コロナ禍なのに去年より死亡数が減っている日本の謎
アメリカでは死亡者数が例年の24%増し。イギリスは37%増し、イタリアは38%増し。
ペルーなどは例年の156%増、つまり例年に比較して2.5倍も死亡者数が増えている。
欧州や南北アメリカで新型コロナ感染症がいかに猛威をふるったかがよく分かります。
日本ではどうだったか?
赤い線が今年の死亡者数で、青い線が例年の死亡者数。
なんと!?、このコロナ禍でかえって死亡者数が例年より減っています。
日本など東アジア各国のコロナ死亡者数が世界的に見て非常に少ない、
という情報はよく報道されていたので知っていた方も多いと思います。
でも、「死亡者数が例年よりも減っている」という事実はかなり意外に思われる方が多いのではないでしょうか。
日本人の総死亡者数は月に10〜15万人ですので、
コロナの数百人は誤差の範囲内。
理由として考えられるのは、
・高いマスク着用率
・優秀なクラスター対策
・国民レベルでの行動自粛・休校措置
・BCG仮説
・交差免疫説
など色々ありますが、どれが正解なのか分かりません。
どれか一つではなく、複数が複合的に絡み合って
日本の低い死亡率に寄与しているのかもしれません。
(東アジア各国に共通している可能性を考えると、
最後の2つが有力かもしれません)
「理由はどうあれ、日本も中国も韓国も台湾もモンゴルも
例年に比してほとんど死亡者数が増えていない。
コロナ発祥国にして世界で最初に感染拡大した中国の
周辺国が全て低被害で済んだ状況をみて、
これらの国で今から欧米並みに感染爆発が発生するということは
常識的に考えて想定しにくい」
特に、新型コロナの死亡者の大半は高齢者です。
高齢者の終末期を毎日診療している立場から言わせていただければ、
徐々に体力・免疫力が低下している高齢者の最後の病態が
コロナだろうがインフルエンザだろうが肺炎球菌だろうが大した問題ではありません。
仮に入院して人工呼吸器をつけて死を回避できたとしても、
それは死を先延ばしにしているだけかもしれません。
それよりも、そこに至る過程にいかに寄り添えるか、
それまでの人生をどれだけ生き生きと生きていただけたか、のほうが遥かに重要です。
今後、秋〜冬の風邪シーズンにかけて
日本でも第1波と同規模くらいの感染拡大があるだろうことは容易に想像できます。
コロナウイルスはゼロにはなりません。
おそらく秋冬でまた感染者数も死亡者数も増えてくるでしょう。
その時また緊急事態宣言や休校措置を取るのでしょうか?
その時大事なのは、それらのデータがどれほどの規模のものなのか、
どういう意味合いのものなのか、をしっかりと把握することです。
来たるべき風邪シーズンにむけて、
コロナの冷静な現状分析とバランスの良い政治判断を求めたいと思います。
今の日本は危機対策を怠ってきたことが原因です。
その全ては緊縮財政で、ベッド数を減らし、
保健所の数を減らし、役人の数を減らし続けた、
家計簿と国の財政を勘違いして、
100年を見据えた国家戦略を立ててこなかった、日本政府に責任があります。
元を正せば、GHQの占領戦略のまま、日本の破壊が続いているということです。
出典:厚生労働省「人口動態統計速報」令和2年7月分(9月25日発表)
https://www.mhlw.go.jp/.../jinkou/geppo/s2020/dl/202007.pdf
MedPeer × 朝日新聞
連載 Dr.森田の「医療と社会を考えるコラム」
コロナ禍なのに死亡数が減る日本の謎。
2020年12月03日(木) 00:00 公開 森田 洋之 を参考にさせていただきました。