
これで視聴者に「感動しろ」とは押し売りもいいところ。
その上、ギャラまでもらえるんだから、こんなにいい商売はない。
(日刊ゲンダイ2011年8月22日掲載)
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