おめでとう。
32巻はですね、色々と書きたいことはあるんですよ。
成長したアラジンの魔法の凄まじさ(完全にチート級)、白龍やモルジアナの強さ、シンドバッドの心が追い詰められていく描写、見どころの多い巻なんです。
そんな中でも際立つのは、そう、 アリババがモルジアナに求婚する話です。
ちょっと驚いたんですよね。大分前に、アリババがモルジアナに告白するという話がありましたが、その時は 「モルジアナに告白を受け入れられたと勘違いして大いに浮かれまくったアリババがその間違いに気付いて人間不信に陥る」という 半ばギャグみたいな回でした。
その後は、アリババのモルジアナに対する気持ちがどうなったみたいな具体的な話は無かったですし、アリババが死ぬとかアラジンがいなくなるとか、まあ物語が大変なことになっていましたので、すっかり私もそのことを忘れていました。
だからモルジアナと再会したシーンでも、「あ!モルジアナだ!」ぐらいの感想しか私は持ちませんでした。それよりも白龍との再会の方が印象的でしたので、すぐにモルジアナのことは正直忘れてしまいました。
おめでとう、アリババとモルジアナ!
そんなアリババとモルジアナの関係が急展開したのは、再会を祝して4人で宴席を囲んでいるときでした。
「素面のうちに言いたいことがあるんだから!」
とアリババはアラジンとの話を切り、「モルジアナ!」と声をかけます。
ここから急展開だったんですよね。
自分の話を始めたアリババは、その中で「家族」についての考えを持ち出したことを触れます。
そして「俺も年を取った後、家族が欲しいなって思った時に・・・」
「真っ先に思い浮かんだのが・・・モルジアナだったんだ」
続けてモルジアナに対する想いを話した後、ついにアリババは 「俺と結婚してくれよ。」と、静かな、それでいて強い眼差しでモルジアナに気持ちを伝えました。
ちょっと白龍といい感じにも見えたけど(数年一緒にいた間に、何か気持ちが変わったかもしれないし・・・!!)。どんな言葉をアリババに返すんだろうか。
急に、ページを捲る手が止まりました。
こんなにページを捲るのに緊張したのは初めてです。
「暗黒大陸へ渡り・・・」
と話し始めたモルジアナ。 「私も自分を、知りました」
うつむき加減だった顔をあげ、アリババに真っ直ぐに向き合ったその目は、力強い光を浮かべていました。
モルジアナはどこか挑戦的な笑顔で、
「ファナリスの女は自分に二度、死ぬよりも悲しい思いをさせた男を、許さないそうですが?」
と言葉を続けます。
アリババが 「二度と死なねーよ!」 と返します。
そして、次のモルジアナの言葉が。
「大丈夫、私が死なせません。
夫婦になりましょう」
おめでとう!
アリババ、モルジアナ!
2人の長い旅が一つの終着点に辿り着いたかと思うと、急に涙がこみ上げてきました。
よかったねアリババ。散々モテないキャラとしていじられてきたけど、真剣な想いが、真剣な愛情によって結ばれ、最高の物語を手にしたことで見事に収まった感じです。
それにしてもモルジアナの返事が凄い。
いかにもファナリスらしいと言えばそうですが、こんなに力強いプロポーズへの返事を私は今までに見たことがありません。
「大丈夫、私が死なせません。」
この一言に、アリババを一度失ったモルジアナの悲痛な過去、鍛え上げた強さへの自身、二度と離れないという決意、色んな感情が秘められている気がしました。
そういえばアリババが一度死んだ時には、モルジアナは暗黒大陸を目指してアリババとは離れていたんですよね。暗黒大陸から戻ったらアリババが死んでいた。その時にはきっとモルジアナは、離れていて何も出来なかった自分自身に果てしない悔しさを感じて苦しんだに違いないんですよね。
それがモルジアナの一度目の「死ぬよりも悲しい思い」だったのでしょう。
そして「二度も悲しい思いをしたくない」ではなく、「二度目の悲しい思いなんて、私がさせない」という強い決意を持ったモルジアナ。心の強さと、アリババへの思いの強さと、その両方があって初めて出てくる言葉なんだと思います。
この間、ページ数にしてたったの8ページ。
こんな短いページ数に、2人のこれまでの物語と想いとが凝縮され、読者の手へ届けられたことはもう奇跡ですよ。
さすがは マギ 、さすがは 大高先生 です。
ああ、このシーンだけで、32巻はもう最高!な体験でした。
一応、シンドバッドについて・・・
シンドバッドが追い詰められていきます。
頼みのアルバはアラジン達に敗れ、どうやら商売の方も少しずつ他の勢力に押されている感じも出てきている様子。再会したアラジンは何だか甘い事を話し出して、ついに「誰も、何も分かっていない」というような考えを持つに至ります。
表情は笑っていますが、どこかその笑いは薄っぺらく、「このままではいけない」という焦燥感に駆られているようにも見えてしまいます。
さらに32巻の最終話では、煌帝国が同盟からの離脱を表明し、これまでずっと自分を憎んでいた紅玉から「今の平和はあなたのおかげです。ありがとう」という言葉を投げかけられます。
それは単純な感謝の言葉ではないでしょう。
シンドバッドから離れ、一人の独立した人間として向かい合うことが出来たからこそ言えた言葉です。
だからこそシンドバッドはこう考えたはずです。
「紅玉までも、俺の理想から離れて、間違った道を進もうというのか」
世界が自分の手から一つずつ離れようとしている。
その離れていった先には、また過去と同じような悲劇が待ち構えている・・・。そんな考えから抜けることができないシンドバットは、これでまた、相当に精神的に追い詰めれていくはずです。
さて、次の展開は?
最終章の導入部が終わり、いよいよ物語が動き出しそうな雰囲気が満ち満ちています。
追い詰められたシンドバッドがどう動くのか。
無敵の強さを見せつけるアラジンはこれからどうするのか。アリババは?白龍は?
一向に姿を見せないジュダルは何をしているのか。
アルバはダビデに頼って何をしようとしているのか。
それらの答えは33巻に示される・・・!!?
ということを楽しみに、発売を待ちたいと思います。
最後にもう一度。
おめでとう!!
(何だかエヴァの最終回みたい)
今回も長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
マギ 31巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 30巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 29巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
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