ヨスバニ・アラルコン
先日終わったリーグでもっともメディアの注目を浴びているのがラス・トゥナスの主将ヨスバニ・アラルコン・タルディオであることは少しも疑いの余地がない。
なぜか? それは決勝戦最終の第七戦の9回、3対0と昨季王者グランマにリードされていたラス・トゥナスが反撃を試みたときのことだ。
この回先頭のユニエスキ・ラルドゥエトが安打で出塁し希望をつなぎ、続くジョンソンが三塁打でチーム初得点をあげ、メジャ球場は歓喜で沸いた。ダネルの凡退のあと、アラルコンがタイムリーを放ち、一塁に出塁した。
ヨスバニのコメントを聴いてください
http://www.ivoox.com/declaraciones-yosvani-alarcon-audios-mp3_rf_23424182_1.html
ここまではすべてが順調だった。ラス・トゥナスの選手たちはよく反応し、ファンの皆が同点または勝ち越しでリーグ制覇という希望を持った。
ここでアラルコンはほとんど予期せぬ急なスタートで二塁盗塁に動いた。しかしその手は二塁ベースに先にたどりつかず、観客席は沈まりかえった。決勝戦で最も議論を呼ぶアウトがメジャ球場のグラウンドに出現した。
是非を判定する者もいれば、ラス・トゥナスの4番打者に克服のメッセージを送る者もいる。何らかの形人びとは、推測したり、勝手なプレーだと非難したりしている。その一方で、自身とチームの夢がひとつのプレーで壊れたのを目の当たりにしたラス・トゥナスの捕手は、地に足をしっかりつけている。
「きょうはいつもより少しは落ち着いているんだ。別のプレーができていればこんなことにはなっていないのに、とまだ考えて続けてはいるけど。自分自身に対して気分が悪いんだ、ものすごく。でもファンの皆が数多くのメッセージを、あらゆる方法で送ってくれている。自宅に手紙を送ってくれた人までいる。家族の愛情やそれらのおかげで、私はすこしずつ癒されている。」
ヨスバニは視線を落とした。ラジオ・ビクトリア(ラス・トゥナスのラジオ放送局)を通じて彼に詩やアドバイスや支援の声が寄せられ、彼の目はしばしうるんだ。彼を知る人たちは、彼が謙虚で、見事にシンプルな男であることを知っている。
- なぜ二盗を狙ったのですか
「グランマの選手たちが投手のところに集まっていったとき、パブロ(監督)がトレーナーを伝達として送ってきて、もし盗塁のチャンスがあればそれを逃すなと伝えてきたんだ。」
「二塁に走れと直接指示されたわけでは実際ないんだが、そのアイデアを聞いて投手の動きを探り始めた。はじめの3球を投げる間、マウンドの投手は私のほうを一度見ただけで、打者への投球をおこなっていた。私が走りだしたときは、彼が私のほうを見て、さらに動きが緩慢だったので、それで私は前進した。」
「危険なプレーだったが、人生は危険に満ちているものだ。もしあれがうまくいっていたら、その反応はファンにとってもチームにとっても同じにはなっていないと確信している」
「しかしそれは失敗した。私は責任を負う。全人生をかけて耐えるべき重荷だとはわかっている。しかし私は前進しなければならない。人生は続いていくのだから。わたしが全身全霊をかけて勝利を望んでいたということは確かなことだ」
ホセ・マルティのことばを引用しよう。太陽に黒点がみられるとき、恩知らずな者たちは黒点のことばかり話すが、感謝を知る者たちはその光について話す。
ラス・トゥナスはこの数ヶ月、ファンに喜びを与えてきた。失敗を認めること、その失敗から学ぶことをやめてはならない。しかしチームの、そして一人の選手の功績である活躍を無にするまでに至ること、それは不公正と不信に陥ることである。願わくば、歴史がヨスバニ・アラルコン・タルディオの価値を証明するに至らんことを。
プレーオフ最終戦、ラス・トゥナス9回の攻撃
Yosvani Alarcón: La vida es de riesgos
http://www.tiempo21.cu/2018/01/29/yosvani-alarcon-la-vida-riesgos/