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軍事において武器システムにはまる人は多いけど、意外と少ないのがエンジン好きの人です。
艦内に格納されてしまうから、目立たないという難点のあるかもしれません。
図1 GTエンジン
引用URL:https://weblio.hs.llnwd.net/e7/img/dict/sgkdj/images/105136.jpg
艦船に使われるガスタービンエンジン(GT)を知ると、いっぱいありすぎて目移りします。
文句が出る海自艦船GTエンジン組み合わせも、実はちゃんと意味があったりします。
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(1)ロールスロイス最高だろ〜!(空自への煽り)
航空自衛隊ではイギリスロールスロイス社エンジンに対して、これでもかと文句があるでしょう。
図2 F-1支援戦闘機
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/F-1__(航空機)#/media/ファイル:Mitsubishi_F-1_03.jpg
まあF-1支援戦闘機の推力不足はいがめなかったのは事実です。
1.1 海自のGT化をもたらしたロールスロイスエンジン
海上自衛隊では1970年代後半に、はつゆき型護衛艦にてGTエンジン搭載が計画されます。
図3 はつゆき型護衛艦
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/dd/hatsuyuki/img/main.jpg
はつゆき型の前には、ディーゼル搭載の「やまぐも」「みねぐも」型や蒸気タービン搭載の「たかつき」型がありました。
対潜戦の静粛化を考えると、ディーゼルや蒸気タービンから転換する必要がありGTエンジンが選択されたところがあります。
1.2 21型フリゲート(アマゾン級)の成功を受けて
そんな中で1969年に建造が始まり、1974年から就役が始まったイギリス21型フリゲート(アマゾン級)の成功が世界に報じられます。
図4 21型フリゲート
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/21型フリゲート#/media/ファイル:HMS_Arrow_(F173)_underway_c1982.jpg
世界で初めてGTエンジン搭載の軍艦として完成度の高さを出したので、はつゆき型としてもイギリスに習ってGTを選択していきます。
タインRM1C(巡航用)とオリンパスTM3B(高速用)の2種類にてガスタービンを切り替えて使用する方法になります。
図5 RM1C
引用URL:http://www.uk-kk.co.jp/img/english/product/img09.jpg
途中でロールスロイス社に併合されることになり、1社供給となります。
1.3 なぜ異なる2種類のエンジンを使用したか?
よく聞かれる質問として、なぜ異なるGTエンジン搭載を行っているのか?というものがあります。
理由としては、大出力GTエンジンがまだ登場していなかったというものがあります。
1970年代だと、船舶用GTエンジンにて1軸に対して2基使用しないと最大速力(30ノット)まで行けなかった状態です。
さらには、減速機(ギア)の問題がありました。
図6 減速機
引用URL:https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/00198/images/170_01l.gif
高速回転するGTエンジンからの回転シャフトを減速してプロペラに動力を伝えるには、慎重な設計が必要です。
成功実績のある物を選択していくのが、基本となります。
あさぎり型では、ロールスロイススペイSM1Aを4基搭載してCOGAG方式にて運転方式の多様化に成功します。
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(2)LM2500は魔法のエンジンにあらず
イージス艦に搭載されていたことで、魔法のエンジンのように言われたLM2500エンジンがあります。
図7 LM2500エンジン
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ddg/kongou/img/173_02l.jpg
平成になって登場したLM2500エンジンには、色々悩まされたものです。
2.1 扱いやすいが出力がねえ?
GE社のLM2500エンジンは、1970年には登場していましたが信頼性の面でまだ実績がなかったところがあります。
最初に船舶用として搭載した、スプルーアンス級駆逐艦(1975年就役)の運用実績が少ない中ですぐに切り替えるわけにはいきませんでした。
図8 スプルーアンス級駆逐艦
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/スプルーアンス級駆逐艦#/media/ファイル:US_Navy_010618-N-6626D-002_USS_Hayler_(DD_997)_underway.jpg
登場したばかりのLM2500についても、1980年代には必要推進力を1軸1基で賄えるほどではありませんでした。
海上自衛隊で注目されたのは、オリバー・ハザード・ペリー級の実績が(1軸2基の信頼性)顕著に出てきたことです。
その後イージス艦導入と共に、LM2500導入が始まります。
2.2 むらさめ型以降の発展型につながる。
むらさめ型にてLM2500(高速追加用)とロールスロイスSM1C(巡航用)の併用ということが始まりました。
批判も多い組み合わせですが、当時の導入数が少ないLM2500を補完するものとしてSM1Cを併用することになります。
図9 SM1C
引用URL:http://www.uk-kk.co.jp/img/english/product/img08.jpg
LM2500エンジンは、IHIがライセンス生産・オーバーホールを担当することになり整備キャパが不安視されたところがあります。
故障対処や部品供給態勢が整ってきた2000年ごろからようやく、信頼性を持ったといえます。
2.3 LM2500不足問題
LM2500については、2001年のインド洋派遣が始まったことから慢性的な予備機不足に悩まされます。
図10 インド洋派遣
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/approach/kokusai_heiwa/terotoku/images/gaiyou1.gif
灼熱の環境にて、エンジンの故障も頻発してくることになります。
さらに防衛費削減によりエンジンオーバーホール間隔の延伸が行われ、部品不足による整備待ちエンジンが積みあがることになります。
エンジン屋さんがどうしてもLM2500を好きになれない理由は、苦難の歴史があります。
さらにM事案により、予備機増強を含めたLM2500購入がストップすることがありました。
(機関科の人たちが、大号泣しながら修理する羽目に・・・)
海自にもIHIに予備エンジンがない危機的状況が、1年ほど続いたことがあります。
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(3)エンジン屋さんのライフはもうゼロよ!
もがみ型護衛艦のGTとしてロールスロイスのMT30が導入されることになりました。
図11 MT30
引用URL:https://www.shintoa.co.jp/wp-content/uploads/kumano_mt30.png
川崎重工が整備とオーバーホールを担当することになります。
3.1 SM1A/Cとの両立は大丈夫か?
川崎重工としては、ようやくタインRM1CとオリンパスTM3Bの保守から解放されます。
(TM3Bは「はたかぜ」型2隻を残すのみ)
そんな中で、国産化したSM1AとSM1Cの面倒を見ながら、MT30の整備もしなくてはいけません。
スペイSM1Cについては、ましゅう型補給艦などにも使用され日本が一番の使用国となりました。
ロールスロイス社から部品が来ないから、2012年にはついに製造事業譲渡を受けて100%国産化となります。
図12 国産化
引用URL:https://www.khi.co.jp/corporate/timeline/pdf/125history_19.pdf
ホントに大丈夫?ちゃんと供給できる?
3.2 M1A発電機については言うまでもない
海上自衛隊のGTについて、もっとヤバいのがM1Aシリーズですね。
図13 M1A発電機
引用URL:https://www.gtsj.or.jp/journal/contents/vol41no4_journal.pdf
ガスタービン発電機として開発されましたが、機関や電気員の恨みをどれだけ買ったことか・・・
GTエンジン沼は、ほんとに奥が深いぜえ〜!
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防衛・軍事ランキング
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IHIや三菱も船舶搭載発電用GTはあるのですが、主機用GTについては商品ラインナップにはありません。
やはり海外の船舶用GTが安くて実績があるのがネックのようです。
もがみ型護衛艦のギアボックスは、ほんとに優秀のようで故障の情報が来ていないのでほんとにすごいです。
普通のDEエンジンでも、減速ギヤがふっとんだり流体継手修理で苦労した身としては、本気でどんな設計をしたのか知りたいtころです。
日本ではIHIや三菱重工がジェットエンジンやガスタービンの技術があるようですが、船舶用のGTエンジンは無いんですね。
ところで、CODAG機関だと回転数が違い過ぎてギアボックスが大変らしいですが、もがみ型は特に不具合は無さそうですね。上手くいってるとしたら、技術的に凄いんですよね。
10年ほど前の川崎重工のRR社への輸出は、高温にさらされるファンブレードなどすぐに代替が利かないところだったので話が合わってきたところがあります。
継続生産していた、川重にそのまま事業を継承させたというところです。
(欧州企業は事業徹底すると、保守部品も放り出して他企業に押しつけるところも多いですよ)
(金属3Dプリンターが出てきたので、RRの子会社がSM1Aの保守整備事業を再開したようです。)
ホントに船舶用GTエンジンは小さいので、驚きです。
(なお燃費については気にしてはいけません。)
約10年前くらいに、川崎重工が英海軍にエンジン部品を輸出とのニュースありました
ロールスロイスがスペイSM1A,1Cの生産停止したから、との事でその部品ですかね(本体は停止しても保守部品は継続するものでは?)
また、写真で護衛艦の舷側から円筒を引き出していて、GTエンジンとの事でしたが小さいのに驚いた記憶があります(ジェットエンジンだし当然か)
大きな舶用ディーゼルエンジンは見た事がありますが、それと同等以上の馬力を出せて艦を開けずに出し入れできるなら、選ばれる理由の一つかと思いました
蒸気タービンについては、GTに似た形でタービンを回転させて出力を指すものとなります。
艦船を動かす大出力の蒸気タービンブレードは、どうしても大きくなり開発された当時の技術では騒音が大きくなります。
機関科では蒸気タービン艦において、独自の手先信号を使って情報伝達を行うくらいでした。
(耳元で怒鳴っても伝わらないくらい蒸気タービン艦の缶室・機械室はうるさいです。)
とありますがディーゼルはともかく蒸気タービンもうるさかったのでしょうか?
人手がかかるということで好まれなくなったのは承知しております