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2019年06月12日
すこやかな人生?B 日本心身医学会名誉理事長 池見 酉次郎 (いけみ ゆうじろう)
最終的には、心の働きの脳内メカニス?ムについて述べていきます。
すこやかな人生?B
日本心身医学会名誉理事長 池見 酉次郎 (いけみ ゆうじろう)
九州名誉教授。北九州市立小倉病院名誉院長。日本心身医学会理事長。
自律調整法国際委員会委員長。国際心身医学会前理事長。医学博士。
著書「セルフコントロールの医学」「自己分析」「心で起こる体の病」「心療内科」ほか
平成三年九月十五日 放送
井筒屋: 先ほどお聞きしていまして驚いたのは、それだけ長生きされた皆さんが、
みな幼少の頃は病弱であった。これも非常に興味深い点ですね。
池見: これも心理に適っていまして、
俗に「一病息災」(持病の一つぐらいある人の方が、かえって体を大切にして健康でいられる)
というんですね。
子どもの時から、体が弱かったり、生きるか死ぬかの大病をした人とでは、
自分の体の声—いま体の調子が悪い、腰の調子が悪い、肩の調子が悪い。
そういうわれわれの体がしょっちゅう信号を出しているんですよ。
自分の体に対して注意をする癖がついているわけですね。
かつて病気をした、その声がよく聞こえるということが非常に大事なことです。
十数年前から英国で、「生体フィードバック」という大変重要な研究が始まりました。
それは、われわれの血圧の変化、心電図、脳波の変化、筋肉の緊張、
そういった自分では普通では意識しないような内臓諸器官の変化を
ずーっとグラフで本人に見せながら、
本人にハッキリわかるようになりますと、
自分である程度、血圧を上げたり、筋肉の緊張を弛めたりすることができる。
その一例をお話しますと、
現代病で、一番多いのは、筋緊張性頭痛と言いまして、
後ろ頭から首、肩が強張る。
或いは仕事をカリカリやっているサラリーマンとか、
受験勉強モリモリやっている学生なんかはこれが一番多いでしょう。
肩が凝ったりして、
筋肉の無理な使い方をしていますと、
自分でほぐすのが本来なんですよ。
ところが、そういう中にどっぷりはまり込んでしまっていますと、
自分でその声が聞こえなくなる。
頭の筋肉の中で一番鋭敏なのは額の筋肉なんです。
「人の顔色を見る」といった場合、
相手の額の筋肉の微妙な働きに注意が向けられるのも、このためです。
ですから、ここの筋肉から筋電図(筋緊張によって生じる電流をはかるもの)といって、
筋肉の緊張を器械で取りまして、
そのウンと緊張し出したら、
エアホーンでちゃんと警告が出るようになっている。
そういう器械を使って、
われわれが現代人が失いつつある体から
健康にするための声がよく聞こえるような訓練をするんですね。
これからは「自分の体の声がよく聞こえる人間にする」ということが大事なんです。
ですから禅宗の坊さんがする坐禅でも、
あれは「ただ悟りだけでなくて、体の声もよく聞こえてくる」んです。
昔の高僧は、「俺は一週間すれば死ぬんだ」と言ったような話がありますが、
一週間もすれば死ぬような重大なことが起こっておるんだから、
ポケッとわからないほうがおかしいです。
井筒屋: 修行を積めば。
池見: ええ。だからほんとに行を積まれた方は、
健康である、体の声が聞こえる。
これは当然のことですね。
井筒屋: そうしますと、結局、仏教の行法というのは、
そのまま健康法であるといってもいいわけですか。
池見: そうなんです。
私は、ニーチェ(1844-1900)の言葉を見つけてビックリしたんですけれども、
ニーチェは、「釈尊は偉大なる生理学者であり、彼の教えは衛生学である」と言っているんです。
彼は、「神が死んだ」と言った人なんですね。
「仏教の真理はこれは科学だ」というんです。
高僧たちには、体の声が聞こえてきますと、
体と自然とは繋がっていますから、
自然の声が聞こえてくる。
大いなる自然に生かされいる。
野口体操の創始者である野口三千三(みちぞう)さんという学芸大学の教授をされた方が、
「体に聞け、自然に聞け」と言ったんです。
自分が、体の声が聞こえるようになってくると、
大いなるいのちの声が聞こえてくる。
大いなるいのちに生かされているわれになった時に、
人間は一番健康だ。
ですから高僧の方が大いなるいのちと一体になった生活をしておられる。
だから非常に大らかな優しい温かい感じがあるわけですね。
井筒屋: これは経典などにもそういったことが書いてあるわけですか。
池見: 私は、仏教の原始経典の『法句経(ほっくぎょう)』の中に、
おのれこそ
おのれのよるべ
おのれを措(お)きて
誰によるべぞ
よくととのえし
おのれにこそ
まことえがたき
よるべをぞ獲(え)ん
(『法句経』一六○偈)
という言葉に出遇いまして、
わが意を得たりと思いまして、
「よくととのえしおのれ」というのは、
「自分で自分のセルフ・コントロール」ですね。
だから、私は、釈尊の「よくととのえしおのれ」
という言葉を英語にしまして、「セルフ・コントロール」と付けたんです。
NHKブックスの中で、『セルフ・コントロールの医学』というのを出しました。
その本がロングセラーになったんです。
それから「セルフ・コントロール」という言葉が日本でよく用いられるようになったんですね。
実は、私自身が昭和四十七年に胃潰瘍で、
ほんとに一年かかるような大吐血したんですよ。
このような大吐血を再び起こすことがあれば、
一命にかかわると考えましたので、
それ以来、私の生活様式が一変しまして、
さっき紹介しました高僧とほとんどそっくりの生活をしました。
それが私の現在の健康のもとになっております。
ただ悟りの心境においては足下にも及びません(笑い)。
井筒屋: 先生はそうした仏教の行法も研究されるかたわら、
一方で中国の気功法もご自身に取り入れていらっしゃるそうですね。
これは、平成三年九月十五日に、NHK教育テレビの
「こころの時代」で放映されたものである
すこやかな人生?B
日本心身医学会名誉理事長 池見 酉次郎 (いけみ ゆうじろう)
九州名誉教授。北九州市立小倉病院名誉院長。日本心身医学会理事長。
自律調整法国際委員会委員長。国際心身医学会前理事長。医学博士。
著書「セルフコントロールの医学」「自己分析」「心で起こる体の病」「心療内科」ほか
平成三年九月十五日 放送
井筒屋: 先ほどお聞きしていまして驚いたのは、それだけ長生きされた皆さんが、
みな幼少の頃は病弱であった。これも非常に興味深い点ですね。
池見: これも心理に適っていまして、
俗に「一病息災」(持病の一つぐらいある人の方が、かえって体を大切にして健康でいられる)
というんですね。
子どもの時から、体が弱かったり、生きるか死ぬかの大病をした人とでは、
自分の体の声—いま体の調子が悪い、腰の調子が悪い、肩の調子が悪い。
そういうわれわれの体がしょっちゅう信号を出しているんですよ。
自分の体に対して注意をする癖がついているわけですね。
かつて病気をした、その声がよく聞こえるということが非常に大事なことです。
十数年前から英国で、「生体フィードバック」という大変重要な研究が始まりました。
それは、われわれの血圧の変化、心電図、脳波の変化、筋肉の緊張、
そういった自分では普通では意識しないような内臓諸器官の変化を
ずーっとグラフで本人に見せながら、
本人にハッキリわかるようになりますと、
自分である程度、血圧を上げたり、筋肉の緊張を弛めたりすることができる。
その一例をお話しますと、
現代病で、一番多いのは、筋緊張性頭痛と言いまして、
後ろ頭から首、肩が強張る。
或いは仕事をカリカリやっているサラリーマンとか、
受験勉強モリモリやっている学生なんかはこれが一番多いでしょう。
肩が凝ったりして、
筋肉の無理な使い方をしていますと、
自分でほぐすのが本来なんですよ。
ところが、そういう中にどっぷりはまり込んでしまっていますと、
自分でその声が聞こえなくなる。
頭の筋肉の中で一番鋭敏なのは額の筋肉なんです。
「人の顔色を見る」といった場合、
相手の額の筋肉の微妙な働きに注意が向けられるのも、このためです。
ですから、ここの筋肉から筋電図(筋緊張によって生じる電流をはかるもの)といって、
筋肉の緊張を器械で取りまして、
そのウンと緊張し出したら、
エアホーンでちゃんと警告が出るようになっている。
そういう器械を使って、
われわれが現代人が失いつつある体から
健康にするための声がよく聞こえるような訓練をするんですね。
これからは「自分の体の声がよく聞こえる人間にする」ということが大事なんです。
ですから禅宗の坊さんがする坐禅でも、
あれは「ただ悟りだけでなくて、体の声もよく聞こえてくる」んです。
昔の高僧は、「俺は一週間すれば死ぬんだ」と言ったような話がありますが、
一週間もすれば死ぬような重大なことが起こっておるんだから、
ポケッとわからないほうがおかしいです。
井筒屋: 修行を積めば。
池見: ええ。だからほんとに行を積まれた方は、
健康である、体の声が聞こえる。
これは当然のことですね。
井筒屋: そうしますと、結局、仏教の行法というのは、
そのまま健康法であるといってもいいわけですか。
池見: そうなんです。
私は、ニーチェ(1844-1900)の言葉を見つけてビックリしたんですけれども、
ニーチェは、「釈尊は偉大なる生理学者であり、彼の教えは衛生学である」と言っているんです。
彼は、「神が死んだ」と言った人なんですね。
「仏教の真理はこれは科学だ」というんです。
高僧たちには、体の声が聞こえてきますと、
体と自然とは繋がっていますから、
自然の声が聞こえてくる。
大いなる自然に生かされいる。
野口体操の創始者である野口三千三(みちぞう)さんという学芸大学の教授をされた方が、
「体に聞け、自然に聞け」と言ったんです。
自分が、体の声が聞こえるようになってくると、
大いなるいのちの声が聞こえてくる。
大いなるいのちに生かされているわれになった時に、
人間は一番健康だ。
ですから高僧の方が大いなるいのちと一体になった生活をしておられる。
だから非常に大らかな優しい温かい感じがあるわけですね。
井筒屋: これは経典などにもそういったことが書いてあるわけですか。
池見: 私は、仏教の原始経典の『法句経(ほっくぎょう)』の中に、
おのれこそ
おのれのよるべ
おのれを措(お)きて
誰によるべぞ
よくととのえし
おのれにこそ
まことえがたき
よるべをぞ獲(え)ん
(『法句経』一六○偈)
という言葉に出遇いまして、
わが意を得たりと思いまして、
「よくととのえしおのれ」というのは、
「自分で自分のセルフ・コントロール」ですね。
だから、私は、釈尊の「よくととのえしおのれ」
という言葉を英語にしまして、「セルフ・コントロール」と付けたんです。
NHKブックスの中で、『セルフ・コントロールの医学』というのを出しました。
その本がロングセラーになったんです。
それから「セルフ・コントロール」という言葉が日本でよく用いられるようになったんですね。
実は、私自身が昭和四十七年に胃潰瘍で、
ほんとに一年かかるような大吐血したんですよ。
このような大吐血を再び起こすことがあれば、
一命にかかわると考えましたので、
それ以来、私の生活様式が一変しまして、
さっき紹介しました高僧とほとんどそっくりの生活をしました。
それが私の現在の健康のもとになっております。
ただ悟りの心境においては足下にも及びません(笑い)。
井筒屋: 先生はそうした仏教の行法も研究されるかたわら、
一方で中国の気功法もご自身に取り入れていらっしゃるそうですね。
これは、平成三年九月十五日に、NHK教育テレビの
「こころの時代」で放映されたものである